2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

保守サービス事業 ソリューション事業 人材サービス事業
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
保守サービス事業 4,924 29.1 873 44.4 17.7
ソリューション事業 9,816 58.1 790 40.1 8.0
人材サービス事業 2,165 12.8 304 15.5 14.0

事業内容

3【事業の内容】

 当社は、保守サービス事業、ソリューション事業、人材サービス事業の3事業を柱に、全国60超の拠点より24時間365日エンジニアが機器の保守、導入設計、設置展開サービスを提供しております。

 なお、上記3事業は、本書の「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント区分と同一であります。

 

保守サービス事業

 システムのサポート、機器の保守、コールセンター、ヘルプデスクサービスを提供しております。

 全国の病院、クリニックに導入されているウィーメックス株式会社製電子カルテシステム、レセプトコンピュータ(診療報酬明細書発行システム)を始め、調剤薬局に導入されているPHC株式会社製電子薬歴システム、薬剤情報システム、自動錠剤包装機、一包化監査システム、医事コンピュータ、注射薬払出システム、適温配膳車等の保守サービスを受託しております。

 全国の病院・一般診療所の数は、厚生労働省の調査によると現在約11万3千件(厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/m25/dl/is2502_01.pdf 2025年2月末時点データ)、また、調剤薬局は、全国約6万2千件(厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/toukei/youran/indexyk_2_4.html 2023年時点デタ)であります。そのうち当社では病院・一般診療所へ導入されている電子カルテシステムやレセプトコンピュータ、調剤薬局に導入されている電子薬歴システム等の機器を合わせて、約3万6千件の保守契約を締結し保守サービス業務を行っております。

 電子カルテシステム及びレセプトコンピュータの保守は、顧客と直接保守契約を締結する「ハードウェア保守契約」と機器のメーカーであるウィーメックス株式会社と顧客がハードウェア機器契約を締結した後、当社が顧客に対してサービスを提供し、ウィーメックス株式会社からハードウェア保守料を受領する「システムサポート契約」の2つのパターンがあります。現在ウィーメックス株式会社により、システムサポート契約の締結が促進されており、既存顧客は機器のリプレースのタイミングで順次ハードウェア保守契約からシステムサポート契約へ契約形態を変更しております。また、従来契約を締結しないまま障害発生の都度修理対応をしていた顧客に対しても契約締結を促す意向であることから、毎年契約件数は増加しており、今後もその傾向は継続していくと予測しております。

 ウィーメックス株式会社によれば、同社製の電子カルテシステム、レセプトコンピュータは、クリニック(診療所)向けの機器としては高い国内シェアを維持しているとのことですが、顧客がウィーメックス株式会社製の機器を選ぶ理由の一つとして、当社の保守サービスの品質への高い評価も存在すると当社では考えております。

 当社は、メーカーに属さない独立系の保守会社であることが強みであり、医療機器やIT機器、非IT機器を問わず様々なメーカー機器の保守対応が可能であり、24時間365日オンサイトサービスを提供しております。

 この点が評価され、ウィーメックス株式会社及びPHC株式会社以外にも多くのベンダーから多種多様な機器の保守サービスを委託されており、緊急対応の要否、駆けつけ時間と部品在庫管理等の細かな修理対応サービスレベルに合わせた保守契約を各ベンダーと締結しております。

 保守サービス事業の多くは保守契約に基づき継続的に収益が入るストック型ビジネスであることから、経済状況の変動に左右されにくいという特長があります。新型コロナウイルス感染症が拡大し、経済が低迷した2020年以降においても、大きな影響を受けることなく安定した収益を確保できておりました。

 また、コールセンターやヘルプデスク業務、機器の稼働状況を継続的にチェックする死活監視業務についても、近年需要が増えております。2024年2月にはIPOで調達した資金を充当し、保守およびソリューションサービスの全社サポート拠点であるテクニカルセンターを東京都台東区から東京都江戸川区に移転、拡充いたしました。

