リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日において判断したものであります。
(1)経済状況
当社グループの大半の製品は、セットメーカーが製造する最終商品に搭載される部品であることから、日本、アジア、アメリカ、ヨーロッパを含む主要市場における景気後退により、最終商品を製造するセットメーカーの生産が縮小し、それが当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)為替レートの変動
当社グループは世界各地で事業を展開しており、為替レートの変動による影響を受けています。海外及び国内市場での売上高の大部分は外貨建てであります。各地域における売上、費用、資産及び負債を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されており、換算時の為替レートにより、円換算後の価値が悪影響を受ける可能性があります。
これに対する対策として、顧客への販売通貨と当社の生産・仕入通貨を一致させるよう取り組んでおります。また、必要に応じ為替予約を行っております。
(3)価格競争
当社グループが属するエレクトロニクス業界における競争は大変厳しいものとなっており、各製品市場と地域市場において、競争の激化に直面することが予想されます。当社グループの競合先の一部は、研究開発、製造及び販売について当社グループよりも優れた資源を有している可能性があります。当社グループの主要市場における価格下落圧力は今後も強まると予想され、価格競争が当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)原材料の価格変動と供給状況
当社が生産する製品には種々の金属及び石油化学製品が原材料として使用されています。急激な原材料価格の高騰や原材料供給状況の悪化により、当社グループの生産やコストに重大な影響を及ぼす可能性があります。現在、原材料の価格高騰が続いており、当連結会計年度の業績に影響がありました。また、2025年3月期の業績にも影響がある可能性があります。
(5)物流に関するリスク
当社が製品を生産・販売するには、供給元からの材料、部品の納入及び顧客先への納品が必要ですが、これらに係る物流の停滞や費用の高騰によるリスクがあります。当連結会計年度において、世界的なコンテナ不足、船便の遅れ、輸送費の高騰により、当連結会計年度の業績に影響がありました。また、2025年3月期の業績にも影響がある可能性があります。
(6)技術革新と需要動向
当社グループの事業に関わる市場は、技術の急速な変化やこれに伴う顧客の需要の変化に影響を受けます。業界での頻繁な技術革新により、比較的短期間で当社グループの既存製品が陳腐化する可能性があります。また当社グループが業界と市場の変化を充分予想できず、魅力ある新製品を開発できない場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに当社グループの売上高の55.5%は、任天堂株式会社に対するものであり、同社からの受注動向や、アミューズメント(ゲーム)機器の需要動向が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(7)海外事業に関するリスク
当社グループの生産及び販売活動の相当な部分は、アジア、アメリカ、ヨーロッパ等の日本国外で行われております。これらの地域における海外事業は、さまざまな不確定要素による影響を受けやすく、特に以下に掲げるいくつかのリスクが内在しております。
①不利な政治または経済要因
②予期しない法律または規制の変更
③人材の確保に関わる障害
④潜在的に不利な増税の影響
⑤戦争、テロ、伝染病、地震、災害、暴動、その他の要因による社会的混乱
また、近年中国の生産拠点への依存度が高く、上記リスクが発生した場合の経営への影響が大きかったことから、主に東南アジアでの生産能力増強に力を入れ、リスク軽減に努めております。ロシア・ウクライナ情勢につきましては、現在当社グループに直接の影響はありませんが、サプライチェーンの混乱による顧客の工場稼働停止で、需要の減少が起きる可能性があります。これらの社会的混乱は、今後その他の国でも起こる可能性があります。
(8)サイバー攻撃
当社グループでは、事業活動で入手したお客様及び自社の機密情報を保持しております。近年多様化・巧妙化するサイバー攻撃により、万が一攻撃を受けた場合、重要なデータの破壊、改ざん、漏洩などを引き起こし、当社グループの事業継続に大きな影響を及ぼす可能性があります。
これに対する対策として、当社グループでは攻撃の侵入部分のセキュリティを強化するとともに、サイバー攻撃を検知し、分析と通報を行う仕組みを導入することで、検知後の対応も強化しています。また、重要な情報の取り扱いに関するルールを策定し、従業員への教育や啓蒙を行っています。
(9)株式の希薄化
当社グループは転換社債型新株予約権付社債を2017年9月21日に発行しました。当該新株予約権が行使された場合、株式へ転換される割合に応じて、当社の1株当たりの株式価値は希薄化し、その希薄化が株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
(10)感染症に関するリスク
新型コロナウイルス感染症の再拡大や、それ以外でも強い感染力をもった感染症が流行した場合は、当社の業績に影響が出る可能性があります。
当社取締役会では、顧客の需要動向や工場稼働状況、当社グループ及びサプライチェーンの稼働状況や物流状況などが報告され、従業員の感染対策や生産活動維持のための対策などを検討し、当該リスクの最小化に努めております。
(11)環境関連の規制強化に関するリスク
カーボンニュートラル、SDGs達成への貢献、ESG経営については、近年投資家はもとより、顧客からも求められる事案であり、特にカーボンニュートラルに関する取り組みが遅れた場合、顧客からの受注削減に晒されるリスクがあります。一方、これらに取り組むことによる費用負担増も考えられますが、当社グループでは、積極的に環境対策に取り組むことで、投資家、顧客からの要望に応えるべく、対応をとってまいります。
(12)少子高齢化に伴うリスク
我が国では、少子高齢化が特に進んでおり、人材獲得が計画どおりに進まないリスクがあります。これに対し、当社では超過勤務削減をはじめとする働き方改革を進めるとともに、新卒採用と同様に中途採用の強化を行い、優秀な人材確保に取り組んでまいります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を重要政策の一つと考えております。一方、企業価値の増大をはかるためには、急速な技術革新に対応する研究開発及び生産設備投資等が必要であります。このため当社は、長期的な観点に立ち、事業収益の拡大と内部留保の確保等による財務体質の強化に取り組んでおり、配当については、安定した事業環境を前提として継続的に実施すると共に、連結業績を基準に、配当性向は30%程度を目指してまいります。
当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
当期の期末配当金につきましては、利益配分に関する基本方針に基づき、1株につき44円の配当を行う予定であります。この結果、当期の年間配当金は、中間配当金(1株につき24円)とあわせて1株につき68円となります。
内部留保資金につきましては、技術革新に対応する研究開発及び生産設備投資等、長期的な観点に立って、成長事業分野への投資を行い、積極的な成長を図ることにより、将来における株主の利益確保のために用いる所存です。
なお、当社は中間配当を行うことができる旨を定めております。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年11月10日 |
1,240 |
24.0 |
取締役会決議 |
||
2024年6月26日 |
2,274 |
44.0 |
定時株主総会決議 |