人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数33名(単体) 1,506名(連結)
-
平均年齢38.2歳(単体)
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平均勤続年数2.3年(単体)
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平均年収7,662,000円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2025年3月31日現在 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
不動産事業 |
1,506(112) |
エネルギー事業 |
|
アセットマネジメント事業 |
|
その他 |
|
合計 |
1,506(112) |
(注)1.従業員数は、就業人員であります。
2.従業員数欄の( )内は外書で、臨時従業員の年間平均雇用人数(1人当たり1日8時間換算)であります。
3.当社の企業集団は事業の種類毎の経営組織体系を有しておらず、同一の従業員が複数の事業の種類に従事しております。
(2) 提出会社の状況
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2025年3月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(千円) |
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33 |
(2) |
38.2 |
2.3 |
7,662 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
不動産事業 |
33(2) |
エネルギー事業 |
|
アセットマネジメント事業 |
|
その他 |
|
合計 |
33(2) |
(注)1.従業員数は、就業人員数であります。
2.従業員数欄の( )内は外書で、臨時従業員の年間平均雇用人員数(1人当たり1日8時間換算)であります。
3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
4.当社は事業の種類毎の経営組織体系を有しておらず、同一の従業員が複数の事業の種類に従事しております。
(3) 労働組合の状況
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
提出会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
② 連結子会社
当事業年度 |
補足説明 |
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名称 |
管理職に占める女性労働者の割合 (%) (注)1. |
男性労働者の育児休業取得率 (%) (注)2. |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1. |
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全労働者 |
正規雇用労働者 |
パート・有期労働者 |
||||
㈱タカラレーベン |
12.0 |
75.0 |
74.8 |
74.8 |
37.2 |
(注)3. 労働者の男女の賃金の差異 (注)4. |
㈱レーベンコミュニティ |
16.2 |
0.0 |
67.0 |
60.7 |
75.5 |
(注)3. 労働者の男女の賃金の差異 (注)5. |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しております。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。
3.対象期間:令和6事業年度(令和6年4月1日から令和7年3月31日まで)
賃金:基本給、超過労働に対する報酬、賞与等を含み、退職手当、通勤手当等は除きます。
正社員:出向者については、当社から社外への出向者を含み、他社から当社への出向者は除きます。
パート・有期社員:有期雇用、パートタイマー、嘱託を含み、派遣社員は除きます。
4.労働者の男女の賃金の差異についての補足説明
<正社員>
正社員のうち、管理職・非管理職で区分した場合、前事業年度同様に差異は5~15%程度に縮まります。しかしながら、女性管理職の割合が12.0%であるため、引き続き女性の登用を計画的に推進してまいります。
