2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    3,682名(単体) 11,517名(連結)
  • 平均年齢
    43.4歳(単体)
  • 平均勤続年数
    22.0年(単体)
  • 平均年収
    7,997,380円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

(2025年3月31日現在)

 

交通業

(人)

不動産業

(人)

生活サービス業

(人)

全社

(人)

(人)

6,760(572)

1,763(657)

2,500(4,446)

494(19)

11,517(5,694)

(注) 1 従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しています。

2 当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しています。詳細は、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等〔注記事項〕(セグメント情報等)」に記載のとおりです。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

(2025年3月31日現在)

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

3,682

43.4

22.0

7,997,380

 

交通業

(人)

不動産業

(人)

生活サービス業

(人)

全社

(人)

(人)

2,956

145

87

494

3,682

(注) 1 従業員数は就業人員です。

2 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでいます。

 

(3)労働組合の状況

労使間において、特記すべき事項はありません。なお、提出会社の労働組合の名称および組合員数は、次のとおりです。

(2025年3月31日現在)

 

名称

組合員数(人)

上部組織

小田急労働組合

3,173

日本労働組合総連合会・日本私鉄労働組合総連合会

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

当事業年度

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業取得率(%)

(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

6.5

90.1

65.2

79.3

74.7

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

3 人事制度(給与・昇格等)において性別による差異はありません。また、深夜労働を伴う職種における女性の採用が2000年代以降に可能になったため、男性の平均勤続年数が比較的長くなっています。女性管理職比率の向上に関する取り組み等については、「第2 事業の状況」の「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4) 人的資本・多様性」に記載しています。

 

② 連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める

女性労働者の割合

(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業取得率

(%)

(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

㈱小田急箱根

0.0

60.3

78.5

56.0

江ノ島電鉄㈱

0.0

100.0

34.5

83.6

102.1

小田急バス㈱

80.0

75.5

83.7

70.8

立川バス㈱

3.8

100.0

69.0

87.4

30.6

小田急ハイウェイバス㈱

25.0

㈱江ノ電バス

0.0

0.0

48.7

80.2

48.9

㈱東海バス

0.0

61.9

61.0

105.5

㈱小田急エンジニアリング

14.3

小田急不動産㈱

14.4

66.7

56.6

72.4

25.8

㈱小田急ハウジング

4.5

㈱小田急SCディベロップメント

100.0

㈱小田急ビルサービス

4.2

50.0

48.7

77.3

65.3

㈱小田急百貨店

10.2

28.6

41.9

71.5

57.0

小田急商事㈱

2.2

40.0

56.9

74.3

103.6

㈱小田急リゾーツ

10.0

100.0

63.2

71.6

66.5

㈱ホテル小田急サザンタワー

14.3

100.0

㈱小田急レストランシステム

11.1

100.0

56.7

77.6

90.1

ジローレストランシステム㈱

0.0

46.6

74.1

93.2

㈱小田急エージェンシー

200.0

箱根プレザントサービス㈱

71.1

86.0

92.6

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

  なお、「※」は育児休業等の対象となる男性労働者がいないことを示しています。

3 人事制度(給与・昇格等)において性別による差異はありません。

4 「-」および記載のない連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)および「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき選択公表をしていない、もしくは公表義務の対象ではないため、記載を省略しています。

 

 

③ 連結会社

当連結会計年度

管理職に占める

女性労働者の割合

(%)

男性労働者の

育児休業取得率

(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

8.6

76.5

41.3

72.5

77.2

(注) 連結会社における各指標の数値は、提出会社および連結子会社を合計して算出したものです。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) サステナビリティ全般

当社グループは、経営理念を「お客さまの“かけがえのない時間(とき)”と“ゆたかなくらし”の実現に貢献します。」と定めています。環境や社会の持続性に配慮しながら継続的な企業成長を目指す「サステナビリティ経営の推進」はその根幹を成すものです。経営計画体系において、経営ビジョン「UPDATE 小田急」の上位概念となる不変の考え方として「サステナビリティ経営の推進」を位置付けることで、6つのマテリアリティ(重要テーマ)を経営の中心に据え、社会課題の解決を通じた持続可能な成長を実現していきます。

