2025年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)が判断したものです。

 

1.財務・経理リスク

  ①為替変動のリスク

  円と外国為替相場の変動により、外貨建資産・負債の円換算価値が変動した場合、及び当社グループにおいて海外製品の仕入を外貨建、もしくは円貨建で行っており、外貨建で仕入れを行っている製品の原価は為替レートに連動しているため大きく変動した場合、及び海外グループ会社の経営成績の邦貨換算結果の際に影響を及ぼす可能性があります。

 

②退職給付債務

当社グループの一部の会社の従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。これらの前提条件と実際の結果が異なることにより生じた差異は、数理計算上の差異として認識し、将来にわたり均等に償却することから、退職給付債務及び費用に影響を及ぼします。また、当社は退職給付信託を設定しており、上場株式の株価が下落した場合、年金資産の時価が減少し、未認識数理計算上の差異及び将来の償却費用が増加する等、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③資金調達コストの増加

当社グループは、金融機関からの借入や社債の発行等によって資金調達を行っており、市場金利の急激な変動や金融市場の混乱、格付機関による信用格付の大幅な引き下げ等の事態が生じた場合には、資金調達コストが増加し、経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

対策として、適切な水準の格付けを維持することで資金調達コストを低減するとともに、資金調達手段の多様化と期日の適切な分散、金利の固定化を通じ、金利変動リスクの低減に努めています。

 

④資産の処分損失および減損損失

当社グループは国内外に数多くの物流拠点を有しております。設備投資あるいは長期にわたる賃貸借契約にあたっては投資効果の算定、キャッシュ・フローの回収見込み等、長期的な観点から十分に検討したうえで実施しておりますが今後の経済動向、顧客企業の動向等により、当初計画よりも早期に処分、返還等を行い、一時的な損失が発生する、または減損損失が発生する等、経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤M&A、資本提携

当社グループは既存事業の規模拡大や新たな事業分野に進出する際、事業戦略の一環としてM&Aや資本提携等を行っております。しかしながら、買収後の市場環境の著しい変化、法的規制、予期せぬ費用増加等の影響により、当初期待された効果を出せない可能性があります。また、偶発債務の発生や未確認債務の判明等、事前の調査で把握できなかった問題が生じた場合等において、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

2.コンプライアンスリスク

①役職員による法令および社内規定遵守違反

 当社グループが展開する各事業は、それぞれの事業分野において法的規制を受けております。当社グループは、サステナビリティ経営に基づき、コンプライアンスを最重要課題として認識し、取り組みを行っておりますが、各種法令や社内規定に違反した場合、風評被害を含むレピュテーションリスクなどによる売上収益の減少等、経営成績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、「センコーグループ企業行動規準」により、法令・社会規範および社内規定等の遵守を周知するとともに、グループ会社役員・階層別研修を通じてコンプライアンス意識の向上を図っております。

 また、当社グループでは内部通報制度について、通報者資格の拡大や、通報者保護の拡大他、国際人権の観点から見直しを行い、「企業倫理ヘルプライン」として整備いたしました。各種法令を誠実に遵守し自らの職務を遂行することを全ての役職員に求めるとともに、不適切事案の早期収拾およびコンプライアンス委員会を通じた施策の実施に取り組んでおります。

 

 

3.労務上のリスク

①人権に関するリスク

当社グループは、「センコーグループ人権方針」を定め、事業活動のあらゆる場面で、差別行為や強制労働・児童労働等の非人道的な行為、様々なハラスメント行為を禁止し、人権を尊重した活動を求めています。想定されるリスクとして、当社グループの事業活動の各プロセスで、お客様、ビジネスパートナー、地域社会等の様々なステークホルダーに負の影響を及ぼす場合や、サプライチェーン上の人権課題に適切に対応できない場合に、当社グループのブランドイメージの低下、顧客との取引停止など事業継続に支障をきたす可能性があります。対応策については、〔サステナビリティに関する考え方及び取り組み〕に記載しています。

 

②労務管理リスク

当社グループは、労務管理に関する法令を遵守するとともに、長時間労働の削減や労務管理・安全に関する教育等、職場環境整備に継続的に取り組んでおりますが、労務管理が不徹底である場合、当社グループの従業員の健康や経営成績に影響を与える可能性があります。

 

4.情報セキュリティリスク

①情報システムおよび情報セキュリティ

当社グループは、IT技術を活用し、物流事業における顧客の貨物情報の管理、倉庫機能、また、物流事業以外の各種サービスもシステム管理をしております。これらのシステムが、自然災害の他、重大なシステムの不具合、コンピュータウイルスやハッカー行為等により停止を余儀なくされた場合、当社グループの経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

②顧客情報の管理

当社グループは、物流事業や他事業サービスの提供に際し、顧客等の情報を取り扱っており、社内教育を通じて情報管理に努めておりますが、サイバー攻撃や不正アクセス等により情報の外部漏洩やデータ喪失等の事態が生じた場合、社会的信用の低下や損害賠償請求等により、当社グループの経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

5.オペレーション上のリスク

①法規制

 当社グループは、物流事業、商事・貿易事業、ライフサポート事業、ビジネスサポート事業、プロダクト事業を行い、多様なサービスを提供しており、これらの事業は、各種業法による規制を含む様々な法令の遵守が必要となります。