 テクニカルセンターはオンサイトサービスの中枢拠点でもあり、障害発生の一次連絡を受付けております。連絡受付後、障害内容を踏まえて対応方法をジャッジし、現地対応が必要な案件については、拠点の管理者(通称ディスパッチャー)へ連絡します。ディスパッチャーはエンジニアを手配したり、訪問前準備をしたり、各種サービスの司令塔として機能し、迅速なトラブル対応を可能にしております。その他テクニカルセンターでは、ネットワークやPCの遠隔監視や診断を行っており、障害発生時にも自動的にアラートが上がる仕組みになっております。また、遠隔監視により、システムの利用が不可能となるような重度の障害を未然に防ぐ等の予防保守にもつながっております。

 2024年以降は遠隔作業支援システム(スマートグラス)を導入し、エンジニアの技術支援及び効率的なアサインの実現を目指しております。現在は69の企業より業務を受託しております(2025年3月31日時点)。

 テクニカルセンターは、移転に際して当社のサービスを可視化したショールームのような仕様としており、随時見学会を開催しております。2024年4月~2025年3月末までの期間に71件の見学会を開催し、新たな保守等の受託に繋がっております。

 当社では、ヘルスケア市場における保守サービス事業の拡大を目指し、2016年に東京都、2020年には大阪府、2021年には宮城県、2022年には北海道、2023年には広島県、2024年には長野県において医療機器修理業の許可を取得しました。2025年にはテクニカルセンターにおいても医療機器修理業の許可を取得し、対応拠点を拡大しました。医療分野における保守実績のある当社へは、現在多くのメーカーから医療機器の保守依頼や、同業他社からの協業依頼がきております。

 

ソリューション事業

 医療機関、福祉施設、一般企業、官公庁向けにシステムの設計、構築、設置工事、展開管理等のICTサービスを提供、また顧客の要望に合わせた機器の提案、販売をしております。

 本社におけるソリューション営業活動では、日本電気株式会社、KDDI株式会社といった大手企業との協業により、ネットワーク機器やPC関連の設定サービス、電気通信工事等を提供する他、大手総合重工業メーカー物流部門との協業による自動倉庫システムサービスの展開等、様々なサービスメニューを開発、展開しております。これらの案件は本社が全国拠点をマネジメントすることにより、全エリアにおいて同一品質のサービスを提供しております。

 また、2024年2月に移転したテクニカルセンターは機器の設定から現地配送までを一括管理するキッティングセンターとしての機能も備えており、東京都八王子市、北海道支店、東北支店、中部支店、関西支店に設置しているキッティングスペースと併せて、品質の平準化を図るべくその体制を強化しております。

 また、全国の支店及び営業所においてもそれぞれソリューション営業の活動をしております。特に地元企業とのリレーションに力を入れ、例えば北海道支店における家畜セリシステムといった地元ならではの機器に関わるソリューション案件も獲得しております。

 顧客からの情報収集、営業提案、ネットワークの設計、構築、機器の設置展開、更に保守サービス事業へ引き継いでの運用管理、オンサイトサービスという一連の流れをワンストップで提供できることが当社の強みであります。2023年には古物商(事務機器商)の許可を取得し、IT資産の選定から廃棄までのライフサイクルを各プロセスに応じてサポートするLCMサービス事業の展開が可能となりました。

 

人材サービス事業

 IT機器の保守、点検、修理を行うカスタマエンジニア(以下、「CE」といいます)、システムの設計や、ネットワークの設計・構築、派遣先企業のフロント営業のサポートを行うシステムエンジニア(以下、「SE」といいます)を派遣しております。

 主要取引先であるNECフィールディング株式会社へはCEを、KDDIグループへはSEを派遣しております。

 NECフィールディング株式会社とは1967年のプリンター保守サービスの提供をきっかけに、以来長期に渡る取引の中で当社のエンジニアの技術力が評価され、現在は150名を超えるCEを派遣しております(2025年3月31日時点)。

