2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    22,538名(単体) 77,697名(連結)
  • 平均年齢
    42.4歳(単体)
  • 平均勤続年数
    19.0年(単体)
  • 平均年収
    9,655,449円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

エナジー

22,246

[1,924]

プラント・インフラ

13,768

[1,407]

物流・冷熱・ドライブシステム

23,644

[1,728]

航空・防衛・宇宙

10,741

[1,228]

その他・共通

7,298

[1,415]

合計

77,697

[7,701]

(注)1.従業員数は、当事業年度から就業人員数に基づいて記載している。ただし、執行役員、臨時従業員及び非連結子会社の従業員は含まない。また、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載している。

2.臨時従業員には、定年退職後の再雇用社員、嘱託契約の従業員及びパートタイマー等を含み、派遣社員等は含まない。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

22,538

[2,104]

42.4

19.0

9,655,449

 

セグメントの名称

従業員数(人)

エナジー

10,038

[761]

プラント・インフラ

1,100

[110]

物流・冷熱・ドライブシステム

26

[56]

航空・防衛・宇宙

7,605

[516]

その他・共通

3,769

[662]

合計

22,538

[2,104]

(注)1.従業員数は、当事業年度から就業人員数に基づいて記載している。ただし、執行役員、臨時従業員は含まない。また、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載している。

2.臨時従業員には、定年退職後の再雇用社員、嘱託契約の従業員及びパートタイマー等を含み、派遣社員等は含まない。

3.平均年齢、平均勤続年数及び平均年間給与は、就業人員から執行役員、臨時従業員及び社外から当社への出向者を除いて算出している。

4.平均年間給与は、2023年4月から2024年3月までの税込金額で、基準外賃金及び賞与を含み、その他の臨時給与を含まない。

 

(3)労働組合の状況

当社従業員が加入する労働組合は、三菱重工労働組合と称し、三菱重工グループ労働組合連合会を通じて、日本基幹産業労働組合連合会及び日本労働組合総連合会に加盟しており、当社との労使関係は安定している。なお、前記労働組合のほかに、ごく少数の当社従業員で組織する労働組合がある。

当社の連結子会社の労働組合の状況については、特記すべき事項はない。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 ①提出会社

当事業年度

補足説明

管理職に占める女性労働者の割合(%)

男性労働者の育児休業取得率(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

2.7

85.2

80.0

72.6

80.0

54.9

(注)2、4、5

 

 ②連結子会社

  ア.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づき、男性労働者の育児

    休業の取得率を公表する会社

当事業年度

補足説明

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

男性労働者の育児休業取得率(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)

正規雇用

労働者

パート・有期労働者

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

三菱重工パワー精密鋳造㈱

8.7

87.5

69.9

90.7

74.6

(注)3

三菱重工パワー検査㈱

9.1

67.3

69.3

48.2

(注)3

MHI NSエンジニアリング㈱

38.5

74.1

72.5

51.0

(注)4、5

MHIパワーエンジニアリング㈱

1.6

38.9

0.0

65.9

77.0

59.0

(注)4

三菱重工環境・化学エンジニアリング㈱

2.0

71.4

55.6

52.2

92.2

(注)3

三菱重工機械システム㈱

1.5

10.5

66.7

71.8

61.6

(注)4、5

三菱重工交通・建設エンジニアリング㈱

1.1

4.3

63.0

68.8

47.2

(注)4

三菱ロジスネクスト㈱

3.1

68.3

68.7

68.3

75.4

(注)3

三菱重工冷熱㈱

0.9

17.6

65.7

67.7

78.6

(注)4、5

三菱重工マリタイムシステムズ㈱

2.3

46.7

64.1

63.0

44.4

(注)4、5

中菱エンジニアリング㈱

2.3

57.9

76.7

75.2

84.0

(注)4

MHIソリューションテクノロジーズ㈱

11.3

28.6

89.6

83.3

92.5

(注)4

ダイヤモンドオフィスサービス㈱

6.9

50.0

71.8

67.9

75.2

(注)4、5

 

  イ.常時雇用する労働者が301人以上1,000人以下の連結子会社(上記ア.を除く)

当事業年度

補足説明

名称

管理職に占める女性労働者の割合

(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

三菱重工パワーインダストリー㈱

61.8

63.4

48.7

 

