人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数4,388名(単体) 19,444名(連結)
-
平均年齢42.5歳(単体)
-
平均勤続年数14.5年(単体)
-
平均年収8,639,269円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2024年3月31日現在
(注) 従業員数は就業人員です。
(2) 提出会社の状況
2024年3月31日現在
(注) 1 従業員数は、就業人員です。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。
(3) 労働組合の状況
当社の労働組合は、当社の従業員(他社への出向者を含む。)をもって構成するニコン労働組合があり、JAMに加盟しています。2024年3月31日現在の組合員数は、4,110人です。
なお、労使関係は安定しており特記すべき事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
提出会社及び主要な連結子会社の状況は以下のとおりです。
(注)1 連結子会社は、常用雇用者数が301名以上となる連結子会社を対象に記載しています。
2 管理職に占める女性労働者の割合は2024年3月31日時点を基準日として、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異は当事業年度を対象期間として、それぞれ算出しています。
3 男性労働者の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。過年度に出産した従業員又は配偶者が出産した従業員が、当事業年度に育児休業等を取得することがあるため、取得率が100%を超えることがあります。
4 労働者の男女の賃金の差異は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。当社グループでは、年齢や性別などに関わらず、パフォーマンスを重視した公正な評価・処遇を行い、従業員一人ひとりの職務・役割の遂行や成果の創出を促進しています。賃金差異の主な要因は、等級別人数構成の差や、育児休業及び時短勤務等の利用によって給与が減額しているもののうち女性の比率が高いことが挙げられます。
5 提出会社の女性活躍推進に係る指標や取り組みについては、「第2[事業の状況] 2[サステナビリティに関する考え方及び取組](6)人材の育成及び社内環境整備に関する方針、これに関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績」に記載しています。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 当社グループが目指すサステナビリティ
当社グループでは、企業理念である「信頼と創造」を事業活動の中で具現化することで、持続可能な社会に貢献しつつ自社の持続的成長を図ることが、サステナビリティと考えています。この考えを主文とし、それを支える4つの意志を「サステナビリティ方針」として取締役会で決定しています。
この方針のもと、当社グループでは、社会的責任に対する会社の基本姿勢と、それに基づき従業員がとるべき行動の規準を定めた「ニコン行動規範」を定めています。
(2) 戦略
当社グループでは、サステナビリティ方針を実行していくために、中期経営計画や年度計画の策定と併せてサステナビリティに関する計画を立案しています。現行の中期経営計画(2022~2025年度)においても、事業を支える経営基盤の一つにサステナビリティ戦略を位置づけ、事業戦略と一体のものとして立案しています。
サステナビリティ戦略では、企業理念である「信頼と創造」に基づき、当社グループのマテリアリティ(重点課題)を、ステークホルダーや社会からの「信頼」を得るために必要なことと、事業による社会的価値の「創造」に関することの両面から捉えています。その上で、中期経営計画で掲げる「2030年のありたい姿」を実現するために必要なマテリアリティごとのありたい姿と、それらのリスクと機会の双方に適切に対応するための戦略、指標・目標を定めています。
