リスク
3【事業等のリスク】
[方針・推進体制]
当社グループは、事業継続性、企業価値の向上、企業活動の持続的発展を実現することを目標とし、その実現に影響を及ぼす不確実性をリスクと捉え、これらのリスクに対処するために、取締役会が決定した「内部統制体制の整備に関する基本方針」に基づき、取締役会に直属し、グループ全体のリスクマネジメント及びコンプライアンスを統括する「リスク・コンプライアンス委員会」を設置しています。リスク・コンプライアンス委員会は、代表取締役社長を委員長として業務執行取締役等で構成しており、当社グループに損失を与えるリスクを常に評価、検証し、認識された事業遂行上のリスクについて、未然防止策の策定等リスクコントロールを行うとともに(潜在リスクマネジメント)、リスクの顕在化により発生する損失を最小限に留めるため、顕在化したリスクを定期的に分析し、取締役会等へ報告を行い、再発防止に努めております(顕在化したリスクのマネジメント)。
内部統制体制におけるリスク・コンプライアンス委員会の位置づけ
また、リスク・コンプライアンス委員会は、グローバルな地域に基づく業務執行体制の区分であるリージョンごとに、下部委員会としてリージョンリスク・コンプライアンス委員会を設置し、国内外の部門やグループ会社、リージョンにリスク・コンプライアンス責任者を配置するとともに、これらの組織が相互に連携を図りながら、グループ全体でリスクマネジメント及びコンプライアンスを推進する体制を構築しております。
さらに、グループ全体のリスク管理機能強化のため、事業部門から独立した代表取締役社長直下の組織である全社リスクマネジメント室にリスク・コンプライアンス委員会事務局機能を設置し、CRMO(Chief Risk Management Officer)の下、リスク情報全般の把握と迅速かつ適切な対応を行っております。そして、2023年6月にCQO(Chief Quality Officer)を新たに選任し、情報セキュリティ、システム品質に関する全社的な施策及び対応を迅速に行うとともに、代表取締役社長主導によるリスクマネジメント経営を徹底し、リスク・コンプライアンス委員会を毎月開催することで、施策実行の迅速性と実効性を担保するよう努めております。
リスクマネジメント・コンプライアンス体制図
[潜在リスクマネジメントプロセス]
・グループにおける重要リスクの抽出・見直し
当社グループを取り巻く環境変化をふまえて、当社グループにおける重要リスク(16項目)の抽出・見直しを実施。重要リスクごとにリスクシナリオを定義。純粋リスクと経営リスクに区分。
・リスク管理部門の選出
重要リスクごとに所管部門であるリスク管理部門を選出。
・グループにおけるリスク評価
リスク管理部門/部門/グループ会社において、各重要リスクの影響度、発生可能性、対策状況等を評価。
・重要リスクのランキング化・マップ化
グループにおける評価内容をふまえ、重要リスクのランキング化・リスクマップの作成を行い、重要度を可視化。重要度をふまえて重点対策リスクを決定。
・リスク・コンプライアンス委員会報告
グループにおける評価結果をふまえた分析を実施、重要リスクの対策方針等を議論・決定。
・部門・グループ会社への是正指導
グループにおける評価結果をふまえ、部門・グループ会社にフィードバックを実施し、改善を指示。
・部門・グループ会社におけるリスクモニタリング
部門・グループ会社において定常的にリスクモニタリングを実施し、リスク対策の状況確認と低減を実施。
リスクマネジメントプロセス
[重要リスク一覧]
潜在リスクアセスメントの評価結果に加え、実際に発生したリスクである「顕在化したリスク」の状況を踏まえたうえで、当社グループの事業戦略及びビジネス目標達成への影響を鑑み、重点的に取り組むリスクを「重点対策リスク」として選定しております。
昨今の当社及び当社グループ会社の度重なる情報セキュリティインシデントやシステム品質に関する問題により、「重点対策リスク」を以下2つの重要リスクと定め、リスク・コンプライアンス委員会中心に取り組んでおります。
・セキュリティに関するリスク
・製品やサービスの欠陥や瑕疵に関するリスク
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本有価証券報告書提出日(2024年6月24日)現在において当社グループが判断したものです。なお、以下の内容は、当社グループの全てのリスクを網羅するものではありません。また、各リスクにおける対策の実施にもかかわらず、全てのリスクの発生を未然に防止できない可能性があります。
