人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数7,282名(単体) 79,544名(連結)
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平均年齢45.7歳(単体)
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平均勤続年数20.5年(単体)
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平均年収8,600,095円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
2024年3月31日現在
(注) 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は重要性がないので記載を省略しております。
(2)提出会社の状況
2024年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員であり、従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員(1日7.5時間換算)であります。
2 臨時従業員には、嘱託(シニアを含む)、パート・アルバイトの従業員を含み、人材派遣社員、業務委託、請負の従業員を除いております。
3 平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(3)労働組合の状況
当社及び一部の連結子会社において労働組合が結成されておりますが、労使関係については特に記載すべき事項はありません。
(4)多様性に関する指標
当連結会計年度の多様性に関する指標は、以下のとおりであります。
① 女性活躍推進法及び育児・介護休業法に基づく開示
(注)
1 上記は社員100名以上又は「えるぼし」認定企業を対象としております。
2 正社員に占める女性比率は2024年3月末時点、管理職に占める女性比率は2024年4月1日時点となります。
3 管理職に占める女性比率及び男女の賃金格差については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」
(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したもので、出向者は出向元の従業員として集計しております。
但し、(株)PFU、PFU ITサービス(株)、PFUテクノワイズ(株)については、出向者は出向先の従業員として集計しております。
4 男性の育児休業取得率については、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」
(平成3年法律第76号)の規定に基づき「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したもので、出向者は出向元の従業員として集計しております。なお、男性の育児休業取得率算出にあたっての各条件は厚生労働省発行のリーフレット「男性の育児休業取得率等の公表について」の記載に準じております。
5 「-」は対象となる従業員が無いことを示しております。
6 男女の賃金格差について、基本的に処遇は男女同一であり、現在生じている格差は職務、等級、年齢構成の違い
によるものです。
② 連結会社の状況
(注)
1 正社員に占める女性比率は2024年3月末時点、管理職に占める女性比率は2024年4月1日時点となります。
2 管理職に占める女性比率については、出向者を出向元の従業員として集計しております。
但し、(株)PFU、PFU ITサービス(株)、PFUテクノワイズ(株)については、出向者は出向先の従業員として集計しております。
3 当社及び国内連結子会社の男性の育児休業取得率については、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労
働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したもので、出向者は出向元の従業員として集計しております。なお、男性の育児休業取得率算出にあたっての各条件は厚生労働省発行のリーフレット「男性の育児休業取得率等の公表について」の記載に準じております。
4 男性の育児休業取得率については、海外連結会社のデータ収集を実施していないため「-」とし、記載を省略して
