2025年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 当社グループは、くらし事業、コネクト、インダストリー、エナジー等の幅広い事業を有しており、それぞれの事業活動に影響を与える可能性のあるリスクも多岐にわたります。当社グループでは、事業目的の達成に影響を与えるリスクに対して、適切な対策やリスクテイクを推進することにより、それぞれの事業が向き合う市場における事業競争力の強化、グループ全体の持続的かつ安定的な発展を実現することを目指しています。

 当社グループでは、「パナソニックグループリスクマネジメント基本規程」に基づき全社的リスクマネジメントの体制・プロセスを構築しています。グループのリスクマネジメントの最高責任者であるグループ・チーフ・リスクマネジメント・オフィサー(以下、「グループCRO」)がグループ全体のリスクマネジメント活動を統括し、パナソニック ホールディングス㈱(以下、「PHD」)のエンタープライズリスクマネジメント室(以下、「PHD ERM室」)がプロセス推進に係る実務を担っています。グループCROを委員長、PHDの各機能部門のトップを委員とした「PHD エンタープライズリスクマネジメント委員会」(以下、「PHD ERM委員会」)を定期的に開催しています。

 当社グループでは、リスクシナリオの対象範囲や時間軸に応じたリスク管理を行う目的で、短期的な事業計画の遂行や日常的な業務遂行の中で「損失」又は「脅威」となりうる不確実な事象を「オペレーショナルリスク」、中長期的な事業戦略の遂行において考慮すべき「機会」又は「脅威」となりうる不確実な事象を「戦略リスク」と定義しています。PHD ERM室では、年1回、外部・内部環境の変化や経営層のリスク認識等を踏まえて当社グループ全体に影響を与えうるリスクを特定しています。

 特定したリスクのうち、オペレーショナルリスクについては、関連機能部門によるリスクの発生可能性及び財務・非財務影響の二軸による評価結果に基づき、当社グループの経営及び社会的責任の観点で「グループ重要リスク」を決定し、必要な対策を行います。戦略リスクについては、リスク許容度に応じた適切なリスクテイクを推進するため、「PHD重要戦略リスク」と位置づけた重要アジェンダのシナリオに基づき、「機会」もしくは「脅威」、又はその両方になりうる事象の特定・評価を行います。事象の中でも、不確実性の低い事象については直ちに対策を行う対象とし、それ以外の事象については顕在化の予兆を捉えるための先行指標を設定することで、不確実性の変化に応じて対策を検討することとしています。PHD ERM室は、これらのリスクに対して、リスクの変化及び対応策の進捗に関するモニタリングを通して、リスクコントロールの有効性を確認しています。

 PHD ERM委員会は、これらのリスクマネジメント活動のPDCAサイクルの中で、重要リスクや対策の進捗状況等を定期的にグループ経営会議及び取締役会に報告しています。また、PHD傘下の各事業会社にも「事業会社ERM委員会」を設置し、個社及びそれぞれの事業領域における重要リスクを中心としたリスクマネジメント活動を推進しています。これらの活動に対し、内部監査機能は重要リスクを中心としたリスクベースアプローチの監査を実施しています。

 このような活動に加えて、当社グループでは、従業員一人ひとりが適切なリスクリテラシーを持ち、健全なリスクテイクを志向する「リスク文化」の醸成に向けた取り組みを推進しています。入社時及び海外赴任前の従業員を対象とした研修では、リスクを過度に恐れず、組織と個人の成長に繋げるために必要なマインドセットや、危機発生時の基本的な対応等を身につけることを目指しています。

 

     [リスクマネジメント体制図]

     [リスクマネジメントプロセス]

 事業活動に影響を与える可能性のあるリスク(グループ重要リスク及びPHD重要戦略リスクを含む)のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しています。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。当社グループの事業、業績及び財政状態は、かかるリスク要因のいずれによっても著しい悪影響を受ける可能性があります。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクは、以下のとおりです。また、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2025年6月20日)現在において判断したものです。

 

(1) グループ重要リスク及びPHD重要戦略リスク   ※◎:PHD重要戦略リスク

① 経営基盤リスク

災害・事故

リスクシナリオ

[脅威]

・地震、津波、洪水等の自然災害、事業場の火災等が発生し、対策不備や復旧活動の遅延又は合理的な想定を超える甚大な影響により、従業員、設備、原材料・部材、在庫品等が損害を被り、操業中止、生産・出荷遅延及び設備等の修復費用が発生。

主要な取り組み

・「パナソニックグループ 緊急対策規程」にグループ全体に大きな影響を及ぼす可能性のある緊急事態が発生した際のエスカレーション及び判断のプロセスを含む対応の基本方針、当該緊急事態への対応に際した体制及び役割、初動対応等を規定。

・優先的に復旧を図る事業や復旧プロセス等からなる事業継続方針、有事への対応、平時の防災・減災対応の3点を軸とした「BCM構築ガイドライン」に基づくBCPの見直し。

