人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数632名(単体) 11,064名(連結)
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平均年齢39.1歳(単体)
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平均勤続年数6.2年(単体)
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平均年収8,284,625円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
(2025年3月31日現在)
(注) 1 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は[ ]内に当連結会計年度の平均人員を外数で記載しております。なお、育成および人事交流を主目的としてミスミグループ外の企業へ出向している社員については、従業員数に含めています。
2 全社(共通)として、記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属している実人員数であります。
3 各セグメントにわたって、受注・物流を担っている株式会社ミスミの従業員(638名)及び在外販売子会社(Dayton Lamina Corporation及びその子会社除く)の人員数(1,624名)については、全社(共通)に含めて表示しています。
(2) 提出会社の状況
(2025年3月31日現在)
(注) 1 当社と子会社である株式会社ミスミは、人事制度上はほぼ一体として運営されており、経営組織の変更などに伴い当社と株式会社ミスミとの間で従業員の大規模な異動が発生することがあります。
上記の内容をふまえて、当社と株式会社ミスミを合計して計算した場合、正社員数は1,760名、平均年齢は39.4歳、平均勤続年数は7.0年及び平均年間給与は6,955,572円となります。
2 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は[ ]内に当事業年度の平均人員を外数で記載しております。なお、育成および人事交流を主目的としてミスミグループ外の企業へ出向している社員については、従業員数に含めています。
3 提出会社の従業員数は全てセグメント全社(共通)に含まれるため、合計人数のみ記載しております。
(3) 労働組合の状況
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円滑に推移しております。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
提出会社及び連結子会社
(2025年3月31日現在)
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 「育児休業、介護休業等育児又は介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等および育児目的休暇の取得割合を出したものであります。
3 当社と株式会社ミスミは人事制度上はほぼ一体として運営されており、これらの法律に基づく行動計画においても一体としての目標設定を行っています。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは異なる可能性があります。
(1) サステナビリティ全般についての方針
① ガバナンス
(a) サステナビリティに関する考え方
当社グループは社員の挑戦を起点とした成長連鎖経営を志向します。社員の挑戦により向上した「顧客時間価値」により、顧客が栄え、社会が栄え、さらに社員も栄える成長連鎖を目指します。
顧客・サプライヤーの「あらゆるムダの排除」により同業界の非効率解消に貢献しています。インダストリアル・オートメーション(IA)産業は様々な社会活動の自動化・省力化などを実現し、社会の持続的発展に不可欠なものとして寄与しています。社会の持続的発展が産業界の需要を創出し、それは当社グループにとって新たな機会の創出にも繋がります。
当社グループはこの循環の確立に貢献することで社会、産業界の持続的発展を支え、当社グループ自身の持続的成長に繋げていきたいと考えています。
