人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数4,538名(単体) 28,450名(連結)
-
平均年齢45.0歳(単体)
-
平均勤続年数16.1年(単体)
-
平均年収8,739,000円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
|
2024年3月31日現在 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
インダストリアルオートメーションビジネス |
10,008 |
ヘルスケアビジネス |
4,467 |
ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス |
2,846 |
デバイス&モジュールソリューションズビジネス |
6,920 |
データソリューションビジネス |
1,823 |
本社他 |
2,386 |
合計 |
28,450 |
(注)従業員数は就業人員数(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの
出向者を含む)です。
(2) 提出会社の状況
|
|
|
2024年3月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(千円) |
4,538 |
45.0 |
16.1 |
8,739 |
(注)1 従業員数は就業人員数(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む)です。
2 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでいます。
|
2024年3月31日現在 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
インダストリアルオートメーションビジネス |
2,496 |
ヘルスケアビジネス |
- |
ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス |
- |
デバイス&モジュールソリューションズビジネス |
949 |
データソリューションビジネス |
33 |
本社他 |
1,060 |
合計 |
4,538 |
(注)従業員数は就業人員数(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む)です。
(3) 労働組合の状況
2024年3月31日現在 |
名称 |
オムロングループ労働組合連合会 (全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会) |
結成年月 |
1978年4月 |
組合員数(人) |
7,311 |
なお、会社と労働組合との間には、特記すべき事項はありません。
(4)従業員の多様性に関する指標
提出会社
当事業年度 |
||||
管理職に占める女性労働者の割合(%) (注1) |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注2) |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注4) |
||
全労働者 |
正規雇用労働者 |
パート・有期労働者 |
||
11.8 |
61.2 |
72.2 |
70.8 |
58.0 |
連結子会社
当事業年度 |
|||||
名称 |
管理職に占める女性労働者の割合(%) (注1) |
男性労働者の 育児休業取得率(%) (注2) |
労働者の男女の賃金の差異(%)(注4) |
||
全労働者 |
正規雇用 労働者 |
パート・ 有期労働者 |
|||
オムロン ヘルスケア株式会社 |
6.6 |
77.8 |
69.9 |
69.3 |
53.8 |
オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社 |
9.5 |
68.4 |
72.6 |
69.7 |
91.4 |
オムロン フィールドエンジニアリング株式会社 |
5.8 |
100.0 |
70.2 |
76.5 |
48.3 |
オムロン フィールドエンジニアリング西日本株式会社 |
0.0 |
77.8 |
51.3 |
91.6 |
*(注3) |
オムロン ソフトウェア株式会社 |
5.2 |
77.8 |
81.3 |
79.5 |
*(注3) |
オムロン阿蘇株式会社 |
0.0 |
60.0 |
57.9 |
60.0 |
*(注3) |
オムロン リレーアンドデバイス株式会社 |
12.5 |
36.4 |
59.4 |
66.2 |
51.4 |
オムロン スイッチアンドデバイス株式会社 |
22.2 |
50.0 |
60.3 |
78.2 |
49.8 |
オムロン アミューズメント株式会社 |
0.0 |
100.0 |
51.0 |
60.0 |
53.8 |
株式会社エフ・エー・テクノ |
0.0 |
*(注3) |
64.7 |
62.0 |
77.4 |
オムロン キリンテクノシステム株式会社 |
7.7 |
66.7 |
81.7 |
78.6 |
127.2 |
オムロン エキスパートリンク株式会社 |
25.0 |
50.0 |
70.0 |
71.5 |
88.4 |
オムロン エキスパートエンジニアリング株式会社 |
- |
66.7 |
67.7 |
83.9 |
64.9 |
株式会社JMDC |