なお、当社グループのマテリアリティは、下記のようなステップに基づき、経営ビジョンや事業のバリューチェーンとの関連性が高いサステナビリティの課題を抽出して、それらの影響度を評価しています。その上で、候補としたものをサステナビリティ委員会で審議して、経営委員会で決定しています。また、社会や事業環境の変化に合わせて1~3年に一度見直しています。現行の中期経営計画を策定した際には、ステークホルダーの観点を重視して従業員の意見を広く集めるとともに、社外有識者と経営層がディスカッションした結果を踏まえてマテリアリティの一部を変更しました。
<マテリアリティ選定プロセス>
▼
▼
▼
<マテリアリティごとのリスクと機会、ありたい姿と戦略>
(3) ガバナンス
サステナビリティ方針をグループ全体に展開し、サステナビリティ戦略を着実に進めていくために、当社グループでは、代表取締役 兼 社長執行役員を委員長とした、「サステナビリティ委員会」を設置しています。委員には、経営委員会メンバー、全事業部長、全本部長を任命しており、関係部門の部長と監査等委員がオブザーバーとして参加しています。
本委員会では、マテリアリティの見直しをはじめ、それらの課題に対する戦略や目標の設定、各施策の進捗管理、実績の評価及び改善の指示など、サステナビリティに関する活動全般の審議や管理を実施するほか、マテリアリティを中心としたサステナビリティに関するリスクと機会のモニタリングも行っています。また、本委員会の傘下には、「環境部会」と「サプライチェーン部会」を設置しており、それぞれの分野における具体的な取り組みを検討し、本委員会に報告、上申しています。
本委員会は、原則として年2回開催とし、2023年度は温室効果ガス/再生可能エネルギー目標見直しなどに関する臨時開催を含め、計3回開催しました。本委員会において専門家による講演や意見交換も行うことで、各委員がグローバルな社会課題やその動向についての知見を深めています。
本委員会での審議内容は、取締役会に少なくとも年1回報告し、取締役会は委員会の活動の妥当性、リスクや機会について監督しています。
これらサステナビリティに関する取り組みやその目標達成に対する経営の責任を明確にするため、当社の役員報酬制度にサステナビリティ戦略や人的資本経営への取り組みが連動する仕組みを取り入れています。役員報酬の詳細は「第4[提出会社の状況]4[コーポレート・ガバナンスの状況等](4)[役員の報酬等]」に記載のとおりです。
さらに、各事業部や本部においても、年度計画の中で、サステナビリティと事業双方の自部門の目標を一体として立案しています。このうちサステナビリティに関する目標は、サステナビリティ委員会で、妥当性の審議や進捗状況の管理を行うとともに、目標管理制度によって、各部門、各従業員にも展開しています。これにより、サステナビリティがグループ全体に浸透し、目標達成に向けて取り組みが推進される仕組みとしています。
なお、サステナビリティに関するリスクと機会を適切に把握、特定していくため、また、それに対する戦略や指標・目標、実績など、サステナビリティへの取り組み全般にわたって客観的に評価し、継続的に改善していくため、ステークホルダー・エンゲージメントが重要と考えています。そこで、お客様、株主、従業員、事業パートナー、社会など、ニコングループのステークホルダーに対し、IR、顧客とのミーティング、地域社会やNGOとの対話、従業員アンケートなど、さまざまな機会や手法により、積極的にコミュニケーションを図っています。
<サステナビリティ推進体制図(2024年3月31日時点)>
<2023年度のサステナビリティ委員会の主な議題>
(4) リスク管理
サステナビリティリスクは、専門的な対応が継続して必要なものとして、サステナビリティ委員会においてリスクの把握、評価、及び対応を審議しています。具体的には、ESGに関する外部調査やその結果の分析、業界団体などからの情報収集、ステークホルダーとのダイアログ、RBA行動規範のセルフチェックやグループ内サステナビリティ調査、調達パートナーへのCSR調査・監査などを通じて、マテリアリティを中心としたリスクと機会の把握に努めています。把握したリスクと機会は、サステナビリティ委員会とその傘下部会の事務局、及び関係する部門が適時共有、評価しています。中でも重要なリスクと機会については、サステナビリティ担当役員と協議のうえ、サステナビリティ委員会又はその傘下部会の議題とし、対応を審議しています。また、サステナビリティ全般に係るリスクと機会については、マテリアリティを見直すプロセスの中で把握、評価し、マテリアリティの選定時に活かしています。