 

マテリアリティ

1.安全・安心

・安全・安心を最優先した公共交通サービスの提供

・誰もが安心して暮らせる社会の追求

2.まちづくり・地域社会

・職,住,商,学・遊、ウェルネスを兼ねそなえたまちづくりの実現

・地域資源を活かしたまちの発展

3.日々のくらしと観光体験

・テクノロジーを活用したゆたかなライフスタイルの推進

・その地域ならではの観光体験の提供

4.環境(カーボンニュートラル)

・省エネ、再エネ、電動化、地域との連携による脱炭素社会の実現

・「Beyond Waste」を目指した資源循環社会の実現

5.人的資本の強化

・すべての社員が自分らしく働ける企業風土の醸成

・持続的な成長を実現するための価値創造型人財の育成・配置

6.ガバナンス

・すべてのステークホルダーの期待に応える最適なガバナンス体制の

実現

 

① ガバナンス

当社グループは、環境や社会の持続性に配慮しながら事業の継続・発展を実現するサステナビリティ経営をグループ全体で浸透・推進するとともに、お客さま・社会・市場・従業員等のさまざまなステークホルダーとの強固な信頼関係の構築を通じて企業価値の向上を実現します。

そして、サステナビリティ推進に関する施策の企画立案や推進等に関する事項の協議や推進指標の設定・進捗確認等を行う機関として、サステナビリティ担当執行役員が委員長を務めるサステナビリティ推進委員会を設置しています。取締役社長は同委員会から報告を受け、目標に向けた進捗状況やリスク・機会等を監視するとともに、それらの内容は執行役員会、取締役会にも報告され、協議のうえ、必要により指示を出すことにしています。同委員会で協議した事項は、当社各部・室および当社グループ全体で共有・連携を図り、取り組みを推進します。

 

(サステナビリティ推進委員会体制図)

② 戦略、指標及び目標

外部環境の変化や当社グループの事業特性等を踏まえ、以下のようにリスク・機会を整理しています。

 

リスク

機会

 ・少子高齢化による沿線人口・生産年齢人口の減少

・自然災害による事業影響

・物価の上昇や金利の上昇

・適正な労働力確保に対する懸念

・ライフスタイルの変化やデジタル化による

 各事業の利用者減少

・サイバー攻撃による情報漏洩や人権侵害等の

 企業不祥事による社会的信頼の棄損

・安全に対する信頼の棄損

・交通弱者の増加に伴う公共交通の利用ニーズ拡大

・デジタルの活用によるリアルサービスの質的転換、

 価値向上

・地域の社会課題解決を通じた事業領域の拡大、

 居住エリアの役割の多様化

・サステナビリティ意識の高まり

 ・インバウンドの大幅な伸び

 

 

 

当社グループは日本屈指の観光地や中核都市を複数持ち、さまざまな需要回復の影響を大きく享受することが期待できるほか、一定の人口を持つ都市が集積する小田急沿線は、多様な地域特性を有するがゆえに数多くの社会課題が存在しており、これらをビジネスとして解決することで新しい事業機会につなげるとともに、個性を持ったまちの形成を通じて新たな価値を創出していきます。

なお、マテリアリティとして選定した各項目において向き合う主な社会課題は以下のとおりです。これらの社会課題を解決することを通じて、マテリアリティの実現、ひいてはサステナビリティ経営の推進につなげます。

 

 

サステナビリティ経営の推進においては、さまざまなステークホルダーとの健全かつ建設的な関係性の構築が不可欠です。小田急グループでは、すべてのステークホルダーに対する人権尊重へのコミットメントとして「小田急グループ人権方針」を制定しています。これを基盤に、人権・サステナビリティに配慮した調達・サプライチェーン構築を行うための「小田急グループ サステナブル サプライチェーン方針」を制定しているほか、従業員への還元や取引先への配慮を中心とした収益・成果の適切な配分に対する姿勢を明記した「マルチステークホルダー方針」、従業員が安全に、また安心感ややりがいを持って働き続けられる環境を維持・確保するための「カスタマーハラスメント対応方針」、社会規範や企業理念を理解し、良識と責任を持って行動することを定めた「腐敗行為防止方針」等を制定し、それぞれの方針に基づく運用を行っています。とりわけ、人権リスクを網羅したリスクシナリオによるリスクマネジメント活動への反映、「ビジネスと人権」に関する役員および従業員の幅広い階層を対象にした教育・研修、サステナビリティアンケートの実施をはじめとする取引先とのコミュニケーション等を中心に、人権対応の取り組みを強化しています。

