2026年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社グループでは、「内部統制システムの基本方針」に規定する「損失の危機の管理」に基づき、リスクの未然防止及び発生時の影響最小化を目指し、「リスク管理規則」等の必要な規則及び体制を整備しています。リスク管理規則では「リスクを特定・分析し、対策を講じる」プロセスを毎年実行し、持続的かつ円滑な事業運営を図ることを目的としたリスク管理の運用ルールを定めています。その運用は、広報IR部が主管部門となって運用を行っています。

具体的には、リスク管理フローに基づき、担当各部門が想定されるリスクの発生可能性(頻度)とその影響度(売上・利益への影響等)を評価し、重要度の高いリスクに対しては優先的に回避策・軽減策・移転策を検討・立案・実行しています。これらの対策について、担当各部門に対して広報IR部がヒアリング等を通じて実施状況の確認及び有効性の評価を行っています。年度毎のリスク評価結果は、マネジメントレビューを経て取締役会に報告され、全社員に展開されます。また、事業計画や中期事業計画等の策定においては、策定プロセスでのリスク分析と対策を計画に織り込んでいます。

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重大な影響を与える可能性がある主要なリスクを以下に記載します。ただし、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクからの影響を将来的に受ける可能性もあります。

なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 戦略リスク

① 市場動向・競争環境の変動

発生可能性:高

影響度:大

リスク

当社グループの売上の大半を占めるディスプレイ製品は、それを搭載する製品市場の変動や競争環境の影響を受けます。具体的には、景気の変動、消費者嗜好の変化、季節性等により市場が大幅に変動した場合、売上高の減少、過剰在庫に伴うコスト増加や評価損、さらには工場稼働率の低下による機会損失が発生する可能性があります。さらに、競合他社との競争が激化した場合、売上高が減少し、販売価格が低下する可能性もあります。

対応策

・顧客の需要動向を注視し、適切な在庫管理や生産管理に努めるとともに、BEYOND DISPLAY戦略のもと、製品ポートフォリオの変革を通じた売上高の維持・拡大、及び販売価格の維持・適正化を目指しています。

ディスプレイ事業においては、生産体制の見直しを進め、茂原工場での生産終了及び国内生産の石川工場への集約を通じて、生産効率の向上に取り組んでいます。また、製品構成の最適化等を通じて、収益性を重視した事業運営を行っています。

・センサー及び先端半導体パッケージング事業では、当社グループがディスプレイ事業で培った独自技術を活用するとともに、外部企業との協業等を通じて競合他社との差別化を図り、競争優位性を確保します。

・自社の競争環境をより正確に把握するため、競合分析と外部環境分析を継続します。

 

 

② 技術・研究開発

発生可能性:低

影響度:大

リスク

当社グループは、高度な技術を必要とするディスプレイの製造・販売を行っており、その技術優位性の確保は、当社グループの競争力にとって極めて重要です。そのため、高い技術優位性の維持・向上のために弛まぬ研究開発活動を推進しています。しかしながら、当社グループの技術が顧客に採用されない場合や、他社の技術開発により当社グループの技術優位性が相対的に低下した場合は、売上高の減少により当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループは独自技術を基盤とする「技術立社」として、社会と人々の課題解決に取り組んでいます。技術の研究開発においては、競合他社の開発・製品化情報の把握や顧客のニーズを考慮した当社の技術戦略のもと、研究開発対象の厳選、開発段階での進捗レビュー及び継続是非の判断を行っています。また、中長期的な視点から、技術開発に必要な知識・スキルの向上や、開発・製造プロセスの効率化に取り組んでおり、こうした取組みを通じて、技術競争力の維持・強化を図っていく方針です。

 

 

 

