2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,478名(単体) 207,548名(連結)
  • 平均年齢
    44.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    17.9年(単体)
  • 平均年収
    9,561,871円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

くらし事業

87,900

(14,578)

コネクト

28,801

(1,364)

インダストリー

35,467

(4,156)

エナジー

18,344

(1,962)

その他

35,558

(4,164)

全社

1,478

(148)

合計

207,548

(26,372)

 

(注)1 従業員数は就業人員数であり、臨時雇用者数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しています。

   2 臨時雇用者数は嘱託契約、パートタイマー等の従業員を含み、人材派遣会社からの派遣社員を除いています。

   3 従業員数は、前連結会計年度末に比べ20,872名減少しています。

   4 パナソニック オートモーティブシステムズ㈱の株式譲渡により、同社とその傘下の会社が当社の連結子会社ではなくなったことから「オートモーティブ」に属する従業員数は0名になりました。従来の「オートモーティブ」のうち、引き続き当社の連結対象となる事業は「その他」に区分しています。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

1,478

(148)

44.0

17.9

9,561,871

 

(注)1 従業員数は就業人員数であり、臨時雇用者数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しています。

   2 臨時雇用者数は嘱託契約、パートタイマー等の従業員を含み、人材派遣会社からの派遣社員を除いています。

   3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

   4 提出会社の従業員数は、すべて全社に所属しています。

 

(3)労働組合の状況

 パナソニックグループ労働組合連合会には122組合(2025年3月31日時点)が所属しています。

 労使関係はきわめて安定しており、特記事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

当社グループでは報酬体系上、性別等の属性による格差はありませんが、経営チームや管理職への女性登用は男性に比較して遅れているのが実態です。未来に向かって、より多様なメンバーの知恵を引き出し、イノベーティブな商品・サービスを生み出すために、採用の強化、働き方の選択肢の拡大やキャリア開発の支援などを通じて、女性リーダーの獲得と計画的な育成に取り組んでいます。

 

 ①提出会社

管理職に占める

女性労働者の割合(%)  

(注2)

男性労働者の

育児休業取得率(%)  

(注3)

労働者の男女の賃金の差異(%)  

(注2)

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

8.5

89.0

89.1

87.3

110.7

 

 ②連結子会社

名称

管理職に占める女性労働者の  

割合(%)  

(注2)

男性労働者の  

育児休業  

取得率  

(%)  

(注3)

労働者の男女の賃金の差異(%)  

(注2)

全労働者

正規雇用労働者

パート・

有期労働者

パナソニック㈱

7.2

78.0

72.0

70.6

66.8

パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション㈱

3.5

96.0

79.3

76.6

80.8

パナソニック ハウジングソリューションズ㈱

8.9

59.0

58.2

57.7

59.1

パナソニック コネクト㈱

8.5

101.0

80.0

78.2

82.7

パナソニック インダストリー㈱

4.8

88.0

77.5

76.7

75.0

パナソニック エナジー㈱

7.1

83.0

80.4

80.5

59.2

パナソニック オペレーショナルエクセレンス㈱

18.0

85.0

77.4

76.2

68.1

 

(注)

 

 

 

 

 

 

「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出した指標については、小数点以下第2位を四捨五入して、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき算出した指標については、小数点以下第1位を切り捨てて、それぞれ小数点以下第1位まで表示しています。

 

 

 

 

 

「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。(管理職に占める女性労働者の割合算出の基準日は2025年4月1日です。労働者の男女の賃金の差異については、2024年度の給与・賞与に基づいて算出しています。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の2024年度の取得割合を算出したものです。なお、計算式は次のとおりです。「2024年度に育児休業等を取得した男性労働者の数及び小学校就学前の子を対象とした育児を目的とした休暇制度を利用した男性労働者の数の合計数÷2024年度に配偶者が出産した男性労働者の数」

 

 

 

上記以外の連結子会社については、「第7 提出会社の参考情報 2 その他の参考情報 (2)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しています。

 

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2025年6月20日)現在において判断したものです。

 

(1)サステナビリティ経営に関する考え方

 パナソニックグループの使命は、創業者 松下幸之助が追い求めた「物心一如の繁栄」、すなわち、「物と心が共に豊かな理想の社会」の実現です。1932年、松下幸之助は25年を1節とし、それを10節、250年かけて「理想の社会」の実現を目指すと宣言しました。

 当社グループにとっての「サステナビリティ経営」とは、この使命の追求そのものです。

 事業活動を通じて社会課題の解決に取り組み、より豊かで持続可能な社会への貢献を果たす。その結果として、持続的な企業価値の向上をはかる。これを積み重ねることによって、「物と心が共に豊かな理想の社会」の実現を目指していきます。

 