・「グローバル防火・防災規程」に基づく事業場単位での平時の未然対策の徹底。「防火・防災対策委員会」のもとハザード情報や火災リスクアセスメントに応じた対策の強化。火災が発生した事業場においては第三者点検を実施し再発防止策の徹底。

・社員の安否確認を迅速かつ正確に実施する安否確認システムの運用及び拠点の状況を把握する「災害ポータル」による被災状況及び支援要請の迅速な把握。

・南海トラフ地震、首都圏直下地震をストレス事象とした影響分析及び当該分析結果に基づく対策及びリスクコミュニケーションの強化。

・各種の想定条件に基づく事業場での防災・避難訓練実施に加え、グループCEOや事業会社社長が参加するグループ防災訓練を実施。本社所在地(大阪府門真市)に本部を置く訓練に加え、関東代替本部による演習も実施し練度向上に努めている。

・特に自然災害は時間や場所を問わず発生することを考慮し、個人の防災力向上が必須であるという認識のもと講演会や意識調査などの啓発活動を展開。

 

コンプライアンス

リスクシナリオ

[脅威]

・独占禁止法・競争法への違反や、贈収賄・腐敗行為等の重大なコンプライアンス違反行為の発生又はコンプライアンス上の問題に直面し、課徴金等の行政処分、刑事処分又は損害賠償訴訟の対象となる。また、当社グループの社会的評価に悪影響を及ぼす。

主要な取り組み

・「社会の公器」として法令や社会道徳に反せず、かつ私心にとらわれず高い倫理観や正しい知識を持って業務を遂行するため、「パナソニックグループ コンプライアンス行動基準」に当社グループ各社及び社員一人ひとりが果たすべき約束を定め、全社員に周知・徹底。

・倫理・法令順守意識のグローバルな定着とリスクへの対応力向上のため、年間を通じた全社員に対する基本的なコンプライアンスの教育や、必要な対象者への事業特性や地域特性を踏まえたリスクに応じたコンプライアンスの教育の実施。

・カルテル・談合及びそれらの疑いを招く行為の防止を目的とした社内規程や、贈収賄・腐敗行為の防止を目的とした社内規程の制定及び全社員への周知・徹底。

・間接的な贈収賄・腐敗行為のリスク低減を図るためのリスク デュー・ディリジェンス ツール及びリスク審査プロセスの導入・運用。

・贈収賄・腐敗行為の未然防止、早期発見に向けたリスクベースアプローチによるコンプライアンス監査等の取り組みの実施。

・不祥事の防止や早期解決を目的とした国内外の拠点や取引先からも通報ができる一元的なグローバルホットラインの設置、適切な社内調査を通じた問題の早期発見と是正、調査従事者の調査能力の高位平準化のための教育の実施。

 

 

情報セキュリティ・サイバーセキュリティ

リスクシナリオ

[脅威]

・営業秘密(技術情報等)、顧客等のプライバシーや信用に関する情報(顧客の個人情報を含む)が、サイバー攻撃を含む意図的な行為、従業員又は業務委託先等の過失等により外部に流出することで社会的信用が低下、損害賠償責任が発生する。

・情報システム、生産設備、製品・サービス等がサイバー攻撃の標的となり、業務プロセスの停滞や製品・サービスの提供停止、それらに伴う損害賠償責任の発生等の事態が発生する。

・製品・サービスにサイバーセキュリティ上の脆弱性が発見され、製品の大規模なリコールや製品・サービスの長期間の提供停止等に発展し、多大な対策費用等が発生する。

・サイバーセキュリティインシデントがサプライチェーンにおいて発生し、原材料、部材の入手に支障が生じ、当社グループの製品の供給が停止又は遅延する。

主要な取り組み

・国内・海外の子会社を含むネットワーク、サーバ、パソコン等のインフラを対象とした異常監視の拡大、工場内部のセキュリティ監視との一体化等による、グローバルかつ一元的なセキュリティ監視体制の強化。

・製品・サービスのセキュリティを担保するための検査体制の整備及び運用。

・情報セキュリティ教育プラットフォームによるグローバルの従業員に対する定期的な教育や、システム運用等の委託先に対する定期的なセキュリティチェック等の人的対策。

・各国の個人情報保護又はサイバーセキュリティに関する法令・規制に対する法令・規制動向の調査、規程等への反映及び社内周知の徹底。

・組織横断でのインシデント対応訓練に基づく、危機発生時の連携と対応プロセスの確認。

・複合的なサイバーセキュリティリスクに対する網羅的・一元的な対応のための情報、製品、工場セキュリティの共通機能を統合した「サイバーセキュリティ統括室」の設置、運営。

 

 

 

品質

リスクシナリオ

[脅威]

・製品の欠陥による品質問題(不安全事故や大規模なリコール等)が発生し、欠陥に起因する損害(間接損害を含む)に対し生産物賠償責任保険で補償しきれない賠償責任を負担する又は多大な対策費用を負担する。また、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客の流出等を惹起する。

