リスク
3【事業等のリスク】
本報告書に記載した事業の概況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
また、当社グループとして、必ずしも事業遂行上のリスクとは考えていない事項につきましても、投資家の投資判断上重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から開示をしております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)景気変動によるリスク
BtoB(企業間の商取引)をメインビジネスとした当社グループの業績は、景気の影響を受けやすい傾向にあります。このような景気悪化に伴い、顧客が生産活動や事業の縮小・製造拠点の撤廃・統廃合などの事業再編、製品開発の縮小や先送り・遅れなどで、当社グループが提供するサービスの利用が縮小された場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、景気の影響を受けにくい医薬・生活用品など新しい事業分野の拡大や、新領域の事業を含めたサービス内容の多様化、日系メーカーのみならず外資系メーカーも含めた取引顧客の多様化、サービス提供地域の事業拡大等を図り、リスクを最小限に抑えられるよう事業構造の形成に努めております。
(2)主要顧客である日系メーカーのグローバルな製造拠点の移転リスク
当社グループの売上高は、国内のみならず海外においても日系メーカーの比率が高く、当社グループの海外現地法人の主要顧客となっております。今後、主要顧客である日系メーカーがグローバルな生産活動の再編や各国の法改正・政策変更に伴い、製造拠点を移転した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、リスク軽減に向け、取引顧客との連携を更に強化しサプライチェーンの要として取引の継続に務めるとともに、サポート拠点の拡大や日系メーカーへの依存度低減に向け外資系メーカーとの取引拡大にも努めております。
(3)ペーパーレス化の影響
近年、コンシューマー向けデジタル製品を中心に取扱説明書(マニュアル)のペーパーレス化が進み、また、デジタル製品そのものの市場が縮小したことを受け、同製品向けの販売が大きく減少しておりました。現在は複合機やプリンターなどオフィス向け製品の情報機器メーカーとの取引も多いことから、今後、オフィスでのDX化に伴いペーパーレス化が更に進み、複合機及びプリンターそのものの市場が縮小した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、グローバルネットワークの活用などにより、新たな業種としてペーパーレス化の影響を相対的に受けにくい医薬・生活用品メーカーに特化した販売活動に注力するとともに、梱包設計のノウハウを活かしたパッケージ製品(化粧箱、梱包材、緩衝材等)の取引拡大にも努めております。
(4)仕入価格変動リスク
当社グループは、海外では主に紙製品(取扱説明書、パッケージ製品、ラベル等)を取り扱っており、その原材料である紙の価格変動により、仕入価格が影響を受けております。今後、この仕入価格が上昇し、直ちに製品への価格転嫁ができなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、新たな購買先の開拓により購入ルートの選択肢を広げるとともに、市場動向に合わせた迅速な購入により充分な原材料在庫を確保することでリスク低減に努めております。
(5)為替変動リスク
当社グループの当連結会計年度の全売上高のうち、海外での売上高が約72%を占めているため、為替レートの変動による為替換算後の金額に影響を受けております。更に外貨取引も多いため、外貨取引により生じた資産・負債についても為替の変動リスクに晒されております。今後、円高もしくは円安に進行した場合、これらは当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、外貨建て債権債務においては、外貨建ての銀行借入等の残高の調整を行うことにより、ネットしたポジションをほぼ均衡させることでリスク低減に努めております。
(6)有利子負債残高に関するリスク
当社グループの当連結会計年度末の有利子負債残高(社債、借入金、リース債務の合計額)は6,913百万円と総資産の約35%を占めております。当社グループは、原則、変動金利で借入を行っているため、今後、市場金利の上昇に伴い金融費用が増加した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、一部について固定金利で借入を行うことにより、金利変動リスクの低減を図っております。
(7)カントリーリスク
当社グループの当連結会計年度の全売上高のうち、中国及び東南アジア/南アジアでの売上高が約60%を占めております。今後、これらの国で法改正・政策変更や人件費高騰、外交問題などの要因により、顧客の撤退や生産縮小などが生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、各国の政治・経済情勢の把握や取引顧客との連携強化を図る一方で、その影響を分散すべく多くの国に進出し、リスク軽減に向けた事業構造の構築に努めております。
(8)製品の品質にかかるリスク
当社グループは、デジタル製品や家電、輸送機器などの取扱説明書の制作・編集・印刷や、パッケージ製品などを供給しております。これら制作・製造工程において、企画・編集・制作時のミスや印刷時のミスプリント、乱丁などによる不具合の製品が市場に流出した場合、顧客に損害を与える可能性もあります。これら当社の瑕疵により発生した損害金額の規模や頻度、事後対応、更には当社グループの信用が失墜した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、従業員への教育研修によりスキル向上を継続的に図るとともに、グループ全体を統括する社長直轄の品質保証室のもと、各拠点にも品質担当者を配置することで、継続的に品質の向上・改善を進め、顧客のニーズに適時適切な対応を図る体制を構築しております。