おります。
5 男女の賃金格差については、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しております。なお、賃金は基本給及び賞
与等のインセンティブを含んでおります。基本的に処遇は男女同一であり、現在生じている格差は職務、等級、年齢構成の違いによるものです。
6 当社における男女間賃金格差は管理職では 95.1%となります。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取り組み】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
基本的な考え方-ビジネスの力で持続可能な社会を実現
当社グループは、三愛精神に基づき、経済(Prosperity)・社会(People)・地球環境(Planet)の3つのPのバランスが保たれている目指すべき社会「Three Ps Balance」の実現に向け、「事業を通じた社会課題解決」「経営基盤の強化」と「社会貢献」の3つの活動に取り組み「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に貢献していきます。
(1)ガバナンス
環境・社会・ガバナンス分野における課題を経営レベルで継続的に議論し、グループ全体の経営品質向上につなげる目的でESG委員会を設置しています。ESG委員会はCEOを委員長とし、社内取締役を含むGMC*1メンバーとビジネスユニットプレジデントから構成*2され、四半期に一度開催する意思決定機関です。
ESG委員会では、サステナビリティ領域における事業の将来のリスク・機会や、重要社会課題(マテリアリティ)の特定、ESG目標の設定等について審議しています。重要な審議内容については、取締役会の承認を経て決定しています。
また、ESGの取り組みや目標達成に対する経営責任を明確にするため、取締役や執行役員の報酬にESG指標を組み込んでいます。具体的には、DJSI年次レーティングを取締役・執行役員賞与フォーミュラに組み込んでいます。また、社内取締役及び執行役員が対象となる役員株式報酬制度の算定式の20%は「ESG目標の達成項目数」と連動しており、ESGの取り組みへのインセンティブとしています。役員株式報酬制度の詳細については「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4)役員の報酬等」を参照ください。
*1 GMC(グループマネジメントコミッティ):当社グループ全体の経営について全体最適の観点で審議及び意思決定を迅速に行うた
めに、取締役会から権限移譲された社長執行役員が主催する意思決定機関
*2 常勤監査役がオブザーバーとして参加
<当社グループのガバナンス体制>
(2)ESG戦略
当社グループでは、「ESGと事業成長の同軸化」を方針に掲げ、ESGを非財務ではなく、数年後の財務につながる「将来財務」と位置づけています。目指すべき持続可能な社会の姿「Three Ps Balance」の実現に向けて、当社グループは、中期経営戦略において特に重点的に取り組むマテリアリティを特定しました。
マテリアリティの特定及び改定は、社会動向、事業戦略、ステークホルダーの皆様の視点や各種ガイドラインを参照しながら、3年ごとの中期経営戦略単位でStep1からStep4(下図1)のプロセスで実施しています。マテリアリティを改定する場合はCEOを委員長としたESG委員会にて審議の上、中期経営戦略とともに取締役会で承認したうえで開示します。
21次中経では、事業活動を通じた4つの社会課題解決と、それを支える3つの経営基盤の強化をマテリアリティとして特定し、これら7つのマテリアリティに対して戦略的意義を定め(下図2)、評価指標として16のESG目標を設定しました。具体的には、世界共通の課題である気候変動や人権問題に関する目標や、デジタルサービスの会社への変革に必要となるデジタルサービス関連特許や情報セキュリティ、デジタル人材育成等の目標を設定しています。また、社会課題解決が事業成長につながることを示すため、4つのマテリアリティに対して社会課題解決型事業を特定し、2025年度までの売上高目標を設定しました(下図3)。今後もESGと事業成長の同軸化の取り組みを加速させていきます。
<図1 マテリアリティの特定及び改定プロセス>
<図2 7つのマテリアリティと戦略的意義>
<図3 21次中経の事業を通じた社会課題解決型事業売上高目標>
