2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    434名(単体) 1,764名(連結)
  • 平均年齢
    43.3歳(単体)
  • 平均勤続年数
    14.3年(単体)
  • 平均年収
    8,716,774円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

映像関連事業

1,324

(6)

興行関連事業

183

(417)

催事関連事業

71

(13)

観光不動産事業

57

(36)

建築内装事業

26

(0)

全社(共通)

103

(7)

合計

1,764

(479)

(注)1 従業員数は就業人員数であります。

2 従業員数は受入出向者及び嘱託を含み、役員、契約者及び出向者を除いております。

3 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。

4 全社(共通)は、総務及び経理等の管理部門の従業員であります。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

434

(19)

43.3

14.3

8,716,774

 

セグメントの名称

従業員数(名)

映像関連事業

273

(2)

興行関連事業

4

(9)

催事関連事業

44

(1)

観光不動産事業

10

(0)

建築内装事業

0

(0)

全社(共通)

103

(7)

合計

434

(19)

(注)1 従業員数は就業人員数であります。

2 従業員数は受入出向者及び嘱託を含み、役員、契約者及び出向者を除いております。

3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

4 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。

5 全社(共通)は、総務及び経理等の管理部門の従業員であります。

 

(3)労働組合の状況

 当社の労働組合には東映新労働組合連合(組合員数4名)と統一東映労働組合(組合員数83名)が存在しております。

 なお、労使関係については円滑な関係にあり、特記すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

   (注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

   (注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

20.3

71.4

76.0

79.5

87.2

②連結子会社

当事業年度

会社名

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の育児休業取得(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

うち

正規雇用労働者

うち

パート・有期労働者

東映アニメーション㈱

25.0

22.2

87.5

88.2

90.9

㈱ティ・ジョイ

0.0

88.6

80.5

97.7

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)サステナビリティ全般

 当社グループは、「中長期ビジョンTOEI NEW WAVE2033」にも定めている以下のサステナビリティ基本方針を基に、社会課題の解決に貢献し、社会と当社グループの持続的な成長を目指すため、サステナビリティを経営の重要事項の一つとして取り組んでおります。

 

<サステナビリティ基本方針>

 当社グループは『愛される「ものがたり」を全世界に』を使命と掲げ、持続可能な社会の実現と当社グループの中長期的な企業価値向上を不可分一体の目標と捉え、重要課題(マテリアリティ)を特定し、取り組んでまいります。

 

①ガバナンス

<サステナビリティ推進体制>

 当社グループは、2022年12月にサステナビリティに関わるグループ全体の管理体系の構築と、サステナビリティ対応力の持続的向上を目的として、環境・社会に関わるサステナビリティ委員会と、ガバナンスに関わる内部統制委員会、リスクマネジメント委員会、コンプライアンス委員会、ハラスメント委員会の4つの委員会を設置しております。サステナビリティ委員会の下部組織には3つの分科会(人的資本経営分科会、D&I推進分科会、TCFD対応分科会)を設置し、具体的な課題の設定と取組みを行っております。このサステナビリティ委員会での議論の結果は、取締役会での具体的な施策の意思決定に反映されております。

 また、2025年1月にサステナビリティ推進に関する企画・統括を担う専門部署として、代表取締役直轄機関の経営戦略部にサステナビリティ推進室を新設致しました。サステナビリティ委員会の事務局機能を担い、サステナビリティ委員会や各分科会の開催に当たる調整を行います。サステナビリティ推進室の統括の下で、当社グループにおけるサステナビリティ戦略の高度化及び取り組みの強化を図ってまいります。

 

<サステナビリティ推進体制図>

 

