2025年12月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

当社グループは、経営の基本方針(1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(1)会社の経営の基本方針をご参照下さい)としております企業活動の遂行・達成に影響を及ぼす様々なリスクを適切に把握し、その未然防止及び発生時の影響最小化と再発防止を、経営における重要な課題と位置付けております。その上で、当社全体のリスクマネジメント体制を構築し、「企業価値に影響を与えうる不確実性(事象)」をリスクと定義し、戦略リスク、重要なオペレーショナルリスク、オペレーショナルリスクの3つに区分し、管理しています。

区分

定義

管理方法

戦略リスク

経営戦略、事業計画その他のユニ・チャーム株式会社の取締役会が決定する事項又はその実行に影響を与えるリスク

取締役会における決議の際に、リスク委員会の審議結果を踏まえ、リスクを考慮したうえで意思決定を行います。また、決定後の状況については、定期的に取締役会への報告又は全取締役による討議を実施し、取締役会がモニタリングします。

重要なオペレーショナルリスク

顕在化した場合に当社グループの事業遂行やレピュテーションを著しく阻害するおそれがあるリスク

リスク委員会が深刻度(影響度×発生可能性)及び対応準備度を取りまとめます。経営監査部のCSA(Control Self-Assessment)、業務監査結果を対応準備度として考慮します。深刻度の変化、対応準備の方針に問題はないか等の観点で定期的に検証の上、1年に1回以上取締役会へ報告を行い、取締役会がモニタリングします。

オペレーショナルリスク

日常の事業活動において定められた方針、規程、ガイドライン、業務プロセスを遵守すること等により、許容できる範囲内に防止・軽減できるリスク

担当執行役員が責任をもってリスク管理を行い、リスクを踏まえた経営資源の配分や経営判断を実行します。

 

(1)リスクマネジメント体制

当社グループでは、下記図の通りリスクマネジメント体制を構築しています。ユニ・チャーム株式会社の取締役会の監督の下、代表取締役社長執行役員は、ユニ・チャームグループのリスク管理に関する基本的な方針を決定します。また、効果的かつ効率的なリスク管理が行われるようにするため、ユニ・チャーム株式会社の執行役員に必要な権限、責任ならびに経営資源を割り当てるとともに、リスク委員会は当社グループ全体のリスク情報を取りまとめ、取締役会へ定期的な報告を行います。また、独立した内部監査部門を設置し、これらを監督する体制としています。

(2)戦略リスク及び重要なオペレーショナルリスクの状況

戦略リスク及び重要なオペレーショナルリスクは、1年に1回以上見直し、取締役会へ報告を行います。当連結会計年度において特定した戦略リスク、重要なオペレーショナルリスク、並びにこれらの対応策は以下のとおりです。

 

<リスクの評価方法>

・影響度:人的リソース、有形・無形資産、レピュテーション、および財務状況への波及を総合的に勘案し、3段階で評価しています。 財務的影響については、税引前利益に対する比率を定量的な判定基準としており、同利益の「5.0%以上」を「3:深刻な影響」、「0.1%以上5.0%未満」を「2:一定程度の影響」、「0.1%未満」を「1:軽微な影響」と定義しています。

・発生可能性:発生頻度を3段階(3:顕在化している、2:3年以内に顕在化する可能性がある、1:顕在化可能性が低い)で評価しています。

 

①戦略リスク

項目

消費者の変化

リスク事象・影響

消費者の価値観や購買行動の急速な変化、およびマクロ経済環境の変動に対し、当社グループの製品・サービスが適時適切に対応できない場合、市場における競争優位性の喪失、ブランド価値の毀損を招き、売上収益および市場シェアが低下する恐れがあります。

要因

・デジタル技術の進化やSNSの普及に伴う情報収集・購買プロセスの多様化および消費トレンドの短サイクル化。

・世界的な景気後退やインフレ圧力による、生活必需品への支出抑制および低価格品への需要シフト。

評価

影響度

3

発生可能性

3

対応策

・生成AI等のデジタル技術を積極的に活用し、膨大な消費者データからインサイトをリアルタイムに抽出・分析する体制を構築しています。

・変化の激しいトレンドを即座に製品化するための開発・生産リードタイムの短縮を推進しています。また、地域ごとの市場環境の変化に応じた柔軟なブランド・価格ポートフォリオの見直しを実行しています。

 