主要な取り組み

・経営基本方針に則り、常に製造・販売する製品の安全性を確保、お客様に安全・安心をお届けすることが経営上の重要課題かつ社会的責任であるとの考えのもと、当社グループの品質方針を「常にお客様及び社会の要望に合致し、満足していただける製品及びサービスの提供を通じ、真にお客様に奉仕する」と規定。

・当社グループの品質方針の達成に向けて、事業会社において担当する製品の品質に対する責任に基づく品質マネジメントシステムを構築・運用。

・製品安全確保のための知見や不安全事象の未然防止策をグループ共通の安全規格として発信し、事業会社へ展開。

・品質不正防止への取り組みとして、「パナソニックグループ コンプライアンス行動基準」にある法令と企業倫理の順守に基づき、法規・法令だけでなく、業界基準やお客様とのお約束等も守ることを明確化。

・当社グループ全体において、外部の法律事務所と連携し、品質コンプライアンスに関する不適切行為を対象とした徹底的な自主調査を実施。

 

<各報告セグメント及びその他の事業、部門におけるリスク>

インダストリー事業

当社の子会社であるパナソニック インダストリー㈱(以下、「PID」)では、前事業年度に、PIDが製造・販売する電子材料製品において米国の第三者安全科学機関であるUL Solutions(以下、「UL」)の認証登録等に関する複数の不正行為を行っていたことが判明。これを受け、PIDでは、社外有識者による外部調査委員会を設置のうえ、UL認証に関する不正及びその他の品質不正に関する調査を実施し、当事業年度に外部調査委員会より受領した調査報告書及びPID策定の再発防止策を公表。

調査対象事案に関連して、2024年12月31日付けで、一部の製品について、追加的にUL認証が取り消し。一部の製品のUL認証の取り扱いについては、PIDとULとの間で協議が継続中。

また、PID又はその子会社の一部の拠点において、次のとおりISO9001(注1)認証及びIATF16949(注2)認証が追加的に取り消し又は一時停止。

・ISO9001認証の取り消し:伊勢工場(適用範囲の一部)

・ISO9001認証の一時停止:伊勢工場(適用範囲の一部)、帯広工場(注3)

・IATF16949認証の一時停止:伊勢工場、帯広工場

 

(注1) ISO(国際標準化機構)9001は、品質マネジメントシステムに関する国際規格

(注2) IATF(International Automotive Task Force)16949は、自動車産業向け品質マネジメントシステムに関する国際規格

(注3)PIDの子会社であるパナソニック スイッチングテクノロジーズ㈱の拠点

 

[脅威]

・一部製品のUL認証取り消しにあたり、今後もUL認証品として販売を継続する必要があるものについて認証の取得ができない場合、事業への悪影響が生じる。

・一部のISO9001認証及びIATF16949認証の取り消し又は一時停止にあたり、今後も維持する必要があるものについてその認証の取得又は一時停止の解除ができない場合、事業への悪影響が生じる。

 

[主要な取り組み]

・外部調査委員会より指摘を受けた、品質保証の本質に関する理解不足や組織風土の問題、品質コンプライアンス体制の不備等の原因分析を踏まえた再発防止策の策定、遂行。今後もUL認証品として販売を継続する必要があるものについて、その認証の取得に向けた取り組みを継続(一部の製品については認証取得済み)。

・取り消し又は一時停止されたISO9001認証及びIATF16949認証について、その認証の取得又は一時停止の解除に向けた取り組みを継続。

 

② 事業運営リスク

労働災害

リスクシナリオ

[脅威]

・職場作業環境又は作業手順の不備、不適切な労務管理等により重篤な事故等が発生し、従業員や関係者が肉体的又は精神的な被害を受ける。

・労働基準法、労働安全衛生法等の労働関連法令に違反し、刑事処分、行政処分、安全配慮義務不足に対する損害賠償訴訟等の対象となる。また、当社グループの社会的評価に悪影響を及ぼす。

主要な取り組み

・各事業会社・事業場に安全衛生組織を設置し主体的に安全衛生活動を推進するとともに、グループ共通の課題解決、類似災害の未然防止を図るため、モノづくり部門や健康保険組合と連携し、各種規程・基準の見直しや重要施策を策定・展開。

・労働安全衛生マネジメントシステムにおける定期的なリスクアセスメントに基づき、職場の労働災害や疾病にかかるリスクの洗い出しやリスク低減策を実施。

・過去の重篤な労働災害を分析し、災害発生の代表的なパターンを明確化することによって、重点確認ポイントの共有、未然防止策や類似災害の再発防止策を実施。

・過重労働の防止のための従業員に対する継続的な意識啓発、勤務管理システムの拡充。

・当社グループの安全衛生担当者が参加する「健康・安全衛生フォーラム」や経営層を対象とした研修等の開催による知見の共有及び意識醸成。

 