(自社のサステナビリティへの取り組み)
当社グループは、IA産業のトータルサプライチェーン、トータルビジネスプロセスにおける非効率を「時間」を切り口に解消することで同業界の発展に貢献しています。グローバルで30万社を超えるお客さまにサービスを提供するサプライチェーンを構築し、確実短納期を実現することで産業界のさまざまなムダや工数を削減する時間価値を提供しています。この時間価値を継続的に向上させるために、事業、商品、サービスなどのビジネスモデルを常に進化・発展させるとともに、それらを支えるIT、生産、物流等の事業基盤強化、人材基盤構築に取り組んでいます。
(IA産業の持続的成長を支える取り組み)
自動化設備・装置の部品は一品一様であり、図面制作から見積もり、部品の加工、調達まで、煩雑な手間と長い納期を必要とするなど、そのプロセスには極めて非効率な業務が散在します。当社グループは、自動化設備・装置に使う受注製作部品を規格化することで図面作成を不要にするなど、お客さまの非効率業務にかかる時間を大幅に削減しています。また、部品一個からでも確実に納期を遵守する確実短納期をグローバルで実現することにより、不要な在庫を削減し、生産・稼働機会ロスなどを解消しています。さらにデジタルモデルシフトをはじめとするさまざまな新商品・新サービスを通じて、調達プロセスにかかるムダ・工数を約9割削減することでエネルギー消費量を低減するとともに、紙図面を不要にするなど、資源の有効活用促進にも寄与しています。
当社グループは、IA産業の「時間革新」を通じ、社会の持続的発展に貢献し続けています。
(社会の持続的発展への貢献)
当社グループは、事業展開そのものを通して、IA産業の資源投入量・消費量を削減する付加価値を提供しています。顧客・サプライヤーのあらゆるムダを根本的に排除することによって、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄経済から循環型経済への移行加速に貢献します。
また、当社グループは社会要請であるESG推進に積極的に適応し、事業活動を通して、地球温暖化防止などの気候変動対策に取り組んでいます。自社に加え、顧客、サプライヤーが関係する各国の文化や歴史、人権、人材の多様性を尊重するとともに、ステークホルダーの皆さまと連携し、持続可能な社会の発展に貢献していきます。
(b) サステナビリティ推進体制
当社グループはサステナビリティへの一層の取り組みを強化するため、代表取締役会長を委員長、代表取締役社長を副委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しており、当社におけるサステナビリティの基本方針を策定し、経営計画や経営方針に対する検証と、社会課題に対する取り組みを推進し、取締役会に報告・提言を行っています。
サステナビリティ経営をグループ全社で横断的に推進するため、サステナビリティ委員会は、取締役会の監督下、サステナビリティ推進担当役員を定め、グループの執行組織である企業体・本部・プラットフォームと連携して、ESGに関する目標設定・進捗状況のモニタリング、評価などを行い、取り組みを継続展開しています。
② 戦略
(a) サステナビリティにおける重要課題
当社グループは顧客時間価値を継続的に向上させ、事業活動を持続的に成長させるための3つの重要課題を特定しています。
事業、商品、サービスなどのビジネスモデルを常に進化・発展させるとともに、それらを支えるIT、生産、物流等の事業基盤強化、人材基盤構築に取り組んでいます。
③ リスク管理
当社グループは、前述戦略における3つの重要課題ごとに、環境、社会、ガバナンスそれぞれのESG観点でリスクと機会を特定しています。
(a) 環境
気候変動、資源枯渇、大気汚染などが当社の事業に影響をもたらすことが想定されます。
IA産業および当社の事業戦略実行へ及ぼす影響や、自社サプライチェーンへの影響で確実短納期での供給に脅威が生じるリスクがあります。
一方、自動化需要の高まりや労働生産性改革等効率化の要求が向上することはビジネスの伸長をもたらす機会となります。
(b) 社会
商品の品質・安全性に与える技術の進歩、法制の変化の影響、労働人口の減少や人権保護、データセキュリティへの意識向上が当社ビジネスに影響を与えると想定します。
