2025年12月期有価証券報告書より
  • 社員数
    988名(単体) 9,455名(連結)
  • 平均年齢
    40.4歳(単体)
  • 平均勤続年数
    12.2年(単体)
  • 平均年収
    10,798,440円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2025年12月31日現在

セグメントの区分

従業員数(人)

日本地域

1,289

[254]

北米地域

1,149

[174]

欧州地域

1,744

[186]

中華圏地域

1,402

[118]

オセアニア地域

388

[429]

東南・南アジア地域

614

[73]

その他地域

867

[2]

全社(共通)等

2,002

[310]

合計

9,455

[1,546]

(注) 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2025年12月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

988

[60]

40.4

12.2

10,798,440

(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.セグメントは「全社(共通)等」であります。

 

(3)労働組合の状況

 アシックスは、アシックスユニオンが結成されており、上部団体UAゼンセン同盟に加入しております。また、一部の子会社において、それぞれ個別に労働組合が結成されております。

 なお、労使関係につきましては、とくに記載すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①女性活躍推進法、育児・介護休業法に基づく開示

名称

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

(注)1.4.

男性労働者の育児休業取得率(%)
(注)1.5.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.2.3.4.6.

全労働者

うち正規雇用

労働者

うちパート・有期労働者

アシックス

20.4

71.0

83.4

79.8

107.7

アシックスジャパン㈱

25.0

53.8

68.9

69.6

90.5

㈱ニシ・スポーツ

4.5

86.8

87.1

77.6

アシックス商事㈱

11.5

75.0

48.8

75.7

54.9

山陰アシックス工業㈱

12.0

100.0

76.0

82.4

84.7

(注)1.労働者は、正規雇用の労働者及びフルタイムの無期化した非正規雇用の労働者を含んでおります。

2.パート・有期労働者は、パートタイマー及び有期の嘱託契約の労働者を含み、派遣社員を除いております。

3.全労働者は、正規雇用労働者とパート・有期労働者を含んでおります。

4.管理職に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金の差異について、出向者は出向元の労働者として集計しております。

5.男性労働者の育児休職取得率について、育児・介護休業法に基づき算出しており、出向者は出向元の労働者として集計しております。

6.労働者の男女の賃金の差異について、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しております。なお、同一労働の賃金に差はなく、役割別の人数構成に差があることによるものであります。

 

②連結会社

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1.2.

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)3.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.2.4.

アシックス及び連結子会社

41.0

*

77.1

(注)1.正規雇用の労働者及びフルタイムの無期化した非正規雇用の労働者を含めて算出しております。

2.管理職に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金の差異について、出向者は出向元の労働者として集計しております。

3.「*」は海外関係会社の男性の育児休職取得率の集計を実施していないため、記載を省略していることを示しております。

4.労働者の男女の賃金の差異について、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しております。なお、同一労働の賃金に差はなく、役割別の人数構成に差があることによるものであります。賃金は、基本給及び賞与等のインセンティブを含んでおります。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

アシックスグループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてアシックスグループが判断したものであります。

 

(Ⅰ)サステナビリティ共通

アシックスは、創業より、「健全な身体に健全な精神があれかし」の実現を目指しております。そのためには、人々が快適にスポーツができる健やかな地球環境が不可欠です。アシックスのサステナビリティ活動は、People(人と社会への貢献)とPlanet(環境への配慮)という、2つの柱に基づいており、この枠組みを通じた体系的な活動を行うことにより、スポーツができる環境を守ること、および人々の心身の健康向上を目指しております。

 

People(人と社会への貢献)では、誰もが一生涯、運動・スポーツに関わり、心と身体が健康で居続けられる世界の実現を目指しております。具体的には、製品やサービスを通じてお客様やコミュニティ、従業員、サプライチェーンで働く人々の心身の健康と、人権尊重に取り組んでいます。

Planet(環境への配慮)では、2050年に温室効果ガス排出量実質ゼロにコミットしています。2030年までに事業所及びサプライチェーンで63%削減することを掲げており、スポーツメーカーとして初めてScience Based Targets(SBT)イニシアチブの認定を取得しています。この目標達成に向け、事業全体で循環型ビジネスモデル構築に取り組んでいます。

 

(1)ガバナンス

<サステナビリティ方針とガイドライン>

アシックスでは、共通のサステナビリティ目標に向けてステークホルダーと協力できるように方針とガイドラインを設定しております。これらの方針とガイドラインは、アシックスの従業員、サプライヤー及びビジネスパートナーに対し、アシックスが環境を守り、人々の心身の健康を保ちながら、製品を企画、製造及び販売する方法を明確に示しています。アシックスは、方針とガイドラインを事業の中核に組み込むため、従業員やサプライヤー、ビジネスパートナーに対してもトレーニングを提供しております。

 

アシックス方針

アシックス

ビジネスパートナー管理

(含サプライヤー)

材料調達方針

・アシックスCSR方針

・アシックスグローバル行動規範

・グローバル反トラスト・競争方針

・グローバル賄賂防止・腐敗行為防止方針

・グローバル環境方針

・グローバル内部通報方針

・プライバシーポリシー

・アシックス人権方針

・コミュニティエンゲージメントガイドライン

・ビジネスパートナー管理方針(サプライヤー向け行動規範)

・CSRスタンダード

・工場CSRコンプライアンス管理ガイド

・アシックスグローバル工場選定ガイドライン

・委託先工場の撤退・縮小時の対応ガイドライン

・グリーン調達方針

・アシックス材料選定ガイドライン

・動物由来の材料に関する方針

・紛争鉱物に関する方針

・リサイクル材料に関する方針

・綿に関する方針

・制限物質に関する方針

・サステナブルパッケージ方針

・アシックスフットウエア材料調達方針

 

 

<サステナビリティの管理>

アシックスでは、サステナビリティを経営に不可欠なものと考え、コーポレート・ガバナンスに反映しております。サステナビリティのガバナンス体制については、取締役会がサステナビリティ戦略全般を監督しています。アシックスは、サステナビリティ委員会(委員長:代表取締役会長CEO)において気候変動に関する機会を管理し、リスクマネジメント委員会(委員長:代表取締役社長COO)において気候変動や人権を含むサステナビリティに関するリスクを管理しています。両委員会は執行役員と統括部長等で構成され、取締役会に対して、それぞれ年2回報告を行います。サステナビリティ管掌の常務執行役員CAOは、代表取締役会長CEO・代表取締役社長COOに直接報告を行います。

これらのガバナンス体制のもと、アシックスはTCFDの提言に基づき、気候変動に関するリスクと機会を特定・評価し、事業戦略に統合しています。特にサステナビリティ委員会が管理するCO削減目標は、気候変動戦略の基盤となっており、2050年までの温室効果ガス排出量実質ゼロという長期目標の達成に向けた取り組みを推進しています。