また、当社グループは経営目標の達成に向けて「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載された様々な施策を進めてまいりますが、これらの施策に影響を与える可能性のある主なリスクとその対策を、経営方針・経営戦略との関連性も考慮したうえで、以下に記述しております。
[重点対策リスク]
(1)セキュリティに関するリスク |
[リスクの概要と影響] 当社グループは、コンピューターウイルスの侵入や不正アクセス等のサイバー攻撃による社内ネットワーク・システムの運用停止や情報漏洩、不正利用等を完全に防げるとは限りません。万一、情報漏洩により個人の権利・利益を侵害した場合やお客様の情報を漏洩した場合には、当社グループの信用は低下するとともに、個人情報保護法やGDPR等の法令違反による罰金や制裁金が科されるおそれがあります。 これらのリスクは当社グループのサプライチェーン上でも発生する可能性があります。委託先におけるセキュリティリスクが顕在化した場合、お客様や当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。 また、敷地・建物・フロアの3層において物理セキュリティ環境を構築していますが、物理的な破壊による業務停止や情報漏洩等を完全に防げるとは限りません。このようなリスクが顕在化した場合、機密情報の漏洩や企業ブランド価値の毀損、ビジネス機会の喪失等、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。 |
[対策] お客様、お取引先、または当社グループの機密情報や個人情報の保護については、情報保護マネジメントシステム運用の強化を図り、社内規程の制定、従業員への教育、現場点検、監査、業務委託先も含めた指導等を実施しております。 当社グループの重要な事業活動基盤の一つである社内ネットワークにつきましては、ゼロトラストを実現するべく、IT基盤の特性に合わせて対策を講じています。標的型攻撃対策として不正アクセス対策やマルウェア対策に加え、デバイス管理、ID管理、データ漏洩対策を組み合わせた認証・認可基盤を構築し、巧妙化・多様化・複雑化するサイバー攻撃への対策を実施しております。また、グローバルに展開しているお客様向けのITシステム及び、社内ITシステムのITアセット管理を一元化し可視化することで、グループ全体のセキュリティリスクの特定と是正を速やかに実施しております。 さらに、委託先におけるセキュリティリスクへの対処として、制度・セキュリティ強化の両面からサプライチェーンのセキュリティ強化施策を進めております。 また、敷地・建物・フロアの3層において「人的警備」と「機械警備」を組み合わせた物理セキュリティ環境を構築しています。さらにより高度な物理セキュリティ環境を構築するために、なりすましを防ぐことが可能な静脈認証装置を組み合わせたセキュリティゲートを社内展開しています。 |
(2)製品やサービスの欠陥や瑕疵に関するリスク |
[リスクの概要と影響] 当社グループでは、品質を事業活動の根幹に関わる事項として捉え、快適で安心できるネットワーク社会を支えるために、その維持・向上に日々たゆまず取り組んでおります。 システムの受託開発や製品・サービスの運用・保守業務、製品の設計・開発・製造において、お客様要求の高度化、システムの複雑化が進み、開発難度が高まり、製品の欠陥や瑕疵等が発生する可能性があります。また、競争の激化による価格低下により、納期遅延や不採算プロジェクトが発生する可能性があります。このような製品・サービスの欠陥、瑕疵や納期遅延等が発生した場合、製品回収や補修、システムリカバリー作業や、お客様への補償、機会損失等が当社グループの売上及び損益に影響を及ぼします。 また、万一、欠陥や瑕疵等への対応における判断誤りや組織的な不正があった場合、企業レピュテーションは低下し、当社グループの損益への影響を拡大させる可能性があります。 |
