2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3 【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社および連結子会社等)が判断したものであります。

(1) 全体事業について

 当社グループが情報処理アウトソーシングビジネスの先駆けとして事業を開始したのは1966年のことです。それ以来、優れた「人」と最新の「技術力」を融合し、より付加価値が高いアウトソーシングサービスを提供することで、お客様企業の競争力強化に努めてまいりました。現在では、お客様企業の売上拡大とコスト最適化を支援する総合的なアウトソーシングサービスを世界規模で提供するため事業を推進しておりますが、当社グループが提供するサービスはいずれも常に技術革新が起こっており、技術優位性および価格の維持を継続するために、常に最新の技術を開発・導入していく必要があります。しかしながら、急速に進展する技術革新に対して適切な対応ができなかった場合や、サービスが市場動向・ニーズに合わなくなった場合は、現状のビジネスが縮小または成立しなくなる可能性があり、当社グループの事業運営および業績に影響を及ぼす可能性があります。また、アジアを中心に事業のグローバル展開を推進しておりますが、それぞれの国・地域において、政治・経済・社会情勢等に起因して生じる不測の事態、法令や各種規制の制定・改正などのカントリーリスクにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 事業環境について

 当社グループが展開するサービスを取り巻く環境は、労働人口の減少、企業のグローバル化、IoT・AIをはじめとしたデジタル技術の進展などを背景に、業務の効率化やコスト競争力の強化、売上拡大などに繋がるアウトソーシングサービスの需要拡大が見込め、今後も成長が続くと考えられます。しかしながら、景気の変動による受託業務の業務量の変更、お客様企業の業績状況や個人情報保護などの観点からアウトソーシングからインソーシングへ転換する動きなどが生じた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) お客様企業との契約期間について

 当社グループのお客様企業は東京証券取引所プライム市場上場企業など大企業が多く、かつ多くのお客様企業との契約は事業の性質上、自動更新となっていることが多いなど受託業務の継続性が高く、短期間における売上高の大幅な変動はないものと考えております。ただし、お客様企業の事情による他企業への移行、あるいはお客様企業との長期間の取引関係が築けない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 競合会社について

 当社グループが提供するサービスには、デジタルマーケティングサービス、ECワンストップサービスおよびコンタクトセンターサービスを統合したCXサービスと、BPOサービスがあり、サービス分野別に競合会社が存在しています。CXサービスのうち、デジタルマーケティングサービスに関しては、大手広告代理店グループ企業、ベンチャー企業など多くの企業が参入しており、市場規模は急激に拡大しているものの、多数の競合会社が乱立している状況です。またECワンストップサービスに関しては、急速に市場規模が拡大している状況において多くの新規会社の参入が予想されます。さらに、コンタクトセンターサービスに関しては大手の寡占化が進んでおり、大手各社は、より付加価値が高いサービスの創出や提供に注力すると同時に、競争力を発揮した業種や分野以外にも進出するなど、競合状態が続いております。一方、BPOサービスに関しては、数兆円の市場規模であり、コンサルティング系、IT系、メーカー系、独立系企業等の間での競合状態が続いております。

 今後は、技術進歩により当社グループの今の技術優位性がなくなり、当社グループより低価格のサービスを持つ企業が出現する等、当社グループが明確な競争優位戦略を確立できなかった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(5) ソフトウェア開発について

 当社グループのソフトウェア開発は、お客様企業のユーザー要件などを把握した上で開発を行っておりますが、お客様企業のユーザー要件を満たすための開発費用のお見積もりと実際の開発コストとの間で乖離が発生した場合、当社グループが開発コストを負担する開発案件が発生する可能性があります。

(6) 投資先管理について

 当社グループは技術革新の変化に対応した事業の展開、事業シナジーの創出などを目的に事業開発投資を行っております。投資先企業に関しましては財務・経営状態を精緻に検討し、投資先の財務状況を随時把握するように努めておりますが、投資先にはベンチャー企業や東南アジア・南米など開発途上国の企業も多く、ビジネスモデルが社会経済ニーズにマッチせず投資先企業の経営状況が悪化した場合、当社グループの投資による出資金などが回収できなくなる可能性や、国内経済環境・国際情勢の変化による株式相場の変動や為替の変動などの影響などによって評価損が発生する可能性があります。対策としては、一般的な会計基準よりも厳しい社内規程で保有有価証券の減損処理等必要な措置を適宜とることにより、当社グループの連結業績に適切に反映されるよう最大限の注意を払っています。

 

(7) 情報セキュリティについて

 当社グループは、事業活動を通して、入手または取り扱うお客様や取引先の個人情報および機密情報などの情報資産を管理・保護していくための万全な体制が求められております。そのための基本方針として「情報セキュリティポリシー」を制定し、その遵守と継続的な改善に努めております。また、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格であるISO/IEC 27001のセキュリティ活動を通じて、お客様企業に当社グループのサービスをより安心して活用していただけるよう、情報セキュリティ管理体制の展開と継続的な強化をはかっております。しかしながら、当社グループの想定を超えた情報システムのウィルス感染やサイバー攻撃によるシステム障害、重要データの破壊、改ざん、流出等が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 合併、買収などのM&Aについて

