2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    29,949名(単体) 150,386名(連結)
  • 平均年齢
    40.5歳(単体)
  • 平均勤続年数
    15.3年(単体)
  • 平均年収
    9,134,603円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    5.1%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1)【人材戦略に関する基本方針等】

①経営戦略と連動した人財戦略

 三菱電機グループは、2030年度に向けた中期経営戦略において、「循環型 デジタル・エンジニアリング」により事業を通じた社会課題解決への取組みを加速させ、事業成長と社会課題解決を両立し、サステナビリティを実現することを掲げています。

 中期経営戦略を実現するため、HRの基本理念や「人財」「組織」「風土」に関する「ありたい姿」を掲げるとともに、将来の経営幹部やDX・AX人財をはじめとした人財のグループ・グローバルでの育成・獲得に向け、人的資本への投資を拡大していきます。

 人財戦略の詳細については「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人財/人的資本」を参照ください。

 

②従業員給与等の決定方針

 当社は、職務・役割の価値を基軸とし、経営への影響度、専門性、貢献度を総合的に勘案し給与を決定しています。具体的には、管理職及び高度専門職には職務価値に基づく「ジョブグレード」を、一般従業員には役割の価値を定義した「ミッショングレード」をそれぞれ適用する、ハイブリッド型のグレーディング制度を導入しています。報酬水準については、外部サーベイデータを活用して市場競争力を維持し、中長期的な価値向上を担う優秀な人財の確保・定着、及び年功序列に捉われない早期抜擢を図っています。

 昇給は、期初に設定した業績目標に加え、当社として大切にする「コアバリュー(かえる・つながる・ささえる)」の実践度に基づく評価結果により決定します。この評価結果を年次の賃金改定(加算・減算)に反映するほか、賞与についても当該評価結果及び基本給与額等に基づき支給額を決定しています。

 個々の成果や役割遂行を適切に処遇へ反映し、公平性と納得性を高めることで、従業員の自律的な成長と成果創出への意欲を醸成します。これにより、人的資本の価値を最大化し、持続的な企業価値向上を推進していきます。

 

(2)【従業員の状況】

① 連結会社の状況

 

2026年3月31日現在

事業の種類別セグメントの名称

従業員数(人)

インフラ

22,865

インダストリー・モビリティ

29,431

ライフ

65,317

デジタルイノベーション

4,551

セミコンダクター・デバイス

5,556

その他

15,782

共 通

6,884

合計

150,386

 (注) 従業員数は就業人員です。

② 提出会社の状況

 

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年令(才)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

29,949人

[4,760人]

40.5才

15.3年

9,134,603円

5.1%

 

事業の種類別セグメントの名称

従業員数(人)

インフラ

11,993

インダストリー・モビリティ

5,513

ライフ

5,362

デジタルイノベーション

25

セミコンダクター・デバイス

2,114

共 通

4,942

合計

29,949

 (注) 1 従業員数は就業人員です。臨時従業員等は、[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しています。

2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

3 従業員数が前事業年度末に比べ1,264名減少したのは、主として、2025年9月8日に公表した当社における「ネクストステージ支援制度特別措置」によるものです。

③ 労働組合

 三菱電機グループにおいては、労働組合は会社毎に組織されています。当社の労働組合は三菱電機労働組合と称し、労使の関係は組合結成以来今日まで安定しています。

④ 使用人その他の従業員のみを対象とした役員・従業員株式所有制度の内容

 当社は、使用人その他の従業員のみを対象とした役員・従業員株式所有制度を導入しています。当該役員・従業員株式所有制度の内容については、「第4 提出会社の状況  株式等の状況 (8)役員・従業員株式所有制度の内容」に記載しています。

⑤ 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の額の差異

ア.提出会社

当事業年度

補足説明

管理的地位にある労働者に占める

女性労働者の割合(%)(注1)

男性労働者の

育児休業取得率*

(%)(注2)

労働者の男女の賃金の額の差異(%)(注1)

全労働者

うち正規雇用

労働者(注3)

うちパート・

有期労働者

4.2

89.9

64.2

66.0

59.3

 *育児休業等と育児目的休暇

  の取得割合

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。労働者の男女の賃金の額の差異は、退職金、及び通勤費補助等を除く年間賃金総額から算出しています。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。

3 正規雇用労働者には、正規雇用の従業員、及びフルタイムの無期化した非正規雇用の従業員を含んでいます。

 

(管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合について)

 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合については、近年、若年層からの抜擢や計画的な業務経験付与、研修機会の提供の推進により、女性管理職候補者の母集団拡大を図るとともに、社内に対して各種両立支援制度を積極的に情報発信する等の施策を策定・推進しており、過去と比較し着実に割合は向上しています。

 

2021年

2022年

2023年

2024年

2025年

管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合

2.3%

2.6%

3.1%

4.0%

4.2%

(男性労働者の育児休業取得率について)

 男性労働者の育児休業取得率については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づく行動計画で策定した「2025年度までに70%以上」とする目標値を超える取得率を2022年度以降継続的に達成しています。

(労働者の男女の賃金の額の差異について)

 正規雇用労働者の男女の賃金の額の差異については、正規従業員の中には、報酬水準が低い「補助的業務担当者」が含まれています。特に女性の正社員のうち、約半数が「補助的業務担当者」であり、その結果、平均賃金を押し下げています。

 パート・有期労働者の男女の賃金の額の差異について、非正規社員は、主に有期雇用契約の「補助的業務担当者」が該当しますが、正社員の定年後再雇用者も約25%含まれています。定年後再雇用者の約95%が男性であり、かつ、「補助的業務担当者」と比較し報酬水準が高いため、構成比率の違い等により男女の乖離が生じています。

 

イ.連結子会社

常時雇用する労働者(注)が301人以上の国内連結子会社

当事業年度

補足説明

会社名

管理的地位にある労働者に占める 

女性労働者の割合 

(%)

男性労働者の 

育児休業取得率* 

(%)

労働者の男女の賃金の額の差異(%)

全労働者

うち正規雇用労働者

うちパート・有期労働者

三菱電機プラント

エンジニアリング㈱

0.9

101.5

66.5

84.3

52.9

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合。前年度以前に誕生した子に対して育児休暇を取得した従業員が存在するため割合が超過している。

三菱電機

社会インフラ機器㈱

0.0

84.6

54.2

54.5

70.9

*育児休業等の取得割合

長崎菱電テクニカ㈱

0.0

133.3

66.4

66.7

87.3

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合。前年度以前に誕生した子に対して育児休暇を取得した従業員が存在するため割合が超過している。

名菱電子㈱

4.2

66.7

71.0

66.1

99.5

*育児休業等の取得割合

三菱電機

コントロールパネル

0.0

100.0

74.2

74.2

71.1

*育児休業等の取得割合

菱神テクニカ㈱

0.0

100.0

79.9

81.4

68.8

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合

丸亀菱電テクニカ㈱

2.9

100.0

73.2

81.1

75.3

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合

多田電機㈱

0.0

70.0

79.2

78.6

87.5

*育児休業等の取得割合

三菱電機

ディフェンス&

スペース

テクノロジーズ㈱

0.0

84.6

74.6

75.3

63.4

*育児休業等の取得割合

三菱プレシジョン㈱

0.8

88.9

74.4

89.2

38.2

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合

菱栄テクニカ㈱

2.6

100.0

85.6

81.0

88.7

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合

菱電湘南

エレクトロニクス㈱

1.9

100.0

77.8

80.4

85.7

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合

名菱テクニカ㈱

0.0

91.7

64.2

86.4

65.0

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合

三菱電機

メカトロニクス

エンジニアリング㈱

0.0

91.7

63.1

62.9

83.4

*育児目的休暇含む

三菱電機

FA産業機器㈱

0.0

50.0

71.1

70.7

78.9

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合

山菱テクニカ㈱

7.7

100.0

64.7

66.5

77.6

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合

甲神電機㈱

0.0

100.0

68.7

70.9

81.0

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合

姫菱テクニカ㈱

0.0

25.0

69.4

69.2

68.1

*育児休業等の取得割合

メルコモビリティー

ソリューションズ㈱

6.6

71.4

73.0

72.1

54.4

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合

㈱デービー精工

1.7

91.7

73.3

73.3

88.9

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合

三菱電機

モビリティ㈱

1.3

100.5

60.9

61.9

65.8

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合。前年度以前に誕生した子に対して育児休暇を取得した従業員が存在するため割合が超過している。

