2025年2月期有価証券報告書より
  • 社員数
    447名(単体) 3,873名(連結)
  • 平均年齢
    38.7歳(単体)
  • 平均勤続年数
    11.0年(単体)
  • 平均年収
    10,847,191円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2025年2月28日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

映画事業

1,970

 (2,067)

演劇事業

130

 (14)

不動産事業

1,587

 (1,157)

その他

40

 (96)

全社(共通)

146

 (-)

合計

3,873

 (3,334)

 

(注) 1 従業員数は就業人員であります。

2 従業員数には嘱託・契約社員592人を含んでおります。

3 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。

 

(2) 提出会社の状況

2025年2月28日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

447

(2)

38.7

11.0

10,847,191

 

 

セグメントの名称

従業員数(人)

映画事業

189

 (1)

演劇事業

81

 (1)

不動産事業

31

 (-)

その他

 

全社(共通)

146

 (-)

合計

447

 (2)

 

(注) 1 従業員数は就業人員であります。

2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3 従業員数には嘱託・契約社員20人を含んでおります。ただし、平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与には嘱託・契約社員を含んでおりません。

4 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。

5 前事業年度末に比べ従業員数が46名増加しております。主な理由は、業容の拡大に伴い期中採用が増加したことによるものであります。

 

(3) 労働組合の状況

当社の労働組合は、全国映画演劇労働組合(略称 全映演)東宝支部と称し、2025年2月28日現在の組合員数は188人であります。また、当社グループには合計で9の労働組合がありますが、労使間で特筆すべき事項はありません。

 

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 

提出会社及び

連結子会社

管理職に占める女性労働者の

割合

(%)

(注)1

男性労働者

の育児休業

取得率

(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

補足説明

全労働者

うち正規雇用

労働者

うちパート・

有期労働者

東宝㈱

14.7

66.7

77.7

81.2

54.9

(注)3

TOHOシネマズ㈱

9.7

100.0

60.5

80.4

101.7

(注)3

東宝ファシリティーズ㈱

8.6

-

71.0

82.8

68.5

(注)3、4

東宝ビル管理㈱

8.3

100.0

51.6

85.0

60.9

(注)3

 

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規程に基づき算出したものであります。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76条)の規程に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。なお、2024年3月1日~2025年2月28日中に育児休業等(育児を目的とした休暇制度を含む)を取得した男性従業員数÷2024年3月1日~2025年2月28日中に育児休業等を取得する権利を有していた男性従業員数(配偶者が出産した男性従業員数)として算出しております。

3 労働者の男女の賃金の差異については、計算期間を2024年3月1日~2025年2月28日までとしております。なお、賃金において男女間の差異が生じている理由は、管理職に占める男性労働者が多いことが起因しております。また、東宝ビル管理㈱においては、「パート・有期労働者」の多くが時間給制での短時間労働に従事している女性であることも主な要因となっております。

4 「-」は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)において選択公表をしていない、もしくは開示義務のない場合、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務がない場合を示しております。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般

① ガバナンス

当社グループは、「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」において、「サステナビリティの基本方針」を「東宝グループは、エンタテインメントの提供を通じて、誰もが幸福で心豊かになれる社会の実現に向けて“朗らかに、清く正しく美しく”貢献します」と定めています。また、当社グループのモットー(行動理念)である「朗らかに、清く正しく美しく」を元に4つの重要課題及びその具体的な取り組み目標を設定しております。

東宝グループが取り組む4つの重要課題

朗らかに 重要課題①  誰もが健康でいきいきと活躍できる職場環境をつくります

清く   重要課題②  地球環境に優しいクリーンな事業活動を推進します

正しく  重要課題③  人権を尊重し、健全で公正な企業文化を形成します

美しく  重要課題④  豊かな映画・演劇文化を創造し、次世代への継承に努めます

 

その推進体制として、経営会議の下にサステナビリティ委員会(委員長:代表取締役社長、委員:経営会議メンバー、オブザーバー:常勤監査等委員)及び専任部署(コーポレートコミュニケーション部サステナビリティ推進室)を設置し、年2回程度の開催頻度でサステナビリティ委員会を開催しております。

