リスク
3【事業等のリスク】
<リスク管理体制>
当社ではグループにおける効果的なリスク管理を実現するため、リスク管理の統括責任をもつ代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会を設置しています。気候変動を含めた外部環境、戦略、品質、環境、安全衛生、危機管理、企業倫理などのグループの企業価値に影響をあたえる不確実性をリスクと定義し、「外部環境」「戦略」「オペレーション」の観点で分類・管理しています。毎年、グループ各社においてそれぞれのリスクや対策等を洗い出すとともに、経営戦略や経営課題、外部のリスク環境なども踏まえ、リスク管理委員会が重点的に管理すべきリスク(重点管理リスク)を選定しています。その選定にあたっては、リスクの重大度を、影響度及び発生可能性の面から評価しています。影響度の評価では、財務的・人的側面のほか、社会・環境面での影響も(外部機関を通じて得られた外部環境分析結果を含め)考慮しています。重点管理リスクは経営会議で決定し、取締役会に報告しています。
また、内部監査担当部署は、グループのリスク管理プロセスの有効性を評価し、重要な事項は取締役会及び監査役に年に2回報告しています。
なお、リスクの状況により、必要に応じて代表取締役社長を委員長とする危機管理委員会を開催し対応する体制を採っています。
重点管理リスクについては、対策内容や対策の進捗について四半期ごとに確認するとともに、リスク管理委員会でリスクの状況を評価し、その内容を取締役会に報告しています。また、対策の見直しや改善点の洗い出しを実施し、残余リスクを考慮し、翌年の重点管理リスクの選定に反映させています。
また、個社においては、洗い出したリスクに対して自律的にPDCAサイクルを回し、リスク管理を行っています。
なお、2024年6月18日開催の第148回定時株主総会における定款一部変更の承認をもって、指名委員会等設置会社に移行したことに伴い、リスク管理委員会は代表執行役社長の諮問機関へ変更する予定です。変更以降は、重点管理リスクの決定はリスク管理員会で審議のうえ決定し、取締役会へ報告します。また、リスク管理委員会で評価した重点管理リスクの状況等も引き続き、取締役会へ報告していく予定です。
<事業等のリスク>
当社グループ事業の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及び投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を以下に記載しています。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社の有価証券に関する投資判断は本項以外の記載内容とあわせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えています。
なお、以下の事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在時点において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1) 外部環境に関するリスク
(社会情勢等に係るもの)
当社グループの活動範囲は日本国内のみならず世界各地に及んでおり、各々の地域における経済状況等の外部環境変化は、当社グループの事業活動全般に影響を及ぼす可能性があるとともに、業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。具体的には、以下に掲げるいくつかのリスクが内在しています。
・各国の政治的または経済的要因
・租税や通商制限の影響
・各国の商慣習の違い
・自然災害(地震、火災、洪水・津波等)、感染症、ストライキ、その他の要因による 社会的混乱
・当社製品・サービス及び社内インフラへのサイバー攻撃
・環境保護を含め、各国規制・制裁・特許などの把握不全ならびに新たな法・規制改正
・地政学(戦争、暴動、テロ、主要国間の対立等)による各国の経済制裁措置
これらリスクに対しては、グループ内での情報収集、外部機関との契約等を通じ、その予防・回避・影響の低減に努めています。
(為替・金利・株価変動に係るもの)
当社グループは、グローバルに事業を展開しており、事業上の取引や事業活動におけるコストとして多数の通貨を使用しています。為替レートの変動に対応するため、為替予約契約の締結等を行っていますが、急激または大幅に変動するリスクがあり、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが保有する資産及び負債にかかる金利の変動は利息の増減や資産等の価値に影響を与えるリスクがあり、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが保有している株式等は価格が変動するリスクがあり、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 戦略に関するリスク
(市場・競合環境に係るもの)
① コスト競争力
積極的な事業展開を進める中で、新設や近代化などプロジェクト案件での競争は激化しており、コスト低減要求が益々強まると同時に、資源国・新興国において自国優先的な姿勢が強まり、製品生産や雇用および役務を含む調達の現地化要求が高まっています。コスト競争力強化に取り組んでいますが、これら市場の要求する製品やサービス及び販管費を含めたコスト低減要求に効果的に対応できない場合は、ビジネス機会損失につながるリスクがあります。このような場合は、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
② デジタル技術の利活用による競争力優位性の確立
