2026年2月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

(1) 方針・基本的な考え方

リスクマネジメントに関する当社の基本的な考え方は次のとおりです。

・当社グループの経営に重大な影響を及ぼす多様なリスクに対し、その重要度に応じて経営資源を効率的に配分し、全社的かつ統合的に管理する。

・リスクが顕在化し危機となった場合は、当社グループ役職員の生命および身体の安全確保を最優先とし、当社グループの財産保護ならびに事業の継続に努める。

(2) リスクマネジメント体制

当社は、経済環境や市場動向を含む経営の遂行に関するリスクについて、経営会議等の執行会議および取締役会においてモニタリングを実施しております。さらに、当社グループの経営または事業運営に直接的または間接的に影響を及ぼす可能性のあるリスクに迅速かつ的確に対応することを目的として、取締役会の下に「リスクマネジメント委員会」を設置しております。同委員会は、リスクマネジメントおよび危機管理を担当する役員を委員長とし、全社的なリスク管理体制および仕組みの整備、推進、監督を担っております。また、同委員会の傘下には、環境推進委員会、情報セキュリティ委員会、コンプライアンス委員会等の専門委員会を設置し、日常的な活動の強化を図っております。

当社は、当社および関係会社におけるリスクを包括的かつ統合的に管理するため、リスクマネジメント委員会のもとで全社的リスクマネジメント(Enterprise Risk Management=ERM)を構築・運用しております。ERMのフレームワークに基づくリスク管理状況は、経営会議等の執行会議、取締役会およびサステナビリティ委員会に定期的に報告し、リスク管理体制および仕組みの有効性についてモニタリングを受けております。

また、リスクが顕在化し危機に発展した場合には、危機管理担当役員を中心に、迅速に対応できる体制を整備しております。危機のレベルに応じた対策本部の設置等の具体的な手続については、危機管理基本規程に定め、適切に運用しております。

 

 

(3) リスク管理活動

ERMにおいては、当社グループにおけるリスクを洗い出し、可視化したうえで、共通の指標を用いて各リスクの固有リスクおよびそれに対する統制を評価し、残存リスクの程度を把握しております。

リスクは「極大」「大」「中」「小」の4段階に分類し、優先順位を付けたうえで、対応方針およびアクションプランを策定・実行し、残存リスクの低減を図っております。

これらの結果は半期ごとにリスクマネジメント委員会に報告し、モニタリングを実施しております。さらに、リスク管理のPDCAサイクルを継続的に運用することで、リスク管理活動の改善と強化に取り組んでおります。

 

 

(4) 重要なリスクと対策

当社グループの業績、財務状況などに影響を及ぼす可能性のある重要なリスクおよびそれらの対策については下表のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

地政学

リスクの説明

 当社グループは日本国内および中国をはじめとする海外にも生産拠点を持ち、グローバル約30カ国に展開している営業拠点を通じ、日々お客さまに製品・サービスを提供しています。このことから、米中関係の緊張の継続やロシア・ウクライナ情勢に加え、中東・アジア地域における武力紛争や地政学的緊張の拡大などの国際関係の変化や、それに起因する社会・環境の変化、法規制の変更などは事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 特に、各国・地域での輸出規制の拡大、技術移転制限の強化および関税の引き上げなどの保護主義的措置の増加により、開発、生産、物流や営業活動が制限を受け、お客さまへの製品供給に支障をきたす場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

リスクへの対策

 このようなリスクに対して、各地域の政治・経済情勢や法規制の動向などについて、各拠点を通じて定期的にモニタリングし、事業への影響を迅速に把握できる体制を整えています。

 地政学リスクに起因する多岐に渡る事業活動リスクが顕在化した際には、危機管理担当役員を中心に迅速な初動対応を講じるとともに、リスクマネジメント委員会、各専門委員会および経営会議等の執行会議との連携を図りながら、グローバルにおける効果的なインシデント対応体制を構築することで被害や損害を最小限とすることに努めています。

 特に、近年では変化による事業への影響が大きいグローバルにおける法制変化などのモニタリングを強化するため、国内における各事業・本社部門に加え、海外子会社を始めとしたグローバル拠点にコンプライアンス担当者を設置することで、本社の法務部門を中心としたグローバルでの統制体制を整備しています。

 

 