同委員会においては、上述の当社グループのサステナビリティの4つの重要課題に関連する「①人的資本 ②気候変動 ③人権 ④文化継承」を含むリスクや機会の把握、それぞれの目標・施策の策定、進捗状況の確認等を実施しております。本委員会で協議した内容は、取締役会にて報告され、当社グループ全体のサステナビリティに関する方針の決定及び監督、進捗の確認を行っております。

 


 

 

② 戦略

当社グループでは、「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」に連動する形で策定した「サステナビリティの基本方針」に則り、4つの重要課題を設定しております。当社グループのサステナビリティ活動にあたっては、これらの重要課題に沿った施策を推進し、その進捗状況については「東宝グループ 統合報告書 2024」にて開示しております。今後も当社グループのサステナビリティ活動を通じてステークホルダーの皆さまとの対話を活性化させ、社会課題に対する解決策を見出してまいります。

「東宝グループ 統合報告書 2024」はこちらからご確認ください。

https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS05040/b5037ee3/0159/4dcd/a2b5/6ab42ad3e300/20241128164642256s.pdf

 

 

③ リスク管理

当社グループでは、グループ全体の事業の継続と経営の健全性を維持するため「リスクマネジメント基本規程」を定め、代表取締役社長を議長とする「リスクマネジメント会議」を設置しております。本会議は総務部が事務局を担い、年2回開催されております。当社グループのリスクマネジメント体制は「第4[提出会社の状況]4[コーポレート・ガバナンスの状況等](1)[コーポレート・ガバナンスの概要]」の[リスク管理体制の整備]に記載の通りです。

当社グループにおける気候変動に関するリスクや機会の識別・評価及び管理にあたっても、同体制に包含されております。同プロセスによって特定された気候変動に関するリスクは「サステナビリティ委員会」に報告され、同委員会を中心に議論されたのち、重要度が高いと判断されたものについては取締役会へ報告される体制となっております。

また、当社グループでは、不平等を許容せず、グループ事業活動に関わる全ての人々の人権を尊重しなければならないと考え、多様性と包摂性のある持続可能な社会の発展に貢献すべく、サステナビリティの重要課題3に「人権を尊重し、健全で公正な企業文化を形成します」と設定しております。

2023年には「東宝グループ人権方針」を制定し、グループポリシーである「東宝憲章」と当社グループの役員・従業員の行動基準である「東宝グループ行動基準」を改訂し、これを踏まえて説明会や社内研修を通じてグループの役員・従業員に周知徹底いたしました。

さらに、当連結会計年度においては、初めて人権教育および人権デュー・ディリジェンス(人権DD)を実施し、当社全社員を対象に、当社内およびサプライチェーン上での人権侵害の有無について特定・分析・評価を行いました。また、引き続き当社グループ会社を対象とした人権DDも実施中であり、今後はサプライチェーン

に対する人権DDに拡大していく予定です。なお、人権DDの過程で人権侵害の疑いのある事象が確認された場合については、適切に予防/是正・救済の措置を講じております。なお、現時点で当社グループ内において重大な人権侵害は確認されておらず、人権DDの結果については適切な方法で情報公開を行っております。これらの取り組みにより、人権リスクについての理解が深まるとともに、人権尊重の観点から適切な業務が行われ、職場

 


 

環境の改善を通じた生産性の向上が期待されております。

今後も、気候変動に関するリスク、人権に関するリスクを中心として、グループ全体でリスク管理体制を構築・強化し、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に努めてまいります。

 

 

 

 

④ 指標及び目標

当社グループは、長期的な社会課題を幅広く検討した後、当社グループにとっての重要な要素を抽出し「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」の策定と連動する形で特定した4つの重要課題<マテリアリティ>ごとに、具体的な取り組み目標を設定しております。

 

重要課題 <マテリアリティ>

取り組み目標

誰もが健康でいきいきと活躍できる職場環境をつくります

●ジェンダー、キャリア(職歴)、年齢、国籍、障がいの有無を問わない多様性のある活力にあふれた組織の形成

●健康経営の推進と社内コミュニケーション活性化によるウェルビーイングの追求

地球環境に優しいクリーンな事業活動を推進します

●脱炭素の実現に向け、再生可能エネルギー等を活用したCO2排出量の削減

※削減目標:

