リスク
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 市場及び事業環境に関するリスクについて
① 景気変動及び金融市場の動向について
当社グループの主力事業である金融商品仲介業や保険募集業務は、景気動向や株式相場、金利水準、為替相場等の金融市場の影響を受けやすく、景気の減速や市場環境が悪化した場合、投資意欲の減退や取引の縮小により、当社グループの収益が減少し、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、所属するIFAに対して、顧客の資産形成のゴールを意識したゴールベースアプローチといった長期分散投資を推奨し、生涯にわたり顧客に寄り添う姿勢でアドバイスを続けるよう指導することで、顧客資産に関する短期的な景気変動や金融市場の影響を軽減するよう努めており、それにより市場環境の悪化が顧客満足度の低下につながらないよう取り組んでおります。
しかし、このような対策が十分機能しない場合には、金融商品仲介業に係る売上が減少し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 税制改正及び政策変更について
IFAによる金融サービス提供事業を行う当社グループは、税制改正による金融商品への課税強化や金融政策の大きな変更が生じた場合、既存顧客の投資意向の変化、新規資金導入への影響、IFAの活動意欲等に影響を与えることが考えられ、金融商品仲介業に係る売上の減少により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 金融商品の売買手数料の無料化について
情報通信技術の発達や個人投資家のリテラシーの向上により、証券業界の提供する売買仲介や資産運用など旧来のサービス価値のコモディティー化が進み、大手オンライン証券会社を筆頭に手数料の多様化・無料化が進む傾向にあります。その中にあって、注目されているのは、顧客の人生設計や目標を理解し、その実現に向け資産運用計画の進捗状況をサポートする生涯にわたる継続的な資産運用アドバイス、投資を顧客ゴールの中長期達成のための手段と位置づける「ゴールベース」のアプローチです。
転勤がなく顧客と一生涯付き合うことができるIFAは、こうした資産運用アドバイスの担い手となることができ、その手数料はIFAの提供するサービス価値が反映されたものであると当社は考えています。今後、手数料の多様化・無料化が進展した場合でも、IFAが顧客に提供する資産運用アドバイスの価値を高めていくことが当社の競争力強化につながります。そのため、当社ではIFAに対してゴールベースアプローチの手法を始めとして、IFA活動の質的な向上を図ることを重要な成功要因として捉え、そのための取り組みを進めております。
しかし、金融商品取引業者において株式売買手数料及び投資信託販売手数料の多様化・無料化の流れが急激に進み、所属IFAが顧客満足を得られない場合は、当該IFAの減収や廃業の可能性が高まり、金融商品仲介業に係る売上やシステム使用料売上が減少し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業内容及び当社グループのサービスに関するリスクについて
① 特定事業への依存について
当社グループはIFAにビジネスプラットフォームを提供することで金融商品仲介業を遂行しており、今後も当該事業を主軸とした事業展開に注力していく方針であることから、当社グループの事業成長は当該事業に依存しているものと認識しております。当社グループは、金融商品仲介業者の登録外務数の推移より、今後も継続した市場拡大を想定しておりますが、当該事業環境の変化やサービスの競争力低下が生じた場合、金融商品仲介業に係る売上やシステム使用料売上が減少し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループではこれらのリスクに対応するため、IFA向けプラットフォームの付加価値向上を図るのはもちろんのこと、金融商品仲介業と関連のあるサービス提供者や専門家との協力や業務提携を拡充してまいります。
② IFA数について
所属IFA数の増加は、連結売上高の増加につながるものであり、重要な経営指標の一つです。当社はIFAの働き方に合わせ契約形態を多様化し、所属IFA数の増加を図っております。
また、研修機会や営業ツールの提供など、所属IFAへの業務支援・成功支援を拡充し、IFAの満足度を高めております。
しかし、IFAのミスマッチによる解約の発生、競合他社とのIFA争奪が過熱する事態の発生、又は、当社グループに対する批判的な風評の発生等によりIFA数が伸び悩む可能性も否定できません。その場合には、金融商品仲介業に係る売上やシステム使用料売上が減少し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 特定取引先への依存について
