2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    2,138名(単体) 2,490名(連結)
  • 平均年齢
    50.2歳(単体)
  • 平均勤続年数
    8.8年(単体)
  • 平均年収
    9,260,000円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

 当社グループの事業セグメントは、「ソリューションSoC」ビジネスモデルで開発するSoCを主とする単一セグメントとなっており、セグメント情報に関連付けては記載しておりません。

 

(1)連結会社の状況

 

2025年3月31日現在

従業員数(名)

2,490

 (注)従業員数は就業人員(役員および当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数は従業員の総数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

2,138

50.2

8.8

9,260

 (注)1.従業員数は就業人員(役員および当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数は従業員の総数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

    2.平均年間給与には、賞与および基準外賃金が含まれております。

 

(3)労働組合の状況

 当社において、ソシオネクスト労働組合を組成しております。なお、ソシオネクスト労働組合は、上部団体(全富士通労働組合連合会)に加入しております。

 2025年3月31日現在、当社従業員のうち、ソシオネクスト労働組合員数(当社グループからグループ外への出向者を含む)は1,568人です。なお、労使関係は円滑に推移しており、労働組合との間に特記すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異

 

提出会社

当事業年度

補足説明

管理職に占める女性労働者の割合(%)

 (注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

 (注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

正規雇用労働者

パート/有期労働者

2.6

93.3

73.4

74.7

61.8

-

 (注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

    2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取り組み】

当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティの基本的な考え方

 当社グループは、「Together with our global partners, we bring innovation to everyone everywhere.」 というミッションのもと、サステナビリティへの取り組みを重要な経営課題と位置付け、新しいサービス/製品の差別化のために独自の先端SoCを開発するお客様のパートナーとして、また、進化する半導体のエコシステムにおいてファウンドリ/OSATをはじめ、IP/EDAツール/ソフトウエアに至るまで最新の技術を提供するサプライヤーのパートナーとして、お客様、さらにはその先にいる世界中の人々に新しい価値を提供し、持続可能で豊かな社会の実現に貢献していきたいと考えています。

 地球温暖化や気候変動等の環境問題および人権尊重や多様性等の社会的課題へのグローバルな関心の高まりを受け、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。当社グループは、世界全体の様々な課題が引き起こすリスクを正しく認識し、それらの課題を解決するための対策に取り組んでいきます。

 また、取り組みにあたっては、お客様、パートナー、社員、地域社会、株主等、当社グループを取り巻く様々なステークホルダーとの対話や協働を通じて、課題の理解に努めるとともに信頼関係を構築し、持続可能な社会の実現を目指していきます。

 

(2)マテリアリティの特定

 当社グループは、サステナビリティの基本的な考え方に基づき、解決すべき社会的課題と当社グループの事業成長における重要性を評価し、優先的に取り組むマテリアリティを特定しました。グローバルな潮流の変化や事業環境の変化に柔軟に対応し、持続的な成長を実現するため、サプライチェーン全体でマテリアリティへの取り組みを進めていきます。

 

〔マテリアリティ特定プロセス〕

 マテリアリティの選定にあたっては、当社グループの「基本理念」をもとに、お客様、パートナー、社員、地域社会、株主等、当社グループを取り巻く様々なステークホルダーと当社グループの事業のそれぞれの側面から、マテリアリティを抽出し、SASB/WEF/CSRD等のグローバルな要求や基準を踏まえ、「ステークホルダーからの期待度」と「当社グループとしての重要度」の両面からマテリアリティを評価しました。最終的には経営層での議論を経て、取締役会における承認により決定しています。

 

当社グループの「基本理念」をもとに「ステークホルダーからの期待」と「事業成長」のそれぞれの側面からマテリアリティを抽出

抽出したマテリアリティに対して「ステークホルダーからの期待度」と「当社グループとしての重要度」の2軸で整理/評価

経営層での議論を経て、優先的に取り組むマテリアリティを特定し、取締役会で承認

 

〔マテリアリティマップ〕

 

優先的に取り組むマテリアリティ

当社グループの考え方

コーポレート・ガバナンス

健全かつ透明性の高いガバナンスが、グローバルな事業成長の基盤となる。

インテグリティ・コンプライアンス

グローバルに事業展開を進めるうえで、高いインテグリティ意識やコンプライアンス遵守が不可欠となる。

(新規技術の追求による)
イノベーションへの貢献

当社グループのサービス/製品の差別化を図ることが、中長期的な事業成長を実現し、企業価値を最大化するために必要な要素となる。

GHG排出量削減

お客様の製品におけるGHG排出量削減に貢献することが、社会的課題の解決と当社グループの事業成長に繋がる(低消費電力/省スペースSoCの提供による貢献)。

持続可能なサプライチェーン

ファブレスでの事業運営において、サプライチェーン全体での高度なCSRマネジメントが不可欠となる。

人材確保・リテンション & 人材育成

グローバルな開発競争力を維持するため、技術開発をリードし、イノベーションを生み出す人材の確保/育成が必須となる。

社員のエンパワーメント・エンゲージメント

社員が生き生きと働き、継続的に成長/挑戦していくことのできる環境/企業文化の醸成が、さらなる事業成長に必要となる。

人権・多様性

一人ひとりの人権を尊重し、配慮することはもとより、さらなる事業成長には、多様な人材とその人材が活躍できる環境の構築が必要となる。

品質と信頼性

高度な技術力のみならず、高い品質と信頼性が当社グループの差別化/競争力の源泉となる。

安定供給

お客様の要求に応え、また、社会的責任を果たすために、優れたQCD、安定供給、および事業継続が求められる。

設計データ資産管理
(情報セキュリティ、サイバーリスク)

設計資産/ノウハウの厳格な管理が事業の基盤となり、お客様の信頼獲得に不可欠となる。

労働・安全・健康
(ワークライフバランス)

社員がフレキシブルに勤務場所/時間を選択し効率的に働くことや、心身ともに健康であることが、事業成長に必要となる。

 

(3)サステナビリティ情報開示の考え方

 サステナビリティ情報の開示においては、TCFD(※1)提言やISSB(※2)サステナビリティ開示基準(IFRS(※3)S1/S2)、およびSSBJ(※4)サステナビリティ開示基準に則り、ガバナンス、戦略、

リスク管理、指標と目標の4つの観点に沿って行う方針です。

※1:

気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の略語です。

※2:

国際サステナビリティ基準審議会(International Sustainability Standards Board)の略語です。

※3:

国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards)の略語です。

※4:

サステナビリティ基準委員会(Sustainability Standard Board of Japan)の略語です。

 

(4)当社グループの取り組み内容

①ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティ活動を推進し、中長期的な課題を経営レベルで継続的に議論していくため、ESG推進室を設置し、社内関連部門と連携した推進体制を構築しています。この推進体制を活動の基盤として経営委員会の実行指示のもと活動を推進しています。取締役会は、重要なサステナビリティ課題への取り組み方針/実行計画の審議/承認や、進捗確認等の監督を行っています。

