2026年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには以下のようなものがあります。当連結会計年度に実施した「取締役会の実効性評価」(自己評価)におけるリスク評価分析の結果を踏まえ、当社グループの経営成績等への影響や発現可能性という観点から、重要性が高いと考えられるリスクから順に記載しております。

なお、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定外のリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。また、この文中には、将来に関する記述が含まれております。それらの記述は、当連結会計年度末時点において、入手可能な情報に基づいて当社グループが判断したものであり、不確定な要素を含んでおります。

 

(1)海外活動に潜在するリスク

 当社グループの海外における生産及び販売活動は、東南アジアや北東アジア、北米、欧州と多数の地域に及びます。これらの海外市場への事業進出には、予期しない法律又は規制の変更、不利な政治又は経済要因、人材の採用と確保の難しさ、未整備の技術インフラ、潜在的に不利な税制の影響、その他の要因による社会的混乱などのリスクが内在しております。

 当社グループは、各国法令、環境法規制、社会情勢・取引先動向等に注視し、変化に合わせた迅速な対応を実施できるよう体制を整備し、それらリスクの低減に努めております。

 当連結会計年度における所在地別の売上高では、アジア合計が46%であり、最も影響を受ける地域であります。

 自然災害や感染症流行等の非常時の対策としては、海外の主要な拠点において事業継続計画(BCP)を策定、運用しております。

 

(2)人材の育成・確保に係るリスク

 商社事業を核とする当社グループにとって、人材は最も重要な財産であり価値創造の源泉です。持続的な企業価値向上のためには、展開する4つの事業分野のみならず、経営・財務・ITなど経営基盤を支える専門分野に精通した優れた多様な人材の育成・確保が日本及び海外拠点において必要です。

 人的資本の育成・強化を重要な経営課題と捉え、社内体制の整備を進め、当社グループの価値創造を担う人材の育成・確保に努めておりますが、一方で少子高齢化の進行や人材の流動化の影響により必要な人材確保が困難となる場合や、人材育成が順調に進まない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)事業投資に係るリスク

 当社グループでは、事業展開をするにあたり、合弁・ジョイントベンチャーなど実際に出資を行い、持分を取得するケースが多々あります。特に連結対象となる関係会社に対する投資については当該グループ会社の財政状態及び経営成績の動向により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、商社ビジネス拡大を主たる目的としたマイノリティー投資を基本としており、マジョリティー投資については、リスク・金額を限定して行っております。

 NC2026では全社成長戦略として投資の積極化による収益拡大を目指しております。重要性の高い新規投資案件については、M&Aを行う専門部署が営業部門等と連携して定量面・定性面からリスク等の評価・分析を行ったうえで、経営者がメンバーとなる審査会議で審議を行います。投資実行後、定期的にモニタリングを行い、一定の基準に満たない案件などについては、適宜、対策を講じるよう努めております。

 

(4)事業再構築に係るリスク

 当社グループは、事業の選択と集中の推進のため、不採算事業からの撤退、子会社や関連会社の売却・再編による事業の再構築を継続しております。これらの施策に関連して、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。各国政府の規制や雇用問題等によって、事業再構築の計画が適時に実行できない可能性もあります。また、当社グループが事業再構築の実施により、当初の目的の全部又は一部を達成できる保証はありません。なお、撤退検討基準を設けて、該当する当社グループ会社に対しては審査会議において撤退等の審議を行っております。

 

 

(5)品質に係るリスク

 当社グループは商社グループでありますが、合成樹脂コンパウンド、プラスチックフィルム、医薬品原料、水産加工品等の製造・加工会社を国内外に有しております。それらで製造・加工する製品については、信頼性や安全性を確保できるよう品質管理に努めております。また、商社として情報電子、化学品、生活産業、合成樹脂の4つの事業分野において取引先より仕入・販売する多様な原料・商材についても、グローバルに変化するそれら原料・商材に係る環境や安全関連の法規制、規格の動向等を把握して、品質管理に努めております。

 しかしながら、品質問題を完全に回避することは困難であり、当該問題により生じた損失について、当社グループが責任を負う可能性があります。その場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)取引先の信用リスク

