2026年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

(1) グローバルな事業活動を支える統合リスクマネジメント

 当社グループでは、統合リスクマネジメントというグループ共通のフレームワークでリスクマネジメントを行っています。経営・事業を取り巻く環境変化のスピードが上がり、不確実性が高くなる中で変化に迅速に対応するためには、リスクへの感度を上げ、リスクが顕在化する前に察知し、打ち手を講じていく必要があるためです。

 現場だけでは対処できない環境変化から生じる問題を、現場と経営が力を合わせて解決する活きたリスクマネジメントを目指し、グローバルでPDCAサイクルを回しながら、当活動の質の向上を図っています。

 「SF2030」を実現していくため、企業理念やルールを守りつつ、いかに効率的、効果的で迅速なリスク判断を現場ができる仕組みを構築するかという点も重要なテーマとして、取組みを進めています。

 

(2) 統合リスクマネジメントの仕組みと体制

 統合リスクマネジメントの枠組みは、内部統制システムの下、Chief Risk & compliance Officer(CRO)を推進責任者とし、オムロングループルール(OGR)(注1)「オムロングループ統合リスクマネジメントルール」にまとめ、グループ経営における位置づけを明確にしています。また、リスクマネージャを本社機能部門、ビジネスカンパニー、海外の地域統括、国内外の各グループ会社で任命し(約120名)、経営と現場が一体となってグローバルの活動を推進しています。

 

 主な活動は次の3点です。

・環境変化をタイムリーに把握して、関係者で共有し、適時に影響評価を行う

・定期的に、グローバルにリスクを分析して重要リスクを洗い出し、対策をとる

・リスクが顕在化し、危機が発生した場合は、即時に報告し危機対策を講じる

 

<企業倫理リスクマネジメント委員会体制>

 

 

 取締役・監査役の参加・監督のもと、CROを委員長、主要なリスクマネージャを構成員とする企業倫理リスクマネジメント委員会(原則年4回開催)においては、重要なリスクの発生状況、環境変化、リスク対策の状況について議論・共有するとともに、グループ全体のリスク評価を行っています。

 危機が発生した場合には、速やかに経営報告され、リスクのランクに応じて危機対策本部を通じて対応を行っています。

 これらリスクマネジメントの活動状況については、執行会議や取締役会への報告を通じ、継続的な評価・モニタリングが行われます。

 また、内部監査部門により、リスクマネジメント活動を中心としたテーマ監査が行われます。

 

 

<統合リスクマネジメントのサイクル>

 

(注)1 当社グループでは、公正かつ透明性の高い経営を実現する経営基盤として、グループ共通の「オムロングループルール(OGR)」を制定しています。OGRは、リスクマネジメントの他、会計・資金、人財、情報セキュリティ、品質保証等の主な機能に対し制定されています。環境変化等を適宜・適切にルールへ反映するため、毎年見直しを行っています。

 

 

(3) グループ重要リスクとその分析

 当社グループでは、「SF2030」において、「新たな社会・経済システムへの移行」に伴い生じる社会的課題を解決するため、事業ドメインにおける社会価値創出、事業とサステナビリティとの一体としての取組みを行っています。「SF2030」のもと、2026年度から2030年度までの5年間を対象とする「中期ロードマップ SF 2nd Stage」においては、その遂行過程において企業価値の棄損を防止し、持続可能性を高めるために対処すべき重要な要素を、リスクと捉えています。

 リスクのうち、当社グループを運営する上で、グループの存続を危うくするか、重大な社会的責任が生じうるリスク(Sランク)および重要なグループ目標の実現を阻害するリスク(Aランク)を「グループ重要リスク」に位置付け、これらを顕在化させることなく許容レベルにリスクを収めるため、環境変化や対策の実行状況をモニタリングしています。

 

・2025年度末時点のリスク評価

 2025年度末に実施した当社グループのリスク分析に基づくグループ重要リスクのカテゴリーは下表の通りです。地政学リスクの高まりやAI利活用・コスト競争の激化等の環境変化、M&A等による事業領域のさらなる拡大、データビジネス推進、インド・中国等各エリア市場展開加速等の全社・事業戦略を踏まえ、特にリスクの高まりが予想され、マネジメントシステムの強化が求められる重点テーマには、予防対策やリスク事案への対応を全社レベルで実行していきます。重要リスクは、適切かつ十分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があるため、投資家の皆様の判断にも重要な影響を及ぼす可能性がある事項と考えています。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない又は重要とみなされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月22日)現在において当社グループが判断したものです。