(2)ガバナンス

 当社グループでは、サステナビリティに関する重要テーマについての方針、戦略、指標及び目標などを議論・方向付け並びに管理を行うことを目的として、取締役会の監督のもとにサステナビリティ経営委員会を設置し、原則月1回開催しています。

 サステナビリティ経営委員会はグループCEOが委員長を務め、グループCHRO、グループCTO、グループGC、グループCSO、グループCFO、及びグループ会社の役員等によって構成されています。

 サステナビリティ経営委員会での審議・決定事項は内容に応じて取締役会へ報告されます。また、事業会社において対応が必要な事項は、グループ経営会議等を通してグループ全体に共有・徹底しています。一方、サステナビリティに関する事項に対する取締役会の監督の実効性を確保するため、取締役会として備えるべきスキル・知見の1つに「サステナビリティ経営」の項目を定めるとともに、役員報酬における業績連動部分の一部に非財務指標を設定しています。

 当連結会計年度においては、当社グループのサステナビリティ経営に関する方針、戦略及び施策の策定・推進機能を強化するため、パナソニックホールディングス㈱(以下、「PHD」)にサステナビリティに関連する機能横断のプロジェクトを新たに設置するとともに、事業会社毎にサステナビリティの推進体制を構築し、グループ全体の連携体制を強化しました。

 なお、当事業年度におけるサステナビリティ経営委員会の主な審議事項は以下のとおりです。

・マテリアリティに関する指標及び目標の設定

・サステナビリティ関連中期目標の検討

・欧州におけるサステナビリティ関連法令への対応

・価値創造プロセスとマテリアリティの見直し
 

(3)リスク管理

 当社グループは、2023年度に当社財務への影響及び社会に与える影響の2つの側面から、重要な機会とリスクをマテリアリティとして特定しました。この特定のプロセスは以下のとおりです。

1.社会からの要請や予見される将来課題等から、機会及びリスクになる課題を把握。

2.これらについて、当社グループ及びステークホルダー視点で重要度評価を行い、マテリアリティを抽出。

3.このプロセス及び抽出したマテリアリティについて複数の社外の専門家との対話を通じて妥当性を確認。

4.当社グループのサステナビリティ経営委員会、グループ経営会議、取締役会での議論を経て、マテリアリティ
として特定。

 また、当社グループでは、グループ全体の事業活動に影響を与える可能性のあるリスクを管理するエンタープライズリスクマネジメント(ERM)に取り組んでおり、その対象には、サステナビリティに関連するリスクも含まれています。詳細については、「3.事業等のリスク」をご確認ください。

 

(4)戦略、指標及び目標

 当連結会計年度においては、当社グループのサステナビリティ経営の実効性を高めるため、2023年度に特定した各マテリアリティの進捗を把握するための指標及び目標を新たに設定し、その達成・実現に取り組みました。マテリアリティに関する目標に対する実績は下表のとおりです。

 下表のマテリアリティのうち、地球温暖化進行と資源の枯渇に対する取り組みや、社員のウェルビーイングを含む人的資本経営など、戦略を含むその主な取り組みの内容については、「(5)サステナビリティに関する取り組み紹介」をご参照ください。

 

<2024年度マテリアリティ 指標及び目標と実績>

 

 

マテリアリティ

指標

目標

実績

グループ
共通戦略

地球温暖化進行と
資源の枯渇

CO2削減インパクト

3億トン
(2050年)

自社バリューチェーンの削減量

△3,920万トン

(1,828万トン)

(注)1,2

削減貢献量

5,325万トン(注)2

全工場 CO2排出量

実質ゼロ
(2030年)

累計39工場(注)2

工場廃棄物リサイクル率

99%以上

99.4%(注)2

お客様一人ひとりの

生涯にわたる
健康・安全・快適

設定なし

持続的に価値を創出していくための基盤

ビジネス
インテグリティ

重大なコンプライアンス違反の発生

0件

0件(注)3

自社の
サプライチェーン
マネジメント

設定なし

社員の

ウェルビーイング

重篤災害・重大災害の発生

0件

重篤災害7件

重大災害0件

「従業員意識調査」の①社員エンゲージメント/②社員を活かす環境

グローバル

最高水準

(2030年度80%以上)

①:68%

②:66%

コーポレート・
ガバナンス

株主との建設的な対話の充実

実施

実施

取締役会実効性評価の実施と

改善施策への取組み

実施

実施

PHD取締役会の社外取締役比率

1/3以上

46.1%(注)4

業績連動型役員報酬における
非財務指標の採用

実施

実施

人権の尊重

当社グループ各社に対する人権

デュー・ディリジェンスにおいて
特定された、強制労働につながり
得る課題の是正推進

実施

実施

外国人移住労働者を雇用する当社
グループ国内外拠点に対する強制労働防止への対面研修実施率

100%

(2026年度)

