2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    7,231名(単体) 26,278名(連結)
  • 平均年齢
    42.1歳(単体)
  • 平均勤続年数
    16.6年(単体)
  • 平均年収
    7,879,335円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    3.1%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1) 【人材戦略に関する基本方針等】

当社の人材戦略の基本方針は、『中期経営計画2028』に掲げる「人的資本の価値最大化」です。これは、従業員一人ひとりの個性と可能性を尊重し、挑戦を通じて持続的に成長できる環境を実現することを意味します。その実現に向け、従来の会社主導によるキャリア形成から、従業員主体の自律的なキャリア形成への転換を進めます。従業員自らがスキルを磨き、高い志と未来志向の目標に向かって挑戦し続けられる仕組みを整備していきます。

また、本戦略は経営戦略と一体で推進します。『NSKビジョン2036』および「Bearings(既存事業の収益改善)& Beyond(あらたな収益の柱を育てる)」に基づき、将来の競争力に必要な人材ポートフォリオを戦略的に再構築します。これにより、成長領域への最適な人材配置と組織の機動性向上を実現し、社会から必要とされ、信頼され、選ばれ続ける企業を目指します。

 

  当社の報酬制度は、経営戦略の実現に向けた「役割(Role)」と「行動」、および「スキル」を主軸とする体系としています。

 1.戦略との連動:競争優位の源泉となる高度専門人材やデジタル人材に対しては、労働市場における価値を踏まえ

     た、「スキルの重要度を反映した報酬体系」を適用することで、優秀な人材の確保とリテンションを図ります。

 2.挑戦の促進:従来の年功的な要素を排除し、高い目標に対する挑戦的な行動や成果に対して、「納得性の高い評

価」に基づき報いることで、組織の活性化を図ります。

3.自律的成長の支援:ロール型人事制度の運用を通じ、従業員が自らのキャリアを主体的に描き、必要な経験・能

力の獲得に向けて成長できる環境を整えるとともに、担う役割や発揮した成果を処遇に反映することで、社内外

で通用するプロフェッショナルとしての自己研鑽と付加価値向上への意欲を喚起します。

 

 当社における従業員の報酬水準は、人的資本への投資を通じた持続的成長の実現を前提に、外部環境および当社の経営状況を総合的に勘案して決定しています。具体的には、物価動向や人材獲得環境、従業員の生活水準の維持・向上の必要性と、持続的な収益力の確保の両立を重視しています。
 また、報酬水準の設定にあたっては、役員報酬の決定方針に準じて、外部専門機関の調査データや他社の水準等の客観的な情報を参照し、当社の競争力を確保できる水準となるよう適切にポジショニングを行っています。これにより、優秀な人材の確保・定着およびモチベーション向上を図るとともに、企業価値の持続的向上に資する報酬水準の実現を目指します。

 

 

(2) 【従業員の状況】

 ① 連結会社の状況

     (2026年3月31日現在)

セグメントの名称

従業員数(人)

産業機械

11,697

(783)

自動車

8,035

(786)

ステアリング

3,430

(175)

全社(共通)・その他

3,116

(329)

合計

26,278

(2,073)

 

(注) 1 従業員数は就業人員です。

2 ( )内は直接雇用の臨時従業員数であり、年間の平均人員を外数で記載しています。

3  2025年9月に、ステアリング事業を連結子会社化したため、従業員数が3,430名増加しています。

 

 ② 提出会社の状況

     (2026年3月31日現在)

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

平均年間給与の対前
事業年度増減率(%)

7,231

42.1

16.6

7,879,335

3.1

 

 

セグメントの名称

従業員数(人)

産業機械

2,976

(292)

自動車

3,098

(449)

全社(共通)・その他

1,157

(150)

合計

7,231

(891)

 

(注) 1 従業員数は就業人員です。

2 平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含んでいます。

3 ( )内は直接雇用の臨時従業員数であり、年間の平均人員を外数で記載しています。

 