<パート・有期社員>
パートタイム社員と有期雇用社員が混在しているため、乖離が発生しております。
パートタイム社員と有期雇用社員を区分した場合、有期雇用社員は男性社員のみであり、パートタイム社員は乖離がありません。
5.労働者の男女の賃金の差異についての補足説明
<正社員>
女性管理職の割合が16.2%であるため、女性の登用を計画的に推進してまいります。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ全般
当社グループは、サステナビリティ基本方針のもと、事業活動が環境・社会に与える影響を考慮し、持続的な成長を実現するためのマテリアリティ(重要課題)を特定しています。特定したマテリアリティに対する取り組みは、サステナビリティ委員会を中心とする実効性の高いガバナンス体制のもとで全社的に推進しております。今後も、すべてのステークホルダーの皆様との対話を重視し、事業を通じた社会課題の解決と持続的な企業価値の向上に努めてまいります。
<サステナビリティ基本方針>
MIRARTHホールディングスグループは、「サステナブルな環境をデザインする力で、人と地球の未来を幸せにする。」をOur Purpose(存在意義)として掲げ、住宅の供給や再生可能エネルギーの開発など、事業を通じたサステナビリティ活動に取り組むことで社会課題の解決とSDGs(持続可能な開発目標)達成に貢献し、さまざまなステークホルダーや社会からの信頼を得て、持続的な発展を目指します。
① ガバナンス
当社グループは、「気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等への危機管理など、サステナビリティを巡る課題への対応は重要な経営課題である」という認識のもと、サステナビリティ推進体制を構築しています。
代表取締役を委員長とし、取締役、グループ会社の社長・部門責任者によって構成される「サステナビリティ委員会」を設置しています。サステナビリティ委員会は、原則四半期に1回開催するほか、必要に応じて都度開催し、ESG戦略の推進及びサステナビリティに関する方針・施策の決定や、マテリアリティ(重要課題)の検討、推進、進捗状況のレビュー、改善計画の審議などを行い、サステナビリティ推進活動の取締役会への報告等を行っています。
<サステナビリティ推進体制図>
② 戦略
当社グループは、持続可能な社会への貢献と企業価値の向上を目的に、以下のプロセスによりマテリアリティ(重要課題)を特定し、対応策を実施しています。当社グループは社会的課題に対し積極的に取り組むことで、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に貢献しています。
当社グループにおけるサステナビリティ重要テーマ及びマテリアリティ特定のプロセスは、以下のとおりであります。
<サステナビリティ重要テーマ及びマテリアリティ特定のプロセス>
1.社会課題のリスト化
ESG評価機関や市場動向の分析を基に環境、社会、ガバナンス(ESG)の観点で、社会課題を洗い出しました。
2.リスクと機会の特定
各課題におけるMIRARTHホールディングスグループにとってのリスクと機会を明確にしました。この分析を通じて、企業活動の中で直面する可能性のある課題とその機会を識別しました。
3.ステークホルダーの影響の特定
MIRARTHホールディングスグループがこれらの課題にどのように影響を受けるか、またどのように影響を与えるかを評価しました。
4.重要度の評価
グループ各社の経営層が出席したワークショップでの議論を経て、特に重要な社会課題を選定しました。これらの課題はMIRARTHホールディングスグループの戦略的な意思決定に直結しており、長期的な企業成長に影響を与えます。
5.施策の検討
重要度の高い課題に対して、リスクを軽減し、機会を拡大するための施策を検討しました。ワークショップを通じて、技術革新や業務プロセスの改善など具体的な行動計画を立案しました。
6.マテリアリティの特定
上記プロセスを踏まえMIRARTHホールディングスグループのマテリアリティを特定し、妥当性を検証しました。
7.KPIの設定
選定されたマテリアリティに基づいて、具体的な成果を測定するためのKPIを設定しました。これにより、施策の効果を定期的に評価し、持続可能な成長を実現しています。なお、マテリアリティ及び目標・KPIの内容はサステナビリティ委員会にて承認された内容を公表しています。
<サステナビリティ重要テーマ及びマテリアリティ>