 

(2)戦略

<マテリアリティ(重要テーマ)>

アシックスは、企業戦略およびステークホルダーにとっての重要性の観点から、マテリアリティを設定しており、毎年の年次レビューと包括的なレビューを3年ごとに実施し、見直しを行っています。直近では、2023年に包括的なレビューを実施、2024年に実施された年次レビューによる変更はありませんでした。このダブルマテリアリティ評価では、社会への価値提供・インパクトからの重要性と、アシックスの企業理念・戦略にとっての重要性という2つの観点からテーマをマッピングし、最も重要なテーマを特定しました。評価対象は、アシックスが人と社会・環境に与える影響と、サステナビリティ課題が事業にもたらす機会・リスクです。

9つのマテリアリティは以下のとおりです。

 

 

マテリアリティ(重要テーマ)

アプローチ

心身の健康

誰もが一生涯、運動・スポーツに関わり、心と身体が健康で居続けられる世界の実現を目指す。

イノベーション

Human-centric science(人間中心の科学)や蓄積されたデータ、デジタル技術を活用した革新的な製品・サービスで人々の心身の健康向上に貢献する。

製品とサービスの品質

製品・サービスの安全性、品質、機能性を追求し、人々の心身の健康向上に貢献する。

サプライチェーンの人権・透明性

サプライチェーンで働く人々の人権を尊重し、心身の健康を保つ。バリューチェーンの透明性とサステナビリティを向上する。

気候変動への対応

バリューチェーン全体でCO₂排出量を削減し、運動・スポーツができる環境を守る。

循環型ビジネス

使う資源を減らして長く使える製品を生産し、資源を循環させ、CO₂排出量などの環境負荷を低減する。

ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン

多様な人財が公平に活躍してイノベーションを加速する、エンゲージメントの高い組織を実現する。

コーポレート・ガバナンスと開示

ガバナンス・ステークホルダーとの対話を強化し、財務と非財務情報を透明性高く開示する。

生物多様性と水の管理

自然資本へのインパクトを最小限に抑え、持続可能性を向上する。

 

 

(3)リスク管理

アシックスは、リスクマネジメント委員会(委員長:代表取締役社長COO)において、気候変動や人権を含むサステナビリティに関するリスクを管理しております。リスクマネジメント委員会は、執行役員と統括部長等で構成され、各対象リスクに対するリスク低減アクションの実施、進捗確認を行います。同委員会は年2回開催され、その確認内容は取締役会に報告されます。詳細は「気候変動への対応」「サプライチェーン上の人権尊重」の(3)リスク管理をご参照ください。

 

(4)指標及び目標

アシックスでは、サステナビリティの主要領域での目標とアクションプランを策定しております。2024年度の目標および主要な活動、実績は以下のとおりです。2025年度の実績は2026年6月頃にアシックスサステナビリティウェブサイトにおいて公表する予定です。

マテリアリティ

(重要テーマ)

目標

2024年主要な活動と実績

心身の健康

・2026年までにOneASICS会員数を3000万人以上

(活動)

・「Move Her Mind Hub」、「Desk Break Experiment」、関連のキャンペーンといった、「Sound Mind, Sound Body」の取組みを展開。

・Runkeeperやレース登録情報を一元管理し、より顧客の嗜好や行動にフィットしたコミュニケーションを可能に。

(実績)

・1,764万人(注)1(1,229万人)(注)2(2023年:945万人)

製品とサービスの品質

・製品中の制限化学物質の管理を継続

・2024年秋冬シーズン以降、あらゆる用途で有機フッ素化合物(PFAS)の意図的な使用を中止(規制のない地域での必要不可欠な用途は除く)

(活動)

・PTFEを含む、あらゆる用途でPFASの使用を中止。

(実績)

・2024年秋冬シーズン以降、あらゆる用途でPFASの意図的な使用を中止した(規制のない地域での必要不可欠な用途は除く)。

(2023年:PFASの意図的な使用を削減)

サプライチェーンの人権・透明性

・すべての一次生産委託先工場および主要二次生産委託先工場がアシックスCSR基準を満たす

(活動)

・サプライヤー評価システムを最適化。

・サプライチェーンでの人権デュー・ディリジェンスプログラムを強化。

・データの分析及び有効利用によって、リスクマネジメントを強化。

(実績)

・97%(直近1年間に評価対象となった工場の数に基づく)(2023年:99%)

 

 

マテリアリティ

(重要テーマ)

目標

2024年主要な活動と実績

気候変動への対応

・2030年までに事業所およびサプライチェーンでのCO₂排出量を63%削減(2015年比)

(活動)

・フットウエアの戦略的一次生産委託先工場の100%が具体的な再生エネルギー調達計画を策定。また、グリーン調達方針をアップデートし、フットウエアの戦略的一次生産委託先工場に対し、2030年までに再生可能エネルギーの調達率100%にコミットすることを求めた。

・新たな材料調達方針を制定。

(実績)

・43.1%(スコープ1及びスコープ2)14.9%(スコープ3)(2023年:31.3%(スコープ1及びスコープ2)21.6%(スコープ3))

・2030年までに事業所での使用電力を100%再生可能エネルギーに切り替え

(活動)

・主要地域での使用率向上:欧州(80%以上)、オーストラリア(70%以上)、日本(30%以上)。米国の配送センターでは、ソーラーパネルの容量を1MWから2MWに拡大。

(実績)

・36.8%(2023年:29.9%)

循環型ビジネス

・2030年までにシューズとウエアのポリエステル材の再生ポリエステル材比率を100%に切り替える

(活動)

・各カテゴリーへ再生ポリエステル材の使用を増やすための明確な方針を共有。

(実績)

・50%以上(2023年:40%以上)

・2030年までに3つの地域で回収プログラムを行い、製品と材料の再利用又はリサイクルを実施する

(活動)

・「NIMBUS MIRAI」を発売し、パートナー企業とともに、グローバルで「NIMBUS MIRAI」の回収を実施。

(実績)

・4地域(2023年:3地域)

ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン

・2026年までに女性管理職比率を40%

(活動)

・すべての地域で、ジェンダー平等に結びつく、女性のキャリアアップを支援するためのアクションプランが作成されている。

・グローバルDE&Iステアリングコミッティが、各アクションプランの進捗状況をモニタリング。

(実績)

・38.7%(2023年:38.1%)

・2026年までに従業員のエンゲージメントスコアを70

(活動)

・グローバルエンゲージメントサーベイを実施。「Sound Mind, Sound Body」を実現するべく、従業員の努力が報われる職場を作るためのアクションプランが作成された。

(実績)

・73(2023年:68)

 

 

マテリアリティ

(重要テーマ)

目標

2024年主要な活動と実績

ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン

・2026年までに障がい者雇用比率を4%(アシックス本社)

