人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数17,885名(単体) 37,866名(連結)
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平均年齢39.8歳(単体)
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平均勤続年数15.9年(単体)
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平均年収7,307,644円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2025年3月31日現在
(注) 従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(期間従業員、アルバイト、パートタイマー、外部からの派遣社員、応援およびゲストエンジニア)は、年間の平均人員を( )外数で記載しています。
(2) 提出会社の状況
2025年3月31日現在
(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(期間従業員、アルバイト、パートタイマー、外部からの派遣社員、応援およびゲストエンジニア)は、年間の平均人員を( )外数で記載しています。
2.平均年間給与は、基準外賃金および賞与を含んでいます。
3.執行役員(専務および常務含む) 28名につきましては、従業員数に含まれていません。
(3) 労働組合の状況
労働組合は、当社のSUBARU労働組合と国内連結子会社等の全国スバル販売労働組合、部品関係労働組合協議会、スバルITクリエーションズ労働組合、スバルロジスティクス労働組合およびSUBARUテクノ労働組合とでSUBARU関連労働組合連合会を結成し、同連合会を通じて全日本自動車産業労働組合総連合会、日本労働組合総連合会に所属しています。組合員数は、29,668名です。
なお、労使関係は円滑に運営されています。
(4) 多様性に関する指標
①提出会社
(注)1.「管理職に占める女性労働者の割合」および「男女の賃金格差」については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2.「男性の育児休業取得率」については、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76条)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。なお、同施行規則第71条の6第2号における育児休業等および育児目的休暇の取得割合は100.0%です。
3.対象期間は2024年4月~2025年3月です。
4.他社からの出向者については従業員に含まず、出向元の従業員として集計しています。
5.男女の賃金格差については男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しています。同一労働の賃金に男女差はなく、主に資格・役職等の人数構成差によって生じています。
②連結子会社
(注)1.「管理職に占める女性労働者の割合」および「男女の賃金格差」については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2.「男性の育児休業取得率」については、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76条)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
3.対象期間は国内スバル販売会社を除く連結子会社は2024年4月~2025年3月、国内スバル販売会社は2024年1月~12月です。
4.他社からの出向者については従業員に含まず、出向元の従業員として集計しています。
5.男女の賃金格差については男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しています。同一労働の賃金に男女差はなく、主に資格・役職等の人数構成差によって生じています。
6.連結子会社(国内スバル販売会社を除く)については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)において公表義務がない場合、公表項目として選択していない場合は「-」の記載をしています。
7.連結子会社(国内スバル販売会社)については、男性の育児休業等取得率について対象者(当該年度中に配偶者が出生した男性従業員)がいなかった場合、男女の賃金格差の「うちパート・有期労働者」について男女いずれかあるいは男女両方の労働者が在籍しておらず、算出不可である場合は「-」の記載をしています。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)が判断したものです。