|
サステナビリティ重要テーマ |
マテリアリティ |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||
E 環 境 |
脱炭素社会の実現 |
|
・気候変動・脱炭素化への対応 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||
再生可能エネルギーの安定供給に取り組むとともに、省エネルギー化を取り入れた環境負荷の少ない開発を目指し、気候変動問題の緩和に取り組みます。 |
・再生可能エネルギーの安定供給と利用促進 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||
S 社 会 |
サステナブルな街づくり |
|
・地域社会の持続的な成長の実現 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||
地域社会の発展と人々の暮らしの豊かさの向上を図り、社会課題やニーズの変化に対応した商品・サービスの提供を通じて持続可能な未来の実現に貢献します。 |
・少子高齢化、労働人口減少への対応 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Well-beingの向上 |
|
・従業員の健康と安全の確保 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||
心身の健康と安全を守るとともに、多様な人材が活躍できる職場風土を醸成し、ステークホルダーとの対話を通じて共創関係を築きます。 |
・ダイバーシティ・エクイティ& インクルージョン(DE&I)の推進 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||
・人権の尊重、サプライチェーンへの対応 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||
G ガ バ ナ ン ス |
ガバナンスの強化 |
|
・コーポレート・ガバナンスの強化 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||
健全な企業活動を推進し、意思決定の透明性を確保することで企業の社会的責任を果たし、企業価値の持続的な向上を目指します。 |
・リスクマネジメントの強化 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||
・企業倫理、コンプライアンスの徹底 |
③ リスク管理
当社は、当社グループのリスクを管理し、企業価値の持続的向上を図るために「リスクマネジメント規程」を定め、同規程に基づき、グループCRO(最高リスク管理責任者)を委員長とする「リスクマネジメント委員会」を設置しています。「リスクマネジメント委員会」において毎年リスクを洗い出し、リスクシナリオを作成しており、それぞれのリスクシナリオを「影響度」と「発生頻度」で評価し、財務状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況、戦略面に重大な影響を及ぼすものを重要リスクとして特定しております。気候変動リスクを含む7つの個別リスクを最重要リスクとして認識し、リスクマネジメント委員会において、グループ各社が担うリスクマネジメントを統括的に管理し、取締役会が監督しています。
なお、詳細につきましては、「3 事業等のリスク」をご参照ください。
④ 指標及び目標
当社グループでは2022年3月期より、サステナビリティ重要テーマ及び特定したマテリアリティ(重要課題)に紐づくKPIを策定し、グループ全体で取り組みを推進しています。
2025年3月期の実績、2026年3月期の目標は下記のとおりです。
<目標と実績>
サステナビリティ 重要テーマ |
マテリアリティ |
KPI |
2025年3月期 |
2026年3月期 |
|
目標 |
実績 |
目標 |
|||
脱炭素社会の実現
再生可能エネルギーの安定供給に取り組むとともに、省エネルギー化を取り入れた環境負荷の少ない開発を目指し、気候変動問題の緩和に取り組みます。 |
・気候変動・脱炭素化への対応 |
CO2排出量削減率(Scope1,2及び3) |
45%(2022年度比)※1 |
Scope1,2:41%※2 |
45%(2022年度比)※1 Scope1,2:70% Scope1,2,3:45% |
省エネルギー化に寄与する社内の 取り組み件数 |
10件 |
14件 |