<各委員会の役割・構成・開催頻度>

種別

組織体

役割

構成

開催頻度

環境・社会

サステナビリティ委員会

持続可能な環境・社会の実現と、当社グループの持続的成長のための環境・社会課題への取り組みについて審議し、取締役会に提言を行う

最高責任者:東映㈱取締役社長

委員長:東映㈱専務取締役

副委員長:東映㈱上席執行役員1名

常任委員:東映㈱上席執行役員2名

担当委員:東映㈱社内取締役2名

東映㈱上席執行役員7名

東映㈱執行役員2名

2回/年

ガバナンス

内部統制委員会

会社法及び金融商品取引法(証券取引法)の求める内部統制環境の構築・維持運営・改善を図る

最高責任者:東映㈱取締役社長

委員長:東映㈱専務取締役

副委員長:東映㈱上席執行役員1名

常任委員:東映㈱上席執行役員2名

担当委員:東映㈱社内取締役2名

東映㈱上席執行役員7名

東映㈱執行役員2名

適宜開催

ガバナンス

リスクマネジメント委員会

当社グループにおけるサステナビリティ課題等全てのリスクを監視し可能な限り最適な方法を検討し対処する

最高責任者:東映㈱取締役社長

委員長:東映㈱専務取締役

副委員長:東映㈱上席執行役員1名

常任委員:東映㈱上席執行役員2名

担当委員:東映㈱社内取締役2名

東映㈱上席執行役員7名

東映㈱執行役員2名

2回/年

ガバナンス

コンプライアンス委員会

コンプライアンスに関する教育、研修等の計画の実施、担当委員からの報告の聴取及び検討、法令等違反行為に関する取締役社長への報告を行う

最高責任者:東映㈱取締役社長

委員長:東映㈱専務取締役

副委員長:東映㈱上席執行役員1名

常任委員:東映㈱上席執行役員2名

担当委員:東映㈱社内取締役2名

東映㈱上席執行役員7名

東映㈱執行役員2名

適宜開催

ガバナンス

ハラスメント委員会

人権侵害などを含む、各種ハラスメントの相談・調査・判断、被害者の救済、再発防止に努める

最高責任者:東映㈱取締役社長

委員長:東映㈱専務取締役

副委員長:東映㈱上席執行役員1名

委員:東映㈱上席執行役員1名

部門担当部長・マネージャー

4名

適宜開催

 

<第102期 サステナビリティに関する会議の審議状況>

開催日

組織体

サステナビリティに関連する主な議題

2024年6月18日

取締役会

・第102期リスクマネジメント計画

2024年10月22日

取締役会

・長時間労働への対応状況

・フリーランス新法への対応状況

2025年1月22日

取締役会

・マテリアリティおよび価値創造プロセスの策定

 

開催日

組織体

主な議題

2024年5月28日

第4回サステナビリティ委員会

・第101期温室効果ガス排出量データ等の報告、排出量削減に向けた取組予定の報告

・人材育成方針・社内環境整備方針の策定

・D&Iプロジェクトの活動状況の最終報告

2024年12月24日

第5回サステナビリティ委員会

・マテリアリティ及び価値創造プロセスの策定

・サステナビリティ推進室の立ち上げ

②戦略

 『愛される「ものがたり」を全世界に』という当社グループの使命のもと、「③リスク管理 イ.サステナビリティ関連リスク及び機会の識別・評価の過程について」に記載の特定プロセスを経て、「中長期ビジョンTOEI NEW WAVE2033」の実現に向けた6つのマテリアリティを2025年1月に策定致しました。社会課題の解決と企業価値向上の両立を経営の根幹に据え、目指す姿の実現に向けて、マテリアリティに対する重点施策を経営計画等に反映し、取り組みを進めてまいります。

 

<東映グループで取り組むマテリアリティ(重要課題)>

1.愛される「ものがたり」をつくり、届け続ける

2.クリエイティビティを発揮するための人的投資

3.グローバル展開を目指したIP創出力の増強

4.国内外のパートナーとの連携強化

5.知的財産の保護と活用

6.サステナビリティ経営の高度化

 

<各マテリアリティ(重要課題)における主なリスクと機会>

マテリアリティ(重要課題)