[対策] システムの受託開発及びサービスの開発においては、品質管理の全社ルールを定め、ソフトウェアのモジュール化、開発の標準化、セキュリティ監査等による品質向上に努めております。開発プロジェクトの進捗やテスト密度・不具合検出率等、開発現場で発生する品質に関わる情報を共通プラットフォームであるFujitsu Developers Platformに乗せてEVM(Earned Value Management)や品質メトリックスの標準化と合わせて、タイムリーに分析してアラートを上げることにより、品質不良のリスクを早期に把握・対策する仕組みを構築することを目指しています。また、お客様との契約のあり方を見直すとともに、ビジネスプロデューサー・SEのビジネスプロセスの標準化を進め、商談発生時からプロジェクトの進行を通じてリスク管理を行い、納期遅延や不採算プロジェクトの発生を抑制しております。併せて損失の引当ても適時に実施しております。 製品・サービスの運用・保守業務では、安定稼動のため、お客様と協働での点検や品質、契約、ルール等を改善する活動を継続的に行っております。 製品の設計・開発・製造では、品質管理の全社ルールを定め、関連法規の遵守・最新基準への適合、品質の向上及び外部購入品の品質管理を進めております。 そして、パブリックサービスに対する品質統制を厳格化し、商談から運用・保守までの状況の見える化、品質状況の可視化、第三者による設計プロセスの確認、品質成熟度の評価による品質の確保に努めております。 また、重大障害の抑止に向けて、全社的な品質保証体制強化のため、事業部門ごとの品質保証プロセスに加え、社長直轄組織による開発プロセスのエンハンスや各プロセスの有効性の監視や、部門間での知見・ノウハウを共有する横断的な仕組みの導入・改善を進めております。 |
[重要リスク]
(3)自然災害や突発的事象発生のリスク |
① 自然災害・感染症・火災等に関するリスク |
[リスクの概要と影響] 近年、世界的な気候変動により、台風・水害・大雪等の自然災害の発生頻度や影響度は高まっております。また、首都直下・南海トラフ等における巨大地震、感染症のパンデミック、火山噴火等の不測の事態は、被害想定を超えた規模で発生する可能性があります。このような事態が発生した場合、事業所の機能停止、設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、部材メーカーからの部品供給の不足や遅れ、サプライチェーンへの被害等により、お客様へのサービス提供や製品出荷の停止等、当社グループの事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。 |
[対策] 当社グループでは、防災に関する強固な連携体制の構築と事業継続対応能力強化を図るため、全社防災組織を編成し、様々な訓練を実施しております。また、過去の地震における対応を教訓として、事業所における耐震・浸水対策や定期点検の取り組みについても強化しております。さらに、地震や大規模な水害、火山の噴火等の自然災害、新型インフルエンザ等の感染症の流行、火災・爆発等の発生時にも、重要な事業を継続し、企業としての社会的責任を遂行するとともに、お客様が必要とする高性能・高品質な製品・サービスを安定的に供給するために、事業継続マネジメント(BCM:Business Continuity Management)を構築するとともに、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の策定や継続的な見直し及び改善を行っております。 また、感染症によるパンデミックの経験をふまえて、お客様、お取引先、従業員とその家族の安全確保を最優先とし、お客様への製品・サービスを継続して提供する体制を構築することにより重要な事業を維持し、社会的責任を遂行できるよう努めております。 |
② 紛争・テロ・政情不安等に関するリスク |
[リスクの概要と影響] 当社グループは、グローバルにビジネスを展開しているため、各国・各地域において、紛争・テロ・デモ・ストライキ・政情不安等が発生した場合、サプライチェーン等の当社グループの事業に大きな影響を与える可能性があります。また、従業員等が巻き込まれ、安全が脅かされる可能性があります。 |
[対策] 各国・各地域におけるリスク情報の収集や事業の棚卸を行い、関係者間で共有するとともに、調達先におけるBCPの推進や、従業員の緊急連絡体制を構築し従業員の安全管理を行う等、情勢を見極めながら、ビジネスを継続するよう努めております。 |
(4)コンプライアンスに関するリスク |