 

<グループ重要リスクと重点テーマ>

 

 

・グループ重要リスクへの対応

① 品質                              ※ 重点テーマ

リスク認識

当社グループでは、SF 2nd Stageにおいて、13の注力事業に関するSensing&Control+Thinkおよ

びAI/データマネジメント技術の強化と、サプライチェーンの最適化によるコスト競争力の向上により、グローバルに高い成長率を実現します。

 そのような中、品質に対しては高い安全性や正確性の確保が求められ、またAI利用や製品セキュリティ等の新たな技術に対する法規制の検討・制定が進んでいます。さらに気候変動や資源循環に対する社会的要請も高く、グローバルで、製品の製造・販売を行う事業者が、使用後の回収・リサイクル・処理に至るまで一定の責任を負う(拡大生産者責任)制度等が広がってきています。

 上記の環境認識を踏まえた対策が十分に行われなかった場合、戦略の実現を阻害し、損失の発生や売上減少、ブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。

・当社グループ製品の大規模リコール

・製品環境・安全・セキュリティ関連の法規制違反

・製品セキュリティの脆弱性に対するサイバー攻撃によりネットワーク製品・サービスの稼働停止

体制

社長を最高責任者とする品質保証体制を構築し、「品質第一」を基本とする「品質基本方針」の

もと、グローバル購買・品質・物流本部が推進しています。重大な品質問題が発生した場合は、取締役会の監督のもと、迅速かつ適切に対応を行っています。

・関連OGR:品質保証ルール、製品品質リスク管理ルール

取組み

具体的には、以下を含む対策を推進しています。

・ISO9001等(ISO13485:医療機器産業、IATF16949:自動車産業)品質マネジメントシステム(QMS)の認証取得

・サービス事業に適合したQMSの適用展開

・安全リスクが高い技術(リチウムイオン電池、パワーデバイス等)に関する品質技術確立

・製品セキュリティ体制強化(外部からの脆弱性情報収集と対応(PSIRT)・セキュリティ監視活動等)

・製品環境、安全、セキュリティ関連の法規制・規格の動向の把握、影響評価を行う管理体制の強化

・品質相談窓口の設置・運用、QMS有効性監査・現場品質点検の実施

[注力取組み事例:現場品質点検]

 製品安全・事業損失リスクを考慮して各生産拠点から対象機種を選定し、QMS運用状況を確認し、現場担当者に納期・コストの過度なプレッシャーの有無やリソース管理状況等のヒアリングを行いました。

 

 

② 会計・税務                           ※ 重点テーマ

リスク認識

当社グループでは、SF 2nd Stageにおいて、注力事業やITに対する積極的な投資、インド・中国

等グローバル各エリアでの需要を捉えた高い売上成長により、2030年に掲げる挑戦的目標の実現を目指します。

 そのような中、グローバル事業に対する収益認識や無形資産評価等の会計基準や監査基準の高度化・厳格化が進むとともに、各国間の協調・連携により整備が進む国際課税ルール、各国の政策により複雑化する関税法、移転価格税制、その他租税法への適時的確な対応が求められます。

 上記の環境認識を踏まえた対策が十分に行われなかった場合、戦略の実現を阻害し、決算修正や損失の計上、多額の追徴や和解金の支払い、ブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。

・社内不正や会計基準に準拠しない不適切な会計処理の発生

・市況の悪化やシステム等への投資効果が十分でないことによる資産の貸倒や評価額の下落

・関税法や移転価格税制等に関する法規制違反

体制

財務報告に係る内部統制の基本的枠組み、取締役会で承認した「税務方針」のもと、グローバル

理財本部を中心に、会計・税務の適正性を担保するための体制・ルールを整備し、運用しています。

・関連OGR:会計・資金ルール、不正統制ルール、J-SOX推進ルール、関税・通関ルール

取組み

具体的には、以下を含む対策を推進しています。

・内部統制の自主点検強化とリスク兆候への重点監査

・外部専門家等を活用した会計基準の定期的な情報収集と影響等の調査・対応

・OECDの各種報告書や新しい国際課税ルールの整備状況などを踏まえた国際税務に係る方針の見直し

・現地法人と連携した各国・地域における税制や当局の執行状況の変化への対応

・関税コンプライアンス体制およびモニタリングの強化

[注力取組み事例:内部統制強化プロジェクト]