主なリスク

主な機会

1.愛される「ものがたり」をつくり、届け続ける

・作品本数増加に伴う労働時間の増加による、人件費の増加、従業員エンゲージメントの低下 など

・安定した作品本数を維持することで、売上高の増加、顧客の獲得、顧客満足度の向上 など

2.クリエイティビティを発揮するための人的投資

・労働環境が改善しないことによる、従業員エンゲージメントの低下

・差別・偏見・ハラスメントなどを放置することによる、企業イメージの棄損、顧客の離反、従業員エンゲージメントの低下

・社内やサプライチェーン上の労働環境・人権問題やコンプライアンス違反による、配給・配信の停止や商品の回収による、社会的評価の低下、売上高の低下

・人材の社外流出や確保困難 など

・対話を行い、適切な労働環境へ改善することによる、従業員エンゲージメントの向上

・人材育成・キャリア開発を行うことによる、生産性の向上

・D&I推進経営を行うことによる、競争力の向上、イノベーションの促進、企業イメージの向上、リスク管理能力の向上

・多様な人材を受け入れることによる、人材の確保の容易化 など

3.グローバル展開を目指したIP創出力の増強

・撮影所の拡充や新規機材導入等の投資による事業費の増加 など

・DX技術の活用による、撮影費や人件費の減少によるコスト削減

・映像技術の先進企業としてのブランド価値の創出 など

4.国内外のパートナーとの連携強化

・取引先との連携不足による、国内外での配給・配信本数の減少による新たな価値の提供機会の喪失、売上高の低下 など

・国内外の取引先と連携を強化することで、安定した配給・配信網・物流網の確保、商品やサービスの販売機会の拡大、売上高の増加 など

5.知的財産の保護と活用

・知的財産権の侵害による、企業イメージの棄損、売上高の低下、ブランド価値の低下

・映像原版を適切な環境で保管しないことによる、映像資産の喪失

・映像原版をデジタル化することによる、事業費の増加

・マルチユース展開(二次利用・三次利用)の遅れによる、商品やサービスを通じた新たな価値の提供機会の喪失 など

・知的財産権保護教育による、侵害リスクの低下、従業員意識の向上

・映像原版をデジタル化することで、半永久的に映像資産を次世代に残す

・適切なタイミングでマルチユース展開を行うことによる、商品やサービスの販売機会の拡大、売上高の増加 など

 

 

マテリアリティ(重要課題)

主なリスク

主な機会

6.サステナビリティ経営の高度化

・炭素税の導入による事業コストの増加

・CO2削減のための設備投資等支出の増加

・再生可能エネルギーへの転換による電力価格の変動

・気候変動がもたらす自然災害の増加により撮影所・映画館・保有不動産への物理的な損害

・気温上昇に伴う撮影所・映画館・保有不動産での空調使用量の増加

・気候変動がもたらす自然災害の増加により、映画館の休業やイベント休止等に伴う来場者数の減少、売上高の低下

・サイバー攻撃や従業員等の故意・過失による情報漏洩により、企業イメージの棄損、取引先・顧客からの信頼性の低下 など

・省エネや廃棄物削減、リサイクル、エネルギー供給源の見直し(再エネの活用)によるコストの削減

・バーチャルプロダクション・AI等DX技術の活用によるCO2排出量や廃棄物の削減

・情報セキュリティ強化による、取引先・顧客からの信頼性の向上

・情報セキュリティ教育による、情報漏洩リスクの低下、従業員意識の向上 など

 

③リスク管理

イ.サステナビリティ関連リスク及び機会の識別・評価の過程について

 当社グループに影響を及ぼす可能性のあるサステナビリティ関連課題の識別、評価は、マテリアリティ(重要課題)を特定する過程で実施をしております。国際的なガイドラインを基に、自社の財務に与える影響及び社会や環境に与える影響を鑑みて特定致しました。以下、マテリアリティ(重要課題)の特定プロセスを記載いたします。

 

<マテリアリティ(重要課題)の特定プロセス>

「マテリアリティ(重要課題)」特定プロセス

サステナビリティ課題の抽出及びロングリストへの絞り込み

SASBスタンダードなどの国際的なガイドラインや環境・社会・経済に対する影響が大きい課題から抽出した数百のテーマを、企業としての実現の是非や重複の調整などの手順で約200の課題(ロングリスト)に絞り込みました。

ロングリストからショートリストへの絞り込み

情報通信業(エンターテインメント業)の抱える問題や同業他社のマテリアリティ等を参考に、当社グループの業種においてグローバルに求められる評価基準も加味し、35の課題(ショートリスト)に絞り込みました。

重要性評価による重要課題の特定

ショートリストから、社外取締役を含む取締役にインタビューやアンケートを実施し、その結果から抽出した課題の内、外部の有識者(証券代行系コンサルティング会社)を交えながら社会的な側面及び事業的な側面でインパクトの大きな課題を特定しました。

 

マテリアリティの特定にあたり、取締役は十分なスキルを保持していると考えております。取締役のスキルマトリックスを以下に記載しておりますので、ご確認ください。

 

<社内及び社外取締役のスキルマトリックス>

 

