2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    964名(単体) 2,504名(連結)
  • 平均年齢
    44.6歳(単体)
  • 平均勤続年数
    18.8年(単体)
  • 平均年収
    7,315,540円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

  2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

臨時雇用人員数(人)

建築資材

1,159

14

住宅

888

742

報告セグメント計

2,047

756

その他

341

6

全社(共通)

116

1

合計

2,504

763

 

(注) 1  従業員数は、正規従業員以外の常用労働者を含む就業人員数であり、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含んでおります。

2  臨時雇用人員数は、派遣社員を除く年間の平均臨時雇用人員数を記載しております。

3  全社(共通)は、当社の総務及び財務等の管理部門の従業員数であります。

4  建築資材事業の従業員数増加の主な理由は、連結子会社の増加によるものです。

 

(2) 提出会社の状況

  2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

964

44.6

18.8

7,315,540

 

 

セグメントの名称

従業員数(人)

建築資材

546

住宅

292

報告セグメント計

838

その他

10

全社(共通)

116

合計

964

 

(注) 1  従業員数は、正規従業員以外の常用労働者を含む就業人員数であり、当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含んでおります。

2  平均年間給与は、賞与を含んでおります。

3  全社(共通)は、総務及び財務等の管理部門の従業員であります。

 

(3) 労働組合の状況

名称        ナイスグループ労働組合

加盟組織    情報産業労働組合連合会

加入人員                    781 人

労使関係    特記すべき事項はありません。

 

 

(4) 管理職に占める女性従業員の割合(女性管理職比率)、男性従業員の育児休業取得率(男性育児休業取得率)及び従業員の男女間賃金差異

① 提出会社

2024年3月31日現在

当事業年度

女性管理職比率

(注1)

男性育児休業取得率

(注2)

男女間賃金差異

(注3)

全従業員

正規従業員

非正規従業員

3.0

17.7

59.2

62.9

44.2

 

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、当社は、2022年3月期から2026年3月期までの5年間で、女性管理職比率を2021年3月末時点の2倍にすることを目標として定めております。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3 当社は、人材の採用や管理職の登用等について、性別、国籍、年齢などに関わらず、個人の能力を公平・公正に評価し実施しております。また、同一の身分及び等級において男女間に賃金差異はなく、差異が生じている要因は等級別の人員構成の差によるものであります。

 

② 連結子会社

2024年3月31日現在

当事業年度

名称

(注1)

女性管理職比率

(注2)

男性育児休業

取得率

(注3)

男女間賃金差異

(注4)

全従業員

正規従業員

非正規従業員

ナイスコミュニティー株式会社

83.3

62.4

59.6

84.3

 

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき男女間賃金差異にかかる情報を公表している会社のみ記載しております。

2 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、ナイスコミュニティー株式会社は、同法に基づき2022年4月に公表した行動計画において、2025年12月までに女性管理職比率を5%以上にすることを目標として定めております。

3 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

4 ナイスコミュニティー株式会社では、人材の採用や管理職の登用等について、性別、国籍、年齢などに関わらず、個人の能力を公平・公正に評価し実施しております。また、同一の身分及び等級において男女間に賃金差異はなく、差異が生じている要因は等級別の人員構成の差によるものであります。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ

① サステナビリティに関する考え方

当社は、持続的な成長及び更なる企業価値の向上を目指し、社会的存在意義として「樹とともに、人と暮らしをつなぎ、はぐくみ、彩りある未来をつくります」を掲げております。役職員をはじめとしたステークホルダーの「彩りある未来」の実現を目指し、社会的存在意義をサステナブル推進方針と位置付けることで、サステナビリティへの取組をより一層強化するとともに、経営の中核にサステナビリティ視点を導入し、事業成長と社会のサステナビリティへの貢献の両立を実現してまいります。

 

② ガバナンス

当社は、人と環境に優しい自然素材である「木」の普及と、地震に強い構造の住まいづくり及び健康、省エネに配慮した快適な住まいづくりを推進しております。これらの活動を通じて、環境問題をはじめとする様々な社会課題の解決に取り組むことで、会社の持続的な成長の実現及び更なる企業価値の向上を目指しております。このような方針のもと、当社の取締役会は、サステナビリティに関するリスク及び機会について監督を行うこととしております。