 中国グループ会社の自立化に伴う統制強化を目的として、購買・経費領域のリスク検知ツール導入、取引先への定期リスク評価、専門人財の追加配置等の内部統制施策が完了しました。

 

 

③ 地政学                             ※ 重点テーマ

リスク認識

当社グループでは、SF 2nd Stageにおいて、中国・インド事業の成長を加速させながらも、生産

・販売拠点をグローバルに展開し、特定のエリアに依存しない状態を目指しています。

 そのような中、米国の関税引上げや中国のレアアース等の輸出管理強化をはじめとする各国の政策動向、半導体・AI等の先端技術等の競争・保護政策の激化、イラン・ウクライナでの紛争等は、企業活動にも大きな影響を与えています。

 上記の環境認識を踏まえた対策が十分に行われなかった場合、戦略の実現を阻害し、売上減少や戦略の見直し、重大な行政罰、ブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。

・サプライチェーンの見直し等、各国経済安全保障政策への対応が遅れ、競争力が低下

・紛争発生に伴う製品供給の停止・大幅なコスト増加

・輸出規制や制裁への違反

体制

事業対応方針については、取締役会や執行会議等の経営会議体にて議論し、決定しています。法

規制対応については、各主管部門が統括し、例えば、輸出規制はグローバルリスクマネジメント・法務本部が輸出管理全社委員会のもと、グローバルに安全保障取引管理を行っています。

・関連OGR:統合リスクマネジメントルール、安全保障取引管理ルール

取組み

具体的には、以下を含む対策を推進しています。

・地政学リスク影響を低減する中長期的な生産・研究開発等の体制検討と推進

・グローバルの政治・経済情勢や法規制動向のモニタリング、経済制裁等に対する影響分析と対応

[注力取組み事例:安全保障取引管理の強化]

 各国の輸出規制や制裁が強化・複雑化する中、安全保障取引管理について、グローバルのグループ会社にて取引審査を行う体制を再整備するとともに、取引リスク判定プロセスのシステム化の検討を進めています。

 

 

④ IT・情報                            ※ 重点テーマ

リスク認識

AI、IoT、クラウドコンピューティング等のデジタル技術は急速に進展し、企業における活動も、

IT資産やデータへの依存度が高まっています。一方、当該技術を悪用したサイバー攻撃は増大しており、その手口は高度化・巧妙化しています。対象も大企業に限らずサプライチェーン全体へと拡大しています。また、安全保障や産業競争力の確保、個人の権利意識やプライバシー意識の高まりといった様々な要請を受け、データおよびプライバシーの取扱いを巡る各国の法規制は複雑化・厳格化されています。

 当社グループでは、SF 2nd Stageにおいて、コーポレートシステムプロジェクトを完遂し、データドリブンな企業運営を推進します。

 このような中、上記の環境認識を踏まえた対策が十分に行われなかった場合、戦略の実現を阻害し、損失の発生や行政罰、事業活動への支障、売上減少、ブランド価値の棄損につながるリスクが生じる可能性があります。

・大規模なシステム障害

・サイバー攻撃や個人・技術情報の管理不全による情報漏洩、事業の停止

・各国データ・プライバシー規制違反

体制

基本方針として「情報セキュリティ基本方針」を制定し公表しています。施策については、統括

担当取締役の監督のもと、情報セキュリティ、製品セキュリティ、個人情報管理の領域ごとに、各本社機能本部長が執行責任者として統制・管理しています。各領域を横断する課題については、Chief Information Officer(CIO)が議長となり、サイバーセキュリティ統括担当取締役が監督する「サイバーセキュリティ統合会議」を随時開催し、解決しています。さらに、経営レベルで推進の方向付けを行うために、社長を議長とする「情報セキュリティ戦略会議」にて優先課題と戦略を議論しています。実行面においては、CIOを議長とし、各地域のIT責任者が参画する「情報セキュリティ推進会議」を通じて施策を推進・管理しています。また、個人データについては、グローバルリスクマネジメント・法務本部長の責任のもと、各国法令動向や当社グループの状況を把握し、法規制対応の強化を図っています。

