2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    9,409名(単体) 61,288名(連結)
  • 平均年齢
    42.2歳(単体)
  • 平均勤続年数
    16.7年(単体)
  • 平均年収
    9,869,482円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

パーソナル

28,445

(13,779)

ビジネス

29,400

(31,784)

その他

3,443

(1,862)

合計

61,288

(47,425)

(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.当連結会計年度末において、当社グループの従業員数は前連結会計年度末から11,629名増加し、61,288名となっています。また、臨時従業員数(平均人員)は10,753名増加し、47,425名となっています。主な要因は、ビジネスセグメントにおいて、2023年9月1日付で、株式会社KDDIエボルバとりらいあコミュニケーションズ株式会社の経営統合を実施したことによるものです。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

9,409

(4,187)

42.2

16.7

9,869,482

 

セグメントの名称

従業員数(名)

パーソナル

5,603

(1,875)

ビジネス

3,587

(2,263)

その他

219

(49)

合計

9,409

(4,187)

(注)1.従業員数は就業人員(子会社などへの出向社員3,975名は含んでおりません。)であり、臨時従業員数は年間の平均人員を( )外数で記載しております。

   2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

 

(3)労働組合の状況

当社には、労働組合が結成されており、KDDI労働組合と称し、情報産業労働組合連合会の傘下として日本労働組合総連合会に加盟しております。また、当社とKDDI労働組合の間においては、ユニオン・ショップ協定を締結しております。

2024年3月31日現在の組合員数は、10,144人です。

その他、特に記載すべき事項はありません。

 

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異の状況

 

①提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1、2

男性労働者の育児休業取得率(%)

 (注)3

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

8.9

58.1

78.3

78.7

83.2

(注)

1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しております。

2.管理職に占める女性労働者の割合は2024年4月1日時点の実績であり、受入出向者は除外し、在籍出向者は包含して集計しています。

3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出した実績を記載しています。

 

②連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める女性労働者の割合

 (%)

(注)1、2

男性労働者の育児休業取得率

 (%)

(注)3、4

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

アルティウスリンク株式会社

14.7

79.0

63.6

73.6

74.4

JCOM株式会社

17.4

63.3

75.7

76.5

74.3

株式会社イーオン

57.9

83.3

79.2

82.4

67.7

ジュピターショップチャンネル株式会社

37.7

100.0

72.3

85.3

79.3

株式会社マックスコム

24.0

100.0

81.8

74.5

91.0

KDDI Sonic-Falcon株式会社

0.0

58.8

94.9

92.8

95.9

KDDIまとめてオフィス株式会社

13.5

41.2

85.5

85.0

87.2

KDDIエンジニアリング株式会社

2.7

64.3

74.8

75.7

78.2

中部テレコミュニケーション株式会社

4.1

85.0

73.5

73.9

91.8

KDDIプリシード株式会社

50.0

60.0

94.9

93.9

99.5

アイレット株式会社

0.0

72.4

74.9

75.2

78.1

KCJ GROUP株式会社

48.6

20.0

56.9

72.2

90.4

株式会社ウィテラス

6.7

33.3

68.1

78.1

83.9

ビッグローブ株式会社

9.2

66.7

76.3

76.1

61.9

auじぶん銀行株式会社

11.6

83.3

74.2

76.4

42.0

株式会社mediba

27.4

42.9

79.8

80.4

98.6

 

 

当事業年度

名称

管理職に占める女性労働者の割合

 (%)

(注)1、2

男性労働者の育児休業取得率

 (%)

(注)3、4

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

auコマース&ライフ株式会社

23.5

53.8

80.5

85.3

94.2

Supership株式会社

10.4

100.0

81.4

81.5

176.2

沖縄セルラー電話株式会社

10.6

54.5

70.8

69.4

45.8

株式会社ビジネスプラス

0.0

(注)5

99.5

97.3

97.6

株式会社エナリス

18.4

90.0

68.9

75.1

19.6

株式会社ARISE analytics

50.0

100.0

85.9

94.0

40.1

menu株式会社

12.5

0.0

69.2

81.4

86.8

株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ

0.0

300.0

66.1

72.0

96.5

株式会社KDDIチャレンジド

0.0

(注)5

117.3

117.3

(注)5

auフィナンシャルサービス株式会社

2.4

100.0

65.3

65.3

(注)5

日本通信エンジニアリングサービス株式会社

0.0

50.0

88.1

82.8

0.0

DATUM STUDIO株式会社

9.1

20.0

88.9

92.3

96.5

株式会社KDDIテクノロジー

7.1

100.0

84.6

85.1

109.3

OTNet株式会社

6.7

25.0

74.8

76.7

31.6

auフィナンシャルホールディングス株式会社

6.1

50.0

69.8

69.6

0.0

株式会社ナターシャ

47.1

(注)5

93.9

92.9

108.5

(注)

1. 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しております。

2. 管理職に占める女性労働者の割合は2024年3月31日時点の実績であり、各社において受入出向者は除外し、在籍出向者は包含して集計しています。

3. 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出した実績を記載しています。

4. 常時雇用労働者数が101人以上1,000人以下で、必ずしも「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定等に基づく公表義務を負わない連結子会社につきましても、任意で開示を行っております。

5. 対象となる従業員がいないことを示しています。

 

 

 