また、当社グループのリスク全般を管轄する「リスク管理委員会」と、サステナビリティのリスク管理に関する連絡会を設置しています。連絡会では、定期的に情報を共有し、両委員会で対応すべき案件や事案の洗い出しなど、必要に応じた対応を連携して行っています。その上で、リスク管理委員会において、経営に重大な影響を及ぼすリスク全体に対する対応を適切に管理しています。リスク管理委員会の詳細は「3[事業等のリスク]」に記載のとおりです。
(5) 指標及び目標
当社グループで定める各マテリアリティについて、指標・目標、当事業年度における実績は以下のとおりです。今後も社会の動向や会社の事業活動の変化などを踏まえ、ステークホルダーと対話しながらサステナビリティに関するマテリアリティや戦略、それに対する指標・目標を見直していきます。
<マテリアリティに関する指標及び目標と2023年度実績>
*1 目標の基準年を2024年度より2022年度比に変更。このため、2023年度の計画及び実績は2013年度比
*2 Life Cycle Assessmentの略称。ライフサイクル全体の環境負荷を評価する手法
*3 EU で2007年に発効した化学物質規制。REACHは、Registration(登録)、Evaluation(評価)、Authorisation(認可)and Restriction(制限)of Chemicals(化学物質)の頭文字による略称。化学物質を製造・輸入する企業は安全性や用途に関する情報を登録することを義務付けられている
*4 適切に管理された森林の木材を使って作られたことが保証されている紙
*5 調査や監査により是正が必要な場合は改善完了まで実施
*6 BCP体制構築に必要とされるサプライチェーンの範囲を調達先の社数にて管理
*7 対象を2024年度よりニコンから国内ニコングループに拡大。このため、2023年度の計画及び実績はニコンのみ
*8 厚生労働省が公表する製造業の全国平均値
*9 ストレスチェック委託業者が公表する全国平均値
*10 ニコングループ意識調査により確認
(6) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、これに関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
① 人材に対する基本的な考え方
当社グループは、「信頼と創造」という企業理念のもと、コア技術である光利用技術と精密技術をベースに製品やソリューションを提供しています。人々や産業の希望や期待に応え、より豊かな社会の実現をサポートするグローバル企業です。
その担い手となるのは、「当社グループで働く多様な人材」です。当社グループはこれまでも、様々な能力や価値観、経験を持つ人材が集まり、その才能を活かし合うことで、創立100年を超える実績と世界に誇る高いものづくり力を築き上げてきました。従業員一人ひとりの成長と、その力を最大限に活かし合うことが、チームや組織力を向上させ、当社グループの成長に繋がっていきます。さらなるグローバル化や価値観の多様化が進む中で、ニコンと、そして社員一人ひとりが社会やお客様から求められる存在になるためには、会社と従業員が共に成長していく関係でなければなりません。
そのために、当社グループは会社の目指す方向性や組織の目標を明確に示し、これに連動した人材戦略を実行することで、多様な従業員がその能力を最大限に発揮し、自身と当社グループの成長を実感できる環境や活躍の機会を提供していきます。従業員に求められるのは、その機会を逃すことなく、主体的・継続的にスキルを磨き続ける姿勢です。当社グループは、成長に向けて挑戦し、努力する従業員を支援するとともに、成果を出し、組織に貢献した従業員には、その活躍に公正かつ公平に報いていきます。
また、変化に対応し、多様化する社会やお客様の課題に応えるためには、当社グループで働く人材が持つ多様な知識や経験、価値観、専門性などを活かす必要があります。共に働くメンバーの個性や能力を認め合い、活かし合うことのできる職場環境や企業文化の醸成に向け、「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」(DEI)を推進していきます。
このことが、当社グループの社会やお客様への価値提供力を高め、従業員のやりがいやエンゲージメントを高めることに繋がり、チームのため、自分の成長のために主体的に考え、行動する、自律した「個」の形成へと繋がる好循環を生み出します。当社グループは多様な従業員一人ひとりと共に成長し、企業理念である「信頼と創造」の実現と、持続可能な社会に貢献し続ける企業を目指します。
② 中期経営計画と連動した人材戦略