㈱MHIパワーコントロールシステムズ

64.1

79.7

42.0

 

Primetals Technologies Japan㈱

3.5

70.8

71.6

64.6

 

三菱重工マシナリーテクノロジー㈱

78.5

77.0

83.5

(注)5

重環オペレーション㈱

2.3

73.1

99.0

48.1

 

MHIさがみハイテック㈱

1.0

84.0

83.4

86.5

(注)5

ロジスネクスト東北㈱

68.7

71.3

64.9

 

ロジスネクスト東京㈱

75.4

77.9

88.2

 

ロジスネクスト中部㈱

73.9

75.3

88.7

 

ロジスネクスト近畿㈱

73.3

77.3

63.0

 

ロジスネクスト九州㈱

85.0

73.7

86.8

 

MHIファシリティーサービス㈱

1.2

63.8

77.3

56.8

(注)5

 

  ウ.常時雇用する労働者が101人以上300人以下の連結子会社(上記ア.を除く)

当事業年度

補足説明

名称

管理職に占める女性労働者の割合

(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

三菱原子燃料㈱

79.8

94.9

67.4

(注)5

三菱重工パワー環境ソリューション㈱

1.9

 

三菱重工パワーメンテナンスサービス㈱

3.8

 

三菱造船㈱

6.1

 

エムエイチアイマリンエンジニアリング㈱

2.0

 

菱重特殊車両サービス㈱

5.6

 

エムエイチアイオーシャニクス㈱

15.0

 

(注)1.「管理職に占める女性労働者の割合」及び「労働者の男女の賃金の差異」は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出している。

   2.「男性労働者の育児休業取得率」の算定に当たり、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出している。

   3.「男性労働者の育児休業取得率」の算定に当たり、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出している。

   4.「男性労働者の育児休業取得率」の算定に当たり、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出している。

   5.「労働者の男女の賃金の差異」の算出に当たり、「全労働者」及び「パート・有期労働者」の人員数について労働時間を基に換算して算出している。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みの状況は、次のとおりである。

また、人的資本及び気候変動に関する戦略並びに指標及び目標はそれぞれ、「(2)気候変動」及び「(3)人的資本に関する戦略並びに指標及び目標」に記載のとおりである。

なお、記載事項のうち将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際に生じる結果とは様々な要因により異なる可能性がある。

 

(1)サステナビリティ全般

①ガバナンス

当社グループは、環境問題をはじめとする地球規模の課題解決に向けて、当社の製品・技術による貢献のみならず、事業プロセス全体における各種活動を通じて様々な社会的課題の解決に取り組み、事業と連動したサステナビリティへの取組みを推進している。

当社グループは、「社業を通じて社会の進歩に貢献する」と謳われている当社社是を社員が常に念頭に行動する上で、具体的にイメージしやすい形にした「CSR行動指針」を当社グループ社員の共通の心構えとして制定しているほか、多様な経歴、国籍、文化を持つ当社グループの社員の行動における共通の規範である「三菱重工グループグローバル行動基準」を制定している。また、環境については「環境基本方針」及び「行動指針」を制定し、この方針・指針の下、環境負荷低減の取組みを進めている。加えて、人権については、世界人権宣言等の国際規範を支持・尊重し、国連人権理事会が採択した「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいた「三菱重工グループ人権方針」を、取引先との取引については、「資材調達の基本方針」を制定している。

また、当社グループは、社会のサステナビリティに配慮した経営を推進するため、マテリアリティ推進会議を設置している。マテリアリティへの取組みは、サステナビリティ経営を事業面で具現化するものであり、同会議においては、マテリアリティの目標実現に向けた事業活動状況を確認し、今後の取組みの方向性を議論し事業部門へ必要な対応を指示している。

さらに、当社グループは、サステナビリティを経営の基軸に据え、「常に社会の視点に軸足を置き、社会の期待に応え、信頼される企業」を目指すため、サステナビリティ委員会を設置している。サステナビリティ委員会においては、深化するサステナビリティを巡る課題への対応に関し、ステークホルダーの視点を踏まえ、当社グループが果たすべき責任を追求し、サステナビリティ経営の推進に向けた検討を行い、ESG(環境・社会・ガバナンス)の取組みに関する基本方針等についての審議及び決定並びにその関連諸活動を推進している。