 

③ リスク管理

地域価値創造型企業として地域に価値を提供し続けるために、環境変化を的確に捉え、社会課題を解決していくことが求められています。サステナビリティ推進委員会の事務局となる経営戦略部が主体となって、マテリアリティの進捗状況を確認し、その見直しを検討するなかで、各部・室、グループ会社と連携してリスク・機会に関する精査を行い、検討内容を同委員会で協議するとともに、必要に応じて取締役会・執行役員会および取締役社長に報告します。

 

 

(2) 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)

当社グループでは気候変動問題を含む環境対応は重要な経営課題として位置づけ、2021年9月に「小田急グループ カーボンニュートラル2050」を策定するとともに、TCFDへの賛同を表明しました。また、これらに基づきカーボンニュートラルへの取り組みを進めるとともに、当社グループの「TCFD提言に基づく情報」を取りまとめました。なお、リスクと機会については、交通業、不動産業、生活サービス業のすべての事業を対象に分析を行いました。今後もTCFD提言に基づく情報開示を進めるとともに、気候変動問題等の環境対応に積極的に取り組みます。

 

① ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティ担当執行役員が委員長を務めるサステナビリティ推進委員会を設置しています。その中で、環境長期目標を含めた行動指針「小田急グループ カーボンニュートラル2050」推進に関する事項の協議および気候関連のリスク・機会についての特定等を行っています。

また、取締役社長は同委員会から報告を受け、目標に向けた進捗状況やリスク・機会等を監視するとともに、それらの内容は執行役員会、取締役会にも報告され、協議のうえ、必要により指示を出すことにしています。同委員会で協議した事項は、当社各部・室および当社グループ全体で共有・連携を図り、取り組みを推進しています。

 

② 戦略

 ア リスクと機会

当社グループにおいて交通業、不動産業、生活サービス業の重要なリスクおよび機会について分析した結果は次のとおりです。なお、気候変動がもたらすリスクは、TCFD提言に合わせて、低炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク、主に1.5℃シナリオ※1)と物理的な影響に伴うリスク(物理的リスク、主に4℃シナリオ※1)に分類し、検討しました。分析においては、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)、IEA(国際エネルギー機関)等のシナリオを参照しました。

 

 

 イ リスク・機会への対応

当社グループでは、重要なリスク・機会に対し「小田急グループ カーボンニュートラル2050」とともに、以下の表のとおり対応しています。

 

対応策

移行リスク

省エネ車両・設備の導入/新規物件への先進技術導入/EV・FCVバスの導入/再生可能エネルギーの更なる導入

物理的リスク

異常気象時における施設への安全対策/災害時避難や復旧に備えた体制の確立/防災訓練の実施

機会

回生電力の更なる有効活用/グループ交通網の再エネ100%化等環境優位性のPR/シームレスかつ利便性の高いMaaSの推進/サステナブルなライフスタイルの提案/ウェイストマネジメント事業「WOOMS」の推進

 

③ リスク管理

「小田急グループ カーボンニュートラル2050」の実現に向けて、サステナビリティ担当執行役員が委員長を務めるサステナビリティ推進委員会においてCO2排出量を削減するための施策の計画・立案・進捗管理を四半期に1回程度行っています。また、戦略において特定した気候変動によるリスクと機会について、分析内容の更新や取り組みの進捗を同委員会で協議するとともに、必要に応じて取締役会・執行役員会および取締役社長に報告します。協議した事項は、当社各部・室および当社グループ全体で共有・連携を図っています。

なお、自然災害等発生したリスクに対しては、危機管理規則および事業継続計画(BCP)に基づき対応を行います。これらはリスクマネジメント担当執行役員が委員長を務めるリスクマネジメント委員会にて定期的に見直しを図り、レジリエンス強化に努めています。

