リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されていない他の事項が影響を及ぼす可能性もあります。また、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 当社グループの営業基盤について
当社グループは、羽田空港において空港法に基づく空港機能施設事業者としての指定を受けており、旅客ターミナル3棟及び立体駐車場2棟を建設・所有し、管理・運営する企業として、事務室等の賃貸のほか、空港内店舗における物品販売(食料品を含む)、飲食店舗の運営、機内食の製造・販売や旅行サービスの提供等を行っております。
また、成田空港等の拠点空港においても、物品販売や機内食の製造・販売等の飲食サービスの提供を行うほか、空港外に保有する社有地を有効活用した不動産賃貸等を行っており、長年培ってきた経験を生かして空港内外における新たな事業展開についても取り組んでおります。
(2) 当社グループのリスク管理体制について
公共性の高い旅客ターミナルの建設、管理・運営を担う当社グループにとって、事業の継続性を確保することは社会的使命であり、新たなリスクが顕在化する不確実な社会において、事業を取り巻くリスクを把握し、対策を講じることは組織のレジリエンス確保において重要な課題であると認識しております。
当社の事業にとって重要性が高いと評価されたリスク(優先リスク)については、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会をはじめとしたマネジメントプロセスの中で、対応状況の確認と効果検証を繰り返し見直す体制としています。リスク管理委員会では、全社的に収集したリスク情報をもとに優先リスクを定期的に更新し、リスク管理委員会での審議内容は、必要に応じて取締役会へ報告され、リスク管理に関する監督を受ける体制となっています。
(3) 当社グループの事業等のリスクについて
リスクの影響度及び頻度(拡大速度)の二軸評価により、18項目の優先リスクを選定し、リスクの性質により分類しております。
これらのリスクとして想定した事項が発生、拡大した場合においても、当社グループの経営に対する影響を最小限に留めるよう、地域別(羽田空港、成田空港等)、業種別(施設管理運営業、物品販売業、飲食業)に売上構成を多様化することによりリスクの分散を図るとともに、新規事業への取り組みを強化しております。さらに、各事業分野における運営諸費用の増加への対策強化等により当社グループの企業体質の強化と総合力の向上に努めております。
分類 |
優先リスク |
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①危機管理(外的要因) |
・テロ・破壊活動 ・空港機能の著しい低下(自然災害・事故) |
・重大な感染症のまん延 ・サイバーセキュリティ対策不備 |
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②業務プロセス(内部要因) |
・商品管理不備(食の安全・過剰在庫) ・サプライチェーンマネジメントの不備 |
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③経営基盤 |
・人財不足・育成不足、エンゲージメント低下 ・グループガバナンスの不足 ・DEI推進・人権尊重の不足 |
・財務制限条項抵触 ・同意なき買収 |
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④事業環境変化 |
・環境課題への対応 ・行動様式変化・技術革新への対応 ・政策(公的規制)の変更 ・新規事業・買収・設備投資の実施 |
・市況の急激・大幅変動 ・売上構成多様化(航空依存緩和) ・国際情勢の変化 |
①危機管理(外的要因)、②業務プロセス(内部要因)
「危機管理(外的要因)」「業務プロセス(内部要因)」には、事業運営上、顕在化を抑止する必要のあるリスクを分類しております。
当社グループは、旅客ターミナルを安全かつ快適にご利用いただけるよう防災、防犯、事故防止に全力を傾注し、商品管理やサプライチェーンマネジメントについては日頃より細心の注意を払い、事業運営を行っておりますが、以下のような事態が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
・テロ行為・破壊活動等により、空港又は旅客ターミナルに人的・物的損害が発生するような事態が生じた
場合。
・自然災害や事故により、空港又は旅客ターミナルに人的・物的損害が発生するような事態や航空便の欠航が生じた場合。
・重大な感染症のまん延により、航空需要が著しく減少する事態が発生した場合。
・個人情報の漏洩や、当社グループの運用する情報システムあるいは通信ネットワークに重大な障害が発生した場合。
・飲食店舗や物販店舗等において食中毒、異物混入等の品質保証問題が発生し、企業イメージの失墜や行政処分等が生じた場合。
・外国製資材の入手困難化や物流の途絶、不適切な調達活動でのレピュテーションの悪化などの事態が生じた場合。
③経営基盤
「経営基盤」には、構築が不十分な場合にそれ自体がリスクになる項目を分類しております。
