2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。

 なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営統合に関するリスク

 当社は、株式会社愛知銀行と株式会社中京銀行の共同株式移転により設立されました。当社グループは、経営統合によりマーケットシェアの拡大やリソースの追加投入が可能となることを活かし、安定した営業基盤の拡充や収益力の向上により経営環境の変化に対応するとともに、将来にわたり持続可能なビジネスモデルを構築することで、当金融グループの企業価値を高め、ステークホルダーの期待に応えることを目指しておりますが、当初期待した統合効果を十分に発揮できないことにより、結果として当社グループの業績及び財務状況に重大な悪影響を及ぼすおそれがあります。統合効果の十分な発揮を妨げる要因として以下が考えられますが、これらに限定されるものではありません。

・サービス・商品開発の遅れ、お客さまとの関係悪化、対外的信用の低下、効果的な人員・営業拠点配置の遅延等、様々な要因により収益面における統合効果が実現できない可能性。

・当社グループの経営統合に伴うサービス、商品、業務及び情報システムの見直し・統一化、並びに営業拠点・従業員の再配置等により想定外の追加費用が発生する可能性。

 

(2)持株会社のリスク

 当社は銀行持株会社であり、その収入の大部分は当社が直接保有している銀行子会社から受領する配当等に依存しております。一定の状況下で、銀行法及びその他法令上の規制又は契約上の制限等により当社の銀行子会社等が当社に支払うことができる配当の金額が制限される可能性があります。また、銀行子会社等が十分な利益を計上することができず、当社に対して配当等が支払えない状況が生じた場合は、当社株主へ配当を支払えなくなる可能性があります。

 

(3)信用リスク

①不良債権に関するリスク

 当社グループは、不良債権縮減のため経営改善支援に注力しております。しかしながら、景気の動向、不動産価格の下落、当社グループの融資先の経営状況の変動等によっては、当社グループの不良債権及び与信関係費用は増加するおそれがあり、その結果、当社グループの業績に影響を及ぼすとともに、財務状況を弱め、自己資本の減少につながる可能性があります。

 

②貸倒引当金に関するリスク

 当社グループは、貸出先の状況に応じて、担保の価値及び貸倒実績率等に基づき貸倒引当金を計上しておりますが、今後の景気の動向や貸出先の経営状況の変動及び担保価値の下落等、具体的には、想定以上の原材料価格の上昇及び人手不足による受注機会の喪失により、実際の貸倒が見積りを上回り、貸出金償却の発生や貸倒引当金の積み増しが必要となり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

③特定の取引先や特定の業種への与信の集中リスク

 当社グループは、特定の取引先や特定の業種への与信の偏りを排除すべく、ポートフォリオ管理を行い、与信の分散に努めていますが、特定の取引先や特定の業種に信用力の悪化が生じた場合、与信費用が増加し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

④有価証券の信用リスク

 当社グループは、信用リスクを有する有価証券を保有していますが、これらが内包する信用リスクの上昇により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)市場リスク

①株価下落に伴うリスク

 当社グループは、市場性のある株式を保有しております。今後、大幅に株価が下落した場合、保有株式に減損等が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

②金利上昇に伴うリスク

 当社グループは、市場性のある債券に加え貸出等の資金運用及び預金等の資金調達を行っておりますが、これら資産と負債の金利又は期間のミスマッチングが存在している中で金利が変動することにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)流動性リスク

 金融システムが不安定になるなど市場環境全体が悪化した場合や、当社グループの信用状況が悪化した場合には、通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)オペレーショナルリスク

①事務リスク

 役職員の故意又は過失等により大きな賠償に繋がる事務事故、事務ミスが発生した場合、損失を被る可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

②システムリスク

 当社グループは、コンピュータシステムの障害発生防止やセキュリティ向上に努めておりますが、システム障害の発生、不正アクセス及びサイバー攻撃等を受けた場合、障害の規模によっては、当社グループの業務遂行、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

③人的リスク

 当社グループは、労働関連法令に基づき適切な労務管理に努めておりますが、想定外の職員の流出に伴う人財不足や職員のモラル低下等により就業環境が悪化した場合、当社グループの業務遂行、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また当社グループの安定した成長には、専門性の高い人財の確保や育成が必要ですが、十分な人財の育成や確保が進まない場合には、業務遂行、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

④有形資産リスク

 当社グループが事業活動を行う上で所有及び賃貸中の土地、建物、車両等の有形資産について、自然災害、犯罪行為、資産管理上の瑕疵等の結果、毀損、焼失、あるいは劣化することにより業務の運営に支障をきたし、当社グループの業務遂行、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤法務リスク

 当社グループは、各種法令・規則等に従って業務を遂行しておりますが、法令等の遵守状況が不十分であった場合や、それに起因する訴訟等が提起された場合、その内容によっては行政処分を受けたり、当社グループの評価が低下し、当社グループの業務遂行、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥風評リスク

 当社グループに対して否定的、悪質な風評・風説が流布された場合、その内容の正確性に関わらず、当社グループの信用が低下し、当社グループの業務遂行、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)自己資本比率に関するリスク