加えて、社会的な要請が高まっているTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿った開示、人権デューデリジェンス、自然資本・生物多様性等の各種テーマに対し、リスクと機会を特定し、企業としての対応方針を速やかに経営レベルで意思決定するとともに、これらの進捗状況を確認している。

なお、これらのサステナビリティの取組みのうち重要なものについては、定期的に取締役会に報告されており、サステナビリティ推進体制図は次のとおりである。

 

②リスク管理

当社グループにおいて、主要なリスクを検討するプロセスは、「3 事業等のリスク (1)主要なリスクを検討するプロセス」に記載のとおりであり、サステナビリティ関連のリスクも同プロセスにおいて検討されている。

また、サステナビリティ委員会において、気候変動を含むサステナビリティ関連のリスク及び機会のうち代表的なものに関する検討結果を確認している。

さらに、人権を尊重した事業活動を行っていくために人権デューデリジェンスを行い、自社のサプライチェーンにおいて発生しうる人権リスクを特定して実態調査を実施しているほか、事業部門も交えた人権連絡会を継続的に開催し、最新の取組状況を共有し、今後の取組方針について協議している。また、自然資本・生物多様性に関してもリスクアセスメントを実施し、当社グループの主要生産拠点を中心に生物多様性の重要地域との近接状況を調査した。

 

③戦略

当社グループでは、社会課題の解決を通じて企業価値を向上させ中長期的に成長していくために、当社グループが取り組んでいくべき重要課題(マテリアリティ)の特定を行った。社会課題の整理、マテリアリティマップの作成、妥当性の検証のプロセスを経て特定されたマテリアリティは、「脱炭素社会に向けたエネルギー課題の解決」「AI・デジタル化による社会の変革」「安全・安心な社会の構築」「ダイバーシティ推進とエンゲージメントの向上」「コーポレート・ガバナンスの高度化」の5項目である。また、深化するサステナビリティ経営課題の動向を調査した結果、取り組むべきESG施策をサステナビリティ委員会で決定している。

2024年度から開始した中期経営計画「2024事業計画」では、前中期経営計画(2021事業計画)で築いた事業基盤と財務基盤を活かし、ポートフォリオ経営を強化するとともに、これを支える技術・人的基盤を強化するほか、サステナブルで安全・安心・快適な社会の実現に向け、「MISSION NET ZERO」の活動を通じ、カーボンニュートラル達成に取組んでいく。

 

④指標及び目標

当社グループは、各マテリアリティについて全社目標及び進捗モニタリング指標(KPI)を設定し、進捗をマテリアリティ推進会議にて管理している。

なお、マテリアリティの各項目に対応した全社目標は下表のとおりである。

マテリアリティ

全社目標

脱炭素社会に向けた

エネルギー課題の解決

・三菱重工グループのCO2排出削減

 Scope1、2を、2040年Net Zero

・2040年までにバリューチェーン全体を通じた社会への貢献

 Scope3+CCUS削減貢献を、2040年Net Zero

AI・デジタル化による

社会の変革

・顧客や利用者に寄り添った便利でサステナブルなAI・デジタル製品の拡充

・AI・デジタル化により適切かつ効率的に電力需給を管理する未来型エネルギーマネジメントで、持続可能な社会へ貢献

・クリエイティブな製品を生み出すための環境づくり

安全・安心な社会の

構築

・製品・事業/インフラのレジリエント化

・製品・事業/インフラの無人化・省人化

・三菱重工全製品の継続的なサイバーセキュリティ対策の深化

ダイバーシティ推進と

エンゲージメントの向上

・多様な人材による新たな価値創出

・安全で快適な職場の確保

・社員を活かす環境づくりと健やかで活力にあふれ社会に貢献できる人材づくり

コーポレート・

ガバナンスの高度化

・取締役会審議のさらなる充実

・法令遵守と誠実・公平・公正な事業慣行の推進

・CSR調達のグローバルサプライチェーンへのさらなる浸透

・非財務情報の説明機会創出

 