③連結会社

当事業年度

名称

管理職に占める女性労働者の割合

 (%)

(注)1、2

男性労働者の育児休業取得率

 (%)

(注)3

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

正規雇用労働者

パート・

有期労働者

KDDIグループ連結(注)4

14.2

65.3

72.8

76.9

76.8

(注)

1. 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しております。

2. 管理職に占める女性労働者の割合は2024年3月31日時点の実績であり、受入出向者は除外し、在籍出向者は包含して集計しています。

3. 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出した実績を記載しています。

4. 集計対象はKDDIグループ国内連結子会社としています。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般

 当社は発足以来、「豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献すること」を企業理念として掲げてまいりました。昨今、生活やビジネスのさまざまな場所でIoTが活用され、通信が果たす役割はますます重要になっており、さらには価値観の多様化やサステナビリティの重要性の高まり、次世代技術の発展など、事業を取り巻く環境は大きく変化しています。

 このような事業環境の変化に対応しながら、ありたい未来社会を実現するため、当社は2022年5月に2030年に向けたビジョンとして「KDDI VISION 2030:『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」を新たに掲げました。あらゆるものに通信がますます溶け込んでいく時代の中、「つなぐチカラ」を進化させ、2030年には、あらゆる産業や生活シーンで付加価値を提供できる存在、「社会を支えるプラットフォーマー」になることを目指しています。

 2030年を見据え、2022年に始動した中期経営戦略では、「サステナビリティ経営」を根幹とし、パートナーの皆さまとともに「社会の持続的成長」と「企業価値向上」の好循環を目指しています。

 そして、この「サステナビリティ経営」のもと、「事業戦略(新サテライトグロース戦略)」とそれを支える「経営基盤強化(カーボンニュートラルの実現・人財ファースト企業への変革・グループガバナンスの強化)」を推進しています。

 

①ガバナンス

サステナビリティ推進体制

 サステナビリティ関連のリスク及び機会はサステナビリティ委員会におけるKPIの進捗確認等を通じて管理し、同委員会から取締役会へ定期的に報告することで取締役会がそれらを監視する体制をとっています。

 同委員会は、委員長を代表取締役社長、委員会メンバーを取締役で構成し、サステナビリティを全社経営戦略の柱として取り組んでいます。

 なお、サステナビリティ推進の達成度は全社重点KPIに織り込まれており、役員報酬ならびに全社員の賞与がサステナビリティ推進の達成度に連動する制度設計とすることで、サステナビリティ経営の浸透や行動変容に繋げています。

 

マテリアリティ選定プロセス

 当社グループは、23.3期に始動した中期経営戦略の策定に伴い、次のプロセスにてサステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)を選定しています。

1.サステナビリティ情報開示の国際的なガイドラインであるGRI要請項目および情報通信業界に対するESG評価機関の要請事項から、重要課題を抽出

2.「長期投資家等マルチステークホルダーの関心事項(縦軸)」と「事業へのインパクト(横軸)」をそれぞれ点数化し、優先順位を設定

3.社外有識者等へのヒアリングにより得られた意見を反映し、6つの最重要課題(マテリアリティ)を特定

4.サステナビリティ委員会および取締役会で妥当性を審議し、確定

 

 

 

②戦略

6つの重要課題(マテリアリティ)

 長期投資家等マルチステークホルダーの関心事項と事業へのインパクトを軸に、中期経営戦略における課題をマッピングし集約いたしました。当社の事業変革に必要なイノベーションの推進、事業の多様化に伴う人財強化やガバナンス強化、気候変動など国際社会の課題意識の高まりに対応しています。

 

 

 当社グループの6つの重要課題(マテリアリティ)に対処するための取組み(実施内容)、指標及び目標は次の

とおりです。中期経営戦略の見直しに伴い、サステナビリティ中期目標も期間・指標等を見直します(期間は「25.3期まで」から「26.3期まで」に見直し)。

提供価値

サステナビリティ中期目標(23.3期-26.3期)

実施内容

指標

24.3期実績

26.3期

①未来社会の創造

新サテライトグロース戦略に基づく事業創造・研究開発プロジェクトの推進※1

プロジェクト数(累計)

44件

80件

自治体さまと連携した

LXサービスの提供

LXサービス提供地域・施設数の拡大

イノベーションの推進

による知的資本の強化

5G/Beyond 5G+新サテライトグロース

関連領域の保有特許件数※1

対前年23%増

対前年15%増

②サステナブルな

産業・インフラ環境

の実現

産業・インフラDXへの貢献

IoT回線数(累計)※2

4,197万回線

5,400万回線

お客さまの働き方改革を

推進

KDDIのお客さま(法人)における、

働き方改革を支援するソリューションの導入率※1

31%

37%

5Gエリアの拡大

5G人口カバー率

政府目標97%(26.3期)への貢献※1

重大事故撲滅

重大事故発生件数(設備障害)

※総務省の事故報告判断基準

ガイドライン等に準ずる

0件

0件

③地域共創の実現

地域のデバイド解消支援

支援者数(累計)

※スマホ教室、店頭サポート、使い方サポート、スマホ・ケータイ安全教室、地域体験応援サービスのご利用者数(累計)