40.6%

サイバー
セキュリティ

セキュリティ意識の向上と行動変容を促進するための全従業員向けの教育・訓練の実施

年4回以上

5回

専門チームによる脅威情報・脆弱性
情報の定常的な収集・監視と、必要に応じた対応

実施

実施

サイバー攻撃を想定した専門チームによるインシデント対応訓練の実施

年1回以上

2回

重大インシデント発生件数

0件

0件

(注)1 カッコ内は、2024年度の対象事業で比較した場合の2020年度からのCO2削減量です。

  2 第三者検証完了前の速報値(本有価証券報告書提出日(2025年6月20日)時点)であり、確定値は追って当社サステナビリティ・ウェブサイトにて開示いたします。https://holdings.panasonic/jp/corporate/sustainability/environment/vision.html

  3 当社の子会社であるパナソニック インダストリー㈱(以下、「PID」)では、前事業年度に、PIDが製造・販売する電子材料製品において米国の第三者安全科学機関であるUL Solutions(以下、「UL」)の認証登録等に関する複数の不正行為を行っていたことが判明しました。これを受け、PIDでは、社外有識者による外部調査委員会を設置のうえ、UL認証に関する不正及びその他の品質不正に関する調査を実施し、当事業年度に外部調査委員会より受領した調査報告書及びPID策定の再発防止策を公表しました。

  4 当社は、2025年6月23日開催予定の定時株主総会の議案(決議事項)として、「取締役13名選任の件」を上程しており、当該議案が承認可決された場合には、53.8%となります。

 

 なお、当連結会計年度より、当社グループのサステナビリティ経営の考え方に基づき、マテリアリティを「社会に対する価値創造のための重要課題」に絞るとともに、今後の事業の方向性や戦略と整合をとるための見直しを進めています。これに伴い、従来のマテリアリティのうち、自社のリスク管理としての要素が大きいものについては、ERMの活動の中で引き続き重要リスクとして管理することとしました。

 一方で、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)会社の経営戦略と対処すべき課題」に記載のとおり、グループ経営改革において「ソリューション領域への注力」の方針を打ち出すとともに、同領域で追求する「社会とくらしのウェルビーイング」を事業マテリアリティとしました。加えて、今後グループを挙げてAIを徹底して活用していく方針から、「責任あるAIの最大活用」を新たに基盤マテリアリティに追加しています。

 また、「地球温暖化進行と資源の枯渇」及び「社員のウェルビーイング」についても、今後の戦略に合わせた見直しを行いました。これらを中心とする見直し後の内容は下表のとおりです。

 これらの検討はサステナビリティ経営委員会、グループ経営会議及び取締役会での議論を経ています。2025年度においてはこの内容にて取り組みを進めてまいりますが、新たに設定した「社会とくらしのウェルビーイング」と「責任あるAIの最大活用」については、戦略や取り組みの具体化を進めている段階であることから、指標及び目標についてもそれに合わせて検討してまいります。

 

<マテリアリティ 一覧>

 

マテリアリティ(注)1

指標

目標

()

2

地球環境問題の解決への
貢献

脱炭素への貢献

CO2削減インパクト

3億トン(2050年)

自社バリューチェーンの
削減量(2025年度)

△4,012万トン(1,701万トン)(注)4

削減貢献量(2025年度)

4,750万トン

全工場CO2排出量

実質ゼロ(2030年)

サーキュラーエコノミー

推進(注)5

再生材の使用量

再生樹脂の使用量(2025年度)

2.5万トン

サーキュラーエコノミー型
事業モデル数

累計16事業(2025年度)

社会とくらしのウェル
ビーイング

社会のウェルビーイング

次期中期戦略と合わせて設定予定

くらしのウェルビーイング

()

3

責任ある

AIの最大活用

AIによる商品・

ソリューションの進化

次期中期戦略と合わせて設定予定

AIによる業務・プロセス

革新

多様な人材・組織のポテンシャルの最大発揮

組織カルチャー変革

UNLOCK指標(注)6

60%(2027年度)

70%(2030年度)

未来を創る多様な変革型

リーダーの開発・登用

経営チームにおける多様性比率(PHD執行役員の女性・日本以外の国籍・キャリア入社の割合)

半数以上

女性管理職比率
(日本地域8社(注)7)

12%(2028年4月1日)

16%(2031年4月1日)

安全・安心・健康な

職場づくり

重篤災害・重大災害の発生

0件

 

生産性指標

(EBITDA/人件費)

目標値(改善率)は

次期中期戦略とあわせて設定予定

 

 

 

人権の尊重

外国人移住労働者を雇用するグループ国内外拠点に対する強制労働防止への対面研修実施率

100%(2026年度)