 

④ 指標及び目標

「小田急グループ カーボンニュートラル2050」の中で環境長期目標を設定しています。

 

<環境長期目標>

小田急グループは2050年度CO2排出量実質「0」をめざします。

その達成に向け2030年度CO2排出量△50%(2013年度比)をめざします。

※ 2024年度からのグループ鉄軌索道の完全再エネ化に伴い、2030年度目標を達成しました。

 

 

 

 

 ※ 2024年3月、CO2排出量算定において調整後排出係数使用に変更するとともに、環境長

 期目標の対象会社をすべての連結子会社へ拡大し、基準年度(2013年度)から再集計しまし

 た。

※ 構造変化(2024年4月1日UDS㈱および沖縄UDS㈱の連結除外)を、基準年度(2013

 年度)以降のCO2排出量に反映しました。

 

 

(3) 自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)

当社グループでは、地域および当社グループの持続的成長を実現させていくためには、事業と自然環境との関連性を把握し、事業リスク、機会の把握およびそれらの対応に取り組むことが重要であると考え、2025年3月に自然資本と事業との関連性やリスク、機会を評価し開示するためのフレームワークを提供している「TNFD提言に沿った情報」を開示しました。

 

① ガバナンス

ア サステナビリティ推進体制

当社グループにおけるサステナビリティ推進体制は、マテリアリティ推進体制およびTCFD

で開示している通り、サステナビリティ担当執行役員が委員長を務める「サステナビリティ推進

委員会」が社内関係部門・グループ各社と連携するという体制になっています。事業と自然との

依存、影響関係および、それらに紐づく自然関連リスク、機会においても、同様にサステナビリ

ティ推進体制に基づき管理されており、取締役社長は同委員会から報告を受け、目標に向けた進捗状況やリスク・機会等を監視するとともに、それらの内容は執行役員会、取締役会にも報告され、協議のうえ、必要により指示を出すことにしています。同委員会で協議した事項は、当社各部・室および当社グループ全体で共有・連携を図り、取り組みを推進しています。

 

イ ステークホルダーに対する方針

サステナビリティ経営の推進には、さまざまなステークホルダーとの健全かつ建設的な関係性の構築が不可欠です。人権尊重へのコミットメントとして「小田急グループ人権方針」を策定するとともに、人権尊重・サステナビリティに配慮した調達・サプライチェーン構築を行うため「小田急グループ サステナブル サプライチェーン方針」を策定しています。これらの方針は、当社グループの従業員、お客さまや地域のみなさまを含め、当社グループ事業に関わる取引先を含めたサプライチェーン全体に適応されます。各方針の遵守を通じて、すべてのステークホルダーの人権尊重およびグリーン調達の取り組みを推進しています。

 

② 戦略

事業活動により自然環境に与えるネガティブな影響を最小化し、ポジティブな影響を最大化す

るためには、事業と自然との関わり、関連するリスク、機会を把握する必要があります。そこで、2024年度よりTNFDフレームワークに沿って当社グループセグメントごとの依存、影響度およびリスク、機会の特定、評価を実施しています。2024年度における分析は、当社グループの事業と自然との関連性を網羅的に把握するために、主要セグメントである交通業、不動産業、生活サービス業および、これら事業の調達品生産、製造過程(上流)を対象としました。生活サービス業は多様な事業を含むため、飲食料や衣類などの調達品の観点で自然との関連性が強いと想定された百貨店業、ストア・小売業、ホテル業、レストラン飲食業を対象としました。TNFDフレームワークで自然関連課題の評価を行う分析手法として推奨されている、LEAPアプローチに沿って自然資本との関連性およびリスク、機会を分析、評価しています。

 

(LEAPアプローチ)

ア 自然資本への依存、影響項目の把握

事業と自然との接点の把握においては、TNFDで推奨されている分析ツールの1つであるENCORE※1を用いて評価しています。分析結果を踏まえ、交通業、不動産業では、重機等を用いる建設やメンテナンスのプロセスが自然への影響が大きく、生活サービス業では食品や飲料などの調達物生産過程が自然への依存が大きいと認識しています。

※1 ENCORE:国連環境計画世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC)