(9)主要顧客の生産動向によるリスク
当社グループの当連結会計年度の売上高のうち、最大顧客の売上高でも約16%であるため、特定の顧客による影響はある程度、分散されております。しかしながら、主要顧客の生産動向の変化により特定の地域セグメントの損益が悪化した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、常に新規顧客の開拓や既存顧客の拡充を推進し、バランスの取れた取引により特定の顧客への依存度低減に努めております。
(10)競合によるリスク
国内では、主に電機メーカーなどの事業再編により、マニュアル制作業界は縮小傾向にあると言われておりますが、今後、国内メーカーの事業再編が更に進み、既存の同業メーカー間で更に競争が激しくなった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
海外でも同様に、日系メーカーの事業再編が進む一方で、同業のローカルメーカーも台頭し、以前に比べ競争は激しくなっております。今後、この優位性を維持・継続できなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、国内事業においては特殊分野の制作能力(テクニカルライティング・翻訳等)を更に追求し、他社では対応できない独自性を高めております。海外事業においては他社に負けないQCDを更に追求するとともに、提案型のサービス展開にて顧客との強固な関係構築を進めており、グループ全体としては、グローバルでサプライチェーンの川上から川下まで一気通貫でサービス提供できる“One Stop Global Solution”の体制を強化し、競合に対しての優位性を図っております。
(11)情報漏洩によるリスク
当社グループは、顧客の未公表の新製品及びリニューアル品に関する開発情報に接しております。また、限定的ではあるものの、業務上で顧客に関する個人情報にも接しております。今後、情報漏洩による顧客からの損害賠償請求や信用の低下、取引停止などが生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、情報セキュリティをリスクマネジメントの最重要項目のひとつとして捉え、情報セキュリティ分科委員会を設置するとともに、情報セキュリティに関する諸規程の整備や役員・従業員への啓蒙活動、管理体制の体系化及びシステム・運用の強化、更には外部によるネットワーク脆弱性診断にも取り組んでおります。
(12)優秀な人材の確保
当社グループが持続的な成長を実現していくには、優秀な人材を確保・育成していくことが最重要項目のひとつとして捉えております。しかしながら、当社グループが求める人材を計画通り確保・育成できなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、様々な採用手法を活用し優秀な人材を確保するよう努めるとともに、当社グループが求める人材として活躍できる組織体制及び職場環境の整備やエンゲージメント向上を目指した教育体制の強化に取り組んでおります。
(13)大規模災害や感染症発生等のリスク
当社グループは、国内外に多くの拠点があるため、局地的な水害や地震などの自然災害や火災、暴動、テロなどの人災等の大規模災害や新型コロナウイルス感染症等の世界的蔓延(パンデミック)が発生した場合、事業拠点の損壊や従業員の被災や罹患により生産活動の停止又は、遅延などの可能性があります。また、顧客における操業停止や販売活動の停滞などにより当社グループの事業活動や業績に影響を与える可能性もあります。
当社グループでは、グループ全体の事業継続をリスクマネジメントの最重要項目のひとつとして捉え、BCM分科委員会を設置し、緊急時の事業継続のためのバックアップ体制を構築しております。なお、近年の新型コロナウイルス感染症やその他パンデミックへの対応としては、テレワーク勤務や時差出勤を導入するとともに、オフィス・工場内の感染予防対策なども徹底し、リスクの最小化に取り組んでおります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主への利益還元を経営の最重要課題のひとつとして重視するとともに、将来にわたる企業の安定と発展のために内部留保を充実し、株主の皆様に対する利益を長期的に確保することが重要であると考えております。
この方針に基づき、当事業年度の配当については、1株当たり46円とさせていただきました。これにより、当期の年間配当は、既に実施した中間配当と合わせ1株につき89円となりました。
株式上場以降、期末と中間の年2回の配当実施を基本方針としつつ、配当の金額につきましては、配当性向30%以上を目標に、安定性と成長性のバランスを重視し、経営環境の変化に対応するための持続的な投資に必要な内部留保、中長期的な業績見通し及び資金状況などを総合的に勘案して業績連動型の配当を実施していく方針にあります。
また、内部留保資金につきましては、企業体質の強化に向けて有利子負債の削減など財務体質の充実を図りながら、海外での投資や既存設備の整備など、当社経営基盤の拡充・整備などに有効に活用し、当社の競争力及び収益力の向上を図ってまいります。
なお、当社は、会社法第459条第1項の規定に基づき、期末配当は6月30日、中間配当は12月31日をそれぞれ基準日として、剰余金の配当等を取締役会の決議により行うことができることを定款に定めております。
(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(千円) |
1株当たり配当額(円) |
2024年2月14日 |
132,535 |
43 |
取締役会決議 |
||
2024年8月14日 |
141,782 |
46 |
取締役会決議 |