(3)リスク管理
当社グループのリスク管理は、経営に大きな影響を及ぼすリスクを「重点経営リスク」と位置づけその特性によって「戦略リスク」と「オペレーショナルリスク」に分けて管理しています。
サステナビリティに関するリスクは、企業の中長期的な成長に大きく影響を与えることから「ESG/SDGsへの対応」を戦略リスクの一つとして位置づけ、脱炭素、資源循環、生物多様性や人権に関するリスク管理を全社レベルで行っています。
リスクレベルは、影響度及び緊急度を基に算出し、全社リスクマネジメントの枠組みに則って評価されています。リスクマネジメント詳細については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」における「ESG/SDGsへの対応」を参照ください。
(4)指標と目標
21次中経におけるESG目標の進捗は以下のとおりです。2025年度目標達成に向けて一部進捗に遅れがあるものの概ね順調に推移しています。
<7つのマテリアリティに紐づく16のESG目標と進捗>
社外からの評価
ESGへの取り組みが評価され、国内外のESGインデックスの組み入れ銘柄として採用されています。
*10 CDP:企業の環境分野の情報開示を促し、気候変動、水セキュリティ、フォレスト等の取り組みを評価する国際的な非営利
団体
*11 EcoVadis:企業の環境・社会・ガバナンス側面を評価する国際的な評価機関であり、多くのグローバル企業がサプライヤー
の選定に評価結果を活用
*12 Global 100:カナダのCorporate Knights社による、環境・社会・ガバナンスの側面について企業を評価し、持続可能な企
業
100社を選定する評価機関
*13 GPIF 6指数:MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数、MSCI日本株女性活躍指数(WIN)、FTSE Blossom Japan
Index、FTSE Blossom Japan Sector Relative Index、S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数、Morningstar
日本株式ジェンダー、ダイバーシティ・ティルト指数
(5)個別テーマへの対応-環境分野の取り組み
①環境分野のガバナンス及びリスク管理
当社グループでは、マテリアリティとして「脱炭素社会の実現」「循環型社会の実現」を定め、環境対応を経営課題の1つとして取り組んでいます。2050年を見据えた中長期の環境目標を設定するとともに、中期経営戦略においてもESG目標を設定し、目標達成に向けた具体的な施策を展開しています。ESG目標の進捗状況についてはESG委員会や取締役会を通じ、経営レベルで監督が行われています。また、当社グループの経営上重要なリスクとして設定している7つの重点経営戦略リスクの一つに環境分野への対応を据えてリスク管理を行っております。当社グループが取り組んでいる「脱炭素」「省資源」「生物多様性」における方針・戦略・リスクと機会・目標に対する進捗は以下のとおりです。
②脱炭素分野
<方針>
「脱炭素社会の実現」に向けて、パリ協定やIPCC等科学的知見に基づき2050年バリューチェーン全体の温室効果ガス(以下GHG)排出実質ゼロとすることを定めました。脱炭素方針に沿って中長期の環境目標(図1)や脱炭素ロードマップを策定し、全社で具体的な施策を展開しています。
◆脱炭素方針
1. 徹底的な省エネ・燃料転換の推進
2. 再生可能エネルギーの積極的な利活用
3. サプライチェーンにおけるGHG排出量の可視化と削減
<戦略>
2050年GHGスコープ1,2及び3(*1)のネットゼロ目標達成に向けてマイルストーンごとの野心的な削減目標を定め、2030年目標は気候変動の国際的イニシアチブSBTi(Science Based Targets initiative)から「SBT1.5℃」水準として認定されています。2030年目標達成に向けては、当社グループの事業規模・事業構成の変化や国内外の脱炭素政策に基づくエネルギー・素材のGHG排出原単位の変化見通し等も考慮した脱炭素ロードマップを策定し、具体的な削減施策を定め推進しています。目標については3年ごとに見直しを行いながら取り組んでいます。