具体的にサプライヤーの取引制限や品ぞろえの変化、生産コスト増加や人材の採用数未充足、サプライヤー人権保護が事業にとってのリスクになります。一方、取引のグローバル化、ブロック化による自動化設備部品の多様化や、社会課題解決に向けた商品・サービスへの関心、特定知識等人的資本重要性は当社の新しいビジネスへの機会となると考えています。
(c) ガバナンス
コーポレートガバナンス、倫理行動、およびステークホルダーエンゲージメントは、当社企業活動に重要な影響を与えると認識しています。
当社グループは、気候変動による災害の激甚化や感染症パンデミックといったリスクに備え、事業継続計画(BCP)の体制を構築しています。しかし、技術や社会の急速な変化は、当社の戦略実行や監督に制約をもたらす可能性があり、特に情報基盤システムに対する技術的脅威や規制環境の変化は、当社事業における重要なリスクとなります。同時に、事業継続計画に対する顧客や社会からのニーズの高まりは、当社にとって新たなビジネス機会に繋がると考えています。
当社はこれらのリスクについて、自社に加えて、市場・顧客・調達先といったサプライチェーン全体で想定される影響について発生の可能性の予測と対応策の検討を行っております。また、一定の条件のもとに財務インパクトが試算可能なものについてはシミュレーションを実施しております。
気候変動による風水害の激甚化・地震などの大規模災害・パンデミックなど当社の商品供給や従業員の安全と健康に甚大な被害が予測されるものについては、非常時の事業継続計画を策定しており、日本法人に加えて、海外現地法人へも災害対策などの文書とプロセスや連絡の体制整備を図っております。
今後、具体的な想定と環境の変化に即して体制の充実と必要な訓練を行ってまいります。
④ 指標及び目標
当社グループの、各種サステナビリティの取り組みを推進するにあたり各種指標を作成し、目標と実績の確認、アクションの具体化を行っております。詳細は「(2)サステナビリティに関する取り組み」を参照ください。
気候変動対応については自社の温室効果ガス排出量の絶対値を計測、集計し、年度での実績を公開しています。2030年までに2020年比で42%の削減を行い、2050年にカーボンニュートラルという目標を設定しております。
人材の多様性については、グループ全体での従業員の男女比率を実績管理し、2025年3月現在、男女比63.6%:36.4%となっています。
(2) サステナビリティに関する取り組み
(a) 気候変動対応
当社グループは事業活動を通して、地球温暖化防止などの気候変動対策に取り組んでいます。
2021年9月にTCFD提言への賛同、「TCFDコンソーシアム」への参画を表明し、2022年3月には気候変動の影響が大きいメーカー事業を中心に、1.5℃/2℃シナリオ、および4℃シナリオに基づく分析を実施し、各々のシナリオへの移行リスク・物理リスク・機会の特定、事業インパクトの評価について情報開示をしました。
また、2050年のカーボンゼロを実現するために、2030年度の温室効果ガス排出量(スコープ1およびスコープ2)を、2020年度対比で42%削減する目標を設定いたしました。
(単位:千t-CO2e)
(注)スコープ3排出量はカテゴリー1~7およびカテゴリー12を対象に算定
※1 過去の開示数値に誤りがあったため修正
この目標を達成するために、当社グループでは以下のような取り組みを実施しております。
・ベトナム、中国、日本の拠点における太陽光発電の導入
・主要生産拠点における省エネ推進
・国内生産拠点および本社ビルにおけるCO2フリー電気の導入
・ベトナム、中国、タイ、インドの生産拠点を対象とした再エネ電力証書の活用
・2022年7月より日本の中部地区自前配送ルートの一部にEV車両を導入
(b) 人権の尊重
当社グループは、人権の尊重をすべての活動の基本原則と考え、ミスミグループ人権方針(以下「人権方針」)を定め、常に国際社会と協調した経営や行動に努めております。人権方針では、当社グループが重点的に取り組むべき人権課題を特定し、以下のとおり適切な対応を進めています。
・個人の基本的人権、個性および多様性を尊重し、人種・国籍・性別・宗教・信条・出生・年齢・性的指向・身体的特徴・心身の障害等による差別や嫌がらせを禁止しています。
・個人としての尊厳を不当に傷つける各種のハラスメント(セクシュアルハラスメント・パワーハラスメント・モラルハラスメント等)を禁止しています。