(3) 労働組合の状況

     当社グループには労使関係について特に記載すべき事項はありません。

 

 

(4) 多様性に関する指標

①提出会社

女性管理職比率

(注1)

男性育児休業取得率

(注2)

男女間賃金差異(注1、3)

正規労働者

非正規労働者

全ての労働者

2.6

95.8

76.9

64.1

74.7

 

 

②連結子会社(注4)

会社名

男性

育児休業

取得率

(注2)

男女間賃金差異(注1)

正規労働者

非正規労働者

全ての労働者

日本精工九州㈱

100.0

82.6

72.2

81.8

㈱天辻鋼球製作所

50.0

77.0

83.7

76.7

旭精機㈱

100.0

75.7

62.5

73.9

NSKステアリング&コントロール㈱

100.0

72.4

83.8

73.4

NSKステアリングシステムズ㈱

100.0

68.0

82.0

73.8

NSK富山㈱

140.0

 

 

 

 

 

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

  なお、提出会社については、従来より当社基準(対象期間を出生日を起点とした1年間)で算出し、公表してきました。この当社算出基準では、91.1%です。

    また、該当男性労働者の配偶者が子を出産した年と男性労働者が育児休業を取得した年が異なるため、NSK富山㈱の男性育児休業取得率は100%を超えています。従業員の多様なニーズに応じ、取得時期の柔軟化や分割取得などの選択肢が広がっています。

3  男女間賃金差異について

  当社において、賃金制度における性別の差異はありません。しかし、階層別の人員構成が男性と女性で異なるため、平均年間賃金に差が生じています。

  ・正規労働者:   それぞれの性別の管理職比率において、男性の比率が女性のそれに比べて高いことに

                    起因しています。

    ・非正規労働者: この分類の社員の多くは、定年退職後の再雇用者です。

            その賃金は再雇用以前の階層に基づいており、正規労働者と同様の理由に起因してい

            ます。

  当社では女性の活躍推進を経営課題として位置づけ、管理職候補の育成に力をいれています。

  当社の女性活躍推進及びダイバーシティ&インクルージョンの取り組みについては、当社ウェブサイト(https://www.nsk.com/jp-ja/company/sustainability/human-resources/diversity/)に掲しています。

4 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)などにおいて、常用労働者数が101人以上の事業主は自社の女性の活躍に関する状況把握、課題分析、行動計画の策定、外部公表等が求められています。行動計画で公表した指標が「女性管理職比率」「男性育児休業取得率」「男女間賃金差異」である場合は、内閣府令に基づき有価証券報告書にも開示する必要があります(日本精工九州㈱、旭精機㈱、NSK富山㈱)。加えて、常用労働者数が301人以上の事業主は、男女間賃金差異の開示が義務化されています(日本精工九州㈱、㈱天辻鋼球製作所、NSKステアリング&コントロール㈱、NSKステアリングシステムズ㈱)。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取り組み】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。


(1)サステナビリティ全般

①ガバナンス

当社グループは、機関設計として指名委員会等設置会社を採用しています。取締役会は経営の基本方針などの重要な経営事項の決定にあたるとともに、業務執行の決定を執行機関へ積極的に委任し、執行状況を適切に監督します。

サステナビリティ活動の推進は、従来コアバリュー委員会が担ってきましたが、本委員会がサステナビリティ活動を統括する組織である事をより明確にするため、2026年4月よりサステナビリティ・コアバリュー委員会に改称しました。

CEOを委員長とするサステナビリティ・コアバリュー委員会は、年に5回開催し、当社のコアバリューである「安全・品質・環境・コンプライアンス」、及び「人権」、「カーボンニュートラル」を中心として、グループ横断的な視点による施策の立案や方針の議論、関連リスクの共有を行っています。また、持続可能な成長を目指す上で優先的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)の解決に向けた提言と進捗のモニタリング、これらの活動の適切な情報共有等を図り、NSKグループのサステナビリティ活動を推進しています。サステナビリティに関する重要事項は経営会議で審議し、年1回以上取締役会に報告しています。

