2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    3,873名(単体) 26,614名(連結)
  • 平均年齢
    44.5歳(単体)
  • 平均勤続年数
    15.2年(単体)
  • 平均年収
    8,205,000円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

インダストリアルオートメーションビジネス

8,688

ヘルスケアビジネス

4,450

ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス

2,739

デバイス&モジュールソリューションズビジネス

6,457

データソリューションビジネス

2,228

本社他

2,052

合計

26,614

 (注)従業員数は就業人員数(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの

    出向者を含む)です。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

3,873

44.5

15.2

8,205

 (注)1 従業員数は就業人員数(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む)です。

    2 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでいます。

    3 従業員数が前事業年度末に比べ665名減少しております。その主な理由は、IAB、DMB、DSBおよび本社他において構造改革プログラム「NEXT2025」の経営施策のひとつである人員数・能力の最適化を実施したことによるものです。

 

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

インダストリアルオートメーションビジネス

2,100

ヘルスケアビジネス

ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス

デバイス&モジュールソリューションズビジネス

812

データソリューションビジネス

41

本社他

920

合計

3,873

 (注)従業員数は就業人員数(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む)です。

 

(3) 労働組合の状況

2025年3月31日現在

 

 名称

 オムロングループ労働組合連合会

(全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会)

結成年月

 1978年4月

 組合員数(人)

6,092

なお、会社と労働組合との間には、特記すべき事項はありません。

(4)従業員の多様性に関する指標
提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%) (注1)

男性労働者の育児休業取得率(%) (注2)

労働者の男女の賃金の差異(%) (注4)

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

13.0

67.0

75.4

74.4

65.1

 

連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業取得率(%)

(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注4)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

オムロン ヘルスケア株式会社

7.8

66.7

71.9

71.0

62.9

オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社

9.2

100.0

71.6

69.3

76.4

オムロン フィールドエンジニアリング株式会社

4.8

81.0

72.7

79.2

46.1

オムロン ソフトウェア株式会社

10.0

83.3

74.6

73.4

66.4

オムロン阿蘇株式会社

0.0

85.7

61.9

63.0

83.3

オムロン リレーアンドデバイス株式会社

18.2

70.0

64.7

74.1

65.5

オムロン アミューズメント株式会社

0.0

100.0

60.4

67.5

62.6

株式会社エフ・エー・テクノ

0.0

50.0

68.1

64.3

*(注3)

オムロン キリンテクノシステム株式会社

7.7

100.0

76.2

75.4

84.0

オムロン エキスパートリンク株式会社

33.3

0.0

69.0

75.6

76.0

オムロン エキスパートエンジニアリング株式会社

66.7

71.1

86.5

67.8

株式会社JMDC

15.0

69.2

66.5

69.5

296.2

NSリヤンド株式会社

65.0

0.0

88.0

95.4

101.3

株式会社キャンサースキャン

15.4

77.8

71.2

71.4

74.5

株式会社ドクターネット

17.6

80.0

66.1

75.9

80.9

NSイノベーションズ株式会社

25.0

*(注3)

52.8

68.4

148.0

株式会社HERO innovation

0.0

0.0

65.4

70.6

68.5

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。提出会社及び常時雇用する労働者が101人以上の連結子会社を記載しております。なお、「-」は、労働者人数を原籍会社にてカウントしております。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児または家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働奨励第25号)第71条の6第1号における育児休業の取得割合を算出したものです。提出会社及び常時雇用する労働者が101人以上の連結子会社を記載しております。

3 「*」は、対象となる従業員が無いことを示しています。

4 男女賃金差異については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づく情報公表の求めは常時雇用する労働者301人以上ですが、法の求めを超えて101人以上の連結子会社を対象として記載しております。賃金制度・体系において性別による差異はなく、主に賃金の高い高位職層における女性比率が低いことによるものです。今後性別に関わらず活躍できる環境を整備し、取り組みを推進していきます。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、創業以来、事業を通じて社会価値を創出し、社会の発展に貢献することで成長を実現してきました。その発展の原動力になってきたのが、社憲、「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」であり、その精神には企業の公器性と、先駆けてイノベーションを創出し、よりよい社会を実現する想いが込められています。当社グループにおけるサステナビリティとは、企業理念を実践することです。

現在進めている長期ビジョン「SF2030」においては、5つのサステナビリティ重要課題を①企業理念と存在意義

②2030年とさらにその先の社会からのバックキャスティング③環境や社会の持続可能性に貢献するための企業への要請の3つの観点から検討し、社内での議論と外部有識者との対話から得た示唆を踏まえて、経営レベルで議論を経て特定しました。