・2030年度までに2017年度比50%削減

・2050年度までに実質排出量ゼロ

●事業活動における環境負荷の少ない素材の活用や廃棄物の削減等、環境課題の解決

人権を尊重し、健全で公正な企業文化を形成します

●誰一人取り残すことなく、すべてのお客様がエンタテインメントを楽しめる環境づくり

●あらゆるステークホルダーの人権を尊重し、持続的に「健全な娯楽」の提供ができる体制の追求

豊かな映画・演劇文化を創造し、次世代への継承に努めます

●映像原版の保全、演劇作品の継承、知的財産権の保護に努め、日本の映画・演劇文化に貢献

●子どもたちへの原体験の提供やクリエイターの支援・育成による、将来のお客様と未来の才能の創出

 

 

(2)気候変動

<TCFDに基づく情報開示>

当社グループは、サステナビリティの基本方針の重要課題2に「地球環境に優しいクリーンな事業活動を推進します」と設定し、脱炭素の実現に向け、再生可能エネルギー等を活用したCO2排出量削減、不動産事業における環境認証の取得促進、事業活動における環境負荷の少ない素材の活用や廃棄物の削減等を推進しております。

地球温暖化への適応及び脱炭素化の推進をはじめとした気候変動課題への取り組みは、2015年のパリ協定の採択や2021年のCOP26における1.5℃目標達成に向けた世界的合意も踏まえ、サステナビリティに関わる社会的な諸課題の中でも特筆して重大なテーマの一つとして認識しております。また、TCFDのフレームワークに即した気候変動リスク及び機会が及ぼす影響の評価と対応策の検討及び事業戦略への統合は、当社グループの企業価値向上と持続可能な社会の実現に資するものと考え、TCFDの提言に賛同し、このフレームワークに基づいた情報開示をしております。引き続き、経営の強靭化と持続可能な社会の実現を目指してまいります。

 

① ガバナンス

当社グループでは、執行側として、経営会議と同メンバーから構成される「サステナビリティ委員会」を設置しております。同委員会では代表取締役社長が委員長を務め、気候変動によるリスクや機会の把握、リスクマネジメント上の観点から、脱炭素やエネルギー効率の向上などの気候変動に関する目標・施策の策定、進捗状況の確認等を実施しております。また、本委員会で協議した内容は、取締役会にて報告され、当社グループ全体の気候変動に関する方針の決定及び監督、進捗の確認を適宜行っております。

また、「中期経営計画 2028」に併せて導入した役員報酬制度「業績連動型株式報酬」においては、その業績指標の一つに「CO2排出量の削減率」を設定し、当社役員(業務執行取締役及び執行役員)の目標達成に向けた行動に対する適切なインセンティブとして機能するよう努めております。

 

 

② 戦略

当社グループでは、気候変動に起因して将来起こり得る不確実な影響因子及びリスクと機会の特定にあたって国際エネルギー機関(IEA)と気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の仮説を参考に、シナリオ分析を実施しております。2023年度時点における考察では、地球温暖化が深刻化する世界及び脱炭素化への移行が推進され2050年までにカーボンニュートラルが達成されるとした世界の2つのシナリオ(1.5℃シナリオ*1と4℃シナリオ*2)を設定し、それぞれの前提条件を踏まえた2030年時点における分析評価を実施しております。

また、当社グループでは創立100周年を迎える2032年を見据えた「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」のもと、お客様の価値観やライフスタイルの変容を踏まえた成長戦略を検討しております。さらにシナリオに基づき、比較的影響が大きい物理的リスクなどに対応するため、気候変動に対するレジリエンス性を確保した戦略の検討を進めております。

さらに2025年4月に公表した「中期経営計画 2028」においても、CO2排出量削減をサステナビリティにおける重要な課題と位置づけております。当社グループの持続的な企業価値向上のためには脱炭素化への貢献が不可欠であると考えており、CO2排出量の削減目標の達成に向けた取り組みを継続的に推進しております。それら取り組みの一環として、当社グループは、東宝スタジオにおける脱炭素化の取り組みを進めております。具体的には、2024年11月より太陽光発電などの再生可能エネルギーと国内初の商用利用*3となる発電時にCO2を排出しない水素を燃料にした火力発電を中心に構成された電気を導入いたしました。最終的には「24/7カーボンフリー電力」*4の実現を目指し、エンタテインメント業界全体の脱炭素化を牽引するとともに、持続可能な地球環境に貢献してまいります。