③ 他社との協業・提携

発生可能性:中

影響度:大

リスク

当社グループは、競争力強化や収益性向上、長期的な供給体制の維持、及び新技術・新製品の開発のため、部材サプライヤー、装置メーカー、顧客を含む外部企業との協業を行っています。今後も競争力強化のため、新たな協業の推進、戦略的提携、出資・買収等を実施する可能性があります。これらの企業戦略が、資金の制約、戦略上の目標変更、技術管理又は製品開発等における問題の発生、あるいは関係当局からの許認可等の規制、市場の変動等により、維持又は実施できなくなった場合、又は実施後に十分な成果が得られない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループは、協業や出資等の企業連携に際して、対象となる市場や事業並びに相手先企業の経営状況等のリスク分析を行った上で判断をしています。また、実行中は協業や提携の進捗をモニタリングし、必要に応じて戦略の軌道修正や組織再編を行い、事業ポートフォリオマネジメントの実行に取り組んでいます。

 

 

(2) 財務リスク

① 資金調達

発生可能性:高

影響度:大

リスク

当社グループでは、運転資金の調達を目的としたいちごトラストからの借入を行っています。

しかしながら、いちごトラストや金融機関等からの借入が困難となった場合、その他の資金調達手段が十分に機能しない場合、あるいは資産売却が計画どおりに進まない場合には、必要な資金を確保できず、当社の事業遂行に支障をきたす可能性があります。また、借入に伴う金利の増加による負担が当社の財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、新株予約権の行使がなされない、又は一部のみの行使にとどまった場合には、資金不足に陥るリスクがあり、一方で、新株予約権が行使された場合には、株式の希薄化により既存株主の持分比率が低下し、株主価値に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、希望退職の実施及び茂原工場での生産終了等の構造改革を通じて、固定費の削減を含む事業構造の改善に取り組んできました。また、2026年5月13日付のいちごトラストによる第14回新株予約権の一部行使に伴う普通株式発行により、約96億円を調達しております。引き続き当該新株予約権のいちごトラストに対する行使要請をするとともに、BEYOND DISPLAY戦略の推進による業績改善を図ることで、キャッシュ・フローの改善及び財務基盤の強化に努めるとともに、キャッシュマネジメントの高度化を通じて、資金調達手段の多様化と安定性の向上を目指しております。

引き続き、外部資金への依存度の抑制を含め、財務の健全性確保に向けた取組みを進めてまいります。

 

 

② 為替変動

発生可能性:高

影響度:中

リスク

当社グループの顧客や取引先には、欧米や中国等の海外企業が多く含まれており、為替相場の変動は外貨建てで取引される製品・サービスの売価や費用に影響を与え、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。さらに、海外子会社の現地通貨建ての資産・負債は、連結財務諸表作成時に円換算されるため、当社グループの財政状態もまた為替相場の変動により影響を受けます。

対応策

当社グループでは、主要通貨の短期的な為替変動の影響を最小限に抑えるため、ドル建ての支払いとドル建ての回収を組み合わせる為替マリーや、外貨建債権・債務の決済期間を短縮するネッティング等のオペレーショナルヘッジを活用し、為替変動リスクを低減しています。現在、当社では長期的なヘッジ取引の設定に制約を受けていますが、当社の信用状況が改善した際には、改めて最適なヘッジ戦略の検討を行う予定です。

 

 

③ 支配株主との関係

発生可能性:高

影響度:大

リスク

いちごトラストは、2026年3月31日現在、当社の議決権の78.2%を保有する支配株主であり、株主総会における決議に対して重大な影響力を有しています。また、当社の取締役であるスコット キャロン氏は、いちごトラストとの間の投資一任契約に基づき、いちごトラストから投資運用に関する権限を受託しているいちごアセットマネジメント・インターナショナル・ピーティーイー・リミテッドへの投資助言を行う、いちごアセットマネジメント株式会社の代表取締役社長であり、当社の経営判断において、いちごトラストの利益との間で利益相反が生じ得る関係にあります。さらに、いちごトラストが当社株式を売却する場合、その方式や規模によっては、当社株式の需給関係や市場価格に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社は、2021年3月期に指名委員会等設置会社へ移行し、社外取締役が過半数を占める監査委員会、指名委員会、報酬委員会を設置することで、経営の独立性と透明性の確保を図っています。また、取締役会全体でも独立取締役が過半数を占め、支配株主の影響を適切に監視・抑制する体制を整備しています。さらに、いちごトラスト及びその関係会社との取引については、利益相反の懸念を回避するため、スコット キャロン氏は当該取引に関する取締役会の審議及び決議には参加しない運用を徹底しています。加えて、東京証券取引所プライム市場の上場維持基準への適合のために、株主構成の多様化に向けた施策を推進するとともに、株式売却に際しては市場への影響に十分配慮する観点から、独立した経営判断を前提に適切な情報共有を行っています。