 ここでは、(1)オムロンのサステナビリティの考え方及び取組みとしてサステナビリティの全体像と、当社の5つのサステナビリティ重要課題のうち、3つの重要課題を取り上げ、それぞれ「①ガバナンス」「②戦略」「③リスク管理」「④指標と目標」の項目で記載します。

 

<サステナビリティの考え方及び取組みの記載事項>

サステナビリティの全体像

(1)オムロンのサステナビリティの考え方及び取組み

3つの重要課題

(2)人的資本に関する取組み

(3)環境(気候変動)に関する取組み

(4)人権に関する取組み

 

 

(1)オムロンのサステナビリティの考え方及び取組み

①ガバナンス

 当社グループでは、サステナビリティの取組みをグローバルで実行すべく、全社マネジメント構造を確立しています。執行機関において、「サステナビリティ推進委員会」を設置し、重要課題の取組み状況は定期的に執行会議へ報告し、進捗状況や課題に対する議論を行っています。さらに、サステナビリティに関する取り組みは、定期的に取締役会に報告し、当社グループ全体でのさらなるガバナンスの強化を図っています。

 

なお、2017年度から2024年度の役員報酬の中長期業績連動報酬(株式報酬)の評価に、DJSI(注)の調査に基づくサステナビリティ評価を組み入れています。さらに、オムロンのサステナブルな成長に寄与するKPIとして「温室効果ガス排出量の削減」「社員に対するエンゲージメントサーベイにおけるスコア」を、2020年度の役員報酬制度の改訂において新たに追加しました。

第三者機関のサステナビリティ評価を採用することで公正性・透明性を高め、サステナビリティ方針・目標・KPI・進捗状況をウェブサイトなどで開示することで、ステークホルダーとの対話を強化し、取組みの進化に活かしています。

 役員報酬制度の詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4)役員の報酬等①役員報酬等の内容」をご覧ください。

 

(注)DJSI:米国S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社のESGに関する株価指数で、「ガバナンス&経済」「環境」「社会」の3つの側面から企業の持続可能性(サステナビリティ)を評価するもの

 

<サステナビリティのマネジメント体制>

(注)「サステナビリティ推進委員会」は、注力ドメインおよび本社機能部門、各種委員会(企業倫理リスクマネジメント委員会、

 情報開示実行委員会、グループ環境委員会など)におけるサステナビリティに関わる重要課題を特定し、全社的に統括しています。

 

 

②戦略

当社グループの存在意義は「事業を通じて社会価値を創出し、社会の発展に貢献し続けること」です。これ を実現していくために、オムロンが注力すべきサステナビリティ重要課題を特定し、長期ビジョン「SF2030」に組み込んでいます。「SF2030」では、事業とサステナビリティを統合し、社会価値と経済価値の両方を創出することで企業価値の最大化を目指しています。「SF2030」におけるサステナビリティ重要課題と目標の詳細は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しています。

 

<SF2030におけるサステナビリティ重要課題・目標とサステナビリティ取組み>

  (注) 1 Scope1・2:自社領域から直接的・間接的に排出される温室効果ガス

          2 Scope3 カテゴリー11:Scope3は自社のバリューチェーンからの温室効果ガスの排出。そのうち、カテゴリー11は

製造・販売した製品・サービス等の使用に伴う排出。

 

2024年度は、「NEXT2025」の実行により中期経営計画を取り下げ、単年度の取り組みとして実行してきました。人的資本、環境(気候変動)、人権について、主にサステナビリティに関連して取り組んだ内容は、次のとおりです。

 

 

<2024年度のサステナビリティの主な取組み一覧>

(注)1 J-クレジット:環境価値 (CO2を排出しない効果)を国が認証する制度。

       2 自己託送:自家発電設備を保有する事業者が当該設備を用いて発電した電力を、一般送配電事業者の送電網を介して遠隔地にある自社工場や事業所などに送電・供給し、電力を使用することが可能となる電力供給制度。

       3 CFP:カーボンフットプリント。製品・サービスの原材料調達から廃棄、リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通した温室効果ガス排出量を、CO2排出量に換算した値。

 

③リスク管理

 「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しています。

 

 