 今後、法規制の強化や、新たな法規制の適用等がなされた場合には、かかる法規制への対応に追加費用を要したり、当社グループの事業運営方法の変更を余儀なくされたりすること等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②重大な事故の発生

重大な車両又は貨物事故が発生した場合、顧客の信頼及び社会的信用が低下する他、車両の使用停止、営業停止等の行政処分等により、当社グループの経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

③原油価格の高騰

原油価格の高騰による軽油価格の上昇は運送コストの増加となり、貨物自動車運送事業を主体とする当社グループの経営成績は、今後の価格動向により影響を受ける可能性があります。

 

④人材確保に関わるリスク

 当社グループは労働集約型事業の比重が高く、少子高齢化や労働人口の減少により、労働需給が逼迫し、当社の各事業会社と、そのパートナー企業が必要な人材を確保することができない場合や、人材獲得競争の激化によりコストが大幅に増加した場合、当社グループの経営成績等に影響を与えるリスクがあります。

 当社グループは、魅力あるコングロマリット企業として、グループ全体の人事戦略を整備し、様々な事業体の業種で働けることの優位性を活かした採用強化、事業に資する人材育成と教育体系の高度化、企業の枠を超えた各事業の連携と人材交流を活性化し、各社の魅力ある取り組みを共有しながら人材定着を促進するとともに、事業の拡大に必要な人員確保を行ってまいります。

 加えて、グループ全体でDE&I推進に取り組むことで、一人ひとりが自分らしく活躍できる企業風土を醸成し、国籍や性別、年齢を超えて、多様で柔軟な働き方が実現できる企業体として、従業員とその家族、および関係者の未来を支えてまいります。

 

6.自然災害、感染症など事業継続リスク

①災害、停電等の発生

豪雨・豪雪・台風・地震等の災害や停電等が発生した場合、輸送経路の遮断、電力供給の停止による事業停止および各拠点の設備復旧に伴う費用発生、及び顧客の被災による取引量の減少が中・長期に渡り生じることで、当社グループの経営成績は影響を受ける可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社グループは気候変動対策として自然災害リスク分科会を設置し、事業継続計画(BCP)等の点検・見直しを実施してグループの災害レジリエンスを高めております。

 

②気候変動に関するリスク

 気候変動の影響と考えられる豪雨や台風による洪水などの異常気象等による物理リスク(急性)については、上記の「災害、停電等の発生」に記載のとおり、災害等の発生により当社グループの施設等に被害が生じた場合、経営成績へ影響を及ぼす可能性があります。加えて、物理リスク(慢性)や急激な燃料価格の上昇や炭素税などの政策や法規制の導入によるコスト上昇等の移行リスクにより、当社グループの経営成績は影響を受ける可能性があります。

 気候変動に関する主要なリスクと機会についてはTCFDのフレームワークに基づいてまとめており、その内容については、〔サステナビリティに関する考え方及び取り組み〕内の<サステナビリティ全般>に記載しております。

 

③感染症拡大

感染症拡大が発生した場合、営業所の業務停止、行政による休業要請の影響により、当社グループの経営成績は影響を受ける可能性があります。

 当社グループは、未知の感染症拡大の対策として、感染症リスク分科会を設置し、過去の新型コロナウィルス感染症拡大時のグループ内対応ノウハウを活かした感染症BCPの整備を実施して、グループの感染症リスクレジリエンスを高めております。

 

7.海外リスク

①海外での事業展開

当社グループは、将来にわたって成長を続けていくために海外での事業展開に取り組んでおりますが、進出地域の経済状況の変化や景気の後退、為替レートの変動、政治又は法規制の変化、自然災害の発生、テロ・戦争・疫病の発生などの要因による社会的混乱が生じた場合や、サプライチェーンに寸断・停滞などの影響がある場合は、コストの上昇、特に主事業の物流において運賃市況の急激な変化や代替ルートでの運用等により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。

また、進出国での商慣習の相違、ローカルルールにより外資企業の事業活動に制約を受けた場合にも、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性がございます。

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、株主の皆様への利益還元を充実させるため、安定配当に加え、業績連動を考慮した配当を実施することを利益配分に関する基本方針とし、本中期経営計画(2022年4月~2027年3月)の最終年度までに配当性向40%を目指して配当していく方針であります。

当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うこととしております。これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当につきましては株主総会、中間配当につきましては取締役会であります。

当期末の配当金につきましては、1株につき23円とし、先に実施いたしました中間配当金(1株につき23円)とあ

わせ、当期の配当金は1株につき46円となる予定です。この結果、当事業年度の連結配当性向は38.7%となる予定です。

 また、内部留保資金の使途につきましては、将来の企業価値を高めるために、企業体質の一層の充実、強化並びに今後の事業展開のための投資等に充当するものであります。

なお、当社は、「取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当をすることができる」旨を定款に定めております。

当事業年度に係る剰余金の配当は以下の通りであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2024年11月11日

3,601

23

取締役会決議

2025年6月26日

4,030

23

定時株主総会決議(予定)