・バックグラウンド・スキル・性別・国籍等の多様性の確保と機会均等を重視した人材の採用・育成・登用・処遇を行っています。
・安全衛生関連の法令・基準を遵守し、安全で働きやすい職場環境の維持に努めています。
・社員の心身の健康を重視し、長時間労働を防止しています。
・結社の自由などの社員の労働者としての権利を尊重しています。
・一切の児童労働・強制労働を行いません。
当社グループは、人権方針を当社グループのすべての役員・社員に適用します。さらに、サプライヤーの皆さまなどのビジネスパートナーに対しても、本方針を理解・支持いただくことを期待し、尊重されるよう働きかけています。
加えて、実行のデューデリジェンスとして、当社グループ内だけでなく、ビジネスパートナーを含めて人権リスクを評価・特定し、リスクを防止・軽減する対策を実施しています。
コミュニケーションとしては、当社グループの全社員への教育・周知徹底、ステークホルダーへの適切な情報開示・対話を行っています。
(c) サプライチェーンマネジメント
当社グループは「サステナブル調達ガイドライン」を策定し運営しています。同ガイドラインについて主要仕入先に対して合意を促すとともに、人権の尊重、安全衛生の推進および管理体制構築状況の実態調査を行っています。加えて、環境活動の取り組みについては、温室効果ガス(GHG)排出量削減に向けたエネルギー使用データの共有や削減に向けての算出を行うなど、協調して持続可能な調達活動の向上に取り組んでおり、更にこの活動の拡大を図っています。
今後もサプライチェーン全体を視野に入れて、リスク・機会の定量的把握と実質的な対応策の立案・実行を進めてまいります。
(d) 人的資本の充実に向けて
成長連鎖経営は「社員の挑戦」を起点としています。当社が取り扱う商品そのものには大きな差別化要素がなく、ビジネスモデルを常に進化させ続けることにより付加価値を高めています。このビジネスモデル(ミスミモデル)を磨き続けるのは「人」です。故に、社員の挑戦が成長連鎖経営の起点であり、当社の人的資本経営の根幹といえます。
(ミスミ・バリューズ:https://www.misumi.co.jp/sites/default/files/2024-04/misumivalues.pdf)
<ミスミの人的資本経営:Best Place To Grow / Right Ways To Grow>
「次どうする?」を常に、社員全員が自分自身に、そして周囲に問いかけ、実際に「次」に挑戦することは、個人の成長につながり、個人の評価(成長実感)を高め、その結果に対する報いとともに、更なる「次の挑戦」に向かう動機付け(成長予感)となる、「個人の元気・付加価値を高める・成長させる(個の元気)」循環を形成します。同時に、個々の「次どうする?」を組織として束ね、ミスミモデルの進化を実現することは、お客様の時間価値向上を実現し、それが企業価値の向上にもつながる「組織の付加価値を高める(戦略的束ね)」循環につながります。「次どうする?」を起点としたこの2つの循環が常に両輪で回り続けていくことが、当社グループの社員・組織の成長を実現し、成長連鎖経営の礎となります。この構図は当社グループの「人的資本経営」の主軸を表したものであり、当社グループが社員にとって「挑戦に溢れ、世界で最も成長できる会社」であること、すなわち社員にとっての「Best Place To Grow」であることを示しています。
「Best Place To Grow」の実現には、同時に「正しく挑戦し成長する」という志向を伴うことが極めて重要です。正しい挑戦と成長を促す「Right Ways To Grow」の考え方を新たに加え、個人も組織も最も早く、それぞれに最も適した成長を実現する環境を整備します。
Right Ways To Growは下記の4つの要素を主軸としています。
<Best Place To Grow / Right Ways to Grow であり続けるための「仕掛け」>
社員にとってミスミがBest Place To Grow であり続けるためには、そして社員の正しい挑戦と成長が持続するためには、社員個々人の挑戦努力に加え、「次どうする?」を起点とした個人・組織の成長サイクルが何時でも何処でも周り続け、社員の挑戦を加速させる仕掛けが不可欠です。当社グループでは、社員の正しい挑戦と成長の加速に向け、下記の4つの仕掛けとサブシステムを整備しています。(図)