※1※3

1,180万人

2,000万人

金融格差の解消

決済・金融取扱高

18.0兆円

22.1兆円

④グローバルでの

地域・経済格差の解消

新興国における

グローバル事業の拡大

新興国の国民の人権を尊重し、

国民の生活に不可欠な社会インフラの維持に取り組む

モンゴルにおける

通信を活用した

教育や次世代の育成

安全なモバイル・インターネット利用

等を促すための教育活動の支援者数※1(累計)

8,000人

⑤カーボンニュートラルの実現

通信設備を含むKDDIの

カーボンニュートラル化※4

KDDIグループの

カーボンニュートラル実現

 Scope 1+2 ※1※5

(目標:FY2030)

全世界のKDDIデータセンターで利用する電力の実質再生可能エネルギー割合

100%の達成

※他社のデータセンター施設や設備を

一部借り受けてサービス提供する形態、閉局予定のデータセンターは除く※1

53%

100%

Scope 1+2+3

ネットゼロの達成※1

(目標:FY2040)

追加性ある再生可能

エネルギー

追加性ある再生可能エネルギー

50%達成※1

(KDDI単体)

追加性ある再生可能エネルギー電力量

:42百万kWh

(目標:FY2030)

次世代再エネ

ソリューションの提供

法人お客さま向けへのカーボンニュートラル支援ソリューションの提供拡大

※グリーンICT/通信、電力SL、DX-SL、コンサルティング等

⑥KDDIグループ全体の経営基盤強化

グループ全体のガバナンスと情報セキュリティの強化

重大事故発生件数※6

・サイバーセキュリティ起因の個人情報の

 漏えいおよび重大なサービスの停止

・個人情報の不適切な利用

・上記以外の重大事故

0件

0件

先進セキュリティ技術への

取組み件数※7(累計)

12件

23件

⑦人権の尊重

人権を尊重した事業活動の実施

グループ会社を含めた事業活動における人権リスク評価の実施と

その結果に基づく改善

人権デューデリジェンス

※8

人権侵害の恐れがある

高リスク取引先の活動改善対応率※1

対応率

75%

改善率100%の継続

⑧多様なプロ人財の活躍とエンゲージメント向上

プロ人財育成の

ためのキャリア開発

(人材育成方針)

各専門領域のプロ人財比率

(KDDI単体)

40%

※戦略領域

45%

※全領域

全社員におけるDX基礎スキル

研修修了者(KDDI単体:累計)

※習得機会はグループ会社へ拡大

10,721

※9

社員エンゲージメント

サーベイの実施

(社内環境整備方針)

社員エンゲージメントスコアの

維持向上(KDDI単体)

74

72以上を維持

多様性を重視した人財の

活躍推進(DE&I関連)

(社内環境整備方針)

女性取締役の構成比率

(KDDI単体)

16.6%

25%以上

女性経営基幹職の構成比率※10

(KDDI単体)

11.0%

※11

※1 事業環境、社会動向の変化、事業拡大等に伴い改定

※2 サービス開始時からの数値

※3 24.3期実績は、改定前の指標によるもの

※4 カーボンニュートラル実現への取組みの詳細はKDDIウェブサイトご参照

https://www.kddi.com/corporate/sustainability/efforts-environment/carbon/

※5 KDDI連結でカーボンニュートラル実現を目指す

※6 主務官庁への報告・届け出等レピュテーションを著しく棄損する事案

※7 KDDI単体、KDDI総合研究所によるニュースリリース・トピックス件数

※8 KDDIグループ調達額90%および人権リスクが把握された取引先が対象

※9 25.3期目標は「全社員」

※10 受入出向者・在籍出向者ともに含まず集計

経営基幹職:組織のリーダーならびに専門領域のエキスパート、実績値は2024年4月1日時点の比率

※11 25.3期目標は「15%以上」

 

※24年度より統廃合された実施内容・指標は当社ホームページ
          (https://www.kddi.com/extlib/files/corporate/sustainability/targets/pdf/targets_besshi.pdf)を参照

 

③リスク管理

リスクマネジメント及び内部統制システムの考え方

 当社は、会社法に基づき「内部統制システム構築の基本方針」を取締役会にて決議し、当該方針に従ってリスク管理体制を含む内部統制システムを整備・運用しています。経営目標の達成に対し影響を及ぼす原因や事象を「リスク」と位置付け、リスクマネジメントの強化が重要な経営課題と認識し、事業を継続し社会への責任を果たしていくために、グループ全体でリスクマネジメント活動を推進しています。

 

リスクマネジメント及び内部統制活動

 当社は、コーポレート統括本部を中核として、リスクマネジメント活動を一元的に推進する体制を整えています。また、グループ全体の持続的な成長を実現するため、当社及びグループ会社全体でリスクマネジメント活動を推進しています。当社に44名、グループ会社各社に計45名の「内部統制責任者」を配置し、さらにそれを統括する5名の「内部統制統括責任者」を任命しており、同責任者のもと、内部統制システムの整備・運用およびリスクマネジメント活動を推進するとともに、リスクが発現しにくい企業風土を醸成するため業務品質向上活動を展開しています。

 

リスクマネジメント活動サイクル

 当社は、会社の危機を未然に防ぐためには、その予兆を把握し、事態が悪化する前に対策を講じることが重要という認識のもと、リスクマネジメント活動のPDCAサイクルを構築しています。また、リスクの発現時には迅速かつ適切な対応がとれる危機管理体制を整備しています。