項目

流通チャネルの変化

リスク事象・影響

オンライン販売チャネルの急拡大に伴う流通構造の激変に対し、販売戦略やサプライチェーンの再構築が遅れた場合、新たな成長機会を逸失するとともに、既存チャネルにおけるプレゼンス低下を招き、売上収益および市場シェアが低下する恐れがあります。

要因

eコマース(以後EC)市場の拡大、およびSNSやライブコマース等、デジタルチャネルを通じた販売手法の多様化に伴う消費者の購買行動の変化。

評価

影響度

3

発生可能性

3

対応策

・主要なECプラットフォーマーとの戦略的パートナーシップを強化するとともに、既存の小売店とも連携し、リアルとデジタルを融合させた施策を推進することで、顧客接点を最大化しています。

・自社ECやSNSを通じた直接販売チャネル(D2C)を強化し、顧客との直接的な対話を通じて独自データを蓄積しています。得られた知見はマーケティング施策の最適化だけでなく、既存流通向けの営業提案にも還元しています。

・国・地域ごとに異なるECの浸透度や主要プレイヤーの動向を踏まえ、専任部門および現地法人が最適なチャネルミックスを策定しています。

 

 

 

項目

競争環境の変化

リスク事象・影響

市場における競争環境の激化(既存の枠組みを超えた新規参入や、サプライチェーンにおける役割の変化に伴う競争環境の変化を含む)への対応遅れにより、価格競争による収益性の低下や市場シェアの縮小を招く恐れがあります。

要因

・グローバル大手メーカーによるM&Aを通じた巨大化や、新興国メーカーの台頭による価格競争の激化。

・既存カテゴリーにおける競合他社の革新的な新製品投入。

・デジタルプラットフォーマーやプライベートブランドなど、従来の業界の枠組みを超えたプレイヤーの参入による競争ルールの変化。

・技術革新による既存製品カテゴリーのコモディティ化。

評価

影響度

3

発生可能性

3

対応策

・価格競争に陥らないよう、独自の特許技術やサステナビリティ対応など絶対的な品質優位性を確保することでシェア維持・拡大を図っています。

・事業ポートフォリオの定期的かつ厳格な見直しを行っています。成長性と資本効率の観点から、経営資源を「高付加価値分野」および「高成長エリア」へ重点配分し、競争優位性が維持できない事業については撤退や縮小も含めた構造改革を断行します。

 

項目

投資判断

リスク事象・影響

事業変革や非連続な成長を実現するための投資判断において、環境変化の予測を見誤った場合、あるいは投資後の統合プロセスや事業立ち上げが計画通りに進捗しなかった場合、投資回収期間の長期化や減損損失の計上により、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす恐れがあります。

要因

地政学リスクの顕在化やマクロ経済環境(金利・為替・資材価格等)・法規制の急激な変更などによる投資回収プランの乖離。

評価

影響度

2

発生可能性

1

対応策

・特定の国・地域への過度な依存を避けるため、地政学リスクや法規制の動向を常時監視し、サプライチェーンや投資配分の分散を図っています。

・投資案件の実行可否判断においては、資本コストを上回るリターンが見込めるかを審査しています。また、リスクアペタイトに基づき、取締役会・リスク委員会においてリスク・リターンのバランスを評価しています。

 

②重要なオペレーショナルリスク

重要なオペレーショナルリスクは、影響度、発生可能性、対応準備度の観点で評価を行い、評価結果に応じて優先順位付けをして対応しています。

項目

サイバーセキュリティ

リスク事象・影響

サイバー攻撃によるデータの漏えいやシステムの停止・誤作動が、損害賠償責任の負担、復旧・対応費用の発生、オペレーションの混乱・停止に伴う逸失利益、中長期的な信用失墜をもたらす恐れがあります。

評価

影響度

3

発生可能性

2

対応策

国内外のグループ各社において、EDR(Endpoint Detection and Response)およびSOC(Security Operation Center)を組み合わせたセキュリティ体制を統一展開し、サイバー攻撃の早期検知と能動的な対応力の強化を図っています。また、IT資産管理やインシデント対応体制の継続的な整備・拡充に努めています。

 

 

 

項目

自然災害・大規模な事故

リスク事象・影響

地震、台風、洪水等の自然災害や、大規模な事故の発生により、当社グループの生産拠点やサプライチェーンが被災した場合、長期間の操業停止や供給網の寸断が発生し、復旧費用の発生やオペレーションの混乱・停止に伴う逸失利益等、経営に大きな影響を及ぼす恐れがあります。