ロ.サステナビリティ関連リスク及び機会の管理体制について

 当社グループでは、企業価値毀損に繋がる、事業の持続性に影響を及ぼす、組織目標の達成を阻害する事象・要因のうち、組織横断的な対応が必要となるものを企業経営に係るリスクと捉え、リスクマネジメント規程を定め、確実に対応するためのマネジメントシステムを構築しております。

 経営管理本部担当取締役が委員長となり、各部門を統括する執行役員以上の役員が委員であるリスクマネジメント委員会では、リスク対応の優先順位づけなど、サステナビリティ関連リスクも全て含んだ全社的リスクマネジメントを実施しております。また、リスクアセスメントの過程でリスクから派生する機会も同時に識別し、評価及び管理しております。識別された機会は、事業戦略策定プロセスにおいて検討され、新たな事業機会の創出や企業価値向上に繋がるよう活用されています。

 詳細な管理体制図及び重要リスクの選別方法については「3.事業等のリスク」をご参照ください。

 

④指標及び目標

 当社グループは、各マテリアリティ(重要課題)において、「中長期ビジョンTOEI NEW WAVE2033」と連動する形で、以下の取組みテーマを設定致しました。具体的な指標及び目標につきまして、気候関連は「(2)気候変動 ④指標及び目標」、人的資本関連は「(3)人的資本 ④指標及び目標」に記載をしております。

その他のマテリアリティ(重要課題)に関する具体的な指標や目標につきましては、現在検討をしており、順次準備を進めてまいります。

 

マテリアリティ(重要課題)

取組みテーマ

1.愛される「ものがたり」をつくり、届け続ける

・質の高い作品の制作・提供を通して、社会に貢献する

2.クリエイティビティを発揮するための人的投資

・人権の尊重

・戦略的な採用と配置

・ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進と職場環境の整備

・「個」の強化

3.グローバル展開を目指したIP創出力の増強

・東京撮影所・京都撮影所・アニメーション製作スタジオ等の拡充

・先端映像テクノロジー、撮影設備技術への投資

4.国内外のパートナーとの連携強化

・海外ネットワークの構築

・イベント、マーチャンダイジングへの展開促進

・データドリブン/マーケティングの強化

5.知的財産の保護と活用

・著作権、商標権の保護に関する取組みの強化

・従業員に対する知的財産保護教育の徹底

・映像原版の保全

・国内外のIPマルチユース(二次利用・三次利用)の促進

6.サステナビリティ経営の高度化

・情報漏洩を防ぐためのセキュリティの強化

・脱炭素に向けた省エネ・再エネを活用したCO2削減

・プラスチック製品等の廃棄物削減

・節水など水資源の保全への取組みの強化

 

 

(2)気候変動

 当社グループは、気候変動が重要な経営課題と認識しており、マテリアリティ(重要課題)「6.サステナビリティ経営の高度化」を設定しております。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に基づいて、情報開示を行います。

 映画・アニメ制作、スタジオ運営、劇場興行、知的財産ビジネスにおいて、気候変動はリスクだけでなく、新たな事業機会を生み出す機会となり得ます。当社グループは、「脱炭素社会への適応」「持続可能なコンテンツ制作」「省エネルギー・再生可能エネルギーの活用」を重要戦略とし、気候変動リスクの低減と事業競争力の強化を同時に推進致します。

 

①ガバナンス

 サステナビリティ委員会の下部組織として、TCFD対応分科会を設置し、再生可能エネルギーを活用した温室効果ガスの排出量の削減や、プラスチック製品等の廃棄物の削減など環境負荷の軽減を図る具体的な取組みを行っております。

 気候変動に関わる方針及び戦略については、その重要性に応じ、サステナビリティ委員会において議論された後、重要事項については個別に取締役会に付議・報告され、全体の活動については、定期的な取締役会報告を通じて取締役会による監督が適切に図られる体制となっております。

 

<気候変動対策に関わる組織体とその役割>

組織体

役割

取締役会

サステナビリティ戦略の方針決定、重要リスクのモニタリング

サステナビリティ委員会

気候変動対応戦略の策定、指標・目標設定、KPIの管理

TCFD対応分科会

脱炭素戦略の推進、スタジオ・劇場運営におけるエネルギー管理、制作現場の環境負荷低減施策を統括、各種指標及び目標の検討及び策定

リスクマネジメント委員会

気候変動に関する全てのリスクの監視、対応

 