(*1参考シナリオIPCC:RCP2.6 IEA2021:SDS/NZE2050 

*2参考シナリオIPCC:RCP8.5 IEA2021:STEPS

*3JERA調べによる 

*4「24/7 (twenty-four seven )カーボンフリー電力」は、毎日24 時間・毎週7 日間、すなわち年間365 日にわたってCO2

を排出しない電力の名称です。なお、経済産業省の「電力の小売営業に関する指針」に従い、需要電力量の100 %について、

CO2ゼロエミッション電源を電源構成とし、非化石証書の使用による環境価値をともに供給することを意味しており、燃料の

製造・輸送等のライフサイクルを含めてCO2 が排出されないことを意味するものではありません。)

 

③ リスク管理

リスク管理については「(1)サステナビリティ全般」の「③リスク管理」に記載のとおりです。

 

④ 指標及び目標

当社グループでは、映画館運営や不動産賃貸をはじめとして、業務遂行上、保有不動産の稼働やサービスの提供に伴い電力を主として多くのエネルギーを消費しております。これらのエネルギー消費活動から多くのCO2排出量があることを認識しており、これを受け当社グループでは再生可能エネルギーの利用や保有物件の環境認証取得等を通し、CO2排出量を指標とした削減努力を推進しております。

当社グループでは、近年最もCO2排出量の多かった2017年度(第129期)を基準に、毎年その排出量削減の進捗を管理しております。その結果、2022年度(第134期)時点のCO2総排出量が2030年度の当初目標であった「2017年度比30%削減」を達成したことを受け、2023年度(第135期)において新たに削減目標の見直しを実施し、2030年度の目標を「2017年度比50%削減」に変更しております。なお、2050年度までに「実質排出量ゼロ」を目指すという目標に変更はありません。

今後さらに具体的な施策を進め、引き続きCO2削減活動に注力し脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

 


 

(3)人的資本

① 戦略

1) 多様性の確保を含む人材育成方針

当社グループは、「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」において、成長戦略の推進役となる多様で優秀な外部人材の採用を強化するとともに、よりクリエイティブな組織へと進化するため、人材育成と働く環境の整備を推進することを「人材と組織の戦略」の基本方針として掲げました。

また、2025年4月に公表した「中期経営計画 2028」においては、重点ポイントに「人への投資とエンゲージメント向上」を掲げるとともに、「心を動かし、心を動かす仕事を通じて幸福を得られる会社へ」という新たな「人材と組織のビジョン」を策定いたしました。

さらに、そのビジョンを実現するためのキーワードとして、「少数精鋭から精鋭多数へ」「成長・自律・安心」の2つを掲げました。

具体的には、①成長を推進し、変化に対応できる多様な人材の獲得を促進、②企画力あふれる東宝らしい精鋭人材の育成を強化、③社員の強みを活かし、成長を支援する人事施策を推進、④自らを律し、裁量をもって、安心して活躍できる組織・環境を追求、の4つの方針をもって進めてまいります。

以上を今後の当社グループの人的資本に関する基本戦略として、当社グループで働くすべての社員が、余裕を持ち、朗らかに、いきいきと働ける組織づくりを追求してまいります。

 

  <新人事制度>

当社では、2025年6月の運用開始に向けて、新人事制度の準備を進めております。本制度では「成長・自律・安心」をキーワードに掲げ、一人ひとりの挑戦と自己実現を支援しながら、個人と組織の健全で持続可能な成長を目指してまいります。

本制度では、従来の人事制度の仕組みを全面的に見直し、役割基準の等級制度を導入することで、入社年次・年令・勤続年数・性別に関わらず、すべての社員が主体的かつ自律的にキャリアを形成できる環境を整えてまいります。

また、報酬や評価の仕組みについても、社員が担う役割や成果がどのように評価され、報酬に反映されるのかを明確化することで、制度の透明性を高めるとともに、市場競争力のある給与水準を設定いたします。これにより、優秀な人材の獲得と定着を促進し、社員が安心して長期的なキャリアを築ける職場を実現してまいります。

