2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

くらし事業 オートモーティブ コネクト インダストリー エナジー その他
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
くらし事業 3,288,615 38.7 121,559 31.6 3.7
オートモーティブ 1,480,482 17.4 42,752 11.1 2.9
コネクト 1,116,005 13.1 40,408 10.5 3.6
インダストリー 838,676 9.9 31,147 8.1 3.7
エナジー 867,306 10.2 88,809 23.1 10.2
その他 905,336 10.7 59,474 15.5 6.6

事業内容

3【事業の内容】

 当社グループは、当社及び連結子会社511社を中心に構成され、総合エレクトロニクスメーカーとして関連する事業分野について国内外のグループ各社との緊密な連携のもとに、開発・生産・販売・サービス活動を展開しています。

 なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

 

 当社(以下、原則として連結子会社を含む)の製品の範囲は、電気機械器具のほとんどすべてにわたっており、「くらし事業」「オートモーティブ」「コネクト」「インダストリー」「エナジー」の5つの報告セグメントと、報告セグメントに含まれない事業セグメント及びその他の事業活動から構成されています。各セグメントの詳細については、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記4.セグメント情報」に記載しています。

 

 当社は、IFRSに基づいて連結財務諸表を作成しており、関係会社の範囲についても当該会計基準の定義に基づいて開示しています。「第2 事業の状況」及び「第3 設備の状況」においても同様です。

 

(事業の系統図)

2024年3月31日現在

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)重要性がある会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表はIFRSに基づいて作成されています。また、当社は連結財務諸表を作成するために、種々の仮定と見積りを行っています。それらの仮定と見積りは資産・負債・収益・費用の計上金額並びに偶発資産及び債務の開示情報に影響を及ぼします。重要な仮定と見積りは、繰延税金資産の回収可能性、確定給付制度債務、非金融資産(のれんを含む)の減損に反映しています。なお、実際の結果がこれらの見積りと異なることもあり得ます。

重要性がある会計方針及び見積りの内容は、連結財務諸表注記「3.重要性がある会計方針」に記載しています。

 

(2)生産、受注及び販売の実績

当社グループ(当社及び連結子会社)の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また製品の性質上、原則として見込生産を主体とする生産方式を採っています。

なお、当社グループは製品の在庫を一定の必要水準に保つように生産活動を行っていることから、生産実績は販売実績に概ね類似しています。

 

(3)当連結会計年度の経営成績の分析

2023年度の世界経済は、総じて、緩やかに減速しました。イスラエル・パレスチナ情勢やウクライナ情勢などの地政学リスクに加え、欧米を中心とした金融引き締めが下押ししました。一方、日本経済は、緩やかに持ち直しました。個人消費を中心に、物価高によるマイナス影響があったものの、設備投資が堅調に推移したほか、インバウンド需要が回復したことなどが背景となります。

当社は2022年度から持株会社と事業会社からなる新しいグループ体制における3カ年の中期戦略を実行しています。このような経営環境のもと、同戦略の2年目となる2023年度は、中期経営指標(KGI)として掲げた「累積営業キャッシュ・フロー2兆円、ROE(株主資本利益率)10%以上、累積営業利益1.5兆円」の達成に向けて、競争力の徹底強化を推進し、各事業におけるキャッシュ・フロー重視経営の定着と成長領域での事業基盤の構築を進めてきました。重点投資領域と定めた車載電池事業では、パナソニック エナジー㈱が、ゼロエミッションモビリティとインフラソリューションを製造するノルウェーのHexagon Purus ASAと、北米における商用車向け車載電池供給契約を2023年4月に締結しました。また、マツダ㈱及び㈱SUBARUとそれぞれ中長期的パートナーシップの構築に向けた協議を開始し、その結果、2024年3月に車載用円筒形リチウムイオン電池供給につき、マツダ㈱とは供給に向けた合意書を、㈱SUBARUとは供給に関する協業基本契約を締結するなど、顧客基盤の拡大を図ってきました。さらに、投資領域に定めたサプライチェーンマネジメント(SCM)ソフトウェア事業では、パナソニック コネクト㈱の子会社であるBlue Yonder Holding, Inc.(以下、「ブルーヨンダー」)が、米国のOne Network Enterprises, Inc.を買収する契約を2024年3月に締結するなど、成長に向けた事業変革を行ってきました。