さらに、サステナビリティ・コアバリュー委員会の傘下に、サステナビリティ情報開示協議会を設置しています。本協議会は、執行職である経営企画本部長を議長とし、ESGに関連する部門の部門長を中心に構成しています。

サステナビリティに関する目標は、役員報酬を決定する際の評価指標としても設定しています。役員報酬制度の詳細につきましては、「第4[提出会社の状況]4[コーポレート・ガバナンスの状況等](4)[役員の報酬等]」に記載のとおりです。

 

②リスク管理

当社グループにおいて、全社及びサステナビリティ分野の主要なリスクを検討するプロセスは、「第2[事業の状況]3[事業等のリスク]」に記載のとおりです。

 

③戦略

当社グループは、サステナビリティの分野において優先的に取り組むべきマテリアリティとして、7項目を特定しています。企業理念のもと、これらのマテリアリティに取り組むことにより、社会課題解決への貢献と企業としての持続的成長の両立を目指しています。当社グループでは、社会課題を含む外部環境の変化が事業に与える影響に加え、事業活動がステークホルダーならびに環境・社会に与える影響を評価するダブルマテリアリティの考え方に基づき、マテリアリティを特定しています。特定したマテリアリティは、執行部門の代表者により構成される経営会議の審議を経てCEOが決定し、オフィサーズ・ミーティングを通じて当社グループ内に共有するとともに取締役会に報告しています。

 

 


   (注) Neco(NSK eco-efficiency indicators):製品の環境貢献度を定量評価する当社独自指標。

従来製品を基準値1として、製品価値と環境負荷の2つの要因で改善度を評価。

 

④指標及び目標

『中期経営計画2028』の経営方針と取り組みや非財務目標は、「第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](2)経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

サステナビリティに関する取り組みは、当社グループウェブサイトをご参照ください。

https://www.nsk.com/jp-ja/company/sustainability/ 

 

 

(2)気候変動

①ガバナンス

取締役会は、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを含む中・長期的な経営課題・方向性等に関するテーマの討議を行うとともに、業務執行の決定を執行機関へ積極的に委任し、その執行状況を適切に監督します。また、サステナビリティ・コアバリュー委員会は、カーボンニュートラルの実現に向けた具体的な施策の立案や方針の議論、関連するリスクの整理・共有を担い、その検討内容を踏まえ、必要に応じて取締役会に報告・付議しています。

なお、CO2排出量削減は、役員報酬を決定する際の評価指標の一つとして用いています。詳細は、「第4[提出会社の状況]4[コーポレート・ガバナンスの状況等](4)[役員の報酬等]」に記載のとおりです。

 

②リスク管理

当社グループは、気候変動関連のリスクの重要性を認識し、事業や部門を横断して対処してきました。さらに2020年度からは、気候関連財務情報開示タスクフォース(以下「TCFD」)の推奨するシナリオ分析も活用し事業環境の変化と当社の事業への影響を分析するとともに、課題の抽出及び対応策の実施等、取り組みを強化しています。

 

③戦略

当社グループは、「脱炭素社会構築への貢献」を優先的に取り組むべきマテリアリティの一つとして特定しています。気候変動が当社グループのバリューチェーンに将来的に与え得る影響及び気候変動対策の有効性を検証するため、最長2050年までの期間を想定し、1.5℃~2℃シナリオ及び4℃シナリオの2つのシナリオ分析を実施しています。この結果、気温上昇を1.5℃~2℃以下に抑制する社会の実現への貢献を基本戦略として位置付けています。CO2排出規制に関連した移行リスクへの対応に取り組むとともに、製品ライフサイクル全体での脱炭素化という社会的ニーズを、当社グループの事業領域であるMOTION & CONTROL™の進化の機会と捉え、バリューチェーン全体を視野に入れて気候変動対策を推進します。また、気候変動に起因する自然災害に対しては、シナリオ分析結果を踏まえて対策を推進しています。