(2)気候変動

①ガバナンス

当社グループは、「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」に記載のとおり、マテリアリティ推進会議及びサステナビリティ委員会を設置している。TCFD提言に沿った分析を、CSO(Chief Strategy Officer)が担当し、リスクと機会を分析の上、サステナビリティ委員会に報告している。また、TCFD提言に沿った開示を含むサステナビリティ委員会の活動状況については、定期的に取締役会に報告されている。

 

②リスク管理

当社グループにおいて、サステナビリティに関するリスク管理は、「(1)サステナビリティ全般 ②リスク管理」に記載のとおりであり、また、気候変動に関して、各事業部門においてそのリスク及び機会を事業計画策定の勘案要素として検討している。

 

③戦略

当社グループは、環境への影響を最小限とするため、2100年時点における世界の平均気温の上昇を、産業革命以前と比較して1.5℃以下に抑制しながら経済成長を目指す「気候変動政策厳格化により脱炭素を推進するシナリオ(脱炭素シナリオ)」と、現状ベースで化石燃料をエネルギー主体として経済成長を目指した結果、2100年時点における世界の平均気温が産業革命以前と比較して4.0℃上昇することが想定されるシナリオである「気候変動政策が厳格化されず引き続き化石燃料に依存するシナリオ(化石燃料依存シナリオ)」の2つの気候変動シナリオを設定し、2030年における各事業への影響を分析している。なお、シナリオの設定にあたっては、国際機関や日本政府の開示情報を参照している。

このうち、「脱炭素シナリオ」では、当社グループ共通の移行リスクとして、例えば炭素税等の規制が強化され、炭素排出に対するコストが大きく上昇することを想定している。しかしながら、脱炭素化に対応した当社製品・技術の強みを生かすことで、事業機会も十分に存在するものと考えている。

一方、「化石燃料依存シナリオ」では、主なリスクとして、気候変動による物理的リスクがある。当シナリオにおいても、既に各種環境規制を推進している先進諸国において今後、規制が緩和されることは想定しがたいことから、当社の脱炭素技術の優位性を提供することで事業機会が生じると考えている。

なお、当該分析におけるリスク及び機会の影響度の判定に当たっては、事業規模及び脱炭素化の影響を踏まえて分析対象事業を選定した上で、2023年度の事業利益の計画値と2030年における事業利益の予測の差から事業利益への影響を分析している。その結果、脱炭素シナリオを適用した場合に、各事業に対して2030年断面に発生するリスク及び機会のうち、重要なものは以下のとおりである。

各事業部門においては、移行リスクと物理的リスクを事業計画策定の勘案要素として検討しており、またサステナビリティ委員会では、当該リスクと機会のうち代表的なものに関する検討結果を確認している。

ア.リスク

・世界的な電化への移行に従い、内燃機関に関連する製品・サービスである自動車用ターボチャージャ、エンジン式フォークリフトの需要減少や、カーボンニュートラル燃料への移行に伴いディーゼル燃料エンジンの需要減少が想定される。

・技術関連のリスクとして、水素ガスタービン等の新製品の開発遅れや、CO2回収装置における代替技術の出現が想定される。

・政策等の変更に関するリスクとして、冷媒規制等の環境規制が過度に強化され、規制に対応しない既存の冷熱製品の販売機会が失われる可能性がある。

・外部環境の影響として、化石燃料代替エネルギーとしての水素・アンモニアのサプライチェーン形成の遅れ、それに伴う新市場の立ち上がりの遅れが想定される。

 

イ.機会

・新興国を含む全世界で脱炭素の流れが進行する中、トランジション期間として、石炭からの燃料転換が見込まれる。国内市場では「長期脱炭素電源オークション」などの政策が追い風となり、石炭火力発電設備においてアンモニアへ燃料を転換する改造工事や、高効率ガスタービンコンバインドサイクルプラント(GTCC)、水素ガスタービンなどに対する需要増が見込まれる。また、エンジンにおいては、ディーゼル燃料から天然ガスへの燃料転換に伴うガスエンジンの需要増や、水素・バイオディーゼルなどのカーボンニュートラル燃料対応機種の需要増が見込まれる。