中期経営計画の軸となる方針は、ソリューション提供の強化による「主要事業の安定化」と「戦略事業の収益拡大」です。また、グローバルに存在するお客様の欲しいモノやコトの「本質」を理解し、完成品・コンポーネント・サービスをお客様にとって最適な形で提供していくことは、すべての事業に共通する戦略であり、当社グループのコア技術と他社とのオープンイノベーションを組み合わせるなど、社内外のシナジー強化にも取り組みながらビジネスモデルの変革を進めます。こうした経営戦略の担い手となる人材には、次のような要素が求められます。
・環境変化に柔軟に対応し、社会・顧客起点の発想や価値提供ができること
・組織やチームの目標達成のために自律的に考え、行動できること
・国・地域・事業を超えて多様な人材や組織と協働できること
・新たな価値観と既存の価値観を掛け合わせ、シナジー創出ができること
特に、成長領域においては、顧客開発とソリューションビジネスの強化をリードする人材の獲得が急務となっています。また、既存領域においては、当社グループの強みである「ものづくり」を支える人材が今後不足する見込みです。
このように、ありたい姿の実現に向けた人材の質的転換と量的確保が求められる中、人材の流動化や獲得競争がグローバルに激しさを増しており、経営戦略を実践する人材の確保への危機意識が高まっています。こうした経営戦略上の要請や現状認識を踏まえ、当社グループでは、人材の「獲得」「育成」「活躍」の3点を人的資本経営の考え方に基づく人材戦略の柱に据え、それぞれ以下の方針のもとで各施策を展開しています。
なお、経営戦略と人材戦略を一体のものとして推進を図るため、求められる人材やスキルの具体的な定義や各施策の検討は、社長執行役員以下のトップマネジメントが中心となり、人事部門と連携のうえ行っています。
<人材戦略の三つの柱と取り組み>
③ 人材戦略を支える基盤となる文化・環境
(ⅰ) ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン
当社グループでは、DEI推進を人的資本経営における重要施策の一つと位置づけ、年齢や性別、国籍等を問わず、多様な従業員一人ひとりが、その能力を最大限に発揮し、活躍することのできる機会の提供と環境整備に取り組んでいます。
2023年4月には、グローバルでのDEI推進に向けた取り組みをいっそう強化するため、当社グループ共通の考え方を示した「Nikon Global Diversity, Equity & Inclusion Policy」(Nikon Global DEI Policy)を制定しました。これを従業員一人ひとりの判断や行動のベースとなる大切な考え方として浸透させるべく、当事業年度から「Nikon Global DEI Policy浸透度」をグローバル共通のKPIに設定し、DEIポリシーの内容を従業員により分かりやすく伝えるためのコミュニケーションブックの発行やトップメッセージの発信を行いました。また、国内外のグループ各社における認識や取り組み状況を把握し、現状の課題を洗い出すためのアンケート調査等も実施しました。次年度は、マネジメント層の意識改革、スキル開発を優先分野と位置づけ、グローバル共通のテーマとして取り組む予定です。
当社グループは、Nikon Global DEI Policyの下、一人ひとりがチームの一員としての居場所を感じ、個々の能力を活かし合うことのできる職場環境や企業文化の醸成を図るとともに、各地の法令や事業特性などを踏まえた具体的な取り組みを、グループ全体で、又は会社・事業毎に推進していきます。
なお、株式会社ニコンにおける多様な従業員の活躍推進に関する取り組みは、以下のとおりです。
・女性活躍推進
一般的に、技術系職種に占める女性の割合は他の職種に比べて低く、技術系職種の従業員が多い当社においても、女性活躍推進は重要な課題の一つです。女性が当社の意思決定や組織運営により深く関わり、多様な視点をもたらす状態を目指し、その活躍状況を図る指標の一つとして「女性管理職比率」をKPIに設定しています。職場における計画的な育成・登用の推進、キャリア開発支援など、比率向上に向けた取り組みを実施しています。また、女性従業員数を安定的に確保するため、「新卒採用における女性比率」を25%以上とする目標を2016年度から継続的に掲げ、技術系分野をはじめとした女性向けの採用イベント等にも積極的に参加しています。当事業年度は、マイクロエレクトロニクスをリードする工業会の日本支部であるSEMIジャパンが発足したDE&Iワーキンググループへの参画など、次世代の女性技術者育成に向けた取り組みも行いました。