三菱電機デジタル

イノベーション㈱

4.6

104.3

75.6

79.1

47.3

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合。前年度以前に誕生した子に対して育児休暇を取得した従業員が存在するため割合が超過している。

三菱電機ビル

ソリューションズ㈱

1.4

77.7

59.3

58.1

60.1

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合

阪神輸送機㈱

0.0

100.0

47.4

70.8

31.9

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合

㈱菱サ・

ビルウェア

0.0

80.0

74.8

75.2

61.4

*育児休業等の取得割合

メルテック・

ビジネス㈱

17.0

66.7

69.7

74.2

50.2

*育児休業等の取得割合

稲菱テクニカ㈱

0.0

75.0

56.8

56.0

32.2

*育児休業等の取得割合

関西ビルテクノ

サービス㈱

0.0

75.0

66.8

70.6

46.1

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合

西日本ビルテクノ

サービス㈱

3.2

33.3

68.8

82.4

41.2

*育児休業等の取得割合

東日本ビルテクノ

サービス㈱

1.6

0.0

62.2

70.0

47.2

*算定期間内で、育児休業を取得した者なし。

メルコビル

エンジニアリング㈱

0.9

27.6

63.0

62.5

57.5

*育児休業等の取得割合

三菱電機住環境

システムズ㈱

2.0

98.0

68.1

70.2

75.9

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合

三菱電機照明㈱

3.2

64.3

61.4

61.4

82.0

*育児休業等の取得割合

三菱電機

ホーム機器㈱

1.9

71.4

55.1

56.0

53.6

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合

㈱三菱電機

ライフネットワーク

3.0

75.0

69.8

68.3

70.0

*育児休業等の取得割合

静菱テクニカ㈱

0.0

75.0

69.8

83.3

82.7

*育児休業等の取得割合

三菱電機

冷熱応用システム㈱

4.5

100.0

74.6

76.4

68.9

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合

メルコエアテクノロジー㈱

0.0

144.4

70.6

72.9

79.6

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合。前年度以前に誕生した子に対して育児休暇を取得した従業員が存在するため割合が超過している。

メルコ

パワーデバイス㈱

1.4

70.0

72.0

72.3

79.2

*育児休業等の取得割合

メルコパワー

セミコンダクタ

チップ㈱

0.0

40.0

77.5

76.3

92.3

*育児休業等の取得割合

メルコ

セミコンダクタ

エンジニアリング㈱

0.0

100.0

71.7

74.7

58.4

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合

メルコアドバンスト

デバイス㈱

0.0

100.0

69.3

72.7

56.7

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合

三菱電機

エンジニアリング㈱

3.6

93.7

67.2

68.5

60.5

*育児休業等の取得割合

三菱電機

ソフトウエア㈱

4.8

112.0

80.5

82.2

65.4

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合。前年度以前に誕生した子に対して育児休暇を取得した従業員が存在するため割合が超過している。

三菱電機

ライフサービス㈱

1.8

93.3

50.6

62.7

66.3

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合

三菱電機

システムサービス㈱

1.6

75.6

54.3

55.2

60.8

*育児休業等と育児目的休暇の取得割合

㈱ダイヤモンド

パーソネル

0.0

60.0

74.1

73.7

64.5

*育児休業等の取得割合

㈱弘電社

4.7

61.5

71.4

69.9

76.3

*育児休業等の取得割合

㈱アイプラネット

3.6

100.0

69.0

70.1

65.8

*育児休業等の取得割合

三菱電機

トレーディング㈱

5.9

88.9

69.6

72.8

53.6

*育児休業等の取得割合

 

常時雇用する労働者が101人以上300人以下の国内連結子会社

当事業年度

補足説明

会社名

管理的地位にある労働者に占める 

女性労働者の割合 

(%)

男性労働者の 

育児休業取得率* 

(%)

労働者の男女の賃金の額の差異(%)

全労働者

うち正規雇用労働者

うちパート・有期労働者

菱彩テクニカ㈱

0.0

 

㈱東洋機工製作所

0.0

 

菱電化成㈱

0.0

 

菱三工業㈱

0.0

 

島田理化工業㈱

0.0

 

通菱テクニカ㈱

7.7

 

ヴィスコ・

テクノロジーズ㈱

0.0

 

㈱ビーシーシー

0.0

 

三菱電機

メカトロニクス

テクノロジーズ㈱

2.9

 

㈱セツヨー

アステック

0.0

 

光菱電機㈱

0.0

 

三和電気㈱

0.0

 

沖縄菱電

ビルシステム㈱

9.5

 

三菱電機

冷熱プラント㈱

0.0

 

三菱電機

冷熱機器販売㈱

1.9

 

㈱ハイパー

サイクルシステムズ

0.0

 

菱電旭テクニカ㈱

0.0

 

三菱電機

インダストリアル

ソリューションズ㈱

3.6

 

九州三菱電機販売㈱

2.4

 

山陽三菱電機販売㈱

0.0

 

 

(注) 常時雇用する労働者は、雇用契約の形態を問わず、下記のいずれかに該当する労働者を指します。

① 期間の定めなく雇用されている者

② 過去1年以上の期間について引き続き雇用されている者又は雇入れの時から1年以上引き続き雇用されると見込まれる者

 

(管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合について)

 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しています。

(男性労働者の育児休業取得率について)

① 補足説明に「育児休業等と育児目的休暇の取得割合」と記載している数値については、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。

② 補足説明に「育児休業等の取得割合」と記載している数値については、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

 

(労働者の男女の賃金の額の差異について)

 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。労働者の男女の賃金の額の差異は、退職金、及び通勤費補助等を除く年間賃金総額から算出しています。正規雇用労働者には、正規雇用の従業員、及びフルタイムの無期化した非正規雇用の従業員を含んでいます。

 各社により程度の差はあるものの、男女の賃金の額の差異の背景は、概ね提出会社の状況と同様です。

(会社名の変更について)

菱神テクニカ㈱は、2026年4月1日付で菱彩テクニカ㈱及び通菱テクニカ㈱と統合し、三菱電機インフラテクニカ㈱に商号変更しています。

 

 今後の多様性の尊重に向けた各種取組みの詳細については「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人財/人的資本」を参照ください。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1) サステナビリティ全般

①ガバナンス

ア.サステナビリティの考え方

三菱電機グループは、「Our Philosophy(私たちの理念)」の下、サステナビリティを経営の根幹に据え、社会・顧客・株主・従業員をはじめとしたステークホルダーからの信頼を重んじることを経営方針に掲げています。ステークホルダーからの期待や要請・意見を活動に反映させ、社会や環境に与えるネガティブな影響を最小化し、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいます。

 

イ.サステナビリティの実現に向けた推進事項

サステナビリティの実現に向け、以下の4点を推進事項としています。

価値創出

事業成長と社会の持続可能性を両立させる社会課題解決型事業の創出・発展

基盤強化

三菱電機グループの持続的成長を支える、環境、社会、ガバナンスを始めとした経営基盤強化

リスク管理

長期的な社会や環境の変化に対するリスクの予測、及び企業経営に与える影響の抑制又は最小化

取組みの開示と対話

透明性の高い情報開示を通じた、社会・顧客・株主・従業員をはじめとしたステークホルダーとのコミュニケーションにより、社会からの期待や要請・意見を企業経営に反映

 