事業活動においては、省エネや画期的な生産技術の導入によりエネルギー使用量を削減するとともに、再生可能エネルギーの活用を進め、Scope1およびScope2におけるCO2排出量の最小化に取り組んでいます。

また、2050年のCO2排出量ネットゼロ社会の実現に貢献する観点から、Scope3におけるサプライチェーン上流の排出量についても、把握および削減に向けた取り組みを進め、中でも大きな割合を占める調達部品に由来する排出量の削減のため、取引先との連携を進めています。

一方、お客様が当社グループの製品を使用する段階においては、製品の小型・軽量化、長寿命化、低摩擦化に加え、リコンディショニング(再生・再利用)の推進、ならびに風力発電等の再生可能エネルギー産業向け製品の供給を通じて、社会全体のCO2排出量削減への貢献の最大化を目指しています。こうした取り組みの一環として、日本の軸受及びボールねじ業界で初めて(当社調べ)、CO2排出削減効果が大きい一部の製品を対象に、環境省のガイドラインを参照して算定したライフサイクル全体のカーボンフットプリント(CFP)について、算定条件や前提を整理した算定報告書を自主的に開示しました。

さらに、当社グループは、「循環型社会構築への貢献」についても優先的に取り組むべきマテリアリティの一つとして特定しています。製品設計、調達、生産、使用、廃棄に至るまでのライフサイクル全体においてサーキュラーエコノミーの考え方を取り入れ、リデュース、リユース、リサイクルを推進します。これらの脱炭素化及び、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みは、生物多様性の保全にも繋がるものと考えています。

2026年度から始まる新『中期経営計画2028』では、前中期経営計画の取り組みを着実に進めるとともに、一部で進めてきた先進的な技術の展開を拡大し、さらには、将来に向けた各種計画を本格化させ、カーボンニュートラルの実現に向けた施策を一層強化していきます。

 

④指標及び目標

当社グループは、環境性能を競争力の源泉として環境貢献型製品の普及を推進し、環境と経済の好循環の実現を目指しています。これに向けて事業活動、すなわち「つくる」時のCO2排出量の削減と、顧客における製品・サービスの使用段階、すなわち「つかう」時のCO2排出削減貢献量の拡大を両輪として、長期的な目標を設定し取り組みを進めています。

『中期経営計画2026』では特にScope1とScope2のCO2排出量を2035年度に実質ゼロにするカーボンニュートラルの目標を設定しました。この中間目標として、2026年度に2017年度比でCO2排出量の50%削減を目指しておりましたが、本計画を2023年度に前倒しで達成し、以降も削減を進めています。これらの取り組み及び、情報開示の充実が高く評価され、環境に関する国際的な非営利組織であるCDP(注1)より2025年の「気候変動」部門及び「サプライヤー・エンゲージメント評価(注2)」において最高評価Aを獲得しました。

『中期経営計画2028』においては、前中期経営計画の取り組みを進化・高度化させることで、カーボンニュートラルの実現を着実に進めていきます。

 

<『中期経営計画2026』の目標と実績>

2026年度Scope1+2 CO2排出量 2017年度比、50%削減の目標を3年前倒しで2023年度に達成

2035年度Scope1+2 カーボンニュートラル達成に向けて順調に進捗

 

<『中期経営計画2028』の目標>

2028年度Scope1+2 CO2排出量 2017年度比、61%以上削減

2035年度Scope1+2 カーボンニュートラル達成の目標を継続

NSK環境効率指標(Neco)1.2以上の環境貢献型製品の創出


  (注)1 2000年に英国で設立された国際環境非営利団体であり、気候変動、水セキュリティ、森林などの環境分野に関する企業や自治体の目標設定、リスク管理、情報開示などの取り組みを調査・評価しています。

