2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関するリスクのうち、当社グループの経営成績及び財務状況等(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあり、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えております。なお、以下に記載したリスクは主要なものであり、これらに限られるものではありません。また、必ずしも以下のリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)紙需要及び市況の変動リスク

 当社グループは、特殊紙を中心とする紙の販売を主要事業としております。当社グループの売上高の約93%は 国内売上高が占めており、国内景気の大幅な後退や需要構造の変化等によって国内需要の減少が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 また、出版業界や広告業界等、さまざまな業界において、従来の紙媒体からインターネットを媒体としたオンラインでの情報伝達・サービス等へと移行が進んでいます。これは、長期間のデフレ進行による消費需要の低迷、少子・高齢化に伴う消費者ニーズの変化、デジタル化、IT技術の進展によるメディアの多様化といったさまざまな要因によるものと考えられます。日本製紙連合会の試算によると、2023年の紙・板紙の内需は、印刷・情報用紙の不振が続き、食品等の値上げが相次ぎ消費が停滞し、梱包資材の出荷も振るわなかったことから、紙は7.7%減少し、板紙も前年のプラスから4.5%の減少に転じ、縮小しました。2024年についても、引き続き印刷物のデジタル化で印刷・情報用紙が縮減する見通しとなっているほか、製紙メーカーの値上げに伴う需要縮減の影響や、梱包用板紙需要の停滞も予測されます。当社が得意とする高級印刷紙等では、インバウンド需要の回復、さらには脱プラスチック・脱炭素を目的とした紙需要の増加等は期待できるものの、紙全体の需要動向が当社の想定以上に急速に、あるいは著しく縮小した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

(2)固定資産や商品在庫の減損リスク

 当社グループは、事務所及び倉庫として、土地をはじめとする固定資産を東京・大阪・名古屋に保有しております。また、紙の流通事業者の中でも、当社は、ファンシーペーパー等の特殊紙を小ロットで供給することを強みとし、幅広い顧客に支持されていることから、多品種の紙の在庫を倉庫に保有しており、2024年3月31日現在で当社グループの商品在庫は39億円と、総資産全体の約21%を占めております。

 自社開発商品も含め、在庫を多く持つことは当社の強みを発揮していくための重要戦略の一つでもあり、そうしたビジネスモデルでの展開は新規参入障壁にもなっております。その一方で、多品種を揃えることによってある一定の不動商品が出るリスクがあり、また、販売に応じた在庫を適正に保つことが重要であるとの考えから、在庫の中身の入れ替えにも注力しております。その結果、不動商品が当社の想定以上に増加した場合、評価替えや減損等によって、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

(3)コスト上昇リスク

 2023年度は、製紙メーカーの価格改定の影響を受け、流通を担う当社の調達コストも上昇しました。また、当社はサプライチェーンの一環で物流業務を外部の専門業者に委託しておりますが、2024年度からは物流業界内での働きやすい環境の構築等により、車両・ドライバー不足や物流コストがさらに上昇する可能性があり、加えて原油価格や為替レートの変動により燃料費が高騰する可能性もあります。物流コストの上昇分は、お客様にご理解いただき、ご負担をお願いさせていただく場合もございますが、これまで通りのサービスレベルでの納品が難しく、顧客満足度が低下した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 また、昨今のデジタル化等を背景とした情報伝達媒体としての紙需要の減少局面では、製紙メーカーの中では、事業再構築に伴って、老朽化した抄造設備の停機等が進行しています。当社取扱商品の改廃やリニューアルが必要となるケースも出てきており、代替商品の開発や、他の仕入先への切り替え等により仕入れコストが増加し、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

(4)商品の品質等に関するリスク

 当社グループは、販売する商品の特性に応じた最適な品質を確保できるよう、各商品の仕入先・メーカーに厳格な品質管理を要請していますが、予期せぬ仕入先・メーカーの事業により大規模なリコール等に発展する品質問題が発生する場合があります。大規模なリコールや商品の欠陥・品質不良は、その処理に多額のコストが発生し、当社グループの販売商品の信用に重大な影響を与えることとなり、これにより需要が低下し、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