当社グループの運営には、旅客ターミナル事業の有する高度の安全性と公共性についての適切な認識及び、当社の企業価値の源泉をなす重要な経営資源(独創性の高い技術・ノウハウ、特定の市場分野における知識・情報、長期にわたり醸成された取引先との深い信頼関係、専門分野に通暁した質の高い人材等)への理解が必要となります。当社グループは中期経営計画に基づき、DX推進、組織・人材・ガバナンスの強化、財務戦略による経営基盤の強化に取り組んでおりますが、以下のような事態が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
・人手不足等により、店舗営業や新技術導入、新規事業推進などが制約される事態が生じた場合。
・本社事業部門とグループ会社間における情報連携及び本社方針の浸透が不足する事態が生じた場合。
・個人に合った多様なサービスの提供不足や、仕入先商品における強制労働や児童労働など、多様性確保や人権尊重において企業イメージを失墜するような事態が生じた場合。
なお、人的資本・多様性関連の戦略については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
・当社の信用格付けが一定程度以上格下げされることなどにより、取引金融機関と締結しているシンジケートローン契約に付されている財務制限条項に抵触し、期限の利益を喪失する事態が生じた場合。
・不適切な者によって当社の財務及び事業方針の決定が支配され、当社企業価値を毀損し会社の利益ひいては株主共同の利益を害する事態が生じた場合。
④事業環境変化
「事業環境変化」には、外部環境の変化による顕在化が想定され、経営戦略において損失の防止もしくは機会の伸長及び転換が求められるリスクを分類しております。
当社グループの事業の根幹は、主要賃貸先の航空会社や主要顧客である航空旅客への依存度が高く、以下のような事態が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
・環境課題への対応において、顧客・取引先からの評判低下や資金調達難に陥るような事態や、温室効果ガス排出量の削減義務や取引制度の創設、課金等費用負担を伴う規制強化が行われる事態が生じた場合。
なお、気候変動関連の戦略及びリスク管理については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
・旅客の行動様式が変化し航空需要が減少するような事態や、技術革新により購買方式が変化し空港店舗での購買意欲が低下するような事態が生じた場合。
・国土交通省が進める空港経営改革については、民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する法律が施行され一層の進展が図られており、空港の設置管理者である国や行政当局により、空港ビル事業に係る法令や制度、空港運営方針が変更された場合。
・新規事業への投資や設備投資の実施の結果、海外事業における政局不安や投資対効果の想定との乖離などの事態が生じた場合。
・市況の急激かつ大幅な変動により、物価高騰や為替の急変動等が生じた場合。
・主要事業である羽田空港や成田空港での航空旅客が減少した際に、売上構成の多様化が遅れ、航空依存の緩和が進まない場合。
・台湾有事による日中関係の悪化など国際情勢の変化により、国際線の航空需要が減少した場合。
※ロシア・ウクライナ情勢の影響について
ロシア・ウクライナ紛争は長期化しており、西側諸国のロシアへの経済制裁等により交易が滞り、世界経済に大きな影響を与えております。また本件発生前から、世界ではコロナ禍からの回復による、原油をはじめとしたさまざまな実需の急激な増加とサプライチェーンの混乱、それに伴う資材価格の高騰や、インフレリスク等が問題視されていましたが、ウクライナ侵攻以降、一層の資源価格や食糧価格の高騰、為替市場における円安の進行等が起きております。当社事業においても、日本-欧州間の航空機の運航に影響を与えているほか、エネルギー価格や食品価格の上昇による水道光熱費や運送費用、飲食原価等の増加や、資材の高騰による設備投資額の増加が懸念されます。なお、当社が参画するハバロフスク国際空港事業については、出資額は僅少であり業績への大きな影響はありません。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主の皆様に対する利益還元を重要課題の一つとして位置づけており、より一層積極的な姿勢で経営に取
り組み、業績の向上に努め、羽田空港の機能拡張に合わせた旅客ターミナルビル施設更新工事等の大規模投資等を考
慮し、内部留保を確保すると同時に、安定した配当を継続して実施することを基本としております。また、業績に応
じて積極的に利益還元を行うため、中期経営計画の目標指標として配当性向30%以上を掲げております。
当社は中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、会社法第454条第5項に規
定する中間配当をすることができる旨を定款に定めております。
これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当事業年度の期末配当金につきましては、上記の配当方針及び業績等を総合的に勘案した結果、1株当たり37円の
普通配当に加え、2023年7月に創立70周年を迎えたことから1株当たり5円の記念配当を加えた、1株当たり42円の
配当を行うことにしました。
これにより、当期の年間配当金は、既に実施しております中間配当金25円と合わせて1株当たり67円、配当性向は
32.41%となります。
決議年月日 |
配当金の総額(百万円) |
1株当たり配当額(円) |
2023年10月25日 取締役会決議 |
2,328 |
25.00 |
2024年6月26日 定時株主総会決議 |
3,911 |
42.00 |