 

  <従業員エンゲージメントの向上>

当社グループでは、エンゲージメントの高い職場環境の整備を目指し、サステナビリティの重要課題の一つとして「誰もが健康でいきいきと活躍できる職場環境づくり」を掲げ、さまざまな取り組みを積極的に推進しております。

その一環として、当社では、社員の主観や感じ方を可視化し、これに基づいた組織内の対話やコミュニケーションを促進することを目的に、2021年より全社員を対象としたエンゲージメント調査を実施しております。その結果に基づき、注力する項目として「挑戦する風土の醸成」を掲げ、埋もれがちなチャレンジに光を当て、全社で称賛し合う「TOHO CHALLENGE AWARD」を実施し、以降も年に1回継続的に実施しております。また、成長戦略の推進に不可欠な「ミッション・ビジョンへの共感」にも注力し、経営トップと社員が直接対話するワークショップ「タウンホールミーティング」を継続的に実施しております。さらに、2024年5月には、経営陣からのメッセージを全社員が同じ場で共有し、経営方針への理解と共感を深めることを目的に、当社初の「全社員集会」を実施しました。加えて、2025年4月には「中期経営計画 2028」の方針の浸透を図るべく、社員向け説明会を開催いたしました。

これらの取り組みは着実に成果を上げており、エンゲージメントスコアも順調に推移しております。今後も、社員の声を反映した多様な施策を通じて、より良い職場環境の実現に向けた取り組みを進めてまいります。

また、「中期経営計画 2028」に併せて導入した役員報酬制度「業績連動型株式報酬」においては、その業績指標の一つに「従業員エンゲージメントスコア」を設定し、当社役員(業務執行取締役及び執行役員)に社員のエンゲージメント向上へのコミットメントを促し、適切なインセンティブとして機能するよう努めております。

 

  <ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン>

当社グループでは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のためには、多様性のある人材と組織が不可欠と考え、さまざまな取り組みを積極的に推進しております。

当社では、2022年4月の「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」の公表以降、その成長戦略を推進していくうえで、外部で専門性を培った人材の採用を拡大・強化することが不可欠と考え、キャリア採用に注力してまいりました。その結果、2022年3月から2025年2月までの3年間でキャリア採用による当社への入社者が150名を超え、2025年2月末時点で全社員に占めるキャリア採用者の割合は38.1%(前年同期31.9%)に達しました。また、課長職以上の地位に占めるキャリア採用者の割合も24.6%(前年同期20.1%)となりました。

さらに2025年4月に公表した「中期経営計画 2028」においては、成長を推進し変化に対応する多様な人材の獲得を促進することを方針とし、今後3年間でキャリア・新卒含め200名の採用を目標として掲げており、今後も多様なバックグラウンドを持った人材を積極的に採用し、役員・管理職を含めた中核人材としての育成・登用を積極的に進めてまいります。

また、ジェンダーギャップの解消に向けた取り組みも継続的に推進しており、男女の公正な配置・評価・昇格を推進することで、女性の活躍の場が広がっております。当社では女性管理職比率(課長職以上に占める女性の割合)の目標を20%に設定し、2025年2月末時点では、厚生労働省が発表した全国平均12.7%(令和4年)を上回る14.7%(前年同期14.9%)となっておりますが、引き続き目標達成に向けた取り組みを進めてまいります。

加えて、当連結会計年度より社内規程を改定し、「事実婚」および「同性婚」も結婚祝金および結婚休暇の対象に含めました。

こうした取り組みを通じて、人材の多様性を前提とした新しい時代の価値観に適合した「全員活躍」の実現を目指します。

 

2)社内環境の整備に関する方針

当社グループでは、サステナビリティの重要課題1に「誰もが健康でいきいきと活躍できる職場環境をつくります」と設定し、さまざまな取り組みを実施しております。社員が心身ともに健康で、持てる能力を最大限に発揮できる職場環境を実現することが、企業と社員が共に成長するために不可欠と考えております。

また、「中期経営計画 2028」においては、重点ポイントの一つに「人への投資とエンゲージメント向上」を掲げ、「心を動かし、心を動かす仕事を通じて幸福を得られる会社へ」という「人材と組織のビジョン」を実現するため、「自らを律し、裁量をもって、安心して活躍できる組織・環境を追求」することを方針としております。

