2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況など、投資者の判断に重要な影響を与える可能性があると認識している事業等に関する主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、当社グループは、これら個々のリスクに対する施策を講じるとともに、リスクが顕在化した際には適切な対応が迅速に行えるように、リスク管理体制の整備・強化を図っております。

また、本項に含まれている将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営環境に関するリスク

当社グループは、お客さまの事業活動に対して、リース取引を基盤とした事業展開を行っております。

地域間の紛争等を背景にしたエネルギー価格・資源価格の高騰、世界的な供給網の混乱による製造業の生産活動の停滞、国際金融市場における金利や為替の急激な変動により、お客さまの事業活動に支障をきたし、設備投資が大幅に減少した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 信用リスク

当社グループの主たる事業活動であるリース取引等は、比較的長期間(平均5年程度)に亘り、お客さまに賃貸という形で信用を供与する取引で、お客さまからリース料等を全額回収して当初の期待収益が確保されますが、経済状況の低迷により、お客さまの業況が悪化し、当初想定したリース料等の回収ができなくなるリスクがあります。

このような事態に対応するため、当社グループは、取引開始時に厳格な与信チェック、リース物件の将来中古価値の見極め等により契約取組の可否の判断を行うとともに、取引開始後は、お客さまの信用状況につき定例的にモニタリングを行い、必要に応じ債権保全等の措置を講じております。

また、お客さまの信用状況が悪化しリース料等の不払いが生じた場合には、リース物件の売却または他のお客さまへの転用等により可能な限り回収の促進を図っております。

しかしながら、経済環境の急激な変化、お客さまの信用状況の悪化等により、想定以上の信用コストが発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 流動性リスク(資金調達)

当社グループは、事業に必要な資金を賄うため、銀行借入のほか、社債やコマーシャル・ペーパーの発行等によって資金調達を行っております。金融市場の急激な変動や当社グループの財務状況の悪化によって調達が困難となった場合、資金調達の制約が当社の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

このような流動性リスクに対応するため、資金調達手段の多様化、市場環境を考慮した調達構造や手元流動性

の調整を行っております。

 

(4) 金利変動リスク

当社グループは、事業に必要な資金を賄うため、銀行借入のほか、社債やコマーシャル・ペーパーの発行等によって資金調達を行っております。

当社グループの収入であるリースや有価証券投資の金利条件(水準・期間・固定または変動の別など)と、当社グループの支払である資金調達の金利条件が異なることにより、金利の変動が金利収支に影響を与える可能性があります。

このような金利変動に対応するため、資産の金利条件に合わせた資金調達を実行するほか、デリバティブ取引を利用したヘッジを行っております。

具体的には、ALM(資産負債の統合管理)の手法によるマッチング比率(固定・変動金利の資産に対して固定・変動金利の負債・デリバティブを割り当てることにより、資産のうち金利リスクを負っていない部分の割合)をコントロールすることにより金利変動リスクの管理を行っております。

 

(5) アセットリスク

当社グループは、不動産賃貸や不動産への投融資事業、航空機リース事業等を展開しております。取組みにあたっては、取引先の信用力や将来収支、資産価値を慎重に見極めておりますが、取引先の業績が悪化した場合や物件の資産価値が著しく減少した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このような資産価値の下落に対する対応として、取引先の信用状況や資産価値の動向、将来収支の見込みに関して社内における管理体制を整備し、機動的な対応を実施し、当社グループへの影響を最小限にとどめる為の運営を行っております。

 

(6) 事業活動に関して生じるリスク

事業活動に関して生じるリスクとして、事務の不適切な対応、システムの障害・誤作動によるシステムリスク、情報の紛失、漏洩、持ち出し等による情報セキュリティに関するリスク、法令や社会規範が順守されなかった場合に社会的信用の喪失に繋がるコンプライアンスリスク、事業活動に伴い当社グループに対して訴訟が提起されるリスク等があります。これらのリスクが顕在化した場合、収益機会の逸失や損害賠償への対応が生じ、結果として当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