 

〔取締役会〕

 サステナビリティ活動に関する決定機関として、方針/戦略/施策等を審議/承認します。また、半期毎に各種施策の進捗を監督し、必要に応じて是正等の指示を行います。

 

〔経営委員会〕

 取締役会での審議に先立ち、サステナビリティに関する方針/戦略/施策等の計画案を策定します。また、各施策に対する執行責任を持ち取締役会での承認の下、実行部門への指示を行い、施策等を推進します。

 施策の推進に当たり、ESG推進室は、方針/戦略/施策等の計画策定および計画実行のサポート、施策の実行状況について取りまとめ、経営委員会への報告を実施します。

 

②リスク管理

 当社グループは、様々な経営リスク、事業リスクの抑制/低減に向け、半期毎に全社リスクマネジメントを実施しています。このフレームワークの中で、気候変動/人的資本/多様性といったサステナビリティに関するリスクについても重要リスクと認識し、リスクアセスメントの実施、対策立案/実行、進捗/効果確認を定期的に実施しています。リスクマネジメントに関する基本的な考え方および体制については、下記「3 事業等のリスク」を参照ください。

 

③環境に関する戦略

〔環境方針〕

 当社グループは、先進の技術によって環境性能に優れたSoCおよびそれを核とするソリューションビジネス/サービスの設計、開発および販売を通じて、お客様とともに豊かな地球環境の保護に貢献します。また、以下の行動指針により、当社グループは、開発から調達、生産、流通、販売、使用、廃棄にいたるすべてのライフサイクルを通じて、環境負荷の低減と環境汚染の予防に努めます。

 

1. 省電力、軽量化、含有化学物質の適正管理など、環境に配慮した製品の開発を積極的に推進することにより、温室効果ガス排出の削減、廃棄物の削減など、地球環境の負荷低減に積極的に貢献します。

2. 開発から調達、生産、流通、販売、使用、廃棄にいたる、サプライチェーン全体での活動を通して、環境負荷の最小化を追求するため、エネルギー/原材料/水資源の有効活用、温室効果ガス/廃棄物/水の排出量管理、材料や副資材に含まれる化学物質の確実な管理に取り組みます。

3. 持続可能な社会を実現するため、資源の有効活用を促進するとともに、環境汚染の予防と、生物多様性や森林保全に配慮した事業活動と貢献活動、およびプラスチックの使用削減を推進します。

4. 各国、各地域の環境関連法規制、およびそれらに関するお客様との個々の合意事項を遵守します。

5. すべての役員および従業員の環境への意識向上を図り、地域社会への環境貢献を推進します。

6. これらの環境活動を有効に実施するために、環境マネジメントシステムを継続的に改善します。

7. 地球環境の保全/負荷低減に向けた活動への賛同、および支援を行うとともに、環境情報の適切な開示や地域環境への貢献を推進することにより、ステークホルダーとの連携/協働を図ります。

 

〔環境マネジメントシステム(ISO14001)構築/認証〕

 当社は、環境方針の実現に向けた具体的な取り組みとして、国際標準規格ISO14001に基づく環境マネジメントシステムを構築し、外部の認証機関による第三者認証を取得した上で環境活動を推進しています。

 環境マネジメントシステムは、トップマネジメントのもと、環境活動の具体的行動計画の策定、実施および結果のチェック、EMS委員会、マネジメントレビューの実施により、PDCAサイクルを確実に回し、継続的な改善に努めています。環境マネジメントシステムの構築により、活動状況の把握をはじめ、順法や緊急事態への対応など、より実効性の高い活動を可能にしています。

 

〔環境マネジメントシステム(ISO14001)登録証〕

 

〔環境マネジメントシステム(ISO14001)推進体制〕

 当社は、環境管理統括責任者(担当役員)のもと、組織単位で環境責任者を設置し、環境活動を推進しています。また、サステナビリティ推進部門であるESG推進室と連携し、サステナビリティ活動との連携を図っています。四半期毎に開催するEMS委員会では、環境活動の結果をレビューし、情報共有を図っています。

 

〔環境活動内容〕

 当社は、各部門が環境への影響/課題を評価/抽出し、環境目標の設定および四半期毎に結果確認を行うことにより、環境活動を推進しています。

部門

環境への影響・課題

環境目標および活動事例

営業部門

販売したLSI製品の市場での電力消費、廃棄。

環境配慮型製品(低消費電力、小型化)の販売により、電力消費、廃棄物の量を削減。

事業/開発部門

環境配慮型製品(低消費電力、小型化)の開発により、電力消費、廃棄物の量を削減。

LSI製品不良品の廃棄。

開発/製造/試験工程の見直しによる歩留まり改善。

品質・製造技術/生産/調達部門

LSI試験時間増によるテスターの電力消費。

試験最適化、同測数拡大などによる試験時間短縮。

LSI製品への規制化学物質の含有。

各国の製品含有化学物質規制の遵守。

流通におけるエネルギー消費。

流通ルートの短縮/効率化に向けた製造拠点、倉庫拠点の最適化。

コーポレート部門

データセンターのCPU/サーバーの電力消費。

設計開発に使用するデータセンター内のCPU/サーバーの消費電力低減。

気候変動、環境規制等への対応体制、プロセスの構築。

環境取り組みの社外への情報開示。

開発および不良品解析に使用する化学薬品の保有。

保有化学薬品の管理、SDS評価。

地球環境への貢献。

清掃ボランティア活動、ペットボトルキャップのリサイクル。

 

〔環境教育〕

 当社は、役員および従業員一人ひとりの環境意識を高めるため、環境への取り組みに対する考え方や、業務との関わり、環境法令や当社の取り組みについて、すべての役員および従業員に対しe-Learning環境教育を毎年実施しています。

 また、社内のイントラネットへ当社の環境活動の目標を含む活動状況を掲載し、すべての役員および従業員への周知と意識高揚に努めています。

 

〔気候変動への対応〕

(a)環境に配慮した製品の提供

 当社グループは、環境負荷の低減に向けて、再生可能資源の利用促進、エネルギー効率の向上、有害物質の削減、低消費電力型製品の開発を行うことで環境に配慮した製品を提供し、かつ各国の様々な法規制にも対応することで、お客様に安心をお届けします。

 ソシオネクストの製品、および包装梱包材は、EU REACH規制*1、EU RoHS指令*2、中国RoHS指令*3、などの法規制に対応しています(使用禁止措置適用除外項目を除く)。

*1:EUにおける化学品の登録/評価/認可および制限を目的とした規制(Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals)

*2:EUにおいて販売される電子/電気機器に特定有害物質の使用を禁止する指令(Restriction of Hazardous Substances)

*3:中国で販売される電子/電気機器に特定有害物質の使用を禁止する指令(電子情報製品生産汚染防止管理弁法)