ウ.サステナビリティ推進体制

三菱電機グループは、三菱電機の執行役会議から委嘱を受けたサステナビリティ委員会を通じてサステナビリティの取組みに関する方針・計画を決定しています。サステナビリティ委員会はサステナビリティ担当執行役が委員長を務め、コーポレート部門で機能別の役割を担当するChief Officerのほか、事業部門の執行役等で構成しています。

サステナビリティ委員会での議論の内容は、執行役会議及び取締役会に報告されます。取締役会では、サステナビリティ経営を三菱電機グループの「重要議題」(2025年7月から2026年6月においては、全社中長期戦略、サステナビリティ経営、人財戦略、技術開発戦略、デジタル戦略、情報システム戦略等)とし、リスク管理及び収益機会としての観点から十分に議論するとともに、執行役のサステナビリティへの取組み状況についても監督しています。サステナビリティの取組み推進については、執行役のインセンティブ報酬へ反映しています。

複数部門に関わるサステナビリティ課題に対しては、サステナビリティ委員会の下に設置した部会やプロジェクトで取り組んでいます。倫理・遵法、品質の確保・向上、環境保全活動、社会貢献活動、ステークホルダーの皆様とのコミュニケーションなどの具体的な取組みについては、担当部門が責任を持って推進しています。

サステナビリティ委員会で定めた方針・計画や部会・プロジェクト等で推進する具体的な取組みについては、社内各部門・国内外関係会社に共有し、グループ全体で連携して課題解決に取り組んでいます。

 

会議体名称

目的、主な議論等

サステナビリティ委員会

三菱電機グループにおけるサステナビリティの取組みに関する方針や計画の議論・決定、情報共有

カーボンニュートラル部会

三菱電機グループのカーボンニュートラルに関する取組みの推進

人権部会

三菱電機グループにおける人権に関する取組みの改善、課題解決等の迅速な対応

法定開示プロジェクト

グローバルなサステナビリティ法定開示に対応するための活動の推進

 

サステナビリティ推進体制

 

②戦略

三菱電機グループは、経営レベルでサステナビリティに取り組み、長期的に推進していくため、マテリアリティを特定しています。2025年度に下表のとおりマテリアリティを見直し、2026年度から新たなマテリアリティへの取組みを推進しています。マテリアリティへの取組みを通じて社会課題解決と事業成長を同時に成し遂げる「トレード・オン」で、サステナビリティの実現を追求します。マテリアリティへの取組みについては、目標/取組み指標(KPI)を設定し、PDCAサイクルによる継続的な改善活動を実施しています。

 

三菱電機グループのマテリアリティ(重要課題)

マテリアリティ

サブ

マテリアリティ

重要とした理由

持続可能な地球環境の実現

環境負荷低減

三菱電機グループの事業・サプライチェーンにおいては、温室効果ガスの排出に加え、水利用や資源利用において環境負荷が発生します。これらの環境負荷に責任を持って対応します。

事業を通じた環境への貢献

気候変動、水、資源循環などに関わる地球環境問題が深刻化しています。三菱電機グループは、幅広い技術を活かして、これら地球環境問題の解決に貢献する製品・サービスを提供します。

持続可能な社会の実現

事業を通じた社会への貢献

社会の急速な変化に伴い、私たちを取り巻く課題は多様化・複雑化しています。三菱電機グループは、社会の安全・安心、生産性の向上、人々のウェルビーイングの向上に寄与します。

あらゆる人の
尊重

バリューチェーンの人権

人権は世界的な課題であり、あらゆる人を個人として尊重する必要があります。三菱電機グループは、世界に広がるバリューチェーン全体で関わりのある人々の人権を尊重します。

人財の活躍

持続的な成長の原動力は人です。三菱電機グループは、多様・多才な人財が持てる力を最大限に発揮できるよう、一人ひとりの挑戦を後押しし、いきいきと働ける職場環境を実現します。

コーポレート・ガバナンスと

コンプライアンスの持続的強化

コーポレート・
ガバナンス

コーポレート・ガバナンスは、会社が存続するための基本です。三菱電機グループは、ステークホルダーの期待により的確に応えうるコーポレート・ガバナンス体制を構築・整備し、持続的に強化します。

コンプライアンス

「倫理・遵法」は、社会の安定した発展に不可欠であり、会社存続の基本です。三菱電機グループは、従業員一人ひとりが社会規範及び法令を遵守し、高い倫理観を持ち誠実に行動します。

品質

人々の暮らしを支える製品・サービスには、高い安全性と信頼性が求められます。三菱電機グループは、社会及びお客様の安心と満足の実現に向け、品質マネジメントの強化に継続的に取り組みます。

情報セキュリティ

データが社会の基盤となる中、サイバー攻撃の脅威が高まっています。三菱電機グループは、重要な情報を扱う企業として、情報セキュリティを強化します。

サステナビリティ実現に向けたイノベーションの促進

新しい技術と価値の創出

サステナビリティの実現には、社会・環境課題の解決に貢献するイノベーションが不可欠です。三菱電機グループは、イノベーションを通じて、飽くなき探求心と驚きの技術で未来の価値を創造します。

 

 

マテリアリティ特定・見直しのプロセス

マテリアリティの見直しは、経営戦略の進展や、経営を取り巻く社会・環境課題の変化、「Our Philosophy(私たちの理念)」等も背景に、サステナビリティに係るガイドラインに基づき、ダブルマテリアリティの原則にしたがって実施しています。

*1 事業活動が社会・環境に与える影響(Impact)と、社会・環境から受ける財務影響(Risk, Opportunity)

*2 米国の非営利組織SASB(Sustainability Accounting Standards Board:サステナビリティ会計基準審議会)でつくられたESG(環境、社会、ガバナンス)に関する情報開示ルール

 

③リスク管理

サステナビリティに係るリスク対応体制や認識している具体的なリスクについては「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」を参照ください。

 

④指標及び目標

マテリアリティへの取組みについては、目標/取組み指標(KPI)*1を設定し、PDCAサイクルによる継続的な改善活動を実施しています。

 

ア.持続可能な地球環境の実現

サブマテリアリティ

目標/取組み指標(KPI)

環境負荷低減

2050年度バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す

[Scope1*2,2*3]2030年度 工場・オフィスからの温室効果ガス排出量実質ゼロの達成

[Scope3*4]2030年度 2018年度比 30%以上削減

高リスク拠点(流域)の取水量2024年度比 6%削減*5(2030年度)

資源循環量*6 2024年度比 10%向上(2030年度)

プラスチック廃棄物の有効利用率 100%*7*8(2030年度)

事業を通じた環境
への貢献

「カーボンニュートラル実現」、「水環境」、「サーキュラーエコノミー実現」へ貢献する製品やサービス・ソリューションの提供

 

イ.持続可能な社会の実現

サブマテリアリティ

目標/取組み指標(KPI)

事業を通じた社会
への貢献

「安心・安全な社会実現」、「ウェルビーイング実現」、「気候変動適応」、「生産性向上」へ貢献する製品やサービス・ソリューションの提供

 

ウ.あらゆる人の尊重

サブマテリアリティ

目標/取組み指標(KPI)

バリューチェーンの人権

全ての人の安全・健康に配慮するとともに、人の多様性を理解し、人格・人権を尊重する

バリューチェーンにおいてRBA*9プロセスに基づくリスク低減活動を推進

働きやすい職場風土の醸成

・従業員エンゲージメントスコア*10:70%以上(2030年度)