①「個人の挑戦・成長」(個の元気のサイクル)を加速するミスミ人事戦略
②「組織の挑戦・成長」(戦略的束ねのサイクル)を加速するミスミ経営システム
③ 成長を直接的に後押しするミスミ人材開発
④ 正しく挑戦し、成長できる環境を整えるミスミ組織開発 Right Ways To Grow
図:「ミスミの人的資本経営(Best Place To Grow / Right Ways To Grow)」
これらの仕掛け・サブシステムをグローバルに展開し、個の元気と戦略的束ねの両輪を加速度的に、持続的に回すことで、社員にとっての「Best Place To Grow」であり続けます。
① 個人の挑戦・成長を加速するミスミ人事戦略
ミスミモデルの進化を図り、顧客の時間価値向上に貢献するために、当社グループでは
・高い成長志向
・戦略性
・能動性
を全社員が発揮すべき「実践力」として設定しています。
この「実践力」を発揮し、挑戦し、結果を出し、また次の挑戦に向かう。やった人(挑戦して成果を出した人)を正しく認識し、高く報いる。これらを有機的、持続的に作動させるためには、整合する人事制度が必要です。当社グループでは、23年度より以下を「ミスミグループ共通の人事戦略」として定め導入を進めています。
◆ Next Challenge制度(NC制度)
社員が自身のキャリアに対して「次どうする?」を自発的に選ぶ仕組みです。この仕掛けには下記の「次の挑戦(XX Next)」があります。
※日本のみを対象とした制度
中でも当社ユニークな仕組みは「Do Next」と「Go Next」です。社員は、基本的には自主的なキャリア選択により、異動する・しないを決めることが出来ます。しかし、「正しい挑戦」(「Keep Challenging」)の指針に沿って、現在に安住せず、常に「次どうする?」を問い続けてもらうためには、社員が一つの職場に長年「固定化」することは成長の妨げになると考え、DoおよびGo Nextでは、毎年、社員の「現職」を「白紙」にし、現職を続けたい場合も、異動したい場合も、希望する組織に「応募」して自分の職場を決めることを求めます。組織側も自組織の社員を「次の挑戦」に向けて後押ししつつ、自組織に人材を集められるよう、自組織の魅力を高めることが求められます。いわば、社内を「労働市場化」して、常に次の挑戦に向けた多様なキャリア選択肢、多様な組織編成が可能になるような仕掛けとなっています。また、Go Nextは国や職種を跨いだ挑戦が可能になっています。
なお、「社員の次の挑戦」を測る指標として、当社グループでは、社内の流動性をKPIとして設定しています。
◆ 評価制度
ミスミ・バリューズの発揮度合(実践力)とその結果を問う評価の2モジュールから構成しています。
実践力評価に使用される項目は、「正しい視点」(「Think/See right」)の指針に従い、ミスミ・バリューズに基づく思考と実践を表す具体項目として職位・職種を問わず「ミスミで働く社員」に求める最重要要素として、グローバルに共通の設定としています。
成果評価では、各組織の「ビジネスプラン」(後述)に設定されたストレッチの度合いと同じストレッチ性を各個人の目標に予め織り込むことで、全組織で戦略と整合した目標に向けた挑戦を引き出すとともに、社員の挑戦や成果を正しく認識し、正しく報いる仕掛けとしています。
◆ 報酬制度
「正しい視点」(「Think/See right」)の指針では、社員の挑戦や成果を正しく厚く報いることを目指しており、「やった人(挑戦し、成果を出した人)」に市場上位の総報酬水準で報いること、を当社グループでは報酬の基本コンセプトとしています。
そのコンセプトに適した報酬を各地域の習慣・法的枠組みに即した形で設定しています。
たとえば、ミスミ日本地域においては、社員の報酬構成や運用を下記のように設定しています。
これらのミスミ人事戦略の取組みは、まずは日本で先行導入しています。今後、各国の事情に合わせた形に調整を加えながら、順次、グローバルへの展開を予定しています。
② 組織の挑戦・成長を加速するミスミ経営システム
ミスミモデル進化を通じて顧客時間価値向上を実現するには、社員個人の挑戦を組織として「束ね」、戦略的に挑戦していくことが必要です。当社グループは、下記の経営システムを通じ、常に組織としての取組み自体の進化を模索、ミスミモデル進化に向けた組織の戦略的束ねと挑戦・成長を強化しています。