 

 当社グループは、我々の提供するSoCによって、お客様のもとでのGHG排出量の低減に貢献し続けていくことが、サステナブルな社会の実現に繋がると考えています。グローバル市場をリードする主要なお客様との共同開発や、独自のマルチコア設計技術・低電力なAIエンジン/アクセラレータ等の活用等による高性能なカスタムSoCの開発を通じて、お客様の製品のさらなる小型化、高集積化、低消費電力化を実現することで、お客様のイノベーションおよび製品の環境負荷低減に貢献します。

 また、設計開発に使用するデータセンターにおいては、CPU/サーバーの消費電力低減、および再生可能エネルギーの導入などを順次進めています。

 

(b)リスクと機会およびシナリオ分析

 当社グループは、2025年3月期において、事業活動における気候変動に関連する「リスク」と「機会」を以下のとおり認識した上で、シナリオ分析を通じた財務/事業インパクトの算出を行いました。

 

〔気候変動に関連する主なリスクと機会〕

区分

気候変動が当社グループに及ぼす影響

当社グループの対策







政策/法規制

省エネ/GHG排出量削減に向けた取り組み/施策によるコスト増(カーボンプライシング等のエネルギーコスト増等)。

グローバルな動向/法規制の変化を早期に捉えた計画的な施策の検討/実行/評価。

サプライチェーンGHG排出量の把握、パートナーへの削減の働きかけの継続的な実施。

技術

市場競争力維持/向上のための研究開発費増。

市場競争力維持/向上のための製造コスト増。

お客様、パートナーと連携した低消費電力/省スペースな環境配慮型デバイスとソリューションの開発/提供、およびその開発プロセスの効率化。

 

 

市場/評判

環境配慮型デバイスを提供できないことによる売上減およびレピュテーションリスク。

GHG排出量の低減に貢献するサービス/製品の開発/提供。

 

 

規制による材料/電力等仕入れ価格のコスト増。

使用部材の見直し、データセンターにおける導入機器の効率化などによる消費電力の削減検討。

 





急性

異常気象の激甚化による製造委託先/データセンターの操業停止。

製造委託先およびデータセンター等の操業停止を想定した拠点分散化等の事業継続計画の定期的な見直し。

 

慢性

水不足による製造委託先の操業停止。

 

気温上昇によるデータセンター等の電力コスト増。

事業所、データセンターにおける導入機器の効率化などによる消費電力の削減検討。


資源の効率性

事業所、データセンターにおける資源(エネルギー、水)の効率利用によるコスト削減。

SoC開発効率化(独自のマルチコア設計技術、低電力なAIエンジン/アクセラレータの活用)によるコスト削減。

サービス/製品

お客様の省エネ/GHG排出量削減への貢献に寄与する低消費電力製品を中心とした需要増。

低消費電力/省スペースな環境配慮型デバイスとソリューションの開発/提供。

市場

低消費電力技術を基盤とした新たなお客様獲得。

AD/ADAS/データセンター向けSoCを中心としたさらなる低消費電力化/小型化の実現による新たなお客様獲得。

 

〔シナリオ分析〕

区分

シナリオ/参考情報

期間

・短期:~2026年

・中期:2027年~2030年

・長期:2031年~2050年

インパクト

・小:10億円以内

・中:10億円超50億円以内

・大:50億円超

※会計年度単位での影響額

シナリオ

1.5℃/2.0℃シナリオ:IEA(国際エネルギー機関)のSDS/NZE、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のRCP/SSP1

シナリオ分析の進め方

当社グループは、IEAやIPCC等が発表する「世界の平均気温がパリ協定で合意した2.0℃未満の上昇に抑えられる(一部1.5℃以内)」のシナリオでリスクと機会を分析しました。

 

〔1.5℃/2.0℃シナリオにおける当社グループへのインパクト〕

区分

気候変動が当社グループに及ぼす影響

事業活動に対する財務的インパクト

重要度

※1

発生時期

影響

項目

影響度 ※2

移行

リスク

政策/法規制

省エネ/GHG排出量削減に向けた取り組み/施策によるコスト増(カーボンプライシング等のエネルギーコスト増等)。

中・長期

コスト

 

 

技術

市場競争力維持/向上のための研究開発費増。

市場競争力維持/向上のための製造コスト増。

短・中期

コスト

市場/評判

お客様の需要変化による売上減。

環境配慮型デバイスを提供できないことによるレピュテーションリスク。

中・長期

売上

-

規制による材料/電力等仕入れ価格のコスト増。

中・長期

コスト

-

物理

リスク

急性

異常気象の激甚化による製造委託先/データセンターの操業停止。

中・長期

売上

-

慢性

水不足による製造委託先の操業停止。

中・長期

売上

-

気温上昇によるデータセンター等の電力コスト増。

中・長期

コスト

 

機会

資源の効率性

事業所、データセンターにおける資源(エネルギー、水)の効率利用によるコスト削減。

中・長期

コスト

 

サービス/製品

お客様の省エネ/GHG排出量削減への貢献に寄与する低消費電力製品を中心とした需要増。

中・長期

売上

-

市場

低消費電力技術を基盤とした新たなお客様獲得。

中・長期

売上

-

※1:重要度「高」「中」「低」の程度は、気候関連のリスクと機会の「発生可能性」と「影響の程度」を勘案して評価しています。

※2:試算が困難であるリスク/機会の影響度については、各項目における定性評価に留め、「-」として表示しています。

 

(c)リスクと機会に関する具体的な取り組み

 近年、自動運転技術の発展や、生成系AIの市場利用が始まり、必要とされるコンピューティングパワーは指数関数的に増加していくと予測されており、消費電力を抑え、GHG排出量を抑制することが社会的な課題となっています。当社グループでは、市場競争力の維持/向上およびエネルギーコスト増への対策として、開発段階から消費電力の低減に向けた取り組みを行っています。

 また、SoCの小型化による使用部材の削減や、省スペース化に向けた取り組みも推進しています。

 

(ⅰ)SoCの消費電力の削減/低減に向けた取り組み

〔微細化による消費電力の低減〕

 お客様からのSoCに対する消費電力低減の要求に応えるため、当社グループはプロセスノードの進化(微細化や低電圧化)を追求することで、低消費電力化の対応を進めています。

 先端プロセスと既存プロセスにおける消費電力を比較すると、最先端の2nm/3nmプロセスは、28nmプロセスに対し、トランジスタ当たりの消費電力は概ね1/10以下に低減されています。2nm以細の最先端テクノロジー(1.4nm/2nm)への開発投資拡大も進めており、継続して微細化や低電圧化への追求を進めています。

 