・関連OGR:IT統制ルール、情報セキュリティルール

取組み

具体的には、以下を含む対策を推進しています。

・グローバル標準のフレームワークであるNIST-CSF(注1)に準拠した評価と対策の強化

・外部専門機関を通じた包括的な脅威情報の収集とグループ内への対策の展開

・インシデント対応オフィス(CSIRT)による事故発生時の迅速な報告と被害最小化に向けた対応

・情報システムの脆弱性診断や改善の実行

・サイバー攻撃訓練の実施

・高リスクのサプライチェーンのセキュリティ確保のためリスク評価と対応の推進

・情報漏洩リスクへの対策強化(PC・ネットワークのログのモニタリング・分析)

・情報リテラシー向上のための社員教育と専門資格人財の拡充

・グローバルでのデータ越境移転プロセス構築

[注力取組み事例:サプライチェーンリスク評価のグローバル展開]

 リスクの高い個人情報および機密情報を提供している取引先に対し実施しているリスク評価及び評価に応じた改善対応をグローバルの取引先にも展開し、サプライチェーンでのセキュリティ確保を強化しています。

(注)1 NIST-CSF:米国国立標準技術研究所(NIST)が2014年に発行したサイバーセキュリティフレームワーク(CSF)。

汎用的かつ体系的なフレームワークで、米国だけでなく世界各国の公的機関や企業が準拠を進めている。

 

 

⑤ グループガバナンス・コンプライアンス

リスク認識

当社グループでは、SF 2nd Stageにおいて、大幅な権限移譲により経営スピードを加速すること

で、迅速な市場変化対応の期待に応えます。

 そのような中、公正な取引をはじめとするコンプライアンスに対する社会的要請は高く、国際機関や各国政府による反競争法的行為や贈収賄防止等に対する法規制の運用強化や、ITやAI等技術の進化やアライアンス等によるイノベーションの推進に対応した規制の検討等、事業環境は複雑化しています。日本では、サプライチェーン全体での価格転嫁等を促進する要請も高まっています。また、一部の新興国、地域においては法による統治機能が脆弱であり、政情が不安定であることから、汚職や腐敗等が社会問題化する場合があります。

 上記の環境認識を踏まえた対策が十分に行われなかった場合、戦略の実現を阻害し、重大な行政罰、ブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。

・新規事業における業法違反、許認可取得に関する不備

・競争法、取適法等の公正な取引に関する法規制違反

・接待・贈答等の贈収賄に関する法規制違反

体制

企業倫理・コンプライアンスを含む内部統制システムの基本方針は、取締役会で議論し決定して

います。また、OGRに基づくグループ会社におけるガバナンス体制の構築と運用、企業倫理リスクマネジメント委員会による活動の展開を行っています。

・関連OGR:法人運営ルール、倫理行動ルール、内部監査ルール、購買ルール等

取組み

具体的には、以下を含む対策を推進しています。

・各機能主管部門におけるグローバルでの牽制とモニタリング

・毎年10月のグローバル企業倫理月間等による定期的なコンプライアンス教育

・グローバル内部通報制度の運用

・リスクアプローチに基づく内部監査と改善指導

・購買統括部門における対象事業所に対するモニタリング・取適法研修

 

 

⑥ 事業再編

リスク認識

当社グループでは、SF 2nd Stageにおいて、事業ポートフォリオの再構築をコア戦略として位置

づけ、制御機器事業を最優先領域としてM&Aを実行する等、選択と集中を加速し中長期的な企業価値の向上を図っていきます。

 そのような中、事業の資本効率や投資により生じるのれん等に対するアカウンタビリティ、企業グループが拡大・多様化する中での適切なガバナンスが強く求められています。また、各国の経済安全保障政策による投資規制や事業再編時の法規制等が変化・複雑化する中で適時・適切な対応が重要となっています。