全従業員に対するハラスメント防止教育の実施(国内)

人財の活躍

グループ・グローバルでの戦略的な人財の適正配置、人財開発、従業員のキャリアオーナーシップ強化等による個人と組織が連動して成長する仕組みづくり

グループ・グローバル(約15万人)で事業戦略に応じて適正配置・活用を実現する人財ポートフォリオの可視化率 100%(2030年度)

RBA基準に基づく賃金リスク評価と是正処置の実施率 100%(2030年度)

イノべ―ティブカンパニーへの変革に不可欠なDX・AX(AIトランスフォーメーション)人財の強化

DX・AX人財 20,000人(2030年度)

「個」のパフォーマンスを最大化し、多様な視点や経験を持つ従業員が十分に貢献できる環境づくり

経営層*11に占める女性&外国人の割合 30%

(当社)(2030年度)

女性管理職比率 12%(当社)(2030年度)

仕事と生活のバランスが取れていると回答した従業員の割合 70%以上

(当社+国内関係会社)(2030年度)

「従業員の安全と健康を守ることを全てにおいて優先する」ことを基本方針として、グループ全体で安全衛生活動に取り組む

労働災害の未然防止を徹底し、特に休業災害(4日以上)については「発生ゼロ(0件/年)」を達成する

 

エ.コーポレート・ガバナンスとコンプライアンスの持続的強化

サブマテリアリティ

目標/取組み指標(KPI)

コーポレート・
ガバナンス

取締役会の実効性の向上

社外取締役50%超の継続(当社)

コンプライアンス

“Always Act with Integrity”の真の理解と浸透

不正競争行為防止及び贈収賄防止に関する研修の継続的実施

不正競争行為(独占禁止法違反)事案及び贈収賄事案による法的措置 0件

品質

お客様が安心・満足できる品質の追求

品質不適切行為を起こす必要のない仕組み・環境の定着、風化防止活動の継続

情報セキュリティ

情報セキュリティ関連法令遵守:違反0件

 

オ.サステナビリティ実現に向けたイノベーションの促進

サブマテリアリティ

目標/取組み指標(KPI)

新しい技術と価値の創出

常に未来社会を洞察し、新たな社会課題へ対応。量子・核融合技術等の先進技術の研究開発と社会実装を推進

グローバルにおける重点地域の社会課題や顧客課題の先にある未来像に必要な研究開発を推進。社外連携や共創活動を強化し、Neuro-Physical AIやSerendieモデルを適用した製品・サービスを社会実装

知的財産活動と標準化活動の連携を図り、オープン領域とクローズ領域を考慮した開発、知的財産権の出願が戦略的に行われている

事業戦略立案の上流段階から知的財産活動と標準化活動が入り込む手法をPDCAを回しつつ定着させる

全ての業務プロセスをAIで効率化・高度化するAIドリブン経営の実現

•設計製造を含めた社内業務プロセスの高度化、効率化

•イノベーションスピードの加速によるSerendie関連事業拡大への貢献

*1 特段の記載がない場合、三菱電機グループとしての目標/取組み指標(KPI)を指す

*2 自社における燃料使用に伴う直接排出

*3 外部から購入した電力や熱の使用に伴う間接排出

*4 Scope 1、2を除くバリューチェーン全体からの間接排出

*5 SBTs for Natureの目標設定手法を参考に目標を設定。高リスク拠点(流域)は14拠点(11流域)

*6 三菱電機グループ製品におけるリユース製品重量及び再生プラスチック重量の合計値

*7 工場から排出された製造に関連する廃棄物(一般ごみは除外)

*8 国や地域のプラスチック廃棄に関する規制や条件、及び国や地域のリサイクル能力に従う場合にのみ適用

*9 RBA(Responsible Business Alliance):グローバルサプライチェーンにおいて社会的責任を推進する企業同盟

*10 毎年実施する「従業員意識サーベイ」の対象5設問に対する良好回答割合の平均値。「当社で働くことの誇り」「貢献意欲」「転職希望」「他者に対する当社への入社推奨」「仕事を通じた達成感」

*11 取締役、執行役、上席執行役員

 

人財/人的資本に関する実績は、「(3)人財/人的資本 ③指標及び目標」を参照ください。その他の2025年度実績や2026年度目標については2026年9月以降に公開予定の「サステナビリティデータブック2026」を参照ください。過去の目標や実績等についてはバックナンバーを参照ください。

https://www.mitsubishielectric.co.jp/ja/sustainability/reports/

 

(2) 気候変動対策の取組み(TCFDに基づく開示)

三菱電機グループは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task force on Climate-related Financial Disclosures)の提言への賛同を表明しており、TCFDの提言に従った取組みの推進及び情報の開示を行っています。

 

①ガバナンス

ア.推進体制

三菱電機グループは、経営方針においてサステナビリティを経営の根幹に位置付け、サステナビリティの実現に向けて「価値創出」と「基盤強化」の両面から取組みを推進する体制を整備しています。

気候変動対応に関しては、執行役会議から委嘱を受けたサステナビリティ委員会において、自社グループからの温室効果ガス排出削減及びバリューチェーン全体でのカーボンニュートラル実現に向けた方針・施策等に関して議論しています。リスク・機会とその財務影響についてはサステナビリティ・イノベーション本部が管轄し、分析しています。

サステナビリティ推進体制の詳細は、「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」を参照ください。

 

イ.取組み方針

2050年までの長期環境経営ビジョンである「環境ビジョン2050」の下、2050年度までにバリューチェーン全体で温室効果ガス排出量実質ゼロとすることを目標としています。また、2030年度までに工場・オフィスからの温室効果ガス排出量実質ゼロ実現を目指しており、新たな中期計画である「環境計画2030」を策定しました。「環境計画2030」はSBT(Science Based Targets)イニシアチブから認定を取得した目標より達成レベルの高い計画です。

 

②戦略

三菱電機グループは、脱炭素社会への移行を、事業のリスクではなく全ての事業において共通する機会と捉えています。この認識の下、「環境ビジョン2050」や「環境計画2030」、及びSBTに関する取組みを事業戦略に織り込み、技術開発や事業開発を進めています。

 

ア.事業戦略

三菱電機グループが展開する幅広い事業の中で、グループの強みを活かし、省エネ、電化、再生可能エネルギーの有効活用、資源の循環性が高いビジネスモデルへの転換を進め、社会全体の環境負荷低減を加速させます。

 

イ.短期・中期・長期の気候変動のリスク及び機会

三菱電機グループでは、外部機関(IEA等)が示す気候シナリオや国・地域ごとの経済発展予測などを参考にし、各事業に影響を与えることが予想される気候関連のリスク及び機会を短期・中期・長期の視点で分類し、影響度を評価しています。

 

<期間>

短期:2026年度までの期間

中期:2030年度までの期間(「環境計画2030」の期間)

長期:2050年度までの期間(「環境ビジョン2050」最終年)

 

<影響度の大きさ>

各事業において予想される事象が重大なリスク(影響度大)に該当するかどうかは、サステナビリティ担当執行役のもと、関係する事業部門の執行役・部門長が判断しています。

 

短期・中期・長期の気候変動に係るリスクと機会

 

(ア) 気候変動に係るリスク

気候変動に係るリスクは、脱炭素社会への移行に関連するリスク(移行リスク)と、温暖化が進展した場合の物理的影響に関連するリスク(物理的リスク)に大別されます。これらのリスクは、費用の増加(生産・社内管理・資金調達コスト等)、収益の減少等を招くおそれがあります。