人権・労働コンプライアンス

リスクシナリオ

[脅威]

・当社グループ及びそのバリューチェーン上で人権侵害行為を引き起こす又は人権侵害行為への関与や加担等に直面した場合、当社グループが、課徴金等の行政処分、刑事処分又は損害賠償請求の対象となり、当社グループの社会的評価に悪影響を及ぼす。また、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客からの取引停止、消費者による不買運動等が発生する。

主要な取り組み

・「パナソニックグループ 人権・労働方針」及び「人権・労働コンプライアンス規程」を定め、国際連合の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいた事業会社の事業領域及びバリューチェーンに関連する人権への負の影響の把握・予防・低減に向けた具体的な取り組み(デュー・ディリジェンス)の推進。

・「パナソニック サプライチェーンCSR 推進ガイドライン」を定め、購入先様に対する要請事項(人権・労働、安全衛生、地球環境保全、情報セキュリティ、企業倫理等)の順守についてのコミットメント取得、デュー・ディリジェンスの一環としての自主アセスメント及びリスクベースアプローチによる購入先監査の実施。

・上記の取り組みを加速する為、PHD及び全事業会社において人権デュー・ディリジェンスを推進する体制の構築、社内外での人権デュー・ディリジェンスに関する啓発や研修の実施。

・人権・労働に関する重要な法的要請の変更等に関する情報収集及び各拠点への徹底。

・法令及び国際規範に基づく「パナソニック サプライチェーンCSR 推進ガイドライン」を定め、購入先様に対するCSRの要請事項(人権・労働、安全衛生、地球環境保全、情報セキュリティ、企業倫理等)の順守についてのコミットメント取得、デュー・ディリジェンスの一環としての自主アセスメント及びリスクベースアプローチによる購入先監査の実施。

・「パナソニックグループ 人権・労働方針」及び「人権・労働コンプライアンス規程」を定め、国際連合の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいた事業会社の事業領域及びバリューチェーンに関連する人権への負の影響の把握・予防・低減に向けた具体的な取り組みの推進。

・人権・労働に関する重要な法的要請の変更等に関する情報収集及び各拠点への徹底。

 

 

 

地政学・経済安全保障 ◎

リスクシナリオ

[脅威]

・当社グループ又は当社グループのサプライチェーンが拠点を有する国・地域において政情不安、軍事的緊張が顕在化又はテロ・戦争等の発生により、事業継続への支障や、従業員や関係者の人命にかかわる事態が発生する。

・貿易摩擦に端を発する米中をはじめとした国・地域間の対立や市場の分断や、米国での政権交代に伴う追加関税をはじめとする貿易・経済関連の措置やこれらに対する諸外国の報復措置等を含む政策・法規制の動向の不確実性の高まりにより、貿易規制・経済制裁や関税障壁が一層強化される。

・国家間・地域内の対立や武力行使等の激化に加えて、各国の政権交代や政策転換等に伴う政治的・社会的混乱の広がりにより、事業環境が急激に変化する。

・特に、EVに関連する義務化撤廃又は補助金削減等によるEV普及率の鈍化によって、車載電池関連事業に悪影響を及ぼす可能性がある。
 

[機会]

・各国の経済安全保障政策に基づく税制関連措置や補助金等の活用。

主要な取り組み

・当社グループの事業への影響が大きい欧米諸国、中国等の政策・法規制の動向をはじめとする国際情勢のモニタリング。

・各国・地域間の対立や政権交代等のイベントに伴い起こりうる政治的・社会的混乱等に備えた、人命安全を最優先としたBCPの整備やサプライチェーンの複線化。

・貿易規制・経済制裁に関する各国の法規制の変更に対する日々の情報収集に基づく、新たな規制・制裁の早期の把握とグローバルポリシー及びガイダンスの更新、新たな規制分野で対象となる貨物・技術の該非判定、相手先での軍事転用リスクの確認や顧客審査・取引審査のさらなる強化、及び社内への周知徹底や国内外の従業員の啓発。

・国内外の政治・財界への渉外活動と政策提言。

 

 

 

環境問題・気候変動 ◎

リスクシナリオ

[脅威]

・環境問題対策の遅れにより、欧州をはじめとする各国市場への事業進出機会の喪失や、取引の停止等が生じる。

・炭素税や排出権取引制度等のカーボンプライシングの導入等に伴うエネルギー調達コストや、環境負荷の低い材質への切り替えによる調達、製造コストの増加。

・循環資源(再生材・再利用原材料)の価格上昇や供給不足により、生産コストが増大する、又は生産が遅延する。

・米国IRA(インフレ抑制法)をはじめとする気候変動対策関連の法制度が廃止又は縮小することに起因し、車載電池を始めとする製品需要が当社グループの見込みを割り込む。
 

[機会]