◆ ビジネスプラン
当社グループでは、幹部社員自らが「成長戦略」(ビジネスプラン)を描き、その実行も自ら担う、という「経営者」としての職責遂行することを求めています。各組織がビジネスプランを描くことにより、対峙する市場(お客様、同業他社、市況等)や自社のコンピタンスを的確に踏まえた、極めて実効性の高い、中長期の「事業戦略」を策定、発動させることが出来ます。
ビジネスプランはまず「戦略」を策定し、その戦略の方向性が承認されれば、数値を設定して「予算」を設定、承認された範囲は自己裁量にて戦略を実行することが可能です。
「企業体」や「プラットフォーム」レベルのビジネスプランは複数の統括G役員により徹底的に討議され、自組織のみならず、他組織との連携等も含めた戦略性・妥当性を持ったプランとして練り上げられます。その後は、各組織の戦略でありながらも、「ミスミの戦略の一環」として、そのプランの達成を全社として支援します。
ビジネスプランの策定はまた、「自ら描く」ことで、幹部社員の「成長志向」「戦略性」「能動性」を飛躍的に高め、強いコミットメントを引き出し、幹部社員の育成にも大きく寄与します。
◆ M-Up/Q-Up
ミスミモデル進化への取組みをグローバルに徹底し、また、その進捗や大きな成果を全社として確認、賞賛、共有するため、全社での「M-Up(MISUMI-Model Up)」と主に生産系組織における「Q-Up(Quality-Up)」を毎年実施しています。
M-Upは、各職場における(あるいは組織横断的な)ミスミモデル進化の取組みと成果をまずは各地域で「予選」を通じて審査し、予選を通過したテーマはグローバルのミスミを5ブロックに分けた「ブロック本選」にてコンペティションを行います。ブロック本選を勝ち抜いたテーマは「グローバル決勝」にて発表し、最優秀賞などを決定します。Q-Upも同様のプロセスを経て、グローバルの優秀賞を決定します。
ブロック本選や決勝などで、各地域の様々な取組みをグローバルに共有することで、相互の学びを最大化し、更にミスミモデル進化への加速を図る、当社グループにとって重要な「ミスミモデル進化」の場となっています。
◆ 経営フォーラム
当社グループでは、経営トップが社員と直接対話をする場として、「経営フォーラム」を年間を通じて開催しています。経営課題や重要戦略の進捗を共有し、質疑や討議を通じて、経営層と社員との問題意識の共有、相互理解、組織を超えた連携などを図ります。
経営フォーラムは全社レベルでの開催の他、各企業体/プラットフォームや部門といった組織レベルなど、様々なレイヤーで開催されます。
当社では、経営フォーラムを、各組織のリーダーとメンバーのコミュニケーションを活性化させる場としてだけではなく、育成の場、組織開発の場として重視し、フォーラムが全社で活発に実施されるよう、フォーラム推進委員会を全社に設置、各組織の委員がフォーラムの実行を主導しています。
③ 成長を直接的に後押しするミスミ人材開発
ミスミモデル進化に向けた社員の挑戦と成長、組織の成長を更に確実にするために、当社グループでは「一般的には無い」ミスミユニークな人材開発の場を提供しています。
◆ ミスミ戦略スクール
当社は経営トップが自ら教鞭をとり、「リーダー」に必要な視座と戦略思考能力を鍛え、また、ミスミモデル進化という使命達成のために、自分達が何をすべきか、を徹底的に考え抜く講座を、中堅社員以上を主に対象とし、年間を通じて開講しています。講座は事前準備(課題図書、課題レポート等)、1日以上にわたる講義(討議含む)、事後レポート等が課される、非常にインテンシブな内容となっています。
「理論と実践」の両輪を兼ね備えた講座は実効性が極めて高く、社員は受講を通じ、「共通言語」と戦略思考、変革への覚悟を具備することが可能となります。
◆ 次世代人材育成
「将来の幹部候補」を選定し、近い将来に「経営層」の一員になることを想定して、統括G役員全員で候補者を「よってたかって育てる」という他に例を見ない次世代人材の育成を行っています。この仕組みは候補者本人には非公開で行われていますが、育成状況や業務執行状況などは、統括G役員間で定期的にモニタリングされています。
◆ 改善リテラシー講座