原材料・部品調達

リスクの説明

 当社グループは鋼材等の原材料や各種部品を多数の取引先からグローバルに調達し、世界各国・地域に製品を供給しています。このため、価格の高騰や業界の需要増に加え、米中関係の緊張の継続、ロシア・ウクライナ情勢、中東・アジア地域における武力紛争や地政学的緊張の拡大などの国際関係変化によっては継続的な必要量の確保および供給が困難となる可能性があります。また、取引先において、自然災害、感染症の拡大、事故、経営状況の悪化などにより、当社グループに対する部品や原材料等の安定的な提供が困難となる可能性があります。

リスクへの対策

 このようなリスクに対して、当社グループは取引先との対話を通じた信頼関係の構築、グローバルでの調達先の分散を図るとともに、適正な在庫水準の確保と現地生産・現地調達の推進を通じた需要変動への対応、輸送手段や経路の拡充、国内および主要海外拠点における事業継続計画(BCP)策定による災害リスク等への対応によりサプライチェーンの強化に努めています。

 また、リスク部品の早期発見と全社対策の強化を図るとともに、入荷困難な状況が継続する部品に関しては入手可能な部品への設計変更を行うなど、対応を強化しています。

 

 

 

 

為替相場の変動

リスクの説明

 当社グループはグローバルで事業展開し、その取引先は世界各地にわたるため、為替相場の変動リスクにさらされています。当社グループは、米ドル、ユーロ、中国人民元等の現地通貨建てで製品・サービスの販売・提供および原材料・部品の購入を行っていることに加え、現地通貨建ての製品輸出を行っており、想定以上の為替相場の変動は製品の競争力を弱めるなど、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは現地通貨で表示された資産および負債を保有していることから、為替相場の変動は円建てで報告される当社グループの財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

リスクへの対策

 このようなリスクに対して、当社グループでは、先物為替予約契約や為替ヘッジを実行することに加え、現地生産や現地調達の推進などを通じ、為替変動に強い収益構造の構築に取り組んでいます。

 

 

競争の激化

リスクの説明

 当社グループの事業分野においては、それぞれの分野で強力な競合相手が存在します。当社グループ製品のシェアの高い分野においても、将来にわたり競争優位性を保てるという保証はありません。このため競合企業との価格面における激しい競争が発生した場合は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの製品等に対しては、技術および品質等における競争力を確保するため、適時・適切な製品投入を行う必要があります。当社グループが提供する製品等の競争力が相対的に脆弱である場合や、製品投入時期が適切でない場合等に、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

リスクへの対策

 このようなリスクに対して、当社グループはi3-Mechatronicsを通じて、最適なソリューションをお客さまに提供することにより、製品・サービスの差別化および高付加価値化に努めています。安川テクノロジーセンタを中心として部門横断的な研究開発の継続的な強化を図り、世界初・世界一にこだわった画期的な製品開発を進めるとともに、徹底した効率化を図ることで開発期間の短縮を図り、コスト競争力の高い製品のタイムリーな市場投入に努めています。

 

 

気候変動

リスクの説明

 気候変動について、政策や規制など気候変動対策や社会的要求の変化等によって生じる“移行”リスクが考えられます。例えば、炭素価格・各国政府による炭素税の導入による燃料調達コストや材料調達コストの増加、各国の炭素排出政策・排出権取引の導入や排出規制の強化に伴うグリーン電力購入等のコスト増加が挙げられます。

リスクへの対策

 このようなリスクに対して、当社グループは気候変動についてTCFD提言への賛同を表明し、環境省のTCFDに沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業へ参加をするなど様々な活動を進め、TCFD提言に基づく気候変動関連の情報を開示しました。今後も引き続き気候変動関連の情報開示を充実させ、より一層環境に配慮した事業活動を継続していくことにより、持続可能な社会の実現への貢献と企業価値のさらなる向上を図ります。

 また、推進体制として、社長を委員長とするサステナビリティ委員会にてモニタリングを図るとともに、リスク評価とマテリアリティ分析の整合性を確認し、それ以外の施策を含む全体遂行については、社長が任命した環境推進統括者が運営する環境推進体制においてPDCAを回しながら活動の質の向上を図っています。

 

 

 

人権

リスクの説明

 強制労働、児童労働などの問題に対し、自社だけではなく取引先も含めた対応が社会的な要請として求められています。また、各国・地域で人権の取組みを求める法令等の規制導入が進んでおり、これらに適切に対応しないことによる法令違反のリスクがあります。人権問題への対応が適切でない場合は、当社グループの社会的信頼の失墜による競争力低下のリスクがあります。