[リスクの概要と影響] 当社グループは、グローバルにビジネスを展開しており、競争法・贈賄禁止法・輸出管理法等国内外の関連法令・規制等を遵守する必要がありますが、これらの関連法令・規制等に抵触する事態が発生した場合、多額の課徴金や損害賠償を請求される可能性があります。また、不正会計等により監査法人から監査報告を受けることができない、または有価証券報告書の提出ができない、もしくは過去に提出した有価証券報告書の訂正をしなければならなくなる事態が発生した場合、株価の下落や、株主からの損害賠償請求に繋がり、当社グループの社会的信用が失墜する可能性があります。 |
[対策] 当社グループでは、最新の法令をふまえたルール・規程の制定と継続的運用を行うことで、業務上、役員や従業員による法令違反が生じないように統制しています。不正会計等についても、内部統制評価を行い、内部統制監査を受けることで、業務プロセス上で適正な事務処理及び経理処理がされるようにしております。また、経営層からのトップメッセージの発信やe-Learningの定期的な実施、営業部門向け研修を実施し、従業員のコンプライアンス意識の向上に努めるとともに、内部通報制度の整備と運用、発覚後の調査・対策体制を整備しております。 |
(5)財務に関するリスク |
[リスクの概要と影響] 当社グループに対して外部の格付け機関が発行する格付け(CSR・サステナビリティ関連の格付けを含む)は、資金調達や企業レピュテーションに大きな影響を及ぼすとともに、お客様やお取引先と取引する際の信用情報として使われることがあります。収益計画の未達や財務状況の悪化等の理由によりこれらの格付けが引き下げられた場合、当社グループの資金調達に影響を及ぼすほか、入札等、取引参加において不利になる可能性があります。また、お取引先の経営悪化や経済情勢の悪化等の信用不安等は売掛債権の回収に影響を及ぼす可能性があります。 |
[対策] 当社グループでは、資金調達に関する対策として、流動性の確保、資金調達計画の策定、金融市場動向の分析等を行っております。また、与信管理に関する対策として、与信管理関連部門による意見交換、及び外部機関の企業信用調査情報等の関連部門との共有と動向監視、債権保全に関するアドバイス・指示及び注意喚起の実施等を行い、リスクの低減を図っております。 |
(6)知的財産に関するリスク |
[リスクの概要と影響] 当社グループでは、研究開発活動を通じ、他社の製品やサービスと差別化できる技術やノウハウの創出に努めておりますが、かかる技術やノウハウは、法的・経済的な制約のために知的財産としての十分な保護が受けられない場合があります。そのため、他社が当社グループの技術やノウハウを使って類似した製品やサービス等を製造、販売することを効果的に防止できない可能性があります。また、他社が類似、またはより優れた技術を開発した場合、当社グループの知的財産の価値が低下することがあります。当社グループの知的財産を適切に保護・活用できない場合、当社グループ事業の成長の阻害や、利益の逸失に繋がる可能性があります。 当社グループの製品やサービスおよび活動について、他社の知的財産権を侵害している、あるいはオープンソースソフトウェアを含む第三者のソフトウェアの利用形態が許諾条件に沿わないとされ、使用料支払いや設計変更費用等が発生した場合、当社グループの損益に影響を及ぼす可能性があります。 |
[対策] 知的財産の保護・活用においては、当社グループの事業戦略や事業環境の変化を踏まえ、より効果的な知財戦略への見直しを行い、推進しております。また、他社の知的財産権を侵害することのないよう、社内規程や体制の整備、ソフトウェア利用の管理体制の強化、製品・サービスの商品化プロセスにおける他社知的財産調査等を行っております。 |
(7)環境・気候変動に関するリスク |
[リスクの概要と影響] 当社グループでは、パーパスとして、イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくことを掲げており、環境を含むサステナビリティ課題への対応を経営の最重要事項の一つと位置付けています。しかし、事業活動を通じて環境汚染等が発生した場合、当社グループの社会的な信用低下や、浄化処理等の対策費用発生等により損益に影響を及ぼす可能性があります。 また、近年、気候変動等により発生頻度・影響度が増大した自然災害は、調達・物流・エネルギー供給網を寸断し、気温の長期的な変化は空調エネルギー使用量の増加を招き、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。