三菱電機グループの事業戦略の前提とする脱炭素社会への移行が進む場合は、あらゆる製品・サービスにおける温室効果ガス排出抑制に対する社会的要請の増大、エネルギー需給の変動、再生可能エネルギーの発電量の増加によるエネルギーミックスの変化、自動車の電動化(EV化)の進展などが予測されます。また、その実現に向けて温室効果ガス排出に対する法規制の強化や技術開発負荷の増大・技術開発の遅れといった移行リスクが、物理的リスクと比べて高くなると考えられます。

移行リスクに対して、例えば、温室効果ガスの排出抑制が法規制により強化されたとしても、三菱電機グループでは既に環境計画の推進及びSBTへの参画を通じた温室効果ガスの排出削減に取り組んでおり、その影響は軽微であると考えます。素材価格が高騰したとしても、既に取り組んでいる温暖化対策や省資源、リサイクル性の向上等を図る環境配慮設計をより一層推進していくことで、その影響は軽微であると推測します。また、技術開発についても、空調機器の冷媒規制といった法規制の強化や低炭素・高効率技術の開発競争を見据え、短期・中期・長期の研究開発投資を戦略的に組み合わせています。加えて、省エネ等の温暖化対策を含む環境活動に係る設備投資も実施しています。

一方、世界各国で気候変動対策よりも経済発展が優先された場合、大雨や洪水の多発や異常気象の激甚化、慢性的な気温上昇等が予測され、災害による操業停止やサプライチェーンの寸断といった物理的リスクが、移行リスクに比べて高くなると考えられます。

洪水等の物理的リスクに対しては、BCP(Business Continuity Plan)を策定し、年1回の見直しを行うとともに、生産拠点の分散化を進めています。また、サプライチェーンにおいても複数社からの購買に努め、サプライヤーにも複数工場化に取り組んでいただくよう要請するなど、生産に支障をきたす事態を避ける取組みを進めています。

(イ) 気候変動に係る機会

三菱電機グループは多岐にわたる事業を有し、気候変動に起因する社会課題の解決に貢献する製品・サービス・ソリューションを幅広く提供可能であることを強みとしていることから、短期から長期にわたる持続可能な成長機会を有していると考えています。

脱炭素社会に移行する場合、あるいは気候変動対策よりも経済発展が優先された場合のいずれにおいても、気候変動に起因する社会課題解決へのニーズがより顕在化していくものと予測されます。

三菱電機グループでは、電力需要の拡大と脱炭素社会に向けた電力供給の多様化に備え、大容量蓄電池制御システム、スマート中低圧直流配電ネットワークシステム、分散型電源運用システム/VPP(Virtual Power Plant)システム、脱SF6ガス遮断器、マルチリージョン型デジタル電力供給システム(マルチリージョンEMS)などを提供しています。これにより、再生可能エネルギー拡大や電源分散化に伴う電力の有効活用、系統安定化ニーズに応えることができます。また、自動車の電動化(EV化)の進展に起因する電動化製品の需要増加は、半導体・デバイス事業における高効率パワー半導体であるSiC(Silicon Carbideの略:炭化ケイ素)の需要拡大及び製造コスト削減につながり、鉄道・電力、産業、民生などの分野でのSiCの適用拡大が見込めます。

気候変動対策よりも経済発展が優先された場合であっても、世界経済の発展と購買力増加による需要増や気候変動に対する適応需要の増加に対し、空調事業等のエネルギー効率の高い製品やサービス、ソリューションの提供を通じて、脱炭素社会実現へ貢献しつつ収益機会の拡大が期待できます。

 

ウ.カーボンニュートラル移行計画

三菱電機グループは、「2050年度までにバリューチェーン全体での温室効果ガス排出量実質ゼロ」及び「2030年度までに工場・オフィスからの温室効果ガス排出量実質ゼロ」を目指し、カーボンニュートラルへの移行計画を策定、推進しています。

 

工場・オフィスからの排出量削減に向けたロードマップ

 

工場・オフィスにおける温室効果ガス排出量実質ゼロ達成に向けて、「省エネ、電化、非エネルギー用途の排出削減」、「太陽光発電等による自家発電拡大(PPA含む)」、「再生可能エネルギー電力調達」及び「再エネ電力証書(非化石証書等)の調達」を推進するとともに、カーボンクレジットについても検討し、必要に応じて調達も行います。

 

(ア) カーボンニュートラル達成に向けた研究開発戦略

バリューチェーン及び社会全体のカーボンニュートラルの実現に貢献する事業の創出・拡大を目指し、「グリーン by エレクトロニクス」、「グリーン by デジタル」、「グリーン by サーキュラー」の3つのイノベーション領域の研究開発を産学官連携も活用し加速しています。

 

カーボンニュートラル達成に向けた研究開発ロードマップ

 

「グリーン by エレクトロニクス」では、三菱電機が強みとするコアコンポーネントであるパワーエレクトロニクスやモーターの高効率化・小型化等の研究開発を進め、FA機器、空調等の省エネや電化に貢献します。また、ビルのZEB(net Zero Energy Building)化や地球温暖化係数の低い冷媒を用いた空調冷熱システム、新たな材料を用いたパワーデバイスの研究開発を進めます。さらに、データセンター内サーバーなどのGPU(Graphics Processing Unit)パッケージ間の通信を電気接続から光接続に置き換える光電融合技術の研究開発を進めます。

「グリーン by デジタル」では、先進デジタル技術の活用により、エネルギー効率向上や再生可能エネルギーの利用拡大を図ります。例えば、電力・熱・化学物質を管理・融通する統合エネルギー・マネジメント・システム(EMS)の研究開発を進めます。これらの活動を通じて、バリューチェーン全体における温室効果ガスの排出量削減に貢献します。

「グリーン by サーキュラー」では、カーボンリサイクルのためのCO2の回収・貯留・有効利用(CCUS)、プラスチックリサイクルといった資源循環を中心とする研究開発を推進します。例えばCCU(Carbon dioxide Capture and Utilization:二酸化炭素の回収・有効利用)システムの社会実装に向けたCO2回収・資源化技術、一酸化炭素(CO)を生成するケミカルループ方式CO2還元技術や、AIを使った混合プラスチック片のスマート静電選別技術など、炭素の循環利用実現に貢献します。

これらのグリーン関連領域における事業の創出と拡大に向けて、グリーン関連の研究開発投資を2024年度から開始しており、2030年度までの7ヵ年で約9,000億円*の投資を予定しています。

* 過去実績及び成長率から算出した推定値

 

エ.シナリオ分析に基づく気候変動へのレジリエンス

(ア) 概要

三菱電機グループでは、事業戦略で前提としている脱炭素社会に向かう場合(2℃以下シナリオ*1)と、気候変動対策よりも経済発展が優先される場合(4℃シナリオ*2)の2つのシナリオを想定し、長期的未来の不確実性を考慮したシナリオ分析を毎年行っています。不確実な未来の時点として2040年度を設定し、ベースライン(事業計画の延長)を2℃以下シナリオとして、4℃シナリオに移行したときの財務影響を分析しています。

 

*1 脱炭素技術の要求が高まるとともに、規制強化による開発競争も激化。社会の電化が進み、電力総需要が増加し、再生可能エネルギーの比率も上昇。

<参照した公開シナリオ>

・IEA(International Energy Agency)のWorld Energy Outlook 2025、APS(Announced Pledges Scenario)

・IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)の第6次報告書(AR6)で採用されているSSP1(Shared Socioeconomic Pathway、SSP2を現状相当とし比較)

*2 現状程度あるいはそれ未満の脱炭素活動により物理的なリスクが顕在化。2℃以下シナリオよりも消費者の購買力は増加。一方、大雨や洪水といった異常気象は激甚化。

<参照した公開シナリオ>

・IEAのWorld Energy Outlook 2025、STEPS(Stated Policies Scenario)

