リスク
3【事業等のリスク】
当社グループでは、「小田急グループリスクマネジメント方針」に基づきグループ全体のリスクマネジメント体制を構築し、企業経営に重大な影響を与えるリスクの対策を検討・推進する取り組みを行っています。これらを通じて把握したリスクのうち、投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、次のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当報告書提出日現在において入手可能な情報に基づき当社グループが判断したものです。また、以下のリスクは当社グループのすべてのリスクを網羅したものではありませんのでご留意ください。
その他、気候変動がもたらすリスクについては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」にも記載しています。
(1)災害等
① 大規模な地震・津波の発生
大規模な地震等が発生した場合、当社グループの各事業において、人的被害、建物・設備が損傷するなどの直接的被害のほか、電力不足等による営業への制約、消費マインドの冷え込みによる収益の減少といった間接的被害により、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループの事業エリアの一部は東海地震に関する地震防災対策強化地域に含まれています。
当社グループでは、当該リスクへの対応策として、事業継続計画(BCP)の制定、建物・設備の耐震補強工事を推進するとともに、一部の駅において災害発生時の避難場所を示した案内や外国語案内の掲出、行政機関と連携した異常時対応訓練を行い、さらに、全ての駅・関係施設において災害備蓄品を整備するなどの諸施策を実施しています。
② 自然災害の発生
当社グループでは、集中豪雨および暴風等、大規模な自然災害が発生した場合、当社グループの各事業において、人的被害、建物・設備の損傷、被害箇所の復旧等に伴う費用の増大等のほか、列車運休等の営業上の制約、消費マインドの冷え込み等による収益の減少により、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクへの対応策として、防災計画に基づいた警戒体制、運行規制の徹底、各種構造物に対する防護工事や雨量計、風速計の設置、危険箇所への定点観測カメラによる監視等を実施しています。
③ 感染症の流行
当社グループは、鉄道・バス・商業施設等多数のお客さまが利用されるサービスを展開しています。当社グループの事業エリアにおいて、新型インフルエンザ等の感染症が大規模に流行した場合、施設を利用されるお客さまの減少や、従業員の感染が多発することで、鉄道の列車運行等の事業運営に支障をきたし、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクへの対応策として、事業継続計画(BCP)を制定し、マスクやアルコール消毒液等の備蓄、情報収集体制の構築等の諸施策を実施しています。
(2)事故等
① 事故等の発生
当社グループの各事業において、人為的なミスや機器の誤作動、テロ等の不法行為等によって大きな事故や火災等が発生した場合、人的被害や事業の中断等が生じるとともに、被害者に対する損害賠償責任や施設の復旧等に伴う費用が発生する可能性があります。また、顧客の信頼および社会的評価の低下により、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクへの対応策として、事業継続計画(BCP)の制定、リスク事案の共有、計画的な設備更新・点検、各種訓練・教育の充実等により類似事案の発生防止・対応力強化を図っています。
② 保有資産および商品の瑕疵・欠陥
当社グループが保有する資産に、瑕疵や欠陥が見つかった場合または健康や周辺環境に影響を与える可能性等が指摘された場合、改善・原状復帰、補償等にかかる費用が発生する可能性があります。また、当社グループにおいて販売した商品等について瑕疵や欠陥が見つかった場合についても、改善および補償等に伴う費用の発生や信用低下等に伴い当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクへの対応策として、構造物への法令に基づく各種検査、商品への衛生検査・表示検査・細菌検査、外部機関による監査等の諸施策を実施しています。
③ システム障害の発生
当社グループの事業は、コンピューターシステムや通信ネットワークといった情報システムに大きく依存しています。そのため、事業活動に不可欠なシステムやネットワークの安定稼働に必要な対策を実施していますが、コンピューターウイルス等の第三者による妨害行為、自然災害および人為的ミス等により重大な障害が発生した場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクへの対応策として、「小田急グループの情報システムにおける情報セキュリティ基本方針」を制定し、グループ全体で情報セキュリティに取り組んでいます。また、ネットワーク障害への耐性向上施策のほか、増加するサイバー攻撃に対して、情報セキュリティ体制の構築や、ファイアウォール等の設置、最新の脅威情報等を共有する取り組みを実施しています。
(3)コンプライアンス等
① コンプライアンス