 

 

  <健康経営>

当社では、「朗らか健康経営」を推進しております。その体制として、代表取締役社長を推進最高責任者に据え、人事部を中心に産業医や診療所と密接に連携しながら、社員の健康増進や労働環境の改善に取り組んでおります。「心のケア 働きがい」「生活習慣改善」「健康診断」「働き方」各項目において目標数値を設定し、その進捗状況を毎年確認しております。また、社内研修をはじめとする様々な施策を実施した結果、「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に4年連続で認定されております。

さらに、当連結会計年度には、当社として初めて「プレゼンティーイズム」調査を実施いたしました。この調査を通じて、生産性向上におけるさらなる改善の余地があることを再認識する機会となりました。今後は、エンゲージメント調査やストレスチェックの結果と併せて分析を行い、より良い職場環境の実現を目指して取り組んでまいります。

 

  <働き方・職場環境の改善>

当社では、全社員が“仕事も私生活も楽しむことで「朗らかライフ」を実現”することを目指しております。この実現に向けて、長時間労働の是正を目的とした時間管理の徹底や、有給休暇をはじめとする休暇取得を促進する社内施策「ゆうゆうProject」の推進を行っております。また、当連結会計年度において、更年期の諸症状、不妊治療、妊産婦の受診などプライベートでセンシティブな事由に対応するための「ウェルネス休暇」を新設いたしました。

さらに、フレックスタイム制の導入により、働く時間を個人のライフスタイルに合わせて選択できる環境を整えております。加えて、働く場所を自由に選べるテレワーク制度も整備し、時間と場所にとらわれない柔軟で多様な働き方を実現しております。また、副業に関するガイドラインを整備するとともに、育児をしながら働く社員の負担軽減を目的としたこども家庭庁主導の「企業主導型ベビーシッター利用支援事業」を新たに導入いたしました。

職場環境においては、多様なワークスタイルへの対応やキャリア採用による社員数の増加を見据え、別フロアの増床工事の実施など、本社オフィスの改革「シン・レイアウト作戦」を継続的に推進しております。オフィスのフリーアドレス化により部門間の垣根を超えたコミュニケーションの活性化を図るとともに、業務効率化と生産性向上にも努めております。

 

 

② 指標及び目標

当社グループは、サステナビリティの基本方針の重要課題1に「誰もが健康でいきいきと活躍できる職場環境をつくります」と設定し、多様性のある活力に溢れた組織づくりを目指して様々なKPIを定め、目標達成に向けて取り組んでおります。

また、2025年4月に公表した「中期経営計画 2028」においては、重点ポイントに「人への投資とエンゲージメント向上」を掲げるとともに、「心を動かし、心を動かす仕事を通じて幸福を得られる会社へ」という新たな「人材と組織のビジョン」を策定いたしました。

さらに、そのビジョンを実現するためのキーワードとして、「少数精鋭から精鋭多数へ」「成長・自律・安心」の2つを掲げました。

具体的には、①成長を推進し、変化に対応できる多様な人材の獲得を促進、②企画力あふれる東宝らしい精鋭人材の育成を強化、③社員の強みを活かし、成長を支援する人事施策を推進、④自らを律し、裁量をもって、安心して活躍できる組織・環境を追求、の4つの方針をもって進めてまいります。

なお、当社グループの連結子会社は業種・業態が多岐に渡り、現時点においては当社グループとして統一されたKPIを設定することが困難なため、当該期間では当社のみの指標及び目標としております。将来的には連結子会社を包含した指標や目標を設定できるよう努めてまいります。

 

<人材の確保と育成>

1.人材獲得の促進

当社は、今後2028年2月末までの3年間で約200名(新卒・キャリア採用合計)の採用を目標とし、特にコンテンツ、IP、海外領域の人材獲得に注力します。これにより、成長を加速させ、変化に柔軟に対応できる多様な人材の確保を進めてまいります。