 

リスク特定プロセス

 当社は、リスク情報を定期的に洗い出し、会社事業に重大な影響を与えるリスクを重要リスクと位置付け、これらの重要リスクの発現およびその発現した際の影響を可能な限り低減するための対応策を検討し、対策を講じています。2023年度は、経営目標を確実に達成するために、過去に顕在化した課題のほか、事業環境の変化を踏まえ、重要リスク23項目を選定し、リスクの予見、重要リスクの低減活動およびリスクアプローチによる内部監査を実施しました。情報セキュリティ活動においても、グループ全体の統一基準を制定し、グループ全体で情報セキュリティレベルの向上を推進し、情報セキュリティリスクの低減を図っています。これら重要リスクの状況については、「3.事業等のリスク」にも反映しています。

 

内部統制報告制度(J-SOX)への対応

 2008年度から適用された金融商品取引法に基づく内部統制報告制度への対応として、財務報告の信頼性を確保すべく、当社および国内・海外の主要なグループ子会社11社の計12社に対して、内部統制評価を実施しました。評価結果については内部統制報告書として取りまとめ、2024年6月に内閣総理大臣に提出し、投資家の皆さまに開示しています。

 

業務品質向上活動

 当社は、内部統制部門を全社の業務品質向上活動の推進事務局とし、各部門の内部統制責任者が推進責任者となり、業務の効率化・標準化を図りながら自律的に業務の品質を高める業務品質向上活動に取り組んでいます。この活動による業務改善案件はデータベース化され、全従業員が自部門の業務品質向上活動に活用できる仕組みを整えています。また、優秀で意欲的な業務改善案件を表彰する制度を導入しており、従業員一人ひとりの業務品質に対する意識・モチベーションの向上を図っています。

 

業務品質向上の浸透活動

• 各部門における自律的な目標および推進計画を策定し、全社に共有

• 優秀な業務改善案件に対する全社表彰の実施(年1回)

• 業務品質向上活動に対する意識調査アンケートの実施(年1回)

 

④指標及び目標

上記に記載の②戦略の項目をご参照ください。

 

 

(2)人的資本・多様性

①ガバナンス

(1)に記載のサステナビリティ全般における①ガバナンスの項目をご参照ください。

 

戦略

「サステナビリティ経営」を根幹とし、新サテライトグロース戦略の推進と、それを支える経営基盤の強化により、パートナーの皆さまとともに社会の持続的成長と企業価値の向上を目指していきます。このうち経営基盤の強化の1つとして、人財ファースト企業への変革を推進しております。

 

[KDDI Vison 2030の実現に向けて]

a.サステナブルな人財ポートフォリオの実現

 事業環境が大きく変化し、DX、金融、エネルギーなど事業領域を広げる新サテライトグロース戦略を推進していく中では、これまで以上に多様な専門性を持つ人財を獲得し、その人財同士が混ざり合うことで、事業や組織機能の高度化につながるイノベーションを創出していく必要があります。そのためにも、専門性を持ち、自律したプロ人財が挑戦・成長し続けなければなりません。KDDIグループにおいて、個性と能力を発揮できる場所を見つけ、挑戦しながらスキルを高め、さらにレベルの高い挑戦をしていきます。それぞれの領域のプロ人財が認め合い・高め合った結果、グループ全体でプロ人財を輩出し続ける“サステナブルな人財ポートフォリオ”を充足させることで、人財ファースト企業への変革を目指していきます。

 

b.社会をつなぐチカラの進化

「生きがい改革によるウェルビーイング向上」も人財ファースト企業として追求していく重要な要素です。仕事と生活の垣根がなくなりつつある「ワークライフインテグレーション」の時代においては、働き方や働きがいだけではなく、社員の“生きがい”追求にも取り組んでいく必要があります。生きがい改革を通じてKDDIはさらに魅力的な会社となり、お客さま・パートナー企業・労働市場とのエンゲージメントを高められ、愛され信頼され続ける会社となることを目指しています。

 

 

[人事戦略(人材育成方針および社内環境整備方針)]

a.三位一体改革

 人財ファースト企業への変革を実現させるために、三位一体改革(①新人事制度の浸透、②KDDI版ジョブ型人事制度によるプロ人財育成、③社員エンゲージメント向上)」を21.3期から進めてきました。その中核に据えている「KDDI版ジョブ型人事制度」では、全ての社員が既存の通信事業で培った経験も活かしながら、新たな領域でも通用する能力を積極的に身に付け、社外でも通用するプロ人財となることを目指しています。

(注)DX基礎スキル研修修了者、女性経営基幹職の構成比率は、25.3期目標を記載

 

 

[新人事制度の浸透(人材育成方針および社内環境整備方針に関する取り組み)]

a. 事業戦略遂行に資する人財ポートフォリオ

 新サテライトグロース戦略の展開に伴う事業ポートフォリオの組み換えに対して、事業戦略遂行に必要な人財力の質的・量的な充足を図るため、内部で人員をシフトさせ、外部から確保しなければなりません。そのために人財力のあるべき姿と現状のギャップを捉えた人財ポートフォリオを構築することを計画しています。