SUBARUグループのサステナビリティ
当社グループは、「”お客様第一”を基軸に『存在感と魅力ある企業』を目指す」という経営理念のもと、ありたい姿「笑顔をつくる会社」の実現に向け、SUBARUグローバルサステナビリティ方針に基づきサステナビリティ重点6領域の取り組みを推進してきました。従業員一人ひとりが成長の原動力となり、提供価値である「安心と愉しさ」をさらに進化させ、お客様をはじめとしたステークホルダーの皆様との関係を深めることで、SUBARUグループの持続的な成長と愉しく持続可能な社会の実現の両立を図っていきます。
自動車産業が100年に一度とも言われる大変革期をむかえるなか、当社グループは2023年8月に「新体制の方針」を公表しました。「モノづくり」と「価値づくり」で世界最先端を目指すべく取り組みを進めるなかで、時代ごとに求められる価値をお客様やステークホルダーの皆様にお届けし、当社グループの持続的な成長につなげていくため、また、昨今のサステナビリティを取り巻く環境の変化などを踏まえ、2023年以降、SUBARUグループのサステナビリティについての議論を重ねてきました。そして、SUBARUの価値や強みを一層活かした形で持続可能な社会の実現とSUBARUグループの持続的な成長を両立していきたいという思いのもと、CSR重点6領域を「サステナビリティ重点6領域」として発展させています。今後は、従来のCSR視点に加え、より長期視点で事業活動そのものを通じた社会価値・経済価値の創出を目指していきます。
価値創造プロセス図
(1)ガバナンス
当社グループのあらゆるサステナビリティに関わる取り組みを議論する場として、「サステナビリティ委員会」を設置し、年2回開催しています。サステナビリティ委員会は、委員長を代表取締役社長とし、全執行役員がメンバーとして加わり、各事業を社会的側面からも考察し、取り組みの強化を図っています。当社グループとして、国内、海外各拠点と連携しながらグループが一体となってサステナビリティ実現に向けた取り組みを包括的に推進し、関係する委員会や部門のPDCAの状況をモニタリングしています。また、同委員会での議論内容は取締役会に付議・報告をしています。
<2024年度サステナビリティ委員会における主な議論内容>
・「サステナビリティ重点6領域」の取り組み強化に向けた整理・検討
・当社グループのサステナビリティ取り組み進捗
・人権取り組み進捗
・ESG評価機関による評価と対応
・2024年度/2025年度統合レポート/サステナビリティWebの方向性と内容
<体制>
(2)戦略
当社は、2018年に「CSR重点6領域」として「人を中心とした自動車文化」、「共感・共生」、「安心」、「ダイバーシティ」、「環境」、「コンプライアンス」を定め、各領域で「2025年のありたい姿」を設け活動を推進してきました。
2024年度にCSR重点6領域を「サステナビリティ重点6領域」へ発展させたことに伴い、「重点領域」については、社会環境やサステナビリティに関する考え方の変化の趨勢を捉え、「人を中心とした自動車文化」を「人を中心としたモビリティ文化」に、「ダイバーシティ」を「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)」に変更しました。このほかの4つの領域も含め、ありたい姿、重点テーマ、主なKPIと目標を新たに設定し各取り組みをさらに深化させていきます。
具体的にはサステナビリティ重点6領域の「ありたい姿」は、より長期視点に立ちSUBARUが目指す不変的な方向性を示すために時間軸を設けないこととし、「重点テーマ」は当社グループの強みを活かして重点的に取り組む項目を設定することで、「ありたい姿」「重点テーマ」の定義を明確化し、さらにはそのKPIと目標値を定めることで「サステナビリティ重点6領域」の各取り組みを強化していきます。
「人を中心としたモビリティ文化」
従来は主に自動車事業に焦点を当てたものでしたが、今後は航空宇宙事業も含めたSUBARUグループの商品やサービスの多様性を持つと同時に、SUBARUのDNAを継承しつつ時代の変化に対応した新たな価値をお客様や社会に提供し、当社グループでは他社とは異なる存在感と魅力ある企業を目指していきます。具体的にはSUBARUと過ごすことによる色褪せない価値を提供し、人の心や人生を豊かにするパートナーとなることを目指します。
「共感・共生」
当社グループは、企業活動を行っていくうえでの重要なステークホルダーはお客様と地域社会であると考えています。そのため、お客様と地域社会には日ごろのコミュニケーションを通じてSUBARUを信頼、共感していただき、共感・共生のコミュニティを形成していくことを目指します。具体的にはお客様には「安心と愉しさ」を実現するモビリティ・サービス・体験を提供し、地域社会にはその課題解決につながる活動を推進していきます。
「安心」
