2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    273名(単体) 23,125名(連結)
  • 平均年齢
    48.9歳(単体)
  • 平均勤続年数
    21.5年(単体)
  • 平均年収
    13,507,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社における従業員数

2025年3月31日現在

セグメント
の名称

合計

 

 

 

 

 

 

 

個人

法人

投資家

不動産

マーケット

運用
ビジネス

その他

従業員数
 (人)

23,125

8,321

4,424

2,305

2,001

380

1,545

4,149

[ 2,464]

[ 565]

[ 313]

[ 147]

[ 109]

[ 10]

[ 100]

[ 1,220]

 

(注)1.従業員数は、就業人員であり、海外の現地採用者を含み、臨時従業員2,386人を含んでおりません。

2.従業員数には、取締役を兼務していない執行役員等121人を含んでおります。

3.臨時従業員数は、[ ]内に年間の平均人員を外書きで記載しております。

4.報告セグメントごとの従業員数には連結子会社の従業員数を含んでおります。

 

(2) 当社の従業員数

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

273

48.9

21.5

13,507

 

(注)1.当社の従業員は、三井住友信託銀行株式会社からの出向者等であり、平均勤続年数は出向元での勤続年数を
通算しております。

2.従業員数には、取締役を兼務していない執行役員等(当社以外の職務委嘱割合が高い者を除く)8人を含ん
でおります。

3.当社の従業員はすべて「その他」のセグメントに属しております。

4.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

5.当社には従業員組合はありません。労使間においては特記すべき事項はありません。

 

 

(3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①当社

該当ありません(「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表の対象外であります)。

 

②連結子会社

当事業年度

名称

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注)1

男性労働者の
育児休業取得率
(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

 

三井住友信託銀行株式会社

23.2

(+8.0)

100

(▲11)

 

53.6

(+1.3)

54.3

(+1.5)

62.5

(▲3.4)

(注)4

日興アセットマネジメント
株式会社

22.6

(▲1.7)

86

(▲14)

 

62.5

(+3.0)

62.9

(+1.4)

54.3

(+19.9)

(注)4

三井住友トラスト・
アセットマネジメント
株式会社

11.9

(▲1.9)

100

(+37)

 

70.7

(▲0.4)

70.5

(±0)

95.9

(+12.0)

(注)4

(注)5

三井住友トラスト不動産
株式会社

2.3

(+0.7)

114

(+32)

 

50.6

(+2.2)

50.5

(+2.4)

54.4

(+4.7)

 

三井住友トラストクラブ
株式会社

31.5

(▲1.8)

83

(▲17)

 

79.1

(±0)

78.6

(+0.1)

-

(注)6

三井住友トラスト
総合サービス株式会社

39.1

(+1.6)

-

(注)3

91.1

(▲1.9)

69.1

(▲2.4)

80.4

(+4.4)

 

三井住友トラスト・
ライフパートナーズ株式会社

28.6

(+3.6)

100

(+50)

 

63.7

(+3.0)

60.4

(+2.1)

112.1

(+15.6)

 

三井住友トラスト・
パナソニックファイナンス
株式会社

9.6

(▲0.3)

133

(+17)

 

64.8

(+1.2)

67.5

(+0.4)

74.7

(▲3.8)

 

三井住友トラスト
TAソリューション株式会社

70.0

(+8.2)

-

(注)3

84.5

(+2.0)

79.2

(+3.5)

79.4

(▲3.1)

 

三井住友トラスト・
システム&サービス株式会社

16.9

(+1.6)

100

(+44)

 

84.2

(+2.1)

81.5

(+1.3)

85.8

(+5.9)

 

三井住友トラスト・
ビジネスサービス株式会社

78.7

(+5.3)

-

(注)3

56.2

(+6.0)

54.2

(+1.9)

71.1

(+4.5)

 

 

各項目下段(   )内の数字は前事業年度との比較であります。なお、当グループでは、前事業年度より、開示範囲を拡大し、男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異ともに、自主的に常時雇用労働者101人以上の連結子会社について公表しております。

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。なお、三井住友信託銀行株式会社、日興アセットマネジメント株式会社、三井住友トラスト不動産株式会社、三井住友トラスト・パナソニックファイナンス株式会社については、同第71条の6第2号における取得割合を算出しております。育児休業取得率の算出において、当事業年度に子が生まれた労働者数(a)に対する、当事業年度に育児休業を取得した労働者数(b)の割合(b/a)を算出しており、前事業年度に子が生まれた労働者が、当事業年度になって育児休業を取得したケースが含まれるため、育児休業取得率が100%を超えることがあります。

3.当事業年度内において、育児休業取得の対象となる男性労働者がいないことから、記載を省略しております。

4.連結子会社のうち、三井住友信託銀行株式会社、日興アセットマネジメント株式会社、三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社の労働者の男女の賃金の差異の背景についての補足説明を「(4) 三井住友信託銀行株式会社、日興アセットマネジメント株式会社、三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社における労働者の男女の賃金の差異の背景について」に記載しております。

5.三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社の男女の賃金の差異においては、他の連結子会社の算定方法と統一するため、当事業年度より「正規雇用労働者」及び「パート・有期労働者」の区分に係る算定方法を変更しております。前事業年度の数値との差異についても、当事業年度と同様の方法で前事業年度の数値を算定した場合の当事業年度との差異を記載しております。

 

6.三井住友トラストクラブ株式会社においては、当事業年度内において、パート・有期労働者に女性がいないことから、パート・有期労働者の男女の賃金の差異については記載しておりません。

7.三井住友トラスト・ローン&ファイナンス株式会社(現 株式会社L&Fアセットファイナンス)においては、2025年4月1日付で、発行済株式の85%を株式会社コンコルディア・フィナンシャルグループへ譲渡したことにより、当社の持分法適用会社となったことから記載しておりません。

 

③連結会社

当連結会計年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)2

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

24.0

(+5.3)

52.2

54.3

52.5

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。当社及び国内連結子会社(28社)を対象として算出しております。なお、下段(   )内の数字は前事業年度との比較であります。

2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。男女賃金差異について公表をしている連結子会社(11社)について連結をしております。

 

 

(4)三井住友信託銀行株式会社、日興アセットマネジメント株式会社、三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社における労働者の男女の賃金の差異の背景につい

 ①三井住友信託銀行株式会社

当グループの全労働者のうち約6割の労働者が所属する三井住友信託銀行株式会社の労働者の男女の賃金の差異は、以下のとおりであります。

(当事業年度の前2事業年度及び当事業年度に係る労働者の男女の賃金の差異)

 

2022年度

2023年度

2024年度

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1

50.2

52.3

53.6

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、本項目に記載しております上記以外の労働者の男女の賃金の差異についても、上記方法に基づいて算出したものであります

 

三井住友信託銀行株式会社の雇用制度は、コース社員制度、専門社員制度、アソシエイト社員制度等に分かれております。雇用制度別労働者の男女の賃金の差異、全労働者に占める労働者の割合及びコース社員比賃金水準は以下のとおりであり、全労働者の75.2%を占めるコース社員の男女の賃金の差異は60.4%となっております。

 

(当事業年度に係る雇用制度別労働者の男女の賃金の差異等)

 

労働者の
男女の賃金の
差異(%)

全労働者に占める労働者の割合(%)

コース社員の
平均賃金を100%
とした場合の
平均賃金(%)

女性

男性

合計

コース社員

60.4

35.1

40.1

75.2

100.0

専門社員(注)1

79.8

0.3

1.3

1.6

108.9

アソシエイト社員(注)2

94.8

19.6

2.8

22.4

41.9

その他

(定年再雇用社員、アルバイト社員ほか)

118.5

0.4

0.4

0.8

42.9

全労働者

53.6

55.4

44.6

100.0

86.7

 

(注)1.信託銀行ならではの専門性を発揮するために、コース社員制度とは別に、個人の専門性を評価して採用する雇用制度に属する社員であります。

2.営業店や本部各部におけるミドル・バックオフィス業務等の主に定型的な業務を担っている社員であります。

 

当事業年度において、全労働者の男女の賃金差異が53.6%である主な理由としては、全労働者の22.4%を占めるアソシエイト社員の賃金水準がコース社員比41.9%であること、及び約9割が女性であることが挙げられます。信託銀行では、安定的かつ堅確な事務の提供体制を構築することも重要な責務であり、事務領域の担い手についても、長期間の活躍を期待するアソシエイト社員としての採用、育成を重視しております。

 

 

三井住友信託銀行株式会社のコース社員に限定した男女の賃金の差異は、以下のとおりであります。

(当事業年度の前2事業年度及び当事業年度に係るコース社員の男女の賃金の差異)

 

2022年度

2023年度

2024年度

労働者の男女の賃金の差異(%)

56.4

58.7

60.4

 

 