・環境政策・規制に対応した新規技術・事業開発の機会の拡大。

・サステナブル・エシカル消費等の意識変化による環境志向型の製品やサービスの需要拡大。

・再生可能エネルギーのニーズ拡大による高効率太陽電池等の新規市場開拓。

・各国のエネルギー安全保障、気候変動対策関連の法制度に基づく税控除、補助金等の活用。

主要な取り組み

・グループ長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」に基づく、2050年までにグループの事業活動を通じた、現時点の全世界のCO₂総排出量の「約1%」にあたる3億トン以上の削減インパクトの創出、CO₂排出の削減貢献量の拡大及び算定方法に関する認知活動及び標準化に向けた働きかけ。

・当社グループの事業活動においてサーキュラーエコノミーを推進する上で共通の指針となる「サーキュラーエコノミーグループ方針」の策定及び発信と各事業におけるサーキュラーエコノミー型事業創出、循環型モノづくりの取り組み等の強化。

・生産活動におけるCO₂排出量、廃棄物・有価物発生量、水使用量、化学物質排出・移動量等の環境負荷低減に向けた取り組みを推進。

・排出・移動量などの生産活動における環境負荷の削減。

・CO₂削減、資源有効活用、水資源や生物多様性保全等に配慮した製品の開発・販売。

 

人材の誘引・獲得・維持 ◎

リスクシナリオ

[脅威]

・有能な人材確保に向けた取り組みが進まない場合や雇用構造改革を実行する場合には、今後の事業活動に必要な能力やスキルを持つ社員が流出、今後の経営戦略の推進に必要な人材の獲得が困難となる。

 

[機会]

・多様な人材の獲得・登用機会が増加することで、当社グループの事業競争力が向上する。

主要な取り組み

・「多様な人材・組織のポテンシャルが最大発揮されている状態」を作り上げていくことをグループの重要な課題と設定。「組織カルチャー変革」「未来を創る多様な変革型リーダーの開発・登用」「安全・安心・健康な職場づくり」の取り組みを実施。

・組織カルチャーについては、社員が積極果敢に挑戦し、持てる力を最大限発揮している状態をUNLOCKと定義し、従業員意識調査のスコアを活用して指標化。その上で、組織カルチャーを「評価・報酬」「意思決定」など6つの要素で戦略的にデザインする取り組みを推進。優秀な人材の獲得、育成、配置等の人材マネジメントの高度化につなげる。

・リーダーの開発・登用については、グループ全体の早期育成登用の実現と後継者パイプラインの多様性の確保を目指している。グループCEOや各事業会社社長が出席するグループタレントマネジメントコミッティでの議論を通じて、重要ポストの後継者の見出し、育成・配置等を推進。

 

 

 

AI(人工知能)の利活用 ◎

リスクシナリオ

[脅威]

・AIの効果的な利活用や開発が想定どおり進まず、当社グループの事業機会や製品・サービスの競争力が失われる。

・AIの利活用に伴ってプライバシー、セキュリティ、公平性及び著作権の侵害その他のコンプライアンスに関連する問題が発生し、当社グループのブランドイメージや信用が失われる。
 

[機会]

・AIの利活用による業務の生産性向上や新たなビジネスアイデア創出、事業競争力の向上。

主要な取り組み

・AIの利活用加速に向けたAI技術戦略として、あらゆるお客様にAIを素早くお届けするための「Scalable AI」、AIへの信頼性に関する技術開発によってあらゆるお客様の信頼にこたえる「Responsible AI」の取り組みを強化。

・AIの利活用の拡大に伴う機会及び脅威を見極めるとともに、グループ全体で適時・適切な対策を講じるため、全事業会社のAI倫理の担当者に加えて法務、知財、情報、品質部門等の担当者が参画する「AI倫理委員会」を設置。

・責任あるAI活用を実践するため「AI倫理原則」を定め、AI開発現場でのAI倫理リスクチェックシステムの運用、グループ全社員を対象としたAI倫理教育やAI技術人材育成を推進。

・AIの開発や運用を包括的に規制する法律として欧州(EU)AI規制法が世界で初めて成立・発効したことに伴う、2025年以降の段階適用に向けた社内ガイドラインの発行、規制の対象となる製品・サービスの洗い出し及び順守に向けた対応。

 

 

(2) その他の重要なリスク

リスクシナリオと主要な取り組み

経済状況の変動

[環境認識]

・2024年度から2025年度にかけての世界経済は、米国の関税政策と、それに対する各国の経済政策・通商政策動向やその影響が不透明さを増す中、ウクライナ情勢などの地政学リスクも引き続き懸念され、先行きが見通しにくい状況が継続。

 

[脅威]

・世界の市場における景気後退により、製品・サービスに対する需要が減少する。

・世界経済の想定以上の悪化、急激な社会の構造的変化、消費者の消費行動変化等により経営環境が現在の予想よりも厳しくなる。

・経済環境の悪化等に対処するため、新たに事業構造改革の実施が必要となり、費用増大等が発生する。

為替動向、金利変動及び株式市場の動向

[環境認識]