  他が開発した、経済活動と自然との関わりである依存、影響関係を分析するツール(2024年

  6月分析)

 

「自然資本に関連する事業プロセスの特定とヒートマップ評価」の詳細はHPをご確認ください。

https://www.odakyu.jp/sustainability/carbon-neutral/tnfd/

 

ENCORE分析の結果から、特に依存、影響度が大きい(High、Very High)と評価された

項目を、当社グループの事業が依存している重要な自然資本および、事業を通じて自然に及ぼす重要な影響と評価しました。重要な依存、影響項目と当社グループ事業の関係性をまとめた結果は、以下の図に示す通りです。

 

(当社グループ事業における生物多様性と自然資本との関わり)

 

イ 優先地域

TNFDにおける優先地域とは、自然の脆弱性が高く、生物多様性にとって重要な「要注意地

域」および、事業にとって重要な自然への依存、影響、リスク、機会が存在する「マテリアルな

地域」の集合とされています。

要注意地域を把握するため、自社操業拠点および鉄道路線を対象に地域分析を実施しました。

TNFDガイダンスを参考として、生物多様性の重要性、水ストレスの観点から分析を行いまし

た。生物多様性の重要性が高い地域は、IBAT※2、QGIS※3を用いて、操業拠点1km圏内および鉄道路線上に、生物多様性重要地域(KBA)および世界保護地域データベースに登録されている保護地域に位置しているかを分析しました。また、Aqueduct Water Risk Atlas※4を用いて、操業拠点の水ストレスを評価しました。

※2 IBAT(Integrated Biodiversity Assessment Tool):UNEP-WCMCなどが開発

  した生物多様性評価ツール

※3 QGIS:地理空間データを扱うためのGISソフト

※4 Aqueduct Water Risk Atlas:世界資源研究所が開発した水関連リスク評価のツール

 

分析の詳細はHPをご確認ください。

https://www.odakyu.jp/sustainability/carbon-neutral/tnfd/

 

分析の結果、生物多様性の重要性が高い地域として、神奈川県の箱根、江の島、大山、東京都の多摩川周辺に位置する鉄道や宿泊施設、レストランがKBAまたは保護区、あるいはその両方に位置していることを特定しました。一方で、国内拠点はいずれにおいても、水ストレスが高い地域には位置していないことを確認しています。

マテリアルな地域としては、自然資本である景観や緑地等を観光資源として活用しながら事業展開している箱根、江の島が該当すると考えています。

今後は、これら重要な優先地域を考慮して自然関連課題解決の取り組みを推進していきます。

 

ウ リスクと機会

 特定した依存・影響関係から想定される事業リスク・機会を検討した結果は次の通りです。なお、自然関連リスク・機会の特定にあたって、TNFDシナリオガイダンスを参照して当社グループ事業にとって重要な要素が将来的にどのように変化する可能性があるかを検討し、極端な二つの将来世界であるシナリオを想定しました。想定したそれぞれのシナリオでどのようなリスク、機会が顕在化するのか、影響がどう変化するのかを評価しました。

 

参照:TNFDシナリオガイダンスv1.0

https://tnfd.global/wp-content/uploads/2023/09/Guidance_on_scenario_analysis_V1.pdf?v=1695138235

シナリオ①:保全推進シナリオ(気候変動や自然保全に関する規制が進み、市場の関心も高ま

            った結果、自然劣化が抑制され、当社グループでも自然関連課題に対する取り組

            みを促進する。)

シナリオ②:劣化進行シナリオ(気候変動や自然保全に関する規制は既存の取り組み以上に発

            展せず、市場の関心も薄い結果、自然劣化が進み、当社グループの取り組み状況

            も発展しない世界)

 

 

 

(リスク・機会一覧)

 

リスク、機会の検討を通じて、自然劣化が進行することで箱根や江の島など観光地で展開している事業がリスクに晒されることが分かり、要注意地域にも該当する地域であることから、これら操業地域での事業の重要性が高いと捉えています。当社は環境ビジョンの取り組みの一つとして自然資源の保全・活用を掲げており、植林や美化清掃活動を通じた土地再生への貢献や、環境保全活動への寄付など、優先地域における自然保全活動の取り組みを進めており、持続可能な共生圏を目指しています。今回特定したリスク、機会の対応策については、今後グループ全体の事業戦略で検討すべき事項と認識しています。