④指標及び目標

 当社グループでは「SF2030」を達成するために5つのサステナビリティ重要課題それぞれに2030年度の目標と単年度の目標を掲げ取組みを推進しています。また、財務目標と事業戦略とサステナビリティを融合させた11項目からなる非財務目標も設定しています。「NEXT2025」の期間(2024年4月1日~2025年9月末)においては、単年度の目標を設定し、取り組みを継続しています。

 

<SF2030におけるサステナビリティ重要課題の目標と進捗>

(注)1 「NEXT2025」の期間中は、取り下げを行っている目標。

   2 エンゲージメントサーベイ「VOICE」は2年に一度実施しており、2022年度の調査結果を2023年度の実績として記載。

 

 

 

(2)人的資本に関する取組み

①ガバナンス

当社グループでは、2024年度の取締役会運営方針の重点テーマとして、長期ビジョンSF2030の実現と構造改革(NEXT2025)完遂の進捗をモニタリングしています。

 

取締役会での長期ビジョンSF2030の実現と構造改革(NEXT2025)の完遂の進捗についての議論の詳細については、以下の「2024年度取締役会実効性評価結果」をご参照ください。

https://www.omron.com/jp/ja/assets/img/sustainability/governance/corporate_governance/chart/20250602_governance_effectiveness_j.pdf

 

 人財戦略は今後の経営の要という認識のもと、主に「企業理念の浸透・共鳴の輪の拡大」、「リーダー育成と登用」、「全社員にとっての魅力的な会社づくり・企業文化の醸成」のさらなる実行を狙いとし、CHRO(最高人事責任者)のもと、人的資本の取組みを推進しています。

 

②戦略

「SF2030」人財戦略ビジョン

 「SF2030」の目標である事業を通じた社会価値創出の原動力は、社員一人ひとりです。会社と社員が「選び・選ばれ」、「ともに成長する」新たな関係を構築していくことを前提に、企業理念の実践を通じて、社会的課題の解決を志す、スペシャリティを備えた多様な人財が集い、一人ひとりが主体性を持って能力を発揮する集団であり続けられる人財戦略をグローバルに実行していきます。

 

 

構造改革期間における取組みの進捗

 事業環境の激しい変化の中でも、SF2030のビジョンを実現するためには、一人ひとりが主体的に動き、持続的に成長していく強い組織をつくる必要があると考えています。そのため、当社グループでは、人員・人件費構造の最適化、人財の能力転換に取り組みました。

 

主な取組み

・人員・人件費構造の最適化

 顧客価値の拡大を実現し、収益を伴った成長を実現していくために、グローバルで人員・人件費構造の最適化に取り組みました。結果として、グローバル合計で2,526名(国内1,206名、海外1,320名)の人財が新たなキャリア実現に向けて、退職または、退職に合意しました。

 

・人財の能力転換

-成長を加速させるリーダーシップの質の変革(ピープルマネジメントの強化)

 経営層(執行役員・マネージャー)が、多様な人財の能力を引き出し、新しい顧客価値を創出するため、パフォーマンスマネジメントとピープルマネジメントを両立できるマネジメント能力の強化に取り組んでいます。パフォーマンスマネジメントでは、顧客価値創造に向けてチームとして成果を出すことに拘っています。ピープルマネジメントでは、納得感を得るストーリーテリング、フラットなコミュニケーション、一人ひとりの力を引き出すエンパワーメントの3つのスキルに重点を置き、経営層の適性を確認し、適所適財を推進する仕組みを導入しています。

 リーダーシップの質の変革に向けた仕組みは次のとおりです。まず、トップメッセージやマネージャー同士の対話により、あるべきマネジメントの姿について理解を深め、ピープルマネジメントの基本スキルを、トレーニングを通じて習得します。次に、上司との1on1によって個々の改善点を確認しながら行動変容に取り組み、その実践度合いについて、部下や同僚からのフィードバックサーベイを受けて可視化します。そして、人財開発会議において、マネージャーの配置や個々のマネジメントスキルの啓発計画を決定し、組織全体のマネジメント能力の強化に繋げていきます。今後は、経営層が自らピープルマネジメントスキルを高め、社員の持続的な成長を加速するため、リーダーシップの質の変革を進めていきます。

 

 

 

<リーダーシップの質の変革に向けた仕組み>

 

 

 

-主体性を生む組織カルチャーへの変革(VOICEの進化と組織課題解決に向けたアクションの推進)