 人財ポートフォリオの中では、KDDI全社員のスキルの発揮状況を数値化して捉えることができます。KDDIにおける30の専門領域に対して、職務役割・職務内容により細分化した“ジョブ”を定義し、各ジョブの遂行に必要なスキルも定義した上で、それぞれのスキルに対するアセスメントを作成しています。アセスメントの結果を活用することで、各組織が目指す姿に対して、現状のスキルの発揮状況とのギャップ(質・量)の把握に取り組んでいます。

 また、性別、年齢や経歴などの情報も人財ポートフォリオで一元的に管理することで、組織と人の最適な組み合わせをデータで導くことができるようになります。これらの取り組みにより、人財シフトをより活性化させ、事業戦略と人事戦略の結びつきを強化していきます。

 

b.キャリア自律の促進

 社員の主体的なキャリア実現に向けた個人の能力開発や成長支援のため、上司とメンバーによる定期的な1on1を実施しています。1on1の実施頻度や内容とエンゲージメントスコアとに相関があることも分かっており、上司のキャリア支援力向上に向け、全ライン長を対象としたキャリアマネジメント研修を実施しています。年1回の「キャリアプラン申告」は、自身の今後のキャリアについて考え、上司との1on1で具体的なアクションについて対話し、キャリア開発の方向性や業務アサイン変更、社内副業・人財公募の案件紹介などについて双方で検討する場となっています。

 社員のキャリア情報を蓄積、見える化したタレントマネジメントシステム「X-Career」を導入しています。広範な事業領域を活用した社員の多様な成長・挑戦機会を積極的に支援するシステムで、社員一人ひとりがキャリアを拡大、深耕し、個々のキャリアが融合することでイノベーションを創出することを目的としています。グループ全体で人財の流動化を促進し、グループ内/外への出向機会、キャリア実現のための異動機会、人財公募を拡大することで、社員の自律的なキャリア形成を促進していきます。

 

 

c. 多様な人財の活躍促進

 人財多様性の実現のステップの第一歩として、ジェンダーギャップ解消に取り組んでいます。社員エンゲージメントサーベイの結果は全体的に女性のスコアがやや低い傾向にあります。平等な対応をするだけではギャップを縮めることができないため、形式的に平等な対応をすることに留まらず、ジェンダーに由来する不公平な障壁を取り払い、スタート地点を合わせるための支援を強化しています。

 女性経営基幹職の構成比率に関する数値目標達成に向けて、本部長層の意識改革を目的とした「アンコンシャス・バイアス研修」や、女性リーダーの実体験を聞くことができる「女性経営基幹職とのラウンドテーブル」、DE&Iと女性活躍の必要性を浸透させるための全社員を対象としたeラーニング研修など、多様な人財が能力を活かし、高いパフォーマンスを発揮するための組織風土改革と環境整備に取り組んでいます。また、女子学生を対象としたセミナーやインターンシップの実施などを通して、採用の段階から女性の比率を増加することを目指しています。

 さらに、男性社員の育児休業取得を推進し、男性育児休業取得率100%も目指しています。そのためにも、男性社員とその家族を対象としたワークショップを継続的に実施しています。

 

[KDDI版ジョブ型人事制度によるプロ人財育成(人材育成方針に関する取り組み)]

a.KDDI DX Universityによるリスキリング

 イノベーション創出の源泉となるプロ人財の育成、社員のDXスキル向上を推進するため、21.3期に社内人財育成機関「KDDI DX University(KDU)」を設立しました。データ・テクノロジーを活用したビジネス変革を推進するために、全社員への受講を目指した「DX基礎スキル研修」を実施しています。加えて、DX関連の5領域※を対象に専門領域別の「DXコアスキル集中研修」「DX専門スキル研修」を実施しています。24.3期には、生成AI、Web3.0やデジタルツインの専門型研修も拡充する等、技術トレンドへ弾力的に対応しています。

※ビジネスディベロップメント、コンサルタント&プロダクトマネージャ、テクノロジスト、データサイエンティスト、エクスペリエンスアーキテクトのDXに注力した5つの専門領域

 

b. 社内副業による越境学習

 21.3期より、本業以外での経験を積むことによるスキルアップ、および、適所適材を実現させることを目的として、社内副業制度を導入しました。「自分の専門性を磨く場が欲しい」「他の部署を経験したい」という社員からの声がありましたが、会社指示による数年ごとの定期異動や兼務という方法が主で、希望に沿った柔軟な対応が困難でした。「社内副業制度」を導入することで、社員は自らの希望でKDDI社内・KDDIグループ内の募集業務に手を挙げ、定期異動と比較してより速く、より柔軟に新しい場への挑戦が可能になります。

 副業業務は、「QRコード決済アプリの改善」や「ICT/IoTを用いた地域課題の解決」等、幅広くラインアップされています。社内副業制度は社員の専門性の探索や新たなスキルの習得を加速させるとともに、組織の壁を超えた人財シナジーによるイノベーション創出の機会を増やすことにつながっています。

 

 