 KDDIグループからは、2005年の日本国際博覧会におけるSE派遣以来、継続して派遣の要請があり、現在は50名のSEを派遣、また20名が準委任契約又は請負契約による業務に従事しております(2025年3月31日時点)。上記2社からは、毎年増員要請を受けております。

 また、その他複数の企業にもエンジニアを派遣しており、派遣を契機にソリューションや保守案件を受託するケースが増えております。

 人材サービス事業全体の各期末時点における派遣人員数は、2021年3月期241名、2022年3月期262名、2023年3月期254名、2024年3月期257名、2025年3月期263名と推移しております。IT人材不足という市場環境において、派遣の需要が毎年増え続けていることから、今後も機会損失が無いよう、毎年計画的に派遣人員を採用し、社内研修による資格取得推進を始め、スキルアップを図っております。

 人材サービス事業は保守サービス事業同様、派遣契約に基づくストック型のビジネスが主であります。

 

 当社の社員は入社後、CEあるいはSEとしての教育を受け、必要な資格を取得した上でそれぞれ拠点へ配属されます。エンジニアは各配属先において現場経験を積むことや、資格取得講習等を受講することにより、必要なスキルを身に付けていきます。その後、ジョブローテーションにより、新たな部署で経験を積むことで、マルチな対応が可能なエンジニアへとスキルアップしていく、そのような環境が当社にはあります。

 当社には現在700名を超えるエンジニアがおり(2025年3月31日時点)、その多くはCEとSEの両スキルを保有しております。特定の時間に集中していることが多い保守サービス業務の前後の時間に機器の設定や設置等作業を行うことにより、業務効率が上がり、生産性の向上につながっております。

 このように、保守サービス事業、ソリューション事業、人材サービス事業全てに対応でき、各事業の知見があるエンジニアが、自身の配属先あるいは派遣先での業務に従事する中で、取引先企業の抱える課題や需要を把握し、当社の3事業の特長を生かした提案をすることで、新たなビジネスが生まれております。他にも当初機器の導入展開案件を受託した取引先から、その次のステップである運用管理まで依頼されるケースも増えてきております。このように、事業間シナジーにより新規案件を獲得できること、3事業を通じて様々な市場に参画できるといった強みがあります。

 

[事業系統図]

以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における流動資産は5,061,674千円となり、前事業年度末に比べ236,889千円減少いたしました。これは主として、現金及び預金が25,031千円増加したものの、前事業年度末に完了した案件の代金回収により売掛金が128,346千円、前事業年度末に仕掛となっていた大型案件の完了により棚卸資産が138,886千円減少したことによります。固定資産は1,307,955千円となり、前事業年度末に比べ90,938千円増加いたしました。これは主として、2025年10月のWindows10のサポート終了を見据えた段階的な業務用パソコンの入替えによりリース資産が22,035千円、前事業年度より進めてまいりました品質管理システムの更新によりソフトウエアが17,905千円、繰延税金資産が55,433千円増加したことによります。

 この結果、総資産は6,369,629千円となり、前事業年度末に比べ145,950千円減少いたしました。

 

(負債)

 当事業年度末における流動負債は3,063,861千円となり、前事業年度末に比べ2,292千円増加いたしました。これは主として、前事業年度に大型案件で調達した商品等の支払いにより買掛金が100,203千円、テクニカルセンターの移転、拡充に伴う工事費用の支払いにより未払金が78,190千円減少したものの、自治体を中心とした保守サービスの増加に伴い前受金が106,422千円、翌事業年度の賞与支給額増額分の積立てにより賞与引当金が94,103千円増加したことによります。固定負債は1,554,942千円となり、前事業年度末に比べ15,472千円増加いたしました。これは主として、役員の退任による退職金の支払いにより固定負債その他が10,633千円減少したものの、2025年10月のWindows10のサポート終了を見据えた段階的な業務用パソコンの入替えによりリース債務が20,849千円、退職給付引当金の積立てにより退職給付引当金が11,566千円増加したことによります。