各事業会社の人権推進リーダーを育成する「人権DD実践研修」の理解度(注)8

80%

ビジネスインテグリティ

重大なコンプライアンス

違反の発生

0件

コーポレート・ガバナンス

株主との建設的対話の促進

実施

PHD取締役会の

社外取締役比率

半数以上

取締役会議長を独立社外取締役が務めること

実施

業績連動型役員報酬における非財務指標の採用

実施

 

(注)1 見直し前のマテリアリティのうち、「自社のサプライチェーンマネジメント」は「地球環境問題の解決への貢献」及び「人権への尊重」において取り組むこととし、「サイバーセキュリティ」は自社のリスク管理としての要素が大きく、重要なリスク項目としてERMの活動の中で対応することから、上表からは除いています。

  2 事業活動を通じた価値創出のための重要課題

  3 持続的な価値創出を支える経営基盤の構築・強化のための重要課題

  4 カッコ内は、2024 年度の対象事業で比較した場合の2020年度からのCO2削減量です。

  5 従来の定義に基づく「工場廃棄物リサイクル率」は、過去より99%以上と高い水準を維持しています。国際的なルールとの整合性を踏まえ、本指標の定義を見直し中であることから、上表には記載していません。

  6 従業員意識調査の設問「会社や上司からの動機付けによる意欲向上」「挑戦への阻害要因がない」がともに肯定回答の割合(グローバル)

  7 PHD、パナソニック㈱、パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション㈱、パナソニック ハウジングソリューションズ㈱、パナソニック コネクト㈱、パナソニック インダストリー㈱、パナソニック エナジー㈱、パナソニック オペレーショナルエクセレンス㈱の8社が対象。

  8 知識に対する理解度に加え、「ビジネスと人権」に対する共感度とその推進に対する意識の高さを研修後のアンケートにて調査。

 

(5)サステナビリティに関する取り組み紹介

①地球環境問題の解決に向けた取り組み

 当社グループは、「より良いくらし」と「持続可能な地球環境」の両立に向け、2022年に長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」を発表しました。目指すゴールは、責務としてスコープ1~3(注)1にあたる自社グループバリューチェーン(注)2におけるCO2の排出を実質ゼロにすることによる排出削減1.1億トンに加え、事業活動を通じた社会への排出削減貢献2億トンにより、2050年に全世界の排出総量の約1%にあたる3億トン(注)3以上の削減インパクトを創出することです。

 Panasonic GREEN IMPACTがゴールと定める削減インパクトの2/3を占める削減貢献量は、自社の技術や製品、サービスを使用した場合にどれだけのCO2削減効果が見込めるかを推定する指標です。当社グループのサステナビリティデータブックでは、削減貢献量の事例や算定式などを開示しています。当社グループは、この削減貢献量が企業の脱炭素への貢献として適切に評価されるよう、国や業界・金融界を巻き込んで、その社会的意義や国際標準化の必要性についての議論を先導しています。2024年11月のCOP29(注)4では、経済産業省とWBCSD(持続可能な発展を目指すグローバル企業団体)共催のイベントにおいて、国際イニシアチブ・機関によるパネルディスカッションにIEC(国際電気標準会議)を代表して当社グループが参加しました。削減貢献量の算定方法等を定める国際規格(IEC63372)に関して、当社グループが更新に参加しているWBCSDのガイダンスと整合性を図りながら、ISO(国際標準化機構)とも連携し、他社と協働して国際規格化を進めていることを紹介しました。国際規格化により、政府や金融機関等が脱炭素化に貢献する企業を適切に評価し、インセンティブ付与や投資判断に削減貢献量を活用できることへの期待や、あらゆる産業界にとって意義がある点を発信しました。

 事業を通じて地球環境問題の解決に貢献するという決意を込めたPanasonic GREEN IMPACTが目指すゴールには、カーボンニュートラルとともに、サーキュラーエコノミー(注)5の実現も含まれています。グループにおけるサーキュラーエコノミーへの取り組みを加速させるため、「サーキュラーエコノミーグループ方針」を策定し、各事業会社の事業特性に応じたアプローチで課題の特定や、長期戦略・中期行動計画の策定を進めています。2023年5月のG7広島サミットでCEREP(循環経済資源効率原則)が承認され、企業のサーキュラーエコノミーの取り組みを評価・促進するための指標や目標であるWBCSDのGCP(グローバル循環プロトコル)の開発に当社グループは積極的に参画しています。COP29(注)4では、環境省主催の「CEREPとGCPを通じたグローバルスタンダード形成」に関するパネルディスカッションにも当社グループが参加し、サーキュラーエコノミーの実践に向けた当社グループの具体的なアクションを紹介しました。

 

 私たちの次の世代、さらには未来の世代にわたって、人々が安心してこの地球で暮らしていけるよう、今後も事業活動を通じて、カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みをグループ一体となって加速していきます。

 