 当社グループでは、変化の速い事業環境下においても持続的に成長していくために、社員一人ひとりが主体的貢献意欲を持ち、能力を発揮できる組織づくり、カルチャーが重要であると考えています。その実現に向けて、2024年度は、社員のエンゲージメントサーベイ(VOICE)を進化させました。これまでは、全社共通の課題に着目してきましたが、今後は、全社課題に加え、より現場で起きている課題を把握し、社員が機動的、自律的にアクションを実行していきます。そのため、これまで2年に一度行っていたVOICEを毎年実施することにしたうえで、組織ごとに異なるエンゲージメント課題やその要因を具体的に把握できる設問に変更しました。そして、調査結果を全社員に共有し、組織ごとに異なる課題や強みについて対話するエンゲージメントワークショップを開催し、マネージャーとメンバーが共に主体となって納得感がある組織開発に取り組んでいます。

 2025年1月に実施した最新のVOICEでは、当社グループ全体のエンゲージメントスコア(注1)は63ポイントでした。今後は、VOICEの進化を通じて実行性を高めた組織課題へのアクションをハイサイクルに実施していくことで、エンゲージメントを向上し、主体性を生む組織カルチャーへの変革を加速していきます。

 

(注1)エンゲージメントサーベイ(VOICE)は2025年1月実施分から調査内容と指標を変更していますが、2024年度目標と実績は、経年比較のために、過去の算出方法に換算したスコアを掲載しています

 

<VOICEの主な進化>

 

③リスク管理

 「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (3)グループ重要リスクとその分析⑨人財・労務」に記載しております。

 

④指標と目標

 2024年度に取り組んだ構造改革期間における主な取組みの目標と進捗は以下のとおりです。

 

 

(注)1 国内の部下あり経営基幹職に対する2025年3月末時点の参加率

   2 エンゲージメントサーベイ(VOICE)は2025年1月実施分から調査内容と指標を変更していますが、2024年度目標と実績は、経年比較のために、過去の算出方法に換算したスコアを掲載しています

 

(参考)健康経営の進化

 当社は、2017年に「オムロン健康経営宣言」を制定し、会社の発展にとっても欠かせない社員の将来にわたる健康リスクの軽減を目指して社員の健康づくりを全社的に推進してきました。そして今、全社を挙げて「NEXT2025」に注力しているなか、社員の主体性を引き出し、生産性を向上させていくための基盤強化の重要性が高まっており、オムロンの健康経営の取り組みは、「健康づくり」から、「一人ひとりが能力を発揮し続ける基盤づくり」へと進化しています。

 2023年にはオムロンの健康経営を人的資本経営の取り組みとして位置づけ、健康経営のKGIとして、「アブセンティーイズム」と「プレゼンティーイズム」を設定しました。社員一人ひとりの健康データ、人事データ、労働環境に関するデータなどを多角的に分析しながら改善に取り組んでいます。また、2024年には、これまで課題であった「健康経営と人的資本に関する指標の結びつき」を可視化するために「オムロン健康経営の逆ツリー」を作成しました。健康経営の取り組みの実効性を高めるだけでなく、戦略とストーリーを明確にするシナリオマップとしての役割も果たしています。

 

<オムロン健康経営の逆ツリー>

 さらに、当社グループの株式会社JMDCが保有する医療データと、当社が保有するバイタル・活動データ等を組み合わせて解析することで、パーソナライズされた健康増進・重症化予防ソリューションの構築に取り組んでいます。なかでも、同社がレセプトデータおよび健診データの匿名加工データから社員の生活習慣病リスクを類型化し作成した「健康課題マップ」は、オムロンの健康経営においても、社員の健康に関するハイリスク層を視覚化し、重点施策の検討に効果を発揮しています。

 これからも、健康経営の実践を通じて企業の持続的な成長と社会的課題の解決に挑戦する社員のパフォーマンスを最大化していきます。

 

※健康経営の取組み詳細については下記をご参照ください。

https://www.omron.com/jp/ja/sustainability/social/wellness-management/

 

 

(3)環境(気候変動)に関する取組み

 当社グループは、環境分野において持続可能な社会をつくることが企業理念にある「よりよい社会をつくる」ことと捉え、気候変動や資源循環といった地球規模の社会的課題に向けて積極的に取り組んでいます。特に「温室効果ガス排出量の削減」「循環経済への移行」「自然との共生」を取り組むべき重要な環境課題と捉えて、実効性の担保と仕組みの構築により、持続可能な社会づくりへ貢献し、企業価値の向上に努めています。

 

 