・IPCC 第6次報告書で採用されているSSP5(SSP2を現状相当とし比較)

 

(イ) シナリオ分析の結果

三菱電機グループの全ての事業セグメントで気候関連のリスクと機会の検討を行いました。移行リスクについては、「エネルギーシステム」、「自動車機器」、「半導体・デバイス」の3事業が、4℃シナリオにおいて気候変動による影響が相対的に大きいと評価し、財務影響を定量的に試算しました。

一方、物理的リスクは、異常気象の激甚化を異常気象の頻度上昇による不可避のリスクと捉え、全事業セグメントにわたる三菱電機グループの主要な製造拠点を対象に財務影響を試算しました。

 

4℃シナリオへの移行に伴い、財務へ影響する主な移行リスクは、「エネルギーミックスの変化」、「エネルギー需要推移の変化」、及び「EV化の遅れ」です。

エネルギーシステム事業は、「エネルギーミックスの変化」及び「エネルギー需要推移の変化」の影響を直接受けるため、再生可能エネルギー普及の遅れ、電化の遅れによる電力総需要の伸び悩みなどから、減益が見込まれます。自動車機器事業及び半導体・デバイス事業は、「EV化の遅れ」から、EV向け自動車機器の需要減や、SiCの製造コストが下がらないことによる他分野への普及鈍化等が懸念されますが、その影響は軽微と考えます。

3事業では4℃シナリオにおいて機会の減少による影響があるものの、当該事業を含む三菱電機グループの全事業において気候変動はリスクよりも機会としての側面の方が強いと捉えています。4℃シナリオ時は2℃以下シナリオ時と比較して各国において経済優先の施策が採られるため、高性能な製品・サービスが選択され需要の高まりは旺盛になります。例えば、「空調・家電」事業に関しては、温室効果ガス削減やエネルギー使用低減への性能上の要求は減らず、同時に気候変動への適応需要の増加も見込まれます。

また、物理的リスクの異常気象の激甚化による財務影響は、移行リスクの影響よりも小さいことが推測されます。

以上の分析により、エネルギーシステム事業における移行リスク、及び全事業での物理的リスクに起因する減益が見込まれるものの、空調・家電事業を始めとする多くの事業において機会的側面での増益が見込め、結果として三菱電機グループへの影響は通常の事業運営で起こりうる想定の範囲内で、増益方向に軽微に変動すると推測されます。従って2℃以下シナリオから4℃シナリオへ移行したとしても「重大な財務影響」はないと考えます。

 

社会が4℃シナリオに進展した場合の三菱電機グループへの財務影響(営業利益への影響)

 

 

③リスク管理

ア.気候変動に係るリスクと機会を扱うプロセス

三菱電機グループの気候変動を含む地球環境に係るリスクと機会の選別・評価・管理は、事業戦略の意思決定プロセスと、三菱電機グループの総合的なリスクマネジメントプロセスによって行っています。

三菱電機各部門(各事業本部/コーポレート部門)/国内外関係会社は、自らに関連する気候変動に係るリスク項目を洗い出し、リスクへの対応と機会としての活用について検討し、事業戦略・部門戦略に主体的に織り込みます。

並行して、三菱電機グループの総合的なリスクマネジメントプロセスの中で、気候変動に係るリスク管理含め、様々なリスク分野について、経営に重大な影響を及ぼす事項を選別・評価し、適正な管理を行います。

 

イ.三菱電機グループのリスクマネジメント体制と地球環境リスクの位置付け

三菱電機グループの気候変動を含む地球環境リスク等のリスクは、三菱電機各部門/国内外関係会社が主体的にリスクマネジメントを遂行することに加えて、リスクマネジメント・経済安全保障担当執行役(CRO:Chief Risk Management Officer)の指揮の下、コーポレート部門(リスク所管部門)が各専門領域での知見に基づき、選別・評価・管理を行います。

リスク所管部門が選別・評価した各専門領域のリスクは法務・リスクマネジメント統括部が集約し、個別のリスク間の相対比較等を通じてグループ経営に及ぼす影響を評価し、CROが委員長を務めるリスクマネジメント・コンプライアンス委員会で経営判断を行います。

上記のプロセスを経て総合的に評価されたリスクは経営層を含む関係者に共有されます。気候変動を含む地球環境リスクは、グループのマテリアリティの一つである持続可能な地球環境の実現に大きな影響を及ぼすことから、三菱電機グループでは地球環境リスクを重要性の高いリスクと位置付けています。

 

ウ.地球環境に関するリスクのマネジメントプロセス

気候変動を含む地球環境リスクは、上記の三菱電機グループリスクマネジメント体制に則り、CROの指揮の下、サステナビリティ担当執行役及びリスク所管部門であるサステナビリティ・イノベーション本部が選別・評価・管理を行います。

サステナビリティ担当執行役及びサステナビリティ・イノベーション本部は、総合的に評価されたリスクの結果を踏まえ、地球環境リスクに関する法規動向、技術動向、市場動向、社外評価等を考慮して細分化したリスクの選別・評価を行います。その結果を踏まえて、リスクを管理するための中期的な施策として環境計画を、単年度の施策として環境実施計画を策定します。

グループ内の各組織(事業本部、関係会社等)は、それらを基に自組織の環境実施計画を毎年策定し、サステナビリティ担当執行役及びサステナビリティ・イノベーション本部にその成果を報告します。

サステナビリティ担当執行役及びサステナビリティ・イノベーション本部は、各組織の成果及び社会動向等を考慮して地球環境リスクの選別・評価結果を見直し、結果を法務・リスクマネジメント統括部に報告するとともに、必要に応じて環境計画の修正及び次年度環境実施計画への反映を行います。

 

④指標及び目標

三菱電機グループは、バリューチェーンでの温室効果ガス排出量(Scope 1、2、3)を算定・把握しています。算定・把握に当たっては、「GHGプロトコル」や環境省の「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」などを参考にしています。

 

ア.長期目標

三菱電機グループは、2050年までの長期環境経営ビジョンである「環境ビジョン2050」の中で、「バリューチェーン全体で温室効果ガス排出の削減を推進し、2050年の排出量実質ゼロを目指す」という目標を掲げています。

 

イ.中期目標

三菱電機グループは環境計画2030の下、「2030年度までに工場・オフィスからの温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す」という目標に向けて、毎年一定の割合で温室効果ガス排出量を削減していきます。

 

<SBTイニシアチブの認定を取得した三菱電機グループの削減目標>

2030年度に向けた三菱電機グループの温室効果ガス排出量削減目標が、2024年1月にSBTイニシアチブにより認定されました。この目標は、パリ協定の「1.5℃目標」を達成するための科学的根拠に基づいた目標であると認められています。Scope 1及びScope 2の目標は「1.5℃以内に抑える水準」として、またScope 3の目標は「2℃を十分下回る水準」としてそれぞれ認定されています。

・Scope 1及びScope 2:2030年度までに温室効果ガス排出量を2021年度基準で42%削減

・Scope 3:2030年度までに温室効果ガス排出量を2018年度基準で30%削減

 

ウ.短期目標

三菱電機グループは長期目標・中期目標達成のため、各拠点で単年度の「環境実施計画」を策定し、KPIを管理しています。

 

エ.目標の進捗

GHG排出量(Scope 1、2)は、下表のとおりです。

マーケットベースでは、会社算定値で2013年度の排出量1,430ktに対して54.0%削減となり、これまでの環境計画2025で掲げていた、2025年度末「2013年度比 53%以上削減」という目標を達成する見込みです。ロケーションベースの温室効果ガス排出量も削減しており、中期目標で掲げる「2030年度 工場・オフィスからの温室効果ガス排出量実質ゼロ達成」に向けて、引き続き取り組んでいきます。

 