 なお、当社グループは2019年5月にTCFD(注)6提言への賛同を表明しています。当社グループは、マテリアリティ特定プロセスを経て、地球温暖化の進行を当社グループにおける最重要課題とし、気候変動に関するリスクと機会の特定にあたっては、TCFD提言を踏まえ、シナリオ分析による戦略のレジリエンスを検証しています。また、投資家等とのエンゲージメントを実施することを想定し、TCFDが推奨する開示項目である「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」について情報開示を行っています。

 

 

<TCFD提言に基づく開示>

 

ガバナンス

当社グループでは、環境経営推進体制のトップに取締役会が位置しており、グループ環境経営について取締役会への報告を実施しています。 また、GREEN IMPACT PLAN 2024で社会に約束した環境目標の主要項目に対する進捗と実績は、グループCEOや事業会社社長などの経営幹部が出席するグループ経営会議で確認し、方向性や課題、特に重要な施策について意思決定を行っています。特に重要な内容は取締役会に諮られています。グループ長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」は、このプロセスを経て、2022年4月に発信されました。グループの環境経営活動を推進するため、2021年12月に設置されたグループCEOが主宰するサステナビリティ経営委員会での意思決定を通じて、グループ全体で連携して推進できる体制を構築しています。

戦略

気候変動がもたらす影響について、当社グループの事業におけるリスクと機会を把握した上で、影響のある項目についてインパクト分析を行い、最も影響の大きい項目を軸に2030年を想定した社会シナリオを策定しました。そのシナリオに対応した戦略を検討し、当社グループの戦略のレジリエンスを検証しました。

リスク管理

当社グループは、環境リスクを継続的に低減するためのマネジメント体制を整備し、事業会社ごとの環境リスク管理体制を組織しています。グループ全社のリスクマネジメントの基本的な考え方に則り、毎年度、環境リスクの洗い出しやグループ全社のリスクマネジメント推進、さらに環境リスクが発現した際の迅速な対応を進めています。また、当社グループでは、パナソニックホールディングス㈱(PHD)及び事業会社で同一のプロセスに基づくリスクマネジメントを推進しています。PHDエンタープライズリスクマネジメント委員会では、当社グループの経営・事業戦略と社会的責任の観点から審議を行い、グループの重要リスクを決定します。2024年度には、グループの重要リスクのうち、戦略リスクとして気候変動や環境規制、サーキュラーエコノミーの進展、オペレーショナルリスクとして自然災害やサプライチェーンマネジメントが取り上げられています。

指標と目標

当社グループは、温室効果ガス(GHG)削減目標を設定しています。2017年10月にSBT(注)72度目標として認定され、2023年5月にはパリ協定に沿って新たに設定したGHG削減目標が1.5度目標として認定されました。さらに、長期目標として、2024年9月にネットゼロ目標の認定を受けました。(下記の表を参照)

 

 

GHG排出量目標(SBT1.5度目標認定)

目標

目標進捗率

当社グループ事業活動における排出量

(スコープ1、2)

2030年に90%削減(2019年度比)

38%(注)8

当社グループ製品使用における排出量

(スコープ3)

2030年に30%削減(2019年度比)

(注)9

 

 

GHG排出量目標(SBTネットゼロ目標認定)

目標

目標進捗率

当社グループバリューチェーン

全体における排出量(スコープ1、2、3)

2050年に90%削減(2019年度比)

(注)9

 

(注)1 スコープ1~3                             :国際的な温室効果ガス排出量の算定・報告の基準である「温室効果ガス(GHG)プロトコル」の中で設けられている排出量の区分。スコープ1は事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)、スコープ2は他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出、スコープ3はスコープ1、2以外の事業者の活動に関連する他社の排出

2 バリューチェーン                           :原材料調達から製造、流通、販売、アフターサービスにいたるまでの企業の一連の事業活動

3 全世界の排出総量の約1%にあたる3億トン以上:2020年エネルギー起源CO2排出量(出典:IEA)による(CO2削減貢献量の排出係数は2020年基準)

4 COP29                                      :第29回 国連気候変動枠組条約締約国会議。気候変動問題解決に向けた国際会議として約200カ国・地域等が参加

5 サーキュラーエコノミー                     :循環経済。製品、素材、資源の価値を可能な限り長く保全・維持し、廃棄物の発生を最小限化するなど、モノのシェアリングやサービス化で資源の有効活用を図る経済システム

6 TCFD                                       :Task Force on Climate-related Financial Disclosures の略で、G20財務大臣・中央銀行総裁会議の要請を受けて、金融安定理事会により設置された気候関連財務情報開示タスクフォースのことであり、2017年に提言を公開

7 SBT                                        :Science Based Targetsの略で、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べ2度未満、できれば1.5度未満に抑えるという目標に向け、科学的知見と整合した削減目標