(活動)

・人財を確保するために、日本では障がいをもつ部下がいるマネジャーを対象としたワークショップを開催。

・日本のすべての従業員が神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会を観戦。

・人財採用のための広報活動を強化することにより、2名の新卒者と3名のキャリア採用者が入社(2名のパラアスリートを含む)。

(実績)

・3.1%(2023年:2.9%)

生物多様性と水の管理

目標設定無し

・LEAPを使ったリスク分析を開始。

・「Run for Reforestation Challenge」を通じた、気候変動と生物多様性保全活動への消費者エンゲージメント。

 

(注)1.2024年度より、日本、米国、欧州、およびオーストラリアでの会員数に、中国、インド、などで展開するローカルプログラムの会員数を追加した数となっています。また、アシックスのプライバシー
ポリシーに基づき、2年間使用されていないアカウントは失効となり削除されています。

2.2023年の第4四半期と同じ基準(主として、日本、米国、欧州、およびオーストラリアの会員数、
削除前)。前年比もこの数字が基準となっています。

 

<気候変動への対応>

アシックスは、健やかな地球環境の実現を使命とし、気候変動への対応を最重要課題として位置付けています。スポーツの発展には快適な環境が不可欠であり、そのために持続可能な取り組みを強化しています。2019年、アシックスは「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を、スポーツメーカーとして世界で初めて表明しました。 気候変動関連のリスクと機会に関する情報について、TCFD提言に沿って開示しております。

2050年ネットゼロに向けては、まずは2030年63%排出削減に向け、排出量の多いカテゴリでの削減を優先し、取り組んでおります。特に、アシックスは気候変動への取り組みをバリューチェーン全体に拡大し、ネットゼロに向けた具体的なロードマップを策定しております。

※詳細は「2050年ネットゼロに向けて」をご覧ください。

(1)ガバナンス

(Ⅰ)サステナビリティ共通 (1)ガバナンスをご参照ください。

 

(2)戦略

アシックスは、2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロ(ネットゼロ)の達成を目指し、バリューチェーン全体で循環型ビジネスモデルへの移行を進め、「中期経営計画2026」に基づき、スポーツのできる環境を守るための取り組みを推進しています。アシックスの事業は、生産委託先工場をはじめとするグローバルなサプライチェーンに支えられており、各パートナーとの協働が不可欠です。グローバル拠点では、配送最適化やグリーンエネルギーの調達によりCO排出量削減を実現しています。事業拡大に伴う排出増加にも対応すべく、ネットゼロに向けたロードマップに基づき、サプライヤーとの協働を強化し、持続可能な成長と環境負荷低減の両立を図っています。

主要サプライヤーには、再生可能エネルギーの導入などを求める「グリーン調達方針」を展開しております。2024年にはこの「グリーン調達方針」をアップデートし、2030年までに再生可能エネルギー使用率100%の達成を求めるとともに、対象範囲を拡大しました。フットウエアの戦略的一次生産委託工場の100%が再生可能エネルギーの調達計画を策定しています。

2024年には、スコープ1およびスコープ2で43.1%、スコープ3で14.9%の排出削減(2015年比)を達成いたしました。事業拡大に伴う生産量の増加により、スコープ3の削減率は2023年より低下しましたが、再生可能エネルギーの利用は順調に進捗しています。

アシックスは、サプライヤーとの継続的な対話を通じて課題を把握し、必要な支援を行いながら、バリューチェーン全体での脱炭素化と循環型ビジネスモデルへの移行を推進しています。今後も、ネットゼロに向けたロードマップに基づき、業界の発展や協働の機会に応じてアクションプランを継続的に改善していきます。

 

●シナリオ分析

経営企画部・経理部・財務部・生産統括部・サステナビリティ部が連携し、シナリオ分析を実施し、原材料価格の変動・製品表示規制の導入といった移行リスク及び気温上昇によるスポーツ時間の減少、台風、洪水の激甚化によるサプライチェーンの操業停止といった物理的リスクを特定しました。また、低炭素製品・サービスの開発・拡大を通じたイノベーション創出や顧客基盤の拡大といった機会も特定しました。リスクと機会の分析に当たっては、2030年・2050年を時間軸として設定し、1.5℃・2℃・4℃シナリオにおけるインパクトを試算し、対応策を策定しています。

この分析結果は代表取締役会長CEO・代表取締役社長COO、執行役員を含む経営層に報告され、事業戦略に統合されます。

リスクの内容

事業へのインパクト

財務

インパクト/年

対応策

移行リスク

原材料価格

の変動

石油由来原材料の調達コストの上昇

43億円

(2050年、4℃)

→ 財務影響を抑えた材料目標・ロードマップの策定

→ サプライヤーとの連携強化

製品表示規制

の導入

規制への対応のためのシステム導入コスト・人件費の増加

13億円

→ 規制を早期に理解し、必要なリソースを確保

→ 製品のカーボンフットプリント表示

物理的リスク

気温上昇によるスポーツ時間の減少

スポーツ機会(時間)の減少に伴う製品の買い替え頻度減少による売上の減少

24億円

(2050年、4℃)

→ 気温が上昇しても対応できる製品の拡大

→ 屋外スポーツができる機会が減少しても対応できるサービスの展開

台風、洪水の激甚化によるサプライチェーンの操業停止

生産委託先工場の浸水に伴う操業停止による売上機会の喪失

7億円

→ 自然災害リスクが高い地域にある生産委託先工場を認識したソーシング戦略

 

機会の内容

顧客基盤の拡大

→ 気候変動への積極的な取組みを通じて新たな顧客層へのエンゲージメントを高める

低炭素製品・サービスの開発・拡大を通じたイノベーション創出

→ サステナビリティと機能性を追求することでイノベーションを創出

→ CO₂排出が少ない製品・材料の開発

→ CO₂排出が少ない価値創造(新ビジネス領域)の特定、構築

気温上昇に対応した製品・サービスの展開

→ 人間工学研究の知見やデジタルを活用し、どんな環境下でも快適にスポーツを楽しめるソリューションを提供

サステナブルファイナンスの活用

→ 企業のサステナビリティパフォーマンスと透明性を向上し、グリーンボンドなどの積極的な活用により、効率的な資金調達を実施

※2022年度のデータに基づき算出

 

●サプライヤーとの連携

アシックス全体の環境負荷の65%以上がサプライチェーンの製造過程において発生しており、サプライチェーンとの協力が欠かせません。アシックスは、サプライヤーと協力して温室効果ガスの排出削減やサステナビリティ活動に取り組んでおります。

 