 

 

④ 上場維持基準への不適合

発生可能性:高

影響度:大

リスク

当社は、2026年3月31日現在、債務超過となり、東京証券取引所プライム市場における純資産の額に係る上場維持基準に適合しておりません。このため、2027年3月末までに債務超過を解消できない場合には、当社株式が上場廃止となります。

加えて、当社の流通株式比率は20.1%であり、プライム市場の上場維持基準(35%以上)を満たしておりません。当社は、いちごトラストとの資本提携により、2028年3月末までを適合に向けた計画期間とする特例の適用を受けておりますが、この期間内に基準を満たせない場合には、当社株式が上場廃止となります。優先株式の転換又は新株予約権の行使等により、流通株式比率が低下する場合には、当該基準への適合が一層困難となる可能性があります。

当社は、資産売却や財務施策等を通じた純資産の改善、並びに、当社株式の株主構成の改善が想定どおりに進まない場合には、当社株式が上場廃止となる可能性があります。

対応策

当社は、純資産の額に係る上場維持基準への適合に向けて、保有資産の売却による譲渡益の計上を目指すとともに、新株予約権の追加行使要請を含む各種財務施策を検討しております。2025年11月に生産を終了した茂原工場については、引き続き複数の売却候補先との協議を行っており、早期の売却に向けて取り組んでおります。

また、中長期的な財務健全化に向けては、2025年度より実施している構造改革による固定費削減、並びにBEYOND DISPLAY戦略の推進による収益力の強化に引き続き取り組んでまいります。

一方、流通株式比率に係る上場維持基準への適合に向けては、支配株主であるいちごトラストの持株比率の低下が重要であると認識しており、当社株式の保有先の多様化に向けて、業績の改善に加え、その取組み状況や進捗、将来の展望について、積極的な情報開示や決算説明会等を通じ、市場関係者の理解促進に努めてまいります。

 

 

 

⑤ 継続企業の前提に関する重要事象等

発生可能性:高

影響度:大

リスク

当社グループは、当連結会計年度において継続して営業損失、減損損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上したほか、当連結会計年度末において債務超過の状態にあることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。

加えて、依然として厳しい競争環境が継続しており、米国の関税政策の影響、世界的なインフレによる原材料費・エネルギー費・輸送費等のコストの高止まり、半導体・メモリ不足や地政学的リスクの高まりによるサプライチェーンへの影響、及び顧客需要の低下に伴う売上減少から、早期の業績回復による黒字転換が遅延するリスクがあります。加えて、資金調達及び資本増強策は相手方との交渉を含め実施途上にあるため、その結果によっては当社グループの資金繰りに重要な影響を及ぼす可能性があります。以上を勘案すると、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。

対応策

当社グループは、これまでのディスプレイ専業メーカーから脱却し、センサー及び先端半導体パッケージングを新たな事業の柱に加えるBEYOND DISPLAY戦略を推進しております。これにより、製品及び事業ポートフォリオの再編を通じて、早期の黒字体質への転換と事業成長を目指しております。ディスプレイ事業においては、茂原工場の生産終了及び鳥取工場の譲渡契約締結を当期に実施し、石川工場への生産集約と高付加価値製品への注力による収益改善を図っております。

また、生産拠点再編後の事業規模に応じた体制構築を目的として、希望退職者の募集等による国内外の人員削減も進行中です。

財務面では、他社への茂原工場資産の譲渡、資金需要に応じた機動的な借入実施、低効率資産の売却及び営業債権等の流動化のほか、新株予約権のいちごに対する継続行使要請も含め、引き続き適時適切な資金調達及び資本増強策を講じてまいります。