また、当社は各事業の成長性を見極め、ベストオーナーの視点に基づく事業ポートフォリオの見直しを実施しており、2024年3月には、当社とApollo Global Management, Inc.をはじめとするアポロ・グループは、パナソニック オートモーティブシステムズ㈱(以下、「PAS」)の事業に関して両社が共同パートナーになることを目的に、PAS株式の譲渡に関する株式譲渡契約及び株主間契約を締結しました。

 

①売上高

当年度の連結売上高は、8兆4,964億円(前年度比1%増)となりました。インダストリー・エナジーが減収となりましたが、オートモーティブ・コネクトの販売増に加え、為替換算の影響もあり、増収となりました。

 

②営業利益

営業利益は、3,610億円(前年度比25%増)となりました。戦略投資などの固定費の増加や原材料高騰の影響はありましたが、価格改定・合理化の進捗や為替の影響に加え、米国インフレ抑制法に係る補助金(以下、「米国IRA補助金」)の計上(連結財務諸表注記「24.政府補助金」参照)などにより、増益となりました。

 

③税引前利益

金融収益は890億円(前年度490億円)、金融費用は247億円(前年度211億円)となりました。この結果、税引前利益は、4,252億円(前年度3,164億円)となりました。

 

 

④親会社の所有者に帰属する当期純利益

法人所得税費用は、前年度の359億円の損に対し、402億円の益となりました。これは、当年度にパナソニック液晶ディスプレイ㈱の解散(特別清算)及び同社に対する債権放棄を決議したことに伴う法人所得税費用の減少を1,213億円認識したこと(連結財務諸表注記「13.法人所得税」参照)によるものです。この結果、親会社の所有者に帰属する当期純利益は、4,440億円(前年度2,655億円)となりました。また、基本的1株当たり親会社の所有者に帰属する当期純利益は、190円21銭(前年度113円75銭)となりました。

 

⑤セグメントの経営成績

当社グループは、経営管理上、事業の成果を「くらし事業」「オートモーティブ」「コネクト」「インダストリー」「エナジー」の5つの報告セグメントに区分して評価、開示しています。

なお、2023年10月1日付で、一部の事業をセグメント間で移管しています。2022年度のセグメント情報については、2023年10月1日付の形態に合わせて組み替えて算出しています。

 

a くらし事業

 当セグメントの売上高は、前年度並みの3兆4,944億円となりました。

 当年度は、電材事業や北米コールドチェーン事業などは増収となりましたが、海外家電事業の減収や、空質空調事業での欧州を取り巻く環境の悪化による需要減に加え、中国事業の一部を非連結化した影響もあり、全体では前年度並みの売上となりました。

 主な分社の状況は、くらしアプライアンス社では、美容家電が堅調も、その他商品は中国・アジアなどで需要が伸び悩み、減収となりました。

 空質空調社では、アジアの空質空調等が増収となりましたが、市況悪化の影響を受けた国内ルームエアコンや欧州のヒートポンプ式温水給湯暖房機(Air to Water、以下、「A2W」)の需要減などにより、減収となりました。

 コールドチェーンソリューションズ社では、北米のショーケースが好調に推移し、増収となりました。

 エレクトリックワークス社では、国内の非住宅照明をはじめ、電設資材の販売が堅調に推移し、価格改定の効果もあり、増収となりました。

 当セグメントの営業利益は、1,216億円となりました。海外家電事業や欧州A2Wの減販影響はありましたが、北米コールドチェーン事業や国内・海外の電材事業の増販益に加え、前年度に計上した一時費用の反動などもあり、前年度から182億円の増益となりました。

 

b オートモーティブ

 当セグメントの売上高は、前年度比で15%増加し、1兆4,919億円となりました。

 当年度は、世界的な車載半導体及び部材のひっ迫が緩和したことにより、市場の自動車生産台数が当年度当初の見通しに比べて増加、また、顧客の自動車生産の回復基調も継続しました。加えて、為替換算の影響もあり、増収となりました。