2024年までに、フットウエアの戦略的一次生産委託工場の100%が再生可能エネルギーの調達計画を策定しています。また、2030年までに100%再生可能エネルギー使用を目指し、2024年にグリーン調達方針を更新いたしました。さらに、コストや品質に加え、地政学リスクとサステナビリティを重視した材料調達方針を導入し、環境配慮材の採用やCO₂排出削減目標の設定を求めております。サステナビリティの進捗を管理し、サプライヤーから情報を提供してもらうことで、CO₂削減目標の達成に向けた対話を行っております。サプライヤーを招いたミーティングでは、アシックスのビジョンや新たな方針を共有し、業界の動向について意見交換をすることで、連携を強化しております。

 

●製品のカーボンフットプリント表示による開示の透明性向上

GEL-KAYANO 32等の製品に、材料調達から廃棄における温室効果ガス排出量(カーボンフットプリント)を表示しております。第三者による認証を受けた計算手法により、何百ものデータを集計して数値を算出し、計算手法も開示しております。製品のカーボンフットプリントを表示することにより、透明性を高め、温室効果ガス排出量削減に向けた取り組みを認知頂くことで、お客様と一緒に気候変動へのアクションを取ってまいります。

 

また、2025年に発表したミラノ・コルティナ2026オリンピック・パラリンピック冬季競技大会 TEAM JAPANオフィシャルスポーツウェアにおいても、対象アイテム※に同様の取り組みを展開し、製品ライフサイクル全体での数値をプリント表示しております。

 

※対象アイテム:ポディウムジャケット(アウトドア)、ポディウムパンツ(アウトドア)、ボディウムジャケット(インドア)、ボディウムパンツ(インドア)

 

アシックスは、TEAM JAPANゴールドパートナー(スポーツ用品)です。

 

(3)リスク管理

危機発生の回避および危機発生時の損失を最小化するため、代表取締役社長COOを委員長とするリスクマネジメント委員会において、リスクの特定、分析、評価、リスク低減のためのオーナーの割当、アクション策定とモニタリング、報告を行っております。この内容は年に2回取締役会に報告され、気候関連のリスクもこのリスク管理プロセスに統合されております。

 

(4)指標及び目標

アシックスは、スコープ1,2,3における温室効果ガス排出量について、2050年までにネットゼロを実現することにコミットしています。また、2030年までに63%削減(2015年比)する目標を掲げており、Science Based Targets(SBT)イニシアチブの認定を取得し、健やかな心身の実現には健やかな地球環境が不可欠との認識のもと、気候変動への対応及び循環型ビジネスモデルの構築に取り組んでおります。具体的な目標と進捗は以下の通りです。

 

<温室効果ガス排出量削減目標と実績>(注1)

Why

健やかな心身を実現するためには、健やかな地球環境が必要である

What(気候変動への対応)

2050年目標

温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする

2030年 CO₂排出量削減目標(基準年:2015年)

スコープ1&2

スコープ3

63%

事業所におけるCO₂排出量を削減

(実績43.1%)

63%

サプライチェーンでのCO₂排出量を削減(注2)

(実績14.9%)

How(循環型ビジネスモデル)

Action 1

2030年までに事業所での使用電力を100%再生可能エネルギーに切り替え(実績36.8%)

Action 2

2030年までに一次生産委託先工場でのエネルギー使用量を2015年比50%削減(実績13.1%)

Action 3

2030年までに一次生産委託先工場での使用電力の85%再生可能エネルギーへ切り替え(実績19.1%)

Action 4

2030年までにシューズとスポーツウエアで使用するポリエステル材を再生ポリエステル材比率100%に切り替える(実績50%以上)

Action 5

2030年までに3つの地域で回収プログラムを行い、製品と材料の再利用またはリサイクルを実施(実績4地域)

Action 6

パートナーシップを通じてイノベーションを創造

(注)1.アシックスは、サプライチェーンにおけるバイオ燃料の使用状況を確認し、サプライヤーと連携してデータ収集を開始しております。今後、バイオ燃料の使用量把握に努め、バイオ燃料に関するGHGプロトコルの変更に対応した算定・開示の準備を進めております。

2.対象範囲は「購入した製品・サービス」と「販売した製品の廃棄」。

 

<2050年ネットゼロに向けて>

2030 ― 削減目標達成に向けたアクション

排出量の多いカテゴリの削減を優先

1. 2030年までに事業所での使用電力を100%再生可能エネルギーに切り替え

2. 2030年までに一次生産委託先工場でのエネルギー使用量を50%削減

3. 2030年までに一次生産委託先工場での使用電力を85%再生可能エネルギーに切り替え

4. 2030年までにシューズ及びウエアのポリエステル材を100%再生ポリエステル材に切り替え

5. 製品や材料を再利用またはリサイクルするための回収プログラムを3地域で実施

その他の取組み

・製品カーボンフットプリント表示の拡大、低排出製品の開発など、脱炭素化に向けたイノベーション

・気温が上昇しても対応できる製品の拡大、自然災害リスクが高い地域にある生産委託先工場を認識したソーシング戦略など、気温上昇への対応

・財務影響の特定や必要な投資計画の策定

 

2050 ― ネットゼロに向けたアクション

すべてのカテゴリで削減施策を実施し、ネットゼロへ

・製造工程での使用電力の再生可能エネルギー100%へ

・バイオ燃料・電気自動車などを使用した輸送

・回収・リサイクルのさらなる拡大などを通じて、温室効果ガス排出量を約90%削減、残り約10%の残余排出量は除去系クレジットの活用等により中和化

 

 

2024年度のCO₂排出量実績は以下の通りです。

(Ⅰ)サステナビリティ共通 (4)指標及び目標、マテリアリティ「気候変動への対応」「循環型ビジネス」もご覧ください。

 

 

2024年度

CO₂排出量

スコープ1+2 CO₂排出量(t-CO₂)

17,565

 

スコープ3 CO₂排出量(t-CO₂)

776,017

 

2024年度の目標および主要な活動、実績は以上のとおりです。2025年度の実績は2026年6月頃にアシックスサステナビリティウェブサイトにおいて公表する予定です。

 

<サプライチェーン上の人権尊重>

アシックスでは2004年に生産委託先工場の監査を開始いたしました。2022年からは、責任ある調達の徹底とトレーサビリティと透明性の確保を目指し、新規工場と主力工場の監査に加え、これまで比較的監査の頻度が低かった低リスク工場についても、より詳細な実態把握を進めております。2024年には、監査評価方法を改良し、従来の17項目から詳細な評価項目を設定することで、より具体的なリスク分析を可能にいたしました。

アシックスサプライチェーン管理プログラムは、以下の主要なステップに基づいています。

コミットメント

モニタリングと

リスク管理

研修と能力開発

報告及び透明性

・グローバルで適用する方針とガイドラインの策定

・方針に関する社内外のコミュニケーション(教育研修を含む)

 

