リスク
3【事業等のリスク】
本報告書に記載した事業の概況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
また、当社グループとして、必ずしも事業遂行上のリスクとは考えていない事項につきましても、投資家の投資判断上重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から開示をしております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)景気変動によるリスク
BtoB(企業間の商取引)をメインビジネスとした当社グループの業績は、景気の影響を受けやすい傾向にあります。今後、景気が悪化し、主要顧客である日系メーカーにおいて生産活動や事業の縮小、製造拠点の撤廃・統廃合などによる事業再編、製品開発の縮小や先送り・遅れなどが生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、景気変動によるリスクを受けにくい医薬・生活用品など新しい事業分野への拡大や、新領域の事業を含めたサービス内容の多様化、日系メーカーのみならず外資系メーカーを含めた取引顧客の多様化、サービス提供地域の事業拡大等を図りながら、リスクを最小限に抑えられるよう事業構造の形成に努めております。
(2)主要顧客への依存リスク
当社グループの当連結会計年度の最大顧客の売上高は約16%であるため、特定の顧客の生産動向による依存リスクはある程度、分散されております。しかしながら、主要顧客の生産動向の変化により特定の地域セグメントの損益が悪化した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、主要顧客の生産動向による依存リスクの軽減に向け、新規顧客の開拓や既存顧客の拡充に努めております。
(3)主要顧客である日系メーカーにおけるグローバルな製造拠点の移転リスク
当社グループの売上高は、国内のみならず海外においても日系メーカーの比率が高く、現在、当社グループすべての海外現地法人の主要顧客となっております。今後、主要顧客である日系メーカーにおいて生産活動のグローバルな再編や各国の法改正・政策変更に伴う製造拠点の移転が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、製造拠点の移転リスクの軽減に向け、取引顧客との連携を更に強化し、主要なサプライチェーンの要として移転後も取引の継続に務めるとともに、海外においてサポート拠点の拡大や外資系メーカーとの取引拡大にも努めております。
(4)競合他社による転注リスク
近年、国内の電機メーカーなどにおける事業再編により、マニュアル制作業界は縮小傾向にあると言われております。今後、更に海外メーカーの拡大により国内メーカーの事業再編が加速し、縮小したマニュアル制作業界での競争が更に激しくなった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、海外においても同様に、日系メーカーの事業再編が進む中、当社と競合しているローカルメーカーのQCDは向上しており、以前に比べ当社の優位性が持てなくなっております。今後、この優位性が確立できなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、転注リスクの軽減に向け、国内においては特殊分野の制作能力(テクニカルライティング・翻訳等)を更に追求し、他社では対応できない独自性を高め、海外事業においては他社に負けないQCDを更に追求しております。更に、提案型のサービスを展開することで顧客とのより強固な関係を構築するとともに、グローバルなサプライチェーンとして「川上」業務から「川下」業務まで一気通貫でサービスできる体制“One Stop Global Solution”を強化し、競合他社に対する優位性の確立にも努めております。
(5)ペーパーレス化による影響
近年、コンシューマー向けデジタル製品を中心に取扱説明書(マニュアル)のペーパーレス化に加え、スマートフォンの普及に伴うデジタル製品そのものの市場が縮小していることを受け、同製品向けの販売は大きく減少しております。現在、当社グループは主にオフィス向けの複合機やプリンターなどの情報機器メーカーとの取引が多いことから、今後、オフィスでのDX化に伴うペーパーレス化が進み、デジタル製品同様、複合機やプリンターそのものの市場が縮小した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、グローバルネットワークを有効活用し、ペーパーレス化の影響を相対的に受けにくい医薬・生活用品メーカーへの販売活動に注力するとともに、これまで培った梱包設計のノウハウを活かしたパッケージ製品(化粧箱、梱包材、緩衝材等)の取引拡大にも努めております。
(6)仕入価格変動による影響
海外の当社グループでは、主に紙製品(取扱説明書、パッケージ製品、ラベル等)を取り扱っており、その原材料である紙の価格変動により仕入価格は影響を受けております。今後、この仕入価格の上昇に対し、速やかに製品への価格転嫁ができなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、仕入価格の上昇に対するリスクの軽減に向け、購入ルートの選択肢を広げるため新たなサプライヤーを開拓するとともに、市場動向を意識しながら充分な原材料在庫を確保することにも努めております。
(7)カントリーリスク
当社グループの当連結会計年度の中国及び東南アジア/南アジアにおける売上高は約59%を占めております。今後、これらの地域において法改正・政策変更や人件費高騰、外交問題などに起因し、主要顧客の撤退や生産活動の縮小などが生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、カントリーリスクの軽減に向け、各国の政治・経済情勢の把握や取引顧客との連携強化を図るとともに、そのリスクを分散する事業構造の構築にも努めております。