 上記の環境認識を踏まえた対策が十分に行われなかった場合、戦略の実現を阻害し、損失の計上や戦略の見直し

につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。

・M&A・投資先の業績・評価の悪化や想定していたシナジー効果の未発揮、コンプライアンス問題の発生

・海外投資規制への対応によるM&Aや出資審査の想定外の長期化

・事業撤退に伴う多額の費用計上、各国法規制への違反、訴訟

体制

M&A・投資・撤退の方針と実行は、投資規律のもと、経営ルールに定める責任権限に基づき取締役

会等の経営会議体にて議論・決定し、案件ごとに、ビジネスカンパニーと本社部門および外部専門家から構成されるプロジェクトチームにより推進しています。

・関連OGR:経営ルール

取組み

具体的には、以下を含む対策を推進しています。

・事業戦略に基づいたM&A・投資・事業売却先候補の探索・評価

・対象企業の財務内容や契約内容の確認等の詳細な事前審査・デューディリジェンス

・取締役会における、買収や出資後の経済効果の具体的目標進捗のレビュー(少なくとも年に1回)

 

 

⑦ 人権

リスク認識

当社グループでは、SF 2nd Stageにおいて、コスト競争力やレジリエンスの強化に向けてサプラ

イチェーンの見直しを推進するとともに、引き続き人権の尊重に取り組むことで、持続可能な社会づくりに貢献します。

 そのような中、強制労働、児童労働、低賃金・賃金未払、長時間労働、安全面や衛生面への配慮が不十分な労働環境、ハラスメントといった人権課題に対する企業への取組み要請は高まっており、デューディリジェンスによる負の影響の特定・防止・軽減・是正や強制労働により生産された製品の輸入禁止等、法規制の整備も進んでいます。

 上記の環境認識を踏まえた対策が十分に行われなかった場合、戦略の実現を阻害し、取引停止・製品の開発中止やブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。

・ハラスメントの発生、労働基準違反、労働安全衛生問題の発生

・サプライチェーン上の人権課題の発生

体制

人権課題への対応については、取締役会の承認を経て制定されたオムロン人権方針に基づいた活

動を行っています。具体的な執行体制としては、社長CEOから権限委譲されたサステナビリティ推進担当役員を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置し、グループ共通の人権施策や人権関連法規制への対応などを審議しています。また、全社の取組みを強化するため、「サステナビリティ推進委員会」の傘下に、「人権プロジェクト」を設置し、重要課題の事業実装に向けた議論や年度計画の進捗モニタリングを行っています。

・関連OGR:HRMルール、労働安全衛生管理ルール、購買ルール

取組み

具体的には、企業の人権尊重責任を果たすために、国連「ビジネスと人権に関する指導原則

(UNGPs)」に沿って、以下を含む対策を推進しています。

・RBA(注1)アセスメントツールを活用した人権リスク評価と課題の是正

・仕入先に対するサステナブル調達ガイドラインの提示・遵守状況確認

・グローバルでの人権救済メカニズムの運用

  (注)1 RBA:Responsible Business Allianceの略。電子業界を中心とするグローバルなCSRアライアンス。

 

 

⑧ 人財・労務

リスク認識

当社グループでは、SF 2nd Stageにおいて、挑戦的な目標を達成するため、社員一人ひとりの能

力と意欲を一層引き出し、事業成長や全社変革を推進していく実行力とスピードを高め、結果を出し続ける組織をつくりあげます。

 そのような中、人財の流動化が進んでおり、先端技術を保有する希少な人財の獲得競争は激化しています。また、多様な人財から選ばれる人財戦略を実行し、従業員のエンゲージメントを向上させることが、ますます重要となっています。

 上記の環境認識を踏まえた対策が十分に行われなかった場合、戦略の実現を阻害し、事業競争力の低下、ブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。

・事業成長のために必要なスキルや経験を持つ人財の流出や獲得の失敗

・従業員のエンゲージメント低下や労務トラブルの発生

体制

重要な人財戦略については、取締役会・執行会議にて議論し、決定しています。Chief Human

Resources Officer(CHRO)のもと、グローバル人財総務本部が中心となり施策を実行しています。

・関連OGR:HRMルール

取組み

具体的には、以下を含む対策を推進しています。

・注力事業への人財アロケーションの推進

・事業成長および全社変革を担う経営人財の輩出

・主体的な挑戦意欲を一層高めるための評価・報酬制度への改革

・多様な人財の意欲と能力を引き出し、成長を促すためのマネージャーのスキル強化

・エンゲージメントサーベイ「VOICE」を通じた、組織課題への主体的な社員のアクションの促進

 