①ガバナンス

・オムロン環境方針

 SF2030におけるサステナビリティ重要課題、「事業を通じた社会的課題の解決」「脱炭素・環境負荷低減の実現」を推進し、目標達成するための重要な指針として、2022年3月1日にオムロン環境方針を改定しました。この方針で、取り組むべき重要な環境課題と行動指針を定めたうえで、脱炭素・環境負荷低減に取り組みます。今後、オムロンは、本方針に基づき、バリューチェーン全体での環境課題解決に取り組み、ステークホルダーの期待に応えることで企業価値の向上につなげていきます。

 

※オムロン環境方針は下記をご参照ください。

https://www.omron.com/jp/ja/sustainability/environ/management/vision/

 

・気候変動に関する取締役会の役割・監視体制

 当社グループでは、取締役会が監視・監督責任を果たし、経営と執行が一体となって環境課題に取り組んでいます。具体的には、社長CEOから権限委譲された各執行部門長がそれぞれ責任を持って気候変動や循環経済をはじめとする環境課題への対応を推進しています。取り組みの進捗状況や重要な事項については、社長CEOが取締役会に報告し、取締役会が意思決定を行い、執行に対して監視・監督するガバナンス体制を構築しています。

 さらに、環境の取り組みを含むサステナビリティガバナンスを一層強化することを目的とし、2023年度からは環境担当の取締役およびサステナビリティ推進担当役員を設置し、サステナビリティ推進担当役員を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を開催しています。この委員会では、グループ共通の環境施策や環境法規制への対応などを審議しています。また、全社の取組みを強化するため、「サステナビリティ推進委員会」の傘下に、「環境プロジェクト」を設置し、重要課題の事業実装に向けた議論や年度計画の進捗モニタリングを行っています。

 

<全社サステナビリティマネジメントと環境プロジェクト>

 

<サステナビリティ推進委員会(環境関連テーマ)の概要>

組織

メンバー

議題

開催頻度

サステナビリティ推進

委員会

(環境関連テーマ)

・環境担当取締役

・サステナビリティ担当執行役員

・ビジネスカンパニー企画長、他

・環境評価制度

・CFP取組み進捗

・環境関連法規制

・次年度計画 など

原則四半期開催

 

 

 

②戦略

 オムロンは、2030年までにバリューチェーンにおける温室効果ガス排出量の削減と資源循環モデルの構築を通じて、社会的課題を解決すると共に、更なる競争優位性が構築されている状態を目指しています。具体的な取組みは以下の表で示しています。

 

<環境(気候変動)に関する主な取組み>

取組み

戦略

温室効果ガス排出量の削減

(Scope1・2)(注1)

・徹底した省エネの推進と再生可能エネルギーを活用した使用電力のクリーン化

・自社のエネルギーソリューション事業が提供する再エネ由来の「J-クレジット」(注2)や「自己託送」(注3)などの活用

温室効果ガス排出量の削減

(Scope3カテゴリー11)(注1)

・バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量の約7割を占めるScope3カテゴリー11の削減に向けて、各事業において、省エネ性の高い製品や小型・軽量化を実現した製品の開発を進めるとともに、当該製品群のラインアップ拡充を推進

環境評価制度

・サステナブルな経済の実現を目指し、製品をライフサイクルの視点から評価し、その環境パフォーマンスを可視化する仕組み。オムロンの環境への取り組みを促進し、顧客価値を高めることを目的とする

・EUタクソノミーに基づき、サステナブルな経済の実現に向けて解決すべき環境特性ごとに評価を行い 、すべての製品が環境に配慮した「環境配慮製品」であることを確認。さらに、特定の環境特性において優れた効果を示す製品を「環境貢献製品」と位置づけ、サステナブルな経済の実現に寄与する製品として定義

(注)1 Scope1・2:自社領域から直接的・間接的に排出される温室効果ガス。

     Scope3カテゴリー11:Scope3は自社のバリューチェーンからの温室効果ガスの排出。そのうち、カテゴリー11は製造・

     販売した製品・サービス等の使用に伴う排出。

   2 J-クレジット:環境価値 (CO2を排出しない効果)を国が認証する制度。

   3 自己託送:自家発電設備を保有する事業者が当該設備を用いて発電した電力を、一般送配電事業者の送電網を介して

  遠隔地にある自社工場や事業所などに送電・供給し、電力を使用することが可能となる電力供給制度。

 

 

 

 

 当社グループが認識する気候関連リスク及び、製品・サービス市場ごとの機会は以下のとおりです。

 