②戦略

 当社グループでは、劇場運営を始めとして、スタジオ運営や不動産事業活動など電力を主として、エネルギーを消費するサービス提供形態となっております。事業活動に必要不可欠なエネルギーをいかに効率よく活用し、削減するのか再生可能エネルギーの活用も含めて、引き続き、検討してまいります。また、紙製品やプラスチック製品、食品ロス等の廃棄物も気候変動への影響は甚大です。廃棄物の削減についても、積極的な取組みを行ってまいります。

 以下、各セグメントにおける、環境課題解決に向けた具体的な取り組みを実施しております。

 

<セグメント別の具体的な取組み>

セグメント

具体的な取組み

全社

・排出量調査システムを活用し、調査を実施

東映㈱及び東映アニメーション㈱事業所

・「ペーパーレス会議」「稟議書の電子化」「電子契約書」の推進

・電力に関して100%再生可能エネルギーを利用(東映アニメ㈱中野オフィスのみ)

・LED照明への順次切替

映画・アニメ制作スタジオ部門

・環境に配慮した大泉アニメーションスタジオ(建築外装・建築設備におけるサステナブルデザインの採用)

・デジタル技術の導入(AI活用・バーチャルプロダクション)

・㈱伊藤園と協同による東映東京撮影所、東映京都撮影所における使用済みペットボトルの水平リサイクル

・LED照明への順次切替

催事部門

・各種販促物のパッケージを簡素化

・チラシやフライヤーなどの印刷物を削減し、情報発信をWEB媒体へと移行することで、紙資源の使用量を抑制

・「仮面ライダーストア」にて、繰り返し使用可能な素材を用いたショッパーを採用

・催事・展覧会における紙チケットからデジタルチケットへの移行を推進

・催事・展覧会で使用する展示パネルは、木工パネルの使用を極力控え、再利用可能なシステムパネルを活用することで、木工廃材を削減

不動産部門

・保有物件のLED照明への順次切替

・保有物件の空調機器を始めとした設備の順次更新

興行部門

・紙のチケットを発行しないスマート入場システムの導入

・JBPA(日本バイオプラスチック協会)認証のバイオマスストローへの変更

・LED照明への順次切替

ホテル部門

・地産地消や食品ロス等の廃棄物の削減

・各種アメニティーを共有部に設置し、プラスチック製品の廃棄物の削減

・トイレットペーパーの使い切りを推奨

・不要な時間帯のエネルギー(電気/重油)使用の節減

・タブレットを用いた受付業務のデジタル化によるペーパーレス化

・客室シャワーヘッドを節水型に順次変更

・連泊エコプランを導入(連泊時のリネン類の交換や客室清掃を必要最小限にし、洗剤や水の使用量を削減)

・LED照明への順次切替

 

③リスク管理

 気候変動への取組みを推進するTCFD対応分科会では、当社グループ全体のCO2排出量の算定、気候変動に関する課題への対応策の検討や具体的な指標及び目標の設定及び継続したモニタリングを年1回実施しております。

 詳細なリスク及び機会の特定につきましては、環境省が推奨するシナリオ分析を用いて識別、評価及び管理を行います。気候変動における将来的な事業コストへの影響を予測し、対応策を検討するために第103期中の実施を予定しております。

 

④指標と目標

 当社グループにおいて、CO2排出量を削減していくことは、脱炭素社会の実現に向けた責務であると認識しております。第100期より現状を把握するため、連結子会社までを対象として温室効果ガスの排出量の調査を年1回実施しております。

 削減活動の推進を行い、2030年に第100期実績対比でCO2排出量▲46%の削減目標を設定し、再生可能エネルギーを使用した電力への切替等、対応策を計画、検討しております。2050年にカーボンニュートラルの達成を目指すべく、グループ一丸となって気候変動対策への取組みを進めてまいります。

 

<CO2排出量の推移>

CO2排出量

2022年度実績
(第100期)

2023年度実績
(第101期)

2024年度実績
(第102期)

2030年度目標
(第108期)

2050年度目標
(第128期)

Scope1

2,459

2,963

3,501

0

Scope2

18,929

17,202

16,589

0

合計値

21,388

20,165

20,090

11,550

0

第100期比

0%

▲5.7%

▲6.0%

▲46.0%

▲100%

※単位:t-CO2

※連結対象会社の実績合計値です。

※マーケット基準にて算定をしております。

※当社グループの事業年度(4月1日~翌年3月末)を基準に計測を実施しております。

※使用電力量等の一部には、建物オーナー側において購入・契約している電力に含まれる再生可能エネルギー由来の電力量等が含まれる可能性があります。当社としては区分可能な範囲で開示に努めておりますが、現時点においては十分な情報の入手が困難な状況でございます。