 

⑨ 事業継続

リスク認識

当社グループでは、SF 2nd Stageにおいて、レジリエントなサプライチェーンを構築し、顧客・

消費者に対する社会的供給責任を果たします。

 そのような中、半導体等の重要部品や原材料について、旺盛なAI需要や中東情勢の緊迫化の継続等により、供給逼迫の影響が拡大する可能性があります。また、巨大地震、洪水・豪雨等の自然災害や感染症の発生により、社会がグローバルに機能不全に陥る可能性が継続しています。

 上記環境認識を踏まえた対策が十分に行われなかった場合、戦略の実現を阻害し、損失の発生や売上減少、ブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。

・重要仕入先からの長期にわたる部品等の供給停止

・ITインフラ等の大規模停止

・自社工場の生産停止

体制

サプライチェーンの強靭化については、全社非財務目標の一つに掲げ、グローバル戦略本部を中

心に推進します。また、自然災害については、人身の安全、社会インフラの維持、復興への全面協力等を定めた基本方針のもと、各ビジネスカンパニーと本社機能部門とが連携し、生産、購買調達、物流、ITを含めた事業継続計画を整備しています。

・関連OGR:統合リスクマネジメントルール、購買ルール

取組み

具体的には、以下を含む対策を推進しています。

・仕入先の生産地情報の一元管理、代替え生産拠点の評価体制整備

・主要製品の調達・生産体制の複線化の推進

・緊急時のエスカレーションルート・影響を把握する仕組みの整備

・有事を想定したシミュレーション・訓練

・社員の安否確認システムの運用、リスクに応じた事業所での非常食や飲料水の備蓄対応

 

 

⑩ 技術・知財                           ※ 重点テーマ

リスク認識

当社グループでは、SF 2nd Stageにおいて、注力事業に紐づく6つのコア技術を重点的に強化す

ることにより、注力13事業の成長を図るとともに、AI等の最新技術を活用し、GEMBA DXを推進します。

そのような中、企業や国家間で先端技術を巡る競争は激化しています。特に、生成AIやAIエージェント等、AI技術は急速に進化し続けており、その活用拡大に伴うリスクへの懸念を受け、各国での法規制の整備や企業に対するガバナンス強化を求める動きは活発化しています。さらに、知的財産をめぐる紛争や、電子商取引(EC)市場の急激な発展に伴う正規品を騙った模倣品の流通が、グローバルで年々増加しています。

上記の環境認識を踏まえた対策が十分に行われなかった場合、戦略の実現を阻害し、取引停止・製品の開発中止、損失の発生や売上減少、ブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。

・AI技術の利用に伴う倫理問題の発生やAIに関する規制への非準拠

・特許等の侵害や不正使用に関する紛争の発生

・当社グループの技術・ノウハウの流出やブランドの模倣

・事業戦略に連動した技術開発・知財活用が十分に行われず事業競争力を喪失

体制

コア技術への投資や開発体制の強化策の検討については、ストラテジックR&D本部長を委員長とす

る全社テクノロジーガバナンス委員会を通じて推進しています。また、AI課題への対応については、AIの適正な取り扱いとAIガバナンスへの取組みについて定めた「オムロンAI方針」のもと、AIの適正な利用に必要な活動を推進

する「AIガバナンス委員会」を設置し、AIの活用に伴うリスク低減施策やAI法規制への対応等を審議しています。さらに、知財課題への対応については、ストラテジックR&D本部を主管として、「知財ポリシー」に基づく知的財産活動を実行しています。

・関連OGR:研究開発ルール、AI統制ルール、知的財産管理ルール

取組み

具体的には、以下を含む対策を推進しています。

・重点強化技術特定と全社管理、技術人財マネジメント

・事業戦略や技術戦略と連動させた知財戦略を策定・実行し、強みのある知的財産権を蓄積

・生成AIシステムの利用にあたってのガイドラインの整備・運用

・研究開発および設計にあたっての第三者の知的財産権調査

・第三者の当社グループへの知的財産権の侵害に対する分析・評価と権利行使の強化

・オンライン取引も含む模倣品摘発活動、悪意を持った当社ブランド名と類似した商標権取得の阻止

[注力取組み事例:AI統制ルールの制定]