 この結果、負債合計は4,618,804千円となり、前事業年度末に比べ17,765千円増加いたしました。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は1,750,825千円となり、前事業年度末に比べ163,716千円減少いたしました。これは主として、自己株式の取得529,872千円、当期純利益512,872千円、剰余金の配当146,717千円によるものであります。

 この結果、自己資本比率は27.5%(前事業年度末は29.4%)となりました。

 

②経営成績の状況

 わが国経済は、2025年3月の政府の月例経済報告によると、「景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。」とあります。

 2024年の春季労使交渉においては、33年ぶりとなる高水準の賃上げ率となり、所得環境が改善される一方、食料品など身近な物価の上昇が個人消費の伸びを緩やかなものに留まらせています。また、急激な円安、原材料価格高騰、人件費高騰によって一部企業に影響が出ているものの、観光、インバウンド需要は回復傾向にあります。

 2024年8月には日経平均株価が前日終値比4,451円と12.4%下落し、1987年10月20日の暴落幅を超え過去最大となりました。2025年1月にはドナルド トランプ氏がアメリカの第47代大統領に就任し、1週間で30を超える大統領令に署名しました。地球温暖化対策の「パリ協定」からの離脱、政府機関における多様性の撤回等の大幅な政策転換を進め、外国からの輸入品に課す「関税」と、アメリカ国内の企業への「減税」によって、貿易赤字の削減や製造業の強化を目指す姿勢を示しています。今後これらの政策が日本経済及び当社に及ぼす影響は不透明であり、注視していく必要があると感じております。

 当社を取り巻くIT市場においては、人材不足の中、生産性向上や収益拡大のためのDX推進を目的としたIT支出が拡大しており、それに伴い当社にも多くの需要がありました。

 当事業年度は、2024年4月に77名の新卒社員を迎えスタートしました。4月から12月にかけては、医療DXの推進に伴い、訪問看護ステーションにおけるオンライン資格確認用の機器の導入が進みました。また、介護機器の導入やデジタル化に利用できる助成金・補助金である、介護ロボット導入活用支援事業補助金、ICT導入支援事業補助金、IT導入補助金を活用した介護ソフトや見守りシステムの販売も順調に進み、当事業年度において当社の成長を牽引いたしました。また、電子カルテ標準化に向けた動きの中で、電子カルテの販売と併せて病院施設内のネットワーク構築、セキュリティ対策等の需要が増加しており、対応件数の増加が当社エンジニアのスキルアップにもつながっております。

 2024年2月に東京都江戸川区臨海町に移転、拡充したテクニカルセンターでは、ショールームとしての機能を活かし、年間71件の見学会を開催し、新規案件の受託に繋がっております。

 2024年7月には前事業年度の進捗で明らかになった課題への対策を検討したうえで、最重要テーマを「成長と収益力向上」とした新中期経営計画を発表しました。当社はこの3年間を事業基盤拡大の3ヶ年と位置付けております。初年度である当事業年度においては、医療DX、教育DX、自治体DX、企業DX等の推進に伴う需要に積極的に対応していくことで、着実に事業基盤を拡大してまいりました。

 当社の成長は人材が鍵を握ることから、当事業年度においても新卒及び中途社員の採用、教育、エンジニアの育成に注力しながら、従業員満足度の向上にも努めてまいりました。この効果により、当事業年度の離職率は5.9%と、前事業年度から2.6ポイント改善いたしました。また、新中期経営計画に織り込み済みの人的投資の一環として、翌事業年度の賞与支給額を従来の3か月から4か月に増やすべく、賞与引当金の積立て金を増額いたしました。

 この結果、当事業年度の業績は、売上高16,904,476千円(前年同期比4.7%増)、営業利益687,690千円(同9.7%増)、経常利益691,573千円(同8.9%増)、当期純利益512,872千円(同24.9%増)となりました。

 当事業年度は、第3四半期において中部支店の移転等を、第4四半期において渉外用端末の修理受付拠点として稼働している拠点を、機器の保守終結とともに閉鎖することを決定したため、移転後継続使用しない資産を減損損失として特別損失に計上いたしました。