評価

影響度

3

発生可能性

1

対応策

国内外のグループ各社においてBCP(事業継続計画)を策定し、定期的な訓練や教育啓蒙活動を通じて、有事の際の対応実効性の向上を図っています。グローバルでの防火基準を設定し、グローバルの各拠点において基準適合状況のチェックと継続的な改善を行っています。

サプライチェーンのレジリエンス(強靭性)強化を重要課題と捉え、主要サプライヤーとの連携訓練や安否確認システムの整備等、迅速な情報共有と供給継続に向けた協力体制の構築に努めています。

 

項目

重大な品質不良

リスク事象・影響

製品不良・設計不備により、死亡事故や重大な健康被害が発生し、損害賠償、刑事罰、ブランド毀損、売上低下をもたらす恐れがあります。

評価

影響度

3

発生可能性

1

対応策

当社グループ全体での品質水準を一定に保つための仕組みを構築しています。

さらに不適合や苦情の発生状況を定期的に分析し、重大な品質事故が発生した場合、迅速な是正措置の実施と再発防止策の策定が行えるように、マネジメントシステム自体の更新を継続的に実施します。万一の事態に備え、迅速な情報開示と誠実な対応を行うための緊急時レスポンス体制を整備し、透明性の高い社内の情報連携の仕組みを構築しています。

 

項目

気候変動

リスク事象・影響

炭素税の導入、ならびに税率の引き上げ、エネルギー価格の大幅な変動による操業コストの上昇と、原材料価格の高騰による調達コスト上昇を招く恐れがあります。また、温室効果ガス排出量削減を考慮しない商品開発は、中長期的な信用失墜を招く恐れがあります。

評価

影響度

3

発生可能性

1

対応策

「資材別のGHG(温室効果ガス)排出量の一次データを活用し、効率的な資材活用とGHG排出量削減を両立する商品開発を進めます。また、持続可能性に貢献する社内基準「SDGs Theme Guideline」に適合した商品の開発と販売の継続、2030年の再生可能電力比率100%達成に向けたロードマップを推進します。

 

項目

個人情報保護

リスク事象・影響

サイバー攻撃や人的過誤、管理体制の不備による個人情報の漏洩は、損害賠償責任の発生や社会的な信用失墜をもたらします。とりわけグローバル展開においては、各国・地域の法規制への準拠が不可欠であり、万一、対応に不備が生じた場合、多額の制裁金を科され、ブランド毀損を招く恐れがあります。

評価

影響度

2

発生可能性

2

対応策

人為的なミスを防止するため、社員を対象とした個人情報保護に関する継続的な教育を実施します。また、流出事案が発生した際に迅速な公表と被害拡大防止を図るための緊急対応マニュアルを整備します。また、各国・地域の個人情報保護法やデータ越境規制に適切に対応するため、グループ内データ移転契約を締結し、法的に適正なデータ管理体制を徹底します。

 

項目

AI

リスク事象・影響

導入した生成AI等のアルゴリズムにおける偏向や技術的不備によって、誤った意思決定や不適切な情報発信が生じ、社会的な信用失墜や法的責任の追及を受ける恐れがあります。

評価

影響度

2

発生可能性

2

対応策

安全なAI利用環境を整備するため、当社グループ社員が遵守すべき行動規範を制定します。また、生成AIの社外利用における可否判断チェックリストを運用し、著作権侵害や不適切内容の出力リスクを制御します。

 

 

 

項目

製品の信頼性

リスク事象・影響

製品不良・設計不備により、リコール、軽微な健康被害、ブランド毀損が発生する恐れがあります。また、不実表示、虚偽広告、違法又は非倫理的なマーケティングにより、損害賠償責任、SNSでの炎上、ブランド毀損が発生する恐れがあります。

評価

影響度

2

発生可能性

2

対応策

各国・地域における法規制に準拠した製品をお客様に提供するため、各国・地域の法規制を網羅しかつ、品質や製品安全性の観点も加えた厳しい自社基準を設定し、国内外のグループ会社全体でその基準を遵守する運用としています。

正しい情報伝達のために、関連法規制遵守およびエビデンスに基づく適正な広告・表記となるよう、ゲート会議、表示審査の仕組みを設けて厳しいチェックを行っています。製品に関するクレームがあった場合は、発生件数の多寡にかかわらず、迅速な原因究明や改善対処をし、製品の信頼性が低下しないよう体制を整えています。

 