・事業及びサプライチェーンでの人権リスクの評価

・安全で倫理的な職場基準を保証するための監査と是正措置

・サプライヤー向け研修

・ベストプラクティスの共有

・マネジメントシステムの強化と責任ある調達に関する能力開発のサポート

・報告書やウェブサイトでの情報開示

・現代奴隷法に基づく開示

・業界基準ツールの活用と工場リストの開示

 

(1)ガバナンス

アシックスのガバナンス体制には、人権に関する方針が組み込まれております。2022年に、社内外のステークホルダーとの協働による調査を経て、新たに「アシックス人権方針」を策定いたしました。この方針は、人権デュー・ディリジェンスの要素や優先領域を定めたもので、株式会社アシックス及びそのグループ会社に適用されます。

また、リスクマネジメント委員会の管轄下に人権委員会を設置し、アシックスのサプライチェーン、社員、お客様を含むバリューチェーン全体の人権デュー・ディリジェンスの監督を行っております。人権委員会はマーケティング、法務、サステナビリティ、人事といった主要部署の代表者が委員として参加しています。委員会は年に2回開催され、方針のレビュー、リスク評価、進捗度の確認が行われます。審議の内容は取締役会へ報告されます。2024年は、サプライチェーン上の優先リスクへの対応、国際的スポーツ大会に関連する人権リスクへのモニタリング状況等が同委員会で報告されました。アシックスでは、中長期に投資をする案件へのデュー・ディリジェンスに人権の観点も組み込んでいます。この仕組みを通じて、投資事業による負の影響である人権リスクの特定等を行っております。

 

(2)戦略

中期経営計画の一環として、アシックスは、バリューチェーン全体での人権デュー・ディリジェンスの実効性の向上に取り組んでおります。2024年はサプライヤー評価システム・体制の最適化、サプライチェーンでの人権デュー・ディリジェンスの強化、データ分析・活用によるリスクマネジメントの強化に取り組みました。また、透明性の確保に向けて、上流サプライヤーの可視化や監査結果などの一元管理のため、原材料調達から最終製品までのサプライチェーン管理の仕組みのデジタル化を進めています。2024年には、優先度の高い素材の上流サプライヤーの可視化や、監査業務の効率化に注力しました。今後は対象となる素材の拡大を計画しており、原産地などのサプライチェーン情報や取引の流れをより効率的に追跡できるよう努めます。

 

(3)リスク管理

アシックスは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいてサプライチェーン上の人権デュー・ディリジェンスを実施しております。具体的には、サプライヤー候補との取引の検討に当たって、事前スクリーニングとリスク評価を実施しています。社内で承認された国のみから調達を行うことで、リスクの低減に努めています。また、アシックスは、国際労働機関(ILO)の中核的な労働基準等の国際基準を参照したアシックス独自の方針と基準、及び関連法規を守ることをサプライヤーに求めております。そのため、第三者監査も含む定期的な監査によってリスクの把握を行っています。2024年は、対2023年比20%増の合計87の生産委託先工場に監査を実施し、97%がアシックス基準に到達しました。これらの監査のうち、77%は独立した第三者によるもの、7%はアシックスが実施した内部監査によるもの、15%は国際労働機関(ILO)のベターワークと連携して行ったものであります。また、SEDEX(Supplier Ethical Data Exchange)の会員となり、サプライヤーを含む会員企業間で共有されるデータをリスクマネジメントに活用できるようになりました。

監査後は改善計画に基づき、適切な期間やプロセスを経て改善を促し、改善状況の確認を行います。改善が進まない場合は警告対象となり、取引終了につながる可能性もあります。

さらに、救済へのアクセスの仕組みも順次対象を拡大しています。2024年には、工場のマネジメントと従業員間のコミュニケーション強化、職場の透明性向上を支援するため、レイバー・ソリューションズ社のWOVOプラットフォームを導入し、eラーニング、匿名の従業員アンケート、デジタル苦情処理メカニズムの導入を開始しました。このプラットフォームはカンボジア、ベトナム、台湾の6つの戦略工場に導入されており、その他の工場への展開も検討中です。また、一次生産委託先工場の情報や監査結果をデジタルシステムに登録し、人権・労働リスクの可視化を強化いたしました。

 

(4)指標及び目標

 

目標

2024年度

アシックスサステナビリティ基準を満たす一次生産委託先工場の割合(%)

100

97

 

2024年度の実績は上記のとおりです。2025年度の実績は、2026年6月頃にアシックスサステナビリティウェブサイトにおいて公表する予定です。

 

 

(Ⅱ)人的資本

アシックスでは、働く従業員一人ひとりが、創業哲学「健全な身体に健全な精神があれかし」から導かれたブランド・スローガン「Sound Mind, Sound Body」を体現する存在であることを重視しています。また、グローバルな競争が激化する中、市場の多様なニーズに的確に対応し、新規ビジネスや付加価値創造を継続的に行っていくために「組織の多様性」も重視しています。中期経営計画2026ではGlobal Integrated Enterprise(GIE)への変革を目指し、「多様なバックグラウンドを持つ優秀な人財が思う存分力を発揮できる環境の整備」のため、3つの観点から取組みを実施し、経営基盤を強化していきます。さらに、アシックスでは「人財こそが持続的成長の源泉である」との認識のもと、従業員のエンゲージメント向上とキャリア開発支援にも注力しています。具体的には、グローバル共通の人事制度の整備や、リーダーシップ育成プログラム、多様な働き方を支える柔軟な勤務制度を導入しています。また、心理的安全性の高い職場環境の構築を通じて、従業員が自らの価値観や強みを活かしながら挑戦し続けられる企業文化の醸成を図っています。

 

(1)ガバナンス

 

・人事委員会の役割

Vision2030の実現に向けて、事業成長を支える人事施策の方向性を議論しています。GIEへの変革に向けたグローバル人事戦略の方向性、またグローバルから選抜した経営幹部候補者の育成方針の確認と継続的な人財開発投資並びに配置などについて検討しています。

 

・人財開発の基本方針

アシックスは従業員の意欲を高め、個人の成長とともに会社が成長できる企業文化の醸成を目指しています。このために、様々なプログラムを通して、多様性を受け入れ、従業員一人ひとりが互いを尊重し、個性と創造性が発揮できる環境を整えていきます。

 

 

(2)戦略

アシックスは、中期経営計画2026の重点戦略として人的資本投資の強化を掲げ、多様なバックグラウンドを持つ優秀な人財が思う存分力を発揮できる環境の整備を目指しています。人的資本投資の強化に関わる主な取り組みは以下の3項目です。

 

① 従業員によるSound Mind, Sound Bodyの実現

課題

アシックス全体の持続的成長のため、従業員のエンゲージメントとウェルビーイングを高めること

戦略

● 業界最高水準の報酬体系の実現

● 従業員のウェルビーイング推進により、エンゲージメントの高い職場を実現

● デジタルを活用した多様な働き方と成長機会の提供

 