三井住友信託銀行株式会社のコース社員制度は、隔地間転勤の有無や、対象とする業務等により、Gコース、Rコース、Aコースの3つのコースを設けており、コース別の男女の賃金の差異は、以下のとおりであります。

(当事業年度に係るコース社員制度別男女の賃金の差異)

 

Gコース

Rコース

Aコース

コース社員全体

労働者の男女の賃金の差異(%)

83.4

(+0.8)

91.6

(+0.9)

112.2

(+22.3)

60.4

(+1.7)

 

下段(   )内の数字は前事業年度との比較であります。

 

(参考)三井住友信託銀行株式会社のコース社員制度


 

コース社員全体、及び同じコース内での男女の賃金の差異の要因としては、主としてコース社員における男女の構成割合によるものと分析しております。

コース社員全体では、係長級、課長級以上の職位では男性の割合が高い一方、一般層では女性の割合が高くなっております。

また、会社指示での隔地間の転勤のあるGコースは、勤務地を限定するAコースに比べて当該転勤に伴う負担を勘案した高い賃金水準としておりますが、Gコースでは男性の割合が高い一方、Aコースでは女性の割合が高くなっております。

 

(当事業年度に係るコース社員制度別・職位別の社員構成割合)

コース社員構成割合(%)

Gコース

Rコース

Aコース

コース社員全体

女性

男性

女性

男性

女性

男性

女性

男性

一般層(注)1

3.4

14.6

4.9

0.3

63.7

0.7

26.8

(▲0.7)

8.7

(+0.2)

係長級(注)1

6.5

50.4

35.1

30.2

30.8

0.4

17.0

(+0.2)

30.3

(▲0.3)

課長級以上(注)1

1.3

23.6

18.7

10.9

4.5

-

3.2

(+1.0)

14.0

(▲0.3)

全体(各コース内での割合)(注)1

11.3

88.7

58.7

41.3

98.9

1.1

47.0

(+0.5)

53.0

(▲0.5)

全体(コース別の割合)(注)2

57.6

3.8

38.7

100.0

 

コース社員全体における下段(   )内の数字は前事業年度との比較であります。

(注)1.当事業年度の各コース社員合計、もしくはコース社員全体を100%として職位別・男女別に社員構成割合を表示しております。

2.当事業年度のコース社員全体を100%として、コース別に社員構成割合を表示しております。

 

三井住友信託銀行株式会社のコース社員のうち、それぞれ57.6%、38.7%が属するGコース、Aコースの職位別の男女の賃金の差異は、以下のとおりであり、全ての職位において90%を超える水準となっております。

 

(当事業年度に係るコース社員制度別・職位別男女の賃金の差異)

労働者の男女の賃金の差異(%)

Gコース

Aコース

一般層

99.3

(▲1.4)

116.5

(▲12.7)

係長級

93.0

(±0)

97.8

(+7.8)

課長級以上

91.3

(▲2.3)

-(注)1

 

下段(   )内の数字は前事業年度との比較であります。

(注)1.適切な比較対象となる男性の労働者がおらず、記載を省略しております。

 

多種多様な分野における専門性の次世代への継承の観点や、信託銀行の幅広いビジネスの更なる深化に向けて、多様な人材の活躍は不可欠であると考えております。コース社員の26.8%を占める一般層の女性コース社員の更なる活躍推進が、会社の未来にとって重要な課題と捉え、役員自らが女性マネジメントをサポートするサポーター役員制度等、女性コース社員のキャリアの形成を支援し、更なる活躍を推進する取り組みを進めております。これらの取り組みを通じ、「2024年10月末までに課長以上のラインのポストに就く女性の比率を20%以上」及び「マネジメント業務を担う女性の比率を30%以上」とする三井住友信託銀行株式会社の行動計画(KPI)を達成いたしました。また、新たに「2028年3月末までに課長以上のラインのポストに就く女性の比率を26%以上」及び「マネジメント業務を担う女性の比率を34%以上」とする行動計画(KPI)を策定し、達成にむけて更なる取り組みを進めてまいります。

 

三井住友信託銀行株式会社における当事業年度の前2事業年度及び当事業年度の女性管理職の割合は、毎年度上昇しております。一方、同期間における労働者の男女の賃金の差異は、(当事業年度の前2事業年度及び当事業年度に係る労働者の男女の賃金の差異)に表示のとおり、縮小の傾向にあることから、女性のマネジメント職への登用による効果を確認しております。

 

(課長以上のラインのポストに就く、もしくはマネジメント業務を担う女性社員比率)

 

2022年度

2023年度

2024年度

2030年度

(目標)

課長以上のラインのポストに就く女性社員比率(%)

(注)1

13.3

15.2

23.2

30.0

マネジメント業務を担う女性社員比率(%)

(注)1

30.0

31.6

33.0

34.0

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります

 

また、三井住友信託銀行株式会社では、(当事業年度に係るコース社員制度別・職位別男女の賃金の差異)に表示のとおり、コース社員制度別、職位別での男女の賃金の差異は90%を超えておりますが、更なる差異縮小に向けた取り組みを進めていきます。特に、当事業年度に係るGコースの職位別男女の賃金の差異については、一般層と比較して課長級以上の差異が大きくなっておりますが、その主な要因は、出産等のライフイベントに伴う長期休業によるキャリア中断の影響や、育児に伴う短時間勤務制度の利用による労働時間の短縮等と分析しております。当事業年度の1か月当たりの法定外労働時間は、女性が男性比57.1%(※)となっており、また、当事業年度の短時間勤務制度の利用者739人のうち、99.7%が女性となっております。

(※)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

 

以上を踏まえ、三井住友信託銀行株式会社では、性別にかかわらず多様な人材が活躍し、新たな価値を創造する組織を目指し、女性のマネジメント職への登用に加え、全社における時間外勤務の削減、ライフイベントを踏まえたキャリア選択・早期復職の仕組み、柔軟な勤務制度の拡充や、それらを可能とする企業風土の醸成が不可欠と考えており、以下の施策を積極的に進めてまいります。

また、三井住友信託銀行株式会社において2025年度から運営を開始した新人事制度では、従来のコース社員制度を廃止のうえ、キャリアや働き方に関する社員一人ひとりの自律的な選択を尊重し、社員の「ウィル(意思)」と「スキル」に基づいた配置・登用を行います。加えて、社員一人ひとりが担う役割に応じたメリハリのある処遇を行うことで、性別に関わらず公平な機会提供と成果に応じた適正な処遇を実現し、多様な社員が多様な活躍を目指せる職場環境を目指してまいります。

 

 

施策

具体的事例(前事業年度)

具体的事例(当事業年度)

※前事業年度からの進捗及び現在検討中の施策を含む

時間外勤務の削減、リモート勤務等柔軟な働き方の推進、両立支援策の拡大により、女性が働きやすい職場環境を整備

・勤務間インターバル11時間を継続運用中

・家事サービス導入検討 等

・育児と健康の相談ダイヤル等、保活支援に繋がるサービスを導入

・勤務間インターバル11時間を継続運用中

・産育休から早期復職した女性社員を対象に家事サービスを含む家事・育児負担を軽減する両立支援制度(両立応援カフェテリアプラン)を2024年4月に導入

・育児と健康の相談ダイヤル等、保活支援に繋がるサービスを継続運用中

職場復帰の制度を整え、出産後早期に職場復帰できる環境を整備

・企業主導型保育園マッチングサービスの導入

・保活セミナーの実施

・本店ビルにおける搾乳室の設置

・共育てセミナーの実施

・企業主導型保育園マッチングサービスの継続実施

男性育児休業等の取得の推進を継続し、女性活躍の機会を創出

・男性育児休業取得率に加えて、男性育児休暇取得日数をKPIに加えることを検討

・男性育休取得推進サービスの導入を検討

・男性育児休業取得率を四半期毎にモニタリングすることに加えて、KPIに平均取得日数を30日以上とすることを追加

・男性育児休業等の1か月取得を「強い推奨」へと変更し取得推進の強化を継続

・男性育休取得推進オンライン研修サービスの導入

キャリア選択の機会を拡充

・フルリモートを前提とした居住地の拠点にない業務へのアサイン 等

・フルリモートを前提とした居住地の拠点にない業務へのアサインを継続実施中

・他部署の業務内容を知ることができるジョブ図鑑の発行

・業務公募や副業の実施

 

 

 ②日興アセットマネジメント株式会社

(i)日興アセットマネジメント株式会社の労働者の男女の賃金の差異は、以下のとおりであります。

(当事業年度の前事業年度及び当事業年度に係る労働者の男女の賃金の差異)

 

2022年度

2023年度

2024年度

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1

56.9

59.5

62.5

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、本項目に記載しております上記以外の労働者の男女の賃金の差異についても、上記方法に基づいて算出したものであります。

 

日興アセットマネジメント株式会社の雇用形態別の男女の賃金の差異、全労働者に占める労働者の割合及び正規雇用労働者比賃金水準は以下のとおりであり、全労働者の91.5%を占める正規雇用労働者の男女の賃金の差異は62.9%となっております。