8 38%                                        :第三者検証完了前のため、2023年度実績から算出。最新の値は、追って当社サステナビリティ・ウェブサイト(TCFDへの対応)にて開示

9 ―                                         :算出対象製品拡大による排出量増加のため進捗率は算出せず

 

 

 

②人的資本に関する取り組み

 

 当社グループの創業者 松下幸之助は、「物をつくる前に人をつくる」という考えのもと、人を育て、人を活かすことに重きを置いた経営を進めてきました。私たちはそのDNAを受け継ぎ、経営基本方針という揺るぎない経営の軸の下で、社会からお預かりした大切な資本である人が活きる人的資本経営を実践しています。


(ⅰ)経営基本方針の実践

 当社グループにおいて経営は経営者だけのものではありません。一人ひとりが自らを仕事の責任者・経営者と自覚して仕事に取り組む「社員稼業」の実践とともに、全員の知恵を結集し多様な個性や能力を経営に活かす「衆知経営」を大切にしています。経営基本方針は、この「社員稼業」と「衆知経営」の両輪によって、「自主責任経営」を実現していくことを定めています。

 また、多様な価値観や視点を尊重することが、より良い意思決定と成長につながると考え、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DEI)の取り組みを Panasonic Group DEI Policyにもとづき推進しています。

 2023年4月には経営基本方針の実践を目指すための行動指針として、「Panasonic Leadership Principles(PLP)」を策定しました。この指針のもと、チームを持つマネージャーであるかどうかにかかわらず、一人ひとりがより高いレベルのリーダーシップを発揮することを目指しています。

 

(ⅱ)現状の課題

 当社グループでは、毎年グローバル約15万人の社員を対象に従業員意識調査を実施しています。これまで特に重視してきたのは、「社員エンゲージメント」(自発的な貢献意欲)と「社員を活かす環境」(適材適所、働きやすい環境)に関する設問群です。肯定回答率は継続的に上昇傾向にありますが、計9つの設問のうち「会社や上司からの動機づけによる意欲向上」と「挑戦への阻害要因がない」という項目については低迷が続いています。これは、社員一人ひとりがポテンシャルを発揮し、挑戦しやすい環境づくりの実現に向けた大きな伸びしろがあることを示しています。


 さらに、特に日本地域では女性、若手人材、キャリア入社者について取り組むべき課題があります。例えば従業員意識調査における「当社グループにおけるキャリア目標の達成」の設問では女性は男性に比べてキャリア目標を達成できると答えた人が比較的少ない状況です。経営や組織の意思決定層への女性の配置をさらに進めることで女性のキャリアの幅を広げ、多様なリーダーによる質の高い意思決定の実現につなげていく必要があると考えています。また若手人材やキャリア入社者においても、入社時点の高いエンゲージメントを維持しながら活躍の機会を提供し、早期に意思決定層に配置していくことが必要です。

 一方で、そうした質の高い意思決定や施策の実行にあたっては高い生産性をともなうことが不可欠です。人的資本経営とは社会からお預かりしている人がその力を余すことなく存分に発揮することと考え、生産性の高い業務プロセスを構築し、固定費構造の抜本的な見直しを図ることで「世界一の生産性を追求」(前述したPLPの一つ)することも必要です。

 

(ⅲ)目指す姿

 グループの変革と成長をさらに加速させるためには、先に述べた課題に正面から向き合い、社員一人ひとりが意欲的に挑戦し、人と組織がともに成長できる環境を整えていくことが必要です。

 そこで私たちは改めて、「物と心が共に豊かな理想の社会」の実現に向け、社員一人ひとりが自らのポテンシャルをUNLOCK(アンロック)、つまり周囲の期待を超えて積極果敢に挑戦し、持てる力(能力・スキル)を最大限に発揮できる会社を目指すことを決意しました。

 かつて創業者 松下幸之助は、「仕事に夢中になる。働きがいを感じ、働くことが楽しくてたまらない」環境、つまり挑戦と能力の発揮レベルがともに高いフローな状態を提供することが社員への最上の贈り物であると語りました。UNLOCKは、この松下幸之助の考えが源流にあります。

 

 

(ⅳ)重要指標

 そこで当社グループでは人的資本に関わるマテリアリティに関して前述の、2.サステナビリティに関する考え方及び取組、(4)戦略、指標及び目標、<マテリアリティ一覧>のとおり指標化の上、モニタリングしていきます。

 なお、指標を設定した背景は次のとおりです。
 

組織カルチャー変革

・社員が積極果敢に挑戦し、持てる力を最大限発揮している状態を実現するために、前述したとおり従業員意識調査からフォーカスした2つの課題をもとにUNLOCK指標を重要指標として設定(2024年度:グローバル43%)