<当社グループの気候変動のリスク・機会の概要と対応>

(注) リスクとして記載の物理リスクは、日本、中国を中心とする主要生産15拠点を対象として、ハザードマップ、AQUEDUCTを活用した分析を実施しました。100年に一度の災害が発生した際には、2拠点がリスクに晒されることが明らかになりましたが、再現期間を加味した年間影響額は1.5/2℃・4℃どちらのシナリオでも極めて小さいことから影響度は「小」としております。

 詳細は下記ウェブサイトをご確認ください。https://www.omron.com/jp/ja/sustainability/environ/climate_change/disclosures/

 

<気候変動シナリオの前提・影響の定義>

(注)・リスクへの影響度として営業利益に対してプラスもしくはマイナスの影響を定義しております。

   ・影響度は、特定したリスク・機会へ対応した場合を記載しております。

 

 

③リスク管理

・気候変動に対するリスクを評価・識別・管理するプロセス

 当社グループは、各事業のシナリオ分析を実施し、気候変動影響による「移行リスク」「物理リスク」を網羅的に抽出しています。これらのリスクについては、採用シナリオごとに「顕在時期」「事業および財務への影響額」を可視化し、事業および財務への影響度を評価しています。

この評価を基に当社グループにとって重要な気候変動に伴うリスクを特定し、事業リスクの一環として全社リスクマネジメントに統合しています。また、対応策の立案にあたっての重要事項は、取締役会へ報告しています。

 

・全社リスクマネジメントへの統合状況

 当社グループは、グループ共通のフレームワークで統合リスクマネジメントの取組みを行っています。気候変動リスクについても当社グループにおける重要リスクと識別・評価し、シナリオ分析によるリスクと整合させ、バリューチェーン全体での取組みのモニタリングを行っています。

 

④指標と目標

・気候変動のリスク・機会に関する指標

 当社グループは、気候関連リスク・機会を管理するための指標として、Scope1・2・3の温室効果ガス排出量、および事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギーに関する指標を定めています。

 

・温室効果ガス排出量に関する目標及び実績(Scope1・2・3)

 当社グループは、環境分野において持続可能な社会をつくることを企業理念にある「よりよい社会をつくる」ことと捉えています。2018年7月には、2050年にScope1・2について温室効果ガス排出量ゼロを目指す「オムロン カーボンゼロ」を設定しました。また、サステナビリティ重要課題の一つに「脱炭素・環境負荷低減の実現」を特定し、目標を掲げてその進捗をモニタリングしています。

なお、温室効果ガス排出目標Scope1・2におよびScope3カテゴリー11についてはSBTイニシアチブ(注1)よりそれぞれ「1.5℃」目標及び「2℃」目標の認定を受けています。

 

<温室効果ガス排出量に関する目標及び実績(Scope 1・2・3)>

 

 目標達成に向けて、エネルギー効率の改善を継続して進めるとともに、自社のエネルギーソリューション事業が提供する再エネ由来のJ-クレジットや自己託送などを活用することで、2024年度にScope2について当社グループの国内拠点のカーボンゼロ(注2)を達成しました。

 

(注)1 SBTイニシアチブ(Science Based Targets イニシアチブ):科学的根拠に基づいた温室効果ガス削減の中長期目標設定を 推奨している国際的イニシアチブ。

2 生産11拠点、非生産(本社・研究開発・販売)64拠点における自社の電力使用により排出される温室効果ガス排出量(Scope2)が対象。

3 温室効果ガス排出量(Scope1・2)の2024年度の実績は、オムロンコーポレートサイトに掲載し、第三者機関による限定的保証業務により第三者保証を受ける予定です。当該限定的保証業務は、いずれも国際監査・保証基準審議会の国際保証業務基準(ISAE)3000「過去財務情報の監査又はレビュー以外の保証業務」に準拠した業務です。

4 2030年目標値については、「SBTi基準」(SBTi criteria)に基づき2027年までに目標を見直す予定。

 

 

(参考)自然との共生(生物多様性の保全)への取組み

 当社グループでは、生態系の保全と回復を大きな課題として認識しており、2010年に「生物多様性方針」を制定し、「オムロン環境方針」で定めた取り組むべき重要な環境課題である「自然との共生」に取り組んできました。本取り組みをより強化していくため、2022年12月に策定された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」の自然との共生、ネイチャーポジティブの考え方に賛同するとともに、2024年7月に本方針を改定しました。本方針の改定にあたっては、自然資本に関するリスクと機会の開示フレームワークであるTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)等を参照しています。今後、当社グループは「生物多様性方針」を基に、生物多様性の保全を、事業のリスク管理と成長の機会と捉えて取り組むことで、社会・経済価値の創出に貢献し、ネイチャーポジティブの実現に努めます。