また、当社代表取締役社長を委員長とし、取締役等により構成される「サステナビリティ委員会」を設置しております。同委員会は、原則毎月1回開催され、コンプライアンスやリスク管理、労働安全衛生等を含めたサステナビリティに関する事項全般を統括し、当社グループのサステナビリティに関する基本方針や戦略、事業活動等に関する計画及び進捗について審議し、重要事項は取締役会へ報告・提言を行います。

 

a サステナビリティの推進体制(概略)


 

 

b サステナビリティ委員会の活動の概要(2024年3月期)

構成

委員長:代表取締役社長、委員:取締役4名、オブザーバー:常勤監査役2名

開催回数

全9回(2023年6月1日設置)

定期報告事項

・コンプライアンスに関わる事案と対策

・リスクに関わる事案と対策

労働災害防止活動、労働災害・事故に関わる事案と対策

・事業等のリスク・マテリアリティ等の各種指標(KPI)の進捗と対策等

主要協議事項

・リスクマネジメントの教育・強化について

・グループ経営体制の強化について

・ガバナンス体制の整備について(人権方針・環境方針等の策定、社内規程の整備等)

・TCFDの対応(物理リスクへの対応、温室効果ガス排出量削減の進捗等)

・人的資本経営の推進状況(健康経営、ダイバーシティ推進の進捗等)

・令和6年能登半島地震への対応 等

 

 

③ 

当社グループは、持続的な成長に向けて優先的に取り組むべき課題として、下記のとおり「素材」「暮らし」「人」の3つのテーマからなる9つのマテリアリティを特定しております。本マテリアリティへの取組を通じて、環境・社会・経済の持続可能性に配慮したサステナビリティ経営を一層推進し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。

 

 

a 当社グループのマテリアリティ(重要課題)と関連するSDGs


 

 

b マテリアリティの特定プロセス

イ ESG課題の抽出

マテリアリティを特定するに当たり、国際的なサステナビリティ・フレームワークとなる、GRIスタンダード、SDGs、ISO26000、SASB、ESG評価機関の評価項目などを踏まえて、検討すべきESG課題を500項目以上抽出しました。

ロ ESG課題の重要度評価

マテリアリティを「企業経営において最も重要視すべきESG課題」と定義し、ステークホルダー視点及び自社の事業インパクトの大きさ、産業特性などの視点から重要度評価を行い、数あるESG課題から対応優先度の高い項目を抽出しました。

ハ ESG課題の妥当性評価

「ロ ESG課題の重要度評価」で抽出した優先度の高い項目を、更に「事業インパクト及び企業価値への影響」と「社会及びステークホルダーからの期待/ニーズ」の2つの視点から再度整理し、当社にとっての重要度の高いESG課題をマッピングして選定しました。これらのESG課題について、外部有識者を含めて社内で妥当性の議論を行い、マテリアリティを特定しました。

ニ マテリアリティの決定

特定されたマテリアリティについて、取締役会を経て2023年5月に決定しました。

ホ 目標設定と見直し

マテリアリティと経営戦略との統合を行うとともに、社会の変化に合わせてマテリアリティや目標を定期的に見直すことで、継続的な企業価値向上を果たしていきます。

 

④ リスク管理

サステナビリティ委員会は、サステナビリティに関するリスクと機会について、当社グループの事業や財務状態に対する影響を検討し、その重大性の評価を実施しております。また、評価したリスクの最小化と機会の獲得に向けた施策を策定するほか、その施策に関わる各部署の実施状況について報告を受け、実施状況の監督を行っております。なお、同委員会において検討されたリスクや機会及びそれらに対する施策のうち、重要事項は取締役会に報告することとしております。

当社のリスクマネジメントの詳細につきましては、「3 事業等のリスク (1)リスクマネジメントの考え方及び(2)リスクマネジメントの体制」に記載しております。

 

 

⑤ 指標と目標

当社は、マテリアリティの達成に向けて、KPI及び目標を設定し、達成度についてモニタリングを進めております。各マテリアリティにおける2024年3月期の主要な活動及び目標は以下に記載のとおりです。

 

マテリアリティ

2024年3月期の主要な活動

主要な目標

関連セグメント

国産材の利用拡大によるサステナブル・リカバリーの推進

・国産木材普及イベントの開催(木と暮らしの博覧会・木フェス等)

・住宅への更なる国産木材利用の提案

・非住宅建築物への木材利用の提案

・非建築分野への木材利用の提案

国産木材取扱量を65.5万㎥とする(2028年3月期)