 当セグメントの営業利益は、428億円となりました。人件費の高騰による固定費の増加や車載半導体などの部材高騰の影響は継続しましたが、増販益に加えて、部材価格の高騰や為替影響に対する価格改定、合理化及び車載充電器の収益性改善などの取り組みを行いました。また、国内工場でのAI導入ライン展開により生産性を2倍にするなどのオペレーション力強化施策を継続し、経営体質強化の取り組みによる効果もありました。同時に車載コックピットシステム事業では統合HPC(高性能車載コンピューター)戦略を進め、車載エレクトロニクス事業では車載充電器の高電圧・高出力化の取り組みや、新たな車室空間コンセプトモデルの提案、ソリューションビジネスの開発・推進など、将来に向けた成長投資を行いつつも、セグメント全体では、前年度から266億円の増益となりました。

 

c コネクト

 当セグメントの売上高は、前年度比で7%増加し、1兆2,028億円となりました。

 当年度は、プロセスオートメーション事業は減収となりましたが、アビオニクス事業、現場ソリューション事業、ブルーヨンダーなどが堅調に推移し、増収となりました。

 主な事業部の状況は、モバイルソリューションズ事業部では、国内向けノートパソコンの販売増加などにより、増収となりました。

 プロセスオートメーション事業部では、パソコン・スマートフォン市場での需要減が継続し、中国市況停滞の影響もあり、実装機が低調に推移したことにより減収となりました。

 現場ソリューションカンパニーでは、既存事業での大型案件の獲得を含む国内ソリューション案件の順調な獲得などにより、増収となりました。

 パナソニック アビオニクス㈱では、世界的に旅客需要が堅調に推移し、機内エンターテインメント・通信システム及び機体メンテナンス・リペアサービスがともに好調で、増収となりました。

 ブルーヨンダーでは、SaaS(注) の好調な販売が継続するなど、増収となりました。

 当セグメントの営業利益は、404億円となりました。プロセスオートメーション事業の減販損やブルーヨンダーでの戦略投資などはありましたが、アビオニクス事業及び現場ソリューション事業の増販益や、モバイルソリューション事業の収益性改善などにより、前年度から200億円の増益となりました。

 

(注)SaaS:Software as a Serviceの略。ベンダーが提供するクラウドサーバーにあるソフトウェアを、インターネットを経由してユーザーが必要な機能を利用できるサービス

 

d インダストリー

 当セグメントの売上高は、前年度比で9%減少し、1兆426億円となりました。

 当年度は、環境車向けコンデンサーや生成AIサーバー向け製品の販売増加に加え、為替換算の影響もありましたが、中国FA市場や情報通信インフラ市場などの市況低迷に加え、半導体事業譲渡に伴う商流変更の影響などにより、全体では減収となりました。

 主な事業の状況は、電子デバイス事業では、環境車向けコンデンサーが引き続き好調に推移し、生成AIサーバー向けコンデンサーの需要拡大により販売が増加しました。一方、汎用サーバーや基地局向けコンデンサーに加え、中国市況停滞による産業用リレーの販売が減少するなど、全体では減収となりました。

 FAソリューション事業では、中国やアジアの市況停滞に加え、中国FA市場での競争激化の影響で産業用モーター等の販売が減少し、減収となりました。

 電子材料事業では、生成AIサーバー向けの多層基板材料の需要拡大により、増収となりました。

 当セグメントの営業利益は、311億円となりました。原材料価格の高騰や固定費の増加の影響を価格改定や合理化でカバーし、円安の効果もありましたが、中国市況低迷の影響による減販損が大きく、前年度から357億円の減益となりました。

 

e エナジー

 当セグメントの売上高は、前年度比で6%減少し、9,159億円となりました。

 当年度は、北米での車載電池生産は搭載車種の旺盛な需要により好調に推移しました。一方、米国における電気自動車購入者への補助金対象外となった高価格帯車種の需要減の影響を受けて、当該車種向けの国内工場は減産となりました。加えて、民生・動力向けの販売が減少し、米国IRA補助金の顧客との有効活用に係る会計処理(注)の影響もあり、全体では減収となりました。

 主な事業の状況は、車載事業では、需要が好調な北米工場は販売が増加しましたが、国内工場は需要減により販売が減少。加えて、米国IRA補助金の会計処理の影響もあり、全体でも減収となりました。

 産業・民生事業では、生成AI市場の拡大によりデータセンター向け蓄電システムが好調に推移しましたが、市況回復の遅れから、電動アシスト自転車など民生・動力向けリチウムイオン電池などの販売減少の影響が大きく、減収となりました。

