2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,052名(単体) 2,816名(連結)
  • 平均年齢
    44.2歳(単体)
  • 平均勤続年数
    18.5年(単体)
  • 平均年収
    6,871,109円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

  2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

臨時雇用人員数(人)

建築資材

1,437

44

住宅

907

724

報告セグメント計

2,344

768

その他

340

7

全社(共通)

132

1

合計

2,816

776

 

(注) 1  従業員数は、正規従業員以外の常用労働者を含む就業人員数であり、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含んでおります。

2  臨時雇用人員数は、派遣社員を除く年間の平均臨時雇用人員数を記載しております。

3  全社(共通)は、当社の総務及び財務等の管理部門の従業員数であります。

4  建築資材事業の従業員数増加の主な理由は、連結子会社の増加によるものです。

 

(2) 提出会社の状況

  2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

1,052

44.2

18.5

6,871,109

 

 

セグメントの名称

従業員数(人)

建築資材

627

住宅

293

報告セグメント計

920

その他

全社(共通)

132

合計

1,052

 

(注) 1  従業員数は、正規従業員以外の常用労働者を含む就業人員数であり、当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含んでおります。

2  平均年間給与は、賞与及び所定外労働に対する手当を含んでおります。

3  全社(共通)は、総務及び財務等の管理部門の従業員であります。

4  建築資材事業の従業員数増加の主な理由は、グループ内の組織再編によるものです。

 

(3) 労働組合の状況

名称        ナイスグループ労働組合

加盟組織    情報産業労働組合連合会

加入人員                     787人

労使関係    特記すべき事項はありません。

 

 

(4) 管理職に占める女性従業員の割合(女性管理職比率)、男性従業員の育児休業取得率(男性育児休業取得率)及び従業員の男女間賃金差異

① 提出会社

2025年3月31日現在

当事業年度

女性管理職比率

(注1)

男性育児休業取得率

(注2)

男女間賃金差異

(注3)

全従業員

正規従業員

非正規従業員

3.5

26.7

60.8

62.3

51.2

 

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、当社は、2022年3月期から2026年3月期までの5年間で、女性管理職比率を2021年3月末時点の2倍にすることを目標として定めております。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3 当社は、人材の採用や管理職の登用等について、性別、国籍、年齢などに関わらず、個人の能力を公平・公正に評価し実施しております。また、同一の身分及び等級において男女間に賃金差異はなく、差異が生じている要因は等級別の人員構成の差によるものであります。

 

② 連結子会社

2025年3月31日現在

当事業年度

名称

(注1)

女性管理職比率

(注2)

男性育児休業

取得率

(注3)

男女間賃金差異

(注4)

全従業員

正規従業員

非正規従業員

ナイスコミュニティー株式会社

100

66.5

63.8

80.3

 

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき男女間賃金差異にかかる情報を公表している会社のみ記載しております。

2 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、ナイスコミュニティー株式会社は、同法に基づき2022年4月に公表した行動計画において、2025年12月までに女性管理職比率を5%以上にすることを目標として定めております。

3 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

4 ナイスコミュニティー株式会社では、人材の採用や管理職の登用等について、性別、国籍、年齢などに関わらず、個人の能力を公平・公正に評価し実施しております。また、同一の身分及び等級において男女間に賃金差異はなく、差異が生じている要因は等級別の人員構成の差によるものであります。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ

① サステナビリティに関する考え方

当社は、持続的な成長及び更なる企業価値の向上を目指し、社会的存在意義として「樹とともに、人と暮らしをつなぎ、はぐくみ、彩りある未来をつくります」を掲げております。役職員をはじめとしたステークホルダーの「彩りある未来」の実現を目指し、社会的存在意義をサステナブル推進方針と位置付けることで、サステナビリティへの取組をより一層強化するとともに、経営の中核にサステナビリティ視点を導入し、事業成長と社会のサステナビリティへの貢献の両立を実現してまいります。

 