・各国の中央銀行で利上げがひと段落する中、わが国では2024年3月の日銀のマイナス金利を解除以降、円金利は上昇傾向にある。

・2024年度は、前年度と比較して、ドルやユーロに対して円安に動いたことによる輸出影響が大きく、全体として業績に対して好影響を及ぼした。

・2025年度については、年間を通してドルやユーロに対して円高に動くと想定しており、全体としては業績に対して一定の悪影響が生じることを見込む。

 

[脅威]

・急激な為替変動により、外貨建てで取引されている製品・サービス等のコスト及び価格の価格競争力が低下する又は部材等の輸入価格が上昇する。また、海外の現地通貨建ての資産の目減り又は負債の増大が発生する。

・金利の上昇によって支払利息や有利子負債が増加する。

・国際的な政情不安等、様々な外的要因による金融市場の不安定化又は悪化、あるいは格付機関による当社の信用格付の引下げ等の事態が生じることで、資金調達が制約され、かつ資金調達コストが増加する。

・株式市場の変動等により、当社グループが保有する国内外の企業等の株式価値が減少することで、親会社の所有者に帰属する持分が減少する。

 

[主要な取り組み]

・経営への為替影響の軽減を図るため、事業活動を通じて得た外貨を同一外貨建ての支出に充てる「為替マリー」、将来における外貨の売却価格もしくは購入価格と数量を事前に契約しておく「為替予約取引」、消費地に近い地域での製品の生産を行う「地産地消型製造」等を実施。

・資金創出力の強化を目的とした事業の競争力強化や運転資本の圧縮等を通じた事業からのキャッシュ・フロー創出力向上、継続的な保有資産の見直し等によるバランスシートからの資金創出。

・2024年6月に複数の金融機関との間で期間を3年間とする総額6,000億円のコミットメントライン契約(注)を締結、現金及び現金同等物の残高とあわせて十分な流動性を確保することで経営への影響を軽減。

(注)コミットメントライン契約:金融機関との間で予め契約した期間・融資枠の範囲内で融資を受けることを可能とする契約

 

 

国際的な事業運営に関するリスク

[脅威]

・政情不安(テロ・戦争等を含む)、経済動向の不確実性、宗教及び文化の相違、現地における労使関係等のリスクに直面する。

・投資規制、収益の本国送金に関する規制、現地産業の国有化、輸出入規制や外国為替規制の変更、税率変更等を含む税制改正及び移転価格課税等の国際課税リスク、海外での商慣習の違いといったさまざまな政治的、法的その他の障害に遭う。

競合・業界に関するリスク

[脅威]

・特定の事業に対する投資を、競合他社と同程度に、又はタイムリーに、場合によっては全く実施できない、また、競合他社がそれぞれの競合事業において当社グループよりも大きな財務力、技術力及びマーケティング資源を有していること等により、製品・サービス需要及び価格が下落する。

・将来の市場ニーズを把握しきれず、これに応えるための新技術を正しく予想し開発できない、又は当社グループが開発・提供した技術が業界において主流とならず、競合他社が開発した技術が業界標準となることで、新しい市場での競争力を失う。

 

[主要な取り組み]

・キャッシュの獲得を前提とした、グループとして強みを持つ事業への戦略的な投資。

・事業のスピードを高めるための、正味付加価値を生まない業務のIT活用による効率化の推進、事業の競争力強化テーマ、開発設計、製造・販売、調達等グループ共通でスケールメリットのあるテーマについてのビジネスプロセスの変革。

・コスト削減と競争力強化のため、デジタル技術の活用と業務改善活動の積み重ね、職場のあらゆるムダと滞留、手戻りを排除する活動の展開。

・販売価格の維持及びより付加価値の高い製品の開発につなげるための、BtoC(一般消費者向け)分野のうち、国内向けの家電機器を対象とした販売店との取引形態の見直しと新たな「指定価格制度」の導入。

 

 

他社との提携・企業買収等に関するリスク

[脅威]

・相手先とのコラボレーションが円滑に進まない、当初期待した効果が得られない、投資の全部又は一部が回収できない。

・事業展開の過程で相手先が当社グループの利益に反する決定を行う。

・相手先が事業戦略を変更し、提携関係を維持することが困難になる。

・企業買収にかかる多額の費用の発生、買収後の事業統合・再編等にあたり期待した成果が十分に得られない、又は予期しない損失を被る。

・当社グループの持分法適用会社に対しては、重要な影響力を有するものの支配をしていないため、当社グループが制御できない事象の発生などにより、当社グループの業績及び財政状態が悪影響を受ける。

 

[主要な取り組み]

・重要な戦略的提携の検討の段階に合わせた審議に基づく、事業戦略との整合性、検討の抜け漏れの有無確認、価格や契約内容の妥当性、リスクの洗い出し、統合プラン等の検証。