〔低消費電力化の実現に向けた設計技術〕

 当社グループのSoC設計は、お客様の低消費電力化の要望に応えるため、多様な取り組みを行っています。低消費電力SoCを実現するためには、個々の技術だけではなく、様々な技術を組み合わせることが有効です。当社グループの設計環境「リファレンス・デザイン・フロー」は、様々な低消費電力化技術に対応しており、SoCの動作時と待機時の双方の消費電力を削減できます。特に、電源を制御することにより、低消費電力化を図る手法を体系化して開発しています。

 また、当社グループは、UPF/CPF(※)を採用することで、お客様の設計資産への変更を抑えつつ、低消費電力化設計を容易にしています。UPF/CPFの採用は、これまでは検証が非常に困難だった低消費電力化技術に対しても信頼性の高い設計を行うことを可能としています。

 

詳細は当社グループのホームページを参照ください。

https://www.socionext.com/jp/products/customsoc/design/low-power.html

 

UPF(Unied Power Format):IEEE Std. 1801として標準化された低消費電力設計指針を記述する標準仕様です。

CPF(Common Power Format)とは、Si2にて標準化された低消費電力設計指針を記述する標準仕様です。

 

〔低消費電力化を可能とする設計/開発プロセスおよびパッケージング技術〕

 当社グループではお客様の製品における低消費電力化を実現するため、独自の開発フロー(「デザイン・レビュー」の仕組み)を策定し、運用しています。この仕組みは、お客様からの低電力要求仕様の聴き取りおよび仕様決定、要求を実現するテクノロジー選択(プロセスノード選択を含む)の提案、GHG排出量の低減等の環境負荷対策に積極的なFab/OSATの選定等、製品の製造から使用に至る様々な段階でのGHG排出量の削減に寄与しています。

 開発段階においては、低消費電力化および小型化を志向した論理/物理設計、並びにパッケージング設計(2.5D/3D/チップレット戦略等)に取り組んでおり、SoC製品を通したGHG排出量の削減に貢献しています。

 

 以上のように、当社グループは、先端テクノロジー製品や、多様な低消費電力化技術を搭載した製品の開発/提供により、お客様のもとでの消費電力の削減に貢献しています。

 プロセスノード別の売上推移では、製品売上、NRE売上ともに先端テクノロジー製品(3nm~7nm)へのシフトが進んでいます。将来的な製品売上の先行指標と言えるNRE売上(2025年3月期)では、先端テクノロジー製品の比率が 74% に達しています。

 

〔売上の内訳(プロセスノード別)〕

 

(ⅱ)小型化/省スペース化に向けた取り組み

 当社グループは、SoCの小型化により使用部材(鉱物資源、化石資源)を削減し、原材料から製品にいたる、製造プロセスでのエネルギー削減に貢献しています。

 SoCの小型化は、お客様の最終製品における小型化/省スペース化につながり、さらには機器動作時の発熱対策の容易性にもつながります。これによって、お客様における使用部材の削減や、製造プロセスでのエネルギー削減だけではなく、最終製品を使用する段階でのエネルギー削減(例えば、電気自動車の航続距離向上、データセンターの空調機負荷軽減等)が果たされますので、サステナブルな社会の実現に繋がると考えています。

 近年、2.5D/3D集積技術に代表されるチップレットが実用段階に入り、SoCの微細化限界に対するブレークスルーとして期待されています。当社グループは、本技術の採用を積極的に進めることで、さらなる小型化/省スペース化、および低消費電力化を推進しています。

 チップレットは、先端テクノロジー(3nm~7nm)のSoCチップと、複数の機能チップとの組み合わせで製品化を行っており、データセンター/ネットワーク、およびオートモーティブ用途向けの製品において、既に製品出荷を開始しています。

 チップレットの低消費電力化の推進にあたっては、チップレット間通信の最適化、低消費電力のインターコネクト技術の採用、また、各チップレットの電力管理を細かく制御するなどの設計技術を適用し、全体の消費電力の削減を図っています。

 

〔チップレット断面構造イメージ〕

 

(ⅲ)データセンターにおける消費電力の削減に向けた取り組み

 先端テクノロジー製品(2nm~7nm)への開発シフトによる高集積化の進展により、設計/開発業務におけるデータ処理量が増大したため、データセンターでの消費電力は当社グループのGHG排出量(Scope1、2の合算値)の約半分を占めている状況であり、将来的な事業規模の拡大に合わせ、消費電力のさらなる増加が見込まれます。

 当社グループでは、データセンターにおける消費電力の低減施策として、CPU/サーバー等を中心に低消費電力型機器の導入/置き換えを順次進めています。また、開発プロセス/開発手法等の改善による業務の効率化により、CPU/サーバーの稼働時間を抑制し、消費電力の低減に取り組んでいます。その他にも、データセンターの集約や、導入機器の水冷化へのシフト等による消費電力低減を進めています。

 データセンターにおいては、今年度より再生可能エネルギーの導入を開始しており、次年度以降、再生可能エネルギーのさらなる導入拡大を推進していきます。

 

④環境に関する指標と目標

 2025年3月期の当社グループのGHG排出量(Scope1(※1)、2(※2))は、6,527t-CO2となりました。前年比では、1,448t-CO2の削減となりました。また、売上高当たりのGHG排出量については、3.46t-CO2となり、前年比では、0.15t-CO2の削減となっております。

 当社グループは、2050年までにGHG排出量(Scope1、2)のカーボンニュートラルを目指しており、目標達成に向けて、引き続き削減施策の検討を行い、実行してまいります。

※1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出

※2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出

 

〔GHG排出量〕

 

2023年3月期

(t-CO2)

2024年3月期

(t-CO2)

2025年3月期

(t-CO2)

前年比

(t-CO2)

目標

Scope1

168

199

254

55(128%)

2050年までにカーボンニュートラル達成

Scope2

8,172

7,776

6,936

△840(89%)

合計

8,340

7,975

7,190

△785(90%)

※再エネ導入による排出削減量(Scope2分)

0

0

△663

△663

 

再計

8,340

7,975

6,527

△1,448(82%)

 

 

〔売上高当たりのGHG排出量(1億円当たり)〕

 

2023年3月期

(t-CO2)

2024年3月期

(t-CO2)

2025年3月期

(t-CO2)

前年比

(t-CO2)

Scope1、2

4.33

3.61

3.46

△0.15

 

〔GHG排出量 Scope3内訳〕

温室効果ガス(GHG)排出量

グローバル実績(t-CO2)

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

Scope1

 

168

199

254

Scope2

マーケットベース

8,172

7,776

6,273

 

ロケーションベース

8,327

7,774

7,098

 

内データセンター(マーケットベース)

3,678

3,655

3,156

 

内オフィス/その他(マーケットベース)

4,494

4,121

3,117

Scope3

 

581,631

396,738

340,898

合計

マーケットベース

589,971

404,713

347,425

Scope3詳細

 

 

 

 