[社員エンゲージメント(社内環境整備方針に関する取り組み)]

a. エンゲージメントサーベイ結果の活用促進

 四半期ごとに社員エンゲージメントサーベイを実施しています。総合エンゲージメントスコアは、現在のサーベイを開始した20.3期以降、上昇を続け、22.3期以降はサステナビリティ中期目標である「72以上」を維持しています。特に、「人間関係」「支援」「承認」のキードライバーが改善されており、これは上司とメンバーの定期的な1on1による信頼関係の構築や業務・キャリア形成の支援が影響していると考えています。また、エンゲージメントデータの分析体制を整備することで、人事制度や働き方の施策検討におけるサーベイ結果の活用を進めています。今後は、さらなるエンゲージメント向上を目指し、デモグラフィック別の分析を強化すると同時に、リーダー向けの研修や職場ごとの分析環境整備にも取り組み、全社と各職場双方で活動を推進していきます。

 

 

サーベイ開始当初から課題となっていた「挑戦する風土」は改善の傾向を示しています。1on1を通じて、チーム内の心理的安全性の土台形成がなされたこと、本人の挑戦を促すような対話がされたこと、新人事制度導入により個々の挑戦に報いる評価へと転換したことが要因であると分析しています。

 

b.社内カウンセラーによる全社員面談

 社員からの自発的な申告なしには社員の心身の不調を把握することが難しいという課題を解決するため、従来の相談窓口に来る社員を待つ受け身の対応ではなく、会社側から全社員へ能動的に話を聴く仕組みとして、上司以外の第三者である社内カウンセラーによる半期ごとの全社員面談を20.3期から実施しています。面談の目的は①メンタルヘルス不調の早期発見、②適切な勤務管理の徹底、③健全な職場環境の構築です。社内カウンセラーは24.3期末時点で39人おり、多くがライン長経験者や資格保有者など豊富な知見と経験を持つエルダー公募による着任者です。面談の実施者を社外カウンセラーではなく社内カウンセラーとしたのは、KDDIの経営方針やフィロソフィ、組織風土、就業規則や社内ルールを理解している社員の方が良い聴き手になれるとの考えによります。経験豊富なベテラン社員が社内カウンセラーとしてさまざまな悩みを抱えている社員一人ひとりに寄り添って傾聴することで安心感を与え、メンタルヘルス不調の早期発見だけではなく、キャリア形成支援にも良い効果を発揮しています。また、社内カウンセラー自身も社員が前向きに取り組むための支援にやりがいを感じており、誰もが生き生きと働ける職場の実現に向けて、さまざまな社員の活性化に着実につながっています。

 

 

c.KDDIグループ健康経営宣言

 KDDIグループは、社員が幸せで、活力ある企業であり続けるためには、社員の「健康」が重要な経営課題と捉えています。「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、お客さまの期待を超える感動をお届けすることにより、豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献します」の企業理念のもと、社員一人ひとりの健康を組織で支える健康経営を推進し、豊かな未来に挑戦し続けることを宣言しています。

 今後も、KDDIグループは、社員が心身ともに健康で意欲をもって働く環境を作ることによって、社員一人ひとりの生産性を最大化し、KDDIグループの持続的成長、さらには、サステナブルな社会の実現に貢献していきます。

 

リスク管理

(1)に記載のサステナビリティ全般における③リスク管理の項目をご参照ください。

 

指標及び目標

[人材育成方針に関する指標内容当該指標を用いた目標及び実績]

 各専門領域のプロ人財比率、DX基礎スキル研修修了者の各指標の目標及び実績は、(1)に記載の「サステナビリティ全般」における②戦略の項目をご参照ください。DX基礎スキル研修修了者については、KDDI単体全社員が習得するとともに、当社グループへ順次拡大します。

 

[社内環境整備方針に関する指標内容当該指標を用いた目標及び実績]

 社員エンゲージメントスコア、女性取締役の構成比率、女性経営基幹職の構成比率の各指標の目標及び実は、(1)に記載の「サステナビリティ全般」における②戦略の項目をご参照ください。

 社員エンゲージメントスコアついては、当社グループ各社でも、同様の従業員満足度調査を当社グループへ順次拡大しています。

 

(3)カーボンニュートラルの実現、地球環境保護

 当社では、「カーボンニュートラルの実現」を重点課題(マテリアリティ)の一つとしており、2030年度カーボンニュートラル実現※に加え、お客さまへ再生可能エネルギーを提供し、地球規模の課題である気候変動問題の解決に貢献することを目指しています。環境保全への姿勢を定めた「KDDI環境憲章」のもと、かけがえのない地球を次の世代に引き継ぐことができるよう、地球環境保護を推進することがグローバル企業としての重要な責務であると捉え、脱炭素社会の実現、生物多様性の保全、循環型社会の形成に向けた取り組みをグループ会社全体で一体的に推進しています。

 気候変動についてはTCFDフレームワーク、生物多様性についてはTNFDフレームワークに準拠して記載しております。

 

※KDDIのカーボンニュートラルの定義は以下をご参照ください。

 https://www.kddi.com/corporate/sustainability/efforts-environment/carbon/

 

①ガバナンス

 当社は、事業を通じた社会課題の解決(SDGs)・社会貢献・気候変動対策などのサステナビリティ(持続可能性)に関する課題を審議する機関として、代表取締役社長が委員長を務め取締役会の主要メンバー等で構成するサステナビリティ委員会を設置しています。サステナビリティ委員会では、当社における気候変動・自然資本に関する重要な課題や取り組みについて確認および議論を行い、リスクと機会に関する監視、監督を行うとともに報告事項などの承認を行う責任を担っています。上期には「前年度目標達成状況の確認」と「目標未達の場合はその要因分析と対策確認」、下期には「当年度目標進捗状況の確認」と「次年度目標の設定」を行います。また、取締役会は四半期ごとに気候変動・自然資本に関するサステナビリティ委員会からの報告を受け、重要な課題や取り組みに対する施策実施の監督および指示を行っています。