 

(当事業年度に係る雇用制度別労働者の男女の賃金の差異等)

 

労働者の
男女の賃金の
差異(%)

全労働者に占める労働者の割合(%)

正規雇用労働者の
平均賃金を100%
とした場合の
平均賃金(%)

女性

男性

合計

正規雇用労働者

62.9

34.7

56.8

91.5

100.0

パート・有期労働者

(定年後社員含む)

54.3

2.5

6.0

8.5

92.0

全労働者

62.5

37.1

62.9

100.0

99.3

 

 

正規雇用労働者における男女賃金差異の主な要因としては、三井住友信託銀行株式会社と同様に、階層別の男女の構成割合によるものと分析しており、女性の管理職登用を進めること、即ち女性管理職比率の向上が、男女賃金差異の解消に寄与していくものと考えております。そのために、2021年度には、女性活躍推進における取り組みを更に加速するために、2030年度までに海外拠点を含む日興アセットマネジメントグループ全体における女性管理職比率を30%に引き上げる目標を新たに設定しております。加えて、2022年度以降、毎年目標を達成するための具体的なアクションリストを作成、それに基づいた女性管理職比率の目標を明確化することにより、達成に向けての進捗状況の透明性を確保し、女性活躍推進の取り組みの更なる充実を図るとともに、多様性に対する社員の一層の意識向上を目指しております。結果、2021年度は16.9%であった国内の女性管理職比率と比較して2024年度には22.6%に達しており、同期間において、男女賃金差異も縮小しております。今後も、組織の多様性拡大を目指し、各種施策を積極的に推進してまいります。

 

③三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社

(i)三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社の労働者の男女の賃金の差異は、以下のとおりであります。

(当事業年度の前事業年度及び当事業年度に係る労働者の男女の賃金の差異)

 

2022年度

2023年度

2024年度

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1

69.9

71.1

70.7

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成 27 年法律第 64 号)の規定に基づき算出したものであります。なお、本項目に記載しております上記以外の労働者の男女の賃金の差異についても、上記方法に基づいて算出したものであります。

 

三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社の雇用制度では、正規雇用労働者は、プロフェッショナル職、エキスパート職、専門社員の職掌に分かれております(※)。プロフェッショナル職は各業務の経営に関する分野も含め、創造的な業務遂行を期待される職掌であるのに対し、エキスパート職は各業務の経営に関する分野を除いた領域で、能動的に業務を遂行することが期待される職掌としております。また、専門社員は高度な専門知識、職務経験に基づき、専門的な職務又は特命的な職務を担うために、契約期間を定めて採用された社員であり、それぞれの構成比や、男女の賃金の差異は以下のとおりであります。

(※)2025年4月よりプロフェッショナル職とエキスパート職を廃止し、新たに設定した「レギュラーコース」に一本化しております。

 

(当事業年度に係る雇用制度別労働者の男女の賃金の差異等)

 

労働者の
男女の賃金の
差異(%)

全労働者に占める労働者の割合(%)

プロフェッショナル職の平均賃金を100%とした場合の
平均賃金(%)

女性

男性

合計

正規雇用労働者

70.5

32.1

65.6

97.7

98.1

  うちプロフェッショナル職

71.3

25.8

57.0

82.8

100.0

  うちエキスパート職

138.2

5.0

0.4

5.4

61.8

  うち専門社員

91.2

1.3

8.2

9.5

102.6

非正規雇用労働者

(アルバイトや定年再雇用社員等)

95.9

0.7

1.6

2.3

31.9

全労働者

70.7

32.8

67.2

100.0

96.6

 

 

それぞれの職掌における男女の賃金の差異と、正規雇用労働者を基準とした70.5%との差異の背景としては、主としてエキスパート職の賃金水準が、プロフェッショナル職比61.8%であること、及びエキスパート職の約93%が女性であることが挙げられます。

 

また、三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社の正規雇用労働者のうち、プロフェッショナル職、エキスパート職における職位別の男女の賃金の差異は、以下のとおりであります。

(当事業年度に係るプロフェッショナル職及びエキスパート職の職位別の男女の賃金の差異等)

 

全労働者に占める労働者の割合(%)

労働者の男女の

賃金の差異(%)

女性

男性

合計

プロフェッショナル職

25.8

57.0

82.8

71.3

  うち一般層

19.1

18.3

37.4

90.4

  うち管理職以上

6.7

38.7

45.3

86.9

エキスパート職

5.0

0.4

5.4

138.2

  うち一般層

5.0

0.4

5.4

138.2

  うち管理職以上(注)1

-

-

-

-

 

 (注)1.該当する労働者がおらず、記載を省略しております。

 

三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社では、能力・役割・成果に基づく公正な処遇制度としており、プロフェッショナル職及びエキスパート職の職位別の男女の賃金の差異は、いずれも85%を超える水準となっております。また、社員本人が自らの意思で、職掌を選択することが可能な雇用制度であるとともに、入社後の職掌の転換も認めております。近年は多くのエキスパート職の女性がプロフェッショナル職に転換しており、プロフェッショナル職に占める女性の割合も増加しております。しかしながら、プロフェッショナル職においては、管理職以上の職責を担う社員の女性の割合が少ないことが、同じ職掌における男女の賃金の差異の背景となっており、また、部長職などの上位の管理職の職責を担う女性の割合が少ないことが、管理職以上における男女の賃金の差異の背景となっております。

 

三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社では、多様性が社員の価値創造力を高め、当社の中長期的な成長力をもたらすと考えております。この考えに基づき、女性活躍を含むダイバーシティの推進に取り組んでおり、管理職以上の女性の割合を15%以上とする目標を掲げ、女性の管理職登用を進めております。結果、女性管理職比率は、2021年度の9.5%と比較して2024年度には11.9%と上昇しております。また、管理職以上の職責を担いうる女性を増やしていくために、全社員に占める女性の割合(32.8%)を引き上げていくとともに、採用活動において、ファンドマネジャーの業務を説明するイベントや広報活動を実施し、資産運用ビジネスを志望する女性の採用数増加に取り組んでおります。また、女性が働きやすい職場環境や、利用しやすい各種制度の整備にも努めております。今後も、多様な人材が活躍し、新たな価値を創造する組織を目指し、さまざまな施策を積極的に進めてまいります。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社は、自らのパーパス(存在意義)である「託された未来をひらく」と、サステナビリティ方針で掲げる持続可能な社会の構築への貢献を実現すべく、「社会的価値創出と経済的価値創出の両立」を経営の根幹に掲げております。また、社会的価値創出と経済的価値創出の両立を目的としたビジネスプロセスと、そのプロセスを経営レベルで管理する仕組みを合わせて「価値創造プロセス」として表現しております。
 価値創造プロセスにおいて、当社は、信託の機能を活用しながら資金・資産・資本の好循環を創出・加速させ、個人からグローバル企業に至るまであらゆるステークホルダーに経済的価値を還元してまいります。また、これらの活動を通じて、地球や社会、経済に対するポジティブインパクトの創造と、ネガティブインパクトの抑制につなげるなど、社会的価値の創出にも取り組み、SDGsの実現に貢献してまいります。

加えて、当社では、持続的な価値創造プロセスに影響を与える事象をマテリアリティ(重要課題)として取締役会において定め、資本循環の促進要因(機会)と阻害要因(リスク)の両面から捉え管理しております。

当社は、2015年度に初めてマテリアリティを特定し、以後2019年度、2022年度に改定を実施しております。2022年度の改定時には、世界経済フォーラム国際ビジネス協議会の提言をもとに、世界4大会計事務所が中心となって取りまとめた「持続可能な価値創造のための共通指標と一貫した報告を目指して」における共通指標(コモンメトリクス)を起点に「マテリアリティテーマ」を抽出し、当社パーパスと経営戦略上のテーマから、実現したい社会と価値に関する項目の整理を行い、現行のマテリアリティを特定しました。

マテリアリティ及びマテリアリティテーマについては、経済や社会の情勢変化に伴って生じる論点を適切にくみ取るため、定期的にレビューを実施し、取締役会に報告しております。

なお、2024年度における定期レビューでは、米国における大統領選挙に伴う政策方針の転換、地政学的リスクの高まりなど、政治・経済情勢における不確実性の高まりが想定され、社内外の環境変化には留意が必要なものの、現行マテリアリティに変更はないことを確認しております。

 

 

 

マテリアリティ

概要

インパクト

マテリアリティ

人生100年時代

・超高齢社会における年金や社会保障などの社会システムの変化や、健康寿命の延伸などの社会課題への備えとなり、豊かな生活を支える商品・サービスの提供。

・お客さまが自身の要求するところに合う、有益で手頃な金融商品・サービスを利用できる状態をつくり出す。

ESG/サステナブル経営

・気候変動、生物多様性、資源循環・サーキュラーエコノミー、大気・水質・土壌汚染、人権尊重への対応と投融資先企業及びサプライヤーにおける環境・社会・ガバナンスに配慮した経営の支援、対応手段の提供。