 

 

(3) ハザードリスク

① 大地震・自然災害・感染症等

発生可能性:中

影響度:大

リスク

大地震や気候変動に伴う大型台風、洪水等の自然災害によって、従業員、設備、サプライチェーン等が被害を受けたことにより、市場への製品供給に大きな支障をきたした場合、当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、火災、爆発事故等により従業員や周辺地域に大きな被害が発生した場合、経営成績に重大な影響を及ぼすとともに、社会の信用を失う可能性があります。パンデミックが発生した場合、ロックダウンや当社グループの拠点やサプライチェーン上での集団感染の発生により、製品やサービス提供に支障が生じる可能性があります。

これらの災害による損害に備え、当社グループは適切と判断するレベルの補償範囲をカバーする各種保険に加入していますが、全ての損害額がカバーされるものではありません。

対応策

・当社グループは、不測の事態による生産活動への影響を最小化し、早期復旧を図ることを目的としたBCP規則を定め、危機管理委員会を設置しています。有事が発生した場合は、災害エスカレーションによる最新状況の共有と対策本部の設置を行い、関連部門と連携して正確で迅速な行動が取れる体制を構築しています。また、安全衛生基本方針や安全関連規則等を制定し、安全衛生管理推進体制を構築することで、火災、爆発及び化学物質漏洩を防止し、安全で安定した操業を維持しています。

・大規模自然災害や事故への対応として、全社員を対象とした防災訓練や安否確認システムの利用訓練等を定期的に実施しています。また、製造拠点では火災の発生や使用する薬液・ガス体の漏洩等、様々なリスクに対する緊急事態想定訓練を定期的に実施しています。

・パンデミックへの対応は、ガイドラインと行動計画を定めて運用しています。状況に応じて出勤・出張・面会等を制限し感染リスクを低減するとともに、従業員の同居家族を含む陽性者が発生した場合の社内アクションや出社条件等を設定し、感染拡大を防止し事業活動への影響を最小化しています。

 

 

 

② 情報セキュリティ

発生可能性:中

影響度:中

リスク

当社グループは、自社・顧客・サプライヤーの技術、研究開発、製造、販売及び営業活動に関する機密情報、並びにステークホルダーの個人情報を多様な形態で保有しています。これらの情報を保護するために適切な管理を行っていますが、かかる管理が将来にわたって保証されるわけではありません。サイバー攻撃等により当社グループが管理・保有する情報が流出し、第三者がこれを不正に取得又は利用する事態が生じた場合、損害賠償訴訟の提起等により、当社グループの事業、業績、財政状態、及び社会的評価に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

・当社グループは、不正行為等による機密情報の紛失、漏洩等の防止を目的に、情報セキュリティ方針や情報セキュリティ規則を定め、情報セキュリティ委員会を設置し、国際標準(ISO27001)に準拠したセキュリティマネジメントを実施しています。

・セキュリティリスク対応としては、ネットワークの監視や定期的な侵入テストによる潜在的な脆弱性への対策、ワークスタイル変化へのセキュリティ強化、及び全社員を対象としたセキュリティ教育やサイバー攻撃対策訓練の定期的な実施等によりリスク低減を図っています。

・情報セキュリティ事故発生時は、対応フローによるエスカレーションにて最新状況の共有を行い、関連部門と連携して正確で迅速な行動が取れる体制を構築しています。

 

 