また、自然関連リスク等の評価と対応で影響を受けるステークホルダーとのエンゲージメントとして、地域社会や住民の方などへの影響も考慮し、「KDDIグループ人権方針」を定めています。これは、企業理念に基づき、すべてのステークホルダーに対する責任を果たすため、人権尊重の取り組みを明確にするものとして位置付けられています。この方針に基づき、「KDDIグループ重要人権課題」を設定していますが、その中で、「人権に配慮したサービス・商品の提供」を達成するために、「地域社会との調和とサプライチェーン上の人権侵害の排除」を掲げています。設備等の建設にあたって地域住民の人権に配慮するとともに、サプライチェーン上において紛争鉱物の使用等による人権侵害が発生しないように注視することを約束しています。また、現実のおよび潜在的な人権への負の影響に関する対応について、自治体、地域社会、サプライヤー、専門家など関連するステークホルダーとの対話と協議を行うことにより、人権尊重の取り組み向上と改善に努めています。

 

②戦略

当社は、①COP21で採択されたパリ協定の合意を受けた「急速に脱炭素社会が実現する1.5℃シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇が1.5℃)」と「気候変動対策が何らされず物理的影響が顕在化する4℃シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇が4℃)」の2つの分析と、②バリューチェーンにおける自然関連リスク等を特定し、評価を行いました。

KDDIは2024年5月9日、自然資本保全への貢献のため、中長期の環境保全計画である「KDDI GREEN PLAN」を策定しました。KDDIは「地球環境との調和」を経営の重要なテーマと捉えており、これまで「KDDI GREEN PLAN 2030」を掲げ、「循環型社会の形成」、「脱炭素社会の実現」、「生物多様性の保全」を重点課題として環境価値向上に取り組んできました。今回、中長期的な企業価値向上のため、リスクの低減と事業機会の創出についての目標を新設し「KDDI GREEN PLAN」に改称することで、さらなる環境価値向上を目指し活動の活発化を推進していきます。

 

 

a.気候変動

シナリオ分析結果

・急速に脱炭素社会が実現する1.5℃シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇を1.5℃とする目標が達成される未来)

参照::IEA(International Energy Agency)「World Energy Outlook 2021」 Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE Scenario)

移行リスク分析

KDDIとしてのリスク内容

KDDIの対応

政策・

法規制

(短期・中期戦略)

炭素税

炭素税課税リスク※1

化石燃料電力から再生可能エネルギー電力への切り替えを推進

都条例
排出規制

削減量未達となったCO2排出量に対するクレジット(排出枠)買い取りのコスト増加リスク

21.3期~25.3期の第三計画期間に発生が予想される未達CO2排出量19万t-CO2に相当する排出権(第二計画期間に発生したCO2排出権)を21.3期に4万t-CO2、2023年1月に15万t-CO2をあらかじめ購入した。この排出権は、21.3期~25.3期の第三計画期

間の実績により26.3期~27.3期に充当を予定。

消費電力削減・CO2排出量削減への新技術導入

(中期戦略)

通信量の増加に伴い発生する通信設備の消費電力の増加リスク

脱炭素に貢献するサステナブルなデータセンターを目指し、液体でIT機器を冷却する液浸冷却装置を用いたサーバ冷却のための消費される電力を94%削減する三菱重工社とNECネッツエスアイ社との共同研究開発中。また、基地局スリープ機能(トラフィックの少ない夜間帯にスリープさせる)を導入し消費電力の削減を推進。ミリ波無線機1機種に対応する機能を内製開発し、ノウハウの蓄積と課題の洗い出し実施中。無線機1台あたり年間約100kWhの電力消費の削減が可能となる見込み。

市場・評判

(長期戦略)

カーボンニュートラル目標未達や再生可能エネルギー化の取り組み遅れによるKDDI企業評価低下および加入者減のリスク

化石燃料電力から再生可能エネルギー電力への切り替えを推進。当社の事業運営で消費する電力27億kWhを再生可能エネルギー由来のメニューに切り替え予定。また、グループ会社としてauリニューアブルエナジーを設立し、太陽光発電など追加性のある再生可能エネルギー発電事業を開始。

※1 2030年度のCO2排出量見込みは約67.5万t-CO2 のため、炭素税14,280円/t-CO2の場合、年間約100億円の課税を想定

 

・気候変動対策が何らされず物理的影響が顕在化する4℃シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温が4℃上昇する未来)

物理的リスク分析

(物理的シナリオ「RCP8.5」を用いて分析)

KDDIとしてのリスク内容

KDDIの対応

急性

(台風や洪水等の)異常気象による災害の激甚化と頻度の上昇

迅速な通信網復旧対応を行うための緊急復旧要員人件費等のコスト増加リスク

BCP※2の見直しと災害時復旧訓練実施による効率的な復旧作業への備え

慢性

平均気温上昇

お客さまからお預かりしたサーバを冷却するための、KDDIデータセンターの空調電力使用量の増加リスク

高効率空調装置の導入や再生可能エネルギーへの置換

2 Business Continuity Plan(事業継続計画)

参照: IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)第5次評価報告書

 

b.自然資本

 バリューチェーンにおける自然関連リスク等を特定し、評価しています。事業規模と自然資本との関係から、優先度を定性的に評価・判断し、自然関連リスク等を分析、対応策を検討・推進しています。