当社は、金融商品取引業者のうち、楽天証券株式会社、株式会社SBI証券、あかつき証券株式会社、東海東京証券株式会社、野村アセットマネジメント株式会社を所属金融商品取引業者として金融商品仲介業務を行っております。2024年3月期の連結売上高に占める比率は楽天証券株式会社が全体の54.8%、株式会社SBI証券が同24.2%と、2社の比率が高くなっております。どの証券会社に口座を開設し取引を行うかの金融商品取引業者の選択は顧客に委ねられており、特定の取引先の比率が高まった場合、取引先の経営環境、取引方針及び契約内容の変更によっては、金融商品仲介業に係る売上が変動し、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループではこれらのリスクに対応するため、所属金融商品取引業者等取引先を増加する等の対応を進めております。
④ 競合について
現状、銀行・証券・保険の各業態における仲介業はそれぞれの業法で縦割りに規制されており、各業態のサービスを取り扱うためには複数の業登録を行う必要がありますが、金融サービス仲介業の創設により、金融商品仲介業への参入障壁は低くなることが見込まれます。
競合企業の参入や拡大は金融商品仲介業並びにIFAの認知度向上に伴う市場規模の拡大であり、当社事業にとっても一定のメリットがあるものと考えております。当社グループは、IFAが顧客の「最善の利益」のためだけに自らの専門性を発揮できるよう、独立性の担保はもちろんのこと、顧客へのアドバイス業務に専念でき、また、IFAとして向上できる環境を提供するプラットフォーマーとして、当社プラットフォームに対するIFAの高い満足度の維持・向上に努めており、競合他社との更なる差別化を図っていく方針であります。
しかし、当社グループにおいてIFA満足度の維持向上及び競合他社との差別化が困難となり競争力が低下した場合には、IFA数が計画どおりに増加せず、金融商品仲介業に係る売上やシステム使用料売上が減少し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 事業運営に関するリスクについて
① 特定人物への依存について
当社グループは、事業運営を当社代表取締役社長である田中譲治あるいは少人数の経営陣に依存する度合いが高くなっております。従って、これら経営陣が経営者としての任務を継続的に遂行することが、当社グループの発展を支える重要な要因でもあります。特に代表取締役社長である田中譲治は、当社グループの主力事業である金融商品仲介業の伸長に深く関与しております。
また、自身のIFA経験を通して事業に関する豊富な知識と経験と人脈を有しており、特にIFA候補者の開拓、経営戦略の構築やその実行に際して重要な役割を担っております。
当社グループは特定の人物に依存しない体制を構築すべく組織体制の強化を図り、田中譲治及び特定かつ少数の経営陣に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、現段階において何らかの理由により田中譲治あるいは経営陣の一部において当社グループにおける業務遂行が困難になった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 組織が少人数編成であることについて
当社グループの継続的な成長には、当社グループの理念に共感し高い意欲を持った優秀な人材を雇用し、育成し続けることが重要であると考えております。また、当社グループは業務遂行上、必要最低限の人数での組織編成となっております。今後は事業の拡大に応じて経験豊かな人材の確保及び当社グループ内での育成を行うとともに業務遂行体制の充実を図っていく方針であります。
しかし、当社グループの求める人材の確保に支障が生じた場合、従業員の予期せぬ退職等があった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 情報システム・通信手段のリスクについて
IFA及び役社員は業務を遂行するにあたり、当社グループの提供するコンピュータシステム及び電話等の通信手段を使用しております。当社グループでは、情報システム利用環境についての監視を行うとともに、サーバーデータの定期的バックアップや稼働状況の監視、バックアップサーバーの遠隔地設置、システムのクラウド化等によりトラブルの事前防止、トラブル発生時の次善策対応を進めております。
しかし、停電等社会的インフラの障害、通信・放送の障害、サイバーテロ等により事業継続に支障をきたす事象が発生し、情報システム・通信手段に重大な被害又は長時間のシステム停止等の影響が生じる場合には、業務を適切に遂行できなくなる可能性があります。その場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 法的規制及びコンプライアンスに関するリスクについて
① 法的規制等について