10件 |
||
リニューアル・リノベーション マンションの積極展開 |
|
○ |
|
||
・再生可能エネルギーの安定供給と利用促進 |
再生可能エネルギーの総発電規模 |
780MW※3 |
385MW |
410MW※4 |
|
環境性能認証の取得 |
5棟 |
9棟 |
5棟 |
||
戸建住宅におけるZEH水準の採用率※5 |
100% |
100% |
100% |
||
新築分譲マンション事業における 再エネ活用の推進 |
|
○ |
|
||
サステナブルな 街づくり
地域社会の発展と人々の暮らしの豊かさの向上を図り、社会課題やニーズの変化に対応した商品・サービスの提供を通じて持続可能な未来の実現に貢献します。 |
・地域社会の持続的な成長の実現 |
海外における住宅供給プロジェクト 件数 |
3プロジェクト |
7プロジェクト |
5プロジェクト |
再開発・建替事業の取り組み件数※6 |
10件 |
14件 |
10件 |
||
マンション管理業務に対する満足度 調査 |
5点以上/6点 |
5.09点 |
5点以上/6点 |
||
業務プロセス及び品質基準に関する 不適合件数 |
10件以下 |
3件 |
10件以下 |
||
・少子高齢化、労働人口減少への対応 |
1人当たり研修時間 |
25時間 |
11.8時間※7 |
25時間 |
|
DXビジネス検定の取得推進 |
|
△※8 |
|
||
ライフスタイルに対する新たな サービスの提案 |
10件 |
15件 |
10件 |
||
Well-beingの向上
心身の健康と安全を守るとともに、多様な人材が活躍できる職場風土を醸成し、ステークホルダーとの対話を通じて共創関係を築きます。 |
・従業員の健康と安全の確保 |
ストレスチェック受診率※9 |
100% |
93.7% |
100% |
有給休暇取得率※10 |
70% |
70% |
70% |
||
男性育児休業取得率 |
85%※1 |
57.6% |
85%※1 |
||
建設現場における特別パトロール (安全確認)の実施 |
年4回 |
4回 |
年4回 |
||
・ダイバーシティ、エクイティ& インクルージョン(DE&I)の推進 |
障がい者雇用率 |
2.5% |
1.5% |
2.5% |
|
女性管理職比率 |
20%※1 |
14.2% |
20%※1 |
||
女性採用比率 |
30% |
36% |
30% |
||
・人権の尊重、サプライチェーンへの対応 |
安全大会の実施 |
年1回 |
1回 |
年1回 |
|
人権デュー・ディリジェンスの 体制構築 |
|
○ |
|
||
サプライチェーンマネジメントの推進 |
|
△※11 |
|
||
ガバナンスの強化
健全な企業活動を推進し、意思決定の透明性を確保することで企業の社会的責任を果たし、企業価値の持続的な向上を目指します。 |
・コーポレート・ガバナンスの強化 |
取締役会の実効性評価の実施 |
|
○ |
|
クローバック条項の導入検討 |
|
○ |
|
||
・リスクマネジメントの強化 |
重要リスクの検証、管理 |
|
○ |
|
|
BCPのマニュアル策定 |
|
○ |
|
||
・企業倫理、コンプライアンスの徹底 |
コンプライアンス教育の実施 |
年3回 |
5回 |
年3回 |
|
全従業員に対するコンプライアンス アンケートの実施 |
年1回 |
1回 |
年1回 |
||
内部通報制度の認知率 |
100% |
97% |
100% |
※1 2030年度までの中期目標として設定。
※2 Scope3算定中。
※3 太陽光換算によるMW数、2030年3月期までの中期目標として設定。
※4 KPIを「再生可能エネルギーの稼働済み発電規模(累計)」に見直し。
※5 断熱性能等級5級かつ一次エネルギー消費量等級6級を取得した住宅(再生可能エネルギー水準は除く)。
※6 優良建築物等整備事業含む。
※7 一部の配信型研修は集計対象外。
※8 方針の見直しによりDX研修を実施。KPIを「DX人材の育成推進」に見直し。
※9 実施企業のみ集計。
※10 年次有給休暇が一斉付与の企業を対象に集計。
※11 実施計画を策定。
(2) 気候変動への対応(TCFD提言への取組)
・気候変動に対する当社の認識