② ガバナンス

「① サステナビリティに関する考え方」に掲げた方針に基づき、当社の取締役会は、サステナビリティに関するリスク及び機会について監督を行うこととしております。また、当社代表取締役社長を委員長とし、取締役らを委員とする「サステナビリティ委員会」を設置しております。同委員会は、原則毎月1回開催され、コンプライアンスやリスク管理、労働安全衛生等を含めたサステナビリティに関する事項全般を統括し、当社グループのサステナビリティの推進に関する基本方針や戦略、事業活動等に関する計画及び進捗について審議し、重要事項は取締役会へ報告・提言を行っております。

サステナビリティの取組については、同委員会の配下に設置した専門部会であるマテリアリティ部会、コンプライアンス・リスク管理部会、ナイスグループ中央安全衛生委員会が所管しております。また、人的資本経営をより一層推進するため、2025年6月に専門部会の一つとして人的資本部会を新設いたしました。各部会と事業部門が連携することで、全社一体となったサステナビリティ関連活動を推進してまいります。

 

a サステナビリティの推進体制(概略)

 


 

b サステナビリティ委員会の活動内容(2025年3月期)

構成

委員長:代表取締役社長、委員:取締役4名、オブザーバー:常勤監査役2名 ほか

開催回数

全12回

定期報告事項

・コンプライアンスに関わる事案と対策

・リスクに関わる事案と対策

・労働災害・事故に関わる事案と対策

・マテリアリティKPI等のモニタリング指標の進捗と対策

主要協議・承認事項

[環境]

・温室効果ガスの環境目標の進捗確認と削減施策の策定

[社会]

・健康経営の推進について(「健康経営優良法人2025」の認定取得等)

・DE&Iの推進について(女性活躍、障がい者雇用の促進等)

[ガバナンス]

・ESG評価向上に向けた施策について

・リスクマネジメント教育の実施と成果

・ガバナンス体制強化(労働安全衛生方針の策定等)

・公正取引委員会からの下請法に関する勧告への対応と対策の確認 等

 

 

c サステナビリティ関連の各種方針等

全般

行動倫理規範

社会的存在意義(サステナブル推進方針)

環境

環境方針・環境目標

木材調達基本方針

社会

人権方針

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン基本方針

労働安全衛生方針

健康経営宣言

カスタマーハラスメントに対する基本方針

ガバナンス

腐敗防止方針

反社会的勢力の排除に関する基本方針

個人情報保護方針

情報セキュリティ方針

税務方針 等

 

 

 

③ 

当社グループは、持続的な成長に向けて優先的に取り組むべき課題として、下記のとおり9つのマテリアリティを特定しております。本マテリアリティへの取組を通じて、環境・社会・経済の持続可能性に配慮したサステナビリティ経営を一層推進し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。

 

a 当社グループのマテリアリティ(重要課題)と2025年3月期の主要な活動

マテリアリティ

方針

2025年3月期の主要な活動

国産材の利用拡大による
サステナブル・リカバリーの推進

「木」は二酸化炭素を吸収し、炭素を貯蔵する環境に優しい自然素材です。国産材の利活用を通じて、循環型社会・健康増進社会を創造し、木質化による日本文化の醸成を図ります。

・「木と暮らしの博覧会®」等の開催

・専門部署による非住宅木造の提案

・中高層木造ニーズ獲得に向けた合弁会社の設立

・暮らし領域への国産木材利用提案

・製材・プレカット会社の株式取得

環境配慮型商品やサービスの提供によるエネルギー消費量の削減

日本の二酸化炭素排出量の約3分の1を占める住宅・建築物の省エネ化・ゼロエネ化に役立つ商品・サービスの提供を推進し、エネルギー消費量の削減に貢献します。

・太陽光発電システムのPPA事業者との資本業務提携

・ZEH普及に向けたツール・サービスの提供

・サッシ販売会社の株式取得

サプライチェーンの再構築による商品・サービスの安定供給

サプライチェーンを構成する取引先様と木材利用、環境配慮の価値観を共有し、エンゲージメントを高めてまいります。より深いパートナーシップを確立し、木材製品、商品・サービスの品質向上と安定供給を図ります。