地域エコシステム・グローバルインベストメントチェーン(ネットワーキング)

・地域における各主体が相互補完関係を構築しつつ、地域外の経済主体などとの関係構築により、多面的に連携、共創していく関係の構築。

・先進的な海外プレイヤーとの協業などによるインベストメントチェーンの強化を通じた投資機会の提供。

信託×DX

・資金・資産・資本の好循環実現を促す駆動力・機能。「的確な運用と万全の管理」を備えた資産運用・資産管理を含む「信託」の力、「DX」の力(既存業務プロセスの構造変革、事業の横断融合による新たなビジネスの創造)による好循環の実現。

ガバナンス・

経営基盤

マテリアリティ

コーポレートガバナンス

・社会的価値創出と経済的価値創出を両立させる経営のフレームワークの確立。

受託者精神

・善良な管理者の注意をもってお客さまのために忠実に行為にあたる、受託者精神の全う。お客さまの最善の利益の実現。

人的資本

・多様な価値観を有する人材の確保、登用、人材群の構築。心身ともに健康で会社のパーパスに共感しながら多様性を認め合う良好な人間関係のもと、自分の価値や強みを活かせる状況をつくり出す。

リスク管理と

レジリエンス

・経営の健全性確保、経営戦略に基づくリスクテイクを通じた収益確保と持続的な成長を支える、リスクの状況の的確な把握とリスクに対する必要な措置。

コンプライアンスと

コンダクト

・法令・市場ルール・社内規程類はもとより、広く社会規範を遵守。

・役員・社員の行為が職業倫理に反する、またはステークホルダーの期待と信頼に応えていないことによる悪影響の防止。

セキュリティ

・基幹インフラ事業者に対するサイバー攻撃の防止及び発生時のインシデント対応。

・システムリスク管理体制の不断の見直し、改善。顧客情報のルールに則した取得と利用、厳格な管理。

財務

マテリアリティ

ステークホルダーの

期待する財務体質

・健全な財務、持続的な成長。安定的な収益獲得。

 

(注)マテリアリティの3区分の定義は以下のとおりです。

インパクトマテリアリティ

当社の企業活動が、経済、社会、環境に影響(ポジティブ・ネガティブ両方のインパクト)する項目。社会的価値創出と経済的価値創出の両立を具体的に狙える段階のもの

ガバナンス・経営基盤

マテリアリティ

環境や社会の課題が、当社の企業価値向上プロセスに影響する項目。直ちに財務に影響するものではないが、長期的には影響する可能性が高い非財務項目で「守り」の要素が強いもの

財務マテリアリティ

環境、社会の課題が当社の財務に影響を与える項目

 

 

(1)サステナビリティ全般

①ガバナンス

イ.サステナビリティ方針
 当社は、「1.事業を通じた社会・環境問題の解決への貢献」「2.お客さまへの誠実な対応」「3.社会からの信頼の確立」「4.環境問題への取り組み」「5.個人の尊重」「6.地域社会への参画・貢献」からなる「三井住友トラストグループの社会的責任に関する基本方針(サステナビリティ方針)」(以下、サステナビリティ方針)を取締役会において定めております。
 また、サステナビリティ方針に基づく具体的な取組方針及び行動指針として、「環境方針」「気候変動対応行動指針」「生物多様性保全行動指針」「人権方針」を取締役会において定め、役員・社員に周知するとともに対外的に公表しております。

 

ロ.サステナビリティ推進体制
 当社では、サステナビリティ方針に基づき執行機関である経営会議がサステナビリティ推進に関する方針・戦略を協議・決定し、取締役会がこれを監督する体制としております。監督機関である取締役会は、諮問機関としてリスク委員会を設置し、当グループのサステナビリティにかかる取組状況に関する審議等を通じて適切な監督を行っております。

執行機関である経営会議は、2023年度に、サステナビリティに関する課題の協議、取組状況の報告を組織的に行うことを目的に、諮問機関としてサステナビリティ委員会を設置しました。同委員会は、サステナビリティ推進部統括役員(2024年度からChief Sustainability Officer)を委員長、経営管理各部の統括役員を委員とし、当グループのサステナビリティへの取組状況の確認と、サステナビリティ推進に関する各種施策の審議を行っております。2024年度には、サステナビリティ関連リスクへの注目度の高まりを受け、リスク統括部統括役員(2024年度からChief Risk Officer)を委員に加えております。同委員会における審議を経た上で、経営会議へ付議することで、サステナビリティに関する課題の対象範囲を明確化し、方針立案から対応、開示までの一連の取り組みを組織的に行う体制を整えております。

なお、マテリアリティへの対応をはじめとするサステナビリティへの取り組みについては、当社のコーポレート・ガバナンス体制の下で運営しております。詳細は、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

 


 

②戦略
 当グループは「信託」の多彩な機能を活用し、「資金・資産・資本の好循環」をキーワードに、個人・企業・投資家それぞれに生じる社会課題に対して付加価値の高い商品・サービスを提供していきます。特に、2030年に実現したい社会や当グループの姿を見据え、資金・資産・資本の好循環を促進する3つの重点戦略領域として、上記マテリアリティの「人生100年時代」「ESG/サステナブル経営」「地域エコシステム・グローバルインベストメントチェーン(ネットワーキング)」に取り組んでおります。 

また、当グループ固有の経営資源や顧客基盤だけでは、ますます高度化・複雑化する社会課題を解決することは困難であることを踏まえ、さまざまなステークホルダーとの連携やプラットフォームの構築を行い、新たな市場や資本循環の促進要因(機会)を創出していきます。

重点戦略領域

取り組み

人生100年時代

・認知症、高齢者の独居等、超高齢社会における資産管理上の課題へのサポート

・現役世代の資産形成をサポート、個人金融資産の増大に貢献

ESG/サステナブル経営

・脱炭素社会への移行等に向けたサステナブルファイナンスへの取り組み

地域エコシステム・グローバルインベストメントチェーン

(ネットワーキング)

・再生エネルギーの導入と地域創生を念頭においた地域課題へのアプローチ

・投資のさまざまなプロセスにおける効率的かつ高付加価値のサービス提供、インベストメントチェーンの発展をサポート

 

 

③リスク管理

イ.サステナビリティに関するリスク認識

当グループは、サステナビリティ方針に基づき持続可能な社会の構築に積極的に貢献すべく、事業を通じた環境・社会的課題の解決に貢献していくことを目指しております。

当グループの事業活動が環境・社会に及ぼす影響に対する配慮が不十分である場合、直接的・間接的の如何に関わらず、新たな環境・社会的課題の発生や拡大を助長するおそれがあり、そのことが持続可能な社会の構築に悪影響を及ぼすことはもちろん、引いては当グループの業績や財務状況、業務継続性、ブランド価値、成長性等にも悪影響を及ぼす可能性があると認識しております。また、こうした影響は当グループ自体から生じるだけでなく、当グループが関係するバリューチェーンの中で生じる可能性があるリスクドライバーであり、当グループはこうしたサステナビリティに関するリスクがリスクカテゴリー横断的に影響を及ぼすものと認識しております。

 

ロ.サステナビリティ関連リスク管理の取り組み

当グループでは、上述のリスク認識の下、サステナビリティに関するリスクを的確に把握・低減すべく、サステナビリティ関連リスク管理方針においてリスク管理の考え方や、基本的な管理体制等を定めております。

また、当該体制に基づき、当グループや持続可能な社会の構築に向け解消すべき環境・社会的課題に及ぼす負の影響の把握・低減に取り組むとともに、継続的な体制強化を図ることで、サステナビリティに関するリスク管理プロセスの強化を進めております。

2024年度には、三井住友信託銀行を中心に気候変動や生物多様性等の中長期的な環境課題や、人権尊重等の責任ある企業行動に対する社会的要請の高まりに的確に対応すべく、ファイナンスを含む多様な業務執行に伴う、サステナビリティの実現に対する負の影響を特定・評価し、防止・低減方策等を検証するプロセスを設けました。

当該プロセスにて特定・認識された負の影響については、その影響度合いや蓋然性に応じた低減方策を設けるとともに、継続的なモニタリングやステークホルダー等とのエンゲージメント(対話)を通じて、更なるリスク低減を図っております。

 

(2)気候変動

①ガバナンス

気候変動の推進に関しては、「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」をご参照ください。

 

②戦略

イ.戦略

年々深刻化する異常気象や自然災害は、私たちの命や暮らしを脅かしております。当グループのパーパスである「託された未来をひらく」を実現する上で、気候変動問題への対応は避けては通れない最優先課題です。