17.4 |
50.0 |
65.9 |
68.3 |
*(注3) |
株式会社キャンサースキャン |
16.7 |
83.3 |
69.5 |
69.6 |
98.9 |
NSリヤンド株式会社 |
20.0 |
*(注3) |
71.9 |
87.0 |
66.7 |
株式会社ドクターネット |
19.0 |
100.0 |
68.3 |
76.4 |
75.1 |
株式会社HERO innovation |
0.0 |
100.0 |
62.4 |
65.7 |
61.4 |
(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。提出会社及び常時雇用する労働者が101人以上の連結子会社を記載しております。なお、「-」は、労働者人数を原籍会社にてカウントしております。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業の取得割合を算出したものです。提出会社及び常時雇用する労働者が101人以上の連結子会社を記載しております。
3 「*」は、対象となる従業員が無いことを示しています。
4 男女賃金差異については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づく情報公表の求めは常時雇用する労働者301人以上ですが、法の求めを超えて101人以上の連結子会社を対象として記載しております。賃金制度・体系において性別による差異はなく、主に賃金の高い高位職層における女性比率が低いことによるものです。女性管理職比率の向上に関する取組み等については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 人的資本に関する取組み」に記載しております。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループは、創業以来、事業を通じて社会価値を創出し、社会の発展に貢献することで成長を実現してきました。その発展の原動力になってきたのが、社憲、「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」であり、その精神には企業の公器性と、先駆けてイノベーションを創出し、よりよい社会を実現する想いが込められています。当社グループにおけるサステナビリティとは、企業理念を実践することです。
ここでは、(1)オムロンのサステナビリティの考え方及び取組み、(2)気候変動への対応、(3)人的資本に関する取組み、(4)人権尊重に関する取組みについて、それぞれ「①ガバナンス」「②戦略」「③リスク管理」「④指標と目標」の項目で記載します。
(1)オムロンのサステナビリティの考え方及び取組み
①ガバナンス
当社グループでは、サステナビリティの取組みをグローバルで実行すべく、全社マネジメント構造を確立しています。重要課題の取組み状況は定期的に執行会議へ報告し、進捗状況や課題に対する議論を行っています。
具体的には、サステナビリティ推進体制として、執行部門に「サステナビリティ推進委員会」を設置し、サステナビリティ課題への取組みを実行しています。特に、環境や人権の課題に対しての全社の取組みを強化しており、「サステナビリティ推進委員会」の傘下に、「環境ステアリングコミッティ」と「人権ステアリングコミッティ」を設置し、重要課題の事業実装に向けた議論や意思決定、年度計画の進捗モニタリングを行っています。
2023年度には、取締役会によるサステナビリティ取組みに関する監視・監督を強化するため、環境、人権担当の取締役を任命し、環境・人権のステアリングコミッティにオブザーバーとして出席することとしました。また、各エリアにおいては、リージョンサステナビリティコミッティを設置し、エリア固有の課題にフォーカスした取組みを強化しています。さらに、業務執行として責任を持つサステナビリティ推進担当の執行役員を設置し、当社グループ全体のサステナビリティにおけるガバナンスの強化を図っています。
2024年度からは、さらなるサステナビリティの事業実装強化のため、これまで取締役会傘下にあった「サステナビリティ推進室」を発展的に解消し、グローバルコーポレートコミュニケーション&エンゲージメント本部の傘下に執行部門として「サステナビリティ統括部」を設置しています。
このようなサステナビリティに関する取り組みは、定期的に取締役会に報告し、当社グループ全体でのさらなるガバナンスの強化を図っています。
なお、2017年度から役員報酬の中長期業績連動報酬(株式報酬)の評価に、DJSIの調査に基づくサステナビリティ評価を組み入れています。さらに、オムロンの成長に寄与するKPIとして「温室効果ガス排出量の削減」「社員に対するエンゲージメントサーベイにおけるSustainable Engagement Index (SEI)のスコア」を、2020年度の役員報酬制度の改訂において新たに追加しました。
第三者機関のサステナビリティ評価を採用することで公正性・透明性を高め、サステナビリティ方針・目標・KPI・進捗状況をウェブサイトなどで開示することで、ステークホルダーとの対話を強化し、取組みの進化に活かしています。
役員報酬制度の詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4)役員の報酬等①役員報酬等の内容」をご覧ください。
<全社サステナビリティマネジメント構造>
<環境・人権ステアリングコミッティの概要>
|
メンバー |
議題 |
開催頻度 |
環境 ステアリング コミッティ |