 当セグメントの営業利益は、888億円となりました。産業・民生向けの減販損や、車載電池事業で国内工場減産による影響や将来の成長に向けた固定費の増加、過去の製造不具合品対応に関する引当計上がありましたが、北米車載電池工場の増販益や生産性の向上に加え、米国IRA補助金の計上などにより、前年度から556億円の増益となりました。

(注)顧客との有効活用分は、有効活用の方法は未確定も、収益認識基準が適用され、売上高のマイナス計上を実施

 

f その他(報告セグメントに含まれない事業)

 その他の事業については、売上高は、1兆2,195億円(前年度比1%増)、営業利益は、前年度に比べ増益の595億円(前年度比5%増)となりました。

 

(4)経営成績に重要な影響を与える要因について

 「3.事業等のリスク」に記載しています。

 

(5)財政状態及び流動性

①流動性と資金の源泉

 当社グループでは、事業活動に必要な資金は自ら生み出すことを基本方針としています。また、生み出した資金については、グループ内ファイナンスにより効率的な資金活用を行っています。その上で、運転資金や事業投資などのため所要の資金が生じる場合には、財務体質や金融市場の状況を踏まえた適切な手段により外部からの資金調達を行っています。

 

(資金)

 当年度末の現金及び現金同等物の残高は1兆1,196億円となり、前年度末に比べ3,001億円増加しました。当年度は、社債償還資金への充当及び今後の事業展開に必要な資金の確保を目的とし、2023年9月に円建無担保普通社債2,600億円を発行しました。運転資金などの調達を主にコマーシャルペーパー(CP)の発行により行いました。なお、2023年9月に第16回円建無担保普通社債700億円(2016年9月発行)、2023年12月に第20回円建無担保普通社債800億円(2020年12月発行)を満期到来により償還いたしました。

 これらの結果、当年度末の円建無担保普通社債の残高は7,100億円、円建公募ハイブリッド社債(劣後特約付社債)(注)の残高は4,000億円、米ドル建無担保普通社債の残高は15億米ドルとなりました。

(注)ハイブリッド社債(劣後特約付社債):資本と負債の中間的性質を持ち、利息の任意繰延、超長期の償還期限、清算手続き及び倒産手続きにおける劣後性等、資本に類似した性質及び特徴を有した社債

 

(有利子負債)

 有利子負債は、無担保普通社債の発行等により、前年度末の1兆4,571億円から当年度末には1兆6,263億円へと増加しました。なお、当社は不安定な金融経済環境における資金調達リスクに備え、2021年6月に複数の取引銀行と期間を3年間とするコミットメントライン契約(注)を締結しています。当該契約に基づく無担保の借入設定上限は総額6,000億円ですが、借入実績はありません。なお、当該契約は2024年6月に満期を迎えたことに伴い、同月に総額6,000億円で契約を更新しています。

(注)コミットメントライン契約:金融機関との間で予め契約した期間・融資枠の範囲内で融資を受けることを可能とする契約

 

(格付け)

 当社は、㈱格付投資情報センター(R&I)、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱(S&P)及びムーディーズ・ジャパン㈱(ムーディーズ)から格付けを取得しています。当年度末の当社の格付けは、次のとおりです。

 R&I:A (長期、アウトルック:安定的)、a-1 (短期)

 S&P:A-(長期、アウトルック:安定的)、A-2 (短期)

 ムーディーズ:Baa1 (長期、アウトルック:安定的)

 

②キャッシュ・フロー

 当社グループは、事業収益力強化によりフリーキャッシュ・フローを向上させ、中長期的に事業を発展させていくことが重要と考えています。同時に、継続的な運転資本の圧縮、保有資産の見直しなどによるキャッシュ・フローの創出にも徹底して取り組んでいます。

 当年度の営業活動により増加したキャッシュ・フローは8,669億円、投資活動により減少したキャッシュ・フローは5,788億円となり、両者を合計したフリーキャッシュ・フローは、2,881億円(前年差1,114億円の良化)となりました。