 なお、影響項目である「気候調節機能」「GHG排出」に紐づくリスク、機会は「(2) 気候関連財務情開示タスクフォース(TCFD) ② 戦略」に記載のとおりです。

 

③ リスクと影響の管理

当社グループでは、「小田急グループリスクマネジメント方針」に基づき「リスクマネジメント委員会」を軸とした推進体制を構築し、自然関連課題も含めた事業のリスクの洗い出しや個別リスクへの対応を行うとともに、主要なグループ会社で構成する「小田急グループ・リスクマネジメント連絡会」を通じて情報共有や連携を図っています。当社グループのリスクマネジメントの基本原則としては、リスクを把握し顕在化を防止する未然防止と、リスク発生時の対応を検討する事業継続活動という2つのステップにおいて、適切な意思決定を行い、実行することとしています。特に未然防止ステップでは、毎年グループ全体で統一的な手法によって重要なリスクを洗い出し、対策の実行、見直しというマネジメントシステムを導入しています。

サステナビリティ関連課題は、サステナビリティ担当執行役員が委員長を務める「サステナビリティ推進委員会」において審議されています。自然関連課題特定のため、直接操業およびサプライチェーンの上流工程のうち、調達品生産、製造過程対象として、外部ツールを活用して事業と自然との接点である依存、影響関係の評価を行っています。自然関連のリスク、機会については、関連する依存、影響項目の評価結果、生物多様性にとって重要な地域であるか、事業規模、発生可能性などの情報を元に、定性的に評価しています。自然関連課題の分析内容の更新や取り組みの進捗は、その他のサステナビリティ課題とともに同委員会で審議しており、必要に応じて取締役会、執行役員会および取締役社長に報告します。審議した事項は、当社各部・室および小田急グループ全体で共有・連携を図っています。

④ 指標と目標

TNFDが開示を推奨しているグローバル中核指標に基づいて、自然関連の依存・インパクトに関して、当社グループでは下記の自然関連指標・目標を選定しています。また、水質や土壌の汚染につながる物質量は、法規制を遵守して管理しています。

今後、その他の指標についても、特定した依存、影響、リスク、機会の内容を踏まえ、当社グループが管理すべき自然関連指標を引き続き検討し、情報把握および目標設定に努めていきます。

 

(4) 人的資本・多様性

① 戦略

 <人財に関する基本的な考え方>

 当社グループでは、経営ビジョンの実現に向けたマテリアリティの一つとして「人的資本の強化」を選定しています。また、中期経営計画において、「労働人口の減少を見据えた構造改革の推進および人財確保」「働きやすさ・働きがいの向上」「成長領域への重点的な人的投資」「次世代経営人財の計画的育成」の4つを人的資本の拡充の重点課題と設定し、各種施策を推進しています。

重点課題を踏まえた戦略的な人的資本の投下を進め、従業員エンゲージメントと労働生産性の向上を通じて事業成長を目指すとともに、従業員エンゲージメントと労働生産性の向上施策については、定期的なモニタリングを通じて視覚化し改善を進めていきます。

 

 <人財マネジメントポリシー>

 

価値創造型人財

小田急で働くすべての人が「UPDATE 小田急」につながる新しい価値を創造していく

大切にしたいこと:

・自分の仕事を通して地域に「価値」を生み出していくこと

・「価値」とは、お客さまや共に働く仲間たちの心を動かし、会社やビジネスパートナーの発展に寄与し、そして地域とともに自分自身の成長を生み出していくこと

              

多様かつ持続的に価値の総和が積みあがることで、

「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業に向けて~」の実現につながっていく

 

価値創造型人財の行動原理:

地域に新しい価値を生み出す人財とは?