リスクへの対策

 「世界人権宣言」、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」などに基づき、人権の尊重を安川グループ企業行動規準および安川グループ人権方針に定め、すべての人々の人権を尊重する対応を推進しています。

 推進体制として、サステナビリティ担当部門、リスクマネジメント担当部門および調達担当部門が中心となり、当社グループおよびサプライチェーンにおける人権の尊重に取り組んでいます。これらの取組みについて、サステナビリティ委員会において施策の審議やモニタリングを定期的に行っています。

 また、当社グループの従業員や主要な取引先を対象に人権への負の影響とリスクを特定・評価し、適切な対策を実施し、追跡調査・モニタリングを行ったうえで情報を開示します。

 これらの取組みを通じて、常に変化する人権に関する社会的要請や課題に継続的に対応していきます。

 

 

情報セキュリティ

リスクの説明

 当社グループは事業活動においてお客さまや取引先の個人情報および機密情報を適切に管理していますが、サイバー攻撃や不正アクセス、ランサムウェア被害やウイルス感染などにより、情報漏洩やサーバ・システムの停止、ネットワーク障害が発生する可能性があります。これらの事象が生じた場合、事業継続への支障や生産力の低下に加え、お客さまや投資家を含む市場からの信頼低下につながるおそれがあります。

 さらに、生成AIの不適切な利用によるプライバシー侵害や著作権侵害、機密情報の漏洩などの新たなリスクも想定されます。

 また、取引先で発生したセキュリティインシデントに起因し、当社が二次的な影響を受ける可能性があります。

リスクへの対策

 当社は、情報セキュリティリスクを重要な経営課題と位置付け、経営トップ主導のもと体制整備および運用強化に取り組んでいます。平時においては、情報セキュリティ基盤の強化活動を継続的に進めるとともに、高度化・巧妙化するサイバー攻撃や脆弱性情報、ブランド毀損リスクについて、グローバルでの監視および情報収集を実施し計画的に対策しています。

 情報セキュリティ上のリスクが予見または発見された場合には、リスク管理体制のもと速やかに対応方針を定め、CSIRT体制(Computer Security Incident Response Team)と連携したインシデント対応を行い、被害の最小化と早期復旧を図っています。

 加えて、生成AIサービスの業務利用に関しては、社内ルール整備やeラーニングによる教育を通じて適切な活用を推進しています。

 さらに、取引先に対してもセキュリティ対策状況の確認や改善要請を行い、サプライチェーン全体でのリスク低減に努めています。

 

 

 

人材確保

リスクの説明

 労働力不足がグローバルで進行する中で、高度な専門性を持った人材を含め、その獲得の競争が激化しています。

 また、従業員一人ひとりが主体性を持って能力を発揮し続けるためには、文化・慣習・言葉等の壁を越えてグローバルにビジネスの拡大に寄与できる人材の育成と心身ともに健康に過ごせる労働環境の整備がより重要となっています。

 このような状況の中、人材の採用・育成が遅れたり、優秀な人材が流出したりする場合、当社グループの競争力が低下する可能性があります。

リスクへの対策

 「2025年ビジョン」の実現に向けた人的資本経営の取組みにおいて、従業員との対話を重視しつつ、併せて事業戦略遂行に必要な人材要件の策定と人材データの可視化に基づいた人的投資や多様な人材の活躍を促す人材マネジメントを強化することで、経営戦略に連動した人事戦略を立て実行しています。なお、持続的な経営戦略を策定し、高い成果を創出していくために、安川グループの将来を担う次世代の経営幹部候補者を早期に選抜し、研修プログラムなどを通じて育成・登用しています。

 また、「経営理念の理解深化」、「ダイバーシティとインクルージョンの進化」、「働きがいのある職場環境の実現」等も重点項目として掲げて取り組んでいます。これらの取組みを従業員への意識調査(ESアンケート)や経営層との直接対話といった従業員との積極的なコミュニケーションを通じて、常にモニタリングすることにより素早く人事施策の改善に反映しながら、生産性と働きがいの向上を加速させます。

 人的資本である「人材(従業員)」一人ひとりの求心力をグローバルに向上させ、ブランド力(選ばれる・信頼される)を強化することで、持続的な人材の獲得・確保につなげていきます。

 

 

コンプライアンス

リスクの説明

 当社グループは事業運営において、各国・地域の競争法、贈収賄防止規制、個人情報保護法をはじめとする各種法規制を遵守することを重要な責務と考えています。しかし、国際的な法規制は複雑化・高度化しており、取引慣行や営業活動が意図せず法令に抵触すると見なされた場合、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