 

 セグメントの業績は、次の通りであります。

 なお、「セグメント利益」は、本源的な事業の業績を図るために、本社管理部門の販売費及び一般管理費配賦前の営業損益を示しており、各報告セグメントの全社への貢献を明確化した利益指標であります。

 

保守サービス事業

 保守サービス事業では、システムのサポート、機器の保守、コールセンター、ヘルプデスクサービス等を提供しております。

 事業の主軸であるウィーメックス株式会社製電子カルテシステム、レセプトコンピュータの保守は、既存顧客の機器リプレース時に契約形態を当社と顧客がメディコムハード保守契約を直接締結する方式から、顧客とウィーメックス株式会社が保守契約を締結し、ウィーメックス株式会社から当社がハードに係る保守を受託し保守料を受領するシステムサポート契約方式への切り替えが、当事業年度においても進んだため、売上実績は減少傾向にあります。一方でこの契約方式になることで、これまで未契約であった顧客との契約締結が促進されていることから、契約件数は増加傾向にあり、利益は増加しております。

 ウィーメックス株式会社製品の保守以外では、ソリューション事業において設置展開した訪問看護ステーション向けオンライン資格確認用機器の保守件数が増加し、売上が拡大いたしました。また、クリニックや調剤薬局で導入された自動精算機の保守案件の増加、新たな医療機器の保守を一部エリアにて開始したほか、空港内におけるシステムの保守も本格的に全国に拡大いたしました。引き続き既存取引先であるメーカーからの保守エリア拡大要請、小売店ネットワーク機器保守の拡大、医療機器メーカーからの保守やヘルプデスク等の運用保守依頼も増加し、事業全体は順調に成長しております。

 この結果、当事業年度の業績は、売上高4,923,593千円(前年同期比3.7%増)、セグメント利益873,014千円(同12.2%増)となりました。

 

(図1)

 ソリューション事業

 ソリューション事業では、主要取引先である日本電気株式会社、KDDI株式会社をはじめ、全国の企業、官公庁からの依頼により、IT機器の販売、設計・構築、設置展開作業を受注しております。

 当事業年度は、2024年12月に訪問看護ステーションにおけるオンライン資格確認及びオンライン請求が義務化されるのに伴い、導入に必要なレセプト作成用のソフト、パソコン、ネットワーク回線整備の需要が増加し、本社及び全国の拠点において対応してまいりました。また、2025年10月にWindows10のサポートが終了することに伴う、パソコンの新規導入や入替えに係る案件も徐々に増えてまいりました。

 また、介護事業所向け介護機器の導入やデジタル化に利用できる介護ロボット導入活用支援事業補助金、ICT導入支援事業補助金、IT導入補助金を活用した介護ソフトや見守りシステムの導入が進みました。

 医療DXの推進に伴い、病院における電子カルテ導入及びネットワーク構築の依頼が増えており、それに伴いエンジニアのスキル向上が図れております。更に医療機関におけるネットワークセキュリティへの意識向上に伴い、当社の医療機関向けサイバーセキュリティ対策商品である「MSK@あんしんバックアップサービス」の導入が多くありました。

 そのほか、教育DXの推進に伴う電子黒板導入や、教育機関専用インターネット回線「MSK@ひかり」の需要、情報通信量の増加に伴い、低軌道衛星を用いた大容量通信を可能とする「Starlink」の設置工事の依頼も増加しました。

 この結果、当事業年度の業績は、売上高9,815,785千円(前年同期比6.1%増)、セグメント利益789,532千円(同9.9%増)となりました。

 

 人材サービス事業

 人材サービス事業では、2025年3月31日時点で263名が従事しております。当社エンジニアの努力により既存取引先において、スキルや対応力が評価され、当事業年度において増員の依頼を頂くことができました。この結果派遣従事者数は、前事業年度より6名増加しております。