Cat.1

購入したサービス/製品

541,839

356,133

299,323

Cat.2

資本財

35,620

35,025

36,455

Cat.3

Scope1、2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動

1,375

1,327

1,244

Cat.4

輸送、配送(上流)

1,308

1,137

1,050

Cat.5

事業から出る廃棄物

26

25

67

Cat.6

出張

953

2,267

2,016

Cat.7

雇用者の通勤

510

824

743

Cat.8

リース資産(上流)

対象外

 

 

Cat.9

輸送、配送(下流)

Cat.4で算出のため非該当

Cat.10

販売した製品の加工

対象外

 

 

Cat.11

販売した製品の使用

対象外

 

 

Cat.12

販売した製品の廃棄

対象外

 

 

Cat.13

リース資産(下流)

対象外

 

 

Cat.14

フランチャイズ

対象外

 

 

Cat.15

投資

対象外

 

 

※GHG排出量算定方法の見直しを実施し、2023年3月期に遡ってScope1/2/3の排出実績を変更しています。

 

〔IFRS S2 開示要求項目〕

開示項目

指標

実績

SASB対照表(コード)

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

温室効果
ガス排出

(1)グローバルでの「Scope1」の総排出

168 t-CO2eq

199 t-CO2eq

254 t-CO2eq

TC-SC-110a.1

(2)ペルフルオロ化合物からの総排出

当社グループ製品には当該物質は含有されていないため、温室効果ガスの排出はありません。

TC-SC-110a.1

「Scope1」の排出を管理するための長期的および短期的な戦略又は計画、排出削減目標並びにそれらの目標に対するパフォーマンスの分析についての説明

2050年までにGHG排出量(Scope1、2)のカーボンニュートラルを目指しています。

TC-SC-110a.2

事業活動におけるエネルギー管理

(1)エネルギー総消費量

192,639 GJ

161,037 GJ

149,701 GJ

TC-SC-130a.1

(2)電力系統からの電気の割合

97.0 %

96.0 %

91.5 %

(3)再生可能エネルギーの割合

0 %

0 %

8.9 %

水管理

(1)総取水量

4,798 m3 (*)

4,145 m3

2,094 m3

TC-SC-140a.1

(2)総消費水量、およびそれらの「ベースライン水ストレス」が「高い」又は「極めて高い」地域の割合

水ストレスが「極めて高い」「高い」地域における使用割合は、0%です。

製品ライフサイクル
管理

IEC62474申告対象物質を含む製品から生じた売上高の割合

IEC62474申告対象物質を含む製品から生じた売上高の割合は、0%です。

当社グループ製品では、IEC62474申告対象物質の閾値を超える使用、報告義務のある用途・物質の使用はありません。

TC-SC-410a.1

(1)サーバー、(2)デスクトップおよび(3)ラップトップのシステムレベルにおけるプロセッサーのエネルギー効率

該当無し。

TC-SC-410a.2

総生産量

(自社所有の製造設備および製造委託契約をしている製造設備による総生産量を開示)

159,068 千個

123,770 千個

99,612 千個

TC-SC-000.A

自社施設からの生産の割合

0 %

0 %

0 %

TC-SC-000.B

当社グループは製造工程を外部に委託しており、自社施設では生産を行っておりません。

※「事業活動におけるエネルギー管理」の算定方法の見直しを実施し、2023年3月期に遡って実績を変更しています。

 

(5)サステナビリティ活動に対する社外からの評価

 当社グループは、2022年10月の東京証券取引所プライム市場への上場後、経営と一体化したサステナビリティ活動を積極的に進めています。今年度は、CDP(Carbon Disclosure Project)において、初めての審査でBランクを獲得しました。また、日本経済新聞社主催の「第6回日経SDGs経営調査」の総合ランキングにおいて3つ星に認定され、同じく「脱炭素経営ランキング GX500」において、上位500企業として選出されました。

 これらの評価結果を基に、サステナビリティ活動のさらなる進展を図っています。

 

[CDP 2024「気候変動」および「水セキュリティ」の2分野で「B」評価を獲得]

 CDP(Carbon Disclosure Project)は、世界唯一の独立した環境情報開示システムを運営する非営利団体です。世界の主要企業から気候変動などの環境関連情報を収集/分析し、その結果を9段階(A、A-、B、B-、C、C-、D、D-、F)で評価しています。CDPのデータベースは環境情報開示のグローバルスタンダードとされており、CDPを通じた情報開示を求める機関投資家が年々増加しています。

 CDP 2024では、全世界で24,800社以上が回答し評価されています。今回が初めての回答となる当社グループは「気候変動」および「水セキュリティ」の分野で「B」評価を獲得しました。これは、最高評価から3番目に位置する評価となります。

[日本経済新聞社「第6回日経SDGs経営調査」で3つ星に認定]

 日本経済新聞社主催「第6回日経SDGs経営調査」の総合ランキングにおいて3つ星に認定されました。「日経SDGs経営調査」は国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」への企業の取り組みを格付け評価するもので、「SDGs戦略/経済価値」「社会価値」「環境価値」「ガバナンス」の4つの分野における総合得点で評価されます。

 当社グループは、評価対象分野のなかでも、特に「ガバナンス方針/実効性」および「株主対応/株式保有」への対応が評価されました。

[日本経済新聞社「脱炭素経営ランキング GX500」に選出]

 日本経済新聞社主催「脱炭素経営ランキング GX500」において、上位500企業として選出されました。「脱炭素経営ランキング GX500」は、企業の脱炭素の取り組みを総合的に評価し、GX(グリーントランスフォーメーション)時代の優力企業500社を選出してランク付けするもので、アンケートに回答した国内上場企業など887社を対象に「情報開示」「排出量の管理や削減実績」「省エネや再エネ活用」「温暖化ガス削減の具体策」「削減の目標設定」の5分野における総合得点でランキングと格付け評価が行われます。

 当社グループは、評価対象分野のなかでも、特に「情報開示」への対応が評価されました。

 

 

(6)人的資本への対応

①人的資本に関する戦略

 当社グループは、多様な社員や組織が互いに高め合い協力することが、最先端の技術力やグローバルな開発競争力を向上させ、さらには、持続的成長の基盤となり、当社グループのミッション「Together with our global partners, we bring innovation to everyone everywhere.」の実現につながると考えます。

 「人材こそが企業価値の源泉である」という信念のもと、「人材育成」、「人権/ダイバーシティ&インクルージョン」、「安全衛生」、「健康推進」に注力し、多様な人材が最大限に能力を発揮できる環境づくりとその成長支援を積極的に推進しています。

 当社グループは、EcoVadis、RBA-Online、SAQ5.0などの外部評価を受けています。また、S&P Global CSAや日経サステナビリティ調査などの格付け評価機関の要求にも対応しています。これらの評価は、国際的なサステナビリティ基準に基づき、サステナビリティおよびサプライチェーンの専門家からなる科学的コミュニティによって行われます。第三者からの厳格な評価を通じて得られたフィードバックを改善につなげ、ステークホルダーとの信頼を深めながら、企業価値の向上と持続的成長に向けて取り組んでいます。