2 CDPの気候変動質問書に回答した企業を対象に、「ガバナンス」「目標設定」「Scope3排出量の把握と管理」「リスク管理プロセス」「サプライヤーとのエンゲージメント」の5つの観点から点数化され、総合評価されます。

 

なお、TCFD提言に基づく情報開示については、当社グループウェブサイトをご参照ください。

https://www.nsk.com/jp-ja/company/sustainability/environment/tcfd-recommendations/

この他、NSKの気候変動への対応については、当社グループウェブサイトをご参照ください。

https://www.nsk.com/jp-ja/company/sustainability/environment/climate-change/

 

(3)人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針

①ガバナンス

取締役会は業務の執行の決定を積極的に委任し、その執行状況を適切に監督するとともに、人的資本経営の取り組みを含む中・長期的な経営課題・方向性等に関するテーマの討議を行っています。

また、CEOを委員長とする人材委員会を設置しています。人材委員会は、基幹ポストの後継者計画の策定と計画のモニタリングに加え、それらを担う人材の育成など人的資本の価値最大化の取り組みの推進を目的としており、当委員会において全社的な人材施策が報告、討議されています。

 

②リスク管理

「第2[事業の状況] 3[事業等のリスク] [代表的リスクと対応策] 7 人材・労務に係るリスク」に記載のとおりです。

対象リスクは全社リスクマネジメントの仕組みの中で、その取り組み状況を管理しています。

 

③戦略

企業理念を実現し、社会課題の解決への貢献とNSKグループの持続的成長を両立していくためには、多様な人材の活躍が不可欠です。当社は「人材方針」において、経営姿勢で掲げる「社員一人ひとりの個性と可能性を尊重する」(注)ことを明確にするとともに、従業員一人ひとりが企業の貴重な財産であることを位置づけています。また、「人材戦略」として、求める人材像を「未来志向の高い目標に向かって挑戦し、前進し続ける人材」と定義し、多様な人材が健康でいきいきと働き続けられる環境と成長機会を提供することで、公平で個を活かす活力ある職場づくりの実現を目指しています。2026年度から始まる『中期経営計画2028』においては、主要施策の一つとして「人的資本の価値最大化」を掲げています。経営戦略を確実かつタイムリーに実行するためには、明確なKPIを伴う人材戦略との連動が不可欠です。当社は、人的資本の価値最大化を、多様な人材一人ひとりが個性を最大限に発揮し、挑戦を通じて可能性を広げながら成長し続けられる状態を創出することと捉え、以下の3つの目指す姿のもと取り組みを推進しています。

(注)社員とは、NSKグループで働くすべての人を指します。

 


 

1.多様な人材が集まる会社

当社の人材戦略のキードライバーは多様性です。性別、性自認・性的指向、年齢、国籍、生活様式、価値観、キャリア(知識・経験)など、多様なバックグラウンドを持つ従業員がそれぞれの力を発揮し、相互に刺激し合うことで、新たな視点や発想が生まれ、競争力の強化やリスクの低減につながると考えています。
 特に意思決定層の多様化を重視しており、その中核となる女性活躍推進を経営課題の一つとして位置づけています。具体的には、採用強化、継続的な学習機会の提供、コミュニケーションを通じたキャリアイメージの共有およびキャリア形成支援などに取り組んでいます。2025年度には、ロールモデルが少ない女性エンジニアを対象にネットワーキングを立ち上げ、悩みや多様なキャリアパスの共有機会の提供を開始しました。また、女性の係長層およびその候補層を対象としたキャリア・アドバンスメント研修の実施により、継続的なキャリア形成支援を行っています。

 