② グローバルでダイナミックな人財活用

課題

GIEの変革に必要な、グローバルで活躍できる人財の発掘や育成・登用

戦略

● 全世界からグローバルで活躍できる人財の育成と活用

● オペレーショナルエクセレンスを踏まえた最適人員数の実現

● 適材適所に人財を配置し、人件費率13%を実現

 

③ ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン

課題

多様な視点と創造性で新たなアイデア、イノベーションを生むため、役員や管理職に占める女性の
比率等、多様性に改善の余地あり

戦略

● 女性管理職比率の向上

● 障がい者雇用の促進と環境の整備

● 多国籍な役員構成の実現

 

 

①従業員によるSound Mind, Sound Bodyの体現

近年、従業員の心身の健康やワークライフバランスの重要性が高まっています。企業にとって、従業員一人ひとりが働きがいを感じることができる環境を整備することは、生産性の向上や優秀な人財の確保・定着化にもつながります。そこでアシックスでは、従業員のウェルビーイングを重視し、その向上を図るための専門部署「ウェルビーイング推進部」を新設しました。この部門では、従業員の心身の健康管理はもちろん、キャリア形成支援、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(以下、「DE&I」という。)やエンゲージメント活動の推進など、従業員の働きがいの向上につながる様々な施策を企画・実行しています。

 

a.業界最高水準の報酬体系

業界最高水準の報酬体系を実現すべく、報酬体系及び報酬水準の見直しを進めています。報酬体系については、グローバルでのプロフィットシェア型賞与の支給、そして国内従業員(アシックスおよびアシックスジャパン)のみならず海外子会社の責任者等へも譲渡制限付株式インセンティブ制度を導入し、従業員に利益をしっかりと還元すると共に、従業員が株主・投資家の皆様との一層の価値共有を進めていくことで、更なる企業価値向上を目指していきます。また、新卒初任給の引き上げや継続的な賃上げを通して、優秀な人財の獲得・定着を進めていきます。

 

b.エンゲージメント

・目的・方針

Sound Mind, Sound Bodyの実現に向け社員一人ひとりが仕事を通して働きがいを感じている状態が、イノベーションを促し、生産性を向上させ、お客様により良い製品やサービスを提供できると考えています。アシックスでは、Sound Mind, Sound Bodyの実現には従業員のエンゲージメントは欠かせないものととらえ、以下のように重点的な活動をしています。

 

・重点的な活動内容

グローバル全体の従業員を対象に、年に1回のグローバルエンゲージメントサーベイを実施しています。このサーベイを通して、社員一人ひとりが働きがいを感じているか/組織改善の進捗などを確認するとともに、会社全体としてのアクションの検討をしております。

 

2024年のサーベイ結果では、「成長の機会」および「キャリア」に関する項目が、グローバル共通の重点課題として抽出されました。これを受けて、グローバル人事責任者と連携し、従業員が自律的にキャリアを考え、成長に必要なスキルやマインドを習得することを目的とした自己開発プログラム「Growth In Motion」を企画・導入しました。

各リージョン・各事業会社においても、地域・組織ごとの課題に即した改善活動を推進し、国内外における組織のアクションプランの策定・実行率は100%を達成しました。これらの取り組みの結果、グローバル全体でエンゲージメントスコアが前回比+2向上しました。今後もサステナブルなエンゲージメント向上を目指し、PDCAサイクルに基づく継続的な改善活動を推進してまいります。

 

・推進体制

グローバルエンゲージメントサーベイの結果を基に、人財開発や組織開発、事業の成長に向けた取組みを進めています。サーベイの実行・会社全体の組織状態の分析はエンゲージメント事務局が行い、各組織単位ではその組織長とメンバーがサーベイの結果を基にした対話を重ねることによりエンゲージメントの推進を図っています。

 

c.ウェルビーイング

・目的・方針

アシックスは、従業員によるSound Mind, Sound Bodyの実現のため、従業員とその家族のWell-being(身体的・精神的・社会的に良好である状態)を目指しています。2025年度の取組みとして「従業員1人ひとりのヘルスリテラシーの向上と定着」という方針のもと、戦略マップに基づき以下の5つの健康推進活動を中心に実施し、効果検証を行っております。

 

・重点的な活動内容

(i)健康管理・増進体制の拡充

・健康管理システムの構築と運用

・健康管理システムを活用した各種データの一元化と分析

 

(ⅱ)ヘルスリテラシーの向上支援

・調べやすい環境の整備(ポータルサイトの整理、興味・関心に合わせた情報発信、情報のアーカイブ化)

・専門スタッフによる健康情報の解説(産業保健スタッフによる情報発信、医師によるセミナー)

 

(ⅲ)生活習慣の改善支援

・アプリなどを利用した参加型運動イベントの開催

・卒煙モチベーションに合わせた卒煙サポートプログラムの実施

・社内運動会での運動促進とコミュニケーションの向上

 

(ⅳ)メンタルヘルス対応の強化

・日常に取り入れやすいメンタルヘルスケアに関するセミナー

・EAPの周知と活用促進

・療養者におけるフォロー体制の強化

 

(ⅴ)多様な人財が活躍できる職場環境

・女性の健康とスポーツ啓発セミナー

 

 

・推進体制

アシックスの健康推進活動は、ウェルビーイング推進部を中心に年度方針と計画に基づいて実行されており、進捗状況やその内容については代表取締役社長COOが監督を行っています。

 

・評価

各種施策の効果検証と共に、年に1回従業員に対して健康に関するアンケートを実施し、ヘルスリテラシー評価などの健康関連の最終的な目標指標の項目を測定しています。

 

(健康関連の最終的な目標指標)

 

2024

2025

アブセンティーズムの減少※1

メンタル理由による休職者率

0.18%

0.36%

 

労働災害死亡者数

0人

0人

 

労働災害度数率※2(LTIFR)

0.00%

0.00%

プレゼンティーズムの減少※3

パフォーマンス発揮率※4

84.7%

87.0%

ヘルスリテラシー評価※5

ハイリテラシー従業員比率※5

28.2%

21.6%

※1 欠勤、休職により仕事ができない状態

※2 100万延べ実労働時間当たりの労働災害による死傷者数をもって、災害発生の頻度を表したもの

   休業災害度数率=労働災害による死傷者数 / 延べ実労働時間数 × 100万

※3 仕事を休んでいないが、健康上の問題が影響してパフォーマンスを発揮できていない状態

※4 病気やけががないときに発揮できる仕事の出来を100%として過去4週間の自身の仕事を
    パーセンテージで評価した時の平均値を算出

※5 ①情報収集力②情報選択力③情報伝達力④情報判断力⑤自己決定力の各項目において5段階

   (1:全く思わない⇔5:強く思う)で評価を実施し、すべての項目において4もしくは5と
    回答した場合にハイリテラシーであるとしている。

 