 

 

自社固有の事業的観点等を踏まえ、識別した依存と影響の重要な項目は以下の通りです。

・ 携帯端末の原材料(特に金属類)の採取における鉱山掘削、特に陸域の土地利用変化や水資源への影響

・ 携帯端末の製造における有害物質の使用による土壌汚染

・ 基地局建設や通信ケーブル設置に伴う陸域をはじめとした土地利用変化への影響

・ 基地局・通信ケーブルを構成する原材料調達における水資源や気候・土地の安定化機能への依存

 

 

 

③リスク管理

当社グループのリスク管理を主管するコーポレート統括本部は、気候変動や自然資本関連を含め、当社の財務上および経営戦略上、重大な影響を及ぼすすべての事業部門のリスクの抽出を年2回、半期ごとに実施しています。抽出されたリスクの中で、気候変動・自然資本に関するリスクについては、環境ISOの仕組みを活用し、環境マネジメントシステム(EMS)のアプローチで管理しています。管理対象のリスクは、関係する各主管部門においてリスク低減に関する定量的な年間目標を策定し、四半期ごとに進捗評価を行います。進捗評価で指摘された改善内容については、サステナビリティ委員会傘下の部会であるカーボンニュートラル部会で報告され、全社・全部門に関係するリスクと機会については、サステナビリティ委員会で議論のうえ承認されます。

 

 

 

④指標及び目標

KDDIは、脱炭素社会の実現を加速させるため、KDDIグループ(※1)として2040年度末までにネットゼロ達成を目指す目標を含む4つの環境目標を策定

 

 

環境目標(※2)

目標年度

内容

1

KDDIグループネットゼロ達成

2040年度

KDDIグループの事業活動に関わる排出(Scope1(※3)およびScope2(※4))に加え、Scope3(※5)を含むサプライチェーン全体からのCO2排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」を達成。

2

KDDIグループカーボンニュートラル達成

2030年度

KDDIグループの事業活動に関わる排出(Scope1およびScope2)

3

KDDI追加性(※6)再生可能エネルギー比率50%以上

2030年度

KDDIが消費する電力に占める、追加性のある再生可能エネルギーの比率50%以上を達成

4

Telehouseのデータセンターが使用する電力の100%を再生可能エネルギー由来の電力に切り替え

2025年度

KDDIグループがTelehouseブランドで展開している全世界のデータセンターに関して、目標を「使用電力の100%を再生可能エネルギー由来の電力に切り替える」と再定義し、目標年度を1年前倒して達成。

(※1)KDDI本体および連結子会社を対象とします。

(※2)各目標の定義については、以下をご参照ください。

    https://www.kddi.com/corporate/sustainability/efforts-environment/carbon/

(※3)事業者自らによる温室効果ガスの直接排出。

(※4)他者から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出。

(※5)Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他者の排出)。

(※6)企業自身が太陽光発電設備などを新たに導入することで、社会全体の再生可能エネルギー導入量増加につながる効果を持つこと。

 

当社は、2012年度よりKDDI単体、2021年度より当社グループの温室効果ガス排出量を算出し環境負荷の定量的把握を通じて、気候変動が当社に及ぼすリスクと機会の管理を行っています。

 

CO2排出量

2023年度(推定値、連結)

Scope1(事業者自らによる温室効果ガスの直接排出)

24,644 t-CO2

Scope2(他者から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)の合計値

1,053,778 t-CO2

最新情報は、9月以降に公表予定のサステナビリティ統合レポート2024における温室効果ガススコープ1+2の排出量(実績)に関する記載をご参照ください。

 

また、当社ではスコープ2以外の間接排出であるスコープ3排出量を2040年度末までに実質ゼロにすることを目標にしており、2022年度のスコープ3排出量の実績値はKDDI単体において5,252,273 t-CO2となりました。スコープ3排出量のうち、カテゴリ1、カテゴリ2が全体の92%を占めており、今後も温室効果ガス排出削減にむけ活動を進めていきます。

自然関連の指標として、温室効果ガス排出量のほかに、水資源消費量、産業廃棄物排出量等を定量的に把握するとともに、廃棄物削減の取り組みを測る指標として使用済み携帯電話などの回収数をモニタリングしています。

さらに、KDDIグループのサプライチェーン全体の状況を把握するため、主要なお取引先さまに対してアンケートを行い、サステナブル調達における環境取り組みの重要性をご理解いただけるよう啓発・支援するとともに、課題や取り組み状況の共有をお願いしています。アンケート結果をはじめとしたサステナブル調達の推進に関する事項は、サステナビリティ担当役員(コーポレート統括本部長)に定期的に報告され監督されています。2023年度からは、3社(日本電信電話株式会社、KDDI、ソフトバンク株式会社)共通SAQ(Self-Assessment Questionnaire(自評価調査))を導入し、お取引先さまとのさらなるエンゲージメント強化に向けて取り組んでいます。