・徳島県・香川県・大倉工業㈱との四者で建築物木材利用促進協定を締結

・「木太郎®」の提案強化

木を生かしたレジリエンスな住まいづくりの推進

日本の気候に適し、人に様々な効能をもたらす優れた建築素材である「木」を活用し、災害に強い安全・安心かつ、省エネ・健康で快適に暮らせる長寿命な住まいづくりを推進します。

・地震に強い構造のマンションの供給
(免震構造3棟、強耐震構造1棟)

・分譲一戸建住宅の構造材を国産木材で標準化

・分譲一戸建住宅を建築基準法上の耐震強度2倍で標準化

資源の有効活用に配慮した既存住宅流通の促進

ストック型社会の形成に向けて、住宅・建築物のリフォームや既存住宅流通、管理を強化し、空き家問題の解決に向けた取り組み、長く大切に使うことによる資源の有効活用を図ります。

・中古マンション買取再販事業を強化

・木質化リノベーションのブランド化の検討

・管理マンションの大規模修繕の提案強化

・賃貸住宅オーナー様とのコミュニケーション強化

地域活性化への貢献

産官学の連携を図り、持続可能な社会形成を担う森林の保全や林業・木材産業の活性化、子どもたちの成長、住まいや暮らしに関するサービスの提供により、地域活性化に貢献します。

・間伐材由来の木糸で横浜美術大学と産学連携

・各エリアにおける課外授業等への協力

・工場等における見学ツアーの開催

人的資本経営の推進

会社の最大の財産である人材のポートフォリオを適時最適な状態に保つとともに、多様な人材が主体的・自律的に能力や個性を発揮できる環境を整え、役職員の成長を促すことが会社の成長にもつながるという考えのもと、「働きやすさ」と「働きがい」の向上を図ります。

・取締役と従業員が対話する「オープンコミュニケーションミーティング」の開催(全123回)

・「健康経営優良法人2025」認定取得

・挙手型自己啓発研修の実施

・エンゲージメントサーベイの実施・改善施策の推進

・女性活躍に向けた「ラウンドテーブルミーティング」の開催

グループガバナンスの深化

リスク管理及びコンプライアンスを徹底し、リスクを未然に防ぎ、発現した際の損失を低減することにより、企業価値を高め、社会から信頼される企業であり続けます。

・サステナビリティ委員会の開催(全12回)

・リスクリテラシー向上に向けた研修の開催(全2回)

・事業に関連が高い法律等に関する情報発信(全12回)

事業活動における環境負荷の低減

再生可能エネルギーの導入や省エネ活動の推進など、サプライチェーン排出量の削減を図ります。また、社有林の保全育成を通じて、二酸化炭素の吸収や貯蔵、水源涵養など環境保全に貢献します。

・自社排出量のカーボンニュートラル維持

・高圧拠点の再エネ化の推進

・社有林の活用促進

 

 

b マテリアリティの特定プロセス

イ ESG課題の抽出

マテリアリティを特定するに当たり、国際的なサステナビリティ・フレームワークとなる、GRIスタンダード、SDGs、ISO26000、SASB、ESG評価機関の評価項目などを踏まえて、検討すべきESG課題を500項目以上抽出しました。

ロ ESG課題の重要度評価

マテリアリティを「企業経営において最も重要視すべきESG課題」と定義し、ステークホルダー視点及び自社の事業インパクトの大きさ、産業特性などの視点から重要度評価を行い、数あるESG課題から対応優先度の高い項目を抽出しました。

ハ ESG課題の妥当性評価

「ロ ESG課題の重要度評価」で抽出した優先度の高い項目を、更に「事業インパクト及び企業価値への影響」と「社会及びステークホルダーからの期待/ニーズ」の2つの視点から再度整理し、当社にとっての重要度の高いESG課題をマッピングして選定しました。これらのESG課題について、外部有識者を含めて社内で妥当性の議論を行い、マテリアリティを特定しました。