建築資材

環境配慮型商品やサービスの提供によるエネルギー消費量の削減

・環境配慮型商品の提案・提供

・高性能住宅のサポートサービスの推進

環境配慮型商品の販売数を増加させる

建築資材

サプライチェーンの再構築による商品・サービスの安定供給

・取引先との協業の強化

・受発注プラットフォームの提案

木太郎®・ナイスアドバン®の導入社数(累計)を増加させる

建築資材

木を生かしたレジリエンスな住まいづくりの推進

・免震構造マンション2棟、強耐震構造マンション1棟の供給

・一戸建住宅の構造材の国産木材化

①(マンション)免震・強耐震構造比率100%(※3)

②(一戸建住宅)構造材の国産木材比率100%(※3)

住宅

資源の有効活用に配慮した既存住宅流通の促進

・既存住宅流通に係る事業の強化

・カスタマーサービスの推進

・マンション総合管理による適切な維持・更新

中古マンションリノベーション件数を増加させる

住宅

地域活性化への

貢献

・小学校との連携授業の実施

・東日本大震災で被害を受けた海岸防災林の復興の支援

・オリーブ園の運営を通じた地域振興

継続的に貢献活動を実施する

全社

人的資本経営の

推進(※1)

・エンゲージメントサーベイの実施と改善策の推進

・健康経営の推進、「健康経営優良法人2024」の認定取得

・労働災害の事例共有と再発防止

①女性採用比率(新卒・キャリア)40%以上(2026年3月期)

②女性管理職比率5.2%以上(2026年3月期)

③重大な労働災害の発生件数0件(※4)

全社

グループガバナンスの深化

・サステナビリティ委員会の設置・運用

・リスクマネジメントの強化に向けた社内研修の実施

・コンプライアンス意識向上に向けた定期的な情報発信

サステナビリティ委員会を毎月1回以上開催する

全社

事業活動における環境負荷の低減(※2)

・グループ拠点の使用電力の実質再エネ化

・社有林「ナイスの森」の整備・活用

Scope1・Scope2の合計の削減率(2022年3月期比)36%削減(2026年3月期)

全社

 

※1 詳細については、「(2)重要なサステナビリティ項目 ②人的資本への対応」に記載しております。

※2 詳細については、「(2)重要なサステナビリティ項目 ①気候変動への対応(TCFD)」に記載しております。

※3 ナイス株式会社が主体となって供給するマンション・一戸建住宅が対象。強耐震構造は耐震等級2を取得した構造のことです。

※4 「死亡災害及び負傷または疾病により障害等級1~7級に該当する労働災害」を「重大な労働災害」と定義しています。

 

(2) 重要なサステナビリティ項目

① 気候変動への対応(TCFD)

a 気候変動に関する考え方

当社は、マテリアリティに係るテーマとして「素材 カーボンニュートラル社会の実現に向けて」を掲げるなど、気候変動への対応を経営上の重要課題として認識しております。木材流通をルーツとする企業として、国内の豊富な森林資源の循環利用によって課題解決に貢献すべく、住宅・建築物の木造化・木質化の推進等を通じて木材の利用促進を図っております。併せて、住宅・建築物の省エネ化・ゼロエネ化に資する環境配慮型商品やサービスの提供により、温室効果ガス排出量の削減に貢献するなど、事業活動による気候変動対策を推進しております。

当社のTCFDに関する開示情報の詳細については、当社ホームページをご参照ください。

URL https://www.nice.co.jp/sustainability/tcfd/

 

b ガバナンス・リスク管理

気候変動に関するガバナンス・リスク管理は、サステナビリティのガバナンス・リスク管理に組み込まれております。詳細については、「(1) サステナビリティ ②ガバナンス 及び ④リスク管理」に記載しております。

 

c 戦略

イ シナリオ分析

当社グループにおいて主要な売上高を占める、当社の木材の販売、建材及び住宅設備機器の販売、マンション・一戸建住宅の販売の3分野における2030年の気候変動の影響について、シナリオ分析を実施しております。

当社が採用したシナリオ及び参照したデータは、以下のとおりです。

シナリオ

シナリオの概要

参照データ

2℃未満

シナリオ

2050年カーボンニュートラルを達成するシナリオ

・炭素税の導入や再エネの主力電源化など、脱炭素社会の実現に向けた施策が積極的に進められる

・住宅において省エネ性能における法律上の要求水準が強化され、ZEH水準への適合が義務化されるなど、ZEH化が促進される。

・住宅、建築物の木造化、木質化が促進され、木材(国産木材)利用が拡大する。

SSP1-1.9

SSP1-2.6

RCP2.6

WEO2022

STEPS(公表政策シナリオ)

