リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等に与える定量的な影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
当社は、グループのリスク管理について、全社的な機会とリスクを管理するため、リスク管理規程に基づき、リスク管理委員会を設けています。委員は、これまで全ての取締役と互選により選出された委員長が指名したメンバーで構成されておりましたが、2025年1月より、執行役員および社長執行役員である委員長が指名したメンバーで構成するように変更いたしました。リスク管理委員会は、年2回開催しており、経営の重点テーマとなる機会とリスクの特定(見直し・更新)、対応方針の決定、活動進捗のモニタリングを実施しています。委員会で特定された機会とリスクへの対応策は経営の重点テーマとして取締役会に報告され、中期経営計画などの経営方針・経営戦略の立案や見直しに反映しています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 海外展開について
当社グループは、市場のグローバル化に対応して生産及び販売拠点を海外に展開しております。このため、進出国の経済動向及び政治・社会情勢に変化が起こった場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、経済安全保障をはじめとする輸出入規制や外貨規制、米国貿易政策の変更、法令・税制等の変更など予測できない事態が発生した場合も当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、移転価格税制に基づく課税リスクへの対応として、グループ内に移転価格ポリシーを導入の上、税務の専門家を利用してグループ内の移転価格税制に係る文書を作成し当該リスクの低減に努めております。
(2) 原材料について
当社グループは、調達先の分散やお取引先様との信頼関係の構築等により安定的に原材料を調達できるように努めておりますが、調達先の生産活動・サプライチェーンが、紛争や自然災害・事故の発生あるいは法律・規制の予期しない変更等の要因により停止される場合や、調達先の事業運営上のトラブル、事業性判断等の都合により生産中止となる場合、原材料の安定調達が困難となり顧客への供給責任を果たせず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 自然災害やパンデミック、紛争等の発生について
当社グループの一部の製品は世界の複数拠点で生産するなどの一定のリスク分散が図られておりますが、地震・洪水等の大規模な自然災害やパンデミック、紛争等の発生により、当社の営業拠点や生産拠点の使用が困難な状況になり、あるいは従業員の多くが被害を受けた場合や交通網の遮断・エネルギー供給の停止・通信の不通などにより、営業活動の混乱や生産の遅延・停止等を受けて当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 人材について
当社グループは、社員・家族との間に信頼関係を構築することを企業ミッションの一つとする中で人材の採用と育成を行っております。事業計画の達成やイノベーションへのチャレンジのために社員一人ひとりが信頼しあったチームワークの中で自分の力を精一杯出し切り、仕事の充実感を味わいつつ目標を達成していける職場環境を目指しております。また、多様な社員が適所適材で活躍し、能力を発揮してもらうために、年齢・性別・場所に限定されずに働ける職場環境整備や制度改訂を進めております。しかしながら少子高齢化や人材の流動化、人材の採用・育成が不十分である場合や、多様性を重要な意思決定に活かすことができない場合、経営戦略の実行力不足・イノベーションの停滞などにより競争力を失い、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) サイバーセキュリティについて
コンピューターウイルスの侵入や高度なサイバー攻撃等により、情報漏洩や改ざん、システム停止等の被害を受けるリスクがあります。これに対して当社グループは、サイバー攻撃に対してハードウエアの装備と機密情報の保護のための全社的な研修の実施、情報の機密性・完全性・可用性を維持・向上することを目的とした「情報セキュリティ委員会」の設置等により情報セキュリティの確保に取り組んでおりますが、このような事態が発生した場合は、追加対応や損害賠償等の多額の費用負担により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 競争力の低下について
当社グループは事業を展開する市場において激しい競争にさらされており、電子部品の製品価格が低下する傾向にあります。当社グループでは価格低下に対して新製品の投入並びにコスト削減等により利益の確保に努めておりますが、競争の更なる激化が予想され、新製品のリリースが遅延した場合や、コスト削減が実現できなかった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、製品価格が大きく下落する場合は棚卸資産の評価損を計上する可能性があります。また、業績の悪化により有形固定資産の減損の要否の判定が行われた場合に、その結果として減損処理を行う可能性があります。
(7) 製品の欠陥について
当社グループは、「Quality 1st」を経営方針のひとつとして掲げ、「ゼロディフェクト・フローの構築」に向けた改善活動を進めておりますが、万一製品の欠陥により市場クレームやリコールなどの重大な問題が発生した場合、多額の損害賠償金の支払いや売上の減少等が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 為替レートの変動について
当社グループは、生産及び販売拠点を海外に展開しているため各国での外貨建て取引があります。このため、為替変動リスクに関しては為替予約を締結する事によりリスクを最小にする努力を行っておりますが、為替の大幅な変動により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 棚卸資産について
当社グループの棚卸資産は、生産拠点においては受注生産を基本にリードタイム短縮を図り棚卸資産の削減に努めております。一方で、供給責任を果たすための同一品目の複数拠点生産推進による生産移管時の仕掛品や、災害時における事業継続に備えるための原材料など、目的を持った在庫は増やしてきております。
また、お客様の短納期要求に対応するため、主に海外の販売拠点においては製品在庫を保有しておりますが、今後のお客様の需要回復に備えるために、近年は適正在庫量を増加させております。
このような在庫の増加については、生産、販売の拠点ごとに棚卸回転率による管理や、リスクの変化による適正在庫量の見直しを徹底しておりますが、予想を超える急激な環境変化により、保有在庫の中に販売が見込まれない在庫が発生した場合は、棚卸資産の評価損を計上する可能性があります。
(10) 経済状況について
当社グループは、売上高の9割以上を電子部品が占めております。電子部品は家電等の民生機器や自動車、産業機器等の幅広い分野で使用されているため、特定業界の景気動向による影響を受けにくい傾向にありますが、景気変動に伴う個人消費や企業の設備投資の動向が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの主力製品である抵抗器において、自動車向けの販売比率が高まってきており、自動車の販売台数や技術動向の変化による当社グループへの影響について注視が必要です。
(11) 気候変動について
近年、世界中で異常気象や自然災害による被害が甚大化し、気候変動への対応は企業経営の大きな課題となっています。当社グループでは、気候関連財務情報開示タスクフォース提言に準じて、気候変動がグループの財務に及ぼす影響について分析を行い、リスクの低減と機会の獲得のための対応を進めています。当社グループ事業に重大な影響を及ぼす主なリスクは、物理的リスクとして、生産拠点の豪雨災害による道路の寸断、サプライチェーンの物流停止に伴う売上高の減少、移行リスクとして、エネルギーコスト増加、燃料調整費や再エネ賦課金などの社会システム上避けられない負担の増加などがあります。
配当政策
3 【配当政策】
当社グループは、株主に対する利益還元を重要政策の一つと考えており、急速な技術革新に対応した設備投資や研究開発による競争力の維持・強化及び財務体質の強化を図ると同時に、連結配当性向30%前後を意識しつつ、安定的かつ継続的な配当を実施することを基本方針としております。
当事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき、当期は1株当たり40円の配当(うち中間配当25円)を予定しております。この結果、当事業年度の配当性向は171.9%(連結配当性向569.8%)となります。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
なお、内部留保資金につきましては、経営体質の強化及び設備投資等、将来の事業展開のために有効に活用する予定であります。
当社は、「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2024年10月23日 |
927 |
25.0 |
取締役会決議 |
||
2025年6月21日 |
556 |
15.0 |
定時株主総会決議(予定) |