1.「顧客とは?社会とは?」を自分ごととして問い続け、自ら学び続ける

2.顧客や社会にとっての価値を内部のみではなく、外部に積極的に発信して、共鳴、共感を得る

3.自前主義、委託主義を脱却し、最適なパートナーとともに、多様な視点から共創し、価値を創造していく

 

 

 

重点課題①労働人口の減少を見据えた構造改革の推進および人財確保

・私鉄業界トップの労働生産性を目指し、人財投資を推進(当社実績)

当社鉄道事業における持続可能な運営体制(要員体制2035年度△30% ※2020年度比)を構築していくほか、2023年度から3ヵ年通算で年収ベースを約18%引き上げるなどの施策を実施しています。

例:2025年春闘では、組合要求に史上初の満額回答

 年収最大150万円以上増加(2022年度比・モデル年収)

 管理職は、最短31歳で年収1,000万円を実現

 

重点課題②働きやすさ・働きがいの向上

・エンゲージメントサーベイを活用した施策の実施

グループ独身寮の新設等の福利厚生の充実、食事補助の拡充および現業施設等の職場環境の改善を進めていきます。

 

・働きやすい環境づくり

当社では、多様な人財が仕事と家庭を両立しやすい環境を整えるために、法定を上回る内容でさまざまな両立支援制度を導入し、制度の理解・浸透・活用促進を進めています。

 

 (主な両立支援制度)

育児

育児休業:最長で子が3歳に達するまで、最大6回に分割して取得可能

育児短時間勤務:小学校4年を終了するまで取得可能

配偶者出産休暇:5日間の有給休暇を付与 等

介護

被介護者1人につき、連続休業、指定日休業、短時間勤務を最大3年取得可能 等

治療

休務・休職制度

がん等の治療短時間勤務、セルフケア休暇 等

啓発・

その他

監督者向けD&I・両立支援研修

育児者向けセミナー・介護者向けセミナー

妊活・産婦人科・小児科相談窓口の整備、情報発信 等

 

 (2024年度の数値効果)

女性育児休業取得率

100.0%

配偶者出産休暇取得率

93.0%

年次有給休暇取得率

90.2%

自己都合離職率

1.9%

入社3年後定着率(新卒)

88.9%

 

・継続的な男性育児休業取得と女性活躍の推進

当社では、女性活躍推進に関する数値目標を設定し、その実現に向けて取り組んでいます。高い男性育児休業取得率および取得日数を実現しているほか、2021年4月に初の女性執行役員登用後、2023年4月には女性グループ会社社長就任、2024年6月には女性取締役登用など、今後も女性のキャリア促進に積極的に取り組みます。

 

 (男性育児休業取得に関する実績・目標)

 

2023年度実績

2024年度実績

2030年度目標

男性育児休業取得率

92.0%

90.1%

100.0%

男性育児休業取得日数(平均値)

84.5日

82.0日

 

 (女性活躍に資する風土づくり施策)

プレママ面談

産休前に、休業中の過ごし方や復職後の働き方について考える目的で、本人・上司・人事部の三者で面談を実施しています。

育休者懇談会

復職セミナー

スムーズな復職や仕事と育児の両立に向けて、育休者同士や先輩社員との交流等の機会を設けています。

女性活躍セミナー

ライフイベントを経ても意欲的に働き続けることを目指し、セルフマネジメントを学ぶワークショップや各種啓発施策等を開催しています。

 

・若年層支援

若年層を中心とした処遇改善のほか、入社後の独身寮でのフォロー体制や帰省交通費支援制度等の社会的・経済的な自立支援を行うなど、優秀な人財の獲得と定着に向けた取り組みを継続的に推進しています。

 

・人権の尊重

小田急グループ人権方針を踏まえ、階層別研修において講義を行うなど、人権に関する教育機会の充実を図っています。

 

・社内コミュニケーションの強化

年度計画の策定を所属員全員参加型で行う「未来創造会議」をはじめとした社員同士の対話の機会を多く設けています。

管理職を中心にコーチング研修を実施し、上司のコミュニケーションスキルの向上を図っているほか、すべての社員を対象に上司と部下のキャリア対話の機会を年1回以上設けていきます。

 

・多様な人財の活躍推進

当社では、さまざまな特性を持つ社員一人ひとりが力を発揮し活躍できる職場環境づくりに努めています。2003年に特例子会社㈱ウェルハーツ小田急を設立し、障がい者の社会参加・自立をサポートしています。