(8)為替変動による影響
当社グループの当連結会計年度の海外における売上高は約71%を占めていることから、為替レートの変動による為替換算後の金額に影響を受けております。また、外貨取引により生じた資産・負債についても為替レートの変動リスクに晒されております。今後、急激な円高もしくは円安に進行した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、為替変動によるリスクの軽減に向け、外貨建て債権債務においては、外貨建ての銀行借入等の残高を調整することにより、ネットしたポジションをほぼ均衡させることに努めております。
(9)有利子負債の残高にかかるリスク
当社グループの当連結会計年度末の有利子負債(社債、借入金、リース債務の合計額)の残高は6,030百万円と総資産の約34%を占めております。当社グループの借入は、原則、変動金利で対応しているため、今後、市場金利の上昇により金融費用が増加した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、一部について固定金利で借入を行うことにより、金利変動リスクの軽減に努めております。
(10)優秀な人材の確保・育成
当社グループが持続的な成長を実現していくためには、優秀な人材を確保・育成していくことが最重要項目のひとつとして捉えており、当社グループが求める人材を計画通り確保・育成できなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、優秀な人材の確保・育成に向け、採用サイトのリニューアルや様々な採用手法を活用しながら当社グループが求める人材を確保するとともに、次なる10年を見据えた組織改編や次世代のマネジメント層が活躍できる機会創出などにより優秀な人材の育成にも努めております。
(11)制作・製造工程における品質リスク
当社グループは、デジタル製品や家電、輸送機器などの取扱説明書の制作・編集・印刷や、パッケージ製品などを顧客に供給しております。これらの制作・製造工程において、企画・編集・制作時のミスや印刷時のミスプリント、乱丁などによる不具合の製品が市場に流出し、当社の瑕疵により発生した損害金額の規模や頻度、事後対応、更には顧客からの信用が失墜した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、品質リスクの軽減に向け、従業員への品質教育研修による啓蒙活動を継続的に図るとともに、代表取締役社長執行役員直轄の品質保証室にてグループ全体の品質管理を統括することで、顧客のニーズに対応した品質の向上・改善にも努めております。
(12)情報漏洩によるリスク
当社グループは、顧客の未公表の新製品及びリニューアル品に関する開発情報や、限定的ではあるものの、一部、業務上で顧客に関する個人情報等にも接しております。今後、情報漏洩による顧客からの損害賠償請求や信用の低下、取引停止などが生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、情報セキュリティをリスクマネジメントの最重要項目のひとつとして捉え、情報セキュリティ分科委員会を設置するとともに、情報セキュリティに関する諸規程の整備や役員・従業員への啓蒙活動、管理体制の体系化及びシステム・運用の強化、更には外部によるネットワーク脆弱性診断にも努めております。
(13)大規模災害や感染症等によるリスク
当社グループは、国内外に多くの拠点があるため、局地的な水害や地震などの自然災害や火災、暴動、テロなどの人災等の大規模災害による拠点の損壊やそこで働く従業員が被災、又は、新型コロナウイルス感染症等の世界的蔓延(パンデミック)による従業員が罹患し、生産活動の停止又は、遅延などが発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、グループ全体の事業継続をリスクマネジメントの最重要項目のひとつとして捉え、BCM分科委員会を設置し、緊急時における事業継続のバックアップ体制を構築するとともに、テレワーク勤務や時差出勤の導入によるリスクの最小化にも努めております。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主への利益還元を経営の最重要課題のひとつとして重視するとともに、将来にわたる企業の安定と発展のために内部留保を充実し、株主の皆様に対する利益を長期的に確保することが重要であると考えております。
この方針に基づき、当事業年度の配当については、1株当たり38円とさせていただきました。これにより、当期の年間配当は、既に実施した中間配当と合わせ1株につき76円(配当性向31.6%)となりました。
株式上場以降、期末と中間の年2回の配当実施を基本方針としつつ、配当の金額につきましては、配当性向30%以上を目標に、安定性と成長性のバランスを重視し、経営環境の変化に対応するための持続的な投資に必要な内部留保、中長期的な業績見通し及び資金状況などを総合的に勘案して業績連動型の配当を実施していく方針にあります。
また、内部留保資金につきましては、企業体質の強化に向けて有利子負債の削減など財務体質の充実を図りながら、海外での投資や既存設備の整備など、当社経営基盤の拡充・整備などに有効に活用し、当社の競争力及び収益力の向上を図ってまいります。
なお、当社は、会社法第459条第1項の規定に基づき、期末配当は6月30日、中間配当は12月31日をそれぞれ基準日として、剰余金の配当等を取締役会の決議により行うことができることを定款に定めております。
(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(千円) |
1株当たり配当額(円) |
2025年2月14日 |
117,124 |
38 |
取締役会決議 |
||
2025年8月14日 |
115,160 |
38 |
取締役会決議 |