 

<Scope1及びScope2の算定プロセス>

 Scope1は直接排出(ガソリン、灯油、重油、ガス)、Scope2は間接排出(電気)であり、それぞれの使用量に対して最も適切と考えられる排出原単位を乗じて算定しています。

 排出原単位は、環境省が公表している「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」ならびに「電気事業者別排出係数(特定排出者の温室効果ガス排出量算定用)」を利用しています。

 

(3)人的資本

 当社グループは、映画・アニメ・TV番組の制作・配給および知的財産ビジネスを中心としたエンターテインメント企業として、クリエイティブな人材の育成と多様な人材が活躍できる環境の整備が、持続的成長の鍵であると認識しております。

 マテリアリティ(重要課題)「2.クリエイティビティを発揮するための人的投資」を設定し、人的資本への投資を強化し、従業員の能力開発・働きがいの向上・ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を推進し、クリエイティブ産業としての社会的責任を果たしてまいります。

 

①ガバナンス

 サステナビリティ委員会の下部組織として、人的資本経営分科会及びD&I推進分科会を設置し、ダイバーシティ経営・健康経営の推進、人材の確保、育成、評価などの具体的な課題の設定と取組みを行っております。

 人的資本に関わる経営の方針や戦略、関連する制度については、その重要性に応じ、サステナビリティ委員会において議論された後、重要事項については個別に取締役会に付議・報告され、全体の活動については、定期的な取締役会報告を通じて取締役会による監督が適切に図られる体制となっております。

 

<人的資本経営に関わる組織体とその役割>

組織体

役割

取締役会

サステナビリティ戦略の方針決定、重要リスクのモニタリング

サステナビリティ委員会

人的資本経営戦略の策定、指標・目標設定、KPIの管理

人的資本経営分科会

人材育成プログラムの推進、社内環境整備の推進

D&I推進分科会

多様性の浸透活動の推進

リスクマネジメント委員会

人的資本に関する全てのリスクの監視、対応

コンプライアンス委員会

コンプライアンスに関する教育、研修等の計画の実施、担当委員からの報告の聴取及び検討、法令等違反行為に関する取締役社長への報告を行う

ハラスメント委員会

人権侵害などを含む、各種ハラスメントの相談・調査・判断、被害者の救済、再発防止に努める

 

②戦略

 コンテンツ産業である当社グループの持続的成長のために、すべての従業員が自発的に且つ最大限に能力を発揮できる環境を構築し、働くことに喜びを見出せる会社・組織像の実現が重要であると認識しております。従業員の多様性の尊重と個の成長を促すため、以下、2023年10月に、当社グループにおける「人材育成方針」及び「社内環境整備方針」を以下の通り策定いたしました。

 

<人材育成方針>

 メディア環境やニーズの変化へ柔軟に対応し、価値あるコンテンツを創り続けると同時に世界に届けるために個の成長を促す能力開発プログラムの拡充と挑戦機会の提供に努めてまいります。

 

<社内環境整備方針>

 ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を推進することにより当社グループで働くすべての人が最大限に能力を発揮できる環境を整え、ワークライフバランスの実現やハラスメント防止に努め、安心・安全な職場環境を構築することで人材が集まるグループを目指します。

 

 上記方針に基づいて、当社グループは、以下の4つの重点領域を定め、人的資本経営を推進し、従業員一人一人のエンゲージメント向上を図ることが企業の成長につながると認識しております。

 

イ.人権の尊重

 メディア業界においては、クリエイターや制作スタッフの労働環境の適正化と、ハラスメントの防止が極めて重要と認識しております。また制作現場を含めた全従業員および協力会社に対して、「東映グループ人権方針」を策定し、以下の取り組みを実施しております。これらの取り組みにより、制作現場の安全性と透明性を確保し、すべてのクリエイターが能力を発揮できる環境を整備します。

 

・ハラスメント防止規定の強化(匿名相談窓口の設置、社外監査の活用)

・ハラスメント防止やリスペクト研修の実施

・日本映画制作適正化機構のガイドラインへの対応

・制作現場における労働環境の適正化(過重労働防止のための勤務時間管理システムの導入)