当社グループでは、コンプライアンスを「法令、社内規則、社会通念等のルールを守るとともに、誠実に事業活動を実践していくための考え方およびその取り組み」と定め、推進していますが、これらに反する行為が発生し、社会的信頼を損なった場合には、法令等に基づく制裁や社会的制裁等により、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクへの対応策として、コンプライアンスアンケートの実施とその結果に基づく活動計画の策定・運用の推進、問題の早期発見・対応のためのコンプライアンス・ホットライン整備、各種研修やセミナーの充実等の諸施策を実施しています。また、ステークホルダーとの健全な関係性構築に向けて、人権尊重およびそれに配慮したサプライチェーン構築へのコミットメントである「小田急グループ 人権方針」「小田急グループ サステナブル サプライチェーン方針」を策定しており、今後、リスク対応、教育・浸透、取引先コミュニケーション等、方針に基づく具体的な運用を推進します。
② 機密情報管理
当社グループはクレジットカード事業を行っているほか、各種事業において顧客情報等の個人情報を含む機密情報を保有しています。機密情報については厳正に管理していますが、何らかの理由で情報の漏洩等の事態が生じた場合、損害賠償や信用の低下等により、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクへの対応策として、事業継続計画(BCP)を制定し、情報にかかる規程類やマニュアルの整備、セキュリティ対策、定期的な研修・資格取得支援等の諸施策を実施しています。
③ 情報開示
人為的ミス等により不適切な情報開示等があった場合、顧客の信頼および社会的評価の低下等により、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、それぞれの事業特性に応じた内部統制の整備、運用に努めることで、適時適切な情報開示に取り組んでいます。
(4)経営環境等
① 人財の確保
当社グループの事業は労働集約型の事業が多く、労働力として質の高い人財の確保が重要となります。そのため、優秀な人財を確保、育成し、働きやすい職場環境の確保と健全な労働環境の維持に努めていますが、これを達成できない場合、当社グループの事業展開が制約され、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクへの対応策として、採用WEBサイトの整備、中途採用や多様な採用手法の推進、36協定の順守や処遇改善、福利厚生の充実、業務のシステム化や見直しによる業務効率化等の諸施策を実施しています。
② 法的規制
当社グループは、鉄道事業法、道路運送法、大規模小売店舗立地法、建築基準法等の各種法令や排ガス規制をはじめとした公的規制のもとさまざまな事業を展開していますが、これらの法令・規制、特に東京都・神奈川県における諸制度の変更は当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、鉄道事業における運賃制度については以下のとおりです。
鉄道運送事業者は、旅客の運賃の上限を定め、または変更しようとする場合、国土交通大臣の認可を受けなければならないことが法定されています(鉄道事業法第16条)。
また、その上限の範囲内での運賃等の設定・変更ならびに特急料金等その他の料金の設定・変更については、事前の届出で実施できることとなっています(鉄道事業法第16条)。
当社グループでは、法改正等に適切かつ迅速に対応するため、定期的な法令改正情報の共有や法令改正に対応した各種研修・セミナーの充実等の諸施策を実施しています。
③ 金利の変動
当社グループは鉄道事業を中心に継続的な設備投資を行っており、借入金や社債等により資金を調達しています。よって、金利の変動および当社の格付の変更が、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、有利子負債に占める長期・固定金利の割合を高く保つことで、金利が大きく変動した場合でも支払利息が急激に増えることのないよう努めています。
④ 重要な訴訟
当社が当事者となる重要な訴訟はありませんが、通常の業務の過程において第三者から訴訟その他の法的手段を提起されたり、行政等から調査を受けたりする可能性があります。これらの対応の負担に加え、仮に当社に不利な判決、決定等が下された場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクを回避するために、訴訟リスクの低減や法務対応力強化に向けて、契約書様式の制定・活用や顧問弁護士との連携強化、法務教育の充実等の諸施策を実施しています。
配当政策
3【配当政策】
当社は、地域価値創造型企業として小田急沿線の地域とともに持続的に発展していくため、獲得した利益を積極的に再投資することで事業成長を実現し、財務健全性の維持と資本効率の向上に留意しながら、株主還元の充実に努めています。株主還元については、自己資本比率30%の確保を前提に、2023~2026年度の平均で、連結総還元性向40%以上を目標とした安定的な配当および機動的な自己株式取得を実施していくことを基本方針としています。
また、一事業年度における剰余金の配当については、株主総会決議による配当のほか、取締役会決議による中間配当を行うことができる旨を定款に定めており、中間配当および期末配当の年2回行うこととしています。
これらの方針に基づき、当期については、期末配当金として1株当たり19円(中間配当金11円を加えた年間配当金は1株当たり30円)としました。
なお、第103期の剰余金の配当は以下のとおりです。
決議年月日 |
配当金の総額(百万円) |
1株当たり配当額(円) |
2023年10月31日 |
4,020 |
11.00 |
取締役会決議 |
||
2024年6月27日 |
6,839 |
19.00 |
定時株主総会決議 |