リスク
3 【事業等のリスク】
当社グループのリスクマネジメント基本方針・体制および当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) リスクマネジメントの基本方針
当社グループでは、企業理念を実現するうえでの不確かさの影響をリスクと定義し、リスクを適時・適切に特定・分析・評価し、リスク対応計画の策定・実行及びモニタリング・レビューを通じて負のリスク顕在化の頻度及び影響度を極小化することを基本方針として、以下基本目的及び行動指針に基づきリスクマネジメントシステムを構築・運用しております。
◆リスクマネジメント基本目的
・企業価値の向上
・安定的な事業継続
・あらゆるステークホルダーとの信頼関係の維持・向上
◆リスクマネジメント行動指針
・事業計画と一体性のあるリスクマネジメント体制を整備し、当社グループ全体で適切なリスクテイク
及び的確なリスクコントロールを支える環境を整えます。
・役職員に対する啓発、教育、訓練を通じてリスク感性を高め、当社グループ全体で健全なリスクカルチャー
を醸成します。
・リスクインテリジェンス活動を強化したうえで新興リスクを含めて適切なリスクアセスメントを実施し、
重点的に取り組むリスクを特定します。
・当社グループにおけるすべてのリスクについて管轄部門を選定したうえでリスク対応計画を策定し、
PDCAサイクルマネジメントを実施します。
・リスクマネジメントシステムの有効性について定期的に確認・点検し、維持・向上に繋げます。
(2)リスクマネジメント体制
グループリスクマネジメント最高責任者を社長とし、リスクマネジメント担当常務執行役員を委員長とした「グループリスクマネジメント委員会」を設置し、子会社を含めた当社グループ全体でリスクマネジメント活動を推進しています。「グループリスクマネジメント委員会」では、リスク管轄部門からの報告をもとに、リスクの網羅的な把握を行い、評価・分析および対策について協議し、今後の方針を定めています。
また、危機事態の発生時には、対応要領を定めた危機管理基本マニュアルに基づいて迅速かつ的確な初動対応を行うことにより、影響の拡大防止及び早期の収束に努めます。
(3)主要なリスク
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
①事業環境の変動
当社グループの主たる事業は、倉庫事業を中核とする物流事業並びにビル賃貸を中心とする不動産事業であり、計画的な設備投資や高度なサービスの提供により安定した成長を図るよう努めておりますが、物流事業では国内外の景気変動や顧客企業の物流合理化・事業再編の影響等、不動産事業では賃貸オフィス市場における需給バランスや市況動向等、事業環境の変動の影響を受けます。
②事業用資産(倉庫、賃貸ビル等)の自然災害による被災
倉庫や賃貸ビル等の事業用資産については、建物の耐震・免震対策や外部保険の付保のほか、日常の点検・整備、自然災害等の危機発生時の対応マニュアルの作成・更新、定期的な訓練実施等の必要な措置を講じておりますが、地震、台風、大雨、洪水、津波、噴火等の大規模自然災害が発生した場合は、保険で担保しきれない重大な被害を受けるおそれがあり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
③事業用資産(土地、建物等)の時価下落及び収益性低下
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」の適用により、土地、建物、のれん、顧客関連資産等の時価下落や収益性低下等により投資額の回収が見込めなくなった場合、将来に損失を繰り越さないため、回収の可能性を反映させるように減損処理を行う可能性があります。
2025年3月期において、収益性が低下した当社グループのコンテナターミナル施設(構築物等)について減損損失(8千7百万円)を特別損失として計上しました。
④投資有価証券の時価変動
当社グループは、主として営業上の取引関係維持・強化のため、取引先の株式を中心に当連結会計年度末において1,637億1千6百万円の投資有価証券を保有しておりますが、「金融商品に関する会計基準」の適用により、株式相場等の時価変動の影響を受けております。なお、当社は、その他有価証券で市場価格のない株式等以外のものについて、時価が取得原価に比べて30%以上下落した場合、回復の可能性を考慮のうえ減損処理を行うこととしております。また市場価格のない株式等のうち発行会社の純資産額が簿価を下回るものについて、回復の可能性を考慮し投資損失引当金を計上もしくは減損処理を行うこととしております。
2025年3月期において、ベトナムにおける景気減速等によりITL Corporationの業績が悪化し、投資等許認可の遅れもあり事業計画の進捗に遅れが発生する見込みとなったため、同社事業計画を保守的に再検討した結果、投資に伴うのれん相当額の未償却残高(88億1千8百万円)全額を持分法による投資損失として計上しました。
⑤コンプライアンスリスク及び人権問題