ニ マテリアリティの決定

特定されたマテリアリティについて、取締役会を経て2023年5月に決定しました。

ホ 目標設定と見直し

マテリアリティと経営戦略との統合を行うとともに、社会の変化に合わせてマテリアリティや目標を定期的に見直すことで、継続的な企業価値向上を果たしていきます。

2025年5月には、「中期経営計画2023」をアップデートした「中期経営計画 Road to 2030」の策定に伴う見直しを実施し、各マテリアリティについて新たな目標を設定しております。

 

④ リスク管理

サステナビリティ委員会は、サステナビリティに関するリスクと機会について、当社グループの事業や財政状態に対する影響を検討し、その重大性の評価を実施しております。また、評価したリスクの最小化と機会の獲得に向けた施策を策定するほか、その施策に関わる各部署の実施状況について報告を受け、実施状況の監督を行っております。なお、同委員会において検討されたリスクや機会及びそれらに対する施策のうち、重要事項は取締役会に報告することとしております。

当社のリスクマネジメントの詳細につきましては、「3 事業等のリスク (1)リスクマネジメントの考え方及び(2)リスクマネジメントの体制」に記載しております。

 

 

⑤ 指標と目標

当社は、マテリアリティの達成に向けて、主要な指標(KPI)及び目標を設定し、達成度についてモニタリングを進めております。各マテリアリティにおけるKPI及び目標は以下に記載のとおりです。KPI及び目標の詳細につきましては、今後、ホームページ等で開示いたします。

 

マテリアリティ

主要な指標

(KPI)

目標

関連セグメント

国産材の利用拡大による

サステナブル・リカバリーの推進

・国産木材取扱材積

・65.5万㎥

(2028年3月期)

建築資材

環境配慮型商品やサービスの提供によるエネルギー消費量の削減

・エネルギー関連商品取扱量

増加

建築資材

サプライチェーンの再構築による商品・サービスの安定供給

・「木太郎®」ユーザー数

・「ナイスアドバン®」ID数

増加

増加

建築資材

木を生かしたレジリエンスな住まいづくりの推進

マンション(※3)

・免震・強耐震構造採用比率

一戸建住宅(※3)

・構造材の国産木材比率

 

・100%

 

・100%

住宅

資源の有効活用に配慮した既存住宅流通の促進

・中古マンション買取再販戸数

 

・マンション管理戸数

・賃貸住宅管理戸数

・500戸

(2030年3月期)

・増加

・増加

住宅

地域活性化への貢献

・地域活性化に資する取組の実施

・継続

全社

人的資本経営の推進

(※1)

・エンゲージメントスコア(2024年3月期比)

・建築関連資格保有者
(建築士・施工管理技士等)

・10ptアップ

(2030年3月期)

・延べ1,500人

(2030年3月期)

全社

グループガバナンスの深化

・重大なコンプラ違反件数

(下請法・建設業法違反等)

・重大労災事故発生件数

 (※4)

・0件

 

・0件

 

全社

事業活動における環境負荷の低減(※2)

・自社排出量削減率

(2022年3月期比)

・50%削減

(2030年3月期)

全社

 

※1 詳細については、「(2) 重要なサステナビリティ項目 ②人的資本への対応」に記載しております。

※2 詳細については、「(2) 重要なサステナビリティ項目 ①気候変動への対応(TCFD)」に記載しております。

※3 ナイス株式会社が主体となって供給するマンション・一戸建住宅が対象。強耐震構造は耐震等級2を取得した構造のことです。

※4 「死亡災害及び負傷または疾病により障害等級1~7級に該当する労働災害」を「重大な労働災害」と定義しています。

 

(2) 重要なサステナビリティ項目

① 気候変動への対応(TCFD)

a 気候変動に関する考え方

当社は、気候変動への対応を経営上の重要課題として認識しております。木材流通をルーツとする企業として、国内の豊富な森林資源の循環利用によって課題解決に貢献すべく、住宅・建築物の木造化・木質化の推進等を通じて木材の利用促進を図っております。併せて、住宅・建築物の省エネ化・ゼロエネ化に資する環境配慮型商品やサービスの提供により、温室効果ガス排出量の削減に貢献するなど、事業活動による気候変動対策を推進しております。