環境担当取締役、サステナビリティ担当執行役員、ビジネスカンパニー企画長、他 |
・環境評価制度 ・CFP取組み進捗 ・環境関連法規制 ・次年度計画 など |
原則四半期開催 (10月、12月、3月) |
人権 ステアリング コミッティ |
人権担当取締役、サステナビリティ担当執行役員、本社機能部門長、他 |
・人権デューディリジェンス進捗 ・人権救済メカニズム運用拡大 ・RBA*加盟 ・次年度計画 など |
原則四半期開催 (7月、10月、2月) |
*Responsible Business Allianceの略
②戦略
当社グループの存在意義は「事業を通じて社会価値を創出し、社会の発展に貢献し続けること」です。これ を実現していくために、オムロンが注力すべきサステナビリティ重要課題を特定し、中長期戦略の中に組み込んで具体的な取組みと目標を設定して事業を通じて実行しています。「SF2030」では、事業とサステナビリティを統合し、社会価値と経済価値の両方を創出することで企業価値の最大化を目指します。
詳細は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しています。
なお、自社領域、サプライチェーン領域におけるサステナビリティマネジメントの一環として、2024年1月に、企業の社会的責任を推進する企業同盟であるResponsible Business Alliance(以下、RBA)に加盟しました。今後、RBA加盟企業としてバリューチェーンにおける社会的責任を追求する取組みを進化させることで、強固なグローバルサプライチェーンを構築し、社会の持続的な発展とオムロンの持続的な成長を目指してまいります。
③リスク管理
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しています。
④指標及び目標
・サステナビリティに関する指標及び目標は、以下に記載しています。
2030年度の目標 :「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」
2023年度の実績・2024年度の目標:「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」
・サステナビリティ課題への取組みに対する社外からの評価
当社がこれまで継続してきた、事業を通じたサステナビリティ課題の解決への取組みが高く評価され、DJSIワールドを始め世界標準の様々なインデックスへの組み入れや表彰を受けています。
<第三者評価の推移>
|
2018年度 |
2019年度 |
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
Dow Jones Sustainability Indices |
DJSI-World |
DJSI-World |
DJSI-World |
DJSI-World |
DJSI-World |
DJSI-World |
S&P Global Sustainability Award |
- |
- |
Gold Class |
Silver Class |
Top 5% |
メンバー 選定 |
CDP(気候変動) |
B |
A- |
A- |
A- |
A |
A- |
EcoVadis |
SILVER |
GOLD |
PLATINUM |
GOLD |
PLATINUM |
PLATINUM |
※社外からの評価の詳細については下記をご参照ください。
https://sustainability.omron.com/jp/evaluation/
(2)気候変動への対応
世界各地で異常気象による大規模な自然災害が多発する中、気候変動は当社が取り組むべき最重要課題であると捉え、「SF2030」のもと、社会的課題である「カーボンニュートラル社会の実現」にチャレンジします。
2019年2月に、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明以降、株主・投資家などのステークホルダーと当社グループの気候変動の取組みについてのエンゲージメントを強化するため、TCFDのフレームワークに基づいた情報開示を進めています。
TCFDフレームワークに基づく当社グループのシナリオ分析プロセス
環境省などから公開されたシナリオ分析実施の基本ステップに沿った4つのステップを経て、気候変動に伴う「移行リスク」「物理リスク」などによる当社グループの事業戦略に及ぼす影響について分析しています。
<シナリオ分析のステップ>
TCFD提言が推奨する4つの開示項目に沿った情報開示
TCFD提言は、すべての企業に対し、「①ガバナンス」「②戦略」「③リスク管理」「④指標と目標」の4つの項目に基づいて開示することを推奨しています。当社グループは、TCFD提言の4つの開示項目に沿って、当社の気候関連への取組みを開示します。
①ガバナンス
・オムロン環境方針
当社グループは気候変動対策の目標達成に向けた重要な指針としての「オムロン環境方針」を、2022年3月1日に改定しました。この方針のもと、脱炭素・環境負荷低減などのバリューチェーン全体での環境課題解決に取り組み、ステークホルダーの期待に応えることで企業価値の向上につなげていきます。
※オムロン環境方針は下記をご参照ください。
https://sustainability.omron.com/jp/environ/management/vision/
・取締役会の役割・監視体制
当社グループでは、「オムロン コーポレート・ガバナンス ポリシー」において、TCFD等の枠組みに基づく気候変動リスクへの取組みを含むサステナビリティ方針・重要課題および目標について、取締役会が決定・開示することを明確に定めています。