・カーボンニュートラル実現とエネルギー安定供給の両立に向け、日本国内においても「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定され、原子力については、「再稼働推進」「次世代革新炉の開発・建設」「既設炉活用(運転期間の延長)」「燃料サイクル推進」を進め、原子力を最大限活用する方針が示された。これを受け、既設PWR・BWRプラントの再稼働支援や特定重大事故等対処施設の設置、再稼働済プラントの保全に関する事業機会の拡大が想定される。また、世界最高水準の安全性を実現する革新軽水炉(SRZ-1200)の新設・建替えプロジェクトなどによる事業機会の拡大が期待される。

・CO2回収事業は法・税制度やCO2貯留地の整備が進む北米や欧州を中心に市場が拡大し、その他の地域でも制度設計や貯留地の整備に従って成長が見込まれる。当社は大型から中小型までの幅広いCO2回収製品のラインアップを有するほか、CO2回収技術とGTCCの両方を有する世界でも数少ないメーカーのひとつであり、多くの顧客ニーズに応えるソリューションを提供することができる。多様な産業分野へのCO2回収技術の適用拡大やサービスメニューの拡充に加え、CO2輸送・CO2貯留・カーボンリサイクルといったCCUSバリューチェーン全体での事業機会の拡大が期待される。

・製鉄機械では、高炉からの切り替えで、電気炉(EAF)や直接還元製鉄設備の需要拡大が見込まれる。

・物流機器では、世界的な電化への移行に伴いバッテリーフォークリフトの需要拡大が見込まれる。また、環境対応型港湾荷役装置(RTG)の需要が見込まれる。

・冷熱製品では、冷媒規制等の環境規制の強化により、低温暖化冷媒を使用した空調機やヒートポンプ式暖房機の販売拡大が期待される。

・水素関連の事業に関しては、水素ガスタービン、水素エンジン、水素還元製鉄設備、燃料電池用電動コンプレッサなど水素利用に関する製品の需要拡大に加えて、水素製造・輸送・貯蔵といった水素バリューチェーン全体での事業機会の拡大が期待される。

 

加えて、「脱炭素シナリオ」と「化石燃料依存シナリオ」の両シナリオにおいて、自然災害の増加に伴う当社グループ施設の被災による財物損害の増加やパートナー施設の被災によるサプライチェーン寸断等を物理的リスクとして認識している。当社グループでは過去7年間において被災した自然災害のうち約9割が、日本における主に台風・高潮、集中豪雨等の水災によるものである。その対応準備としては、災害により機能不全に陥った場合の代替手段、バックアップ体制を規定した対応要領の定期的な見直し、社員・関係者の訓練等を徹底している。また、甚大災害頻発による保険料高騰や高リスクエリアの保険引受停止等を想定し、2021年度までに国内全工場を対象として実施した「リスクサーベイ」に基づき、被災時の物損リスクを最小化すべく対応を進めている。

 

④指標及び目標

当社グループは、「脱炭素社会に向けたエネルギー課題の解決」をマテリアリティの一つと認識しており、2040年にカーボンニュートラルを達成する「MISSION NET ZERO」を宣言し、これを管理するため2つの目標を策定している。

第一の目標は、当社グループの生産活動に伴う工場等からのCO2排出量(Scope1、Scope2)を2030年までに2014年比50%削減し、2040年までに実質ゼロにすることである。

第二の目標は、バリューチェーン全体からのCO2排出量を2030年までに2019年比50%削減し、2040年までに実質ゼロにすることである。これは、主に当社グループの製品の使用によるお客様のCO2排出量(Scope3)の削減に、CCUSによる削減貢献分を加味したものである。

当社グループは、「MISSION NET ZERO」を通じ、省エネ化に継続して取り組んでおり、Scope1、2のCO2排出量を2030年に2014年比で50%削減するという目標に対して、2023年で42%削減を見込んでいる。これに加え、三原製作所をカーボンニュートラル工場とするための使用電力の100%グリーン化等、更なる取組みを実施している。また、Scope3については、当社製品の使用に伴うCO2排出量削減(2019年比で、2030年に50%)が目標であり、この達成に向けて高砂製作所の高砂水素パーク建設をはじめとした様々なソリューションの開発・実証を進めている。これらの目標に対する進捗をモニタリングすることで、リスクと機会への対応状況を確認している。

 

(3)人的資本に関する戦略並びに指標及び目標

①戦略

中期経営計画(2024事業計画)では、「各事業の戦略に応じた人材基盤の強化」を掲げ、多様な人材がグローバルに活躍する職場環境づくりを推進している。人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針を含む以下の各取組みを引き続き推進していく。