現在、世界各国が2050年までにカーボンニュートラルを目標に掲げていく中で、機関投資家も気候変動への取り組みを投資基準とする等、社会・経済のカーボンニュートラルへの流れが加速しています。温室効果ガスの排出量の規制強化や炭素税の導入に加え、顧客や社会のカーボンニュートラルへの貢献が求められていますが、これらの規制等に適合できない、あるいは社会が期待する以上の貢献ができない場合、後追いでの規制対応のためのコストの増加、企業レピュテーションの低下によるビジネス機会の損失や、環境ラベル取得などの市場のスタンダードへの適合を条件とする入札に参加できなくなる可能性があります。また、お客様・社会のCO2削減、エネルギー源の電化シフト、エネルギー需給の最適化、再エネ拡大といったカーボンニュートラルな社会システムへの転換や気候変動適応を支援するソリューションに対する需要の急速な高まりにより、省エネ・カーボンニュートラルに貢献するソリューションや、気候変動の適応に貢献するソリューションを提供できない場合、または他社と比べて削減できるエネルギーが少ない場合は、ビジネス機会の損失や市場シェア及び利益率の低下に繋がり、当社グループの売上及び損益に影響を及ぼす可能性があります。 |
[対策] 当社グループでは、法律・条令等に基づき社内規程を整備し環境負荷の低減や環境汚染の発生防止等に努めています。エネルギー使用量においては、環境パフォーマンス管理システムによる事業所のエネルギー使用量の把握を行うとともに、電力においては、社内の調達電力システムを活用し、各社の電力料金の比較・分析を行い、契約電力のコストやCO2排出量等の最適化を図っています。排水・排ガスにおいては、関連法律・条例等の排出基準よりも厳しい自主管理値を設定し、定期的な測定により数値の監視を行っています。また、当社グループ工場跡地では、土壌や地下水の調査及び浄化活動を行っています。 さらに、主要な外部評価の評価基準を分析し、環境経営の評価軸に組み込んだ情報開示、環境パフォーマンス向上を狙いとした改善を図るとともに、グローバルな環境リーディング企業として社会的責任を果たすために、気候変動対策としてSBTiよりネットゼロ認定を取得するとともに、顧客や社会のカーボンニュートラルを戦略的に推進しています。顧客や社会のカーボンニュートラルに貢献するため、環境配慮製品やソリューションの設計・開発を行うとともに、EPEAT等の環境配慮製品ラベルを取得し、また、効率的な環境価値取引のエコシステムの構築を目指す新たなプロジェクトを開始し、企業や国を超えたCO2削減量等の環境価値取引市場に対して、ブロックチェーン技術やカーボンニュートラル関連技術に基づく環境価値流通プラットフォームの市場適用と活性化に向けた取り組み等を行っております。 |
(8)調達先・提携等に関するリスク |
調達に関するリスク |
[リスクの概要と影響] 当社グループが提供する製品・サービスは最先端の技術を使用しており、汎用的ではない部品や希少性の高い原材料等を使用することがあります。そのため、一部の部品・原材料等については、安定的な調達が困難な場合や、代替の調達先を確保できない場合、大量に調達が必要な部品・原材料等について、必要な量を調達できない可能性があります。また、お取引先において、自然災害、感染症の流行、事故、経営状況の悪化等が発生した場合は、当社グループに対する部品・原材料等の安定的な提供が困難になります。さらに、世界中で発生する異常気象やそれに伴う災害、国際情勢の不安定化等、部品・原材料等の安定的な調達に影響を及ぼす事象は増加傾向にあるため、部品・原材料等を十分に確保できない場合、製品・サービスの提供が遅れ、お客様への納期遅延や機会損失等が発生する可能性があります。 当社グループの調達部品等については、為替動向や需給逼迫等により調達価格が当初の見込みを上回り、製品・サービスの利益率の悪化や、値上げによる売上の減少が起きる可能性があります。 また、できる限り品質確保に努めておりますが、購入品の不良を完全に防げない場合には、納期遅延や製品不良が発生し、機会損失、修理回収費用、不良品廃却費用、お客様への賠償責任等が発生する可能性があります。 |
[対策] 当社グループでは、部品単位での製造拠点・調達先の各対策状況調査や、調達のマルチソース化、お取引先への事業継続マネジメント(BCM:Business Continuity Management)の働きかけ、支援の強化、及び適正な在庫の確保等をすることで、サプライチェーンの維持に努め、リスクの低減を図っております。 |