TCFD提言に沿って「SF2030」および中期経営計画と連動させ各事業のシナリオ分析を行い、特定した気候変動に関するリスクや事業機会、目標や具体的な取組み施策については、執行会議およびサステナビリティ推進委員会で協議・決定・進捗管理・モニタリングを定期的に実施し、必要に応じて是正策を検討します。取締役会は、執行会議で協議・決定された内容の報告を定期的に受け、論議・監督を行っています。
②戦略
・短期・中期・長期の気候関連リスク・機会および対応
「SF2030」では、サステナビリティ重要課題「脱炭素・環境負荷低減の実現」を設定し、気候変動を「機会」と「リスク」の二側面で捉え、企業としての社会的責任の実践と更なる競争優位性の構築を図っています。
そして、気候変動による生態系および人間社会に対する深刻な影響の拡大を抑止するため、当社グループは「脱炭素に向けた製品・サービスの提供」、「モノとサービスを組み合わせたビジネスモデルの進化」、「パートナーとの共創」、「エネルギー効率の改善」、「再生可能エネルギーの使用拡大」などによりバリューチェーン全体の温室効果ガス排出量削減に取り組んでいきます。
その中で、当社グループは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)などが発表する「世界の平均気温が4℃以上上昇する」4℃シナリオと、「世界の平均気温がパリ協定で合意した2℃未満の上昇に抑えられる(一部1.5℃以内)」1.5℃/2℃シナリオの2つのシナリオで、リスクと機会を分析し、気候変動問題解決にはオムロンの対応が必要であると再確認しました。具体的には、各事業において以下に取り組んでいます。
制御機器事業
i-Automation!を進化させ、地球環境との共存と、働く人々の働きがいも両立させるサステナブルな未来を支える製造現場を構築し、生産性とエネルギー効率を高めるオートメーションの実現を目指します。
社会システム事業
これまで太陽光発電や蓄電池の普及に貢献してきましたが、今後は、進化したエネルギー制御技術で発電の不安定さを解消し、再生可能エネルギーのさらなる普及に貢献します。
電子部品事業
製品の環境性能向上、およびカーボンフットプリント削減への関心の高まりによる電子部品事業の製品における省エネ・省資源の開発・および提供も加速します。
その他にも社会と様々な接点を持つ当社グループは、社会の多くの場面でカーボンニュートラル社会の実現に貢献しています。
2022年度には、当社グループは国内製造業で初めてEP100*に加盟し、制御機器事業とヘルスケア事業のすべての生産拠点において1ギガワット時(GWh)当たりの売上高比率である「エネルギー生産性」を2040年までに2016年比で倍増させることをコミットしました。現在、血圧計や体温計の国内生産拠点である松阪事業所では、制御機器事業とヘルスケア事業が連携し、エネルギー消費量を減らしながら生産量を高める取組みによって、エネルギー生産性の向上を推進しています。自社のノウハウを世の中に提供していくことで、製造業および社会の脱炭素化に貢献していきます。
*イギリスに本部を置く国際環境NPO法人「The Climate Group」が主催し、事業活動におけるエネルギー生産性を倍増させること(省エネ効率を50%改善等)を目標に掲げる企業が参加する国際企業イニシアチブ。EP100は“100% Energy Productivity” の略称で、事業のエネルギー効率(Energy Productivity)を倍増させることを意味する。
・事業を通じてカーボンニュートラルに貢献する全社売上高目標と進捗
当期(2023年度)のカーボンニュートラルに貢献する全社売上高(Green Revenue)は1,024億円となりました。また、当期の業績の悪化を踏まえ、2024年度の目標値を1,160億円(SF 1st Stageの当初目標1,300億円)に変更しています。
当社グループが認識する気候関連リスク及び、製品・サービス市場ごとの機会は以下の通りです。
<当社グループの気候変動のリスク・機会の概要と対応>
(注)リスクとして記載の物理リスクは、日本、中国を中心とする主要生産15拠点を対象として、ハザードマップ、AQUEDUCTを活用した分析を実施しました。100年に一度の災害が発生した際には、2拠点がリスクに晒されることが明らかになりましたが、再現期間を加味した年間影響額は1.5/2℃・4℃どちらのシナリオでも極めて小さいことから影響度は「小」としております。
<TCFDシナリオの前提>
<事業及び財務への影響度(大・中・小)の定義>
※・リスクへの影響度として営業利益に対してプラスもしくはマイナスの影響を定義しております。
・影響度は、特定したリスク・機会へ対応した場合を記載しております。
③リスク管理
・リスクを評価・識別・管理するプロセス
当社グループは、各事業のシナリオ分析を実施し、気候変動影響による「移行リスク」「物理リスク」を網羅的に抽出しています。そして、抽出した気候変動に伴うリスクについて、採用シナリオごとに「顕在時期」「事業および財務への影響額」を可視化し、事業および財務への影響度を評価しています。評価を基に当社グループにとって重要な気候変動に伴うリスクを特定し、事業リスクの一環として全社リスクマネジメントに統合しています。なお、対応策の立案にあたっての重要事項は、取締役会へ報告しています。