 配置転換や育児休業取得等により、派遣従事者数は第2四半期末日時点よりは減少しておりますが、派遣単金増額の効果により、売上高は前年同期比で増加しております。

 IT人材が不足する中、既存及び新規取引先より派遣要請がありますので、今後も継続して採用活動及び派遣従事者のケアに取り組むとともに、ジョブローテーションにより派遣人員の増員を図ります。

 この結果、当事業年度の業績は、売上高2,165,097千円(前年同期比0.8%増)、セグメント利益304,061千円(同1.7%減)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は1,534,412千円となり、前事業年度末に比べ25,031千円増加いたしました。

 なお、当事業年度における各活動によるキャッシュ・フローは以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金は、921,745千円の増加(前事業年度は、1,134,931千円の増加)となりました。これは主として、税引前当期純利益675,566千円の収入、介護見守りシステム等の期末大型案件代金回収に伴う売上債権の減少による収入106,931千円、前事業年度末に仕掛となっていた訪問看護ステーション向けオンライン資格確認端末導入等の案件の進捗に伴う棚卸資産の減少による収入138,886千円があったことによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金は、186,750千円の減少(前事業年度は、114,046千円の減少)となりました。これは主として、テクニカルセンターの入居工事及び備品購入等に伴う有形固定資産の取得による支出110,455千円、品質管理システムの入れ替え等に伴う無形固定資産の取得による支出60,069千円、中部支店の移転等に伴う敷金の差入による支出23,205千円があったことによります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金は、709,963千円の減少(前事業年度は、441,097千円の減少)となりました。これは主として、配当金の支払い146,108千円、自己株式の購入による支払534,872千円があったことによります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

保守サービス事業(千円)

4,923,593

103.7

ソリューション事業(千円)

9,815,785

106.1

人材サービス事業(千円)

2,165,097

100.8

合計(千円)

16,904,476

104.7

 (注)1.セグメント間の取引については発生しておりません。

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

当事業年度

(自 2024年4月1日

 至 2025年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ウィーメックス株式会社

2,489,070

15.4

2,547,366

15.1

KDDI株式会社

1,335,351

8.3

1,270,444

7.5

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりましては、経営者が採用した会計方針及びその適用方法並びに経営者によって行われた見積りや評価が含まれております。これらの見積りにつきましては、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、不確実性を伴うため、実際の結果はこれらとは異なる場合があります。
 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」及び「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等に関する分析

イ.経営成績

 当該事項につきましては、本書の「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

ロ.財政状態

 当該事項につきましては、本書の「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

ハ.キャッシュ・フローの状況

 当該事項につきましては、本書の「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社の運転資金、設備資金等の所要資金につきましては、営業活動で得られた資金を財源としております。大規模なシステム・整備への投資に伴い資金の不足が見込まれる場合には金融機関からの借入による手当を想定しております。また、ソリューション事業の拡大に伴い、大型案件の商品調達に係る資金需要が見込まれますが、こちらについても金融機関からの借入により所要資金の確保を行ってまいります。

 季節的な変動に伴う資金需要に機動的に対応する為、取引先金融機関2行と当座貸越契約を締結しております。当座貸越枠の合計は1,000,000千円であり、当事業年度において、本契約に基づく当座貸越残高は1,000,000千円となっております。

 また、当社の現金及び現金同等物により、現在必要とされる資金水準を満たす流動性を保持していると考えております。

 

④経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑤経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析について

 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりです。

当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としては、売上高、セグメント利益及び営業利益率を設定し、経営上の目標としております。

 売上高は保守サービス事業、ソリューション事業においてはDX推進により機器の販売案件の増加、それに付随する保守案件の増加等により順調に伸長しております。人材サービス事業は派遣単金アップの交渉が成功したことにより売上高は前年同期比で増加しましたが、セグメント利益については派遣者の育児休暇取得や休業、人事ローテーション等の影響があり前年同期比98.3%となりました。価格転嫁の交渉等の成果もあり、営業利益率は前年同期比で0.2%改善し、4.1%となりました。