 

(a)人材育成について

 当社グループは、最先端の「ソリューションSoC」ビジネスを通じて、ステークホルダー(お客様、パートナー、従業員、地域社会等)の様々な期待/要望にお応えするため、最先端技術を追求することで、世界のイノベ-ションを支える会社として持続的な成長を目指しており、そのために必要となる、仕事にオーナーシップを持ち、自律的/意欲的にあるべき姿にチャレンジするプロフェッショナルな人材の育成に取り組んでいます。

 

〔エンジニア育成〕

(ⅰ)求める人材の明確化

 当社グループは、エンジニアの育成を重要な経営課題の一つと考えています。

 当社グループは、中期事業計画において、AD(自動運転)/ADAS(先進運転支援システム)や車載センシング等の「オートモーティブ」、データセンターやAIアクセラレータ等の「データセンター/ネットワーク」、アクションカメラやネットワークカメラ等の「スマートデバイス」、FA(Factory Automation)機器や計測器等の「産業機器」の各領域を中心に事業規模の拡大を計画しています。

 これらの事業領域において、お客様は、SoCのアーキテクチャに対する知識はもとより、SoCが搭載される最終製品やサービスに関する高い知見、および差別化を可能とする先端のハードウエアからソフトウエアにいたるまでの技術を組み合わせて、最適なソリューションを提案できるパートナーを求めています。このような「ソリューションSoC」ビジネスモデルの実現には、以下のようなエンジニア人材が必要になると考えます。

- グローバルに開発競争力を維持し続けるためのメソドロジスト

- お客様の要求に基づき最適なSoCアーキテクチャ仕様を提案/策定できるシステムアーキテクト

- アーキテクチャ仕様から実装仕様作成、設計を行える各分野のエキスパート

- お客様からの信頼を得て、開発を円滑にゴールに導くプロジェクトマネジャー

(ⅱ)求める人材に必要となるスキルの明確化

 必要とされるエンジニア人材の拡大を図るために、当社グループは、必要なスキルおよび経験を明確に定義し、エンジニア一人ひとりが保有するスキル等の可視化に取り組んでいます。

 

<エンジニアロールモデルとスキル/重要度のマトリックス>

 

(ⅲ)スキル習得に向けた人材育成プログラム

<エンジニア育成のロードマップ>

 当社グループは、エンジニア育成の一環として、エンジニア一人ひとりが上司との1on1面談を実施する制度を設けており、自身のキャリアパスおよびその実現に向けた具体的なアクションを共有することで、個人の成長をサポートしています。また、エンジニア一人ひとりが求められる人材に必要なスキルおよび経験を確実に身に付けるために、エンジニアのレベルに応じた教育プログラムを策定/実践しています。さらに、海外のお客様、海外パートナーとのビジネスを進めていくうえで欠かせない語学/コミュニケーションスキルについても、教育支援体制を強化しています。

 

 

(※) 語学/コミュニケーションスキル育成のプログラム

リーダー層向け

・コミュニケーションスキル上級(1on1研修)

・グローバルマインド研修(グループ研修)

・グループコーチング研修

一般社員向け

・コミュニケーションスキル初級(グループ研修)

・グローバルマインド研修(グループ研修)

・英語運用力研修

・新入社員向け語学研修(グループ研修)

全社員共通

・基礎英語力強化(語学研修アプリ)

 

<エンジニア教育の実施状況>

 

2023年

3月期

2024年

3月期

2025年

3月期

総教育時間(時間)

21,000

19,500

18,900

エンジニア

一人あたり

教育時間(時間)

14.4

13.2

12.8

投資額(万円)

1.45

2.04

2.87

 

(ⅳ)人材育成に関する指標/実績

 中長期的には、さらなる海外商談の増加、最新の技術を提供するIPベンダーやツールベンダー、ファウンドリ、OSAT等のグローバルなパートナーとの協働が増加していくことが見込まれます。これらに対応していくために、多くのエンジニアに対し戦略的に海外ビジネスや先端テクノロジービジネスに参画する機会を増やし、エンジニアが得たノウハウ/経験を組織として蓄積/活用することを進めています。また、教育プログラムへのフィードバックも行い、教育プログラムの見直しを継続的に進めています。

<エンジニアのプロジェクト経験状況>

 

2023年

3月期

2024年

3月期

2025年

3月期

2030年までの目標

グローバルプロジェクトの
経験人数比率(%)

72

82

87

Over 90

先端プロジェクト(7nm以細)の
経験人数比率(%)

61

75

82

Over 90

 

 これらの人材育成への取り組みによって、当社の基準を満たしたエンジニア(メソドロジスト、システムアーキテクト、エキスパート、プロジェクトマネジャー)は基準となる2023年3月期からそれぞれ増加しています。特にメソドロジストについては、リソースシフトおよび人材育成などの施策によって125ポイントの増加となりました。今後も前年比での指数改善を目標に掲げ、さらなる取り組みの加速を図ります。

<基準を満たしたエンジニア>※2023年3月期の人員を基準(100)とした指数

 

2023年

3月期

2024年

3月期

2025年

3月期

目標

メソドロジスト

100

200

225

前年比での指数改善

システムアーキテクト

100

118

141

前年比での指数改善

エキスパート

100

101

105

前年比での指数改善

プロジェクトマネジャー

100

97

115

前年比での指数改善

 

(b)人権/ダイバーシティ&インクルージョン/安全衛生/健康推進について

 当社グループは、一人ひとりのライフスタイルやキャリアプランを尊重し、健全な労働環境の構築に取り組むことで、過重労働の抑制やストレスの軽減を図り、従業員の心身の健康を維持しつつ、より良い働き方を実現する企業風土/文化の醸成に努めています。

 また、当社グループは、社員の健康を重要な経営資源と位置づけ、健康増進施策の推進やワークライフバランスの最適化を通じて、組織の生産性向上と持続的な成長を目指しています。健康経営を積極的に実践することにより、社員のエンゲージメント向上を図るとともに、企業ブランドの強化、イノベーションの創出、さらには社会への貢献につなげていきます。

 

〔基本的な考え方〕

人権

当社グループでは、グループ理念である「CSR基本方針」において、「人権の尊重」および「社員の労働環境整備」を重要な責務として掲げています。

-人権の尊重

私たちは一人ひとりの人権を尊重し、差別等の人権侵害行為を許しません。

-社員の労働環境整備

私たちは社員の幸せを目指し、個性を尊重し、公平な処遇を実現するとともに、健康で働きやすい環境をつくります。

当社グループは事業活動に関わるすべてのステークホルダー(お客様、パートナー、社員、地域社会の皆様等)の人権を尊重し、性別、年齢、国籍、人種、民族、思想、宗教、社会的身分、雇用形態、婚姻状況、妊娠状況、門地、性的指向や性自認、身体的特徴、疾病、障がい等による差別的取り扱い/人権侵害を行いません。