提携・アライアンス・技術供与に関するリスク |
[リスクの概要と影響] 当社グループは、グローバルなICTビジネス環境における競争力強化のため、業務提携、技術提携、合弁等の形で、多くの会社と共同で活動を行っておりますが、経営、財務、その他の要因により、協力関係を成立、または、継続できない場合や、これらの協力関係から十分な成果を得られない場合があります。当社グループの製品・サービスは、他社の許諾を受けて使用している多くの特許や技術、ソフトウェア、商標等を前提としておりますが、これらの技術等について、今後、当社グループが許容できる条件で、他社からの供与や使用許諾を受けられない場合には、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。 |
[対策] 当社グループでは、業務提携、技術提携、合弁等で他社との関係を構築する際、リスクを的確に認識・評価した上で契約条件等への反映を行うとともに、継続的なモニタリングを行うことで、当社グループへの影響を最小限に抑えるよう努めております。 |
(9)お客様に関するリスク |
[リスクの概要と影響] 当社グループのビジネスは、日本政府、自治体、各国政府等の公共機関、情報通信事業、金融業、製造業、流通業、ヘルスケア産業等のお客様との取引割合が高く、また、海外ビジネスにおいては、各国における政府系のプロジェクトが重要な事業となっております。お客様の政策・方針や、業界の経営環境、市況変化、業界再編の動き等は、お客様のICT投資動向の変化につながり、お客様のICT投資計画やその見直し及びお客様の製品・サービスの売れ行き等は、当社グループの製品・サービスの需要や価格に大きな影響があります。また、お客様との信頼関係や、取引または契約関係が継続できない場合、当社グループの売上及び損益に影響を及ぼします。 |
[対策] 当社グループでは、社会的な課題解決を念頭に置いた事業活動を行うとともに、市場動向、技術動向、お客様の状況の変化を注視しており、ICTのライフサイクルにわたるソリューションを提供し、長期的な信頼関係を築くことを目指しております。当社グループは、お客様を取り巻く環境変化に対して多様な業種への実績、理解とデジタルテクノロジーを活用し、人とデータを中心とした新たな生活様式を築いていく役割を果たしております。 |
(10)競合・業界に関するリスク |
[リスクの概要と影響] 市況の変化や競争激化、技術革新等は、製品・サービスの価格下落につながる可能性があります。そのため、想定を上回る価格下落が生じた場合や、調達価格が大幅に変動した場合等には、十分なコストダウンや販売拡大を実現できず、当社グループの売上及び損益に影響を及ぼします。 また、ICT業界では、既存の競合他社に加え、異業種を含めた新規参入者との競争も激しくなっています。現在、競争優位性を持っている分野においても、新規参入業者を含めた競合他社との競争に晒され、将来の事業において優位性を確保できない可能性があります。ICT業界では技術の進歩が大変速く、新製品や新技術であっても急速に陳腐化します。これらの技術開発競争で他社に優位性を奪われた場合、シェアや利益率が低下し、当社グループの売上及び損益に影響を及ぼす可能性があります。 |
[対策] 当社グループでは、技術の進歩や競争激化等による製品・サービスの低価格化を想定し、社会動向に基づいた課題を洞察するとともにお客様のニーズや他社状況を把握し、競争力のある製品・サービスのラインナップを拡充することで販売拡大に努めるとともに、コストダウンに取り組んでおります。 また、競争力維持のためには、先端技術の研究開発を続けることが必要です。当社グループは適切な研究開発への投資を実行することで、当社グループ事業の強み、競合他社等との差異を明確にし、技術やサービスの優位性を確保するよう、努めております。 |
(11)公的規制・政策・税務に関するリスク |