第6次エネルギー計画

森林・林業基本計画 ほか

4℃

シナリオ

化石燃料主体のまま成り行きで進むシナリオ

・異常気象の発生確率が増大し、気象災害が増加する。

・夏季の気温上昇などにより、長期的労働生産性が低下、また空調コスト等が増加する。

SSP5-8.5

RCP8.5

The Future of Cooling

Working on a Warmer planet

気候変動を踏まえた治水計画のあり方の提言 ほか

 

 

ロ シナリオ分析の結果

(ⅰ)分析結果の概要

上記シナリオ分析の結果、2℃未満シナリオについては、企業活動に伴う温室効果ガスの排出量に応じて税金を課す炭素税の導入や、エネルギー価格の上昇が、主なリスクになると認識いたしました。これらは、再エネの導入促進や自社施設の省エネ化の推進等により、温室効果ガス排出量を削減することでリスクの軽減が可能です。一方で、ZEHの普及に伴う創エネや省エネに資する建材・設備機器の需要や、木材の需要の増加、既存住宅市場の活性化など、リスクを上回る事業拡大の機会が発生することを見込んでおります。

4℃シナリオについては、温室効果ガスの排出量規制への対応コストが生じない一方、自然災害の激甚化によるサプライチェーンの分断や、平均気温の上昇による森林の生態系の変化などを、大きなリスクとして認識しました。また、今回のシナリオ分析においては事業インパクトの特定ができなかったため、「(ⅱ)気候変動リスク・機会」の表に記載していないものの、防災集団移転やインフラ強靭化、災害からの復興需要といったニーズが新たに発生する可能性があります。

 

(ⅱ)気候変動リスク・機会

当社における重要度が高い気候変動リスク及び機会は以下のとおりです。

大分類

分類

項目

顕在化
時期

事業への
関連度合い

影響度

対策

建材
住設

木材

住宅

移行リスク

(2℃未満シナリオ)

政策・法規制

炭素税の導入

(全体)

・事業活動における温室効果ガス排出量の削減

市場

エネルギー価格の動向

短~中

(全体)

・自社施設の省エネ化の推進等

政策・法規制

市場

森林保護政策の強化と消費者の嗜好変化

(木材流通)

・調達先の多角化

・森林認証材の取り扱いの更なる強化

物理リスク

(4℃

シナリオ)

急性

自然災害の激甚化によるサプライチェーン分断リスク

(木材流通)

(建材・住宅設備機器流通)

・防災改修や長期修繕計画の着実な実行

・被災リスクを踏まえた調達先の多角化

慢性

気温上昇による生産性の低下と空調費等のコスト増加

中~長

(全体)

・高効率・高性能な空調設備への入れ替え等の推進

(住宅)

・酷暑日等を想定した工程管理

慢性

気温上昇による森林生態系への影響

(木材流通)

・調達先の多角化等

機会

(2℃未満シナリオ)

資源の効率性

ZEH普及に伴う省エネ・創エネ建材・設備の需要増加

中~長

(建材・住宅設備機器流通)

・ZEH関連の商品・サービスの拡充

(住宅)

自社で供給する一戸建住宅のZEH化の推進

製品・サービス

木材需要の増加

短~中

(建材・住宅設備機器流通)

(木材流通)

・住宅・建築物の木造化・木質化の推進

(住宅)

・木質内装化事業の推進

市場

良質な住宅の増加による既存住宅流通市場の活性化

中~長

(住宅)

・管理物件の適正な管理

・不動産DXによる顧客接点の強化

 

顕在化時期は短(2025年まで)・中(2026年から2030年まで)・長(2031年以降)の3段階、事業への関連度合いは●(大いに関連がある)、▲(関連がある)、―(あまり関連がない)の3段階、影響度は財務へのインパクトの大きさを鑑みた1~5の5段階で評価しております。

 

d 指標と目標

イ 環境目標

当社は、事業活動を通じた社会全体の環境負荷の低減に向けて、自社の事業活動における温室効果ガス排出量の削減に取り組むとともに、木材の循環利用やZEHの普及促進などを通じて社会全体の温室効果ガス排出量を削減するなど、「削減貢献量」の創出を推進してまいりました。

取引先様やお客様をはじめとしたステークホルダーとの連携によって、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量について、2050年までに実質ゼロに挑戦することを宣言し、以下のとおり「ナイスグループ環境目標」を策定しております。