➂ 地政学的リスク

発生可能性:低

影響度:大

リスク

当社グループは、日本とフィリピンに製造拠点を有し、中国と台湾に後工程の製造委託をしています。また、グローバルに販売拠点を有し、海外顧客への売上高が当社グループ全体の売上高の大きな割合を占めています。海外事業の展開にあたっては、地政学的リスク要因として、外国における経済情勢や政治情勢の不安定化、現地従業員との関係悪化、外国為替管理の強化、予期しない法規制の新設又は変更、税制、法制度及び事業環境の差異及びその変更による不利益、課税等の行政上の措置、戦争及びテロ等の軍事的影響、反日感情による非買運動等があり、これらの要因が当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。加えて、近年の地政学的な緊張の高まりを背景に、特定の国・地域に依存しないサプライチェーンの構築を求める動きが顧客側で強まっており、こうした要請に対応できない場合には、受注機会の喪失や取引条件の悪化等を通じて、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、地政学的リスクの高まりが見られる国や地域に対して、多方面から情報を収集し、迅速に対応できる体制の構築に努めております。また、特定の国・地域に過度に依存しないサプライチェーン体制の構築に向けて、調達先や製造委託先の多様化を検討・推進することなど、サプライチェーン全体のマルチ化を進めています。また、サプライチェーンの混乱や半導体不足による顧客の生産調整、部材・エネルギー・輸送費高騰等の影響を最小化するよう事業活動を進めています。

 

 

 

(4) オペレーションリスク

① 品質

発生可能性:低

影響度:大

リスク

当社グループは、国内外の製造拠点及び生産委託先において厳格な品質保証体制を構築し、顧客に対して高性能かつ信頼性の高い製品及びサービスを提供しています。しかしながら、万が一、当社グループの製品又はサービスに欠陥が発生した場合、製造物責任その他の責任を負う可能性があります。さらに、大規模な訴訟やリコールの発生が、顧客の信頼や社会的信用の低下を引き起こし、企業ブランドの価値と当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

・当社グループは、品質方針に基づき、品質マネジメントシステムを構築し、企画・設計・製造・販売・サービスに携わる全ての部門がPDCAサイクルを運用し、サプライヤーの協力のもとで継続的な改善を実施しています。

・ディスプレイ製品に関してはグループ全体で品質マネジメントシステムであるISO9001:2015の認証を取得しており、車載用のディスプレイの製造拠点では自動車の製造領域に特化した品質マネジメントシステムIATF16949:2016の認証も取得しています。

・製品の品質・製造物責任に対する予防・対応プロセスとして、FMEA(故障モード影響解析)運用規則、製品安全規則等を制定し運用しています。

・万が一、品質上の問題が発生した場合に備え、迅速かつ確実な是正措置及び顧客対応が行える体制を整備しています。

 

 

② 原材料・部品調達

発生可能性:高

影響度:大

リスク

当社グループは、原材料・部品等を複数のサプライヤーから購入しています。そのため、供給遅延、供給不足又は価格高騰等が生じた場合は、生産遅延、代替調達による費用増加、調達コストの上昇等が生じる可能性があります。さらに、調達した原材料や部品に欠陥・瑕疵や、仕様の不備があった場合、顧客への製品供給の遅延や顧客からの返品、製品の評価減の発生、又はクレームや訴訟といった問題が発生する可能性があります。当社グループは、仕入品の品質管理やサプライヤーの多様化によるこれらリスクの低減に努めておりますが、原材料・部品等の一部については、その特殊性からサプライヤーが限定されているものやサプライヤーの切替えが困難なものもあり、これら調達品に係るリスクが顕在化した場合は、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

・当社グループは、原材料価格の上昇に対し、製品売価への転嫁要請や原価低減策を行い、影響の軽減を目指しています。安定調達については、適正在庫の確保やサプライチェーンの複線化、仕入先のBCP体制の事前確認等を通じてリスクの軽減を図っています。また、サプライヤーの生産地域等をデータベース化し、災害発生時に迅速にサプライヤーと連携できる体制を整えています。

・持続可能かつ責任ある調達の推進に向けては、「JDIサプライチェーンサステナビリティ推進ガイドブック」を全ての1次サプライヤー及び商社経由の調達先である2次サプライヤーに配布し、遵守を要請しています。さらに、「JDIサプライヤーサステナビリティ自己監査票」による定期的な自己監査を行い、サプライヤーの遵守状況を確認しています。

 

 

 