MIRARTHホールディングスグループ(以下、当社グループ)は、気候変動の進行は科学的事実であると認識し、台風・豪雨の激甚化、熱波や干ばつの頻発、世界的な海面上昇などの気候変動が引き起こす自然災害被害の拡大への対策は必要不可欠なものであると考えます。加えて、気候変動を自然環境と社会構造に大きな変化をもたらし、当社グループの経営とビジネス全体に重大な影響を与える(マテリアルな)課題であると位置づけています。気候変動を緩和するための全世界的な取り組みとして、温室効果ガスの排出削減に向けた枠組みの設定や排出規制の強化など、社会経済の脱炭素化への移行が予期され、不動産事業における開発・運営段階でのGHG排出量の削減や、レジリエンスの強化に対する社会的な要請が高まっていると認識しています。一方で、エネルギー事業においては、再生可能エネルギーの需要拡大が見込まれ、重要な機会として捉えています。
・TCFD賛同表明(及びTCFDコンソーシアムへの参加)
当社及びグループ会社のMIRARTH不動産投資顧問㈱は、気候関連課題に関する情報開示を推進するため、2022年6月に金融安定理事会(FSB)により設立されたTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明しました。
本賛同を起点として、当社グループとしての気候変動が事業に及ぼすリスクと機会についての分析と対応、TCFD提言が推奨する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」に沿った情報開示の強化・充実を図っています。
① ガバナンス
当社は、気候変動のリスクと機会に対応するため、取締役会による監督とサステナビリティ委員会を中心とするガバナンス体制を構築しております。気候変動対応に係る最高責任者を代表取締役社長とし、実務上の責任者である気候変動対応に係る執行責任者は、サステナビリティ担当取締役としています。気候関連課題に係る執行責任者は、サステナビリティ委員会において、気候変動による影響の識別・評価、リスクと機会の管理、適応と緩和に係る取り組みの進捗状況、指標と目標の設定等の気候変動対応に関する事項を、気候関連課題に係る最高責任者に対して、定期的に報告します。サステナビリティ委員会の出席者により、各議題について審議・検討した上で、気候関連課題に係る最高責任者により意思決定を行います。
② 戦略
・分析の範囲
今回行ったシナリオ分析においては当社グループの主要事業かつ気候変動の影響が比較的大きいと考えられる不動産事業とエネルギー事業の2事業を対象としました。
・参照した外部シナリオ
TCFDの提言では、2℃以下を含む複数シナリオを踏まえて、自社の戦略のレジリエンスについて説明することを推奨しています。当社では気候関連リスク・機会を考慮するため、当社グループの事業を対象にシナリオ分析を行いました。シナリオ分析の概要は以下のとおりです。シナリオ分析及び当社のリスク・機会の特定・評価に係るプロセスは後述の「リスク管理」に示すとおりです。
出典機関 |
1.5-2℃シナリオ |
4℃シナリオ |
IEA(国際エネルギー機関) |
NZE2050 |
STEPS |
IPCC(気候変動に関する政府間パネル) |
RCP4.5 |
RCP8.5 |
[シナリオ選定理由]
●IEA NZE2050(1.5-2℃シナリオ 移行リスク)
GHG排出のメインはエネルギー消費となるため、参考にできるIEAを選定。
●IPCC RCP4.5(1.5-2℃シナリオ 物理リスク)
気象条件に関する標準的な参照資料とされているIPCCの報告書のうち、物理リスクの分析シナリオに対応するものを選定。
●IEA STEPS(4℃シナリオ 移行リスク)
GHG排出のメインはエネルギー消費となるため、参考にできるIEAを選定。
●IPCC RCP8.5(4℃シナリオ 物理リスク)
気象条件に関する標準的な参照資料とされているIPCCの報告書のうち、物理リスクの分析シナリオに対応するものを選定。
・各シナリオにおいて想定される世界像
各シナリオでは以下のような世界観を想定しています。
1.5-2℃シナリオ(移行リスク大、物理的リスク小) |
パリ協定目標の達成に向けて、脱炭素のための社会政策・排出規制が強化され、気候変動への対策が進捗することで、21世紀末の地球の気温上昇を産業革命前と比較して1.5℃-2℃に抑えるシナリオです。政策や投資家、消費者といったあらゆる側面において脱炭素または低炭素を目指す動きが顕著になり、企業の気候変動対応が強く求められ、未対応の場合は競争優位性が低下する等の移行リスクが高まると想定されます。一方で、気候災害の高頻度化・激甚化については一定程度抑えられ、物理的リスクは相対的に低くなると想定されます。 |
4℃シナリオ(移行リスク小、物理的リスク大) |