また、2024年3月には、スコープ1,2のGHG実質排出ゼロの達成、事業活動における使用電力の100%再生可能エネルギーへの移行(RE100*2達成)を従来の2050年から10年前倒しする新たな2040年度目標を設定しました。スコープ1,2の2040年度目標に対しては、排出量を自助努力で基準年*3比90%削減し、残余排出量については、国際的に認められる方法*4でオフセットすることで実質ゼロを達成します。スコープ3についても対象範囲を従来のカテゴリー1(調達)、4(輸送)、11(使用)から全カテゴリーに拡大し、2040年度までに基準年比削減率65%を新たに設定し、対応を強化します。また、従来から設定している2050年のスコープ1,2及び3のネットゼロ目標についても、排出量を自助努力で基準年比90%削減する数値目標を追加設定しました。
*1 スコープ1:自社の工場・オフィス・車両等から直接排出されるGHG
スコープ2:自社が購入した熱・電力の使用に伴うGHG
スコープ3:企業活動のサプライチェーンの排出量(GHGスコープ1、2を除く)
*2 RE100:事業に必要な電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業が加盟する国際イニシアチブ
*3 2015年度
*4 2023年11月発行のISO14068ー1:2023に準ずる
<リコーグループ環境目標(脱炭素分野)>
2050年目標
・ GHGスコープ1,2,3:ネットゼロ(2015年度比90%削減、残余排出は国際的に認められる方法でオフセット)
2040年目標
・ GHGスコープ1,2:実質排出ゼロ(2015年度比90%削減、残余排出は国際的に認められる方法でオフセット)
・ GHGスコープ3:65%削減(2015年度比、全カテゴリー)
・ 再生可能エネルギー比率:100%
2030年目標
・ GHGスコープ1,2:63%削減(2015年度比)
・ GHGスコープ3:40%削減(2015年度比、調達・輸送・使用カテゴリー)
・ 再生可能エネルギー比率:50%
<図1 リコーグループ環境目標(脱炭素分野)>
<リスクと機会>
気候変動におけるリスクに関しては、TCFDフレームワークに沿ったシナリオ分析によりリスクを捉え、各リスクにおける影響度(財務影響)と緊急度(発現時期)について評価を行っています。評価にあたっては各リスクを全社のリスクマネジメントの枠組みに照らして、影響度・緊急度を具体的な金額や発生度合いが本格化する年限で示しています。年々増加する自然災害は、当社グループにとって喫緊の課題であり、特に自社拠点を含むサプライチェーンの寸断は大きな事業インパクトが発生しかねないリスクと捉え、毎年モニタリングしながら適切な対策を進めています。
また、気候変動は、事業リスクのみならず、自社製品・サービスの提供価値及び企業価値を高める機会につながると認識し、長年培ってきた脱炭素分野の活動成果を機会として示しています。
<脱炭素分野のリスク>
*1 2℃/1.5℃シナリオ:2100年までの平均気温上昇が2℃未満に抑えられている世界
*2 4℃シナリオ:2100年までの平均気温が4℃上昇する世界
<脱炭素分野の機会>
*1 スクラムアセット:日本で販売する中堅企業向けの課題適応型ソリューションモデル
*2 LCAW(Leading Change at Work):欧州で販売するパッケージ型ソリューション
<目標に対する進捗>
当連結会計年度は、脱炭素ロードマップに基づき、再エネ率向上につながるVPPA*の運用を開始しました。また、激甚化傾向にある自然災害に対しては、グローバル主要拠点における自然災害リスクの分析、リスク結果を踏まえた拠点改善活動を進めました。2030年目標に対する進捗は以下のとおりです。なお、スコープ3の算定については、見積もりを含むものであり、算定範囲や算定手法を見直しながら精度向上に努めています。
*VPPA(Virtual Power Purchase Agreement):仮想電力購入契約
③省資源分野
<方針>
当社グループは、1994年に循環型社会実現のコンセプトとして「コメットサークル」を制定し、製品のライフサイクル全体での資源の有効活用を推進しています。また、省資源方針やプラスチック方針に基づき、2030年、2050年の目標を設定し、新規資源使用量の削減や資源の循環利用、化石資源由来バージンプラスチックの削減・代替の取り組みを進めています。
◆省資源方針
1. 循環型社会の実現の為に、徹底的な資源の効率利用と循環に取り組む
2. 再生製品の提供を行い、環境負荷が低く、持続可能な資源への切替・積極利用に取り組む
◆プラスチック方針
1. 脱・化石資源由来バージンプラスチックの推進