当グループでは、自社グループの事業活動で使用するエネルギーの削減・脱炭素化に加え、信託の力でお客さまの脱炭素化をサポートし、脱炭素社会の実現に貢献します。

脱炭素社会の実現には、多額の資金が必要となります。当グループは、ファイナンスや多様なソリューションの提供を通じて、事業者のお客さまの脱炭素化を支援するとともに、個人や機関投資家のお客さまの資金を呼び込み、多額の資金需要へ応えることで、脱炭素社会の実現に貢献していきます。  

具体的には、ガバナンスサーベイを中心とした各種サーベイ等を通じて、お客さまの現状と課題を把握した上でお客さまとの対話を重ねながら、三井住友信託銀行のテクノロジー・ベースド・ファイナンス(TBF)チーム(注)の有する技術的な知見や Breakthrough Energy、ERMグループといったグローバルトッププレイヤーとの協業も活用し、事業者のお客さまへのソリューション提供や資金支援を行っていきます。

当グループが目指すのは、事業者の脱炭素化進展が企業価値の向上へと繋がり、リターンとして投資家に還元され、さらなる投資、脱炭素化につながる好循環です。信託グループならではの「アドバイザリ機能」「資産運用・資産管理機能」を発揮し、個人や機関投資家のお客さまへ投資機会を提供するとともに、事業者のお客さまの脱炭素化の支援を通じて、カーボンニュートラルな社会の実現に貢献していきます。

(注)技術の社会実装を金融的側面から支援することを目的として、サステナビリティ推進部に設置したチーム。水素、蓄電池、電力、有機化学、無機化学、機械、農学、都市等のさまざまな分野の研究者や専門家でチームを構成。

 

ロ.移行計画

(ⅰ)移行計画の概要

当グループは、全世界で加速するGHG排出量削減等の社会課題解決に向け、2021年10月にカーボンニュートラル宣言を公表するとともに、カーボンニュートラルの実現に向けて着実に歩みを進めていくために、2023年10月に、カーボンニュートラル移行計画(移行計画)を策定いたしました。移行計画は、信託グループならではの幅広い業務領域をカバーするため、銀行・運用・信託・自社グループのセグメントごとの特性を踏まえた構成としております。主要子会社である三井住友信託銀行においては、取引先企業との対話やソリューションの提供を通じて、2050年までに投融資ポートフォリオのGHG排出量ネットゼロの実現を目指していきます。また、同じく主要子会社である三井住友トラスト・アセットマネジメント及び日興アセットマネジメントにおいても、2050年までに運用ポートフォリオにおける投資先企業のGHG排出量ネットゼロの実現を目指していきます。加えて、両社はグローバルに資産運用を展開する機関投資家として、エンゲージメント(建設的な目的を持った対話)及び議決権行使を通じて、投資先企業などの脱炭素化を促していきます。
  また、自社グループにおいても、2030年のネットゼロ目標達成を目指し、当グループの事業活動で使用する電力・ガスなどのエネルギーの削減及び再生可能エネルギーへの転換などの脱炭素化を促進するとともに、GHG排出量の計測範囲の拡大や、良質なカーボンクレジットの活用検討等に取り組んでいきます。

ガバナンス・基盤の強化を行い、指標・目標を設定するとともに、銀行・運用・信託において、サーベイや専門性・パートナーシップ等の付加価値の源泉を最大限活用し、各ステークホルダーとの対話を通じた経営課題・ニーズの把握や、課題解決に向けた幅広いソリューションの開発、提供をしていきます。

 

<カーボンニュートラルに向けた移行計画の全体像> 


 

(ⅱ)移行計画の主な内容

◆投融資ポートフォリオのGHG排出量ネットゼロに向けた取り組み(三井住友信託銀行)

時期

現在~2050年

戦略

(ⅰ)エンゲージメント方針

お客さまへの協業型脱炭素エンゲージメント戦略

・お客さまとの継続的なエンゲージメント(対話)を通じて、脱炭素化に向けた課題を把握し、ソリューションを開発・提供することで、お客さまのGHG排出量削減に貢献していきます。

・電力、石油・ガス、不動産、海運、鉄鋼、自動車等の高排出セクターのお客さまを中心に、2024年度までに100社とのエンゲージメントを実施しました。2025年度までに150社とのエンゲージメントを予定しております。

地域社会との関わり方

・お客さまを通じた脱炭素化に加え、地域社会に対しても、当グループの多彩な機能を提供することで、企業、地域社会の双方向での脱炭素化を加速させていきます。

・大学をはじめとする研究機関に対しても、当グループの機能提供や共同研究を通じて、革新的な技術の社会実装を支援します。

イニシアティブ・その他ステークホルダーとの関わり方

・イニシアティブへの参加・協議を通じて、協働エンゲージメントやルールメイキングについて積極的に関与していきます。

・困難な社会課題解決のために、お客さま以外のステークホルダーの皆さまとの対話も重視します。

(ⅱ)脱炭素ビジネスの推進

サステナブルファイナンスの拡大

・サステナブルファイナンスに関する2030年度までの累計取組目標を、15兆円に設定しております。お客さまの脱炭素化、脱炭素社会の実現に向けた資金面での支援を進めております。

TBFチームによる「技術×政策×金融」

・サステナビリティ推進部に組成した、TBFチームにおける「技術への深い知見」に、「政策的観点」や「信託銀行の多彩な機能」を組み合わせることで、社会課題解決を目指します。

インパクトエクイティ投資等の活用

・インパクトエクイティ投資等を通じ、社会課題解決に向けた資金を提供するとともに出資先の技術等を活用したソリューションを提供していきます。

セクター戦略

・2030年GHG排出量中間削減目標を設定した高排出セクターについて、セクター戦略を策定し、脱炭素化を進めていきます。

(電力、石油・ガス、不動産、海運、鉄鋼、自動車の6セクター)

ERMコンサルティング

・2024年4月に世界最大のサステナビリティ専門コンサルティング企業であるERMグループと、「ERM SuMi TRUST コンサルティング株式会社」を設立しました。ERMグループのグローバルな知見・技術を活かした、質の高い調査・分析・コンサルティングを提供し、法人のお客さまの脱炭素・トランジションに関する経営課題の解決に貢献していきます。

(ⅲ)プロセスの高度化

気候変動対応プロセスの運営開始

・気候変動移行リスク・セクターヒートマップを基に、重要であると特定されたセクターに対して、中間削減目標を設定しました。セクターポリシー、与信審査及びリスク評価・リスク低減措置に関する各種基準を設定・運営しております。

気候変動シナリオ分析の範囲拡大

・信用リスクへの影響を把握するために、移行リスク、物理的リスクのシナリオ分析を段階的に拡大しております。2024年度は、国内外の事業法人の移行リスクに加え、事業法人に対する急性・慢性リスクの財務影響を捉えるアプローチをとり、国内外の事業法人全体のシミュレーションにて、物理的リスクを分析しました。

指標・目標

・投融資ポートフォリオにおけるGHG目標(2030年中間削減目標(セクター別)、2050年ネットゼロ)

・金額目標(サステナブルファイナンス、石炭火力発電所向け融資)

 

 

◆運用ポートフォリオのGHG排出量ネットゼロに向けた取り組み(三井住友トラスト・アセットマネジメント及び日興アセットマネジメント)

時期

現在~2050年

戦略

(ⅰ)三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社

・気候変動をESGマテリアリティの1項目として特定しており、投資先企業の「気候変動に関するリスクと機会」を踏まえたエンゲージメントやイニシアティブ活動、議決権行使を通じて、脱炭素社会への移行を後押しします。

・2024年に英国スチュワードシップ・コード署名機関として承認されました。

(ⅱ)日興アセットマネジメント株式会社

・アジア企業で数少ない英国スチュワードシップ・コード署名機関として、組織体制、人員両面で、投資におけるESG対応を強化しております。グローバルネットワークを活かした商品提供を推進し、脱炭素社会への移行を後押しします。

指標・目標

GHG目標(2030年中間削減目標、2050年ネットゼロ)

 

 

◆信託

時期

現在~2050年

戦略

(ⅰ)投資家ビジネス

・投資家のお客さま、運用会社、投資先企業に対して、サステナビリティに関するコンサルティングやモニタリング、プロダクト等の機能を提供します。サステナビリティ関連の投資を推進・強化し、脱炭素社会の実現に貢献していきます。

(ⅱ)不動産ビジネス

不動産ESGサーベイにより、お客さまのESG/サステナビリティ取組状況を可視化し、環境認証支援や再生可能エネルギーの提供・マッチング等の支援を行い、不動産信託の受託物件のみならず、不動産セクター全体の脱炭素化に貢献していきます。

 

 