さらに、女性のみならず、育児や介護など、多様な事情を抱えた従業員がライフステージに応じた柔軟な働き方が選択できるよう、制度や環境の整備にも取り組んでいます。これらの多様な働き方に対する支援や継続的な取り組みが評価され、厚生労働大臣より「プラチナくるみん」「えるぼし(2段階目)」の認定を取得しています。
・キャリア人材の活躍支援
中期経営計画の実現に向けて、当社ではキャリア人材の採用を強化しています。当社がこれまで培ってきた技術とともに、新しい領域へと向かうためには、多様なスキル・知識・経験を活かすことが重要です。前職で培った知見を当社で活かし、その力を存分に発揮してもらえるよう、キャリア人材の定着や活躍支援のための研修・教育や、定期モニタリングの実施など、早期活躍に向けたフォロー体制を強化しています。
2024年3月末時点における当社の管理職に占めるキャリア採用者の割合は34.2%です。
<株式会社ニコン>
<女性従業員比率・女性管理職比率の推移> <新規入社者におけるキャリア採用者の比率>
そのほか、障がい者やシニア従業員など多様な従業員の活躍支援に関する取り組みを実施しています。当社における取り組みの詳細は、「サステナビリティ報告書」をご参照ください。
2023年度の情報は、当社ウェブサイト(https://www.jp.nikon.com/company/sustainability/report/)に2024年7月下旬公開予定です。
(ⅱ) 従業員の健康と安全
従業員の健康と安全は、企業活動の根幹を成すものです。従業員が心身ともに健康と安全であることを実感して働ける職場環境を整備・提供することが、職場の活力や生産性向上をもたらすことに繋がると考えています。こうした考えのもと、当社グループでは、「ニコングループ健康安全活動方針」を毎年策定し、それに基づく各施策を展開しています。
まず、当社グループにおいては、法令遵守、安全管理の徹底による労働災害の抑止を重点項目と位置づけ、次のKPIを設定し、グループ全体の労働災害の発生防止に努めています。
さらに、株式会社ニコンにおいては、従業員の健康の保持・増進(ヘルスリテラシーの向上)及び対話による活力ある職場環境づくり(コンフォート、コミュニケーションの向上)を重点項目と位置づけ、教育やイベントの実施等各施策に取り組むとともに、次のKPIを設定しています。
*1 厚生労働省公表の製造業の全国平均値
*2 ストレスチェック委託業者公表の全国平均値
そのほか、当社グループにおける従業員の健康と安全にかかる具体的な取り組みの詳細は、「サステナビリティ報告書」をご参照ください。
2023年度の情報は、当社ウェブサイト(https://www.jp.nikon.com/company/sustainability/report/)に2024年7月下旬公開予定です。
(7) 気候変動への対応
TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示
当社グループは、気候変動への対応を重要な社会課題と認識し、脱炭素化の推進をマテリアリティの一つとしています。「脱炭素社会の実現」をニコン環境長期ビジョンと位置づけ、2050年度までにバリューチェーン全体で温室効果ガス排出量の実質ゼロ*1を達成することを目指しており、2030年度までの削減目標とあわせてScience Based Targets(SBT)イニシアチブ*2からネットゼロ目標として認定を受けています。
これらの目標の達成に向け、当社グループでは製品、事業所、物流などのバリューチェーンの各段階での温室効果ガス排出の削減に取り組んでいます。また一方で、気候変動によるビジネスにおける機会を認識しており、社会の脱炭素化に貢献する製品・ソリューションの提供に注力しています。
*1 バリューチェーン全体における温室効果ガス排出量(Scope1、2、3)を90%削減し、残余排出量はSBTイニシアチブが定める基準に従って中和すること。
*2 気候変動など環境分野に取り組む国際NGOのCDP、国連グローバル・コンパクト(UNGC)、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)による国際的な共同イニシアチブ。パリ協定の「世界の平均気温の上昇を、産業革命前と比べて2℃未満に抑える」という目標に向け、科学的根拠に基づく削減のシナリオと整合した企業の温室効果ガス削減目標を認定している。