2.スキル/能力を伸ばし成長できる会社

働き方やキャリアに対する価値観は多様化し、個々人の自律志向も高まっています。個人の成長・自己実現と企業成長との相関は一層強まり、従業員と企業は相互に選び合う対等な関係へと変化しています。こうした中、当社は2024年7月に管理職人事制度を改定しました。本制度は、従業員一人ひとりの役割と責任を明確にし、未来志向の高い目標達成に向けて主体的に挑戦することを促すものです。各役割を「ロールディスクリプション(役割定義書)」として明確化することで、従業員はキャリアを描きやすくなり、「自ら考え、自ら行動する」ことが可能となります。今後は、このロール型人事制度を人材育成・評価・配置と連動させ、個々のスキル・能力向上を支援するとともに、多様な人材がそれぞれの役割で価値を発揮できる組織づくりを推進していきます。

その取り組みの一環として、2025年度から管理職層を対象とした手上げ式研修を導入しています。さらに、若手育成ローテーションに始まり、経営人材候補を継続的に輩出する「NSK経営大学」などのキャリア開発プログラムや、経営陣によるメンタリング制度を通じて人材プールの強化を図っています。基幹ポストへの登用については、CEOをトップとする人材委員会を最上位機関とし、後継者計画および人的資本経営に基づく人材投資計画を審議・承認しています。また、基幹ポストに求められる要件やキャリアパスを明確化することで、グローバルに整合性のある後継者管理を実現し、海外人材を含め、年齢・性別・国籍にとらわれない抜擢および戦略的登用を推進しています。

加えて、事業ポートフォリオおよび収益構造の転換に向けたDXを推進しており、その中核となるデジタル人材の育成にも注力しています。デジタル変革本部が中心となって全社研修を実施し、DXリテラシーの底上げに加え、チェンジリーダーの育成、AI・データ活用に関する実践的教育、専門チームによる伴走支援を通じて、現場でのデジタル活用を促進しています。

 

3.やりがいと誇りをもって働き続けられる会社

人的資本の価値最大化の実現にあたり、従業員一人ひとりが心身ともに健康でいきいきと働ける環境、ならびに働きがいを感じられる職場づくりを重視しています。
 従業員およびその家族の健康は事業活動の基盤であるとの認識のもと、健康経営を重要な経営戦略の一つとして位置づけ、取り組みを推進しています。2025年度には、健康宣言、健康マネジメント方針、NSK健康経営戦略マップの見直しを実施しました。新たな戦略マップでは、「からだ」「こころ」「せいかつ」の各テーマについて、予防および重症化防止の観点で施策を体系化し、KPIを設定することで、施策の質と成果の向上を図っています。また、従業員が自律的に健康づくりを楽しめる風土の醸成を目指し、「スワンスワン二人三脚」(ペアでの禁煙施策)や、「NSK歩こうフェス」(運動習慣と職場コミュニケーションの促進を組み合わせた施策)など、「NSKらしい健康づくり」を展開しています。
 健康経営の成果については第三者評価も重視しており、「健康経営優良法人」の認定継続を目標としています。2025年度には、「健康経営優良法人2026(大規模法人部門)~ホワイト500~」に選定されました。
 「NSK健康経営宣言・健康マネジメント基本方針」・推進体制・戦略マップ等については、当社グループウェブサイトをご参照ください。

https://www.nsk.com/jp-ja/company/sustainability/human-resources/safe-and-healthy-work-places/

 

 

さらに2016年度以降、国内外において「ビジョン2026」の実現に向けた諸施策を推進してきました。締めくくりとなる2026年に向けては、従業員一人ひとりが「あたらしい動きをつくる」ことを、自らの日々の行動として体現する状態を目指しています。その実現に向け、従業員が自らの想いを明確にし、心理的安全な環境のもとで本音を聴き合える関係性を構築するとともに、共に次の一歩を見いだし、行動変容を通じてあたらしい動きを生み出し続けるための土壌を整備してきました。これらの取り組みは、経営陣から従業員までを対象とした対話会や階層別ワークショップおよびビジョンカフェを通じて推進しています。
 生産拠点においては、「生産性の追求(超安定化)」と「やりがい」を両立させた、持続可能かつ競争力のある未来工場の実現を目指しています。その具体化として、2026年1月からは一部工場において、従業員一人ひとりが内側に持つ原動力を発揮し、共創型への変容を促進する「やりがい醸成」プロジェクトの試行を開始しています。本プロジェクトを通じ、やりがいを持っていきいきと働きながら、より良い職場づくりを自律的・継続的に進めることのできる環境整備を行っています。