(5)資金調達リスク

 当社グループでは、運転資金については自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本に、設備投資の調達については自己資金を基本としていますが、今後、M&Aの検討等も含め、一部資金を金融機関からの長期借り入れや社債の発行等により調達する可能性があります。そのようになった場合、景気の後退、金融市場の悪化、金利の上昇、当社グループの信用力の低下、業績の見通しの悪化等の要因により、当社グループが望む条件で適時に資金調達を行えない可能性があります。

 また、金融機関からの借り入れや社債等には各種のコベナンツ(融資取引における情報開示や財務等の特約事項)が規定されている場合もあり、当社グループの経営成績、財政状態または信用力の低下等の要因で、いずれかのコベナンツへの抵触が不可避な場合には、これらの条項に基づき残存する債務の一括返済を求められる可能性や、金利及び手数料率の引き上げや新たな担保権の設定を求められる可能性があります。これらの要因により、当社グループが今後資金調達を望ましい条件で実行できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

(6)カントリーリスク

 当社グループは、香港に子会社の平和紙業(香港)有限公司を有しており、香港の政治・経済・社会情勢等に起因して生じる予期せぬ事態、各種法令・規制の変更等による国家収用・送金停止等のカントリーリスクを有しております。香港におけるカントリーリスクの顕在化や、周辺の台湾地域を含め、地政学リスクが高まった場合には、債権回収や事業遂行の遅延・不能等が起こる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 また、ウクライナや中東情勢の長期化による原燃料価格の高騰、さらには為替の変動が見られました。香港に限らず、グローバルでの地政学リスクの高まりによって、為替や原燃料価格、物流費用等が当社の想定以上に高騰した場合、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

(7)自然災害・感染症等の発生リスク

 当社グループは、東京・大阪・名古屋をはじめ全国7拠点に販売・物流網を有し、静岡県富士市にも各拠点の中心となる物流拠点を構えることで事業活動は地域的に分散されており、売上高も地域的な偏在は大きく見られません。しかし、販売・物流拠点の周辺で、大規模な地震、台風及び津波等の自然災害、火災、停電、戦争、情報セキュリティの欠陥、未知の感染症の伝染、テロ攻撃及び国際紛争等が発生し、さらには事業所や倉庫等の物流インフラが被害を受けた場合、復旧のための費用、販売機会損失、商品等への損害等により経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 また、これらの自然災害または有事等により、当社グループのITシステムに障害等が生じた場合、インターネット関連でのサービス提供が困難となり、当社グループの顧客満足度が低下し、当社グループの業績、事業運営及び社会的信用に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、大規模な自然災害等が発生した場合、当社グループの顧客事業の中断並びにイベント活動及び日常消費活動の萎縮等の二次的影響が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

(8)訴訟等のリスク

 当社グループは、特殊紙を中心とする紙の流通・販売事業を主に営んでおり、業務の遂行に当たっては、法令順守等コンプライアンス経営に努めておりますが、その事業活動の遂行過程において、当社グループは、お客様、仕入先及び競合他社その他の関係者から、当社グループが提供する商品・サービスの不備、社員の労務管理、個人情報及び機密情報の漏洩または知的財産の侵害等に関する訴訟その他の法的手続きを提起される恐れがあります。また、当局による捜査や処分等の対象となり、これらの法的手続きに関連して多額の費用を支出した場合には、事業活動に支障をきたす恐れがあります。かかる法的手続きは長期かつ多額となることがあり、また、結果の予測が困難となる場合があり、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主に対する利益還元を経営の最重要課題の一つとして位置づけており、基本的には自己資本利益率の向上を図る中で、業績に基づく成果の配分を行う方針であります。

 当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。

 これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

 当事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき1株当たり12円の配当(中間配当6円、期末配当6円)を実施することを決定しました。

 内部留保金につきましては、事業拡大のための投資に充てることにより業績の向上に努め、財務体質を強化してまいります。

 当社は、「取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2023年11月13日

56

6

取締役会決議

2024年6月26日

56

6

定時株主総会決議