当社グループは、お客様・地域社会・従業員をはじめとするすべてのステークホルダーにとって、「最高の安心」を感じていただける企業となることを目指していきます。その中でもお客様に常に寄り添い、常に安心を感じていただけるような取り組みを推進していきます。お客様が安心して長く使い続けていただける「品質」No.1を目指し、「人の命を守る」ことにこだわり、2030年に死亡交通事故ゼロ※1を目指して取り組みを進めていきます。
※1:SUBARU車乗車中の死亡事故およびSUBARU車との衝突による歩行者・自転車などの死亡事故ゼロを目指す。
「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)」
当社グループでは、働くすべての従業員の多様な価値観を尊重し、働きやすい職場環境の整備をするなどダイバーシティの取り組みを推進してきました。今後は、これに加え、すべての従業員が公平な機会を得られる環境を提供し、多様な個が一丸となって能力を最大限発揮していくことで、イノベーションを創出し、SUBARU独自の持続的な価値創造を実現していきます。
「環境」
当社グループは、環境方針のなかで「大地と空と自然」をSUBARUのフィールドと定め、自然との共生を目指す取り組みへの注力を掲げました。これは、自動車と航空宇宙事業を柱とするSUBARUの事業フィールドである「大地と空と自然」を大切に守っていきたいという思いを込めたものです。企業活動を通じて地球環境を大切に守っていくために「気候変動の抑制」、「サーキュラーエコノミーの実現」、「自然との共生」の3つを重点テーマとして新たに設定し、環境アクションプランを実行していきます。
「コンプライアンス」
当社は、過去の業務遂行において社会規範への意識が欠如していたことや社内ルールの不備、また業務遂行に関連する法令の理解が乏しかったことなどへの反省から、意識改革の必要性を痛感し、徹底した組織風土改革を推し進めています。お客様をはじめとするすべてのステークホルダーから信頼され、共感される存在となることを目指し、当社グループとしてコンプライアンス重視、優先の取り組みを進めていきます。今後は従業員一人ひとりが受け身ではなく能動的にコンプライアンスを考え、行動に移す「考えるコンプライアンスの浸透」を図っていきます。
(3)リスク管理
当社グループは、グループ全体のリスク顕在化と拡大を防止するため、取締役会が選任したCRMO(最高リスク管理責任者)が、リスクマネジメント・コンプライアンス活動を統括し、活動状況などを取締役会に報告する体制をとっています。当社グループでは、「人権」、「人的資本」、「気候変動」などのサステナビリティ領域も含む課題について、経営レベルで影響度の大きいリスクや機会を把握し、適宜経営会議などで提案・議論しており、特に重要な案件については取締役会の審議を経て意思決定しています。
(4)指標および目標
当社グループは下表の通り、「サステナビリティ重点6領域」の各領域において、「ありたい姿」を明確にし、そのKPIと目標値を定めることで取り組みの強化を図っています。
なお、「人を中心としたモビリティ文化」と「共感・共生」については、他の4領域の取り組みと相互に影響し合う領域であるため、主なKPIと目標は設定せず、他の4領域の取り組みの進捗を把握していきます。
※2: 定量・定性ともに含む
※3: 当社単体においてのKPIや目標も含む
※4: SUBARU車乗車中の死亡事故およびSUBARU車との衝突による歩行者・自転車などの死亡事故ゼロを目指す。
※5: スバルリビングサービス株式会社
※6: スバルブルーム株式会社
※7: 追加的な対策を取らずに現状を維持した場合の排出量(Business As Usual排出量)
気候変動
当社グループは気候変動への取り組みを最も重要な課題の一つとして認識しており、2050年のカーボンニュートラルを目指し、商品および工場・オフィスでのCO2排出削減の「長期目標」およびそのマイルストーンとしての「中期目標」を策定し取り組むことで、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
(1)ガバナンス
当社は「環境委員会」を設け、社会が要求する将来の環境水準と合致する大局的かつ中長期的な方策(目標など)を議論するとともに、それらの進捗を評価しています。環境委員会の委員長は、取締役会が選任したサステナビリティ部門を担当する執行役員が務めます。環境委員会で行われた議論の内容は、サステナビリティ委員会へ報告されます。また、必要に応じて、経営会議および取締役会へ付議・報告しています。気候変動に関する課題についても当環境管理体制に組み込み、特に重要な案件については取締役会の審議を経て意思決定しています。
なお、商品および工場・オフィスに「素材部品」、「輸送」、「廃棄」を加えたバリューチェーン全体の脱炭素社会に向けた取り組みは、各領域でのCO2削減を目的とした会議体にて管理され、最終的には環境委員会にて全体統括されています。
(2)戦略