① ガバナンス
当社グループでは、代表取締役 兼 社長執行役員が委員長を務めるサステナビリティ委員会においてリスクと機会を特定、戦略と指標・目標、ならびにその実績を審議、脱炭素関連の投資可否を決定しています。そして本委員会傘下の環境部会において、気候変動に関するリスクと機会を検討、戦略と指標・目標の起案及び進捗管理を実施しています。
サステナビリティ委員会での決定に基づき、サステナビリティ戦略部門が全社の気候変動対応を推進しています。本委員会の活動状況は少なくとも年1回取締役会に報告し、取締役会にて気候変動を含む環境関連の活動の妥当性、有効性やリスクについて管理・監督しています。
2023年度は、サステナビリティ委員会を3回、環境部会を2回開催し、気候変動対応に関する事項を審議・決定しました。
なお、サステナビリティ委員会の詳細は「2[サステナビリティに関する考え方及び取組](3)ガバナンス」に記載のとおりです。
② 戦略
当社グループは、マテリアリティの一つに「脱炭素化の推進」を設定し、気候関連リスクと機会についてシナリオ分析を行い、リスクと機会を評価、特定しています。これらに基づき、中期経営計画を通して対策、実行しており、気候変動を含むサステナビリティへの取り組みに対する評価を役員報酬に反映しています。
2023年度は、SBTのネットゼロ目標と短期目標、再生可能エネルギーの導入目標について審議・決定しました。
③ リスク管理
リスク管理委員会が当社グループのリスクを全社的に管理するとともに、サステナビリティ委員会が専門的見地から気候変動を含む環境リスクについて把握・評価し、対応を協議しています。各委員会で議論、承認された内容は取締役会に報告されます。特定したリスクの潜在的影響額については、中期経営計画の財務シミュレーションにおいて、他の潜在的要素とともに把握・認識しています。
2023年度も「リスク把握調査」を実施し、結果を影響の規模と発生確率で表す「リスクマップ」を作成しました。これを関係部門に共有することで全社的なリスクの認識を共有しています。また、特定したリスクは、環境アクションプラン等の計画に反映してグループ全体に展開しています。
なお、リスク管理委員会の詳細は「3[事業等のリスク]」に記載のとおりです。
④ 指標及び目標
*1 Scope1 敷地内における燃料の使用などによる直接的な温室効果ガス排出のこと
*2 Scope2 購入した電気・熱の使用により発生する間接的な温室効果ガス排出のこと
*3 Scope3 バリューチェーンにおける事業活動に関する間接的な温室効果ガス排出のこと(Scope1、2を除く)
*4 CDPと非営利組織The Climate Groupがパートナーシップのもと運営する国際的イニシアチブ。事業活動で使用する電力の100%を再生可能エネルギーで調達することを目標としている
2023年度の温室効果ガス排出量(Scope1、2、3)及び電力の再生可能エネルギー使用率は以下の結果になりました。Scope1、2、3排出量の削減率に関しては、SBTネットゼロ目標の申請に伴い、基準年度を2022年度に変更しています。引き続き、ニコン環境中期目標に沿って脱炭素化の推進に取り組みます。
気候変動シナリオ分析について
当社グループでは、気候関連リスクと機会について、事業の特性や生産拠点・事業所の立地条件、近年の気候変動起因による自然災害の度合いと頻度、業界の動向、関連する法令の動向、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の気候変動予測に用いられているRCP(代表的濃度経路)シナリオや外部の調査機関による調査結果・シナリオを総合的に考慮した分析を行い、2℃及び4℃シナリオ下におけるリスクの評価、特定を行っています。
2℃シナリオでは、温室効果ガス排出規制などの強化やそれに伴う市場要求を認識し、4℃シナリオでは、洪水などの自然災害の増加や気温上昇を認識しています。いずれのシナリオにおいても、再生可能エネルギーへの移行によるコストの変化を認識し、財務への影響を考慮して事業戦略として気候変動への適応対策を行っています。リスク分析は継続して実施し、レベルアップを図っていきたいと考えています。
<気候変動による当社グループへのリスク>
・財務影響 大:100億円以上、中:10億円~100億円、小:10億円以下
・緊急度 高:3年以内、中:3~10年、低:10年以上
<気候変動による当社グループにとっての機会>
・時間的範囲 短期:3年以内、中期:3~10年、長期:10年以上