2. 人材育成の拡充

当社は、企画力にあふれる精鋭人材の育成を強化するため、さまざまな施策を実施してまいります。具体的には、一人当たりの教育研修費を2025年2月期対比で300%増加させます。また、企業内大学「東宝大学」を軸にした新たな人材育成プログラムを創設します。さらに、戦略的人事に注力し、経営人材やマネージャーの早期育成を進めてまいります。

 

<エンゲージメント>

当社では、2021年より従業員エンゲージメント調査を毎月実施しており、職場環境の状況を可視化し、改善に向けたアクションをとるための指標として、そのスコアの推移を重視しております。スコア自体の高低の評価よりも、調査結果に基づいて組織内の対話やコミュニケーションを促進することで、スコアが改善に向かうことを検証することを主目的として活用しております。また、特定の評価項目に着目して、具体的なアクションに注力することで、職場風土・企業文化の改善につなげていくことを目指しています。

従業員エンゲージメント調査の導入から3年を迎えた2024年8月には、全社的な「3年検証レポート」を作成しました。その中で、これまで特に注力してきた評価項目「挑戦する風土の醸成」「ミッション・ビジョンへの共感」のスコアについては、下記の通り、導入当初から継続的な改善が見られ、右肩上がりの向上となっています。

 


 

 

<ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン>

 

「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画」(2026年3月31日まで)

KPI(当社)

1.  職制上において課長職以上の地位に占める女性割合を20%にする

2.  男性を含む全員(100%)が、育児関連休暇または育児休業を取得する

3.  有給休暇と夏期休暇の合計取得日数を1人あたり平均15日以上(年間)にする

 

当社の女性管理職比率は、2025年2月末現在で14.7%となっており、厚生労働省発表の女性管理職比率全国平均12.7%(令和4年度)を上回っておりますが、上記KPIの20%には達しておりません。今後も引き続き、女性が働きやすい職場環境の整備に努めるとともに、女性の管理職登用の機会創出に積極的に取り組み、目標数値の達成に向けて取り組んでまいります。

 

「次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画」(2024年3月1日~2026年2月28日まで)

KPI(当社)

1. 育休関連休暇取得を促進し、以下の取得割合を達成する

取得要件に該当する社員(男女共に)100%

2. 仕事と育児の両立を推進するための環境整備を継続して行う

 

当社では、法令を上回る育児関連制度を整備し、育児関連休暇制度のさらなる拡充や「出産・育児のガイドブック」の作成・周知を通じて、育児関連休暇の取得促進に取り組んでまいりました。

なお、当社の男性育休、女性育休の取得率は、昨年度まで100%を維持しておりましたが、本年度は男性育休66.7%、女性育休80.0%となりました。これは、当社事業年度末の2月に育児休暇の取得要件に該当する従業員が多く、育児関連休暇または育児休業の取得については、翌期の3月以降にずれ込むことが見込まれるためです。今後も、全従業員が育児と仕事を両立できる働きやすい環境の整備を推進し、目標の達成に向けて取り組んでまいります。

 

<健康経営>

当社では、健康経営において2025年の達成に向けて、「心のケア 働きがい」「生活習慣改善」「健康診断」「働き方」の4項目において目標数値を設定しております。

 

「朗らか健康経営」推進計画(2025年達成に向けて)

 

心のケア 働きがい

生活習慣改善

健康診断

働き方

目標

①エンゲージメント調査「健康スコア」で全職場のスコア50以上(最高スコア100)

 

②メンタル不調での1カ月以上の欠勤者0%

・運動習慣で、1日1時間の歩行と同程度の運動を行っている人の割合 60%

・食生活改善で、

血中脂質/BMI異常なしの

割合 70%

①1人あたりの時間外勤務

月平均22.2時間以下

(2019年比5%減)

 

②年次有給休暇取得日数

全員が12日以上

 

 

エンゲージメント調査については、「健康スコア」の項目において全職場でのスコアを50以上とすることを目標にしており、2025年3月時点で調査対象となる当社内93セクションのうち75セクションで達成しております。引き続き全職場での目標達成に向けて取り組んでまいります。また、1人あたりの時間外勤務時間の目標を月平均22.2時間以下としており、2024年(自然歴)の月平均25.2時間からの改善を目指しております。これからも一人ひとりが朗らかにいきいきと働くことができる健康な職場づくりに努めてまいります。