パフォーマンス発揮率、ハイリテラシー従業員比率についてはASICS Well-being survey(健康に関する社内アンケート調査)より取得

(2024年度:回答者数766名/990名(回答率77.4%) 2025年度:回答者数810名/985名(回答率82.2%)

 

②グローバルでダイナミックな人財活用

・目的・方針

タレントマネジメントでは、グローバル経営幹部候補者の育成、及び社員一人ひとりの自律的な成長・キャリア形成を目指し、採用・育成・配置・評価・能力開発に関する仕組みをグローバル横断的に整えています。なお、ここにはサクセッションプラン(後継者育成計画)の推進も含まれます。

具体的には、人事委員会を中心に選抜された社員を対象としたASICS Academy(次世代リーダー育成選抜型プログラム)の実施や計画的なジョブローテーションによる能力開発、働きやすい環境の整備(ダイバーシティ&インクルージョンや健康経営の推進)、従業員へのグローバルエンゲージメントサーベイの実施・結果分析・施策実施等の取組を実施しています。

今後更に人財育成を加速させるため、サクセッションプランに基づく育成計画を作成し、国内外の重要ポジションへの登用を実施しています。また上司部下間でのキャリア開発プランに関する対話とアクションを通じ、会社全体で「パフォーマンスカルチャー」の醸成につなげます。

 

・重点的な活動内容

●次世代リーダー育成

・ASICS Academy

グローバルでビジネスをリードできる人財を、戦略的かつ早期に育成することを目的とし、2016年に「ASICS Academy」を立ち上げました。次世代リーダーとして選抜された社員を対象に、経営知識やDX活用を含む戦略思考を学ぶプログラムを実施しています。管理職以上を対象としたプログラムはグローバル全社から選抜されたタレントが英語を共通言語として参加し、2025年度実施分については15名が受講しました。また、習得した知識を業務で活用できるようキャリア面談を通してキャリアパスの実現につなげています。

・海外実務研修プログラム

当プログラムは、入社3~5年目の若手社員を対象に、語学力や異文化適応力、リージョン理解を高める実務経験を提供し、視野の拡大とリーダーシップの成長を促すことを目的として本年度、導入いたしました。2025年度は、受け入れ対象国への本制度の概要説明、派遣国の選定、派遣生の選考・事前研修、運用基盤の整備等を行いました。2026年度は、前期・後期の2期に分けて計14名を、主として中長期的な成長が期待される新興国を中心とした8カ国へ派遣する予定です。

・経営基礎研修

育成の機会を通じ、学習意欲や成長意欲を向上し、経営戦略・アカウンティング・データ活用/分析の基礎知識について理解します。

 

●キャリア開発サポート

・キャリアデザイン

階層別プログラム内や、キャリアの節目にあたるタイミングで、自身のキャリアを改めて考える機会を提供しています。また国内社員に向けたグローバルメンバーとの社内交流の機会も提供しており、外国籍の経営メンバーを交えたキャリアセッションも実施いたしました。

・キャリア面談

アシックスでは社員一人ひとりが自身のキャリアを意識し、成長の速度を上げていく事を目指した「キャリア面談」を導入しています。自身のありたい姿(キャリアビジョン)を描き、上司と共にその実現に必要な知識やスキル・経験を話し合い、今後実施すべきアクションを計画する機会となっています。

・各種ビジネススキル

上司の勧めや本人の希望で受講できる、eラーニングの学習コンテンツを用意しています。自分自身のキャリアを考え、成長に向けてこれらのプログラムを受講し、業務の中で活用していくことで、ありたい姿に一歩ずつ近づいていきます。

・自己開発プログラム「Growth in Motion」

従業員一人ひとりの自律的なキャリア形成を支援するため、グローバル全従業員を対象に、9言語対応の自己開発プログラム「Growth in Motion」を導入しました。従業員向けおよび上司向けの実践的なコンテンツを提供しており、特に上司に対しては、グローバル共通の1on1ミーティングガイドラインを策定し、「キャリア」や「成長」をテーマとした継続的な対話を促進するトレーニングを実施いたしました。

 

●階層別

・新入社員研修

新入社員時には、社会人としての基本的なマナーやビジネススキル、アシックスの社員として働くための必要な知識を習得するためのプログラムを実施しています。また、アシックスがサポートしている各種スポーツイベントなどに派遣するスポーツマーケティング研修や自社工場、店舗での現場研修も実施しています。

・昇格時研修

昇格後の役職に必要なスキルのインプットと、新しく昇格した社員同士のネットワークづくりの場として、昇格時研修を実施しています。

 

・推進体制

月に1回開催の人事委員会では、副社長及び常務執行役員による組織・人財開発に関する活発な議論を行っています。人事委員会で議論された人財開発方針や、グローバルで選抜した後継者候補人財の育成等について、経営会議の決議を経た上で、人事部門(組織・人財開発機能)が推進・実行に移します。

 

③ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)

・目的・方針

アシックスは、DE&I推進のビジョンとして「One Team Stronger Together」を掲げています。DE&Iの推進は、ニーズが多様化するお客様に対して、より良い製品・サービスを提供することにつながるだけでなく、従業員同士が相互の違いを認め合い、活かし合うことで、一人ひとりが自らの価値を実感できる環境を整えることにもつながります。最終的には、組織内でのイノベーションが促進され、企業価値の向上に寄与すると考えています。

具体的な取り組みとして、役員構成における多国籍化の推進に加え、女性管理職比率については、グローバルで40%(アシックス単体では25%)以上という目標の達成、並びに社内における障がい者雇用の促進及び環境整備に向けた施策を以下の通り推進しています。

 

・重点的な活動内容

()女性管理職比率の向上

数値向上に向けてアクションプランを地域ごとに作成し、国籍・性別・経験等多様な経営陣から構成されたグローバルDE&Iステアリングコミッティにて進捗をモニタリングしています。

 

()障がい者雇用の促進

障がい者雇用については、グローバルで法定雇用率の有無など状況が異なるため、各地域に合う形で障がい者雇用を進めています。地域ごとにアクションプランを作成し、女性管理職比率同様にグローバルDE&Iステアリングコミッティにてモニタリングしています。国内においては、障がいのある方が応募しやすい採用環境を整備するため、企業ウェブサイトのリニューアルを実施し、アクセシビリティおよび情報の分かりやすさを向上させました。さらに、新卒採用活動においては、障がいのある学生を対象とした自社説明会を開催し、直接的なコミュニケーションの機会を拡充するなど、多様な人財との接点拡大に取り組んでいます。

 