当社のTCFDに関する開示情報の詳細については、当社ホームページをご参照ください。

URL https://www.nice.co.jp/sustainability/tcfd/

 

b ガバナンス・リスク管理

気候変動に関するガバナンス・リスク管理は、サステナビリティのガバナンス・リスク管理に組み込まれております。詳細については、「(1) サステナビリティ ②ガバナンス 及び ④リスク管理」に記載しております。

 

c 戦略

イ シナリオ分析

当社グループにおいて主要な売上高を占める、当社の木材の販売、建材及び住宅設備機器の販売、マンション・一戸建住宅の販売の3分野における2030年の気候変動の影響について、シナリオ分析を実施しております。

当社が採用したシナリオ及び参照したデータは、以下のとおりです。

シナリオ

シナリオの概要

参照データ

2℃未満

シナリオ

2050年カーボンニュートラルを達成するシナリオ

・炭素税の導入や再エネの主力電源化など、脱炭素社会の実現に向けた施策が積極的に進められる。

・住宅において省エネ性能における法律上の要求水準が強化され、ZEH水準への適合が義務化されるなど、ZEH化が促進される。

・住宅、建築物の木造化、木質化が促進され、木材(国産木材)利用が拡大する。

SSP1-1.9

SSP1-2.6

RCP2.6

WEO2022

STEPS(公表政策シナリオ)

第6次エネルギー計画

森林・林業基本計画 ほか

4℃

シナリオ

化石燃料主体のまま成り行きで進むシナリオ

・異常気象の発生確率が増大し、気象災害が増加する。

・夏季の気温上昇などにより、長期的労働生産性が低下、また空調コスト等が増加する。

SSP5-8.5

RCP8.5

The Future of Cooling

Working on a Warmer planet

気候変動を踏まえた治水計画のあり方の提言 ほか

 

 

ロ シナリオ分析の結果

(ⅰ)分析結果の概要

上記シナリオ分析の結果、2℃未満シナリオについては、企業活動に伴う温室効果ガスの排出量に応じて税金を課す炭素税の導入や、エネルギー価格の上昇が、主なリスクになると認識いたしました。これらは、再エネの導入促進や自社施設の省エネ化の推進等により、温室効果ガス排出量を削減することでリスクの軽減が可能です。一方で、ZEHの普及に伴う創エネや省エネに資する建材・設備機器の需要や、木材の需要の増加、既存住宅市場の活性化など、リスクを上回る事業拡大の機会が発生することを見込んでおります。

4℃シナリオについては、温室効果ガスの排出量規制への対応コストが生じない一方、自然災害の激甚化によるサプライチェーンの分断や、平均気温の上昇による森林の生態系の変化などを、大きなリスクとして認識しました。また、今回のシナリオ分析においては事業インパクトの特定ができなかったため、「(ⅱ)気候変動リスク・機会」の表に記載していないものの、防災集団移転やインフラ強靭化、災害からの復興需要といったニーズが新たに発生する可能性があります。

 

(ⅱ)気候変動リスク・機会

当社における重要度が高い気候変動リスク及び機会は以下のとおりです。

大分類

分類

項目

顕在化
時期

事業への
関連度合い

影響度

対策

建材
住設

木材

住宅

移行リスク

(2℃未満シナリオ)

政策・法規制

炭素税の導入

(全体)

・事業活動における温室効果ガス排出量の削減

市場

エネルギー価格の動向

短~中

(全体)

・自社施設の省エネ化の推進等

政策・法規制

市場

森林保護政策の強化と消費者の嗜好変化

(木材流通)

・調達先の多角化

・森林認証材の取り扱いの更なる強化

物理リスク

(4℃

シナリオ)

急性

自然災害の激甚化によるサプライチェーン分断リスク

(木材流通)

(建材・住宅設備機器流通)

・防災改修や長期修繕計画の着実な実行

・被災リスクを踏まえた調達先の多角化

慢性

気温上昇による生産性の低下と空調費等のコスト増加

中~長

(全体)

・高効率・高性能な空調設備への入れ替え等の推進

(住宅)

・酷暑日等を想定した工程管理

慢性

気温上昇による森林生態系への影響

(木材流通)