 当社グループ事業は国内外の多数の取引先に対して信用を供与しております。当社グループにおいては海外取引

先も含めたグローバルな与信管理を行ってはおりますが、必ずしも全額の回収が行われる保証はありません。従い

まして、取引先の不測の倒産・民事再生手続等による貸倒損失や貸倒引当金の計上を通して、当社グループの財政

状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当連結会計年度末時点において、当社グループの受取手形及び電子記録債権の金額は25,553百万円、売掛金は

179,470百万円、棚卸資産の金額は96,524百万円であり、その合計額は総資産の61%を占めております。重要性が高い与信供与については、経営者がメンバーとなる審査会議で審議を行います。売掛金及び棚卸資産については、連結グループ各社の残高推移を月次ベースでモニタリング管理しております。

 

(7)商品市場の変動リスク

 当社グループが取り扱う、情報電子材料、ケミカル原料、食品、合成樹脂の多くは商品相場の変動に影響を受け

ます。そのため市況の変動への弾力的な対応ができなかった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響

を及ぼす可能性が生じることになります。各営業部門にて、市場の情報を収集して、価格動向を注視するとともに、在庫管理を徹底しております。

 当連結会計年度においては、情報電子事業における太陽光発電関連ビジネスで、市場価格下落の影響を受けまし

た。

 

(8)情報システム・情報セキュリティに係るリスク

 当社グループは、商社グループとして事業を展開する上で、取引先の機密情報や個人情報及び当社グループの機密情報や個人情報を有しております。これら情報の外部流出や破壊、改ざん等が無いように、「情報セキュリティ規程」を制定し、情報管理手続きを定めたマニュアルを整備して、グループ全体で管理体制を構築し、徹底した管理と情報セキュリティ強化、従業員教育等の施策を実行しております。規程・マニュアル等については、随時見直しを行い、新たなリスクやテクノロジーに対応するよう努めております。

 また、働き方改革の推進等によりリモート環境での業務が増加する傾向にあることを踏まえ、従来のウィルス対策ソフトだけではなく、端末の挙動を監視するエンドポイントセキュリティシステムを導入する等、ゼロトラストの考え方に沿ったセキュリティ強化に努めております。まず、セキュリティインシデントに対して、迅速かつ正確に対応するために社内に対応チームとしてのCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を立ちあげて社内外の情報連携を強化するとともに、更に、外部セキュリティオペレーションセンター(SOC)による24時間/365日の監視を行っております。そして、サイバー攻撃等の被害による財政状態への悪影響を低減するために当社グループに対してサイバーセキュリティ保険に加入しております。

 しかしながら、昨今サイバー攻撃はますます高度化しているため、外部からの予期せぬ不正アクセス等を完全に排除することは困難であり、そのような不測の事態が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)為替の変動リスク

 当社グループは、海外の事業展開における製品、原材料の生産と販売活動及び貿易活動を行っております。原則として為替予約等によるヘッジ取引を行っておりますが、外貨建取引等に伴う為替レート変動の影響を受ける可能性があります。また、各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されており、換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

 当連結会計年度における為替差損は9百万円となり、為替換算調整勘定は40,460百万円となりました。

 

 

(10)環境に係るリスク

 当社グループは、国内外において4つの事業分野で幅広い商材を取り扱っており、これら商材の製造・販売は当該地域の環境規制や環境配慮商材への変更等の影響を受ける可能性があります。合成樹脂事業においては、脱プラスチック商材への変更の影響を受ける可能性があります。仕入先の分散化に取り組むと共に、脱炭素社会・循環型社会への貢献に向けて、リサイクル商材など環境負荷を低減する商材の販売に各事業において注力しております。

 また、気候変動リスクについては、気候変動起因による自社事業活動への影響を適切に把握し、サステナビリティ委員会において評価・モニタリングを行い、取締役会が監督しています。その内容は、TCFDが提言する情報開示フレームワークに沿って開示しております。詳細は、コーポレート・ガバナンス報告書(2026年6月17日開示予定)をご参照ください。

 

(11)法規制に係るリスク

 当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障又はその他の理由による輸出

制限、関税をはじめとするその他輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。これらの制限を遵守できなかった場合は、コストの増加につながる可能性があります。従いまして、これらの規制は当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当連結会計年度における海外売上高比率は54%と高く、輸出入規制に大きな影響を受ける可能性があります。そのため、社内に輸出管理委員会を設置し、リスクの軽減に努めております。