リスクへの対策

 当社グループは、「グループ・コンプライアンス基本規程」に基づき、コンプライアンスの実践を確実にするため、当社の各社長直属部および当社グループの対象会社にコンプライアンス責任者およびコンプライアンス推進リーダーを設置しています。

 また、主管業務に関するコンプライアンス事項を適切に管理する目的で、当社の本社部門に各種法令を所管する法令担当を設置しています。

 さらに、当社の法務・コンプライアンス部門が中心となって、国内外グループ会社のコンプライアンス責任者およびコンプライアンス推進リーダーとの連携を図るとともに、法令担当による活動を支援しています。このような取組みを推進することにより、当社グループはコンプライアンスリスクの軽減に努めています。

 

 

品質

リスクの説明

 当社グループは、製品品質と安全性の確保に最優先で取り組んでいます。しかし、万が一当社製品に欠陥が発生した場合、製造物責任法(PL法)に基づく損害賠償責任を負う可能性があります。

 また、欧州サイバーレジリエンス法をはじめ、国内外で製品セキュリティに関する法規制が強化されており、これらへの対応が不十分な場合には行政処分等の対象となるおそれがあります。

 さらに、品質データの不適切な取扱い等による品質不祥事が生じた場合、各種認証の取消しや企業評価の低下につながるリスクがあります。

リスクへの対策

 当社グループは、製造物責任(PL)リスクに備え、PL保険への加入や海外訴訟へ迅速に対応できる法務体制の整備、グループ内での情報共有による事故予防体制の強化を進めています。

 また、製品セキュリティ関連法へ適切に対応するため、セキュリティ体制と報告プロセスの整備、全社横断の責任者配置による法令遵守の強化、運用テストを通じた仕組みの検証・改善に取り組んでいます。

 さらに、品質データの不適切な取扱い等を防止するために、製品情報や規格適合、取扱説明、契約内容などの整合性を体系的に確認し、品質マネジメントシステム(QMS)の健全性を点検しています。

 

 

 

知的財産

リスクの説明

 当社グループは、競争優位性の確保に向けて知的財産の適切な保護を重要視していますが、第三者により当社グループの知的財産権が無断で実施・使用されることで、収益機会が損なわれる可能性があります。

 一方で、当社グループが第三者の知的財産権を意図せず侵害した場合、損害賠償請求や使用差止めなどの法的措置を受けるリスクがあります。

リスクへの対策

 当社グループでは、第三者による知的財産権の無断使用に対処するため、当社グループの製品・サービスについて、主要国における特許権や商標権の権利化を積極的に進めています。

 また、第三者による侵害行為により当社グループの収益機会を損なうおそれがあるときは、当社が保有する権利の行使を検討し、必要な措置を講じることで、損害の回復および収益機会が損なわれるリスクを低減しています。

 さらに、当社グループは、第三者の知的財産を侵害することがないよう、新製品やサービスを市場へ提供する前に、関連する知的財産調査を徹底し、侵害リスクの未然防止に努めています。

 

 

災害

リスクの説明

 当社グループでは、事業活動に伴う物理的事故や有害物質への曝露等により労働災害が発生した場合、行政処分、安全配慮義務に基づく民事責任、社会的信用の毀損が生じ、事業運営へ影響を及ぼす可能性があります。

 また、広域感染症(パンデミック)や、南海トラフ地震を含む大規模地震・津波、豪雨・台風などの自然災害への対応が不十分であった場合、従業員の被害、設備損壊、事業中断などを通じて財務状況および事業継続に重大な影響を及ぼすリスクがあります。

リスクへの対策

 当社は、労働災害リスクに対して、未然防止に向けた安全衛生パトロールの強化、リスクアセスメントおよび安全教育の徹底、有害物質の適正管理などを継続的に実施しています。

 また、災害対策委員会を中心として、大規模災害等に備え、重要設備の耐震化、自然災害発生時の初動対応ガイドラインの整備や実効性のある訓練の実施等に取り組んでいます。

 

 

技術・イノベーション

リスクの説明

 当社グループは、持続的な成長のため新技術の獲得と研究開発の強化に取り組んでいますが、AI技術など急速に進展する技術潮流への対応が遅れた場合、市場における製品・技術に関して、競合他社に対する技術的優位性を失うリスクがあります。

 また、研究開発投資の重点領域の判断を誤り、特定分野へ過度に集中したり、逆に投資が分散したりしすぎた場合、成長性の高い技術領域への十分な資源配分が行えず、将来的な競争力の確保や市場拡大の機会を逸する可能性があります。