改善リテラシー向上による生産性改善を推進すると共に、その活動を通じて全社の変化対応力を向上させ、モデル進化に貢献することを目的とし、ミスミオリジナルの講座を24年度から実施しています。「製造現場」だけでなく「ミスミのあらゆる経営行動の現場」へ展開することで全社の「改善リテラシー向上」と「生産性改善」を推進し、顧客時間価値提供や業務効率化を加速させることによる競争力強化を目指します。
④ 正しく挑戦し成長できる環境を整えるミスミ組織開発 Right Ways To Grow
当社は、社員が正しく挑戦し成長できる会社であるため、Right Ways To Growの考え方を基に各種制度・施策のグローバルな展開や、職場の環境作りに取り組んでいます。これらを通して、社員は何ら制約を感じることなく、安心して「次の挑戦」に取り組むことができる環境を実現します。
◆ Next Challengeをグローバルに展開する仕掛け(Fly Next)
将来的にグローバルな経営幹部を目指す意欲のある社員に対して、海外での挑戦を支援するための制度として、FlyNext制度を設計しています。語学研修のサポートを行いながら、短期で研修生としての派遣することで、キャリアの早い時期から異文化での業務経験を積む機会を提供する施策です。また、グローバルで「正しい挑戦」を喚起するため、日本から海外だけでなく海外法人間の行き来も含めた制度として設計しています。
◆ 評価のグローバル展開
23年度にグローバル共通として設定した実践力評価は、最初に日本へ制度を導入した後、海外法人へ順次導入しています。24年度は中国、アジア各国で導入を行いました。今後は欧州、米州への展開を進め、ミスミ・バリューズの思考と実践をグローバルに浸透、正しい行動と正しい視点をグローバルに強化していきます。
◆ Dynamic Leadership Program
当社ではミスミ・バリューズに基づく早く正しい行動を社員全員が実践できるよう、変化対応型リーダーの育成を重視しています。時間戦略を加速するためには、まず上司の力量を高める必要があり、新たな管理職特化型の新トレーニング Dynamic Leadership Program を25年度より開始します。
◆ 内部統制
当社では不正行為の撲滅に向けたグローバルな内部統制システムの強化を行っています。24年度には新組織を設置して「正しい行動」(「Discipline」)を維持するための推進体制を整備し、25年度から新たな体制の下で活動を行っています。
◆ ハラスメントゼロ
当社では2017年に「ミスミグループにおけるあらゆるハラスメントを許容しない」というハラスメントゼロ宣言を採択しています。グローバル全社員への定期的なコンプライアンス教育実施、企業および社員行動規範の全面刷新とグローバル展開、内部通報体制の整備とグローバルでの衆知などを中心に、「ハラスメントゼロ」に向けた取り組みを積極的に推進し、近年のハラスメント件数は減少傾向にあります。
一方、まだ「ハラスメントゼロ」達成には至っていないことを踏まえ、ハラスメントの撲滅に向けた、更なる教育、予防策、対応策を強化してまいります。同時に、ハラスメントが「隠れる・隠される」ことのないよう、内部通報制度の周知や相談窓口などの案内も常時開示します。
◆ D&I
当社では国籍や性別、年齢、学歴、新卒/中途等による差別は一切許容しません。採用、昇格や異動判断に際しても、こういった要素は考慮せずに社員個人の「実践力」や「成果」によって判断しています。
結果、当社の女性管理職比率は、ミスミ日本で15%、グローバルでは24%、と「製造業」で見れば比較的高い数値となっています。また、ミスミ日本においては、中途採用の比率が85%と、高い多様性を持った組織となっています。
加えて、社員の各々の事情を踏まえつつ、最大限の挑戦ができる勤務環境づくりにも力を入れており、ミスミ日本では育児や介護など事情を抱える人へフルリモートワークを適用するなど、独自の施策を取り入れています。
多様な人材、多様な考え方がミスミモデル進化を加速させる、というコンセプトの元、当社は今後も多様化を進めます。特に、各地域の現地採用幹部の増加や女性管理職比率の増加は中でも重要と考え、打ち手の本格化を今後グローバルで図ります。
当面、女性管理職比率の目標はグローバルで30%とし、積極的な登用を進めてまいります。
(ご参考)
当社グループのサステナビリティへの取り組みの詳細は、当社ホームページにて公開しております。
・サステナビリティ https://www.misumi.co.jp/esg