2023年度は、制御機器事業、ヘルスケア事業、電子部品事業および社会システム事業のシナリオ分析の結果について変更が無いことを確認しました。加えて、構造改革プログラム「NEXT2025」により各事業のシナリオ分析結果に変更が無いことも確認しています。なお2023年12月に新設された、データソリューション事業につきましてはシナリオ分析の対象事業として検討を進めると同時に、次期中期経営計画(SF 2nd Stage)と連動させたシナリオ分析を計画してまいります。
・全社リスクマネジメントへの統合状況
当社グループは、グループ共通のフレームワークで統合リスクマネジメントの取組みを行っています。気候変動リスクについても当社グループにおける重要リスクと識別・評価し、シナリオ分析によるリスクと整合させ、バリューチェーン全体での取組みのモニタリングを行っています。
④指標と目標
・気候変動のリスク・機会に関する指標
当社グループは、気候関連リスク・機会を管理するための指標として、Scope1・2・3(注1)の温室効果ガス排出量、および事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギーに関する指標を定めています。
・温室効果ガス排出量に関する目標及び実績(Scope1・2・3)
当社グループは、環境分野において、持続可能な社会をつくることが企業理念にある「よりよい社会をつくる」ことと捉え、2018年7月に、2050年にScope1・2について温室効果ガス排出量ゼロを目指す「オムロン カーボンゼロ」を設定しました。
2022年3月には、カーボンニュートラル社会の実現に向けた取組みを進化させ、Scope1・2については、削減シナリオを2℃シナリオからより積極的な1.5℃シナリオに変更しました 。また、Scope3カテゴリー11について、2030年に18%削減(2016年度比)する目標を設定しました。これらの目標はSBTイニシアチブ(注2)の認定を受けています。
また、目標達成に向けて、エネルギー効率の改善を継続して進めるとともに、自社のエネルギーソリューション事業が提供する再エネ由来のJ-クレジット(注3)や自己託送(注4)などを活用することで、2024年度にScope2について当社グループの国内拠点のカーボンゼロ(注5)の実現を目指してまいります。
<温室効果ガス排出量に関する目標及び実績(Scope 1・2・3)>
(注)1 Scope1・2:自社領域から直接的・間接的に排出される温室効果ガス
Scope3カテゴリー11:Scope3は自社のバリューチェーンからの温室効果ガスの排出。そのうち、カテゴリー11は製造・販売し
た製品・サービス等の使用に伴う排出。
2 SBTイニシアチブ(Science Based Targets イニシアチブ):科学的根拠に基づいた温室効果ガス削減の中長期目標設定を推奨している国際的イニシアチブ
3 J-クレジット:環境価値 (CO2を排出しない効果)を国が認証する制度
4 自己託送:自家発電設備を保有する事業者が当該設備を用いて発電した電力を、一般送配電事業者の送電網を介して遠隔地にある自社工場や事業所などに送電・供給し、電力を使用することが可能となる電力供給制度
5 生産13拠点、非生産(本社・研究開発・販売)63拠点における自社の電力使用により排出される温室効果ガス排出量(Scope2)が対象
6 温室効果ガス排出量(Scope1・2)の2023年度の実績は、オムロンコーポレートサイトに掲載し、第三者機関による限定的保証業務により第三者保証を受ける予定です。当該限定的保証業務は、いずれも国際監査・保証基準審議会の国際保証業務基準(ISAE)3000「過去財務情報の監査又はレビュー以外の保証業務」に準拠した業務です。
7 2023年度の温室効果ガス排出量削減は、計画を上回る省エネ・創エネの取組みに加え、マレーシアの脱炭素対策、国内カーボンゼロの拡大(Jクレジット活用)、生産減等の影響により、目標を大幅に上回る削減量となりました。
8 2030年目標値については、「SBTi基準」(SBTi criteria)に基づき2027年までに目標を見直す予定。
9 Scope3 カテゴリー11の算定式における使用シナリオおよび温室効果ガス排出係数の見直しを行いました。
(参考)環境評価制度の導入
当社グループは、環境評価制度を通じて、環境面の非財務インパクトと財務インパクトのコネクティビティを強化します。この制度は、EUタクソノミーに基づく環境影響とライフサイクルからなる環境評価軸に基づき、製品の設計・開発段階からネガティブな環境インパクトを最小限に抑える取組みを行います。また、ライフサイクル全体で環境影響を評価するライフサイクルアセスメント(LCA)を通じて、製品のポジティブな環境インパクトを特定し、環境課題の解決と事業の持続的成長に貢献します。
<環境貢献製品と環境配慮製品の定義>
(3)人的資本に関する取組み
①ガバナンス
当社グループでは、グローバル人財戦略の進捗を2023年度の取締役会運営方針の重点テーマの一つに設定してモニタリングしています。
取締役会でのグローバル人財戦略の進捗についての議論の詳細については、以下の「2023年度取締役会実効性評価結果」をご参照ください。
2023年度から人財戦略は今後の経営の要という認識のもと、主に「企業理念の浸透・共鳴の輪の拡大」、「リーダー育成と登用」、「全社員にとっての魅力的な会社づくり・企業文化の醸成」のさらなる実行を狙いとし、CHRO(最高人事責任者)を設置しました。CHROリードのもと、人的資本の取組みをさらに推進していきます。
②戦略
「SF2030」人財戦略ビジョン