当社グループでは、電動化に向けて先行きを見通すことが難しい段階のなか、規制やマーケットの動向を注視しながら、その変化に「柔軟」に対応し、ある程度方向性が見えてきた断面では一気に「拡張」していくという「柔軟性と拡張性」の観点が極めて重要との認識を持ち、各種取り組みを推進しています。中長期的な視点では、カーボンニュートラル実現に向けた手段として、いずれはBEVが主軸になっていくと見ていますが、足元のBEV移行初期においては、「開発」、「商品」、「生産」の各領域で取り巻く環境変化への「柔軟性」を確保します。具体的には、市場のニーズに対応したHEVの導入を進めていくとともにトヨタ自動車との共同開発によるBEVのラインアップ充実を図り、2028年末までに導入を見込むBEVはアライアンスの知見を活かした「自社での開発」を目指します。さらに、当社は、省エネルギーの施策をはじめ、カーボンニュートラル電力の自家発電や購入、および水素・アンモニアなどのカーボンニュートラル燃料の導入などの施策を講じ、2035年までのスコープ1、2排出量の削減施策を計画的に実行し、目標達成を目指します。
また、当社グループは、各国の燃費規制などの政策動向や国際エネルギー機関などが公表している各シナリオの情報をもとに、2050年カーボンニュートラル(=1.5℃シナリオ)を想定した独自のシナリオを含む様々なシナリオと、持続可能な事業活動に向けて認識されたリスクと機会を考慮し対応策を検討しています。例えば、市場において電動車の販売比率が大きく高まるシナリオ、市場での電動車の浸透が緩やかに進むシナリオ、気候変動への対応が進まず自然災害の激甚化が進展するシナリオなどを考慮し、電動化への移行や水災害に関する対応策の策定を進めています。
シナリオ別に認識しているリスクと機会を考慮した対応策の具体例
(3)リスク管理
当社グループでは、気候変動に関連する課題について、経営レベルで影響度の大きいリスクや機会を把握しています。「政策・規制」、「技術」、「市場」などの移行リスクに関しては、各専門部門が広く情報を収集し、将来予測から不確定な気候変動リスクの認識に努めています。これらの移行リスクは、執行会議にて提案・議論され、特に重要な案件については取締役会の審議を経て意思決定しています。また、気候変動の物理的なリスクに関わる浸水などの自然災害に伴う操業リスクに関しては、BCPの一環として、リスクマネジメント・コンプライアンス室が中心となり関連規程類の整備を進め、緊急時のSUBARUグループ全体にわたる情報を一元的に掌握するとともに、その対応を統括管理する体制を整えています。
気候変動に関するリスクと機会の詳細については、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク (16)気候変動」をご参照ください。
(4)指標および目標
当社グループは脱炭素社会に貢献するため、商品(スコープ3)および工場・オフィスなど(スコープ1および2)に関する長期目標(長期ビジョン)を2050年とし、それを補完する中期目標(マイルストーン)を掲げています。当社のバリューチェーン全体のCO2排出量は販売した商品の使用によるものが大部分を占めるため、自動車の電動化に向けた取り組みを着実に進めていくことが重要です。また、当社グループが直接排出するCO2(スコープ1および2)の削減に当社自らが率先して取り組むことはバリューチェーン全体での削減活動をより充実させていくものと考え、再生可能エネルギーの利用や高効率な設備への更新などに取り組んでいきます。
※8:「油井から車輪」の意味。EVなどが使用する電力の発電エネルギー源までさかのぼってCO2排出量を算出する考え方を指す。
※9: 2050年に世界で販売されるSUBARU車の燃費(届出値)から算出するCO2排出量を、同2010年比で90%以上削減。
総量ベース。
市場環境変化による販売台数の増減は加味するが、走行距離の多少は考慮しない。
※10:他社からOEM供給を受ける車種を除く。
※11:EV・ハイブリッドなど、電力利用を高める技術を指す。
商品に関する中期目標に対する2023年度実績については、全世界販売台数に対する割合として電動車で7.8%、電気自動車で1.5%でした。
2024年度には、高い燃費性能を持つ次世代e-BOXER ストロングハイブリッド車を導入しており、2026年には2車種目のBEVの導入を予定しています。また、国内生産体制の再編を進めており、2027年以降にはBEV専用ラインの追加を行うなど電動車の供給能力の強化に取り組んでいきます。
また、工場・オフィスに関する中期目標に対する2023年度実績は、スコープ1、2排出量はマーケット基準で471,854tであり2016年度比20.9%削減(ロケーション基準で545,917t)となりました。引き続き、SUBARUグループは2035年度の中期目標の達成向け、省エネルギー施策をはじめとして、カーボンニュートラル電力の自家発電や購入、水素・アンモニアなどのカーボンニュートラル燃料の導入などの施策を講じることで、スコープ1、2排出量の削減施策を計画的に実行していきます。
なお、これらの2024年度の実績は2025年発行の統合レポートおよび当社ウェブサイトにて開示予定です。
人的資本