・調達先の多角化等

機会

(2℃未満シナリオ)

資源の効率性

ZEH普及に伴う省エネ・創エネ建材・設備の需要増加

中~長

(建材・住宅設備機器流通)

・ZEH関連の商品・サービスの拡充

(住宅)

自社で供給する一戸建住宅のZEH化の推進

製品・サービス

木材需要の増加

短~中

(建材・住宅設備機器流通)

(木材流通)

・住宅・建築物の木造化・木質化の推進

(住宅)

・木質内装化事業の推進

市場

良質な住宅の増加による既存住宅流通市場の活性化

中~長

(住宅)

・管理物件の適正な管理

・不動産DXによる顧客接点の強化

 

顕在化時期は短(2025年まで)・中(2026年から2030年まで)・長(2031年以降)の3段階、事業への関連度合いは●(大いに関連がある)、▲(関連がある)、―(あまり関連がない)の3段階、影響度は財務へのインパクトの大きさに鑑みた1~5の5段階で評価しております。

 

 

d 指標と目標

イ 環境目標

当社は、事業活動を通じた社会全体の環境負荷の低減に向けて、自社の事業活動における温室効果ガス排出量の削減に取り組むとともに、木材の循環利用やZEHの普及促進などを通じて社会全体の温室効果ガス排出量を削減するなど、「削減貢献量」の創出を推進してまいりました。

取引先様やお客様をはじめとしたステークホルダーとの連携によって、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量について、2050年までに実質ゼロに挑戦することを宣言し、以下のとおり「ナイスグループ環境目標」を策定しております。

 

ナイスグループ環境目標

2050年目標

ALLバリューチェーン・カーボンニュートラルへの挑戦

2030年目標

森林育成と木材利活用によるカーボンニュートラル社会実現への貢献

(Scope1・Scope2・Scope3のカーボンニュートラルの達成(※5))

2026年目標

ナイスグループにおけるカーボンニュートラルの達成

(Scope1・Scope2のカーボンニュートラルの達成(※6))

 

※5 国産木材の利用による炭素貯蔵量や、太陽光発電等の再生可能エネルギー由来電力の提供量など、ナイスグループの事業活動等によって社会全体で削減された温室効果ガス排出量を「削減貢献量」と定義しております。本目標は、上記削減貢献量及び社有林の二酸化炭素吸収量によるオフセットを含みます。

※6 社有林の二酸化炭素吸収量によるオフセットを含みます。

 

このうち、2026年目標につきましては、以下「ロ 温室効果ガス排出量の実績」「ハ 社有林「ナイスの森」の二酸化炭素吸収量の実績」に記載のとおり、2025年3月期の自社排出量(Scope1・Scope2の合計)が7,205t-CO2、同社有林「ナイスの森」等の二酸化炭素吸収量が11,768t-CO2となったことから、排出量を吸収量が上回り、2024年3月期に引き続き自社排出量のカーボンニュートラルを達成いたしました。

今後、継続して自社排出量のカーボンニュートラルを維持するとともに、2030年目標である「森林育成と木材利活用によるカーボンニュートラル社会実現への貢献(Scope1・Scope2・Scope3のカーボンニュートラルの達成)」の達成に向けて取組んでまいります。なお、自社排出量につきましては、2030年3月期に、2022年3月期比で50%削減することを目標としております。

 

ロ 温室効果ガス排出量の実績

当社は、GHGプロトコルに則り、当社グループの事業活動に伴う温室効果ガス排出量の算定をしております。2025年3月期における当社グループの温室効果ガス排出量は、以下「Scope1・Scope2の実績推移」に記載のとおり、7,205t-CO2(Scope1:2,933t-CO2、Scope2:4,272t-CO2)となり、2022年3月期比で37.4%の削減となりました。

 

Scope1・Scope2の実績推移(t-CO2)(※7)

 

2022年3月期

(基準年)

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

2030年3月期

(目標)

Scope1・2合計

11,518

8,746

7,800

7,205

5,760

Scope1

2,703

2,513

2,705

2,933

Scope2

8,815

6,233

5,095

4,272

削減率(%)