「SF2030」の目標である、事業を通じた社会価値創出の原動力は、社員一人ひとりです。会社と社員が「選び・選ばれ」、「ともに成長する」新たな関係を構築していくことを前提に、企業理念の実践を通じて、社会的課題の解決を志す、スペシャリティを備えた多様な人財が集い、一人ひとりが主体性を持って能力を発揮する集団であり続けられる人財戦略をグローバルに実行していきます。
人的創造性の向上
人的資本を有効に活用して企業価値の向上につなげているかを定量的に測る指標として「人的創造性」を設定し、その向上に取り組んでいます。人的創造性とは、売上から変動費を差し引いた付加価値額を人件費で割ったものです。付加価値とは、当社グループが顧客や市場に向けて創り届けた価値の大きさ、人件費とは、価値創造の担い手である人財の価値の総和の大きさを指します。企業が適正な付加価値を得て、それを使って新たな価値の拡大再生産を行うことは、企業と社員の持続的成長の実現に不可欠です。私たちが成し遂げたいことは価値創造であり、分子の付加価値を伸ばすために分母である人財への投資をしっかりと行い、社員一人ひとりのポテンシャルを最大限発揮させることで、それ以上の付加価値を生み出していきます。
<人的創造性の考え方>
「構造改革期間」における取組み
2024年4月1日~2025年9月30日までの「構造改革期間」は、SF 1st Stageの戦略および目標値は取り下げ、変化の激しい事業環境に対しても耐性があり、かつ、「SF2030」で描く姿を実現する人財ポートフォリオの再構築を通じて、人財の能力転換を図ります。
主な取組み
・人財ポートフォリオの再構築
今後の持続的な売上高・利益の成長を実現していくために、まず、国内約1,000名、海外約1,000名の合計約2,000名を削減し、グローバルで最適な人員・人件費構造を構築します。そのうえで、これから必要となる能力を持つ人財の獲得と既存人財に対する能力開発の強化を進めます。
・人財の能力転換
当社グループでは、個人と組織が共に成長し続けることを目指して、経営戦略と連動した人財の能力転換に取り組んでいきます。
例えば、実践を通じた生成AI技術の習得のために、2023年度にスタートした生成AI活用プロジェクト「AIZAQ(アイザック)」を2024年度も継続します。本プロジェクトでは、データソリューションビジネスの推進やデジタルトランスフォーメーションによる生産性改善の強化のために、全社横断で入社1~2年目の若手から部長クラスの社員まで、役職や年齢に関係なく生成AI技術を学んでいます。本技術の活用に意欲のある社員と技術サポートのできる社員が連携し、業務の生産性改善テーマの活用検証を通じて、事業活動に直結する人財開発を行っています。その結果、本プロジェクトを通じて全社への展開を検討するテーマが出ています。商品開発に向けた膨大な顧客データ分析など一定の成果を上げており、今後も新しい改善テーマの活用検証を進めていきます。
③リスク管理
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク⑨人財・労務」に記載しております。
④指標と目標
人的創造性の向上の実現とダイバーシティ&インクルージョンに取り組みました。2023年度の目標と進捗は以下の通りです。
<人的創造性の向上とダイバーシティ&インクルージョンを加速する8つの取組みと進捗>
(注)1.2024年4月20日時点の当社及び連結子会社集計値です。
2.TOGAとは、The OMRON Global Awardsの略称です。(詳細は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (参考)企業理念浸透への取組み」をご参照ください。)
・女性活躍における課題への取組み
当社グループでは、「次世代リーダーの育成による女性活躍の推進」を経営の重点戦略に位置付けて取り組んでいます。その結果、2024年4月現在、オムロングループ(国内)における女性役員は、6名(内訳:社外取締役1名、執行役員常務1名、執行役員2名、関係会社取締役社長1名、関係会社取締役1名)です。
グローバルでは、2022年度に16.6%であった女性管理職比率は2023年度には19.1%(注)となり、着実に上昇していますが、各国・地域における取締役、監査役、執行役員およびグループの経営・事業を牽引する最重要ポジションに登用されている女性の現職者や後継候補者はグループ全体で不足しています。
この課題を解決するため、2023年度から、グローバルの女性管理職を対象として、「ウィメン リーダーズ サークル(Women Leaders Circle)」をスタートしました。グループ最重要ポジションの後継者になるポテンシャルがある人財を発掘して育成し、女性リーダーの母集団を形成していくことを狙いとしています。また、女性同士が、エリア・事業部門を超えたネットワークを形成し、グローバルの女性経営者との対話を通してキャリアイメージを明確にしていくことで、チャレンジする意欲も醸成していきます。今後も継続して取り組み、各エリアや事業部門の要職に就く女性リーダーやその後継者となる人財をグローバルで充足させていきます。
また、女性管理職比率の向上に特に注力している国内では、入社3年後からの女性社員をターゲットとして、「オムロン ウィメン リーダーシップ(OMRON Women Leadership)」を2022年度からスタートしています。早期から選抜・育成することにより、女性管理職候補の母集団を持続的に形成・拡大していくことを狙いに、ライフイベントを考慮したキャリアビジョンの具体化や、マネジメントスキルの向上に取り組んでいます。この取組みを継続し、国内の女性管理職比率の向上を目指します。
