リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 当社のリスク管理体制
当社では2007年4月より、取締役会直属機関としてリスク管理委員会を設置し、各部署で発生するリスクないし企業活動を脅かすリスクを横断的に統括管理し、リスクの顕在化の未然防止及び危機発生時の体制整備をしております。
具体的には、「リスク管理規程」に基づき、各部署で継続的に収集したリスク情報をもとにリスクを算定・評価し、回避策・軽減策を検討しております。また、リスク統括部において、各部署より報告を受けたリスク情報を一元管理しております。リスク管理委員会においては、リスクの定期的な把握及びリスク回避・軽減策の検討指示並びに危機時の陣頭指揮・各種対応指示などを行うとともに、リスク情報の収集、危機対策・対応などで、必要と判断した場合、対処方針・対処方法を策定し、取締役会にて承認を得ることとしております。また、リスク情報のなかで、コンプライアンス委員会に関係する事案については、コンプライアンス委員会に随時情報共有しております。
[体制図]
(注)1線…各業務執行部門は、実際にリスク管理を行い、リスク発生抑止の方針に従い、必要に応じてリスク管理計画を策定し、また、業務遂行におけるリスクを把握・評価を行い、回避・リスクテイクの判断、顕在化した際のリスクコントロールを迅速に実行する役割
2線…リスク統括部は、1線のカテゴリ別主管業務に加え、統合的リスク管理部署として、1線・カテゴリ別主管部署によるリスクコントロールの検証・指導・支援を行い、グループ全体のリスクガバナンス体制を構築する役割
3線…内部監査部は、体制及びプロセスの有効性や適切性を1線・2線から独立した立場で検証する役割
しかしながら、これらの対応にもかかわらず法的規制の強化もしくは緩和も含めた経営環境の変化、競合の状況、景気の変動等によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があり、また、当社グループの戦略の見直しを余儀なくされる可能性があります。
当社は2025年3月期より、リスクシナリオの蓋然性と業務への影響度に基づき、事業に重要な影響を与える可能性があると経営が認識したリスクをトップリスクとして選定しております。トップリスクは毎期、リスク管理委員会において審議・決定され、トップリスクに対しては、リスクの高まりや予兆等の評価を行い、必要な対策を講じることでリスクの抑制等を図ります。
(2) トップリスク
①法令違反や従業員等による不適切な行為に関するリスク
当社グループは、業務を行うにあたっては、貸金業法、割賦販売法をはじめ、多くの関連法令等の遵守のほか、お客様をはじめとする多くのステークホルダーとの良好な関係維持が求められていますが、従業員等による法令等に抵触する行為や、商慣習・市場慣習、お客様目線等に照らして正しい行為を行わないこと(いわゆる、ミスコンダクト)等があった場合は、行政処分や社会的批判など、ステークホルダーからの信頼が失われ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、従業員等による法令の違反、不適切な行為の発生を抑制するべく、当社グループ全体において統一した企業倫理を共有し、当社グループ全体のコンプライアンス態勢を確立することを目的とした、グループコンプライアンス委員会を設置しております。また、内部統制機能として組織・制度を整備するとともに、システムによるオペレーショナルリスク対応を図り、上記体制図に記載の1線・2線・3線からなる、いわゆる3ラインによる点検と継続的な改善活動を図っております。
②競争力の低下リスク
当社グループは、国内外で信頼され、必要とされるグローバル金融グループを目指しておりますが、既存競合先に加え、異業種からの新規参入、生活様式の変化、DX化の加速等から生じるお客様の期待変化に対し、より迅速に対応することが求められており、これらに対して適切に対応ができない場合、市場における競争力が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
これらに対し当社は、市場動向やお客様の声の積極的な収集活動に努め、スマホアプリの改善等UI/UX向上の取り組み強化など、デジタル技術の利活用による利便性の向上、M&Aを含む事業の多角化や海外展開による事業ポートフォリオの分散に重点をおいてサービス拡大に取り組んでおります。
③貸倒関連費用の増加リスク
当社グループは、営業貸付金等について、貸倒関連費用を計上しておりますが、今後の経済情勢等により資金繰りの困窮によって支払いが困難となるお客様が増加するリスクがあり、当社グループの貸倒関連費用の増加や受取利息の減少につながることで、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクを解消するため、お客様の信用力について定期的に調査を行うなど、予兆を即座に把握できる体制を構築し適切な対策を講じることで、債権の健全性維持に努めております。
④金利上昇リスク
資金調達に係る調達金利は、市場環境等により変動することがあり、政情不安等の地政学リスクの影響も含め、将来における金利上昇の程度によっては、当社グループの資金調達に影響を及ぼすおそれがあり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクを解消するため、当社グループでは、ALM(資産と負債の総合的な管理)による金利リスクの管理を行っており、将来の金利見通しやコストを踏まえた調達金利の固定化、調達手段の多様化等により、金利変動リスクの軽減を図っています。
⑤資金流動性リスク
当社グループは、金融機関からの借入れ、社債、債権の流動化及びコマーシャル・ペーパー等により、資金調達を行っておりますが、市況環境、当社の信用力低下や格付の低下等の変動により資金調達が困難になる可能性があります。また、資金調達に係る契約には財務制限条項や早期償還条項が付されているものが存在することから、当社グループの財政状態及び経営成績、又は営業貸付金等の債権内容が大きく変化し、期限の利益を喪失した場合には、資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクを解消するため、当社グループではALMによる短期・長期の資金流動性の管理を行うとともに、財務制限条項や早期償還条項の管理・報告、調達の多様化や新たな調達手法の検討、格付の向上に向けた取り組みを行っております。