 

<各報告セグメント及びその他の事業、部門におけるリスク>

コネクト事業

2021年9月に完全子会社化したBlue Yonder Holding, Inc.(以下、「Blue Yonder」)の様々なサプライチェーン分野でのケイパビリティを取り込むことで、現場プロセスイノベーションの実現の加速、また、両社のシナジー最大化に取り組んでいる。

 

[脅威]

・キーマネジメントメンバーを含めた優秀な人材の保持及び従業員の士気の維持ができない場合、事業環境や競合状況の変化等によってBlue Yonderの競争力が大きく低下する場合、重要な顧客やその他関係者との良好な関係を維持できない場合等により、期待した効果が十分に得られない可能性がある。

・完全子会社化に加え、機能強化のために複数の追加買収を実施しているため、買収によるのれんや無形資産の計上額が増加している。事業環境や競合状況の変化等により期待した効果が得られないと判断され、回収可能価額が帳簿価額を下回った場合、又は適用される割引率が高くなった場合は、減損損失が発生する可能性がある(詳細は「(2) その他の重要なリスク」の「会計上の見積もり」を参照)。

・企業のサプライチェーンマネジメントソリューションに対する期待が高まり、市場拡大が見込めるとともに、研究開発活動(R&D)やM&A等の投資競争が激化する。

 

[主要な取り組み]

・2022年7月に就任した新CEOを含む新たなBlue Yonderの経営陣と共に、成長戦略に伴う重点施策等を着実に推進。

・事業競争力強化を目指し、商品品質の安定化による顧客満足度の向上や販売体制の強化に加え、戦略的な投資で高度なAI技術を取り込んだ新たなプロダクトの半期ごとのリリースや、機能補完を目的とした追加買収でEnd to Endソリューションの実現へ取り組んでいる。

・成長ストーリーに対する資本市場からの理解を得ながら資金を調達し、継続的な投資による中長期な成長を図るため、議決権の過半数を持つ重要な連結子会社であることを前提に株式上場を検討。

 

 

事業再編に関するリスク

[環境認識]

・当社グループは、多くの子会社及び関連会社等を有しており、経営の効率化と競争力の強化のため、グループ事業体制を再編(他社への事業又は株式の譲渡や、グループ内の組織又は拠点再編等を含む)することがある。

・2025年2月に発信したグループ経営改革にて、事業ポートフォリオマネジメントの推進を加速。そのひとつとして、くらし事業の枠を超え、グループ全体でソリューション領域におけるシナジーを創出するために、パナソニック株式会社を発展的に解消し、傘下の分社を事業会社化。また、家電事業は家電市場に集中して向き合うために、グループの家電事業を集約した事業会社を設立し再建を目指す。

 

[脅威]

・経営の効率化や競争力強化のための現在及び将来におけるグループ事業体制の再編(他社への事業又は株式の譲渡や、グループ内の組織又は拠点再編等を含む)において、当初期待した成果が十分に得られない、判断や意思決定に時間を要し事業構成の組替がスムーズに進まない、又は適切な事業ポートフォリオマネジメントが実行できない。

 

[主要な取り組み]

・当社としての企業価値向上のため、持株会社としての各事業会社の競争力強化の積極的な支援及び当社グループの成長戦略の見直しの推進。各事業の成長性を見極め、グループ内で将来にわたってお役立ちを果たせる事業か、あるいはグループ外での競争力獲得が事業の成長のスピードに寄与するかといったベストオーナーの視点での事業ポートフォリオの見直し。

サプライチェーンに関するリスク

[脅威]

・サプライチェーンにおける災害・事故、感染症の流行・拡大又はサイバー攻撃の発生等による供給の不足又は中断、業界内での需要の増加によって、供給業者の代替や追加、他の部品への変更が困難になる。

・当社グループが部材を納入している取引先において生産の中断・停止、生産規模の縮小又は倒産等が生じ、当社グループの販売数量が減少する。

・国家間・地域内の対立やテロ・戦争等によって各国の経済制裁や物流の混乱が深刻化し、さらなるコストの上昇や国際間物流に関する輸送リードタイムの長期化が生じる。

 

[主要な取り組み]

・原材料・部材の価格上昇の抑制や安定確保のため、購入先様との戦略的パートナーシップの構築、グループでの集中契約・集中購買を加速、汎用部品を中心に調達DXを駆使した推奨部品への置き換え推進。

・物流費の上昇に対し、積載効率向上による使用コンテナ本数の削減、海上輸送ルートの複線化、中長期的なコンテナスペースの確保に加え、出荷平準化の推進等の合理化活動を強化。

・物流・運送業界の人手不足、売上減少に起因する事業・取引撤退や廃業による物流の停滞等の回避のため、物流・運送業界の労働環境改善及び持続的な物流オペレーションの双方を実現するための適切な物流費用への転嫁等の施策の検討。