・外部制作会社との契約基準の見直し(適正な契約内容の整備、公正な報酬体系の確立)

 

ロ.戦略的な採用と配置

 優秀な人材を確保し、そのパフォーマンスを最大限に引き出すための戦略的な採用と配置は、当社の競争力を強化し、長期的な成長を促進することができます。企業の成長を推進する人材を採用・登用するため、以下の施策を展開しております。

 

・新卒採用や通年採用等、採用の多チャンネル化による人材確保

・グローバル市場への展開を見据えた人材やプロデューサー等、プロフェッショナル人材採用の強化

・新人事制度の運用による、年次に関わらない登用・抜擢

・報酬・評価制度の見直し(成果主義の適正な運用と透明性の確保)

・グループ間人材交流促進による、グループ全体での戦略的配置

・部署間/事業所間の異動の促進による多様なキャリア経験蓄積

 

ハ.ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進と職場環境の整備

 クリエイターにとどまらず、多様な価値観やバックグラウンドを持つ人材が活躍できる組織づくりを目指し、D&I推進を経営戦略の中核に据え、さらに、長く活躍するための個人の健康づくりを支援するため、以下の取り組みを実施しております。

 これらの取り組みにより、当社で働くすべての人が最大限に能力発揮できる環境を整え、ワークライフバランスを実現し、働きやすい職場環境を構築することで従業員のエンゲージメントを向上させ、長期的な企業価値の向上を図ります。

 

・管理職における女性比率の向上

・障がい者雇用の促進(職場環境の整備、新卒採用におけるチャレンジ枠の設定、サテライトオフィスの導入)

・仕事と育児・介護・治療等の両立支援の推進

・労働時間の短縮に向けた取り組み

・フレックスタイム制・リモートワーク制度の拡充

・健康経営の推進(メンタルヘルスサポート、福利厚生の充実、「TOEI Walking Week」等イベントの開催)

 

<健康経営推進体制図>

ニ.「個」の強化

 映画・アニメ・TV業界は、技術革新が急速に進む領域であり、人材の個の能力向上が必要不可欠です。当社グループでは、従業員の主体的な学びや成長を支援する制度や階層別研修等の能力開発支援、キャリア自律を支援する制度等の充実化を図っており、以下の施策を展開しております。

 社員一人ひとりのキャリア形成を支援し、積極的な能力開発を実施することで、業界をリードする人材を育成していきます。

 

・能力開発支援の拡充

研修

新入社員研修・

フォローアップ研修

入社前および入社後に、会社の業務内容、組織の理解、基本的な業務スキルを習得させるための研修

e-Learning

ビジネスに必要な知識を習得するため、会社がテーマを定め、課題の受講を命じる研修

職位別・等級別研修

各職位および等級に応じて、会社が期待する知識の習得を目的として実施する研修

自己学習支援

通信教育補助金

会社が指定する通信教育を修了し、優秀な成績を収めた場合に受講料を支給

自己学習補助金

適用対象者が各種学校やセミナー等の受講を希望し、会社の選考を経て承認された場合、受講料の一部を会社が支給

資格取得支援

奨励金

指定資格を取得し、会社に申請した場合、一時金として支給

検定料補助

該当部署の適用対象者が指示を受けて受験した場合の検定料を支給

資格手当

指定資格を取得した場合、毎月の給与に加算して支給

 

・主体的なキャリア形成を支援する「Toei Career Action Program」の導入

制度名称

内容

JobTry制度(申告異動制度)

様々な業務を経験する

東映マルチプレイヤー制度

所属する部署に籍を置きながら、他部署の業務に携わることを認める

キャリアチャレンジ制度(社内公募制度)

自己実現に向けて挑戦する機会を創出する

キャリアデザインシート

キャリアプラン設計やキャリア形成力を育成する

キャリア研修

 

・社内外の講師による講演を主軸とした「東映塾」の開催

・VIPO(映像産業振興機構)が運営するプロデューサー向け海外トレーニング研修の受講

 

③リスク管理

 当社グループでは、社員参加型の人材プラットフォームを活用した面談や、従業員のモチベーションを測るエンゲージメントサーベイを定期的に実施するなど、定性的・定量的に人材に関わる潜在的・表層的なリスクや課題を把握しております。その結果を基に指標及び目標の設定やモニタリングを実施し、職場環境の具体的な改善策に反映させるなど実行・管理しております。