 自己資本比率は、「銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適切であるかどうか判断するための基準(2006年金融庁告示第20号)」に基づき算出しております。なお、当社グループは、海外営業拠点を有していないことから国内基準を採用しており、現行では自己資本比率を4%以上に維持することが求められています。

 各種リスクの発生により自己資本比率が大幅に低下した場合、当社グループの信頼が低下し、当社グループの業務遂行や資金調達等に影響を及ぼす可能性があります。また、自己資本比率が4%を下回った場合は、業務の全部又は一部の停止等を含む様々な命令を受けることとなります。当社グループの自己資本比率に影響を及ぼす主な要因として以下のものがあります。

・債務者の信用力悪化及び不良債権の処分に伴う与信関係費用の増加

・貸出金等リスクアセットポートフォリオの変動

・保有有価証券の時価下落に伴う減損処理の発生

・自己資本比率の基準及び算定方法の変更

・その他不利益な事象の発生

 

(8)退職給付債務に関するリスク

 年金資産の運用利回りが低下した場合や予定給付債務計算の前提となる保険数理上の前提・仮定に変更があった場合などには、退職給付費用が増加することにより当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)固定資産の減損に関するリスク

 当社グループは、固定資産の減損会計を行っておりますが、今後の経済環境の変動等によっては、新たな減損が発生する可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)マネー・ローンダリング及びテロ資金供与・拡散金融に係るリスク

 当社グループは、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与・拡散金融対策を経営戦略における重要な課題の一つとして位置づけ、組織として適時適切に対応できる態勢を構築しています。顧客受入時、受入後の各取引段階において、リスクに応じた顧客管理措置を講じており、疑わしい取引等を的確に検知・監視・分析するとともに、検知した場合には適切に対処することとしておりますが、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与・拡散金融対策が有効に機能せず、法令・規則の違反等が発生した場合には、業務停止、制裁金等の行政処分、当社グループの評価が低下し、当社グループの業務遂行、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)金融犯罪に係るリスク

 当社グループは、キャッシュカードの偽造・盗難や特殊詐欺、インターネットバンキングを標的とした預金の不正払い出し等に対して被害の発生を未然に防ぐため、顧客保護の取組及びセキュリティ強化に努めておりますが、金融犯罪の高度化・多様化により、被害を受けたお客さまへの補償、その金融犯罪防止対策に係る費用の増加等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)情報漏洩に係るリスク

 当社グループは、多数の法人・個人の顧客情報を保有しています。それらの情報は各種法令・規制等に基づき万全を尽くして管理していますが、不適切な管理、外部からのサイバー攻撃その他の不正アクセス等により、重要な情報が外部に漏洩した場合には、損害賠償、行政処分等により、当社グループの業務遂行、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)競争激化リスク

 当社グループが主要な営業基盤とする愛知県において、地域金融機関、メガバンク、ノンバンク等との間で競争関係にあります。他の金融機関が今後さらに積極的な営業展開を進めることにより、あるいは他の業態が当社グループの事業分野に新たに参入することにより、当社グループが競争優位を得られない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)災害リスク

 大地震や風水害等の自然災害により、当社グループの業務の全部又は一部が停止又は遅延するリスクのほか、当社グループの損害や取引先の被災による業績悪化等が、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)規制・制度の変更等に関するリスク

 当社グループは、現時点における銀行法等の各種規制・制度(法律、規則、政策、実務慣行、解釈等を含む)に基づいて業務を遂行しております。将来において、銀行法等の各種規制・制度が変更された場合、当社グループの業務遂行、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)気候変動に関するリスク

 気候変動に伴う自然災害や異常気象等の影響によって取引先や当社グループの事業の停滞と当社グループが保有する担保価値が毀損した場合(物理的リスク)や、脱炭素社会への移行に伴う政策や法規制への対応等(移行リスク)により取引先の経営状態が悪化した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの気候変動に関するリスクへの対応や開示が不十分であるとみなされた場合には、企業価値に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)格付に関するリスク

 当社は、格付機関である㈱日本格付研究所(JCR)より「A」の格付を取得しております。今後、当社グループの収益力・資産内容の悪化により格付が引き下げられた場合、当社グループの資金調達等において影響を及ぼす可能性があります。

 

 

配当政策

3【配当政策】

 収益基盤の強化に向けた内部留保を確保しつつ株主に対する還元を通して資本効率の向上を図るため、1株につき100円の年間配当を下限とし、自己株式取得についても柔軟に実施していくことを基本方針といたします。具体的には、配当金と自己株式取得合計の総還元性向30%を目処といたします。

 また、毎事業年度における配当の回数についての基本的な方針は、中間期及び期末において、年度2回の配当を確実に実施することとし、これらの配当の決定機関は、中間配当金については取締役会、期末配当金については株主総会としております。

 なお、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当をすることができる旨を定款に定めております。

 当事業年度の配当につきましては、期末配当金を普通配当として1株当たり50円といたしました。なお、年間配当金につきましては、1株当たり100円となります。

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当額(円)

2023年11月13日

取締役会決議

2,449

50

2024年6月21日

定時株主総会決議

2,449

50