◆自社グループ

時期

現在~2030年

戦略

(ⅰ)2030年目標と進捗状況

・当グループでは、2030年までのGHG排出量ネットゼロ目標を掲げ、着実に削減を進めております。

(ⅱ)GXリーグ(注)への参画

・当グループの中核子会社である三井住友信託銀行はGXリーグへ参画し、2025年度中間削減目標を設定しております。

(ⅲ)今後の方針

・グループ会社を含めたScope3の計測範囲を拡大します。環境データの信頼性を確保するため、GHG排出量について第三者保証の範囲拡大を検討していきます。

・再生材料や低排出製品を積極的に採用していきます。

・自助努力により最大限、GHG排出量の削減に取り組みます。削減困難な部分は、良質なカーボンクレジットの活用も検討していきます。

指標・目標

GHG目標(2025年度中間削減目標、2030年ネットゼロ)

 

(注)2050年カーボンニュートラル実現と社会変革を見据えて、GX(グリーントランスフォーメーション)への挑戦を行い、現在及び未来社会における持続的な成長実現を目指す企業が同様の取り組みを行う企業群と官・学と共に協働する組織です。

 

 

ハ.気候変動に関する機会の認識

脱炭素社会の実現に向け、社会構造・産業構造が大きく変わり始めるなか、グリーン技術開発やインフラ設備に対する資金需要が増加していく見込みです。日本政府は2050年カーボンニュートラル宣言に加え、GX基本方針で官民連携による150兆円規模の投資を表明しました。

このような多額の資金需要に応えるためには、官民連携によるブレンデッドファイナンス(注)や、投資家や個人の資金を繋ぐ仲介機能が必要不可欠です。当グループはこのような機会を逃すことなく、各経済主体との多様な接点を活かして資金・資産・資本の好循環を促し、社会的価値創出と経済的価値創出の両立を目指していきます。

(注)民間資金と公的資金、あるいは慈善資金を合わせることで、社会課題の解決や持続可能な開発目標(SDGs)の達成を支援する投融資手法。

 

<各セクターにおける機会の認識>

電力セクター

エネルギー源

・再生可能エネルギーの拡大(太陽光発電、風力発電など)

・グリーン水素・アンモニア等に係る非化石バックアップ電源の実現

・原子力発電の優位性向上

・電力系統の増強

製品サービス・市場

・電気自動車(EV)や蓄電池の普及・拡大など、脱炭素化の潮流による社会全体での電化拡大と電力需要増加

・分散リソースの有効活用に資するVPP事業(注1)、デマンドレスポンス(注2)など

石油・ガスセクター

資源の効率性

・資源循環社会への移行に伴う低環境負荷製品の需要増加やケミカルリサイクル事業の拡大

エネルギー源

・再生可能エネルギー、低炭素エネルギーの需要増加

・グリーン水素、アンモニア、合成燃料、バイオ燃料などのゼロエミッションエネルギーの供給、サプライチェーン構築

製品サービス・市場

・お客さまの行動変化によるeモビリティ関連サービス事業拡大、及びカーシェア等の新たなサービス事業拡大

・CCUS(注3)技術の進展によるCO2排出削減事業の拡大

・良質なカーボンクレジットの需要拡大

不動産セクター

資源の効率性

・資源循環社会への移行に伴う低環境負荷製品の需要増加(低炭素セメント、木造建築、リサイクル建材など)

エネルギー源

・再生可能エネルギー(創エネ、自己託送(注4)、コーポレートPPA(注5)など)の需要増加 ・省エネ・創エネ

・蓄電設備の需要増加

製品サービス・市場

・建設時の資材運搬等におけるEV関連サービス事業拡大、及びカーシェア等の新たなサービス事業拡大

・建築物の建設時、運用時、解体時のGHG排出量の可視化・管理に向けたシステム開発・導入の拡大

・環境不動産の認証制度・評価指標の高度化

海運セクター

資源の効率性

・資源循環社会への移行に伴う低環境負荷製品の需要増加(低炭素スチール、リサイクル材など)

エネルギー源

・グリーン水素・アンモニア、合成燃料、バイオ燃料などのゼロエミッションエネルギーの供給、サプライチェーン構築

・電気運搬船の商用化・拡大

製品サービス・市場

・ゼロエミッション輸送サービスの需要拡大

・良質なカーボンクレジットの需要拡大

自動車セクター

資源の効率性

・サーキュラーの浸透(使用済EVバッテリーなどのリサイクル進展)

・ギガキャスト等、新たな製造手法導入による使用素材や溶接に要するエネルギーの低減

製品サービス・市場

・EVや燃料電池車等、環境負荷の小さい製品に対する需要の増加

鉄鋼セクター

資源の効率性

・資源循環社会移行に伴う鉄スクラップ回収促進、原料鉄鉱石やコークスの使用量減少

製品サービス・市場

・低炭素鋼材の開発先行。鉄鋼の大口需要業界(建設や自動車等)における、市場シェア拡大

・低炭素鋼材のプレミアム化による収益性向上

 

(注)1.VPP(バーチャルパワープラント)とは、需要家側エネルギーリソース、電力系統に直接接続されている発電設備、蓄電設備の保有者もしくは第三者が、そのエネルギーリソースを制御(需要家側エネルギーリソースからの逆潮流も含む)することで、発電所と同等の機能を提供することを指します。

2.需要家側エネルギーリソースの保有者もしくは第三者が、そのエネルギーリソースを制御することで、電力需要パターンを変化させることを指します。

3.CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)とは、CO2の回収・利用・貯留のことを指します。

 

4.一般送配電事業者が保有する送配電ネットワークを使用して、工場等に自家用発電設備を保有する需要家が当該発電設備を用いて発電した電気を、別の場所にある当該需要家や当該需要家と密接な関係性を有する者の工場等の需要地に送電する制度を指します。

5.PPA(Power Purchase Agreement)とは、需要家が発電事業者から再生可能エネルギーの電力を購入する契約を指し、オフサイト・コーポレートPPAとは、需要場所から離れた場所に発電設備を設置し電力小売事業者を経由して需要家に電力供給を行うモデルを指します。

 

<機会獲得のための三井住友信託銀行の戦略>

各セクター

共通の戦略

セクター別の戦略

電力セクター

1.   エンゲージメントの推進

・お客さまとの継続的対話を通じた、脱炭素化戦略・課題の把握と、ソリューションの開発・提供を行う“協働型脱炭素エンゲージメント戦略”

・地方自治体及び企業とのリレーションを活用した地域ごとのニーズ・課題の把握

・イニシアティブや脱炭素成長型経済構造移行推進機構(GX推進機構)等の官民組織、各政府機関との連携、協働エンゲージメント、ルールメイキングへの関与

 

2.   脱炭素ビジネスの推進

・サステナブルファイナンス拡大

・TBFチーム及びERM SuMi TRUSTコンサルティングを活用した「戦略×技術×政策×金融」 による社会課題解決

・革新的グリーンテックの社会実装・お客さまとのマッチング

・インパクトエクイティ投資等の活用

・セクター戦略・コンビナート戦略

・TBFチーム/専門知識を活用した脱炭素関連技術の社会実装支援

・リスクマネー供給、再生可能エネルギ
 ー事業展開

石油・ガスセクター

・TBFチームリスクマネーの供給次世代エネルギー(水素等)への取り組み

・再エネへの取り組み

・安定・良質なカーボンクレジットの供給スキーム構築

不動産セクター

・不動産ESGサーベイなどを通じた業界に対する啓発活動

・コンサルティング・脱炭素化支援サービス

・TBFチーム/低炭素材導入支援

・不動産テックノウハウ蓄積・提供

海運セクター

・環境対応船、次世代燃料船などのシップファイナンスの拡大

・リスクマネー供給(水素・アンモニア インフラ構築等)

自動車セクター

・TBFチーム/次世代エネルギーへの取り組み、 バッテリー等のサーキュラー利用推進

・リスクマネー供給(EV充電等)

鉄鋼セクター

・TBFチーム/次世代エネルギー(水素等)への取り組み

・リスクマネー供給(電炉転換、水素還元製鉄プラント、直接還元製鉄プラント等)

 

 

③リスク管理 

イ.気候変動に関するリスクの認識

当グループでは、気候変動対応行動指針を含むサステナビリティ方針に基づき、取引先等の脱炭素化の支援、多様な投資機会の提供等を通じて、脱炭素社会の実現に貢献していくことを目指しております。

中長期的な気候変動に起因する物理的リスク(※1)及び移行リスク(※2)は、取引先企業の経営への悪影響(気候変動対応のための制約・コスト増加、自然災害等の被災等による担保資産の棄損など)、それに伴う与信関係費用の増加などを通じて、当グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があるだけでなく、当グループの業務継続性やブランド価値、成長性等にも悪影響を及ぼす可能性があります。当グループは、これらの気候変動に関するリスクを、リスクカテゴリーに横断的に影響を及ぼすリスクドライバーと認識しております。

 

※1:中長期的な気候変動に起因して直接・間接的に生じるリスク。例えば、台風や豪雨等の異常気象、あるいは断続的な気温上昇や海面上昇等に伴う自然資本や社会インフラの被害、コスト増加などの事業継続性への悪影響が存在する。