 また、当社グループの事業活動に関わる全てのステークホルダーの人権が尊重されなければならないことを当社グループの全ての役員・従業員が理解・認識し、サステナビリティリスクを識別・対処・回避するための方針・ガイドラインとして、2024年6月に「東映グループ人権方針」「東映グループ取引方針」を策定し、また、「東映コンプライアンス指針」を改定致しました。

 人権リスクへの迅速な対応に当たり、当社グループで働く役員、従業員(嘱託、契約者、アルバイト等の当社の業務に従事する者を含む。)、派遣社員、当社グループの取引先(フリーランスを含む。)が、職場や取引先、社外等で法律・社内規程等に違反する行為や反倫理的行為、またはその恐れのある行為を見たり聞いたり、感じたりしたときに報告・相談するための窓口として「東映グループホットライン」を設置しております。通報窓口は、当社グループから独立した外部の通報窓口の専門会社が担当しており、窓口で受付けた相談等の内容については、東映㈱の担当役員またはコンプライアンス委員会事務局へ報告されます。(ハラスメント事案については、コンプライアンス委員会事務局よりハラスメント委員会へ転送されます。)その後、事実調査等が行われ、問題が事実であった場合には是正措置がとられます。

 

④指標及び目標

 当社グループでは、「(3)人的資本 ②戦略」に記載の4つの重点領域に紐づく以下の各種環境指標や目標を設定し、継続したモニタリングを実施しております。人的資本投資を通じて、「中長期ビジョンTOEI NEW WAVE2033」の実現に向けた強固な組織基盤を構築し、持続的成長を支える企業文化を醸成してまいります。

 また一部を除き、当社、東映アニメーション㈱、㈱ティ・ジョイの3社での連結数値となります。その他グループ会社については、現在社内環境整備を行っており、順次開示に向けて準備を進めてまいります。

 

<人的資本経営に関わる指標及び目標>

指標

2023年実績
(第101期)

2024年実績
(第102期)

中長期目標

1.人権の尊重

ハラスメント研修受講人数

827名

1,007名

2028年:全従業員が受講

映適認定本数比率*1

100%

100%

申請作品は100%認定

2.戦略的な採用と配置

全労働者におけるキャリア採用者比率

※グローバル人材含む

49.6%

44.7%

50%程度を維持

グループ間交流人数*2

42名

55名

3.ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進と職場環境の整備

管理職における女性比率

20.8%

21.4%

2033年:30%

全労働者における男女間賃金格差

85.8%

87.0%

男性育児休業取得率

50%

43.7%

2030年:85%

4.「個」の強化

人材開発・研修の費用*3

※語学研修含む

46,080,260円

62,367,909円

エンゲージメントスコア*4

63.4

63.5

・年4回実施

・回答率80%以上

・スコア69

 

※上記の指標および目標は、東映㈱、東映アニメーション㈱、㈱ティジョイの3社連結数値。

※その他グループ会社については今後反映できるよう検討・準備を進める。

*1 実写映画対象につき当社(単体)数値。

*2 3社以外のグループ会社(東映ビデオ㈱、東映衛星放送㈱、等)含む。(グループ会社間は含まない)

*3 人的資本経営分科会を通して関連部署と取組み内容を改めて整理・精査し、今期より指標を変更。

*4 当社(単体)数値。社員が組織や仕事に対して自発的な貢献意欲を持ち、主体的に取り組める状態を数値化したもの。満点=100点。

 

<指標及び目標の算定基準>

指標

算定基準

ハラスメント研修受講人数

対象年度に受講した人数の合計値

映適認定本数比率

対象年度の申請作品に対し、認定された作品の比率

全労働者におけるキャリア採用者比率

対象年度末時点の全労働者数(契約社員、アルバイト、派遣社員も含む)における比率

グループ間交流人数

当社を起点とした対象年度末時点での出向者数および出向受け入れ者数の合計値

管理職における女性比率

対象年度末時点の管理職(等級M以上)における比率(グループ会社についてはM相当の等級)

全労働者における男女間賃金格差

対象年度末時点の全労働者(契約社員、アルバイト、派遣社員も含む)における格差

男性育児休業取得率

対象年度に子が誕生した従業員数における育児休業取得者数の比率

人材開発・研修の費用

能力開発支援の研修時間(東映塾、ハラスメント研修、海外展開トレーニングを含む)