③ 気候変動・環境規制

発生可能性:中

影響度:大

リスク

慢性的な気温上昇に伴う自然災害の頻発化・甚大化によるサプライチェーンの混乱や生産性の低下、BCP対応コストの増加に加え、今後の脱炭素化(カーボンニュートラル)への取組み強化に伴う費用負担の増加や、顧客要求水準未満の取組みによる取引の減少、将来的なカーボンプライシングの導入等が、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、国内外の様々な環境関連法規制の強化に伴う遵守対応費用の増加や、法規制の違反が発生した場合には、当社グループの業績や社会的評価に影響を与える可能性があります。

対応策

・当社グループは、気候変動問題を経営重要課題の一つと認識し、環境最高責任者であるCEOの下で、環境活動を推進しています。また、TCFDの枠組みに基づくシナリオ分析を実施し、気候変動に伴うリスクと機会を明確化しています。

・気候変動による物理的影響への適応策として、サプライヤーの複線化や製品在庫の一定量確保を行い、BCP検証に基づく原材料・部品の適正在庫量を検討し、外部製造委託の拡大を計画的に進めていく方針です。

環境規制に対しては、環境マネジメントシステムを構築し、環境関連法の遵守徹底と規制変化へのタイムリーな対応を行っています。また、環境パフォーマンスデータを開示し、温室効果ガス排出量(Scope3)データの算定を行い開示しています。また、カーボンプライシング導入等への対応として、省エネ・再エネ活動をさらに推進していきます。

 

 

④ 内部統制とコンプライアンス

発生可能性:中

影響度:大

リスク

当社グループは、2020年3月期に、過年度決算において不適切な会計処理が行われていたことが判明し、財務報告に係る内部統制に重要な不備がありました。これにより損害を被ったとして、2020年7月に株主から当社及び元取締役10名に対し、約3,858百万円の損害賠償請求が提起されています。この不備を是正するため、ガバナンス向上委員会を設置し、再発防止策を全社で実行いたしました。その結果、2021年3月期末には重要な不備が解消され、これまで有効な内部統制報告が確保されています。しかしながら、再発防止に取組みつつも、対応が有効に機能せず、又は新たな内部統制の不備が発生した場合には、財務報告の信頼性に影響が出る可能性があります。

また、当社グループは、国内外で商取引、独占禁止法、知的財産権、製造物責任、環境保全、人権、労働安全、輸出入規制等様々な公的規制を受けています。これらの違反が発生した場合、課徴金納付命令、刑事罰、取引停止、社会的信用の失墜等、会社に甚大な損害を与えるリスクがあります。

対応策

・不適切会計処理の再発防止に向けては、会計業務のシステム化等に継続して対応しています。訴訟の提起については、原告の主張を踏まえて適切に対応してまいります。

・「コンプライアンス基本規則」に基づき、コンプライアンス推進体制や諸制度の確立、浸透、定着を目的に、関連部門が集まり諸施策を審議・推進する場としてコンプライアンス委員会を設置しています。また、コンプライアンス違反の是正を図り、社会的信頼を確保することを目的として「内部通報制度」を設けているほか、コンプライアンス遵守状況の把握、内部通報の掘り起しを目的として、従業員へのコンプライアンスアンケートを定期的に行っています。

・独占禁止法及び各国競争法の遵守徹底のため、各国競争法の遵守、教育活動及び発生時対応の強化に努めています。

 

 

 