[リスクの概要と影響] 当社グループは、グローバルにビジネスを展開しているため、各国・各地域の数々の公的規制、政策動向、税務法制、運用等の影響を受けます。事業展開する各国・各地域において、政府の政策、事業及び投資の許可、輸出入に関する制限等のさまざまな規制並びに、独占禁止、知的財産権、消費者、環境・リサイクル、労働条件、派遣・下請、租税等に関する法令の適用を受けております。 さらに、昨今の国際情勢は、各国・各地域の政策に影響を及ぼしており、特に、経済安全保障に基づく企業活動への規制が強化される傾向にあります。このような政策の変更や規制の強化は、当社グループが対象としている市場やサプライチェーン等に影響を及ぼし、対応コストの増加や仮に強化された規制等の違反が認定された場合の制裁金等の負担が発生する可能性があります。 また、当社グループがソリューションを提供する分野には、通信、医療、工事、個人情報の取扱い等、公的規制を受ける領域があるため、これらに関する規制の動向が当社グループの事業へ影響を与える可能性があります。 |
[対策] 当社グループでは、各省庁や業界団体等から情報収集し分析を行うことで、各国・各地域における規制や政策の動向を注視しております。また、経済安全保障分野においては、今後も規制が厳しくなる方向であると捉えており、国内外の規制動向、さらには政府・企業の動向も注視したうえでグループ内の対応体制を整備しております。 |
(12)人材に関するリスク |
[リスクの概要と影響] 当社グループの成長と利益は、人材に大きく依存するため、経営者、優秀な高度専門技術者等、必要とする人材を採用及び育成するとともに、人材が継続して働くことができる環境を整備することが重要です。人材を採用または育成することができない場合、流出を防止できない場合や重大な労務問題が発生した場合は、当社グループの成長や利益に影響を及ぼす可能性があります。 |
[対策] 当社グループでは、高度専門技術者に対する個別処遇やジョブ型人事制度等、多様性やチャレンジを尊重する組織風土を醸成するための制度改革を行うとともに、Work Life Shiftの推進により、テレワーク勤務を基本とし、また、フレックスタイム制や裁量労働制等の柔軟な勤務形態を積極的に活用することで、適切な労務管理を実現し優秀な人材を確保し活躍し続けられる環境を整備しております。 |
(13)人権に関するリスク |
[リスクの概要と影響] 昨今、欧州において人権に関するデューデリジェンスが義務化される等、人権尊重への取り組みが一層強く求められるように変化しており、当社グループはもとより、サプライチェーン上での労働環境や紛争鉱物等の人権に関するリスクを防止・低減することが求められています。もしこれらに関して人権リスクが発生した場合は、人材の流出やビジネス機会の損失、行政罰等により当社グループの社会的信用の失墜に繋がり、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。 さらに、急速に普及が進んでいるAI技術を利用したビジネスに関して人権を侵害する事象等が発生した場合も、同様に損害賠償や当社グループの社会的信用の失墜に繋がる可能性があります。 |
[対策] 当社グループは、Fujitsu Wayにおいて、当社グループの従業員として厳守すべき事項を行動規範(人権の尊重、法令遵守、公正な商取引等)として定めるとともに、これを詳細化して個々の従業員が行動する際のガイドライン(GBS:Global Business Standards)をグループで統一的に運用し、社内ルールの浸透と徹底、規範遵守の企業風土の醸成を図っております。そのための社内体制や仕組みの構築を推進するため、経営層からのトップメッセージの発信や定期的な従業員教育(人権、差別・ハラスメント防止等)の実施を行っております。2022年度においては、人権デューデリジェンスのプロセスである人権影響評価を実施いたしました。最新の国際動向をふまえて、人権に関するリスクを整理し、重要性・事業関連性から優先課題を特定し、この評価を基に、当社グループの人権方針である「富士通グループ人権ステートメント」を改定し、当社グループやサプライヤーへの周知を行っております。AIビジネスに関しては、AI倫理指針である「富士通グループAIコミットメント」に基づき、従業員教育の実施やAIの開発・提供者として自らを律し、お客様から信頼されるビジネスパートナーとなるための実践的なAI倫理ガバナンス体制を構築したほか、全AIビジネスについてAI倫理審査を実施しております。 |
(14)経済や金融市場の動向に関するリスク |
① 主要市場における景気動向 |