 

<オムロンの生物多様性方針>

 

 

 

<オムロンの生物多様性の取組み>

 

 

(4)人権に関する取組み

 当社グループが大切にする価値観のひとつとして、企業理念の中で「人間性の尊重」を掲げています。私たちが考える人間性の尊重とは、人の多様性、人格、個性の尊重はもとより、人間らしい暮らしや仕事を追求するという私たちのすべての活動の根底にある価値観です。

 私たちは、この人権責任を果たすことは持続可能な社会づくりに貢献し、持続的な企業価値の向上につながる重要な取り組みであると考えています。そのため、長期ビジョン「SF2030」においては、「バリューチェーンにおける人権の尊重」をサステナビリティ重要課題と定め、人権への取り組みを加速しています。

 

 

①ガバナンス

・人権方針

 「SF2030」のサステナビリティ重要課題のひとつである「バリューチェーンにおける人権の尊重」を実現するため、2022年3月1日にオムロン人権方針を制定しました。国際社会と協調した経営や行動に努め、バリューチェーン全体で人権侵害リスクの低減に取り組んでいます。

 

※オムロン人権方針については下記をご参照ください。

https://www.omron.com/jp/ja/sustainability/social/human-rights/

 

 

・人権推進体制

 当社グループは、経営と現場が一体となってグローバルで人権尊重責任を遂行する体制の構築に取り組んでいます。具体的には、社長CEOから権限委譲されたサステナビリティ推進担当役員の責任のもと、グローバルコーポレートコミュニケーション&エンゲージメント本部が中心となって取組みを推進しています。各領域においては、以下のように責任者が設定されています。自社領域はグローバル人財総務本部長、サプライチェーン領域はグローバル購買・品質・物流本部長、事業戦略領域は各ビジネスカンパニー長、AIを含むテクノロジーの倫理的な活用については技術・知財本部長、救済メカニズムについてはグローバルリスクマネジメント・法務本部長がそれぞれ責任を持って対応しています。

 人権尊重へのコミットメントを果たす上で重要な事項については取締役会に報告され、取締役会が監視・監督を行います。また、2023年度からは人権担当の取締役を設置し、ガバナンスの強化を図っています。サステナビリティ推進担当役員を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」は、グループ共通の人権施策や人権関連法規制への対応などを審議しています。さらに、全社の取組みを強化するため、「サステナビリティ推進委員会」の傘下に、「人権プロジェクト」を設置し、重要課題の事業実装に向けた議論や、年度計画の進捗モニタリングを行っています。

 

<全社サステナビリティマネジメントと人権プロジェクト>

 

<サステナビリティ推進委員会(人権関連テーマ)の概要>

組織

メンバー

議題

開催頻度

サステナビリティ推進

委員会

(人権関連テーマ)

・人権担当取締役

・サステナビリティ担当執行役員

・本社機能部門長、他

・人権デューディリジェンス進捗

・人権救済メカニズム運用拡大

・次年度計画 など

原則四半期開催

・人権尊重の取組みの全体像

 「オムロン人権方針」をグローバル社員に周知・浸透させるとともに、国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)に沿って、人権への負の影響を特定・防止・軽減・是正する人権デューディリジェンスの実行と人権救済メカニズムの構築をすることで、グローバルにおける人権ガバナンスを構築しています。またステークホルダーとのエンゲージメントを通じて、各取組みの実効性を高めています。

 

<人権尊重の取組みの全体像>

 

 

②戦略

 当社は、2022年度にUNGPに基づいたグループ全体での人権影響評価を実施し、バリューチェーン全体において、自らの事業活動を通じて引き起こす、または加担する可能性のある人権侵害リスクの評価・特定を行いました。この評価を通じて特定した19課題のうち、以下の図のとおり、「リスクの重要度」と「事業への関連性」の2軸からマッピング・優先順位付けを行い抽出した、優先的に取り組む7つの課題(顕著な人権課題)を中心に各責任部門が対応を進めています。

 

<特定した人権課題のマッピング>

 

<優先的に取り組む7つの課題>

課題区分

領域

優先的に取り組む7つの課題

(顕著な人権課題)