2. 材料リサイクル可能な設計の推進
<戦略>
省資源分野の中長期目標として新規資源使用量や化石資源由来バージンプラスチックの削減目標を定め、製品の小型・軽量化、長期使用、再生製品の提供、再生材料の採用等の具体的な削減施策についてロードマップを策定し推進しています。また、設計から生産、販売まで一体となったサーキュラーエコノミーワーキンググループを設置し省資源に繋がる製品開発を展開しています。
<リコーグループ環境目標(省資源分野)>
2050年目標
・ 製品の新規資源使用率*1: 12%以下*2
2030年目標
・ 製品の新規資源使用率: 60%以下
プラスチックに関する目標
・ 画像製品におけるプラスチック回収材使用率50%以上(2030年)
・ 製品包装における「化石資源由来バージンプラスチック」使用量の2020年比50%以上削減(2030年)
・ プラスチック部品・包装材の材質表示と単一素材化完了(2025年)
*1 新規資源使用率:総投入資源量に対する新規資源使用量の割合
*2 独立行政法人 物質・材料研究機構発表文献引用「持続可能な資源利用には2000年当時の資源に対して資源使用総量の1/8化
が必要」との考えから設定
<リスクと機会>
当社グループが認識している省資源分野におけるリスク及び機会は以下のとおりです。国際社会でサーキュラーエコノミーへの移行が加速しており、資源循環への取り組みが十分でない場合、自社の企業価値を毀損するリスクとなる一方、取り組みを強化することによって事業活動の持続可能性を高めるとともに、中長期的な機会と競争力の獲得につなげることができます。
<省資源分野のリスク>
<省資源分野の機会>
<目標に対する進捗>
目標に対する進捗は以下のとおりです。
④生物多様性保全分野
<方針>
当社グループは、2009年に「生物多様性方針」を制定し、その方針に基づいて生物多様性保全活動に取り組んでいます。まずは生物多様性リスクを把握し、様々なステークホルダーと連携し事業活動に伴う環境負荷削減や生物多様性リスクを低減することで、生物多様性の損失を止め回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ」と「森林破壊ゼロ」社会の実現を目指しています。
◆生物多様性方針(基本方針)
私たちは生き物の営みによる恩恵を得、生物多様性に影響を与えながら事業活動を行っているという事実を踏まえ、生物多様性への影響を削減するとともに生物多様性保全に貢献する活動を積極的に行う。
方針の詳細はこちら:
https://jp.ricoh.com/sustainability/environment/biodiversity#policy
<戦略>
当社グループの事業活動と生態系との関係性を明確にするため、「企業と生物多様性の関係性マップ」を作成し評価しました。評価の結果、紙パルプ等の原材料の調達で生態系への影響・リスクが大きいことがわかりました。
森林破壊の予防と人権等社会面に配慮した原材料調達を行うため、「リコーグループ製品の原材料木材に関する規定」や「用紙調達方針」を定め事業活動を行っています。
また、生物多様性保全のみならず地球温暖化防止、持続可能なコミュニティ発展の観点からも森林保全が重要と考え、森を「守る」「増やす」両面から100万本の森づくりや環境省を含めた産民官17団体を発起人とする「生物多様性のための30by30アライアンス」に参画し、自然共生サイト*認定取得を推進しています。
* 国が認定する、民間の取り組み等によって生物多様性の保全が図られている区域
<生物多様性保全分野目標>
2030年までに100万本の植林*
* リコージャパン株式会社では、省エネMFP等1台販売について1本をインドネシア、フィリピンに植林
<リスク>
当社グループが認識している生物多様性分野におけるリスクは以下のとおりです。
<目標に対する進捗>
2020年から当連結会計年度までに累計45.3万本を植林
(6)個別テーマへの対応-人的資本・多様性への取り組み
当社グループの人的資本の考え方
当社グループの人的資本において、当社の目指す姿と使命である「“はたらく”に歓びを」につながるものとして、価値創造モデルと3つの柱からなる人的資本の考え方を定めています。
①人的資本の価値創造モデル
リコーらしい人的資本を形成する価値創造モデルを以下のように捉えています。