 

ナイスグループ環境目標

2050年目標

ALLバリューチェーン・カーボンニュートラルへの挑戦

2030年目標

森林育成と木材利活用によるカーボンニュートラル社会実現への貢献

(Scope1・Scope2・Scope3のカーボンニュートラルの達成(※5))

2026年目標

ナイスグループにおけるカーボンニュートラルの達成

(Scope1・Scope2のカーボンニュートラルの達成(※6))

 

※5 国産木材の利用による炭素貯蔵量や、太陽光発電等の再生可能エネルギー由来電力の提供量など、ナイスグループの事業活動等によって社会全体で削減された温室効果ガス排出量を「削減貢献量」と定義しております。本目標は、上記削減貢献量及び社有林の二酸化炭素吸収量によるオフセットを含みます。

※6 社有林の二酸化炭素吸収量によるオフセットを含みます。

 

このうち、2026年目標につきましては、以下「ロ 温室効果ガス排出量の実績」「ハ 社有林「ナイスの森」の二酸化炭素吸収量の実績」に記載のとおり、2024年3月期のScope1・Scope2の合計が7,800t-CO2、同社有林「ナイスの森」の二酸化炭素吸収量が10,071t-CO2となったことから、排出量を吸収量が上回り、早期にカーボンニュートラルを達成いたしました。

今後、継続してScope1・Scope2のカーボンニュートラルを維持するとともに、2030年目標である「森林育成と木材利活用によるカーボンニュートラル社会実現への貢献(Scope1・Scope2・Scope3のカーボンニュートラルの達成)」の達成に向けて取組んでまいります。

 

ロ 温室効果ガス排出量の実績

当社は、GHGプロトコルに則り、当社グループの事業活動に伴う温室効果ガス排出量の算定をしております。2024年3月期における当社グループの温室効果ガス排出量は、以下「Scope1・Scope2の実績推移」に記載のとおり、7,800t-CO2(Scope1:2,705 t-CO2、Scope2:5,095 t-CO2)となりました。

 

Scope1・Scope2の実績推移(t-CO2)(※7)

 

2022年3月期(基準年)

2023年3月期

2024年3月期

2026年3月期(目標)

Scope1・2合計

11,518

8,746

7,800

7,371

Scope1

2,703

2,513

2,705

Scope2

8,815

6,233

5,095

削減率(%)

24.1%

32.3%

36.0%

 

※7 ナイス株式会社及び国内にある連結子会社を対象に算出した温室効果ガス排出量となります。

 

ハ 社有林「ナイスの森」の二酸化炭素吸収量の実績

森林は、土砂災害の防止、生物多様性の保全、水源のかん養などの多面的機能を有しています。更に、大気中の二酸化炭素を吸収し、炭素を貯蔵しながら成長することから、地球温暖化の原因である二酸化炭素の吸収源・貯蔵庫としても重要な役割を発揮しています。

当社は、木材流通をルーツとする企業として、利益の一部を山林取得に充て、社有林の保全・育成を通じて地球環境保護に貢献していきたいとの考えから、1980年より社有林「ナイスの森」の取得を開始しております。現在では全国8カ所、総面積は2,032.2ヘクタールとなっております。

2024年3月期における二酸化炭素吸収量は、以下「社有林「ナイスの森」の概要と2024年3月期の二酸化炭素吸収量」に記載のとおり、合計10,071t-CO2となりました。

 

 

社有林「ナイスの森」の概要と2024年3月期の二酸化炭素吸収量(※8)

名称

取得年

面積(ha)

二酸化炭素吸収量(t-CO2

ナイス熊野の森

1980年

140.5

594

ナイス丹沢の森

1990年

12.2

81

ナイス川根の森

2001年

102.7

761

ナイス猪苗代の森

2007年

212.0

536

ナイス徳島の森

2008年

829.6

4,974

ナイス岐阜の森

2012年

654.3

2,806

ナイス京都北山の森

2012年

50.0

112

ナイス津久井の森

2015年

30.9

202

合計

2032.2

10,071

 

※8 社有林「ナイスの森」の二酸化炭素吸収量は、2024年5月末時点で入手している最新の森林簿に基づき計算しております。二酸化炭素吸収量は、小数点第一位を切り捨てしているため、合計の数値は一致しません。

 