人的資本経営における成果指標として、NSKグループでは毎年、従業員エンゲージメント調査をグローバルに実施しています。2025年度は、「持続可能なエンゲージメント」スコアが74%となり、前年から2ポイント向上しました。今後の中期経営計画においては、従業員エンゲージメント調査の個別項目を含む以下の指標及び目標を掲げています。また、それらの取り組みの成果指標となる「持続可能なエンゲージメント」スコアは75%以上を維持することを目指し、すべての従業員が高いエンゲージメントを維持しながら働ける環境整備を推進していきます。

 

④指標及び目標

人的資本経営の3つの目指す姿に向けて、全ての施策に、KPIとその目標を定めて取り組んでいます。施策には、エンゲージメント調査結果から抽出された課題に対する施策も含んでいます。「人的資本の価値最大化」は、これら一つひとつの取り組みの成果を積み上げることで実現できると考えており、目標に向けて、施策の進捗状況を定期的にモニタリングしています。

 

人的資本の価値最大化=持続可能なエンゲージメントスコア(グローバル) 目標:75%以上維持

 

多様な人材が集まる会社

取り組みテーマ

主要指標

スコープ

2026年3月期

実績

2029年3月期

目標

人材ポートフォリオ変革と人的リソースの最適配置(注2)

成長領域へのリソース配分

日本

(新規)

・専門人材の採用・

 育成強化
・既存社員の戦略的

 ローテーションの

 実施

デジタル人材、新領域分野人材育成

日本

(新規)

多様な経営人材の確保

グローバルポスト現地化比率(注3)

グローバル

76%

75%以上維持

社員の多様性の推進

従業員における多様性比率(女性・キャリア採用・外国籍社員)(注4,5)

日本

30%

35%以上維持

 

 

スキル/能力を伸ばし成長できる会社

取り組みテーマ

主要指標

スコープ

2026年3月期

実績

2029年3月期

目標

挑戦し前進し続ける人材の創出

人事制度の改訂

日本

管理職向け新人事制度導入完了

従業員向け人事制度の導入完了

自律的なキャリア開発と企業価値向上の両立

1人あたり年間学習時間

日本

24時間(注6)

50時間

 

 

やりがいと誇りをもって働き続けられる会社

取り組みテーマ

主要指標

スコープ

2026年3月期

実績

2029年3月期

目標

心身ともに健康でいきいきと働ける職場づくり

エンゲージメントヘルス指標

グローバル

70%

70%以上維持

健康経営優良法人(ホワイト500)

日本

認定

認定継続

働きがいのある職場づくり

従業員エンゲージメント調査:ビジョン戦略スコア

グローバル

67%

70%以上維持

従業員エンゲージメント調査:コミュニケーション・協力関係スコア

日本

53%

60%

 

(注) 1 特に記載がない限り、一部グループ会社を含みます。

     2 2027年3月期よりスタートする中期経営計画の取り組みテーマのため、2026年度3月期実績は記載していません。

     3 当社は、海外各地域で現地主体の機動的な事業運営を可能とする体制の構築を目指し、マネジメント層の現地化を図ってきました。地域統括における事業運営上の重要なポストをグローバルポストと定め、その多くに現地の社員が就き、現地主導で事業拡大を展開しています。

        グローバルに活躍するマネジメント人材の育成を目的に2011年よりグローバル経営大学を実施しています。

 4 意思決定層における多様性を重視しており、管理職及びスタッフ層(総合職同等)での多様性比率です。

       5 対象は提出会社です。

       6 2025年3月期の実績値です。