女性のさらなる活躍を推進していくため、経営の重点戦略の1つとして、女性リーダーの拡充に向けて取組みを今後も強化していきます。
(注) 2024年4月20日時点の当社及び連結子会社集計値です。
<女性管理職の推移(グローバル/グループ国内)
(注)各年度における集計値は翌年度4月20日時点の数値を記載
(参考)オムロンの健康経営
社会的課題を解決するには、何よりも働く社員一人ひとりの健康が経営の基盤になると考え、経営トップが健康経営宣言を行い、以下の3つの活動方針に沿って、健康経営を推進してきました。全社を挙げて構造改革プログラム「NEXT2025」に注力し、顧客価値の拡大を実現し、収益を伴った持続的な成長を目指すなか、その原動力となる社員の一人ひとりが健康で、かつ活力に満ち溢れ、ポテンシャルや専門性を発揮し続ける職場をつくっていくことがますます重要になっています。社員一人ひとりの健康の維持・増進と創造性・専門性の発揮を両立させ、個人と企業の持続的成長につなげていきます。
①「イノベーションを起こす人と組織をつくる」ということ。前向きなチャレンジを促進する環境を整えて、仕事にやりがいや楽しさを感じられるようにします。
②「心身が健康で、社員が自分の人生を楽しんでいる状態をつくる」ということ。社員に健康に配慮した生活を心がけてもらい、仕事だけでなく趣味なども積極的に楽しめるようにします。
③「オムロンを卒業しても社会で活躍し続ける社員でいっぱいにする」ということ。健康を維持・向上できれば、将来にわたって活躍できるようになり、社会に貢献しながら充実した人生を送ることができます。
※健康経営の取組み詳細については下記をご参照ください。
https://sustainability.omron.com/jp/social/wellness-management/
(4)人権尊重に関する取組み
①ガバナンス
・人権方針
「SF2030」のサステナビリティ重要課題のひとつである「バリューチェーンにおける人権の尊重」を実現するため、2022年3月1日にオムロン人権方針を制定しました。国際社会と協調した経営や行動に努め、バリューチェーン全体で人権侵害リスクの低減に取り組んでいます。
・人権推進体制
当社グループは、経営と現場が一体となってグローバルで人権尊重責任を遂行する体制の構築に取り組んでいます。具体的な執行体制としては、社長CEOから権限委譲されたサステナビリティ推進担当役員の責任のもと、グローバルコーポレートコミュニケーション&エンゲージメント本部が中心となって取組みを推進し、自社領域はグローバル人財総務本部長、サプライチェーン領域はグローバル購買・品質・物流本部長、事業戦略領域は各ビジネスカンパニー長、AIを含むテクノロジーの倫理的な活用については技術・知財本部長、救済メカニズムについてはグローバルリスクマネジメント・法務本部長がそれぞれ責任を持って対応しています。人権尊重へのコミットメントを果たす上で重要な事項については取締役会に報告し、取締役会が監視・監督します。2023年度からは、人権担当取締役を任命し、またサステナビリティ推進委員会の傘下に人権担当取締役や各執行部門長が参画する人権ステアリングコミッティを立ち上げ、各責任部門の活動進捗のモニタリングや国際的なイニシアチブ加盟に向けた議論などを行っています。
・人権尊重の取組みの全体像
「オムロン人権方針」をグローバル社員に周知・浸透させるとともに、UNGPに沿って、人権への負の影響を特定・防止・軽減・是正する人権デューディリジェンスの実行と人権救済メカニズムの構築をすることで、グローバルにおける人権ガバナンスを構築しています。またステークホルダーとのエンゲージメントを通じて、各取組みの実効性を高めています。
<人権尊重の取組みの全体像>
②戦略
・「SF2030」のサステナビリティ重要課題「バリューチェーンにおける人権の尊重」に沿ってSF2030目標と2024年度までの目標を設定し、取組みを進めています。
2030年目標 |
UNGPに沿って自社のみならずバリューチェーンで働く人々の人権の尊重に対して影響力を発揮し、人権侵害を許さない、発生させない風土と仕組みが形成されている状態を目指します。 |
2024年度までの目標 |
・UNGPに沿った人権デューディリジェンスの実施 バリューチェーン全体を俯瞰した人権影響評価を実施することにより、「優先的に取り組む人権課題」を特定し、人権デューディリジェンスのサイクルを回せる状態を作り込んでいきます。 ・各国・地域に適した人権救済メカニズムの構築 オムロンが人権に対して悪影響を引き起こしたり、または助長を確認した場合、正当な手続きを通じた救済を実行できるよう、各国・地域に適した人権救済メカニズムを構築していきます。 |
具体的な取組みを進めるにあたっては、4つの領域(自社領域、サプライチェーン領域、製品・サービス領域、バリューチェーン全体)における、19の人権課題を抽出しました。これらの人権課題のうち、「リスクの重要度」と「事業への関連性」の2軸からマッピング・優先順位付けを行い、優先的に取り組む7つの課題を中心に対応を進めています。これらの課題の特定にあたって実施した人権影響評価については③リスク管理にて記載しています。
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優先的に取り組む課題(顕著な人権課題) |
自社領域 |
・労働環境 ・労働安全衛生 |
サプライチェーン領域 |
・労働基準 ・強制、奴隷、債務労働 ・児童労働 |
製品・サービス領域 |
・テクノロジーの倫理的な活用 |
バリューチェーン全体 |
・苦情処理メカニズムと救済へのアクセス |