デジタル技術を活用したバリューチェーンおよびライフサイクル全般にわたるビジネスプロセスでの飛躍的な生産性向上の実現に対する要求が高まっており、これにビジネスとして応え、競争力優位性を確立していく必要があります。当社グループはこれを事業成長の機会と捉え、自社はもちろんのことお客様を中心に幅広い領域でのデジタルトランスフォーメーションによる新たな価値創造の実現に取り組んでいます。新技術に追随できない場合や、これら市場の要求に十分に対応できない場合は、ビジネス機会損失につながるリスクがあります。このような場合、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
③ 市場ニーズに合わせたビジネスモデル変革の実現
社会の変化、技術革新などにより、新たなビジネスモデルが数多く創造されている中で、当社グループのお客様においても、サブスクリプション型ビジネスなど、初期導入コストの低減や導入後の運用・保守の柔軟性に対する要求が大きくなっています。当社グループとしても成果報酬型ビジネスやサービス提供型のリカーリングビジネスの実現に取組むなどビジネスモデル変革を進めています。今後も多様な変化を見せる新たな市場ニーズに十分に応えられない場合や、当社グループの取組みに遅れが出た場合は、ビジネス機会損失につながるリスクがあります。このような場合は、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
④ 気候変動への取り組みによる市場環境の変化
気候変動への取組みに対する社会の要求が増大しており、当社グループのお客様の戦略にも影響を与える可能性があります。主要なお客様であるエネルギー関連における長期的視点でのエネルギーシフト等、お客様は環境変化に対する取り組みの検討を進めていると認識しています。当社グループは、このような変化を事業機会と捉え、市場環境の変化への対応を進めていますが、そのようなお客様の変化に対応できない場合や、当社グループの取組みに遅れが出た場合は、ビジネス機会損失や企業価値低下につながるリスクがあります。このような場合は、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(戦略投資に係るもの)
当社グループは、主に新事業・新分野への進出に対する戦略的成長投資を重点的に強化し、必要に応じてM&Aやアライアンスの可能性を検討しながら、技術、販路、製品・サービス、お客様、人財・ノウハウなどを獲得するための投資を行っています。案件の発掘から投資に至るプロセスの確実な実行と評価・検証精度の向上、投資後の迅速なビジネス立上げに万全の体制で臨んでいます。また、それを支える人財の育成・活用にも取り組んでいます。しかしながら、予期せぬ環境変化等によって想定した成果があがらないリスクがあります。また、取得した資産や機会を十分に活用できない場合も含め投資後のビジネスが迅速に立ち上がらず、想定した成果をあげられないリスクがあります。このような場合は、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(研究開発に係るもの)
当社グループは、計測・制御・情報の基礎研究、先端技術及びIIoTやAI等のデジタル技術開発をもっとも重要な経営課題として位置づけ、将来を見据えた新技術開発を継続的に推進しています。また国際規格や国際標準の変化に適応し、SDGsに代表される持続可能な社会の実現に向けた取組みを強化しています。しかし、研究・開発投資が将来市場のニーズや目標に予定通り適合しないリスクがあります。このような場合は、ビジネス機会損失により当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、競争力を維持するための製品技術やサービス革新の研究開発投資も継続的に行っていますが、成長可能性を持った製品やサービス分野の市場動向の把握ができなかった場合、研究開発投資が成功しないリスクがあります。加えて、市場に合致しても研究開発投資が革新的な技術を生み出さない、または想定した成果をあげられないリスク、及び競合他社に技術開発を先行されてしまうリスクがあります。このような場合は、ビジネス機会損失により当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(人財の確保・育成に係るもの)
当社グループの成長の源泉は、最先端の技術を支える人財や、高い品質を支える技能者等の有能な人財によって支えられています。特に、ソリューション提案能力を持つ人財、プロジェクトマネジメント能力とエンジニアリング能力を持つ人財、また、AI、デジタル技術、当社が進めている新規事業に関する技術と知見を有する人財の重要性が高まっています。当社グループではグローバルに人財採用、採用した人財の教育と訓練による育成を継続していますが、将来において必要人財の確保や育成が計画通り達成できないリスクがあります。このような場合は、当社グループの効果的な事業運営に影響を及ぼすとともに業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(人権に係るもの)
当社グループは、人権尊重についてその方針を定めるとともに国連グローバル・コンパクトへの支持を表明しており、ここで謳われている人権の方針と国際的な人権規範を尊重しながらその取組みを進めています。サプライチェーンにおける人権への取組みについても、強制労働・非人道的な扱い・児童労働・差別の禁止、適切な賃金、労働時間の法令順守や従業員の団結権についての指針を示し、国際的に求められている人権を支持して人権尊重に取り組んでいますが、予期せぬ事態により当社グループで人権問題が発生した場合、賠償責任を課されるリスクや企業価値を低下させるリスク等があり、事業活動全般に影響を及ぼすとともに業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(保有資産の価値低下に係るもの)