リスクへの対策

 当社グループは、技術ロードマップおよび製品ロードマップによる中長期の技術戦略を軸に市場の要求の変化に対応した持続的な技術開発を実施しています。AI技術に関しては専門の組織を有し、社外の知見も得ながら当社製品への適用に注力できる体制で取り組んでいます。

 研究開発投資は幾つかの開発分野に分類し、研究開発、新製品開発、派生製品開発などが方針に沿った投資比率となっていることを定期的に確認しながら開発を進めています。

 

 

 

安全保障・経済安全保障

リスクの説明

 当社グループは各国・地域の安全保障関連法規制を遵守していますが、違反した場合には、法人・個人が逮捕・罰金・輸出禁止などの制裁を受けるリスクがあります。また、国内外の販売パートナーなどの取引先が規制に抵触した際には、当社グループの事業運営や取引に影響が及ぶ可能性があります。

 また、安全保障の観点からは、法規制違反ではない場合でも、紛争当事国へ当社製品が迂回輸出され、それがSNSなどで公になった場合には、風評被害を受ける可能性があります。

 経済安全保障においては、制裁・関税・輸出規制・資源停止などが国家間の交渉材料となる傾向が強まっており、また、経済安全保障の対象が技術分野にまで拡大していることから、サプライチェーン途絶や重要技術流出もリスクとして捉えています。

リスクへの対策

 当社は、安全保障・経済安全保障に関連するリスクへの対策はグローバルに取り組む重要課題であるという認識のもと、海外グループ会社と常に連携を取り、法規制遵守や風評被害回避のために内部監査や海外現地法人における教育を行っています。

 また、取引先に対しても適切な説明を行い、リスク回避に向けた協力を得ることで、サプライチェーン全体としてのコンプライアンス強化に取り組んでいます。

 

 

生産

リスクの説明

 受注が急増した場合に必要な直接要員を確保できず、生産能力が不足することで、製品供給に支障が生じるリスクがあります。

 また、OT(Operational Technology:生産設備やシステムを制御・運用するため技術)環境がサイバー攻撃の対象となった場合には、操業停止、品質異常、設備破損など事業活動に直接的な影響が生じるリスクが高まり、生産の遅延・停止や安全性への重大な影響を招く可能性があります。

リスクへの対策

 受注急増による直接要員確保の課題に対しては、生産量が直接要員数に依存しない体制を目指し、自動化領域を拡大することにより、需要変動に迅速に対応できる生産体制へと進化しています。

 また、当社グループは工場におけるOT環境を重要な経営資産と位置付け、サイバー攻撃や設備の不正操作、供給網や物理的要因による停止リスクに備えた対策を進めています。具体的にはリモート接続や保守端末の管理強化、設備コントローラや製造データへのアクセス制御、ネットワークの監視体制を整備しています。また、機器ベンダや取引先を含むサプライチェーン全体のリスク把握と対策状況の確認を行い、侵入リスクの低減に努めています。

 さらに、工場への物理的な侵入防止や災害対策を含めた事業継続計画を整備し、異常発生時には迅速な対応と早期復旧が可能な体制を構築することで生産活動への影響最小化を図っています。

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、長期経営計画「2025年ビジョン」において、株主のみなさまへ、より積極的かつ安定的な利益還元を行うことを目的とし、連結配当性向を2025年度において30%+αとすることを基本方針に掲げております。

当社は、中間配当および期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本としております。定款に基づき、これらの剰余金の配当の基準日は毎年8月31日および毎年2月末日とし、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役会で決議できるものとしております。

上記の基本方針を踏まえて、当連結会計年度の剰余金の期末配当は、2026年4月10日開催の取締役会決議により、1株当たり普通配当34円とさせていただきました。これにより、中間配当34円と合わせた当連結会計年度の年間配当金は1株当たり68円、連結配当性向は50.0%となりました。

内部留保資金については、将来を見据えた成長投資にあてることを基本とし、状況等を勘案して決定することとしております。

当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりです。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2025年10月3日

取締役会決議

8,842

34.00

2026年4月10日

取締役会決議

8,842

34.00

(注)2025年10月3日取締役会決議および2026年4月10日取締役会決議による配当金の総額には、「株式給付信託(BBT)」および「株式給付信託(J-ESOP)」の信託財産として信託が保有する当社株式に対する配当金23百万円および23百万円がそれぞれ含まれております。