価値創造の根幹にあるのが、リコーカルチャーです。これは、ケイパビリティ(事業戦略の実行力)とマインドセットの結合によって作られます。そして、ケイパビリティとマインドセットそれぞれに、21次中経の時間軸において中核となるテーマを定義しています。これらのテーマに沿って人事施策が設計され、実行することで、最適化されたリコーカルチャーの醸成につながります。具体的な戦略・施策の実践を進めることで、社員の目標達成の成功体験が積み重ねられ、エンゲージメントがさらに強化されます。これがさらに新たなチェンジを生み出すエネルギーとなり、結果として当社グループが進化や変化をし続けるサイクルを生み出します。この循環の先には、「はたらく歓び」の実現があります。この「はたらく歓び」が、さらに社員一人ひとりの成長や達成、変革を促していきます。この循環を生み出すことが企業活動の成功の源泉になると考えています。
今後の注力テーマを、ケイパビリティについては成長と生産性の観点で5つ、マインドセットについては4つ、下の図に示すとおり定義しました。それぞれのテーマごとに、21次中経の3年間で具体的な人事施策を推進していきます。
②当社グループの人的資本の考え方:3つの柱
当社グループの人的資本施策として、「自律」「成長」「“はたらく”に歓びを」の3つの柱があり、社員が当社グループで働くことを通じて得られる体験を積み重ねることにより、社員の「“はたらく”に歓びを」と、事業成長の同時実現を目指すことを、当社グループの人的資本の考え方としています。
(ⅰ)自律:社員の潜在能力発揮を促す
一人ひとりの社員が、自分を活かすために主導権を握ること、会社が適所適材を実現すること、この2つが人的資本を活かす基本と考えています。この目的の実現のため、前連結会計年度には「リコー式ジョブ型人事制度」を導入し、社内公募制度を拡大しました。日々の働き方においても、リモートワークと出社の双方の良さを取り入れたハイブリッドワークを継続的に推進し、個人やチーム単位でのパフォーマンス最大化を図っています。これら自主自律のための環境整備に加え、当事者である社員とサポート役の上司への継続的な働きかけを積み重ね、個々のポテンシャル発揮につなげていきます。
(ⅱ)成長:個人の成長と事業の成長を同軸にする
当社グループは創業以来、お客様の“はたらく”に寄り添ってきました。私たちの目指すところは、デジタル技術の活用で業務の効率化や生産性向上を図り、働く人がより創造的な仕事に集中できるようなお手伝いをすることです。そのためには、社員自らが必要なデジタル技術を継続的に学び、業務に活用していくことが必須となります。このような社内実践で培った私たちの働き方をお客様に提案・提供することで、新しい明日の働き方につなげていきます。
(ⅲ)“はたらく”に歓びを:社員エクスペリエンスを“はたらく歓び”につなげる
お客様にはたらく歓びを感じていただくためには、まず、私たちがはたらく歓びを感じられるような経験を積むことが重要です。多様性と共創文化の中で能力を開花させ、はたらく歓びを感じること。これこそ、社員に体験してもらいたいことです。このような充実感・充足感のある「歓び」を生む社員エクスペリエンスは、私たちが直面する様々な変化に対応し、デジタルサービスの会社としての強固な文化を形づくるエンジンと言えます。
当社グループの人的資本戦略における主要指標は、前述の3つの柱に紐づいた「IDPに基づく異動率」「デジタル研修履修率」「社員エンゲージメント」「女性管理職比率」と定めています。
「IDPに基づく異動率」向上のために、当連結会計年度は今までの自身のキャリアを可視化する「キャリアシート」と今後の自律的な成長のための育成計画「IDP」の作成のためのシステム導入と展開を進めました。結果、キャリアシートの更新割合は全対象者に対して86%の社員が更新をしており、今後の自律的な成長のためのIDPの更新に関しては73%の社員が更新をしています。
「デジタル研修履修率」に関しましては、当連結会計年度は前述の価値創造モデルにおける戦略要素の一つである、「プロセスDXと高い生産性」に焦点を当て、全社員のプロセスDX人材の社内認定制度*取得を目指し、最終的に99.5%の社員が、プロセスDX人材のブロンズ認定を完了しました。
「社員エンゲージメント」は継続的に従業員の会社に対する信頼を見るのに重要な指標となります。前連結会計年度の結果を踏まえ、各極やBUごとにメッセージングの強化等を実施し、当連結会計年度の結果としては、前連結会計年度から0.06ポイントプラスとなり、2025年度の目標に向けて着実にエンゲージメントが上昇しています。