Scope1、2の温室効果ガス排出量(三菱電機グループ) (単位:kt-CO2)

 

2023年度

2024年度

2025年度

Scope1、2

合計

マーケットベース

910

736

658

ロケーションベース

1,071

992

976

(注)2023年度は第三者検証、2024年度は第三者保証を経た実績値。2025年度は第三者保証を実施中のため、提出日現在の会社算定値。

 

第三者保証後の実績値は、2026年9月以降に公開予定の「サステナビリティデータブック2026(ESGデータ)」を参照ください。

https://www.mitsubishielectric.co.jp/ja/sustainability/reports/

 

 

(3)人財/人的資本

①ガバナンス

ア.人財に対する考え方

三菱電機グループは、2030年度に向けた中期経営戦略において、「循環型 デジタル・エンジニアリング」により事業を通じた社会課題解決への取組みを加速させ、事業成長と社会課題解決を両立し、サステナビリティを実現することを掲げています。この持続的な成長実現の原動力は人であり、「人=将来の価値を生み出す資本」と捉える「人的資本経営」を、より一層推進します。また、グローバル競争がますます激化する事業環境下、三菱電機グループがイノベーティブカンパニーへと発展するために、人財=多様・多才な「個」の力を総結集し、あらゆる変革を成し遂げていきます。

 

イ.推進体制

三菱電機グループはCHRO(Chief Human Resource Officer)を責任者とし、人財戦略を策定しています。その過程においては、経営戦略との連動を意識し、経営戦略実現の障害となる人財面の課題を洗い出し、各Chief Officerやビジネスエリアオーナーとの議論を重ねて自社固有の優先課題と対応方針を整理し、取締役会での監督を受けました。今後も、改善の進捗状況を定期的に取締役会で進捗/経過を報告しつつ、計画的に進めていきます。

 

②戦略

HRの基本理念「人と共に成長し、人財力で未来を拓く」に加え、「人財」「組織」「風土」に関する「ありたい姿」を掲げて、人財育成及び社内環境整備(含む:組織風土の改善)に努めています。

 

 

ア.人財育成

「従業員の成長なくして事業の発展や社会貢献は成し得ない」との認識に立ち、全従業員を対象にした教育研修への投資によって、全体の底上げを図るとともに、自ら考え、主体的に行動し、挑戦し続けることで「Changes for the Better」を実践する「多様・多才な人財」を育てます。

 

取組み事例

(ア) グローバルスケールでの人財・組織マネジメント

三菱電機グループが真のグローバル企業として成長し続けるためには、事業の縦割りによる人財のサイロ化を解消する必要があります。これまでの事業本部・日本国内中心の個別最適からグループ・グローバルでの全体最適を目指し、グループ横断的な人財マネジメントの基盤・体制構築を推進していきます。

2023年度に策定した「キャリア開発コンセプト」では、従業員一人ひとりが自分のキャリアについてより主体的・積極的に考え、行動することを促すとともに、会社が個々人の成長実現に伴走・支援していく姿勢を改めて明確化しました。

次代を担う経営幹部をグローバルスケールで育成・輩出するために、2023年度から「L.E.A.D*制度(経営幹部候補者育成制度)」を開始しました。多様な経験・バックグラウンドを有する経営幹部候補者をグループ内外から選抜し、早期に育成、評価することで、グローバルで三菱電機グループをリードできる人財を輩出しています。海外グループ会社の次世代人財育成を目的に、グローバル拠点間で人財とジョブのマッチングを図る「Talent Mobility制度」と、当社の若手従業員を対象に従来の海外派遣型研修に比べてより深い海外業務経験の付与を目的とした「G-OJT制度」の2つの制度を2026年度から開始します。

こうした多様・多才な人財が自律的にキャリアを構築しながら能力を存分に発揮し、活躍できる環境を整備することで、従業員と会社の更なる成長を実現していきます。

* Leadership Enhancement And Development

 

(イ) 一人ひとりの能力開発を支援する人財育成施策

三菱電機グループでは、「自ら考え、主体的に行動し、挑戦し続ける」人財を目指し、従業員が自律的に自らの能力開発活動を継続していけるよう、様々な育成施策を企画、実施に向けた環境整備や学びの場作りを行っています。OJTをベースに日常的な業務ノウハウとマインドを伝承しつつ、OJTでは身につきにくい知識やスキルの習得、キャリア開発を、オンライン研修等を通じたOff-JTで補完するとともに、従業員同士のネットワーク活動を支援し、学びあい・教えあい・繋がりあう風土の醸成に取り組んでいます。Off-JTでは、「社内外の優れた講師による知識やスキル研修及び動機付け研修」「スキルアップのための検定や競技」「海外拠点や国内外の大学での実習や留学」等を実施しており、これらを通して関係会社従業員を含め、グループ従業員全体のレベルアップを図っています。

また、全従業員を対象に「倫理・遵法など社会人として身につけるべき知識の付与」を行うとともに、新規入社者については、社会人としての意識付け、基礎知識の付与、経営理念、コンプライアンスなどの初期教育を実施しています。

さらに、三菱電機では、従業員一人ひとりのキャリアオーナーシップの発揮及び自律的な成長実現に向けて、「会社も人財も成長できること」を基本的な考え方として会社の持続的な成長と従業員の自己実現の両方を追求しています。これまでに実施してきた一律的な階層別研修だけでなく、それぞれの状況等に応じて必要となる能力やスキルの獲得に資するコンテンツの整備も並行して実施していく予定です。これらによって、これまでに重視してきた若手層に対するコミュニケーション力強化、中堅層や管理職層に対するリーダーシップや後進(部下・後輩)の育成を含むマネジメント力強化等ともうまく融合を図り、これからの三菱電機の成長をけん引できる人財の育成と、一人ひとりがいきいきと働き、Well-beingとエンゲージメントの向上にも寄与できる環境整備を実現していきます。

 

 

 

(ウ) DX・AX人財の強化

三菱電機グループでは、Serendie事業推進のためのDX・AX人財を2030年度までにグループ全体で20,000人確保することを目指し、人財の獲得やM&Aによる拡充に併せ、事業戦略に基づく着実な人財育成の強化を図っています。2025年4月、三菱電機グループ内の従業員を対象とした体系的な育成機関「DXイノベーションアカデミー」を設立しました。2025年度は約1,100名、2026年度はその3.5倍を超える応募が全社からあり、3,500名超が受講予定です。

「DXイノベーションアカデミー」では、三菱電機グループにおけるDX・AX人財のスキルセットに基づき、それぞれに必要な技術・知識・マインドセットを集中的に習得し、実践に活かすことができる学びの場を三菱電機グループ内に提供します。社内外講座を組み合わせた段階的な学習体系を整備するとともに、スキル・能力の社内認定制度などにより、既存のDX関連技術保有者及びDX関連業務従事者だけでなく、他業務からの職務転換者や新規入社者など、個々人が保有するスキルや知識レベルに応じた幅広い層の人財育成を推進します。三菱電機グループの全従業員を対象とした講座も設け、グループ一体となってDXを推進する風土を醸成します。

加えて、最新技術の集中的な獲得・実践、新たな人財交流などの確立を狙いとして、大学等の教育機関との産学連携も進めており、2025年度に早稲田大学との間で、DX人財育成における産学連携に関する協定を締結しました。「DXイノベーションアカデミー」の講座として早稲田大学の教育プログラムを活用するとともに、その成果を早稲田大学における社会人及び学生向けデータ科学教育プログラムにフィードバックして発展させていくことで、共に価値の向上を図る産学共創スキームの構築を目指します。

 

三菱電機グループ向け「DXイノベーションアカデミー」の概要

 