未来を創る多様な変革型リーダーの開発・登用

・経営における質の高い意思決定を実現していくために、各社の経営チームにおける多様性(女性・日本以外の国籍・キャリア入社者)比率を重要指標と設定(2025年4月:54%)

・性別による能力の差はないにもかかわらず、日本地域では当社グループの管理職に占める女性の割合が低い現状がある。これについて違いを強みとして活かし新たな価値を生み出していくDEI推進の課題の代表事例と位置付け、日本地域における女性管理職比率も重要指標として設定(2025年4月:7.9%)

安全・安心・健康な職場づくり

・事業活動の大前提としての安全・安心・健康な環境の実現のために、「重篤災害・重大災害」の発生件数を重要指標として設定(2024年度:重篤災害7件、重大災害0件)

 

 なお上記に加え、付加価値労働生産性を高め世界一の生産性を追求していくために、「EBITDA(注)1÷人件費」についてグループ内でモニタリングを実施します。

 

(ⅴ)目指す姿の実現に向けた取り組み

 (a)組織カルチャー変革

 組織カルチャーは、事業の成果を最大化するために意図的にデザインすることが重要です。どれほど優れた戦略があっても、実行するのは人です。その戦略実行の成果は、一人ひとりの行動や組織のあり方によって大きく左右されます。社員が自身のポテンシャルを「UNLOCK」できなければ、挑戦や成長にはつながりませんし、行動変容を促すカルチャーが戦略と噛み合わなければ、組織全体の力を十分に発揮することはできません。そこで、私たちはOrganization Performance Model(OPM)というフレームワークを活用してグループとしての「組織デザイン:6つの原則」を作成し、組織カルチャーのありたい姿を明確化しました。
 

 

 「組織デザイン:6つの原則」は、それぞれが互いに連動し、整合してこそ機能し、組織全体の成長を支えます。例えば、成果に対しては、「評価・報酬」の原則に基づき、メリハリをつけて適切に報いることが必要です。「情報共有・学びのプロセス」では内向き志向から脱却し、好奇心に火をつけていきます。「採用・トレーニング・リーダーの選抜」においては、多様な変革型リーダーを育成し、大胆に登用することを重視します。そのリーダーはメンバーの挑戦を支援し、熱狂的にフローで働ける環境を提供できるよう、「仕事デザイン」を行います。このようにそれぞれの要素が結びつくことで、人と組織がともに成長し、事業の成果にもつながる姿を目指しています。
 

 

<グループ経営改革の一環としての人員の適正化>

 「組織デザイン6つの原則」の「組織構造・配置」においては、常に顧客視点でシンプル&フラットな組織体制を構築すること、また「評価・報酬」においては、一人ひとりの成果と行動に必ず報いることを原則の一つと掲げています。これは前述のとおり、社会からお預かりしている社員一人ひとりがその力を余すことなく存分に発揮することにつながります。そのために生成AIなどの最新のデータ・テクノロジーも駆使しながら、生産性の高い業務プロセスを構築することが不可欠と考え、2025年度にグループ経営改革の一環としてグローバル各地域における人員の適正化を行います。さらに継続的な人員数の厳格管理を実施しながら、グループの持続的な成長を可能とするリーンで環境変化に強い会社の構造を作りあげていきます。
 

(b)未来を創る多様な変革型リーダーの開発・登用

 持続的な事業成長を通じて「物と心が共に豊かな理想の社会」を実現するには、質の高い意思決定が欠かせません。そのためには多様な変革型リーダーの育成と登用が不可欠です。当社グループは、経営ポストの後継者育成において、「Panasonic Leadership Principles」のリーダーシップ行動に加え、経験(事業経営、日本以外の拠点の経営、ビジネス創出など)や知見とスキル(意思決定・判断力、戦略立案・実行力など)を重視しています。

 そして、こうしたリーダーを継続的に育成するため、「グループの全重要ポストの人材要件とサクセッションプランの策定」、「中長期かつ意図的な後継者の見出し・育成・モニタリング」を推進します。具体的には次世代リーダーの計画的な育成と配置するための仕組みとして「タレントマネジメントコミッティ」を設置の上、運営しています。

 なお、当社グループにおける経営ポストは2体系があり、これらに対して後継者育成のプラットフォームを整備し取り組みを進めています。

 

 

 上記のうち、トップ経営層の後継者育成については、候補者を「即時任命可能な人材」「5年以内に任命可能な人材」「10年以内に任命可能な人材」として可視化し、合計23の重要ポストに対する育成計画を策定しています。また、各地域と連携したグローバル幹部開発研修や、若年層の早期見出しを目的とした選抜研修など、包括的な後継者育成プログラムを展開し、次世代リーダーの育成を加速させています。