 当社グループが提供するサービスは数多くの競合企業が存在し、淘汰の動きも早く、また合併・買収を利用して規模の利益を素早く享受し、事業拡大をしていく手法をとる傾向にあります。当社グループにおいても、関連した事業を有する企業との合併、買収および提携などを積極的に行う必要があると認識し、M&Aを実施する可能性はあります。ただし、そのM&Aが、様々な要因によって事業シナジーが発揮できない可能性や、人的・資金的に適切なコントロールができない可能性または事業環境、収益構造が変化する可能性があります。その場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9) 人材の確保について

 当社グループが提供する各サービス分野において、高度な専門知識および経験を有しているような優秀な人材の確保は経営の最重要課題と考えております。優秀で意欲に満ちた魅力ある人材を確保できるよう、当社グループでは、自由で創造性に満ちた誇りある企業文化の醸成に力を入れております。また、従業員にとって、働きがいのある業務の設定や能力に応じた積極的な権限委譲も進めております。しかしながら、今後、お客様企業の需要に対して、当社グループが必要とする人材が必要なだけ必要な時期に確保できる保証はなく、人員計画に基づいた採用が行えなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、人事評価も半期に一度実施するなど、柔軟に対応できる人事制度を構築しております。しかしながら、これらの制度は逆に、評価者の能力不足や部下とのコミュニケーション不足等で納得がいく査定を行えなかった場合、従業員の意欲の低下や人材の流出に繋がる可能性があります。

(10) 特有の法的規制・取引慣行について

 当社グループの事業に関連する法規制において、悪影響を与えるような法規制や、解釈が不明瞭な法規制などが制定された場合、当社グループの業績、および事業展開のスピードに影響を及ぼす可能性があります。

(11) 個人情報の漏洩の可能性について

 当社グループは、2003年2月に財団法人日本情報処理開発協会(現一般財団法人日本情報経済社会推進協会)認定プライバシーマークを取得しておりますが、特にコンタクトセンターにおけるお客様企業の顧客データ(名前、住所、年齢、年収等の個人情報)の取扱いについては万全の体制で臨んでおります。当社グループでは、個人情報の取扱いに関する重要性、危険性を十分に認識しており、当社グループのホームページにて個人情報保護方針を公開しているのと同時に、行動指針や社内規程の制定およびその教育・研修を行い、個人情報管理の徹底を十分に図っております。ただし、情報収集の過程で不測の事態等により当社グループで機密漏洩事故等が発生した場合、当社グループへの多額の損害賠償請求や行政機関からのプライバシーマーク承認取消処分や罰金等が課される可能性があるとともに、当社グループの事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(12) 自然災害等について

 当社グループは、お客様企業のビジネスプロセスをコスト最適化と売上拡大の両面から支援する企業として、災害や事故などの予期せぬ事態に備え、有事発生時でも事業を継続させることは、当社の最重要課題であると認識しています。そのため、当社グループは大規模災害や事故などの有事に備え、各センターにおいて事業継続計画(BCP)を策定し、取り組みの強化を図っています。また、グローバルに事業を展開する中において、地震、台風、感染症、地域紛争、テロなどの不測の事態の発生に備え、危機管理方針に基づき対策・取り組みを強化しています。しかしながら、想定を大きく上回る規模で自然災害等が発生した場合は、当社グループにおける事業が一時的または中長期的に停止するなどの事象により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(13) 感染症について

 当社グループは、感染症に関する対応として、「感染拡大防止への社会的責任」と「安全配慮義務に則った従業員の安全確保」を最優先とし、その上で着実に業務継続を行うことを基本方針として実施しております。そのため、当社グループのオペレーションセンター拠点にて、密閉・密集・密接の3密環境が生まれやすい状況を回避するために、業務の縮小などについて、より一層踏み込んだ形でお客様企業への提案を推進することがあり、これに伴い受託業務量が減少する可能性があります。また、感染症拡大の影響で、当社グループのオペレーションセンターの閉鎖・縮小、さらなる企業活動の自粛に伴うサービスの需給バランスの崩れなどによって、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3 【配当政策】

 当社は、株主に対する利益還元を経営の重要政策の一つとして位置づけております。配当政策については、業績に連動した配当性向重視型を採用しており、株主の皆様に対する利益還元をはかることにより、結果として当社株式の市場価値を高めることを基本方針としております。

 また、内部留保資金につきましては、財務体質の強化をはかるとともに、新規コンタクトセンターや情報システム等の設備投資に活用し、当社サービスの拡大に対応すると同時にサービスの品質向上に努める考えであります。当社事業の拡大とサービスの付加価値を高め、利益を追求することにより、株主の皆様の期待に応えたいと考えております。

 なお、当期末の剰余金の配当については、上記方針に基づき当期期末配当を1株当たり81円としております。

 当社の剰余金の配当は、期末配当として年1回行うことを基本方針とし、株主総会の決議によるほか取締役会の決議により行うことができる旨を定款で定めております。なお、当社の期末配当の基準日は毎年3月31日、中間配当の基準日は毎年9月30日としております。

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2024年6月25日

3,035

81

定時株主総会