当社グループは、金融商品取引法及び関連法令等の規制を受けるとともに、主要な事業活動の前提となる金融商品仲介業の登録を受けております。この登録に特段の期限の定めはないものの、登録を受けた会社が、法令等に違反した場合等には、業務の全部もしくは一部を停止、あるいは登録の取消となることがあると金融商品取引法により定められております。
金融商品仲介業の登録の取消等の要件は以下のとおりです。
・他に行っている事業が公益に反すると認められるとき
・金融商品仲介業を適格に遂行することができる知識及び経験を有しないと認められるとき
・不正の手段により金融商品仲介業の登録を受けたとき
・金融商品仲介業に関し法令又は法令に基づいて行われる行政官庁の処分に違反したとき
・役員の解任要件
a 心身故障のため適正な業務を行うことができないとき
b 破産手続き開始の決定を受けて復権できないとき
c 金融商品仲介業に関し法令又は法令に基づいて行われる行政官庁の処分に違反したとき
金融商品仲介業の登録の失効要件は以下のとおりです。
・金融商品仲介業を廃止したとき
・金融商品仲介業者である法人が合併により消滅したとき
・金融商品仲介業者である法人について破産手続開始の決定があったとき
・金融商品仲介業者である法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散したとき
・所属金融商品取引業者等がなくなったとき
・第一種金融商品取引業者の登録を受けたとき
また、当社グループは、保険業法及び関連法令等の規制を受け、損害保険代理店の登録並びに生命保険募集人の登録を受けております。この登録に特段の期限の定めはないものの、登録を受けた会社が、法令等に違反した場合等には、業務の全部もしくは一部を停止、あるいは免許の取消となることがあると保険業法により定められております。
当社グループでは、内部管理体制の強化とコンプライアンス体制の整備に努めており、現在を含め過去においても、登録の取消や更新拒否の事由となる事実は発生しておりません。しかしながら、将来においてこれら法令に違反する事実が発生し、登録の取消や行政処分が発せられた場合には、当社グループの事業活動や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、関連法令の改正や制定に伴い当社グループの事業活動が制約を受ける場合や当社グループが十分に対応できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 金融商品仲介業に係る新たな法的規制・行政指導について
金融商品取引法、金融商品の販売等に関する法律、犯罪による収益の移転防止に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法、個人情報の保護に関する法律、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、その他の法令・規則等の改定等により、当社グループが行っている業務に対し、新たな法的規制や行政指導が導入された場合には、当社ビジネスモデル、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、現在、当社とIFAは業務委任契約の関係(一部IFAとは雇用契約の関係)にあり、IFAは個人事業主として活動しております。しかし、法令の改定等により登録外務員の雇用義務化が定められた場合やIFAが独立した個人事業主ではなく「労働者」と認定された場合は、現在の契約形態でのビジネスの継続が困難となる可能性があり、IFAとの契約形態の変更は当社ビジネスモデルの根幹に関わる変更となるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ コンプライアンス違反について
当社は金融商品取引法、金融商品の販売等に関する法律、その他の法令規則等に服しており、内部管理責任者の増強や内部管理体制の拡充に努めております。IFAとの業務委任契約締結にあたり、契約後のIFAは所属金融商品取引業者や当社独自のコンプライアンス研修や確認テストの定期的受講が必須となっております。
当社は常時IFAの活動についてのモニタリングを実施し、コンプライアンス違反防止に取り組んでおります。当社とIFAの業務委任契約は1年間の有期契約であり、契約更新に際してはコンプライアンス意識、法令・諸規則の遵守状況等を勘案し、更新の是非を判断しております。
また、当社グループは法令・規則等を遵守するよう役社員に対して、定期的な社員研修等により、コンプライアンスや社内外のルール順守の徹底を図っております。
しかし、IFAや役社員に対するこれらの教育・指導やモニタリング等が十分に機能せず、あるいはこうした教育・指導を無視したことによりコンプライアンス違反事例が発生した場合には、当社の信用の低下につながる可能性や当社が損害賠償責任を負う可能性があることから、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 情報セキュリティについて