※2:低炭素・脱炭素社会への移行に伴い生じるリスク。例えば、排出量規制や将来的な炭素税の導入等の政策変更リスク、技術革新等による企業の競争力低下・生産コスト増加等の技術的リスク、投資・消費行動の変化等の市場リスク、気候変動等対応に伴う批判・ブランド価値毀損等の風評リスク等が存在する。

 

 

ロ.気候変動関連リスク管理の取り組み 

当グループでは、上述のリスク認識の下、気候変動に関するリスクを的確に把握・低減すべく、サステナビリティ関連リスク管理方針において、気候変動関連リスクを含む、サステナビリティ関連リスク全般に関するリスク管理の考え方(リスクカテゴリー毎の気候変動に関するリスクの管理方針等を含む)や、基本的な管理体制等を定めております。

また、当該体制に基づき、中長期的な気候変動が当社業務や保有資産等に及ぼす影響を把握し、継続的な体制強化を図ることで、気候変動に関するリスクのリスク管理プロセスの強化を進めております。

中でも、当社の目指す姿に照らして、リスクベースで影響の大きい三井住友信託銀行の投融資分野においては、高炭素セクター毎のGHG排出量削減目標の設定・管理に加え、中長期的なシナリオ分析等を通じた投融資ポートフォリオや取引先企業の経営への影響把握、与信業務におけるセクターポリシーの更新・審査の高度化に取り組んでおります。

なお、当グループのシナリオ分析の概要、及び投融資先の気候変動移行リスクや信用リスクの管理の詳細については、別途公表しております気候変動レポート2024/2025をご参照ください。

 

<リスクカテゴリー毎の気候変動関連リスクの管理方針>

カテゴリー

気候変動関連リスクに対するリスク管理方針

リスクホライズン(注)

信用リスク

・   当グループの与信関連業務の健全性の維持のため、気候変動に関するシナリオ分析(移行・物理的リスク)等を通じた将来を含む投融資ポートフォリオへの影響を把握し、セクター別のGHG排出量目標設定・管理、投融資先企業等との対話・与信審査の高度化等を通じてリスクの抑制を図る

短期・中期・長期

市場リスク・資金繰りリスク

・   当グループの市場・資金繰り関連業務の健全性を維持するため、気候変動関連リスクが当グループの市場リスク・資金繰りリスクに与える影響を分析のうえ、漸次、業務体制の拡充等を通じてリスクの抑制を図る

短期・中期

オペレーショナル・リスク

・   当グループの業務の健全性を維持するため、気候変動関連リスクが当グループの業務継続性や風評等に与える影響を分析のうえ、漸次、業務体制の拡充等によるリスクの抑制を図る

短期・中期・長期

 

(注)短期:1年以内、中期:1年超10年未満、長期:10年以上

 

 

④指標と目標

 当グループでは、気候変動に係る当グループの戦略とリスク管理の基本方針に基づき管理する具体的指標及び目標を設定し、グループにおける気候変動対応の状況をモニタリングしております。今年度の主な指標及び目標は下表のとおりです。なお、当グループは指標の状況を定期的に確認し、外部環境の変化や戦略の見直しに伴い、指標の見直しを行っております。

カテゴリー

指標

目標

気候変動ビジネス機会

サステナブルファイナンス累計取組額

2021年度~2030年度 累計取組額15兆円

リスク管理

投融資ポートフォリオのGHG排出量

(注1)

2050年までにネットゼロ

自社グループのGHG排出量(注2)

2030年までにネットゼロ

石炭火力発電向け貸出残高

プロジェクト貸出残高を2030年度に2020年3月末比半減
プロジェクト貸出残高及びコーポレート貸出(新規・拡張)残高を2040年度までにゼロ

運用ポートフォリオのGHG排出量(三井住友トラスト・アセットマネジメント及び日興アセットマネジメント)(注3)

2050年にネットゼロ

 

(注)1.投融資ポートフォリオについては、セクターごとに以下の中間削減目標を設定しており、実績は記載のとおりです。

セクター

中間削減目標

進捗実績値

電力

2030年度:138~173g-CO2e/kWh

(2020年度:249 g-CO2e/kWh)

2023年度:219 g-CO2e/kWh

石油・ガス

2030年度:2020年度比▲13%~▲31%

(2020年度:3.6MtCO2e)

2020年度の値は計測方法の変更に伴い
5.7MtCO2eから変更

2023年度:2020年度比▲38.9%

不動産

2030年度:34~41kg-CO2e/㎡

(2021年度:66 g-CO2e/㎡)

2023年度:58kg-CO2e/㎡

海運

2030年:

Portfolio Climate Alignment 0%以下

2023年(新基準):(努力目標)+19.7%

        (最低目標)+14.2%

鉄鋼

2030年度:2019年度比▲22%~▲27%

(2019年度:4.3MtCO2e)

2023年度:2019年度比▲30.2%

自動車

(生産段階)

2030年度:2019年度比▲47%

(2019年度:224kt-CO2e)

2023年度:2019年度比▲47.8%

自動車

(製品段階)

2030年度:106~128g-CO2e/vkm

(2019年度:202g-CO2e/vkm)

2023年度:184 g-CO2e/vkm

 

(注)2.自社グループのGHG排出量については、2023年度の実績でScope1(直接排出)4,472tとScope2(間接排出)4,368tの合計で、8,840tCO2eとなり、前年度と比較して約12%削減しました。また、GHGプロトコルに準拠した計測・集計を行い、当グループの国内拠点(Scope1,2)について、第三者保証を取得しました。今後、利用データの質的・量的な充実や、計測手法の改善を通じた分析精度の向上に努めます。

(注)3.運用ポートフォリオについては、各社ごとに以下の中間削減目標を設定しており、実績は記載のとおりです。

社名

中間削減目標

進捗実績値

三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社

運用資産の50%を対象(注4)に、

2030年の排出原単位を2019年比半減

2024年3月末:

2021年6月比(注5)▲21.1%

日興アセットマネジメント株式会社

運用資産の43%を対象(注6)に、

2030年の排出原単位を2019年比半減

2023年12月末:2019年12月比▲23.0%

 

(注)4.2021年6月末時点の運用資産85兆円の50%にあたる約43兆円が対象

5.目標は「2019年比半減」であるが、2021年6月時点のポートフォリオに対して、2019 年の排出データを使用して算出したため、進捗実績値を「2021年6月比」と表記

6.2021年12月末時点の運用資産31兆円の43%にあたる約13兆円が対象

 

 

(3)人的資本

①ガバナンス

人的資本に関する基本方針や重要戦略の取組状況は、経営戦略との連動を目的として、取締役会による監督に基づき、経営会議やサステナビリティ委員会等を通じて報告・決議を実施しております。

また2025年度からは、経営会議の諮問機関として人的資本委員会を設置し、人事部統括役員(CHRO)を委員長、経営企画部統括役員、リスク統括部統括役員、財務企画部統括役員を委員として、当グループの人的資本強化への取組状況の確認と、各種施策の審議を行っております。

同委員会における審議を経た上で、経営会議へ付議することで、人的資本戦略の推進に必要な方針立案、対応実施、開示までの一連の取り組みを組織的に行う態勢を整えております。

 

②戦略:人的資本戦略と企業価値向上・Well-beingの実現

当グループの掲げるパーパス(存在意義)を実現し、社会課題への取り組みを通じた資金・資産・資本の好循環の促進と市場の創出による成長を図るためには、人的資本の充実が重要となります。経営戦略を実現する人材群を構築し、その人材群が共通の目的に向かい多様な個性・専門性を発揮して最大限の活躍を実現すること、それぞれの活躍の結果を当グループの価値創造につなげることが、人的資本戦略の目指す姿です。

また、当グループで「社員のWell-being」と定義する、「心身ともに健康で、会社のパーパスに共感しながら、多様性を認め合う良好な人間関係のもと、自分の価値や強みを生かして、『働く幸せを実感し追求していける状態』」の実現を目指しております。当グループでは引き続き「社員一人ひとりのWell-being」向上を通じて、お客さま、社会への価値創出を実現し、全てのステークホルダーのWell-beingと企業価値向上をもたらす「好循環」を創り上げていきます。



 

(ⅰ)人材力と組織力の強化

当グループでは、多彩な機能、多様な事業ポートフォリオを強みとする信託グループとして、「社員一人ひとりの多様性と創造性を経営に生かす」ことを重視し、多様な属性・背景を有する社員が公正・公平(エクイティ)な支援の下、組織の付加価値となるような各種施策を取り組んでまいりました。

また、未来に向けた「ありたい姿」を社員一人ひとりが自ら考え、その実現に向けて自ら行動する「自律的キャリア型人材」の育成に注力することで、人的資本の強化を目指しております。

 