 

ア.人材育成

当社グループの事業を取り巻く環境は、価値観の多様化や社会課題の複雑化等により加速度的に変化している。当社グループがいかなる環境の中にあっても持続的に発展していくためには、そこで働く社員一人ひとりが、お客さまのニーズに対して一人称で考え、行動することが必要である。HR部門はそれができる人材の育成とその人材を最大限に活かす企業文化の醸成、一人ひとりの主体性や活力をさらに引き出すことができるワークスタイルへの転換に鋭意取り組んでいる。

また、当社グループは、「三菱重工グループ人材育成方針」を制定しており、「長い歴史の中で培われた技術に最先端の知見を取り入れ、変化する社会課題の解決に挑み、人々の豊かな暮らしを実現する」とのミッションの実現に向けて、グループ員一人ひとりの能力の伸長とキャリア開発の支援を行い、全員が学び成長できる環境を整備する旨定めている。

 

イ.エンゲージメント

当社グループは、「社員のエンゲージメントを高めることが組織の活性化につながる」との考えの下、社員のエンゲージメントを重要指標と位置付け、定期的に、当社グループ全体でエンゲージメントサーベイを実施している。本サーベイ結果を受け、各部門において改善・向上活動を展開しており、HR部門としてはグループ全体の課題に対してベンチマークや水平展開、様々なツール整備を実施している。

 

 

ウ.ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン

多様な経歴、国籍、文化を持つ数万人からなる当社グループにとって、多様性は大切な財産であり、様々なバックグラウンドを持った社員一人ひとりが一つの共通の企業文化の下で業務に邁進している。女性活躍を一層推進していくため、女性社員数の拡大、キャリアを中断させない仕組みづくり、女性管理職の計画的な育成及び風土醸成という4つの施策に取り組んでいる。また、障がいを抱える方が安心して活躍できる職場環境づくり、職域の拡大にも積極的に取り組み、各地域での雇用も鋭意進めているほか、様々な性的指向の方にも配慮した職場環境づくりに努めている。

 

エ.安全衛生・健康

当社グループは、「人命尊重の精神に徹し、安全を何よりも優先する」ことを労働安全衛生における基本方針とし、その方針を実現するために社員がとるべき行動指針を反映した「三菱重工グループ安全衛生方針」を制定し、全世界にまたがる事業場において安全かつ安心して業務を遂行でき得る環境の実現を目指している。また、衛生面では社長による「社員とその家族が健康で幸せであることが全ての基本であり、そのような職場環境づくりに全力で取り組む」旨の健康経営宣言の下、健康経営を推進し、健やかで活力にあふれた社会に貢献できる人材づくりに努めている。

 

②指標及び目標

当社グループは、「(1)サステナビリティ全般 ③戦略」に記載のとおり、マテリアリティの特定を行った。「①戦略」で記載した方針に関しては、「ダイバーシティ推進とエンゲージメントの向上」に向け、多様な人材による新たな価値創出、安全で快適な職場の確保及び社員を活かす環境づくりと健やかで活力にあふれ社会に貢献できる人材づくりをテーマに、安全や多様性、エンゲージメントに関する指標を設け、以下のとおり取り組んだ。

・将来の幹部候補社員に対して、HR部門と事業部門が連携し、計画的な指導、育成を継続中

・全ての社員がキャリアを継続するため、育児や介護などに配慮した様々な支援制度の拡充に取り組み、仕事と家庭を両立しやすい職場環境・組織風土の構築を推進中

・「三菱重工グループにおける人権尊重」に関する教育コンテンツ(e-ラーニング)の充実化を検討中

・過去に発生した災害をベースにAIシステムや手引きを活用して発生予兆検知や災害発生時の真因分析等を行い、部門横断で対策を検討・立案

・2023年3月に実施した第4回当社グループ社員意識調査の結果を踏まえて取組方針を整理

・社長タウンミーティングを国内外7拠点で開催

・パルスサーベイツールの全社展開及び運用改善による高度化を実現

 * 社員意識調査よりも高い頻度で簡易な質問によるアンケートを実施し、より早期に職場に応じた課題の解決を目指す手段