当社グループは、事業を推進していく中で、顧客の機密情報や個人情報を扱う機会があります。当社グループではこれらの個人情報を取り扱う際の個人情報管理基本規程を制定するとともに、手続きや管理方法についてのルールを定めIFAに対する指導や社内教育を徹底する等、個人情報の保護に積極的に取り組んでおります。
しかし、外部からの不正アクセスによるものや社内ルールの不徹底など人為的ミス等によりこれらの個人情報が漏洩した場合には、当社グループの社会的信用の失墜等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 訴訟等について
当連結会計年度末において、重要な訴訟等は発生しておりません。
しかしながら、当社グループが事業活動を行う中で、顧客、取引先又はその他第三者との間で予期せぬトラブルが発生し、損害賠償請求等の訴訟その他の法的手続きが行われる可能性があります。その訴訟等の内容や損害賠償の金額によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) その他のリスクについて
① 災害・事故等に関わるリスク
当社グループでは、自然災害、火災、感染症の流行等によって通常の業務運営が困難となった場合に備え、事業継続計画を策定し、関連マニュアルの整備、役社員の安否確認連絡体制を構築し定期的な訓練等を実施しております。
しかし、自然災害、火災、電力その他の社会的インフラの障害、通信・放送の障害、流通の混乱、大規模な事故、新型コロナウイルス等の感染症流行、戦争、テロ、政情不安、社会不安等が発生した場合、事業継続に支障をきたす事象が発生して、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 配当政策について
当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題として認識しており、前7事業年度にわたり、配当を実施しております。しかしながら、当社グループは、いまだ成長過程にあると考えており、中長期的に企業価値を高めるとともに、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保の確保も重要な課題の一つであります。
当社は、事業環境や業績、財務状況等を総合的に勘案した上で、継続的かつ安定的な配当を実施することを基本方針としておりますが、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績によっては、配当を実施できない可能性があります。
③ 株式価値の希薄化について
当社は、当社グループの役社員に対して、新株予約権を付与しております。これら新株予約権が行使された場合には、当社の株式が発行され、既存株主が有する株式価値が希薄化する可能性があります。なお、当連結会計年度末現在におけるストック・オプションによる潜在株式数は140,800株であり、発行済株式総数3,463,700株の4.1%に相当しております。
また、当社は、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブを与えるとともに、株主との一層の価値共有を進めることを目的として、当社取締役(監査等委員を含み、社外取締役を除く。)及び執行役員並びに従業員(執行役員を除く。)に対して、譲渡制限付株式報酬制度を導入しており、今後も継続的な活用を検討していく方針です。これにより、株式の発行又は処分が行われた場合には、既存株主が有する株式価値が希薄化する可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして位置付け、中長期的に企業価値を高めるとともに、将来の事業展開と経営体質強化のために必要な内部留保を確保しつつ、事業環境や業績、財務状況等を総合的に勘案した上で、継続的かつ安定的な配当を実施することを基本方針としております。
当社は、期末配当金として年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議によって剰余金の配当等を行うことができる旨を定款に定めております。
当事業年度の剰余金の配当につきましては、上記方針に基づき、1株あたり4円の配当を実施することを2024年5月15日開催の取締役会において決議いたしました。
なお、当社は、期末配当の基準日は毎年3月31日、中間配当の基準日は毎年9月30日とし、このほか基準日を定めて剰余金の配当をすることができる旨を定款に定めております。
また、内部留保資金につきましては、企業体質の強化に向けて財務体質の強化を図りながら、今後の成長に資する人員の採用やシステムへの投資、IFAビジネスプラットフォームの増強等に有効活用し、当社の競争力及び収益力の向上を図ってまいります。
基準日が第19期事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。