 

(12)金利に係るリスク

 当社グループは、営業活動や事業投資等の資金を金融機関からの借入又は社債発行等を通じて調達しておりま

す。国内外の金利動向を把握し、固定・変動調達比率を調整することなどで金利リスク管理を行い、支払利息の低減に努めておりますが、金利水準の急上昇等により当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当連結会計年度における支払利息は1,557百万円となりました。

 

(13)自然災害等のリスク

 当社グループが事業を展開する国や地域において、地震、津波、台風等の自然災害、又は感染力の強い感染症が発生した場合には、当社グループの社員・事務所・設備の被害により、当社事業に悪影響を及ぼす可能性があります。また、これらの災害による、サプライチェーンの分断や当社グループが取り扱う商材の市場における需給変動等により、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 これら災害の悪影響に対しては、当社グループの危機対応の基本方針に基づいた事業継続計画(BCP)を策定し、社員の安全確保を最優先に事業継続を行いますが、全ての被害や悪影響を回避できるとは限らず、将来の当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)保有有価証券の時価下落に係るリスク

 当社グループではビジネス戦略上多数の会社の株式等に出資又は投資しております。株式市場の動向悪化、又は出資先の財政状態の悪化により、保有有価証券の減損リスクがあります。

 当連結会計年度末における投資有価証券の計上額は42,620百万円となりました。また、特定投資株式の保有方針や保有の合理性、銘柄ごとの詳細については「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (5)株式の保有状況」に記載しております。

 

(15)退職給付債務の変動リスク

 当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は計上される債務に影響を及ぼします。また、損益面では、当該影響額は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用に影響を及ぼします。また、年金資産には退職給付信託として上場有価証券を信託しているため株価の変動の影響を受けやすく、割引率の変動及び年金資産運用の結果による損益のブレにより当社グループの年金費用は増減します。株価の下落、割引率の低下や年金資産運用利回りの悪化は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当連結会計年度末における退職給付に係る負債の計上額は2,395百万円となりました。

 

 

 

配当政策

3【配当政策】

 当事業年度の株主還元の基本方針は、以下のとおりです。

 

(株主還元の基本方針)

① 一株当たりの配当額については前年度実績を下限とし、減配は行わず、継続的に増加させていくことを基本とする。(累進配当)

② 総還元性向(*)の目安としては概ね50%程度とする。

 

(*)総還元性向=(配当総額+自己株式取得総額)÷連結純利益×100(%)

 

当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うこととしております。

 当社は、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議によって定める旨定款に定めております。また、会社法第454条第5項の規定により、取締役会の決議によって毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる旨定款に定めております。

  なお、当事業年度にかかる剰余金の配当は以下のとおりであります。

(決議)

株式の種類

配当金の総額

(百万円)

1株当たり

配当額

(円)

基準日

効力発生日

配当の原資

2025年11月6日

普通株式

3,379

63.00

2025年9月30日

2025年12月1日

利益剰余金

取締役会(注)1

2026年5月11日

普通株式

3,486

65.00

2026年3月31日

2026年6月1日

利益剰余金

取締役会(注)2

(注)1.2025年11月6日開催の取締役会の決議による普通株式の配当金の総額3,379百万円については、「株式給付信託(BBT)」が保有する当社株式に係る配当金16百万円が含まれております。

2.2026年5月11日開催の取締役会の決議による普通株式の配当金の総額3,486百万円については、「株式給付信託(BBT)」が保有する当社株式に係る配当金16百万円が含まれております。

 

(ご参考)2027年3月期からの株主還元の基本方針について

 2027年3月期より、株主還元の基本方針を以下のとおりに変更しました。累進配当の継続、総還元性向に加えて、株主資本の水準を踏まえて利益成長の成果を適切に分配する姿勢を明確にするため、新たにDOE(株主資本配当率)を指標として導入することといたしました。

(株主還元の基本方針)

① 配当総額については、DOE(株主資本配当率)(*)4~4.5%を目安とする。

② 一株当たりの配当額については前年度実績を下限とし、減配は行わず、継続的に増加させていくことを基本とする。(累進配当)

③ 各年度の総還元性向は50%以上を原則とする。

 

(*)DOE(株主資本配当率)=配当総額÷株主資本×100(%)