⑤ 人財確保

発生可能性:中

影響度:大

リスク

当社グループは、事業の継続及び円滑な運営に必要な人財の確保及び維持が重要であると認識しております。当期に実施した希望退職等により人員規模が縮小する中で、既存事業の安定的な運営継続、新規事業の立ち上げや事業領域の拡大を進めるにあたり、必要な人員やスキルを有する体制を十分に確保できない場合や、特定の人財への業務依存の高まりが生じた場合には、事業の立ち上げや推進が計画どおりに進まない可能性があります。また、当社を取り巻く事業環境や業績動向等を背景として、人財の退職やモチベーションの低下が生じた場合には、人財育成や技術・ノウハウの継承が円滑に進まない可能性があります。これらにより、当社グループの事業活動の継続や業務効率の低下、新規事業の成長の遅延等を通じて、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、事業規模及び事業戦略を踏まえ、限られた人員体制の下においても既存事業及び新規事業を円滑に推進できる体制の構築に取り組んでおります。具体的には、業務プロセスの見直しや業務の集約・効率化を進めるとともに、事業の優先順位を明確化した上で、適切な人員配置や役割分担を行うことにより、人財の強みが発揮される組織運営を図っております。また、AIの活用を通じて業務の効率化や負荷軽減を進めるとともに、OJTを中心とした知識・技術の共有や、複数人が業務を担える体制づくりを推進することで、特定の人財への業務集中を緩和し、組織としての業務遂行能力の維持・向上に努めております。これらの取組を通じて、事業環境の変化に対応しつつ、新規事業の推進を含めた人財基盤の安定化を図ってまいります。

 

 

⑥ 知的財産権

発生可能性:中

影響度:中

リスク

当社グループは、自社の競争力の源泉である技術を活用して事業を展開しており、当該事業の遂行にあたっては、知的財産権の適切な管理及び活用が重要であると認識しております。

当社は、特許権等の知的財産権の一部を、いちごトラストの子会社に譲渡し、当該知的財産権について無償の実施権の許諾を受けた上で事業を行っておりますが、当該実施権を前提とする事業運営において、契約上の前提条件や当社の事業内容に変化が生じた場合には、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。また、新規の技術開発を通じて新たな知的財産を創出しておりますが、知的財産権を取得できない場合や、第三者の知的財産権を侵害するおそれが生じた場合、あるいは第三者から必要な実施許諾を不利な条件でしか得られない場合には、当社グループの競争力が低下する可能性があります。

これらの要因により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、いちごトラストの子会社に譲渡した知的財産権について無償の実施権を確保した上で、契約内容の適切な管理を行い、安定的な事業運営が可能となるよう関係先との連携を図っております。

今後創出される知的財産については、事業戦略や研究開発と連動させた適切な管理・活用を行うとともに、万が一、知的財産権侵害の指摘や実施許諾条件の変更等が生じた場合に備え、専門人財の配置及び外部専門家との連携を通じて、適切に対応する体制を整えております。

なお、新規の技術開発や設計にあたっては、先行技術調査や第三者の知的財産権調査を徹底し、各国の知的財産法、審査基準及びプロセスを十分に把握した上で、知的財産権の取得及び活用の精度向上に努めております。

 

 

⑦ 人権

発生可能性:中

影響度:大

リスク

サプライチェーン上における強制労働や児童労働等の人権侵害が発生した場合、原材料・部品調達が困難となることや、顧客や他のサプライヤーとの取引停止により、当社グループの業績、財務状況、社会的評価に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

・当社グループは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」に沿った対策を推進しています。サプライチェーン上の人権課題に対しては、「JDIサプライチェーンサステナビリティ推進ガイドブック」を配布し、遵守を要請しています。また、自己監査を定期的に実施し、遵守状況を確認しています。

・責任ある鉱物調達のため、紛争鉱物調査を実施し、武装勢力への資金供給がないことを確認しています。

・人権、ハラスメント問題等の注意喚起のため従業員教育も定期的に行っています。

 

配当政策

3 【配当政策】

当社グループは、株主への利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しております。しかしながら、当期(2026年3月期)は親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、配当原資となる剰余金もマイナスとなっており、運転資金の確保が必要であることから、誠に遺憾ながら既に開示のとおり無配とさせていただきます。また、E種優先株式につきましても、無配といたします。

2027年3月期につきましては、業績及び財務状況の改善に向けた取組みを継続してまいりますが、引き続き運転資金の確保が必要であることから、引き続き無配とさせていただきます。

株主の皆さまには深くお詫び申し上げますとともに、ご期待にお応えできるよう早期の業績の改善を目指し、最善を尽くしてまいりますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

当社は「毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めておりますが、年間の配当回数は決定しておりません。剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。