十分な気候変動緩和対策が実現せず、温室効果ガス排出が増大し続け、21世紀末の地球の気温上昇が産業革命前と比較して4℃上昇するシナリオです。自然災害の激甚化の進行が顕著となり、海面上昇や異常気象が増加するなど、物理的リスクは高まると想定されます。一方、政策や資本市場・消費者において脱炭素に向けた取組みが停滞し、移行リスクは比較的小さく抑えられます。 |
・リスク、機会の特定及び対応策・戦略
当社は、脱炭素社会の実現に向かうための政策と法規制が強化される1.5℃-2℃シナリオと異常気象の激甚化による気候変動の物理的な影響が生じる4℃シナリオを踏まえて、リスクと機会を特定し、それらの事業への影響を以下のように評価しました。財務的影響については、前述の各シナリオを参照しながら定性的に評価を行いました。また、特定したリスクと機会に対し、当社は以下の取り組みを推進していきます。
[不動産事業]
分類 |
主なリスクと機会 |
当社の財務的な影響 |
期間 |
財務的インパクト |
対応策・戦略 |
||
4℃ シナリオ |
2/1.5℃ シナリオ |
||||||
移行 リスク |
政策と法 |
炭素税導入による課税の強化 |
販売価格の上昇により、販売数が減少 |
短期 |
小 |
中 |
GHG排出に関する目標設定・管理 |
省エネ政策による各種規制等の強化 |
規制対応のための開発コストの増加 |
中期 |
大 |
大 |
サプライヤーとの協業による省エネ性能の向上・販売戦略の強化 |
||
技術 |
再エネ・省エネ技術の進化・普及 |
新技術の開発や導入の費用が増加 |
中期 |
中 |
大 |
新技術やサービスに関する情報収集を行い、適宜新技術の開発や導入を実施 |
|
低排出技術移行に伴う対応の増加 |
新たな施策や導入に関する費用の増加 |
中期 |
小 |
小 |
専門人材の確保、組織・社内制度の構築 |
||
市場 |
脱炭素ニーズ拡大を背景とした関連サプライヤーによるサービス価格の上昇 |
ZEB/ZEH等の環境性能の高い物件開発や建築、改修/修繕コストの増加 |
中期 |
中 |
中 |
サプライヤーとの協業による価格の安定化 |
|
評判 |
風水害に強い立地の希少性が高まり、好立地の用地取得における競争激化 |
事業機会の損失による売上の減少 |
長期 |
大 |
大 |
立地選定及び同業他社との連携強化 |
|
気候変動に対応していない商品やブランド価値の低下 |
ブランド価値低下による物件販売価格及び賃料の低下に伴う売上減少 |
中期 |
小 |
中 |
新規開発案件に省エネ基準を設定、既存物件への省エネ基準の設備導入を検討 |
||
物理 リスク |
急性 |
風水害による建設中の物件の損傷、工期の長期化 |
建設関連費用の増加 |
短期 |
大 |
中 |
風水害に強い工法の採用、工事保険への加入 |
慢性 |
気温上昇による建設現場の生産性低下 |
建設期間の長期化に伴うコスト増加 |
中期 |
中 |
中 |
建設現場における労働安全配慮の管理を徹底 |
|
機会 |
資源の 効率 |
再エネの利用促進 |
外部調達する光熱費の削減 |
中期 |
小 |
小 |
オンサイト・オフサイトPPAの導入 |
製品及びサービス |
低排出設備・ZEB/ZEHマンションの需要増 |
売上の増加 |
中期 |
小 |
中 |
低排出な設備や再エネ電力の導入を推進 |
|
市場 |
公的支援スキームの活用 |
キャッシュアウトの削減 |
中期 |
中 |
中 |
市街地再開発事業等による事業拡大 |
|
住替え機会の創出 |
売上の増加 |
中期 |
中 |
小 |
ZEH/防災マンションの開発・推進 |
||
気候変動に対応した市場参加者の評価向上 |
企業価値の向上による調達機会、調達額の増加 |
中期 |
中 |
中 |
気候関連情報開示の充実 |
[エネルギー事業]
分類 |
主なリスクと機会 |
当社の財務的な影響 |
期間 |
財務的インパクト |
対応策・戦略 |
||
4℃ シナリオ |
2/1.5℃ シナリオ |
||||||
移行 リスク |
政策と法 |
環境アセスの厳格化や各種規制の強化 |
開発期間の長期化によるコスト増加 |
短期 |
小 |
中 |
各種規制に沿った事業の推進 |
技術 |
再エネ・省エネ技術の進化・普及 |
新技術導入のための費用増加 |
中期 |
小 |
小 |
新技術に関する情報収集の強化、発電設備の計画的導入 |
|
市場 |
省エネ競争激化による用地確保の難易度上昇 |
新規開発の停滞に伴う収益機会の縮小 |
短期 |
中 |
大 |
系統接続の可能な事業エリアの選定 |
|
評判 |
ブランド価値の低下 |
顧客の減少及び資本へのアクセス制限等による収益の縮小 |