このような事態に対応するため、当社は、各種事案への対応を全社横断的かつ機動的に実施するよう、リスク管理体制を整備し、当社グループへの影響を最小限にとどめるよう、リスクのコントロールを行っております。

 

(7) 災害等によるリスク

地震、風水害、感染症の拡大等の予測不能な事象が発生することにより、想定外の経済的損失を被った場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

このような事態への対応として、事業継続計画を策定し、事業活動の継続体制を整備し、当社グループへの影響を最小限にとどめる為の対策を講じております。

 

(8) サイバーセキュリティリスク

当社グループは、様々な情報システムを利用し、事業活動に関する管理を行うほか、電子メール等の外部への接続手段を利用しており、これらの情報システムについては、コンピュータウイルスの侵入、外部からの不正アクセス等、サイバー攻撃を受けるリスクがあります。その結果、システムの停止や障害、情報の漏洩、不正使用等が発生した場合、損害賠償への対応、信用の失墜、営業活動の停滞による経済的損失により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

このような事態への対応として、セキュリティインシデントに対応する組織としてCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置しております。SOC(Security Operation Center)による24時間365日の監視体制を整え、ウイルス解析、多層的防御等、レジリエンス態勢強化に取り組む等、対策強化を図っています。クラウド活用や働き方の多様化で増大する脅威に適合するために、内部における攻撃者の自由な行動を阻害しようとするセキュリティ対策としてゼロトラストアーキテクチャーの導入を推進する等、最新のセキュリティ脅威への対応に向けての対応も進めております。

また社員に対しては、フィッシングメール訓練、全社横断的な初動対応訓練の実施の他、eラーニングを通じたセキュリティ意識の向上に努めております。

 

 

(9) 気候変動に関するリスク

当社グループでは、気候変動に関するシナリオ分析の実施と情報開示を開始するなど、気候変動への対応を進めております。台風・豪雨等の異常気象や、法規制の強化等により,それらの対応のための技術革新やビジネスモデルの転換に対応できない場合、お客さまの事業活動や当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(リスク管理体制)

上記に係る各リスクの発生の可能性、程度、時期、ならびに当社グループの経営成績および財務状況等に与える影響を正確に見積ることは困難ではありますが、経済環境の変化に伴う与信状況の悪化や、金利の変動が当社グループに与える影響については、一定の統計的手法により想定される最大損失額を算出しております。

当社グループは、事業活動にかかわるリスクを的確に把握・分析・制御し、経営への影響を低減していくため、リスク管理グループ長が全社的な視点でリスクマネジメントを統括・推進するとともに、各リスク所管部門を通じてリスク事象に対し迅速かつ機動的に対応する体制を整備しております。

各リスクの所管部門は、事業に関連するリスクの把握、制御を適時に実施するとともに、実効性を検証し、「リスク管理委員会」において、リスク低減に関する諸施策の遂行状況や施策の浸透状況、有効性に関する検証を行い、その結果を取締役会に報告しております。

(「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」にリスク管理体制を含めた取締役会決議の概要およびその運用状況について記載しております。)

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、株主に対する利益還元については、収益力の向上を図りつつ、業績に応じた配当を実施することを基本方針としております。この方針のもと、配当性向の水準やさまざまな手法による利益還元の強化と、成長投資や事業基盤の充実による収益力および企業価値の更なる向上との、最適なバランスを実現してまいります。

上記に基づき、当期の1株当たり配当額につきましては、中間配当83円00銭に期末配当109円00銭を加えた、192円00銭といたしました。この結果、当期の連結配当性向は26.5%となります。

なお、当社は中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行っており、その決定機関は期末配当については株主総会、中間配当については取締役会(注)としております。

 

なお、当期に係る剰余金の配当につきましては、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2023年11月8日

4,067

83.00

取締役会決議

2024年6月25日

5,341

109.00

第55回定時株主総会決議

(注)当社は会社法第454条第5項の規定に基づき「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。