 なお、キャッシュ・フローの分析の詳細は、次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当年度の営業活動により増加したキャッシュ・フローは8,669億円(前年度は5,207億円の増加)となりました。前年差の主な要因は、棚卸資産の減少などによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により減少したキャッシュ・フローは5,788億円(前年度は3,440億円の減少)となりました。前年差の主な要因は、車載電池を中心とした設備投資の増加などによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により減少したキャッシュ・フローは835億円(前年度は6,070億円の減少)となりました。前年差の主な要因は、前年度に新体制への移行に伴う一時的な借入を返済したことや、当年度において無担保普通社債を発行したことなどによるものです。

 

 これらに為替変動の影響等を加味した結果、当年度末で現金及び現金同等物の残高は1兆1,196億円となり、前年度末に比べ3,001億円増加しました。

 

③設備投資額と減価償却費

 当社グループでは、将来の成長に向けて、重点事業を中心に投資を着実に行っていくという考え方に基づき設備投資を行った結果、当年度の設備投資額(有形固定資産のみ)については、前年度の3,091億円から2,589億円増加し、5,680億円となりました。主要な設備投資は、「エナジー」における車載用のリチウムイオン電池等の生産設備及び北米の新工場建設、「くらし事業」におけるA2W他の家庭用電化機器・電設資材等の生産設備、「インダストリー」における電子部品・制御機器等の生産設備、「オートモーティブ」における車載機器等の生産設備、「コネクト」におけるB2Bソリューション事業関連機器等の生産設備です。

 減価償却費(有形固定資産のみ)は、前年度の1,966億円から106億円増加し、2,072億円となりました。

 

④資産、負債及び資本

 当年度末の総資産は9兆4,112億円となり、前年度末に比べ1兆3,517億円の増加となりました。これは、主に現金及び現金同等物、有形固定資産などの増加や、円安による為替変動の影響などによるものです。

 負債は、前年度末に比べ4,197億円増加し、4兆6,893億円となりました。これは、主に無担保普通社債の発行や円安による為替変動の影響によるものです。

 親会社の所有者に帰属する持分は4兆5,441億円となり、前年度末に比べ9,257億円増加しました。これは、主に親会社の所有者に帰属する当期純利益及び円安の進行によるその他の包括利益の計上などによるものです。また、非支配持分を加味した資本合計は4兆7,219億円となりました。

 この結果、親会社所有者帰属持分比率は前年度末の44.9%から増加し、48.3%となりました。

 

 

セグメント情報

4.セグメント情報

(1)報告セグメントの概要

当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち独立した財務情報が入手可能で、最高経営意思決定者が、経営資源の配分の決定及び業績の検討のため、定期的に評価を行う対象となっているものであり、「くらし事業」「オートモーティブ」「コネクト」「インダストリー」「エナジー」の5つに区分して開示しています。

「くらし事業」は、冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、洗濯機、掃除機、美・理容器具、家庭用空調機器、業務用空調機器、ヒートポンプ式温水給湯暖房機、換気・送風機器、空気清浄機、ショーケース、業務用冷蔵庫、照明器具、ランプ、配線器具、太陽光発電システム、燃料電池、コンプレッサー、自転車、介護関連等の開発・製造・販売を行っています。「オートモーティブ」は、車載インフォテインメントシステム、ヘッドアップディスプレイ、車載スピーカーシステム、車載スイッチ、先進運転支援システム(ADAS)、自動車用ミラー等の開発・製造・販売を行っています。「コネクト」は、航空機内エンターテインメントシステム・通信サービス、電子部品実装システム、溶接機、プロジェクター、業務用カメラシステム、パソコン・タブレット、サプライチェーンマネジメントソフトウェア(SCM)等の開発・製造・販売を行っています。「インダストリー」は、電子部品、モーター、FAデバイス、電子材料等の開発・製造・販売を行っています。「エナジー」は、車載用円筒形リチウムイオン電池、一次電池(乾電池、マイクロ電池)、小型二次電池(単品セルとそのシステム商品)等の開発・製造・販売を行っています。

「その他」は、報告セグメントに含まれない事業セグメントやその他の事業活動であり、テレビ、デジタルカメラ、ビデオ機器、オーディオ機器、固定電話、水まわり設備、内装建材、外装建材、原材料の販売等が含まれています。

 

なお2023年10月1日付で事業の一部をセグメント間で移管しており前連結会計年度のセグメント情報については、当連結会計年度の形態に合わせて組み替えて表示しています。

 