当社グループは、事業活動を取り巻く環境が急激に変化するなか、SUBARUグループが競争力を高め持続的に成長していくためには、原動力となる人財が基盤であると捉え、人的資本経営に取り組んでいます。
(1)ガバナンス
当社は「真の競争力をもった人・組織」の実現を目指す人事戦略に基づき、各拠点の人事部門が連携し人財の確保や育成、組織風土の醸成、安心・安全な職場づくりなどをはじめとする各種の人的資本経営に関する取り組みを推進しています。
これらは、人事領域を管掌する執行役員のもとで管理、推進されるとともにその重要度に応じ、業務執行の審議を行う会議体である経営会議等に付議、報告されます。また、重要事項については個別に取締役会にも付議・報告されることで、取締役会による監督が適切に図られる体制となっています。
また、2025年4月より新たに、CHRO(Chief Human Resources Officer:最高人財責任者)を新設しました。CHROの管掌のもと、100年に一度の大変革期において持続的な企業競争力を創出しうる人財、組織づくりを加速させ、人的資本経営をより強力に推進していきます。
(2)戦略
当社グループは2023年8月に公表した「新体制の方針」で目指す世界最先端の「モノづくり」「価値づくり」は「真の競争力をもった人・組織」により実現されると認識し、その強化に取り組んでいます。当社では「真の競争力をもった人・組織」を以下4つの状態と捉えています。
・人財それぞれの異なる能力が最大発揮されている ・本質業務に注力し成果創出までのスピードが速い
・全体最適の意識を持ち組織の壁を容易に越えながら動ける ・挑戦・応援できる風土がある
当社ではこれらの実現に向け、「個の成長」と「組織の成長」そして最重要項目と位置付ける「つながりの強化」という3つの観点から各種施策を推進しています。
「個の成長」
人財育成については、自律的なキャリアプランの形成を職場や上司がサポートする仕組みをベースに、更にチャレンジを加速する施策として「公募型ジョブローテーション」や従業員が学びの機会を自ら探し出し会社から全面支援を受けることができる制度などを導入し推進しています。他にも全従業員が自身のレベルや目的に応じて選択できる多様な研修プログラムを整備し、個々に応じたキャリア開発が実現できうる仕組みづくりを進めています。
「組織の成長」
直接部門で全員参加の現場主権による現場力強化活動を、間接部門ではDX推進による業務の効率化・機械化の推進を基軸として生産性向上を図り、成長に繋げていきます。IT・AI活用の領域においては技術部門で構築済の「ソフトウエア人財育成プロジェクト」に加え、全てのSUBARU社員を対象とした「ITアカデミー」を設立しました。
「つながりの強化」
さらなる成長を目指す観点で最重要項目に位置付け注力していきます。経営として目指す姿と従業員一人ひとりの取り組みのつながりの深化、部署間の連携や協働の強化、全社のチャレンジを支援・応援できる仕組みづくり、従業員同士の接点増加などを通じて、個々のチャレンジをより大きな成果につなげるとともに、挑戦に向かう人財創出スピードを向上させていきます。つながり強化の一例として全役職者約4,000名を対象に「組織の壁を越え組織の力を強化する」手法を学ぶ大規模研修を進めています。
上記施策を実行することで、人財一人ひとりが能力を最大限に発揮しながら協働し、「ひとつのSUBARU」として持続的に最大限の成果を創出し続ける「真の競争力をもった人・組織」を実現させ、企業競争力を創出していきます。
<中核人財の登用等における多様性の確保についての考え方>
全グループ従業員の様々な個性や価値観、経験、経歴などにもとづき育まれてきた能力が十分に発揮されるとともに、その多様な個が一丸となることでイノベーションが創出されSUBARU独自の持続的な価値創造が実現すると考えています。性別、国籍、文化、ライフスタイルなどの多様性を尊重し、誰しもが持ち合わせる多様な個性を最大限発揮できる組織づくりや働きやすい職場環境の整備、そして公平な機会提供を進めていきます。また、国内・海外の関係会社においても、それぞれの事業内容や地域性を踏まえて取り組んでいます。
<人財育成方針と社内環境整備方針>
(女性活躍)
当社では、多様な人財の活躍に向けた取り組みにおいて、特に女性の活躍推進が重要課題であると考えます。「採用」、「制度」、「キャリア形成支援」、「風土醸成」の4つの柱を軸に取り組みを進め、女性が様々なライフイベントを通じて働き続け、活躍するための環境整備を行っています。また、多様なキャリア観に基づき女性一人ひとりが自分らしく活躍することを前提としつつ、女性活躍を促進するうえでの一つの指標として女性管理職数を掲げており、各種取り組みを進めています。
具体的には、多様な個の能力を最大限活かす組織を実現するうえでの重要課題の一つとして、2024年から経営トップを含む全役員層が参加する「女性活躍推進会議」を発足し、女性の能力をさらに活かし経営に好影響を与える人財育成を目指しています。このほか、管理職を目指す女性従業員を対象に一人ひとりに向き合い対象の女性従業員、上司、人事部門が連携し、本人に合った育成を個人単位で行う「Women's Leadership Program」を継続して推進しています。