24.1%

32.3%

37.4%

50.0%

 

※7 原則として、ナイス株式会社及び国内にある連結子会社を対象に算出しておりますが、2025年3月期は重要性に鑑みて一部の持分法適用子会社を対象に加えております。

 

 

ハ 社有林「ナイスの森」の二酸化炭素吸収量の実績

森林は、土砂災害の防止、生物多様性の保全、水源の涵養などの多面的機能を有しています。更に、大気中の二酸化炭素を吸収し、炭素を貯蔵しながら成長することから、地球温暖化の原因である二酸化炭素の吸収源・貯蔵庫としても重要な役割を発揮しています。

当社は、木材流通をルーツとする企業として、利益の一部を山林取得に充て、社有林の保全・育成を通じて地球環境保護に貢献してまいりたいとの考えから、1980年より社有林「ナイスの森」の取得を開始しております。現在の総面積は2,428.4ヘクタールに及び、2025年3月期における二酸化炭素吸収量は、以下「社有林「ナイスの森」の概要と2025年3月期の二酸化炭素吸収量」に記載のとおり、合計11,768t-CO2となりました。

 

社有林「ナイスの森」の概要と2025年3月期の二酸化炭素吸収量(※8)

名称

取得年

面積(ha)

二酸化炭素吸収量(t-CO2

ナイス熊野の森

1980年

140.5

594

ナイス丹沢の森

1990年

12.2

81

ナイス川根の森

2001年

102.7

761

ナイス猪苗代の森

2007年

212.0

536

ナイス徳島の森

2008年

829.6

4,975

ナイス岐阜の森

2012年

654.3

2,764

ナイス京都北山の森

2012年

50.0

104

ナイス津久井の森

2015年

30.9

202

その他の森林(※9)

396.2

1,746

合計

2,428.4

11,768

 

※8 社有林の二酸化炭素吸収量は、2025年5月末時点で入手している最新の森林簿に基づき計算しております。二酸化炭素吸収量は、小数点第一位を切り捨てているため合計の数値は一致しません。

※9 連結子会社等が所有する森林について、その他の森林としてまとめております。

 

② 人的資本への対応

a 人的資本に関する考え方

当社は、事業戦略の実行における人材の重要性を深く認識し、人材戦略を経営戦略の中核に位置付けます。人材こそが当社グループの最大の財産であり、人材の成長がグループの成長につながるという考えのもと、「働きやすさ」と「働きがい」を高めるための投資を通じて、多様な人材一人ひとりが仕事を通じた幸せと成長を実感できる経営の実現に努めております。当社グループの持続的な成長及び更なる企業価値向上の実現のために、自律的なキャリア形成と成長をサポートすることで、多様な人材一人ひとりがそれぞれの個性を生かし、自らの能力や強みを発揮し活躍する「主体的な風土の確立」を目指してまいります。また、DXや経営などの分野に精通した外部人材の登用やキャリア採用の拡充を通じて多様な経験やスキルを持った人材を獲得していくことで、当社グループにおける人材のケイパビリティを高め、コア事業の成長と「中期経営計画 Road to 2030」で掲げた成長ドライバーの取組みを力強く推進していくための原動力にしてまいります。

 

b ガバナンス・リスク管理

人的資本に関するガバナンス・リスク管理は、サステナビリティのガバナンス・リスク管理に組み込まれております。なお、人的資本経営をより一層推進するため、2025年6月にサステナビリティ委員会の専門部会の一つとして人的資本部会を新設いたしました。今後、各部門と連携しながら施策の企画・実行・評価を行います。

 

c 戦略

イ 事業戦略を実行するために必要な人材戦略

「住まいと暮らし」の領域に必要な専門スキルの拡充を図るため、従業員の資格取得に向けた取組みを支援するとともに、キャリア開発や戦略的な人員配置を行うことで、計画的かつ継続的な人材育成に努めます。事業戦略を実行し、更なる企業価値向上を実現するために、サクセッションプランを通じた次世代経営層の育成を推進してまいります。また、タレントマネジメントシステムを活用し、従業員一人ひとりのスキルや強み、経験等の情報を一元管理し、分析及び活用できる仕組みを整備するとともに、従業員が自らのキャリア志向について自己申告をすることでキャリア自律を促し、戦略的な人員配置により多様な人材が適材適所で活躍できる環境を整備してまいります。