当社グループが保有している事業資産について、時価下落及び収益性低下等に伴い資産価値が低下するリスクがあります。このような場合は、減損損失が発生するなど、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3) オペレーションに関するリスク
(製品の品質・供給に係るもの)
当社グループは、長年にわたる技術及びノウハウの蓄積と厳格な品質管理体制の展開により、お客様に対して高い信頼性を備えた製品及びサービスを提供していますが、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が内在する、また、その欠陥に起因して損害が発生するリスクがあります。このような場合には、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があるとともに、当社グループの事業活動全般に影響を及ぼす可能性があります。
また、主要な電子部品等の市況動向については日頃から情報収集して安定調達に努めるとともに、調達先の品質・納期等の管理を徹底し、特定の調達先への過度の集中・依存をさけるべく調達先の分散化等を進めるなど、リスクの低減に取り組んでいますが、外部環境変化に起因するサプライチェーンの混乱により電子部品等の調達や重要製品の製造が困難な状況となった場合、製品の供給に遅延や停止が発生するリスクがあります。このような場合、当社グループの生産活動をはじめとする事業活動全般に影響を及ぼすとともに業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(プロジェクトマネジメントに係るもの)
当社グループの事業において、特に製品・エンジニアリング・ソリューション・サービス・他社製品を一括してお客様に提供する形態であるプロジェクト型のビジネスでは、プロジェクトマネジメントの確実な実行が求められます。受注に至る過程での採算見積りや納期までの採算管理の精度の向上、生産・品質管理の徹底など、不採算案件の発生を防止する取組みを行っていますが、想定した見積りからの乖離や、採算・生産・品質等の管理において問題が発生した場合、サプライチェーンの混乱により製品の調達や供給が困難となった場合、予期せぬ原価の発生や納期遅延等に伴う賠償責任を課されるリスクがあります。このような場合は、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(知的財産権に係るもの)
当社グループは、自社製品及びサービスの開発の中で知的財産権の保護と他社の権利の侵害防止に万全な管理体制を展開していますが、当社グループの知的財産権が第三者から侵害を受け、期待した収益が得られない場合及び見解の相違等により他社の知的財産権を侵害しているとされた場合は、重要な技術が使用できない不利益に加え、賠償責任を課されるリスクや企業価値を低下させるリスク等があり、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(情報セキュリティに係るもの)
当社グループは、事業活動を通して、お客様や取引先の個人情報及び機密情報を入手することがあります。当社グループでは、これらの情報管理に関する管理体制と教育、システムのセキュリティ対策を展開していますが、予期せぬ事態(サイバー攻撃を含む)により情報が流出した場合、また、それを悪用された場合には、賠償責任を課されるリスクや企業価値を低下させるリスク等があり、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
事業等のリスクやサステナビリティ全般に関するリスク管理に関連するもののうち、特に重要な「気候変動への取り組み」、「TCFDへの賛同」、「人権尊重」についての考え方や取り組みは、サステナビリティレポート及びYOKOGAWAレポートにその詳細を掲載しています。 サステナビリティレポート: https://www.yokogawa.co.jp/about/yokogawa/sustainability/report/ YOKOGAWAレポート : https://www.yokogawa.co.jp/about/ir/shiryo/annual-ja/
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配当政策
3【配当政策】
当社は、株主の皆様に対する利益還元は経営の最重要施策の一つと認識し、利益成長を通じて安定的・継続的な増配を目指します。具体的には、業績及び中長期的な株主価値の最大化に向けた投資資金の確保、成長投資を支える財務基盤の維持を総合的に勘案しながら、連結配当性向30%を上回る配当水準の確保に努めます。また、一時的な要因で業績が悪化した場合においても、株主資本配当率を踏まえた安定的な配当の維持を図ります。
その上で、自己株式の取得による追加的な株主還元について、成長投資の機会、財務状況、株価水準等を踏まえながら柔軟に検討します。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会です。
また、中間配当は、取締役会の決議により、毎年9月30日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主に対して、会社法第454条第5項に定める金銭による剰余金の配当を支払うことができる旨を定款に定めています。
当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりです。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年11月7日 |
4,445 |
17.00 |
取締役会決議 |
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2024年6月18日 |
5,983 |
23.00 |
定時株主総会決議 |