 

(障がい者雇用率)

2025年3月末 3.7%

※ 法定雇用率 2.5%(2025年3月末現在)

※ 法定雇用率は段階的な引き上げが見込まれています(2026年7月に2.7%を予定)

 

・健康経営の推進

当社では、社員や社員を支える家族が心身共に健康であることが個人の活力向上や組織の活性化を生み、企業の持続的な成長につながるものと考えることから、「健康管理から疾病を未然に防ぐための健康支援」に重点を置いた健康経営に積極的に取り組んでいます。

各健康経営施策を通じて、「アブセンティーイズム※1の低減」、「プレゼンティーイズム※2の低減」、「ワーク・エンゲージメントの向上」を実現し、安全で安定したサービスの提供につなげます。

※1 病欠

※2 職場に出勤しているが、何らかの健康問題によって業務の能率が落ちている状況

 

 

・価値創造行動の加速

当社では、社員の挑戦を引き出す制度として、新規事業のアイデア公募制度や労働時間の20%を所属部署とは異なる社内プロジェクトに参画できる制度を構築し、社員の自主性に基づく挑戦を促進しています。

既に新規事業5件が事業化されるとともに、これまで本社社員の約18%(延べ人数)が社内プロジェクトに参加するなど、継続的に成果が出ています。

 

 重点課題③成長領域への重点的な人的投資

・人財ポートフォリオの構築

グループの持続的な成長を実現しながら「地域価値創造型企業」を目指すために必要な事業領域ごとの人財像を明らかにしたうえで、育成や採用を通じて最適な人財ポートフォリオの実現を目指します。具体的には、不動産・ホテル・ストア・観光・デジタル領域毎に有資格者の育成、専業会社との人財交流等をKPIに設定します。KPI実現に向け、当社ではデジタル領域においてDX施策が企画・実行可能な高度スキルを有する人財の育成(2026年度末までに約520名)を行うほか、資格・役割に応じた各種研修も計画的・体系的に実施しています。また、金融機関や不動産専業会社の役員級・事業推進者等、外部からの専門人財や即戦力の採用を推進していきます。

 

・従業員のスキルアップ

事業運営上必要な資格の保有者を確保するとともに、自己啓発意欲を高め、従業員の能力開発に資することを目的として、「資格取得支援制度」を2012年度に制定しました。2023年度にはDX推進に向けてデジタル関連の対象資格を拡充するなど、社員へ学びの機会を提供しています。

 

 (当社資格取得支援制度 対象資格数)      (当社資格取得支援制度 申請数)

2012年度

2021年度

2023年度以降

 

2022年度

2023年度

2024年度

56資格

78資格

97資格

 

168件

170件

151件

 

重点課題④次世代経営人財の計画的育成

・モデルキャリアパスの策定

経営管理能力や事業の専門スキルが獲得できるモデルキャリアパスを策定するほか、モデルに基づく積極的な若手社員の登用等の配置や教育を実施していきます。

 

・部長クラスの意思決定力・組織マネジメント力向上

役員候補者である部長クラスは、トップビジネスリーダーに必要なスキルとマインドを獲得するための他流試合型研修プログラムを受講し、意思決定力・組織マネジメント力を高めるなど、経営人財候補の母集団を確保しています。

 

② 指標及び目標

 (女性活躍推進に関する当社グループの実績・目標)

 

2024年度実績

2030年度目標

2050年度目標

女性従業員(正社員)比率

14.8%

20.0%

35.0%

女性管理職比率

8.6%

15.0%

30.0%

男性育児休業取得率

76.5%

100.0%

100.0%

(注)1 当社および連結子会社を合計して算出したものです。

(注)2 男性育児休業取得率について、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉

    に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族

    介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号

    における育児休業等の取得割合を算出したものです。

 

 

 

 (女性活躍推進に関する当社の実績・目標)

 

2024年度実績

2030年度目標

2050年度目標

女性従業員(正社員)比率

9.8%

15.0%

35.0%

女性管理職比率

6.5%

12.0%

30.0%

男性育児休業取得率

90.1%

100.0%

100.0%

(注) 男性育児休業取得率について、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。