当社グループは、社員が業務を遂行する際の規範として法令遵守、反社会的勢力の排除等を内容とする「行動基準」を制定し、その遵守状況の自己点検やコンプライアンス研修の推進・徹底により、社員一人ひとりに企業倫理にもとづくコンプライアンス意識を浸透させるとともに、法令及び各種規制等の遵守の徹底を図っています。また、内部統制・コンプライアンス委員会を設け、内部統制機能の整備状況、コンプライアンス態勢を検証し、それらの充実を図っています。これと併せて、企業理念を実現する前提となる人権尊重責任を果すため、「三菱倉庫グループ人権方針」を制定し、人権尊重の取組みを推進しています。
通報者の不利益取扱い禁止を明確に定めた内部通報窓口(ヘルプライン)に加え、取引先通報窓口を設置して、法令等に抵触するおそれのある行為及び人権侵害のおそれのある行為を防止し、また早期に発見して是正するよう努めています。
しかしながら、このような施策を講じてもコンプライアンス上のリスク及び人権侵害リスクは完全には払拭できず、法令等に抵触する事態又は人権問題が生じた場合には、課徴金等の行政処分、刑事処分、取引先等からの損害賠償、信用の失墜等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑥海外事業展開におけるカントリーリスク
当社は、海外において北米、中国・アジア及び欧州に合計25社(北米6社、中国・アジア16社、欧州3社)の子会社を設置し、主に倉庫・国際運送取扱等の物流事業を営んでおります。海外での事業展開においては、現地特有の政治的リスク、法的リスク、経済的リスク、環境リスク等の把握に努め、対策を講じています。
⑦為替レートの変動
当社グループの連結財務諸表の作成に当たっては、海外の連結子会社の財務諸表を円換算しているほか、当社及び一部連結子会社において、外貨建債権・債務を有していることから、為替レートが変動した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑧環境保全に係る規制強化等
当社グループは、環境問題の重要性を認識し、環境方針や環境ボランタリープランを定めているほか、サステナビリティ経営のマテリアリティに気候変動対策と環境保護の取組みの強化を掲げ、地球環境に配慮した事業活動を推進しております。具体的には、「災害に強いECO倉庫」、「災害に強い環境配慮型オフィスビル」の建設等により、倉庫や不動産賃貸施設の省エネ対策に取り組むほか、環境負荷の少ない機器又は設備の導入や、お客様や委託先等と協力のうえ環境負荷を軽減するサービスの開発に努めております。また、TCFD提言にて推奨される気候変動に関する情報について開示を行っており、移行リスク、物理的リスクへの緩和策を実施することとしています。しかしながら、今後、関係法令や規制の強化等により、新たな設備投資等の必要性が生じた場合には、資金やコスト負担の増加により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑨情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、ITを活用して事業の推進と業務の効率化を図っており、事業活動を通じて取引先の機密情報やお客様の個人情報を取り扱っております。
情報システムや情報ネットワークの管理においては、安定稼働やセキュリティ対策に注力しており、適切なサーバーの管理や情報のバックアップなど必要な措置を講じています。
また、情報セキュリティポリシーに基づいた管理策を整備するとともに、CSIRTを設置してサイバー攻撃などのセキュリティインシデント発生時の迅速な対応や被害拡大防止、ならびに平時における役職員向けセキュリティ教育や標的型攻撃に対する訓練等、グループ全体のセキュリティレベル強化に取り組んでいます。
しかしながら、サイバー攻撃に起因する外部からの不正アクセスやコンピューターウイルス感染、災害等により事業活動の停止や情報漏洩が発生した場合には、取引先等からの損害賠償、信用の失墜等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑩感染症に関するリスク
新型コロナウイルス感染症をはじめ、新興・再興の感染症の地域的な流行や、世界的なパンデミックにより、物流事業においては、貨物の荷動きの低迷、不動産事業においては、テナントの退去等に伴う空室率の上昇等、当社グループの事業活動・業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、2024年度を最終年度とする経営計画[2022-2024]において、株主還元を重要な経営課題の一つとして位置づけ一層の充実を図ることとし、配当は、企業業績や成長投資、資本効率とのバランスを勘案しながら、DOE(連結自己資本配当率)2%以上の安定的・継続的配当を行う方針としております。
当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
当事業年度の期末配当金は、以上の基本方針並びに当期業績及び利益剰余金の水準等を勘案し、また、2024年11月1日をもって当社普通株式1株を5株に分割したことを考慮して、1株につき16円とさせて頂く予定です。これにより、株式分割を考慮した場合、中間配当金を16円を加えた年間の配当金は、前事業年度から8円増額の1株につき32円となります。
なお、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定めております。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。