 さらに、日本地域においては「女性リーダーの獲得及び計画的育成」にも注力しています。当社グループでは、報酬体系上、性別等の属性による格差はありませんが、経営チームや管理職への女性登用は男性に比較して遅れているのが実態です。未来に向かって、より多様なメンバーの知恵を引き出し、イノベーティブな商品・サービスを生み出すために、採用の強化、働き方の選択肢の拡大やキャリア開発の支援などを通じて、女性リーダーの獲得と計画的な育成に取り組んでいます。当社グループのDEIの取り組みについては当社ウェブサイトに掲載していますのでご参照ください。
https://holdings.panasonic/jp/corporate/sustainability/diversity-equity-inclusion.html

 

<経営者の育成状況のモニタリング>

 当社グループでは、現任の事業会社社長、当社や一部の事業会社の役員等を対象に「Panasonic Leadership Principles(PLP)アセスメント)を実施しています。これは経営基本方針の実践につながるリーダーシップ行動の発揮状況を上位者/同等者/下位者がアセスメントするものです。日常の行動を周囲からどう捉えられているかを認識することで、自らの行動を振り返り、自らが変えていくべき行動を考える機会を提供します。さらに、次世代のトップ経営層の育成を目的として、「即時任命可能な人材」「5年以内に任命可能な人材」「10年以内に任命可能な人材」は本アセスメントの対象となっています。

 なお、2024年度のPLPアセスメントの結果から、「誠意をもって行動する」「自主責任感を持つ」は強みである一方で「世界一の生産性を追求する」「違いを強みとして活かす」は今後の伸びしろであり、経営者育成プロセスにおいて強化していきます。

 

(c)HRモダナイゼーション

 HRモダナイゼーションは、最先端のデータ・テクノロジーを活用し、社員の働き方や人材マネジメントのあり方を進化させる取り組みです。人事データや生成AIを駆使して、パナソニックグループで働くすべての社員の体験価値を向上させるとともに、経営者及び組織責任者の組織・人材マネジメントの高度化・効率化を図ります。

 さらに、人事業務の標準化・効率化を推進することで、人事機能が事業戦略を支えるプロフェッショナル集団へと進化させていきます。一人ひとりがより創造的な仕事に集中できる環境を整え、ポテンシャルを最大限に引き出しながら、グループ全体で成果を共有し、社員の成長と組織の競争力強化につなげていきます。

 このように人事機能の貢献領域においてデータ・テクノロジーの活用を進めることで、人事社員1FTE(注)2の社員数や、人事社員が「人事戦略や組織・人材開発の領域」を担当する割合をグローバル先進企業の水準に引き上げていきます。

 

<生成AIを活用した社員7万人対象の「ワンストップ人事サービス」>

 ポータルサイト「ワンストップ人事サービス」を導入し、分散していた人事情報や問い合わせ窓口を一本化しました。お知らせやTo Doをパーソナライズ表示できる「マイページ」、AIチャットボットによる自動回答・自動申請が可能な「バーチャルエージェント」、Face to Face対応の安心感を新たな形で実現する「メタバース」など、複数のサポート手段を提供することで、セルフサービスの利便性と有人対応の安心感を両立しています。

 

(d)安全・安心・健康な職場づくり

 安全・コンプライアンスは事業運営の大前提です。労働安全衛生については、モノづくり現場重篤・重大災害の撲滅に向けて、設備安全基準に基づく設備安全対策を推進するとともに、過去の重篤災害事例の分析結果を踏まえた災害の未然防止活動を展開し、安全確保の徹底を図っています。また、衛生管理については今般の設法令改正により事業者に化学物質の自律的管理が求められていることを踏まえ、リスクアセスメント結果に基づくばく露低減対策の推進強化に取り組んでいます。

 健康については、一人ひとりが心身ともに健康で、安全に安心して働くことができる職場環境の実現に向け、グループ全体に健康投資を強化する方針を発信しています。日本地域においては会社、労働組合、健康保険組合が一体となった「健康パナソニック活動」に加え、各事業会社独自の取り組みも積極的に進めています。経済産業省が推進する「健康経営優良法人」制度において、2025年3月時点ですべての事業会社が健康経営優良法人として認定されました。さらに、パナソニック コネクト㈱は三年連続、パナソニック㈱は二年連続でホワイト500(注)3に認定されています。

 さらに、コンプライアンス遵守においては、あらためて社員自らの関わる事業・地域に関する法規制についての教育を実施しています。加えて、グローバルホットライン「EARS」等を活用し、問題の早期発見・未然防止について周知徹底を図ると同時に、あらゆるハラスメントの根絶に向けた啓発活動の強化に取り組んでいます。

 

(注)1 EBITDA:営業利益と減価償却費(有形/使用権資産)、償却費(無形)の合計

   2 FTE:組織の人員をフルタイムで勤務する社員に換算して表す単位

   3 ホワイト500:大規模法人部門における健康経営優良法人の中で特に取り組みが優良とされる上位法人500社