② 人的資本への対応

a 人的資本に関する考え方

当社は、人材こそが当社グループの最大の財産であり、人材の成長がグループの成長につながるという考えのもと、「働きやすさ」と「働きがい」を高めるための人材への投資を通じて、従業員一人ひとりの仕事を通した幸せと成長を実感できる経営の実現に努めております。持続的な成長及び更なる企業価値の向上に向けて、自律的なキャリア形成と成長をサポートすることで、多様な人材一人ひとりがそれぞれの個性を活かし、自らの能力や強みを発揮し活躍する「主体的な風土の確立」を目指してまいります。また、キャリア採用の強化を通じて多様な経験やスキルを持った人材を獲得していくことでケイパビリティを高め、コア事業の成長と将来的な成長基盤の創造への原動力にしてまいります。

 

b ガバナンス・リスク管理

人的資本に関するガバナンス・リスク管理は、サステナビリティのガバナンス・リスク管理に組み込まれております。詳細については、「(1) サステナビリティ ②ガバナンス 及び ④リスク管理」に記載しております。

 

c 戦略

イ 従業員の処遇面の見直し

当社は、従業員が活力をもって、安心して仕事に取り組めるよう、2024年4月には、消費者物価指数の上昇及び世間動向を踏まえた水準の賃上げ(ベースアップ及び定期昇給)を実施いたしました。加えて、従業員が安心して長く働きたいと思えるような魅力ある会社づくりを進めるため、ナイスグループ労働組合と協議を重ね、各種の処遇改善を実施いたしました。また、働き方の多様化に向けた取り組みとして、子育て、家族の介護、自身の病気治療を目的に取得できる「ライフサポート休暇」制度を導入し、従業員のワークライフバランスとウェルビーイングの向上を支援いたします。

ロ エンゲージメントスコアの向上

当社は、従業員の企業理念や経営方針への共感度並びに企業価値の向上に対する貢献意欲を可視化することで課題を特定し、その解決に向けた施策を検討するために、2024年3月期よりエンゲージメントサーベイを実施しております。本サーベイの結果は、重要な経営指標として取締役会に報告し、フラットな組織風土の醸成に向けた組織開発や人事戦略の策定に活用しております。今後も定期的なエンゲージメントサーベイの実施を通じて、各組織の結果を確認・検証し、組織風土の継続的な改善活動に取り組んでまいります。

 

ハ タレントマネジメントシステムの構築並びにサクセッションプランの策定及び実践

新年度よりタレントマネジメントシステムを導入し、従業員一人ひとりのスキルや強み、経験等の情報を一元管理し、分析及び活用できる仕組みを整備するとともに、従業員が自らのスキルや強み、経験等の活用といったキャリア志向について自己申告できるようにすることで、キャリアの自律を進めてまいります。これらを通じて、キャリア開発や戦略的な人員配置を行い、多様な人材が適材適所で活躍できる基盤を整備してまいります。また、会社の持続的な成長のために、サクセッションプランを策定し、次世代の経営者または幹部となり得る候補者の人材プールを形成し、継続的に育成してまいります。

ニ 健康経営の実践

当社は、会社が健全であるためには従業員一人ひとりが心身ともに健康であることが重要であるという考えのもと、従業員とその家族のこころとからだの健康づくりを推進し、健康意識を向上させる「健康経営」の実践に取り組んでおります。なお、「健康経営優良法人2024」において、当社は大規模法人部門、ナイスコンピュータシステム株式会社及びナイス沖縄株式会社は中小規模法人部門の認定を受けております。

ホ 人材育成の取り組み

当社グループが目指す成長に向けて、従業員のスキルアップとリスキリング、キャリア自律を目的としてグループ共通のeラーニングによる自己啓発ツールを新年度から導入いたします。基礎から応用までレベルに合わせたビジネススキル全般に加えて、IT・DX等の最新知識やリベラルアーツ等の周辺知識など、幅広いコンテンツを網羅的に提供することで、自分が学びたい分野について自律的かつ主体的に学習できる環境を整えております。

 

d 指標と目標

当社は、多様な人材の活躍を推進する取り組みの一環として、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づき、2021年4月に公表した行動計画において、2026年3月までに女性の採用比率を40%以上にすること及び女性管理職比率を2021年3月末時点の2倍にすることを目標として定めております。このうち女性の採用比率については、既に2022年3月期から2024年3月期まで3期連続で達成しております。

健康経営においては、健康診断受診率100%、ストレスチェック受検率90%を目標に掲げ、今後、中長期的には健康経営優良法人「ホワイト500」の認定取得を目指し、取り組みを進めてまいります。