⑥サイバー攻撃・システム障害リスク
当社グループが使用するハードウエア及びソフトウエアは、人為的過誤、コンピュータウイルス、外部からのサイバー攻撃及びこれに類する事象による損害又は中断等により、当社グループの事業に対する消費者の信頼が低下することで、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクを解消するため、当社グループでは、基幹システムの冗長化、バックアップ体制整備等のインフラ強化を図るとともに、サイバー攻撃やフィッシングサイト等へのセキュリティ強化に向け、社内CSIRTによる業界内外の情報連携体制、コンピュータウイルスの排除、外部からのサイバー攻撃の監視、多角的な脆弱性診断等を継続しています。また、二段階認証の導入等具体的な対策や、定期的な社内対応訓練等を通じて、それらの被害抑止に努めております。
⑦人材不足による事業計画への影響発生リスク
当社は、グループ全体における幅広い専門分野に対し、高い専門性を必要とする業務に従事している社員を雇用していることから、外部環境の変動により、人材不足による事業計画への影響を及ぼす可能性があります。
そのため、従業員等の積極的な採用や従業員等に対する継続的な研修等により、多様な人材の確保・育成を行っており、有能な人材を継続的に採用し定着を図るよう努めております。その他、タレントマネジメントシステムの積極活用による採用・配置・評価の最適化、組織・職位への要件明確化による有効な人材育成、従業員満足度の向上に向けた社内ロイヤリティの継続的な向上などの施策を実施してまいります。
(3) トップリスク以外のリスク
⑧有価証券保有に関するリスク
当社グループは、お客様の需要にあわせた商品やサービスを提供するために、子会社及び関連会社に係る投資有価証券を保有することで、ローン事業(消費者金融事業及び事業者金融事業)、信販事業、保証事業、海外事業等、金融事業の多角化を図っております。しかしながら、子会社等の不採算が想定より長引くことにより投資有価証券について減損に至るおそれがある場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨代表取締役及びその親族等の当社株式保有並びに処分に関するリスク
当事業年度末現在、当社の代表取締役である福田光秀及びその創業者一族は、関連法人と併せて当社の発行済株式の約40%を実質的に保有する株主となっております。その結果として、当社の支配権の譲渡、事業の再編及び再構築、他の事業及び資産への投資、並びに将来の資金調達等の重要な企業取引を含む当社の事業活動に影響を及ぼす重要な意思決定に対して影響力を行使することができます。
また、これらの株主は、現在までのところ安定保有を維持しておりますが、今後、その所有株式の一部を処分した場合、市場における当社株式の供給が増加することにより、当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。
⑩災害・感染症等に関するリスク
大規模な地震、津波、風水害等の自然災害、感染症の流行や紛争等の外的要因による非常事態によって、当社グループの事業継続に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクを解消するため、当社グループでは、事故・災害が発生した場合においても、ステークホルダーへの影響を最小化することを目的に、基幹システムの冗長化、データや電源のバックアップ、コールセンターのバックアップオフィスの整備及び災害備蓄体制の強化を図るとともに、事業継続計画に定めた対応を迅速に行うべく、安否確認及び緊急時のコミュニケーションツールを導入し土日祝や早朝夜間であっても連絡を可能にするとともに、定期的なグループ横断の訓練を実施しております。
予想を超える災害等が発生し、世界レベルでの経済活動の停滞で大幅に事業活動が縮小又は停止するなど、通常どおりに設備が使用できなくなった場合において、お客様の需要に十分な対応が行き届かなくなる、あるいは、災害等に伴い被害を受けたお客様の状況悪化により、貸倒関連費用等が増加する場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑪気候変動のリスク
当社グループは、気候変動への対応を優先度の高い課題として認識しており、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に従い、気候変動におけるリスク・機会の抽出とその対応策の検討を行っており、今後は、その内容に基づいて、当社グループとして課題の解決に取り組んでまいります。
(当社グループのリスク内容とリスク重要度の評価)
(当社グループのリスク対応策及び機会)
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして認識し、中長期的な利益成長を通じた株主価値の極大化を目指しつつ、安定的な内部留保金を確保し、経営成績に応じた利益還元を行うことを基本方針としております。
当事業年度の期末配当につきましては、1株当たり1円とすることを決定いたしました。
また、次期の配当につきましては、1株当たり年間1円(期末1円)を予定しております。
内部留保金につきましては、2025年3月期から2027年3月期を対象とする中期経営計画に基づき、「自己資本比率15%以上の維持」を前提に「総還元性向20%程度」を目標とし、将来利益の創出を見据えたM&A推進、及び安定的・継続的な株主還元に柔軟かつ効率的に活用してまいります。
当社は、「会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる。」旨及び「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。