項目

為替変動

リスク事象・影響

当該国・地域の規制、経済環境及び社会的・政治的情勢の変化に伴う為替相場の変動は、外国通貨建ての売上や原材料の調達コストによっては、市場が大きく変化し当社の事業活動や保有資産の価値に影響を与える恐れがあります。また、当社グループ会社の当該国・地域通貨建の財務諸表は、連結財務諸表作成に際し円に換算されるため、為替相場の変動が円高時には当社の財政状態及び経営成績にマイナスの影響を与える恐れがあります。

評価

影響度

2

発生可能性

3

対応策

原材料仕入を含めた外貨建取引や保有債権・債務を総合的に勘案した為替ヘッジにより、リスクの最小化に努めます。また、安定的な株主還元や当社内資金循環にも寄与するよう、投資予定を上回る資金を保有する当社グループ会社からの配当を積極的に実行し、在外資産の円高によるマイナス影響を抑制します。

 

項目

取引先の与信

リスク事象・影響

国内外の主要な取引先において、景気後退、消費構造の変化、または、予期せぬ経営環境の悪化により、経営破綻や支払遅延が発生し、売掛金等の債権が回収不能となる恐れがあります。その結果として、売上高の減少や、引当金の計上による業績悪化の恐れがあります。

評価

影響度

2

発生可能性

3

対応策

独自の与信管理規程に基づき、新規取引時の厳格な審査および取引先ごとの与信限度額の設定や定期的な見直しを徹底しています。外部機関の活用等により取引先の財務状況を継続的にモニタリングし、支払懸念等の予兆把握に努めています。リスク顕在化時には債権保全策を講じ、取引条件の変更等により損失の最小化を図っています。これら与信状況は定期的に経営層へ報告され、組織的なリスク管理体制を構築しています。

 

項目

人材(採用・育成・離職)

リスク事象・影響

高度専門人材やリーダー人材の採用の遅延・未達、キー人材の離職により、経営計画・戦略の実行が遅延する恐れがあります。

評価

影響度

2

発生可能性

2

対応策

データおよび生成AIを活用したタレントマネジメントにより、適材適所の実現と、最適な後継者の計画的な選抜・育成を遂行します。必要に応じて外部人材の獲得も柔軟に組み合わせつつ、OODAループと生成AIを高度に活用し、自律的に価値創造を牽引する「共振人材」の育成に注力します。併せて、キャリアビジョン・キャリアプランに基づいた自律的なキャリア形成支援を行うことで働きがいの向上やエンゲージメント強化を通じて、少数精鋭の組織体制による持続的な競争力の維持・強化を図ります。

 

 

 

項目

労働災害

リスク事象・影響

労働災害による死亡や重大な後遺障害、および過重労働等に起因するメンタルヘルス不調の発生は、尊い生命と健康を損なうだけでなく、社員の活力低下や長期離職、エンゲージメントの減退を招き、中長期的な経営計画の実行を阻害する恐れがあります。

評価

影響度

2

発生可能性

2

対応策

「安全衛生管理規程」に基づき、社員の安全確保と健康の維持・増進を最優先する職場環境を整備しています。管理者が部下の心身の健康状態を常に確認し、早期発見・早期対応する体制を徹底するほか、産業医・保健師を含めた安全衛生委員会において社員の健康増進策を毎月協議しています。また、生産拠点でのOSHMS運用やISO45001の取得、リスクアセスメントによる予防措置、さらには「労働安全の日」を通じた意識啓発により、心身ともに安全で快適な職場づくりを推進しています。

 

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、株主の皆様への利益還元を最も重要な経営方針のひとつと考え、そのためにキャッシュ・フローの創出による企業価値の向上に努めております。当期におきましては、持続的な成長を実現するための事業投資を優先しながら、中長期的な連結業績の成長に基づき、安定的かつ継続的な配当を実施し、自己株式の取得に関しても必要に応じて機動的に実施することで、総還元性向50%以上を目標に利益還元の充実を図ってまいりました。

なお、当社は、会社法第459条第1項第4号に基づき、剰余金の配当等を取締役会の決議により行う旨を定款に定めており、配当の決定機関は、取締役会であります。また、中間期末と期末の年2回、剰余金の配当を行うことを基本的な方針としております。

当期の年間配当については、中間期末の1株当たり9円に、期末配当1株当たり9円を加え、18円とさせていただきました。この結果、24期連続増配となり、親会社所有者帰属持分配当率(DOE)は4.0%となりました。

 

 基準日が当事業年度に属する取締役会決議による剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当額(円)

2025年8月5日

15,749

9.0

2026年2月12日

15,659

9.0