戦略

人権デューディリジェンス

自社領域

・労働環境

・労働安全衛生

・全従業員に対してオムロン人権方針と国際基準に基づく人権課題に関する研修を実施するほか、RBA(注1)のSAQ(自己評価質問書)を活用した自社生産拠点の人権侵害リスクの評価と是正措置を行っています。

・これらに加え、人権侵害発生リスクが高い拠点や対象に絞った取り組みとして、第三者監査の実施や業務委託先会社への人権研修の展開・内部通報制度の周知、日本国内の生産拠点の構内委託会社で雇用される技能実習生の雇用状況に関する確認等を進めています。

サプライチェーン領域

・労働基準

・強制、奴隷、債務労働

・児童労働

・仕入先にセルフチェックシートを配布し「オムロングループサステナブル調達ガイドライン」の遵守状況を確認し、改善を求めています。

・取引金額や重要度などの観点で選定した重要仕入先については毎年、それ以外の仕入先については少なくとも3年に1回アセスメントを実施しています。

・加えて、人権侵害リスクの高い国や属性の仕入先への深掘調査を実施するなど、階層別のリスク評価と是正を進めています。

製品・サービス領域

・テクノロジーの倫理的

 な活用

・2024年6月にオムロンAI方針を策定しました。

・これに基づき、AI活用に起因する事故や人権侵害等のリスクを最小化するとともに、既存のリスクマネジメント体制と連携したAIガバナンス委員会を運用し、オムロンの提供する製品・サービスを通じた人権侵害の発生の防止を目指しています。

救済

バリューチェーン全体

・苦情処理メカニズムと

 救済へのアクセス

・各国・地域に適した人権救済メカニズムの構築を目指しています。

・具体的には、地域ごとに当社従業員に加え構内委託先様及び仕入先が使用できる内部通報窓口を設置しています。

・また地域社会や直接取引のない二次以降の仕入先を含めたあらゆるステークホルダーの利用できる非司法的な苦情処理プラットフォームを活用しています。

(注1)RBA:Responsible Business Allianceの略。電子業界を中心とするグローバルなCSRアライアンス。

 

 なお、自社領域・サプライチェーン領域においては、RBAの求める基準を軸に取組みを進めています。

 

③リスク管理

・リスクを評価・識別・管理するプロセス

 ②戦略に記載した人権影響評価を米国NPO団体のBSR(Business for Social Responsibility)と共同で実施しました。はじめに国際規範や業界・ステークホルダーの動向調査と、海外地域統括本社を含む全社15部門に対する社内インタビュー調査を行いました。次に、国際人権基準を踏まえ人権課題を網羅的に抽出した後に、それらの中から電機電子業界特有の課題を絞り込みました。さらに当社グループのバリューチェーンにおいて権利保有者に影響を及ぼす可能性のある課題を19個特定しました。最後に「リスクの重要度」と「事業への関連性」の2軸からマッピング・優先順位付けを行い、優先的に取り組む7つの課題(顕著な人権課題)を特定しました。

(※特定した人権課題マッピングは②戦略に記載)

 

・全社リスクマネジメントへの統合状況

 当社グループは、リスクを全社的に管理する体制を構築することが重要であることを踏まえ、グループ共通のフレームワークで統合リスクマネジメントの取組みを行っています。人権リスクをグループ重要リスクと識別・評価し、人権影響評価で抽出された課題を踏まえて、定期的にモニタリングを行っています。

 

 

④指標と目標

 2024年度の主な実績は以下のとおりです。

 

 

<2024年度の主な実績>

課題区分

領域

2024年度の主な実績

人権デューディリジェンス

自社領域

・日本、中国、アジア・パシフィック、欧州、米州の主要な自社生産拠点に対するRBAのSAQの実施:22拠点

・RBA基準による第三者監査の実施と発見された課題の是正:1拠点(マレーシア拠点)

・日本国内拠点の構内委託会社で雇用される外国人技能実習生の雇用環境調査:5拠点(いずれも強制労働

 リスクが無いことを確認)

サプライチェーン領域

・重要仕入先向けのセルフチェック:60社

・全仕入先向けのセルフチェック:389社

・人権侵害リスクが高いと想定されるエリアに生産拠点をもつ仕入先への詳細なセルフチェックや開示

 情報の確認、個別ヒアリング等
  中国:151社
  マレーシア:5社

製品・サービス領域

・「AI方針」公表

・AIガバナンス委員会の運用開始

救済

バリューチェーン全体

・救済メカニズムの利便性・信頼性向上に向けた運用改善