DEIの観点からも重要な多様性のある組織づくりに関しても、積極的な登用や育成を進めています。重要な指標となる「女性管理職比率」は、当連結会計年度の結果としては、前連結会計年度から0.6%プラスとなり、デジタルサービスへの変革に必要な多様性のある組織への変革を進めています。
* プロセスDX人材の社内制度認定:当社グループでは、デジタル技術を活用し仕事やプロセスのリデザインをする「プロセス
DX」の考え方や手法を学び、社内で認定を受ける制度を策定しています。この認定制度はブロンズ、シルバー、ゴールド、プ
ラチナの4種類のレベルがあり、ブロンズではプロセスDXを実践するための基本的な考え方や手法を理解している状態を認定
条件としています。
ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)とワークライフ·マネジメント(WLM)
イノベーションは、多様な人材が個々の能力を活かし協働することで創出されます。そのためには、多様な社員それぞれが自身のパフォーマンスを最大限発揮して活躍できる環境が必要です。この実現に向け、「ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン」と「ワークライフ・マネジメント」を経営戦略の1つと位置づけて取り組みを進めています。社員の多様性を尊重し、生き生きと働けるような環境整備を進めるべく、「リコーグループ企業行動規範」を企業カルチャーの基本として社員コミュニケーションを徹底しています。また、あらゆる多様性や価値観を互いに受け入れ、グローバルの社員が一つのチームとして働く決意を表す「グローバル DEIステートメント」を22言語、明確な行動規範として「グローバル DEI ポリシー」を17言語で定めています。個々人の多様性を認め、すべての人が敬意をもって尊重される環境で働けるよう取り組みを推進していきます。当連結会計年度からは、D&Iを一歩進め、「エクイティ(Equity:公平性)」という概念を加え、DEIとして一層取り組みを強化しており、エクイティの概念におけるトップからのメッセージの展開や国際女性デー(IWD)に合わせたグローバル全社でのイベントの開催等を実施しています。またWLMの観点から、すべての社員が働きやすい環境で勤務できるように、当社グループでは両立支援のための各種制度の整備に加え、ハイブリッドワークを実施しております。これにより、場所にとらわれることのない働き方を実現しつつも、必要に応じてオフィスでコミュニケーションもとれる形をとっており、新しい働き方を率先して実施しています。
(7)個別テーマへの対応-人権への取り組み
当社グループの人権尊重の原点は、創業の精神である三愛精神にある“人を愛し”にあります。グローバルにビジネスを展開している当社グループでは、各国の法令を遵守することはもちろんのこと国際的規範に準拠した人権尊重の実践に取り組んでいます。
2021年4月に国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、「リコーグループ人権方針」を定めました。本方針は、日英含む10言語で国内外の主要グループ会社に周知しており、サプライヤー及びビジネスパートナーにも本方針を支持し実践いただくよう努めています。人権方針の策定後、2021~2022年度には、国内外当社グループ従業員を対象に人権教育を実施し、77,000人以上が受講しました(受講率:95%)。また、2023年には、リコーグループ企業行動規範を改訂し人権尊重に関する内容を拡充しました。新たな企業行動規範の周知を通じ国内当社グループ役員・社員一人ひとりが人権を踏まえた行動の重要性を十分に理解した上で遵守宣言を行いました。
人権デュー・ディリジェンス*1の一環として、当社グループにおける顕著な人権課題を再評価するため、2023年に国内外グループ各社を対象に人権影響評価を実施しました。人権課題の防止、軽減措置として、遵守すべき人権基準を定めた「リコーグループ人権尊重のためのガイド」を2024年に発行しました。また、一部の生産拠点においては、2年ごとに第三者監査(RBA VAP*2)を継続受審し、定期的に是正措置の有効性を評価しています。
今後も継続的な人権デュー・ディリジェンスの取り組みによって、人権リスクの未然防止・低減を図ります。
*1 人権に関する負の影響を認識し、それを防止・対処するために実施すべきプロセス
*2 Validated Assessment Program:RBA行動規範に対する準拠状況を第三者監査機関が確認するプログラム