イ.人財・カルチャー変革

持続的成長を実現するためには、未来志向で現状を問い、垣根を越えた共創と挑戦によって従業員一人ひとりが三菱電機グループの「Our Philosophy」を主体的に体現しながら、未来の価値を創造し続ける必要があります。その実践を促す環境づくりとして、グループ一体となってカルチャー変革に取り組んでいます。

三菱電機グループでは、2021年6月以降に判明した一連の品質不適切行為を受け、再発防止策の一つとして、品質風土、組織風土及びガバナンスの3つの改革を推進し、このうち組織風土改革については、2021年10月に発足した社長直轄「全社変革プロジェクト」として3年半にわたりグループ横断で取り組んできましたが、2025年4月に「培ってきた良い風土を基盤に競争力の源泉となる強い文化を醸成していく」という理念のもと、恒久組織として「カルチャー変革室」を設置しました。同室では、三菱電機グループの「Our Philosophy」に基づき、“誠実”を軸とした健全で良質な組織風土(Organizational Climate)と、“挑戦”“共創”を軸とした強い組織文化(Organizational Culture)の醸成に取り組んでいます。こうした取組みを通じて、従業員一人ひとりが主体的に「イノベーティブカンパニーへの変革」を実践し続けるカルチャーの実現を目指します。

2021年度より継続的に取り組んできた改革により、単独での従業員エンゲージメントスコアは2022年度(54%)から2025年度(62%)にかけて順調に改善しています。本指標をKPIに据えて三菱電機グループ全体のより良いカルチャー醸成を推進していきます。

 

取組み事例

(ア) 「自走」する組織カルチャーの強化

従業員の主体的な「挑戦」「共創」を促すため、2024年度から人事評価制度を大幅に改定し「かえる・つながる・ささえる」を新たに行動評価軸に据え、目標と実践状況のギャップについて上司・部下間で定期的に対話し行動強化につなげる仕組みを導入しています。部下の「挑戦」「共創」する意欲を引き出し、支援するための「1on1」の取組みも推進しており、2025年度までに延べ4,000人以上の管理職が1on1教育を受講しました。また、実践行動のベストプラクティスについては国内外関係会社含めて共有し、グループ一体となって「自走」する組織カルチャーの醸成を進めています。

 

(イ) 良質で健全な組織風土の更なる追求

 従業員意識サーベイの結果を職場単位で分析し、管理職とメンバーが一体となって「自分たちの職場は自分たちで良くする」をコンセプトに組織風土面における改善テーマを主体的に設定することで、改善活動につなげています。特に職場の心理的安全性を高め、異なる視点での「健全なコンフリクト」を伴うイノベーティブな対話・議論を促すために、三菱電機グループの現場課題に即した「心理的安全性ガイドライン」や「会議ガイドライン」を策定し、全従業員に公開しています。各種ガイドラインには具体的な推奨行動やケーススタディを織込み、日常で実践的に活用できるコンテンツとして定期的に更新・改善しており、より良い組織風土醸成のために多くの従業員が活用しています。

 

(ウ) 土台としての多様性の尊重

a. 両立支援

三菱電機は、従業員に対して各種両立支援制度の積極的な情報発信をしています。

育児と仕事の両立支援として、育児休職者が円滑に職場復帰し、育児をしながら能力を最大限発揮できるよう、「上司と部下 仕事と育児の両立支援ハンドブック」を配布するとともに、次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定し、両立に関する情報発信の強化等を目標に掲げています。また、介護と仕事の両立支援として、介護に関する基礎知識の付与を目的としたセミナーを開催しているほか、「仕事と介護の両立ハンドブック」の配布や、社外相談窓口を設置し、従業員がより安心して仕事と介護を両立できる環境整備を進めています。

 

b. 障がい者

三菱電機グループでは、各社で障がい者の積極的な雇用を進めており、様々な職種での活躍機会の創出や一人ひとりのキャリア形成への取組みを進めています。また、障がい者が働きやすい職場環境の整備を目指し、バリアフリー化などの取組みも進めています。

2014年10月に主に知的障がい者の方に適した業務を社業とする特例子会社*「メルコテンダーメイツ株式会社(現社名:三菱電機テンダーメイツ株式会社)」を設立しており、特例子会社を含めた日本国内における雇用率は2025年6月1日時点で2.52%となっています。

三菱電機テンダーメイツ株式会社の社名は、健常者社員、チャレンジド社員(障がいのある社員)の双方が対等な職場のパートナーであることと、慈しみ合う仲間たちという意味を表現しています。同社はクリーンサービス事業、クッキー事業、カフェ事業、名刺事業、給食事業、健康増進事業(マッサージ施術)などを中心に事業を展開しており、2025年6月1日時点で日本国内において158名の障がい者を雇用しています。当該特例子会社と当社事業部が職場懇談会を開催するなど、共に働きやすい職場形成に向けた取組みも行われています。また、神田、東京、湘南、名古屋、姫路、伊丹の各事業部に加えて、2026年4月に鎌倉事業部と神戸事業部を開設しました。

 

*「障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)」により一定の要件を満たした上で、厚生労働大臣の許可を受けて、親会社(三菱電機株式会社)の1事業所(親会社に雇用されている)とみなされ、特例として親会社の障がい者雇用率に含まれる会社。

 

③指標及び目標

マテリアリティ「あらゆる人の尊重」の目標として、人財に関する目標/取組み指標(KPI)を「(1)④指標及び目標」に掲載しています。それらを含めた人財に関する当社の主な実績は下表のとおりです。特に、従業員エンゲージメントスコア 70.0%、仕事と生活のバランスが取れていると回答した従業員の割合 70.0%、女性管理職比率 12.0%を2030年度の目標に掲げています。

なお、多様性に関する指標のうち、女性管理職比率、男性育児休業取得率、男女賃金格差については、「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等 (2)従業員の状況」にも記載しています。

下表は提出会社の数値です。連結子会社についても、多様性の尊重に向けて取組みを進めています。

[単位は、従業員一人当たりの年間人財育成・研修投資額は千円/人、それ以外は]

区分

指標

分類

実績

2021

年度

2022

年度

2023

年度

2024

年度

2025

年度

人財育成

自身のキャリア希望を当社で実現できると感じていると回答した従業員の割合

正規雇用*1

43.0

42.0

43.0

48.0

53.0

従業員一人当たりの年間人財育成・研修投資額*2

全従業員

86

124

147

172

178

社内環境整備

働きがいと働きやすさ

従業員エンゲージメントスコア(三菱電機で働くことの誇りややりがいを感じている従業員の割合)

正規雇用

54.0

54.0

55.0

60.0

62.0

仕事と生活のバランスが取れていると回答した従業員の割合

正規雇用

65.0

66.0

68.0

71.0

72.0

多様性

女性管理職比率*3

-

2.3

2.6

3.1

4.0

4.2

男性育児休業取得率*4

-

67.8

76.1

85.1

85.7

89.9

男女間賃金格差*3

全従業員

61.0

61.5

62.4

63.0

64.2

正規雇用

63.6

63.6

64.4

64.9

66.0

非正規雇用

62.4

63.2

61.8

60.4

59.3

障がい者雇用率*5

-

2.38

2.46

2.46

2.51

2.52

*1 正規雇用労働者には、正規雇用の従業員及びフルタイムの無期化した非正規雇用の従業員を含む。

*2 研修費用及び研修主管部門における費用の合計額。従業員には臨時従業員等を含む。

*3「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出。

*4「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき算出。

*5「障害者雇用状況報告」(障害者雇用促進法第43条第7項)の規定に基づき算出。

 

なお、上記における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月19日)現在において当社が判断したものです。 

三菱電機グループのサステナビリティに関する最新の取組み状況については、サステナビリティウェブサイトを参照ください。 

https://www.MitsubishiElectric.co.jp/ja/sustainability/