 

 

知的財産に関するリスク

[脅威]

・当社グループが出願する特許その他の知的財産について、各国・地域における知的財産制度・審査基準や経済安全保障制度等の適用・運用等によって、権利が付与されない場合や権利が十分に保護されない。

・知的財産が第三者によって侵害され、当該侵害品・模倣品が出現した場合、当社グループの正規品の販売に対する悪影響やブランドイメージの毀損等が発生。

・当社グループにとって不利な条件で知的財産のライセンス等をせざるを得ない。また、当社グループが自らの知的財産を保護又は活用するために多額の費用及び経営資源を費やして訴訟等を提起しなければならない。

・第三者が保有している知的財産について、当社グループが当該知的財産のライセンスを取得できないこと、取得していたライセンスが継続できない、又は不利な条件でライセンスを取得及び継続せざるを得ない。

・当社グループが第三者の知的財産に関して訴訟等を提起される。また、当該訴訟等によって、多額の費用及び経営資源が費やされる。当該訴訟等において当社グループの主張が認められない場合には、当社グループが特定の技術等を利用できなくなる又は損害賠償責任を負う。

 

[主要な取り組み]

・事業に対する知的財産起点での戦略提案、グローバルな知的財産の獲得・保護・活用及び知的財産に係る紛争の予防と解決により、現在と将来にわたる事業の優位性と安全の確保を目指すとともに、社会課題の解決への貢献も視野に入れて、知的財産活動を推進。

・各国・地域における知的財産制度・審査基準や経済安全保障制度等を考慮しながら、事業戦略及び研究開発戦略を踏まえた知的財産戦略に基づき、グローバルな知的財産ポートフォリオの構築に努めている。

・必要に応じて弁護士、弁理士、外部コンサルタント、取引関係者、政府機関等の協力を得ながら、当社グループの保有する特許、ブランド、デザイン及びその他の知的財産に関する侵害品・模倣品の監視及び排除に努めている。

・当社グループの知的財産のライセンス等の戦略的な付与にあたっては、適切な条件の下で行うよう努めている。

・第三者の知的財産を利用する必要があるときは適切なライセンスを取得するよう努める。

・第三者の知的財産を尊重するためグループ全体に適用する「知的財産基本規程」等の社内規程の制定及び従業員全員の順守に向けた定期的な教育の実施。

その他の法的規制等による不利益及び法的責任

[脅威]

・当社グループに適用される日本及び諸外国・地域の商取引、知的財産、製造物責任、環境保護、消費者保護、労使関係、金融取引、内部統制及び事業者への課税等に関する法規制に加え、事業及び投資を行うために必要とされる政府の許認可、電気通信事業及び電気製品の安全性に関する法規制、国の安全保障に関する法規制及び輸出入に関する法規制等について、より厳格な法規制が導入される又は当局の法令解釈が従来よりも厳しくなることにより、技術的観点や経済的観点等から当社グループがこれらの法規制に従うことが困難となる、又は事業の継続が困難となる。

・当社グループが法規制等に違反し、又は法令順守のための内部統制体制が不十分であったと当局が発見又は判断した場合、課徴金等の行政処分、刑事処分又は損害賠償訴訟の対象となる。また、当社グループの社会的評価に悪影響を及ぼす。

会計上の見積り

[脅威]

・当社グループが保有している有形固定資産、のれん、無形資産及び使用権資産等の非金融資産について、減損テストの実施結果に基づき、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額、減損損失を認識する可能性がある。

・当社及び一部国内子会社の確定給付制度債務について、金利低下に伴う退職給付債務の増加や株価下落などによる年金資産の減少により退職給付に係る負債が増加し、親会社の所有者に帰属する持分が減少する。

・当社グループが認識している繰延税金資産について、回収可能性が低下した部分を減額することにより、法人所得税費用が増加する。

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、創業以来一貫して、株主の皆様に対する利益還元を最も重要な政策のひとつと考えて経営にあたってまいりました。この基本的な考えのもと、配当については、株主の皆様からの投下資本に対するリターンとの見地から連結業績に応じた利益配分を基本とし、連結配当性向30%を目安に、安定的かつ継続的な配当に努めてまいります。

当社は、中間配当と期末配当の年2回の配当を行うこととしており、これらの配当は、定款に基づき、取締役会で決議しています。

当事業年度は、親会社の所有者に帰属する当期純利益に応じた利益配分を基本とする当社の配当方針、及び財務体質の状況等を総合的に勘案し、1株当たり中間配当20円と期末配当28円を実施しました。その結果、年間配当は1株当たり48円の実施となりました。

内部留保資金については、経営体質の一層の充実、並びに将来の事業展開に役立てることとします。

なお、第118期の剰余金の配当は以下のとおりです。

 

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当額(円)

2024年10月31日

46,692

20.0

取締役会決議

2025年5月9日

65,369

28.0

取締役会決議