また、働き方の面においても、従来から「仕事と育児の両立支援」を重要な取り組みとして位置付け、育児休業や短時間勤務などの各種制度は法律を上回る基準で運用しています。
(キャリア採用従業員)
当社では、環境変化に対応し持続的な成長を図るために、近年、キャリア採用を積極的に進めています。2025年3月末時点の正規従業員におけるキャリア採用従業員数は4,747名、うち管理職者数は240名です。なお、2018年4月以降7年間において、累計のキャリア採用数は906名です。
また、2020年12月にIT企業の集積地である東京都渋谷区に開設したAI開発拠点「SUBARU Lab(スバルラボ)」は、2025年2月に同地区に2拠点目を開設するとともに、その機能をソフトウエア全般の開発へと広げています。AI開発に必要となる人財のほか、CASE領域における幅広いソフトウエア開発人財に対する採用の拡大につなげる取り組みなどもより強化しています。
(外国籍従業員)
当社グループでは、国籍を問わず各拠点の方針や事業に適した人財を採用しています。2025年3月末時点で当社に在籍する外国籍従業員は129名在籍です。このうち管理職は4名おり、製造部門および技術部門で活躍しています。
引き続き、女性従業員、キャリア採用従業員、外国籍従業員など、あらゆる多様な人財が活き活きと働き活躍できるよう働きやすい職場環境整備、適所適在の人財配置や人財育成に努めていきます。
(3)リスク管理
「人的資本」については、当社が「真の競争力をもった人・組織」によって様々な機会を創出し、競争力を高めていくことを目指し人財の確保や育成、組織風土の醸成、安心・安全な職場づくりなどをはじめとする人的資本経営に関する取り組みを推進しています。
この一方で、自動車業界をはじめ人財の獲得競争が激化していることから、サプライチェーン全体で人財の確保ができないリスクに対し対応策を講じています。具体的には、2025年6月2日に製造業向けに特化した大手人財サービス企業である日総工産株式会社と株式会社ワールドインテックとともに人財サービス会社「株式会社SUBARU nw Sight」を設立し、2025年9月からお取引先様と当社への人財サービスなどの提供を開始する予定です。
このような取り組みを通じてお取引先様と一体となった「ひとつのSUBARU化」を進め、迅速かつ効率的な人財獲得・育成のための体制を構築し、モノづくりにおける競争力強化につなげていきます。
人的資本に関するリスクと機会の詳細については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (14)人権尊重、(15)人財の確保と育成」をご参照ください。
(4)指標および目標
・従業員エンゲージメント指数(SUBARU単体) 2028年:70%
当社では2017年度から毎年、従業員意識調査を実施しており、調査結果は人事施策や組織風土改革の推進、各職場の課題抽出および対策立案などに活用されています。また同調査により算出される従業員エンゲージメントは自社の取り組みを評価する重要な経営指標の一つと位置づけており、2022年度からは従業員エンゲージメント指数の改善ポイントを役員報酬の定性(非財務)評価としても採用しています。
・女性管理職者数(SUBARU単体) 2030年:100人
・障がい者雇用率(SUBARU・SLS・SBC:三社合算) 2030年:3.0%
当社はサステナビリティ重点6領域で定める「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」および「中核人財の登用等における多様性の確保についての考え方」が、イノベーションを創出するうえで重要であると考えています。多様な個が能力を発揮し、互いを尊重しながら協働できる組織づくりに向けて、「女性管理職数」「障がい者雇用率」の目標を掲げています。
なお、2024年度の従業員エンゲージメント指数は51%となりました。引き続き「真の競争力をもった人・組織」の実現に向けた各種取り組みを強化していきます。2025年3月末時点の女性管理職者数については、全体1,122名のうち女性は42名(3.7%)、また、2025年4月時点では管理職への新規登用等により全体1,168名のうち女性は52名(4.5%)となり「2025年までに女性管理職数を2021年時点の2倍(48名)以上」という目標を達成しました。引き続き、女性活躍推進を持続的な企業成長の重要テーマと位置づけ、「女性管理職数を2030年までに100名以上」とする目標を新たに定め、全社で取り組みを進めていきます。2024年6月時点の障がい者雇用率については、2.59%(障がい者雇用 354人)となりました。今後も、当社グループ全体で障がいのある従業員が働くことを通じて輝くことができる環境を目指し、働きやすい職場づくりに取り組んでいきます。