2024年6月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 売上高の公共事業比率が高いことについて

当社グループは、売上高の約6割をソーシャルインフラ事業が占めており、その製品の需要先は公共事業を施工するゼネコン等となっております。これら公共事業は減少傾向にあり、新規物件のコスト縮減策の推進から同業者間の競争はますます激しくなっております。このような事業環境のなか、公共事業の更なる縮小、取引先の業績悪化などがあった場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

これらに対し、当社グループでは、製品ラインアップの充実及び組織力を駆使した複合提案により、防災・減災及び老朽化対策ニーズへの迅速かつ的確な対応を行うほか、民間需要に対する営業力も高めてまいります。

 

② 原材料について

当社グループの主力製品である土木資材は、合成樹脂、合成繊維を主な原材料としております。その原材料の主成分である原油価格の上昇により、原材料価格が高騰し、その上昇分を販売価格に転嫁できない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

これらに対し、当社グループでは、販売価格への転嫁や製造コストの低減を速やかに実現できるよう努めているほか、海外を含めた産地や仕入先の分散による複数社購買を推進しております。

 

③ 知的財産等について

当社グループは、新製品・工法等について特許権等の知的財産の登録を行い、権利保護に努めておりますが、国内外において当社グループの権利が侵害される可能性があります。

また、当社グループは、第三者の知的財産を侵害しないように注意を払っておりますが、当社グループが認識していない範囲で第三者の知的財産を侵害する可能性があります。当社グループが仮に侵害し、第三者と知的財産権をめぐって損害賠償、対価の支払い等を請求された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

これらに対し、当社グループでは、知的財産権の取得を積極的に推進するほか、新製品開発における侵害調査、当社グループ社員に対する知的財産権に関する教育を実施し、侵害防止に努めております。

 

④ 訴訟・クレーム問題について

当社グループが製造する土木資材、農業資材、自動車用鍛造ホイール、産業資材等の製品欠陥が原因で生命、身体又は財産に損害を及ぼした場合は、訴訟・紛争等の対象となる恐れがあります。現在において当社グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されておらず、このような事故の防止対策には万全を期しておりますが、万一製品に瑕疵があり、具体的な損害が顕在化した場合、当社グループの信用力低下に繋がる恐れがあり、また補償の負担割合等によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

これらに対し、当社グループでは、設計・開発段階における品質向上や、耐久性試験等による品質確認を徹底しております。また、製品の使用可能領域や安全な施工方法について取引先と十分な事前打合せを行うことで、双方の認識の相違による事故の発生防止に努めております。

 

⑤ 自然災害について

当社グループの主要な製品の製造拠点は、北陸圏内に集中しております。そのため、局地的な水害、冬季間の雪害、地震等により物流が滞り、原材料の入荷の遅延による生産不能又は生産能力の低下が発生した場合には、製品供給が滞る可能性があります。また、北陸圏内に限らず当社グループの製造拠点、仕入先等において、自然災害により物流の滞りや操業停止等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

これらに対し、当社グループでは、調達による操業停止リスクへの対応として、複数社購買を推進しております。また、生産拠点の複数化や、主要拠点における重要商材の在庫の確保により、生産・出荷に関するリスクにも対応を進めております。

 

⑥ 人材の確保について

当社グループの成長は、研究開発部門の優秀な技術者や製造部門の高度な熟練技能者によって支えられており、当社グループが今後も高い競争力を維持していく上でこれらの人材の確保はますます重要となっております。また、技術面のみならず、当社グループの成長過程においては、経営管理面の優秀な人材確保も一層重要になっております。一方、こうした人材への需要は大きく、企業間における人材の獲得競争は激しいものとなっております。これらの有能な人材の確保及び雇用の維持が困難な場合には、当社グループの成長に影響を及ぼす可能性があります。

これらに対し、当社グループでは、地域や学校等との連携を強め、交流・情報交換に努めるほか、通年採用の実施により、新卒者に限らず、第2新卒、キャリア採用を含めた幅広い人材との接触機会を増やすことで、優秀な人材の獲得を目指します。また、人材育成においても、研修専任者がきめ細かな育成計画を設定し、より実効性のある育成計画を作成・実施してまいります。

 

⑦ 為替相場の変動について

当社グループは、国内を中心に事業活動を展開しておりますが、原材料・商品の一部を輸入品により調達しております。大幅な為替相場の変動が起こった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは一部でデリバティブ取引を行い、当該リスクの軽減に努めておりますが、一方で本来得られた利益を逸失する可能性があります。

これらに対し、当社グループでは、グループ全体としての通貨別資金ポジションを現在及び将来計画まで含め可視化するとともに、為替予約の利用などを通じて大幅な偏りを回避いたします。

 

⑧ 自動車用軽合金鍛造ホイールの販売について

当社グループにおいて、連結子会社であるBBSジャパン株式会社及びBBS Motorsport GmbHの営業収入は、同社が製造販売する自動車用鍛造ホイールを装着した自動車の販売及びアフターマーケット市場からの需要に大きく影響を受け、これらを販売している国又は地域の経済状況の影響を受けます。したがって、主要市場における景気後退及びそれに伴う需要縮小のほか、自動車部品・原材料のサプライチェーンが停滞した場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、他社との競争環境の中で、技術面やデザイン面において、高度化する自動車メーカーやコアユーザーのニーズに的確に対応していかなくてはなりません。同社が市場や顧客からの支持を獲得できる新製品を提供できなければ需要が縮小し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これらに対し、同社では、将来の受注見込みの見える化を行いながら増産体制を整えるとともに、販売先、適用車種の偏りによる業績への影響を和らげるため、受注先の分散化を図っております。また、新しいモノづくりとして、軽量化・高剛性化・高強度化を追求しつつ、デザイン性のさらなる向上や製造コスト削減にも取り組んでおります。

 

⑨ 企業買収等について

当社グループは、企業買収及び資本参加を含む投資による事業の拡大を企画することがあります。これらの投資に当たり、当社グループは、当該企業の財務内容や契約内容などについてデューデリジェンスを行い、事前にリスク回避するように努めておりますが、期待した利益やシナジー効果をあげられる保証はありません。事業環境の急激な変化など、不測の事態が生じる場合、当社グループの事業展開、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これらに対し、当社グループでは、M&Aに関する社内ガイドラインをより具体的な内容に改善し、過大投資や低収益事業の買収の回避に努めてまいります。なお、投資の判断にあたっては、外部専門家と連携し、多方面からの分析を実施しております。

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、株主各位に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして認識しております。配当につきましては、当期・中長期の業績の見通し、将来の事業展開を勘案し、安定継続配当を行うこととしております。また、内部留保につきましては、当社グループの競争力の維持・強化による将来の収益力向上を図るための設備投資及び研究開発並びに事業領域の拡大と業績の向上につながるM&Aに有効に活用する方針であります。

当社は、「剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めがある場合を除き、株主総会の決議によっては定めず、取締役会の決議によって定める」旨を定款に定めております。また、会社法第454条第5項に定める中間配当をすることができる旨を定款に定めており、毎事業年度における配当の回数につきましては、中間配当及び期末配当の年2回の配当を行うことを基本方針としております。

当事業年度の期末配当金につきましては、2024年9月11日開催の取締役会にて、1株当たり22円の配当を実施する旨及び効力発生日を2024年9月27日とする旨決議いたしました。

当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

1株当たりの配当額

2024年2月14日

607百万円

20.00円

取締役会決議 (中間)

2024年9月11日

747百万円

22.00円

取締役会決議 (期末)