(ⅲ)障がい者定着の支援

障がい者の受け入れ体制を強化するため、部下に障がい者がいるマネジャー向けに以下の研修を実施いたしました。

・基礎研修

障がいに関する基礎知識と対応方法の習得

・ステップアップ研修

障がい者へのマネジメントスキルを向上

 

聴覚障がい者への理解促進と多様性・包括性の体現を目指し、社内外で聴覚障がい者社員と耳が聞こえる社員が共に、下記の取り組みを行いました。

・スポーツフェスティバル(社内運動会)にてデフリンピック採用の手話応援(サインエール) を実践

・デフリンピックスクエアにて、テープカット時の記者会見の場でアシックスの取り組みを発表

 

・推進体制

様々な性別、地域、カテゴリー出身の経営陣より構成されたグローバルDE&Iステアリングコミッティを中心として戦略が着実に実行されているか管理しながら活動を進めると同時にグローバル目標と各地域課題にアプローチする体制を整備し、グループ全体でDE&Iに取り組んでいます。

 

DE&I推進体制

CEO

 

COO

 

グローバルDE&Iステアリングコミッティ

・国籍、性別、経験など多様な経営陣で構成

・DE&Iに関わる経営戦略の進捗をモニタリング

 

本社DE&I推進チーム/グローバルDE&Iワーキンググループ

・日本、米州、欧州、中国で構成

・経営戦略の達成に向け、実施計画を立案

 

各地域の人事担当

・アシックスグループ全地域をカバー

・従業員のニーズを踏まえ、各地域の施策立案、実行

DE&Iカウンシル

エンプロイー

リソースグループ

 

(3)人的資本の主な指標及び目標

 

 

2024

2025

エンゲージメント

サーベイ回答率

92%

94%

エンゲージメントスコア

73

75

コメント比率

58%

53%

DE&I

女性管理職比率

(グローバル:2026年目標 40%以上)

38.7%

41.0%

障がい者雇用率

(アシックス単体: 2026年目標 4%)

3.1%

3.6%

 

(Ⅲ)税務方針

アシックスグループでは、各地域での公正な事業活動によって獲得した利益を、適正な納税を行うことで地域社会に還元し、企業としての社会的責任を果たします。また、各国の税務当局に誠意を持って事実に基づく説明・対応を行い、当局と良好な関係を維持するよう努めています。適時適切な税務申告・納付、税務当局からの求めに応じた税務情報等の提出を通し、指摘事項について合意した事項については適切な是正及び改善措置を講じます。

 

(1) ガバナンス

税務に関するコーポレート・ガバナンスは、アシックスグループ全体のガバナンス体制に包含されており、税務リスク等に関しては必要に応じて取締役会に報告を実施する等の監督体制を構築しております。更に、国内外に関わらず、グローバルシステムインフラ上で、税務に関する報告を入手する体制を通じて、グローバル税務ガバナンス規程の実行、税務リスク管理を行っており、グループ横断的な税務課題を俯瞰し、税務情報を連携します。

 

(2) 戦略

「アシックスグローバル行動規範」において「あらゆる国で、すべての適用法を確実に遵守して実務を行う」ことを明示しています。納税及び情報開示についても同様に、国、地域ごとの税務関連法令、国際機関等が公表している基準に従い、税務コンプライアンスの維持・向上に努め、適切な納税を行い企業の社会的責任を果たします。

また、OECD(経済協力開発機構)によるBEPS(Base Erosion and Profit Shifting)の趣旨を理解し、グループ間の移転価格取引は、原則として独立企業間価格で行い、国際的な所得の適正配分が実現するよう取り組んでいます。

 

(3) リスク管理

株主価値向上の観点から、税務リスクを極小化し、かつ、法令上、公正な範囲内で税負担の軽減措置等の適切かつ効果的な利用に努めます。さらに、税務ペナルティや二重課税による企業価値の毀損リスクの防止に努めています。

なお、法令等の趣旨を逸脱する解釈・適用による過度な節税行為である租税回避(タックスヘイブン)は行いません。

2024年12月期 国別税額開示

(単位:百万円)

居住地国等

収入金額

税引前

当期利益

納付税額

発生税額

利益剰余金

の額

従業員数

日本

247,130

31,270

1,817

8,838

112,676

2,815

アメリカ

137,249

△ 2,673

238

6

△ 24,429

1,151

カナダ

14,408

2,112

728

745

2,928

303

メキシコ

5,745

697

0

0

△ 499

70

オランダ

145,614

12,390

2,037

2,970

42,546

450

ドイツ

21,654

393

7

120

868

404

フランス

34,117

822

229

192

837

314

ポルトガル

1,369

72

21

20

116

30

イギリス

12,728

514

313

18

540

164

アイルランド

2,144

48

13

10

1,004

9

スペイン

12,027

262

511

130

742

225

オーストリア

2,788

192

6

15

505

21

チェコ

1,420

18

15

9

572

9

ポーランド

2,867

88

△ 10

△ 11

236

41

イタリア

12,973

458

98

144

5,046

103

スウェーデン

5,395

106

44

25

383

18

デンマーク

2,873

57

38

12

147

12

ノルウェー

2,774

54

16

19

102

8

フィンランド

1,601

32

27

△ 2

269

3

ベルギー

1,817

86

4

20

598

12

アラブ首長国連邦

6,946

1,826

0

0

3,457

31

南アフリカ共和国

3,314

118

49

32

514

44

ロシア

8

△ 18

0

0

597

3

中国

84,979

16,059

4,197

3,866

24,382

1,008

台湾

9,637

1,578

364

317

3,370

195

香港

8,183

1,562

1,054

821

9,718

95

オーストラリア

43,964

6,214

1,950

1,744

13,100

318

シンガポール

17,477

2,229

266

450

5,410

172

インド

9,502

1,784

33

490

4,261

94

タイ

5,284

715

116

162

1,133

60

マレーシア

7,551

1,546

400

388

2,299

136

ベトナム

899

113

18

10

90

93

インドネシア

5,176

1,247

237

320

1,777

39

ブラジル

25,379

2,960

2,248

1,003

1,724

381

アルゼンチン

12

△ 129

△ 53

0

△ 175

0

チリ

1,956

381

784

103

583

70

コロンビア

2,365

336

521

118

565

30

韓国

16,194

2,735

275

574

5,803

232

 

917,518

88,252

18,610

23,678

223,794

9,163

(注)1.上記金額は国税庁提出の「国別報告事項」に基づいて作成しており、連結財務諸表との直接的な関連はございません(各社の所在国で地域区分を行っております)。

2.上記開示項目は、EU Public CbCR(Country by Country Report)開示方式を準用しており、開示の義務化に予め対応しております。

3.収入金額は、外部及び内部売上の他、営業外収益と特別利益を含み、グループ間の受取配当金を除きます。

4.発生税額は、2024年12月期の当期利益に係る法人税であり、納付税額とは一致しません。