自社領域・サプライチェーン領域においては、RBAの求める基準を軸に取組みを進めています。
・自社領域
全従業員に対してオムロン人権方針と国際基準に基づく人権課題に関する研修を実施するほか、RBAのSAQ(自己評価質問書)を活用した自社生産拠点の人権侵害リスクの評価と是正措置を行っています。これらに加え、人権影響評価で特定された強制労働含む労働環境や、労働安全衛生の課題の発生リスクが高い拠点に絞ったリスク低減の取組みを進めています。この条件に該当する中国・マレーシアの生産拠点においては、段階的に第三者による監査を進めるとともに、構内委託先で外国人技能実習生が働いている日本の生産拠点については、雇用状況に関する確認を進めています。
・サプライチェーン領域
すべての仕入先に対して、「オムロングループサステナブル調達ガイドライン」で定めるRBAに準拠した「サプライヤ行動規範」の遵守と、当社グループの定めるミニマム要件達成を依頼しています。重要仕入先に対しては、RBAより求められる要件のクリアを両社の共通目標に設定し、継続的に現状調査と評価、改善を実施しています。これらに加えて、人権影響評価で特定された課題の発生リスクが高いと考えられる中国・マレーシアに生産拠点を持つ仕入先を2024年度までの取り組み対象と定めて深掘りした調査と改善を進めています。
・製品・サービス領域
テクノロジーが人権に与える影響の中でも、特にAI倫理に注力して取組みを進めています。AIガバナンス体制の構築に向けて、2024年度より当社グループのAI倫理に対する姿勢や取組みを示す「AI方針」と、既存のリスクマネジメント体制と連携したAIガバナンス委員会を運用します。
・バリューチェーン全体
バリューチェーン全体における苦情処理メカニズムと救済へのアクセスについては、当社グループの従業員(派遣社員を含む)および仕入先が利用できる内部通報制度をグローバルに運用しています。内部通報窓口に寄せられた情報については秘密保持を厳守し、通報者が通報したことにより不利益を受けないことを保証しています。通報内容については中立公正に事実確認を行い、適正な措置を行っています。また、当社はJaCER(一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構)に正会員として加盟しており、JaCERの提供する「対話救済プラットフォーム」を活用することで、地域社会や顧客、直接取引関係のない2次以降の仕入先も含めたあらゆるステークホルダーに対する人権救済・是正の取組みを進めています。
③リスク管理
・リスクを評価・識別・管理するプロセス
2022年度にUNGPに基づいた当社グループ全体での人権影響評価を米国NPO団体のBSR(Business for Social Responsibility)と共同で実施しました。この人権影響評価の実施にあたっては、サプライチェーンを含むバリューチェーン全体において、当社グループが自らの事業活動を通じて引き起こす、または加担する可能性のある人権侵害リスクの評価・特定を行いました。具体的なステップとしては、はじめに国際規範や業界・ステークホルダーの動向調査と、海外地域統括本社を含む全社15部門に対する社内インタビュー調査を行いました。次に、国際人権基準を踏まえ人権課題を網羅的に抽出した後に、それらの中から電機電子業界特有の課題を絞り込みました。さらに当社グループのバリューチェーンにおいて権利保有者に影響を及ぼす可能性のある課題を19個特定しました。最後に「リスクの重要度」と「事業への関連性」の2軸からマッピング・優先順位付けを行い、優先的に取り組む7つの課題(顕著な人権課題)を特定しました。これら7つの課題に対して、各責任部門が実行計画を策定し取組みを進めています。
<特定した人権課題のマッピング>
・全社リスクマネジメントへの統合状況
当社グループは、リスクを全社的に管理する体制を構築することが重要であることを踏まえ、グループ共通のフレームワークで統合リスクマネジメントの取組みを行っています。人権リスクをグループ重要リスクと識別・評価し、人権影響評価で抽出された課題を踏まえて、定期的にモニタリングを行っています。
詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク⑧人権」に記載しています。
④指標と目標
・②戦略に記した定性目標に従って、各テーマにおける年度ごとの取組み内容を定めています。なお2023年度の主な実績は以下の通りです。
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2023年度の主な実績 |
自社 |
・日本、中国、アジア・パシフィック、欧州、米州の主要な自社生産拠点に対するRBAのSAQの実施:25拠点 ・RBA基準による第三者監査の実施:3拠点(中国、ベトナム、マレーシア) |
サプライチェーン |
・重要仕入先向けのセルフチェック:60社 ・全仕入先向けのセルフチェック:575社 ・中国に生産拠点を持つ仕入先(注1)への人権に関する詳細なセルフチェック:69社 ・マレーシアに生産拠点を持つ仕入先(注2)への人権に関する詳細なセルフチェック:51社 |
製品・サービス |
・「AI方針」策定(公表予定) ・AIガバナンス委員会の設立 |
救済メカニズム |
・日本以外の仕入先に対しても、2023年度より全エリアで通報を受け付ける体制を構築 ・JaCERの提供する「対話救済プラットフォーム」の運用を開始 |
(注)1.人権侵害リスクが高いと考えられる労働集約型業種の仕入先を選定
2.人権侵害リスクが高いと考えられるマレーシア近隣国から外国人労働者を雇用している仕入先を選定