[リスクの概要と影響] 当社グループは、日本国内及び世界各国で、政府等の公共機関や企業等に、ICT分野において各種サービスを提供しております。また、事業ブランドであるUvanceビジネスは、グローバル共通の戦略として展開しております。これらの事業の売上及び損益は、景気動向及び各市場における急激な需給バランスの変化に大きく左右されます。特に、主要市場である、日本、欧州、北米、オセアニア、中国を含むアジアにおける景気動向及び急激な需給バランスの変化は、当社グループの事業に影響を与えます。 |
[対策] 急激な市場の変化に対応するため、グループ全体の戦略や事業ポートフォリオの方針を明確化するとともに継続的な構造改革を行うことで、リスクの低減を図っております。 |
② 為替動向と金利変動及び資本市場の動向 |
[リスクの概要と影響] 当社グループは、グローバルでの事業拡大を進めております。そのため、急激な為替変動は、海外に輸出提供する製品・サービスの価格競争力の低下や、海外からの部材等の輸入に影響を及ぼす可能性があり、海外ビジネスの売上及び損益に大きく影響します。海外に保有する資産・負債等についても、資産等が目減り、または負債等が増大する可能性があります。 さらに、有利子負債の中には金利変動の影響を受けるものが含まれているため、金利上昇により支払利息や調達コストが増加する可能性があります。 また、国内外の株式市場の動向は、保有する他社株式の評価額及び年金資産の運用状況に大きく影響を及ぼし、株式市場が低迷した場合、保有株式の評価減や、年金資産の目減りによる会社負担増大のおそれがあります。 |
[対策] 為替変動等の金融市場環境に関する情報収集や動向注視、金融機関動向の分析等を行いながら必要に応じて為替予約等のヘッジを実施しております。また、グループ全体に情報共有を行うとともに、影響の最小化を図っております。 |
(15)投資判断・事業再編に関するリスク |
[リスクの概要と影響] ICT業界においては、競争力維持のために多額の研究開発投資、設備投資及び事業買収・売却、事業再編等が必要な場合があります。 当社グループが有望と考えた市場や技術、買収先が想定ほど成長しない場合や、需給悪化や価格下落が予想以上に早く発生した場合には、投資から十分なリターンを得られず、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 |
[対策] 当社グループでは、投資や事業再編にあたり、市場動向やお客様のニーズ、当社グループの技術の優位性、当社グループの事業ポートフォリオ等を勘案するとともに、投資効率を検証し、評価指標とプロセスを定め、所要変動に応じて投資を複数段階に分けることやお客様等と提携することで、リスクの低減を図っております。 |
(16)当社グループの施設・システムに関するリスク |
[リスクの概要と影響] 当社グループでは、国内外に事業所・工場・データセンター等の様々な施設を保有・賃借するとともに、他社ベンダーのクラウドサービスを活用しております。地震、大規模な水害、火災、放射能汚染等の災害や感染症、テロ、デモ、ストライキ、施工品質の不足、運用ミス等が発生した場合、生産ラインの停止や、施設、社内基幹情報システム等の運用停止により、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。 |
[対策] 当社グループでは、社内基幹情報システム等においては、24時間365日体制によるシステム監視と運用体制を構築するとともに、事業継続計画書に基づいた対策を実施しています。また、いずれの施設・サービスについても、建築基準その他の規制に準拠した独自の安全基準を設け、リスクの低減を図っております。 |
配当政策
3【配当政策】
当社は、会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等をすることができる旨を定款第40条に定めております。
当社定款の定めにより取締役会に与えられた権限の行使に関する基本的な方針は、当社のキャピタルアロケーションポリシーのもと、持続的な事業の成長に基づき、株主の皆様に安定的な剰余金の配当の実施を継続することにあります。また、資金需要バランスも見ながら、長期間留保している余剰資金を原資に機動的な自己株式の取得も行ってまいります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当金 (円) |
2023年10月26日 |
24,498 |
130 |
取締役会決議 |
||
2024年5月29日 |
23,910 |
130 |
取締役会決議 |