(2)セグメント情報

 セグメント情報は、次のとおりです。

 

① 前連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

その他

消去・

調整

連結計

くらし

事業

オート

モーティブ

コネクト

インダ

ストリー

エナジー

売上高

 

 

 

 

 

 

 

 

外部顧客に対するもの

3,248,727

1,283,261

1,036,562

992,795

908,945

908,652

8,378,942

セグメント間取引

242,590

14,268

84,687

157,088

62,874

298,864

△860,371

3,491,317

1,297,529

1,121,249

1,149,883

971,819

1,207,516

△860,371

8,378,942

利益

103,350

16,225

20,428

66,796

33,225

56,742

△8,196

288,570

減価償却費及び償却費(注1)

107,902

63,363

74,606

59,661

22,342

49,202

5,213

382,289

資本的支出

(注2)

111,245

44,189

26,180

65,187

91,609

42,735

13,746

394,891

 

② 当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

その他

消去・

調整

連結計

 

くらし

事業

オート

モーティブ

コネクト

インダ

ストリー

エナジー

売上高

 

 

 

 

 

 

 

 

外部顧客に対するもの

3,288,615

1,480,482

1,116,005

838,676

867,306

905,336

8,496,420

セグメント間取引

205,738

11,439

86,798

203,910

48,632

314,210

△870,727

3,494,353

1,491,921

1,202,803

1,042,586

915,938

1,219,546

△870,727

8,496,420

利益

121,559

42,752

40,408

31,147

88,809

59,474

△23,187

360,962

減価償却費及び償却費(注1)

115,851

59,224

75,337

59,760

25,633

55,965

8,214

399,984

資本的支出

(注2)

137,820

56,471

32,743

63,383

295,496

56,647

28,333

670,893

 

(注1) 有形固定資産、使用権資産、及び無形資産

(注2) 有形固定資産及び無形資産の発生ベースの金額(企業結合による増加を除く)

 

 報告セグメントの会計方針は、注記「3.重要性がある会計方針」で記載している当社の会計方針と同一です。

 セグメント間における取引は、独立企業間価格を基礎として行われています。

 報告セグメントの利益は、営業利益をベースとした数値です。

 

 「消去・調整」欄には、セグメント間の内部取引消去や、セグメントに帰属しない損益及び連結会計上の調整が含まれています。

 前連結会計年度及び当連結会計年度の利益に関する調整には、本社部門等の損益(当連結会計年度における一部の固定資産売却益を含む)が含まれています。また、連結会計上の調整として、本社部門で管理している企業結合で取得したのれんの減損損失等やセグメントに帰属しない持分法による投資損益等が含まれています。

 

(3)製品及びサービスに関する情報

 「(1)報告セグメントの概要」、「(2)セグメント情報」に同様の情報を開示しているため、記載を省略しています。

 

(4)地域に関する情報

 地域別の売上高(顧客の所在地別に分類)及び非流動資産(持分法で会計処理されている投資、金融資産、繰延税金資産及び確定給付資産の純額を除く)は、次のとおりです。

 

① 売上高

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

日本

3,279,283

3,404,518

米州

1,984,483

2,121,939

欧州

928,521

978,700

アジア・中国他

2,186,655

1,991,263

連結計

8,378,942

8,496,420

米州のうち、米国

1,885,678

2,012,050

アジア・中国他のうち、中国

964,731

810,472

 

② 非流動資産(持分法で会計処理されている投資、金融資産、繰延税金資産及び確定給付資産の純額を除く)

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度末

(2023年3月31日)

当連結会計年度末

(2024年3月31日)

日本

1,157,894

1,296,926

米州

1,550,576

2,140,347

欧州

196,975

238,953

アジア・中国他

428,462

474,275

連結計

3,333,907

4,150,501

米州のうち、米国

1,527,690

2,118,087

 

(注) 本邦以外の区分に属する主な国または地域

米州…………………北米、中南米

欧州…………………欧州、アフリカ

アジア・中国他……アジア、中国、オセアニア

 

 売上高について、米国、中国を除いて、独立区分して開示する必要のある重要な国はありません。

 非流動資産について、米国を除いて、独立区分して開示する必要のある重要な国はありません。

 

(5)主要な顧客に関する情報

 外部顧客への売上高が10%を超える単一の相手先がないため、記載を省略しています。