短期 |
小 |
小 |
気候変動においても堅実な対応をとることによりブランドイメージを維持 |
|
物理 リスク |
急性 |
自然災害による稼働中の発電設備の損傷 |
売電量の低下による売上減少、修繕費等のコスト増加 |
短期 |
大 |
大 |
レジリエントな設計思想の導入、ハザードマップ活用によるリスク把握、利益保険の付保、修繕費用の積み立て |
慢性 |
異常気象の恒常化による稼働中設備の故障率増加 |
修繕費の増加 |
長期 |
中 |
中 |
気候変動に対応した設計思想の導入・製品基準の選定 |
|
機会 |
政策と法 |
再エネ普及の拡大・促進する法制度の整備 |
開発の速度と量に好影響 |
中期 |
小 |
大 |
資産拡大に向けた資金確保と人員補強 |
資源の 効率 |
再エネの自社利用 |
外部調達する光熱費の削減 |
短期 |
小 |
小 |
開発用地の選定と資金確保 |
|
製品及びサービス |
気候変動対応の技術・製品開発 |
安価な技術開発による設備投資費用等の減少 |
中期 |
小 |
中 |
新技術に関する情報収集の強化、発電設備の計画的導入 |
|
O&M事業の拡大 |
O&M売上の増加 |
中期 |
小 |
中 |
O&M事業の拡大に向けた設備投資と技術者の確保 |
||
市場 |
再エネ需要の拡大 |
新規開発・事業拡大による収益機会の増加 |
中期 |
小 |
大 |
市場調査及び新たなビジネスモデルの構築 |
|
再エネ投資の拡大 |
不動産事業との売上・収益シナジーの創出 |
短期 |
小 |
中 |
再エネ・不動産への知見がある人材によるPJチームの組成 |
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グリーンファイナンスの活用 |
企業価値向上による株価上昇、金融コストの削減 |
短期 |
中 |
中 |
グリーンファイナンスに関する人材確保 |
③ リスク管理
当社が気候変動関連のリスクを管理するプロセスは以下のとおりです。
1.リスクと機会を特定、評価するプロセス
気候関連課題に関する重要なリスクと機会については、サステナビリティ委員会において議論され、気候変動対応に係る執行責任者は、年に1度、気候関連のリスクと機会の特定及び評価のために、社内の担当者を招集し、関連リスク・機会の洗い出しを行います。
2.リスク管理するプロセス及び全社的なリスク管理プログラムへの統合
気候関連課題に係る最高責任者は、サステナビリティ委員会において特定、評価された事業・財務計画上重要な気候関連リスクについて、管理担当者または部署を指定し、その対策立案を指示します。
また、リスクの軽減管理または機会の実現に向けた取り組みに当たっては、可能な場合、関連するKPI(重要指標)を定義し、モニタリング及び目標設定を行うことを試みるものとします。
気候変動対応に係る執行責任者は、各取り組みの進捗、KPIについて、年に1度以上その状況を取りまとめ、サステナビリティ委員会に報告します。
また、気候変動対応に係る最高責任者は、事業・財務計画上重要な気候関連リスクを、既存の全社リスク管理プログラムにおいても可能な範囲で考慮するよう指示し、リスク特定・評価・管理プロセスの統合を図ります。
④ 指標と目標
当社はリスクと機会を管理、モニタリングするために重要な指標(KPI)と目標を設定しています。設定した指標と目標は以下のとおりです。
・温室効果ガスの排出量
1.2050年ネットゼロの実現
[長期目標]
2050年度までに当社グループ全体のScope1・2及び3※1排出量をネットゼロ。
2.温室効果ガス排出量の削減
[中期目標]
2030年度までに当社グループ全体のScope1・2及び3排出量を2022年度比で45%削減。
Scope1・2排出量を2030年までに2022年度比で70%削減[SBT認定]
Scope3排出量※2を2030年までに2022年度比で45%削減[SBT認定]
<温室効果ガス排出量削減目標と実績>
(単位:t-CO2)
|
2022年度 |
2023年度 |
2030年度 |
基準年度 |
実績 |
目標[SBT認定] |
|
Scope1+Scope2 |
3,593 |
2,191 |
1,078 |
- |
(△39.0%) |
(△70.0%) |
|
Scope3 |
616,368 |
587,132 |
339,002 |
- |
(△4.7%) |
(△45.0%) |
※1 Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(都市ガス等燃料の燃焼)。
Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出。
Scope3:Scope1,2 以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)。
※2 Scope3排出量については、カテゴリー1(購入した商品及びサービス)、カテゴリー2(資本財)及びカテゴリー11(販売商品の使用)を対象としております。
2030年度目標は、国際的な気候変動イニシアチブであるSBTi(Science Based Targets initiative)より、科学的根拠に基づいた「SBT(Science Based Targets)」の認定を取得しています。
なお、各種パフォーマンス指標の実績はサステナビリティサイト上で順次開示予定です。
https://mirarth.co.jp/sustainability/environment/data/
(3) 人的資本
当社グループは、パーパス「サステナブルな環境をデザインする力で、人と地球の未来を幸せにする。」の実現に向け、経営戦略の重要な基盤として人的資本戦略を位置づけています。長期ビジョン達成のために私たちが目指す「あるべき姿」と、人的資本における「リスクと機会」を踏まえ、具体的な「人材戦略」及び「指標・目標」を設定しています。これらの戦略を通じて、人材育成と働きがいのある環境構築を推進し、経済価値と社会価値の双方を創造することで、持続的な価値向上を目指します。
<人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針>
当社グループは、事業領域や事業エリアの拡大に伴い、従業員に求められるスキルや適性も多様化しております。ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進により、新卒・中途採用を問わず、優秀な人材確保に努めてまいります。階層別研修の拡充や適正な評価・報酬制度の運用により、強固な組織体制を構築するとともに、人的資本への積極的な投資を引き続き行ってまいります。また、リモートワーク環境の整備や地域限定社員制度の導入など働き方改革を推進することで、従業員の幸福度を高めると共に企業価値を向上させてまいります。
<人材育成方針>
パーパスの実現に向け、高いビジネス基礎力と信頼される人格を持ち、自らが率先してチャレンジすることでチームを目標達成へ導ける人材の育成を目指します。
当社グループは、従業員一人ひとりが未来に向けた持続的な成長を共に創造する存在であるという考えのもと、人事制度を運用しています。
㈱タカラレーベンでは、変化する時代への対応とパーパスに基づき、経営計画達成に必要な人材を安定的に生み出す新人事制度に改定しました。
新制度では、昇格昇給に関わる行動評価において、パーパス・バリューズに基づく評価項目とし、体現する従業員を評価できる評価基準に設定することで、従業員の自己成長と働き甲斐の創出を目指します。
また、ベースアップはもとより、転勤する従業員へのサポートとして転勤手当や寒冷地手当を新設するなど、安心して働ける環境の構築も推進しています。併せて、昨今の物価上昇や政府方針に基づき平均3.3%(定期昇給分を含む昇給率は9.8%)の賃上げを行い、従業員が安心して就労できる環境構築に努めるとともに、従業員のエンゲージメントの向上とタカラレーベンの企業競争力強化を図っていきます。
<人事制度基本方針>
経営計画達成に必要な人材を安定的に生み出す人事制度
・パーパスに基づき策定したバリューズを軸とした、会社が求める人材像を明確に打ち出し、従業員がキャリアビジョンを描ける仕組みの構築
・適正な人件費配分による優秀な人材の獲得・定着とモチベーション向上
・優秀な管理職人材を生み出すための教育と選抜の実施
・期中での評価者と被評価者の面談を義務付けることによる公平性・透明性の高い評価・処遇の実行による従業員の納得感と成長意欲の向上
また、従業員一人ひとりの成長と組織としての総合力の向上を目指し、以下のとおり、教育研修基本方針を定め、さまざまな研修を実施しています。
<教育研修基本方針>
・ビジョンに基づく育成だけでなく、一社会人としてステークホルダーに対し誇れる人材の育成
・各従業員が、自己成長感を覚え、キャリアデザインを構築できるプログラムの実施
・人事評価制度と連動した、階層ごとに必要となる指導育成力、組織管理力等、組織や仕事のマネジメント能力の向上
・各業務の遂行に必要な専門知識、技術等、業務処理能力の習得
<人的資本戦略の全体像>