 AIシステムを適正に活用し、AIがもたらす価値を最大限に享受することを目的とした、AIシステムを利用・提供・開発する際に共通に適用されるグローバル社内規程を整備しました。

 

 

⑪ 環境

リスク認識

当社グループでは、SF 2nd Stageにおいて、地球温暖化や資源の枯渇といった社会課題の解決に

向け、引き続き脱炭素・循環経済の実現による環境負荷の低減を推進し、持続可能な社会づくりに貢献します。

 そのような中、企業の環境課題への取組み開示に対する第三者保証の要請や見せかけの環境配慮を排除する表示規制などの整備が進展しています。一方で、欧米を中心に、環境関連政策を見直す動きもあり、企業には、これらの政策動向を適時に把握しながら対応することが求められています。

 上記の環境認識を踏まえた対策が十分に行われなかった場合、戦略の実現を阻害し、ブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。

・環境に関する新たな取引・開示規制への違反・対応コストの増加、顧客要請への不十分な対応

・販促活動でのグリーンウォッシングと捉えられる不適切な表示

体制

環境課題への対応については、取締役会の承認を経て制定されたオムロン環境方針に基づいた活

動を行っています。具体的な執行体制としては、社長CEOから権限委譲されたサステナビリティ推進担当役員を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置し、グループ共通の環境施策や環境法規制への対応などを審議しています。また、グループ全体の環境マネジメントの強化と環境施策の加速を目的とし、本社機能部門および各ビジネスカンパニーの環境担当部門で構成される「グループ環境委員会」を設置し、事業拠点の環境目標の設定や施策の計画について議論するとともに、オムロングループへの影響が大きい環境課題の特定や施策の検討・効果測定などを行いながら、環境経営の推進を図っています。

・関連OGR:環境経営ルール、購買ルール

取組み

具体的には、以下を含む対策を推進しています。

・Scope1・2、Scope3カテゴリー1・11ごとに目標を設定した温室効果ガス排出量の削減の加速

・回収・リサイクルの拡大、循環型の原材料調達等による循環経済への移行

・気候変動関連のリスク・機会に係る情報開示

・TNFD(注1)提言に沿った生物多様性保全活動の推進

・環境評価制度を通じた製品ライフサイクル全体における環境パフォーマンスの可視化

  (注)1 TNFD:自然関連財務情報開示タスクフォース。自然資本等に関する企業のリスク管理と開示枠組みを構築するための国際的組織。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本とし、定款の定めに基づき取締役会決議によって行う中間配当を除き、剰余金の配当等の決定については株主総会に諮ります。

 

 株主の皆さまへの還元を含む利益配分に関しては、つぎの基本方針を適用しています。

 

 <株主還元方針>

(1) 中長期視点での価値創造に必要な投資を優先した上で、毎年の配当金については、「株主資本配当率(DOE)3%程度」を基準とします。そのうえで、過去の配当実績も勘案して、安定的・継続的な株主還元に努めます。

(2) 上記の投資と利益配分を実施したうえで、さらに長期にわたり留保された余剰資金については、機動的に自己株式の買入れなどを行い、株主の皆さまに還元していきます。

 

 当期(2025年度)の期末配当金については、DOE基準ならびに過去の配当額の水準も考慮したうえで安定的・継続的な配当とするため、52円とする予定です。2025年12月2日に実施済みの中間配当金52円を加えると、年間配当金は104円となります。

 次期(2026年度)の年間配当金については、前期および当期の業績拡大を踏まえ、当期比6円増配となる110円を予定しています。なお、次期の中間(第2四半期末)および期末の配当金は未定です。

 

<株主還元の推移>

 (注)1 当社は、「取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めています。

2 総還元性向の算出式は次のとおりです。総還元性向=(現金配当額+自己株式の取得金額)/当社株主に帰属する当期純利益(純損失)(単元未満株の買取分・役員報酬BIP信託および株式付与ESOP信託による自己株式取得分は含まない)。

 

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりです。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2025年11月7日

10,263

52.00

取締役会決議

2026年6月23日

10,263

52.00

定時株主総会決議(予定)

 

 

<株主総利回り(TSR)の推移>

 

         (注)TSRは、2020年度末時点の株価を基準として算出しています。