ロ 人材育成の取組

当社グループが目指す成長に向けて、従業員のスキルアップとリスキリング、キャリア自律を目的として、2025年3月期よりグループ共通のeラーニングによる自己啓発プログラムを導入し、延べ339名が参加いたしました。今後も、自らが学びたい分野について自律的かつ主体的に学習できる環境を整えてまいります。また、当社では、従業員の主体的な学習や能力開発への取組みを後押しするため「スキルアップ手当」を新設いたしました。このほか、マネジメント層の能力開発のために360度評価とフィードバック研修を行い、組織の成長と業績の向上、部下の育成などにつなげてまいります。

ハ エンゲージメントの向上

当社は、従業員の企業理念や経営方針への共感度並びに企業価値の向上に対する貢献意欲を可視化することで課題を特定し、その解決に向けた施策を検討するために、2024年3月期よりエンゲージメントサーベイを実施しております。本サーベイの結果は、重要な経営指標として取締役会に報告し、心理的安全性が確保されたフラットな組織風土の醸成に向けた組織開発や人事戦略の策定に活用しております。今後も定期的なエンゲージメントサーベイの実施を通じて、各組織の状態を確認・検証し、組織風土の継続的な改善活動に取組んでまいります。

ニ DE&Iの推進

事業戦略の実行に向けて、チーム力、課題解決力、変化適応力等の組織能力を強化いたします。性別・国籍・年齢・障がい・価値観・雇用形態などによる無意識の偏見や思い込みにとらわれず、お互いの考え方や価値観に誠実に向き合い、多様な人材の採用・育成・登用を推進することで、新たな視点やイノベーションを生む基盤を築いてまいります。加えて、従業員が安心して長く働きたいと思えるような魅力ある会社づくりを進めるため、働き方の多様化に向けた取組みとして、子育て、家族の介護、自身の病気治療を目的に取得できる「ライフサポート休暇」制度の新設や、育児休業の取得可能期間の延長、育児短時間勤務の利用可能期間の延長などに取組みました。引き続き、多様な人材のワークライフバランスとウェルビーイングの向上に努めてまいります。

ホ 健康経営の実践

当社は、会社が健全であるためには従業員一人ひとりが心身ともに健康であることが重要であると考えています。そのため、健康意識を向上させる「健康経営」の実践を通じて、健康リスクの低減とハイリスク者の減少を実現するなど、従業員とその家族が心身ともに健康で、安心して働ける健全な職場環境の実現を目指してまいります。なお、前期に続き「健康経営優良法人2025」認定制度において、当社は大規模法人部門、当社子会社のナイスコンピュータシステム株式会社及びナイス沖縄株式会社は中小規模法人部門の認定を受けております。

 

d 指標と目標

住まいと暮らし領域における専門スキルを拡充し、建築士、建築施工管理技士、宅地建物取引士、管理業務主任者、構造設計建築士などの建築関連有資格者延べ1,500人体制の構築を目指してまいります。これら有資格者のほか、多様な経験やスキルを持った人材を獲得していくことで人材のケイパビリティを高めるために、キャリア採用を拡充し、2030年までに累計100名の採用を目指してまいります。更に、エンゲージメントサーベイスコアについては、2030年3月期までに2024年3月期比で10ptアップを目指してまいります。

「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン基本方針」に則した多様な働き方に対応する施策の導入などを通じて、女性管理職比率の向上や男性の育児休業取得率向上にも取り組みます。

健康経営においては、2030年3月期までに健康診断受診率100%、ストレスチェック受検率100%を実現し、健康経営の実践を通じて、健康リスクの低減とハイリスク者の減少を実現いたします。また、今後、中長期的には健康経営優良法人「ホワイト500」の認定取得を目指し、取組を進めてまいります。