(ア)能力発揮と最適配置を実現する人事制度運営

当グループの人事評価制度は「本人参加型」です。社員は上司とのすり合わせにより具体性を持った業務遂行課題を決定し、年度末には上司と課題への成果とその達成プロセスを振り返りを行うことで、納得感の高い評価が得られる仕組みとしております。

 

三井住友信託銀行では、2025年度から運営を開始した新人事制度において、社員と会社が対等な関係を築き、互いに高めあう「選び・選ばれる関係」を実現します。社員が自律的にキャリアや働き方を選択する一方で、会社は「ウィル(意思)」と「スキル」に基づいた配置・登用を行い、社員一人ひとりが活躍・挑戦できる機会や選択肢を提供します。また、担う役割に応じたメリハリある処遇体系を導入することで、社員一人ひとりの能力最大発揮と生産性向上に資する最適な人材配置の実現を目指します。

 

(イ)自律的キャリア型人材の育成

当グループでは、社員一人ひとりの自律的なキャリア実現に向けて、社員が自己選択・自己決定できる仕組みや環境の整備を進めております。三井住友信託銀行では、各業務領域への理解を深め、将来のキャリア形成を考える機会として、社内の様々な業務について実際に従事している社員へ直接質問することができる「事業説明会」を開催の上、業務公募を実施しております。

また、「TRUST University(トラスト ユニバーシティ)」と冠した社内大学を展開し、外部の教育機関等と提携した階層別の研修や業務スキル等の向上を目的とした研修から自己啓発まで多くのコンテンツを整備しております。三井住友信託銀行では、2023年4月に、ビジネス推進に必須であるIT/デジタル人材育成に向けた具体的なKPIを設定し、研修や資格の取得支援を拡大しております。

加えて、当グループでは、経営の継続に対してクリティカルなポストの特定を行い、後継者の育成・管理をする取り組みを進めております。GL(グローバル&ジェネラルリーダー)研修及びSL(ストラテジックリーダー)研修等、選抜研修を毎年実施しております。

 

(ウ)多様な人材の多様な活躍推進

当グループでは、2030年までに女性役員比率を30%以上にするという経団連の「2030年30%へのチャレンジ」に賛同し、女性管理職比率のKPIを策定し、女性リーダー層を対象とする階層別研修やキャリアデザイン研修等、女性活躍推進の取り組みを推進しております。

また、社員のライフスタイルに応じた働き方の実現、ライフイベントに左右されないキャリア構築を目指し、両立支援制度の充実と風土醸成に取り組んでおります。三井住友信託銀行では2022年度に、産前・産後に男性社員が長期の育休を取得することが可能になるベビーケア休暇を新設し、休暇取得を奨励することで、男性育休取得日数は拡大しております。

加えて、信託グループ特有の多彩な機能、多様な事業ポートフォリオを維持しつつ、成長領域の伸長を図るために、キャリア採用社員や外国籍社員、障がい者社員の活躍推進にも取り組んでおります。

 

(ⅱ)エンゲージメントの強化

(ア)挑戦・イノベーションを生む風土

当グループでは、全社的なパーパスの浸透とともに、「全社員がやりがいを持って活躍し成長できる機会の提供」に向け、チャレンジと学びを後押しする風土構築とコミュニケーションの活性化に取り組んでおります。

2024年に創業100年を迎えた当グループでは、100周年事業として、関係会社23社から450人(2025年4月時点)の社員をアンバサダーとして選出し、社員が主導して事業を推進する等、やりがい・働きがいを生む風土の構築を意識しております。なお、100周年事業の集大成として、全社・全社員参加型で社員一人ひとりの挑戦アイデアを持ち寄り、その取り組みを表彰する「Action Challenge Award」を開催し、グループ社員から10,000件を超える“挑戦アイデア”が宣言されました。

また、三井住友信託銀行では、一人ひとりの行動変容を促し、積極的に挑戦できる風土を醸成していくために、2025年度に、個人目標を「当グループのバリュー(行動規範)を実践できているか」を軸に評価する体系に刷新いたしました。

加えて、店部長自らが講師を務めて自身の経験や学びを伝達する店部長塾・道場の開催、1on1におけるマネジメントのコミュニケーションスキルの向上を目指す1on1研修の実施等により、心理的安全が担保された風通しの良い職場環境の構築を推進しております。これらの取り組みの成果については、社員意識調査やパルスサーベイを導入し、社員の声を経営層やマネジメント層が把握することで、更なる向上に努めております。

 

 

(イ)Well-beingの推進

当グループでは、Well-being推進担当役員を設置し、株式会社日本経済新聞社主催の「Well-being Initiative」等、産官学連携セッションへ参画しながら、社内外でのWell-being推進活動を強化しております。また、FINANCIAL WELL-BEING(注1)への貢献に取り組み、人生100年時代において、お客さま一人ひとりの幸せに資するベストパートナーとなることを目指しております。三井住友信託銀行では、その価値創出の担い手である社員一人ひとりのFINANCIAL WELL-BEING実現に向けて、年金業務・職域業務で培った高品質な投資教育ノウハウを社員に還元し、社員の資産形成支援を強化しております。2022年度以降は、社員と会社がベクトルを合わせ、中長期的な成長を追求できる仕組みとして、全社員に対する株式報酬(RS信託(注2))を導入しております。

(注)1.FINANCIAL WELL-BEINGとは「お金や資産について、不測の事態に対する備えと将来に向けた準備ができて、安心できる状態」を指します。

    2.株式交付信託の仕組みを利用して、特定譲渡制限付株式(RS:Restricted Stock)を交付する制度を指します。

 

(ⅲ)健康経営

当グループでは、社員が健康と幸福を実感し、持続的に能力を発揮することで人的資本の向上を目指しております。そうした心身両面での健康推進を目指した取り組みが評価され、当グループは8年連続で「健康経営優良法人~ホワイト500~」に認定されております。

 

(ア)健康経営の推進

当グループでは、2024年7月に、社員の心身の健康への投資を加速すべく、「健康経営宣言」を制定しました。心身の健康推進のため、研修などを通じた啓発活動を行っているほか、各事業所へ産業医を配置し、きめ細かい健康管理・健康指導を行っております。三井住友信託銀行では、年1回の健康診断の受診に加え、健康管理システムを導入し、社員ごとの個別指導を行うことで、再検査受診率は上昇しております。また、心の健康では、ストレスチェックやプレゼンティーズム、アブセンティーズム(注1)の測定により社員の状態を把握しているほか、カウンセラーの設置や各種セミナーの開催を通じて、心の健康維持に努めております。今後も、社員の健康維持・向上に力を入れ、人生100年時代にふさわしい健康経営の推進を図ってまいります。

(注)1.プレゼンティーズムとは、出勤しているものの、何らかの健康問題によって業務効率が低下している状態、アブセンティーズムとは、仕事を休業ないし欠勤している状態を指します。

 

(イ) 働き方の最適化

当グループでは、「多様な働き方とワークライフバランスの実現」に向けて、IT投資強化や業務プロセス改革による生産性向上と時間外労働の削減、及び時差出勤や在宅勤務等、柔軟な働き方推進への取り組みを行っております。三井住友信託銀行では、勤務間インターバル11時間の導入や計画的な休暇取得を奨励しており、有給休暇取得日数、取得率ともに上昇しております。更なる働き方の最適化に向け、グループでの勤務間インターバル11時間の導入や、三井住友信託銀行では、有給休暇取得率目標の設定を検討しております。

 


 

 

③指標と目標

当グループでは、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。なお、施策の浸透とともに各種指標は上昇しております。

 


「女性管理職比率(当グループ)」「パーパスに基づいた行動」「ストレスチェック」を除く項目は、三井住友信託銀行単体の数字になります。なお、人的資本に係る指標と目標については、2024年度に開示した指標と目標のうち、当グループの人的資本の取組方針等において特に重要な指標に絞って記載しております。

(*1)各年度中に育休を取得した男性労働者の数を、各年度中に配偶者が出産した男性労働者の数で割った比率であり、100%を超える水準となっております。

(*2)設問「自分自身の思考や行動に影響を与えている」についての、関係会社のスコアの平均であります。2022年度は社員意識調査を実施した関係会社17社の単純平均であり、2023年度以降は、所属従業員が少ない会社のスコアへの影響を排除するため、社員意識調査を実施した関係会社のうち従業員数50人以上の関係会社の単純平均としております。(2023年度15社、2024年度14社)

(*3)設問「あなたは、この会社で働いていることに、満足している」についてのスコアであります。

(*4)設問「自分の仕事に対して誇りを持っている」等、関連する10の設問についてのスコアの平均値であります。

(*5)ストレスチェック実施先の増加により2022年度までは関係会社17社、2023年度は関係会社18社、2024年度は関係会社19社の結果の単純平均としております。なお、数値について、標準集団の平均は100であり、数字が低いほど良好な結果になります。