また、当社グループやサプライチェーンで働く人々に対しては、一人ひとりの人権を尊重します。ハラスメントを排除し、健康で安心して働くことができる職場環境を提供するとともに、最低賃金や労働時間の法規制を遵守し、強制労働や、児童労働、人身売買を行いません。また、結社の自由と団体交渉権、プライバシーの権利を保護します。

ダイバーシティ
&インクルージョン

当社グループは、様々な個性、考え方、価値観をもった社員一人ひとりが、働きやすく、能力を発揮することができる企業風土、文化の醸成に努めます。当社グループは国籍/性別/年齢等を問わず人材採用と登用を行い、かつ、多様な人材が生き生きと働くことのできる社内環境整備を推進します。

安全衛生/健康推進

当社グループが持続的に成長するため、社員が健康かつ安全に働き、自らの持てる力を最大限発揮できるように、社員と関係者の健康と安全を最優先して事業を展開します。労働災害の無い安全な職場を実現するため、事故防止、安全に働ける環境づくりを行うとともに、健康経営の推進により社員のエンゲージメント向上/健康維持/増進を図り、企業価値の向上に向けた様々な取り組みを推進します。

 

〔主な取り組み〕

人権・ダイバーシティ&インクルージョンに関する諸制度・取り組み

人権相談窓口の設定

人権教育(ハラスメント防止、LGBTQ+への理解含む)の全従業員受講

コアなしフレックスタイム勤務制度

在宅勤務の柔軟運用

長時間残業の抑制


 

グローバル人材の採用と支援
(新卒の10月入社、グローバルコミュニケーション研修プログラム等)

定年後再雇用制度の見直し

育児休暇制度/育児時短勤務制度

ベビーシッター費用補助

看護、介護のための在宅勤務制度

疾病、疾患の治療のための短時間勤務制度

休職制度(チャイルドプラン、介護等)

積み立て休暇制度(看護、子育て、介護等)

障がい者の継続的な採用と環境整備

視覚障がい者によるマッサージルーム運営

精神障がい者による社内業務代行制度

障がい者への環境整備アンケートの実施と改善

安全衛生/健康推進に関する諸制度・取り組み

健康診断、婦人検診、ストレスチェックの実施

禁煙サポート

感染症予防対策

安全衛生防災委員による職場巡視

安全衛生教育の全従業員受講

 

②人的資本に関する指標と目標(単体ベース)

 当社グループは、主要な取り組みについて目標を設定するとともに、その目標に対する進捗状況を管理しています。

戦略

指標

実績

目標

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

人材育成

(エンジニア)

グローバルプロジェクトの経験人数比率

72%

82%

87%

Over 90%

先端プロジェクト(7nm以下)の経験人数比率

61%

75%

82%

Over 90%

人材
育成
への
投資

エンジニア一人当たりの研修時間

(全従業員)

14.4H

(11.8H)

13.2H

(11.3H)

12.8H

(11.7H)

-

エンジニア一人当たりの投資額

(全従業員)

1.45万円

(1.25万円)

2.04万円

(1.76万円)

2.87万円

(2.59万円)

-

メソドロジスト
育成度(指数)

100

200

225

前年比での指数改善

システムアーキテクト
育成度(指数)

100

118

141

前年比での指数改善

エキスパート
育成度(指数)

100

101

105

前年比での指数改善

プロジェクトマネジャー育成度(指数)

100

97

115

前年比での指数改善

ダイバーシティ&インクルージョン

(人材確保/リテンション)

採用人数

新卒:12人
キャリア:32人

新卒:26人
キャリア:39人

新卒:36人
キャリア:32人

2025年3月期実績以上の採用を継続

定年後

再雇用率

90.9%

89.3%

83.5%

-

離職率(※2)

2.1%

1.9%

2.4%

2.5%未満

ダイバーシティ&インクルージョン

(人権/コンプライアンス)

管理職

女性比率

2.3%

2.6%

2.6%

3.4%以上
(※1)

新卒入社の

女性比率

0.0%

7.7%

16.7%

15%以上
(※1)

外国籍

社員比率

2.2%

2.0%

2.2%

-

障がい者

雇用率

2.3%

2.4%

2.4%

2.5%以上

法定障がい者雇用率以上

労働者の男女の

賃金の差異

全労働者:
71.6%

正規:
72.6%
非正規:
61.3%

全労働者:
71.6%

正規:
72.5%
非正規:
62.7%

全労働者:
73.4%

正規:
74.7%
非正規:
61.8%

社員の働きやすさ/働きがい/活躍を支援する仕組み/制度を充実させると共に、資質ある社員を性別/年齢に関係なく、相応の上位職へ昇格させる等の取り組みにより改善を図っていく。

(賃金制度上、同一資格等級での性別/年齢の賃金差異はないが、上位職位/資格等級に占める女性の割合が少ないことが差異の主な理由であるため)

労働者の男女の

賃金の差異(管理職)

95.4%

91.6%

95.4%

サプライチェーンデュー・デリジェンス実施率

-

80.2%

95.2%

調達金額ベースで全取引先の80%以上の回答入手

コンプライアンス教育e-Learning
受講率
(※3)

100%

100%

100%

100%

ダイバーシティ&インクルージョン

(ワークライフバランス)

育休取得率(男性)

15.8%

57.1%

93.3%

50.0%
(※1)

育休取得率(女性)

100%

100%

100%

100%

復職率

100%

100%

100%

100%

年間総実労働時間

2,165時間

2,099時間

2,016時間

2,000時間未満を目標とし、段階的な削減を図る(各年度、前年比1%減)

有給休暇取得率

74.1%

75.3%

75.4%

70.0%

欠勤率

0.60%

0.77%

0.80%

-

リモートワーク適用比率(※4)

100%

100%

100%

-

安全衛生

健康推進

アブセンティーイズム(※5)

0.60%

0.77%

0.80%

-

ワークエンゲージメント(※6)

2.41

2.37

2.40

-

ストレスチェック実施率

85.8%

83.2%

87.2%

100%

重大労働災害・事故件数

0件

0件

0件

0件

従業員エンゲージメント

従業員満足度

eNPS(※7)

-

-69

-67

業界平均以上(-68)

 

※1:

女性活躍推進法に基づき策定した一般事業主行動計画で示した目標です。

※2:

正規従業員における自己都合退職者の比率です。

※3:

コンプライアンス教育のe-Learningには以下が含まれます。

コンプライアンス、情報セキュリティ、インサイダー取引防止、ハラスメント防止、環境、購買取引、安全保証輸出関連法令等

※4:

対象者(一部の職種を除く全社員)は、リモートワークを週3回まで利用することが可能であり、

フレキシブルに勤務場所を選択し効率的に働くことに努めています。

※5:

病欠、病気休業している状態で、傷病および外傷休業延日数÷在籍労働者の延所定労働日数で算出しています。

※6:

仕事に関連するポジティブで充実した心理状態で、新職業性ストレス簡易調査票にて算出した数値です。

※7:

eNPSは「Employee Net Promoter Score」の略で、従業員のエンゲージメント(貢献意欲/信頼関係)を数値化する手法の一つです。

当社は2024年3月期より、国内従業員に対して、株式会社リクルート様が運営するサーベイツール「Geppo」を用いて、エンゲージメントサーベイを年1回行っています。なお、業界平均とは同ツールを利用する電子部品/デバイス/電子回路製造業の業界平均となります。

 

(7)サプライチェーン全体での取り組み

 当社グループは、サプライチェーン全体でサステナビリティを高めていくことが重要だと考えています。当社グループのみならず、パートナーにも当社グループの方針をご理解いただき、持続可能な調達活動を支援していただくことが不可欠であるとの認識のもと、サプライチェーンCSRの強化の取り組みの手段として「当社グループCSR調達ガイドライン」を策定しています。

 本ガイドラインにて「人権、多様性、気候変動」等を含むRBA行動規範(※)に則り遵守項目を明確に示すとともに、パートナーに対してもCSR活動への取り組みを要請しています。また、パートナーにおけるCSR活動の実施状況を確認するため、「CSR全般、環境活動、情報セキュリティ、BCM、責任ある鉱物調達」等に関する定期的な調査を実施しています。この調査結果を踏まえ、必要に応じてパートナーに対して改善に向けたフィードバックを行う等、最適なサプライチェーンの構築に取り組んでいます。

Responsible Business Alliance 行動規範の略語です。

 

 

①パートナーに対するCSR調査

 「CSR調査」は、当社グループのパートナーにおけるCSR上のリスクを把握し、改善を促すことを目的として実施しています。本調査では、当社グループの方針およびグローバルに広く使用されるRBA行動規範に基づき、取引において重要と考える以下のカテゴリーについて評価を行います:「法令遵守」、「人権/労働」、「安全衛生」、「環境」、「公正取引/倫理」、「品質/安全性」、「情報セキュリティ」、「事業継続」、「マネジメントシステム」。

 評価結果はA~Dの4段階に分類し、Dランク(ハイリスク)と判定された場合は、当該取引先に対して是正を求めるとともに、必要に応じて支援を実施します。また、CSR調査にご回答いただいたパートナーには評価結果をフィードバックし、各カテゴリーにおいて取り組みが不足していると判定された場合は、指摘事項を報告のうえ、次回調査までの改善を要請しています。なお、是正がなされなかった場合は、取引の見直し等の対応を実施します。

〔2025年3月期 CSR調査結果(購入金額ベース)〕

 

2024年3月期

2025年3月期

Aランク

79.5%

93.0%

Bランク

0.7%

1.9%

Cランク

0.0%

0.2%

Dランク

0.0%

0.0%

合計

80.2%

95.1%

 

②責任ある鉱物調達に関するデュー・デリジェンス

 当社グループは、サプライチェーンにおける、いかなる人権侵害や環境破壊も容認しません。責任ある鉱物調達が解決すべき社会課題であるとの認識のもと、当社グループとしての「責任ある鉱物調達の方針」「推進体制」「調達プロセス」を策定/構築し、RBA/RMI(※1)などのグローバルな規範に則った調達活動を進めており、毎年、CMRT(※2)/EMRT(※3)調査を通じて得られた結果に対してデュー・デリジェンスを行い、リスクの特定と改善の取り組みを進めています。

※1

Responsible Minerals Initiative の略語です。

※2

Conflict Minerals Reporting Template の略語です。

※3

Extended Minerals Reporting Template の略語です。

 

〔2025年3月期 調査結果:3TG(金、タンタル、スズ、タングステン)〕

・調査対象のパートナー:19社

・調査回答入手のパートナー:19社(入手率100%)

・特定した製錬/精製業者:全鉱物で221社(うちRMIのRMAP認証を取得している業者は215社)

 

3TG

2025年度3月期(19社)

合計

タンタル

スズ

タングステン

製錬所/精製所総数

221

90

33

66

32

RMAP認証取得(コンフリクトフリー)製錬所/精製所数

215

86

33

65

31

RMAP Active 製錬所/精製所数

1

1

-

-

-

その他RMI認定 製錬所/精製所数

5

3

-

1

1

RMAP認証取得 製錬所/精製所率

97%

96%

100%

98%

97%

調査票回収率

100%

-

-

-

-

 

 

〔2025年3月期 調査結果:コバルト/マイカ〕

・調査対象のパートナー:11社

・調査回答入手のパートナー:11社(入手率100%)

・特定した製錬/精製業者:全鉱物で53社(うちRMIのRMAP認証を取得している業者は44社)

 

コバルト/マイカ

2025年度3月期(11社)

合計

コバルト

マイカ

製錬所/精製所総数

53

49

4

RMAP認証取得(コンフリクトフリー)製錬所/精製所数

44

41

3

RMAP Active 製錬所/精製所数

-

-

-

その他RMI認定 製錬所/精製所数

9

8

1

RMAP認証取得 製錬所/精製所率

83%

84%

75%

調査票回収率

100%

-

-

 

(8)人的資本に関する外部機関からの評価

 当社グループは、人的資本の最大化に向けた取り組みに対して、外部機関による評価を積極的に受審しています。この評価結果をもとに、さらなる施策の強化を図っています。

 

[日本経済新聞社「第8回日経スマートワーク経営調査」で3つ星に認定]

日本経済新聞社主催「第8回日経スマートワーク経営調査」の総合ランキングにおいて3つ星に認定されました。本調査は人材を最大限に活用するとともに、人材投資を加速させることで新たなイノベーションを生み出し、生産性を向上し、企業価値を最大化させることを目指す先進企業を選定するもので、全国の上場企業と有力非上場企業を対象とし、人材活用、人材投資、テクノロジー活用の3要素によって星5段階で評価されます。

当社グループは、評価対象分野のなかでも、特に「人材戦略とKPI」「多様で柔軟な働き方」への対応が評価されました。

 

 

[「S&P Global CSA 2024」で半導体セクター上位11%のスコアを獲得]

ESG投資分野の世界的な調査/評価会社である米国のS&P Global社では、世界の企業を対象に、経済/環境/社会の3つの側面に関する評価(CSA:Corporate Sustainability Assessment)を実施し、サステナビリティに優れた企業を毎年選定しています。

当社グループは、CSAスコア53点を獲得しました。これは、半導体セクターにおいて上位11%の評価となっています。評価対象分野のなかでも、特に「製品品質」、「サプライチェーンマネジメント」および「人的資本の最大化」への対応が評価されました。