リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
① サステナビリティ課題について
企業は事業活動の中で社会の持続的発展に貢献することが求められており、気候変動対応として温室効果ガス排出抑制等の取組や、人権問題への対応として個人の基本的人権や個性、多様性を尊重した取組が求められています。これらの取組みは、当社グループだけでなくサプライヤーを含めたバリューチェーン全体で協調して行う必要があります。
当社グループでは、気候変動についてTCFD提言への賛同、「TCFDコンソーシアム」への参画を表明し、気候変動シナリオへのリスク・機会の特定や事業インパクト評価を実施したほか、様々な省エネルギー活動を推進しております。人権問題については、「ミスミグループ人権方針」を定め、全ての社員に周知徹底するとともに、仕入先等にも理解・支持を頂くよう努めています。また、サプライチェーンマネジメントの取組として、「サステナブル調達ガイドライン」を策定し、主要仕入先に合意を促すとともに、環境活動、人権尊重、安全衛生等の推進および管理体制構築状況の実態調査を行っています。加えて、環境活動の取り組みについては、温室効果ガス排出量削減に向けたエネルギー使用データの共有や削減に向けての算出を行うなど、協調して持続可能な調達活動の向上に取り組んでおり、さらにこの活動の拡大を図っております。
しかしながら、これらのリスクに対する対応が適切ではない場合、当社グループの社会的信用が低下し、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 特定業界の市場動向が業績に及ぼす影響について
当社グループは、FA事業および金型部品事業において、自動車・電機(液晶・半導体を含む)業界を主要顧客としています。また、ミスミブランド以外の他社製品も含めた製造・自動化関連設備部品、MRO(消耗品)等間接材を販売するVONA事業では、広く自動化装置を活用しオペレーションを展開する顧客を対象としています。当社グループの業績はこれらの業界の設備投資動向や生産・オペレーション動向の影響を受けることがあります。
当社グループでは、各事業において常に市場動向を注視し、必要に応じ設備投資・人員配置・在庫の適正化等の施策を実施していますが、顧客の属する業界で予想を超える状況の変化が生じた場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 海外事業展開について
当社グループは、日本の他中国・アジア・欧州・米州に「企業体」を発足させ、各地域で事業展開を強化していますが、各地域の政治的・経済的変動や政策、法規制の改正等が、各地域企業体の事業計画遂行に大きな影響を及ぼす可能性があります。当連結会計年度も、米中対立の長期化やウクライナ及びパレスチナ情勢等、政治・経済・安全保障の混乱が生じているほか、アフターコロナの市場構造転換およびグローバルサプライチェーンの地域ブロック化の進展などにより、海外事業展開の不安定要素が増している状況です。
当社グループでは、各地域企業体で管轄地域の政治・経済情勢のモニタリングを継続している他、事業に関連する各国法制度の状況をグローバルで把握し適宜対応を図っていますが、これらの状況に急激な変化が生じた場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 商品や原材料の調達について
当社グループは、多くの商品や原材料を国内外の取引先から調達していますが、需給逼迫による調達価格の高騰や、サプライチェーンの混乱等により、調達困難な状況が生じる可能性があります。その結果、仕入価格上昇による採算悪化、顧客への商品販売減少等が生じる可能性があります。
当社グループでは、IT、生産、物流の事業基盤の強化、サプライチェーンの強靭化を進めていますが、予想を上回る状況の変化により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 品質管理について
当社グループは、幅広い商品を顧客に提供していますが、商品の品質や安全性等の他、環境化学物質の管理や環境負荷低減に対する取り組みへの要求がグローバルで年々厳格化している状況です。
当社グループでは、品質管理体制を整備し、グリーン調達ガイドラインに沿った調達を推進するとともに、環境負荷の少ない商品開発・生産活動を実施しています。しかし万一、商品の欠陥または商品に関する各種規制違反(構成物質の有害性の有無や輸出入に関する規制を含む)が発生した場合、商品の回収、販売停止や各種費用の発生により当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 自然災害等の発生による影響について
大規模な地震やその他の自然災害が発生した場合または感染症が広く拡大した場合、製品および商品の生産または流通形態に支障をきたす可能性があります。当社では、生産拠点を世界各地に分散化させており、災害等の発生時においても一定の生産体制を確保しております。また、災害等発生時には事業継続計画(BCP)に基づき対応を図る体制としていますが、想定を超える被害が発生した場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 情報セキュリティについて
当社グループでは、受注、販売、調達、製造等の事業プロセスに関係した機密情報や、顧客情報・個人情報等を電子データとして保有しており、また事業運営において様々な情報システムを活用しています。
当社グループでは、情報セキュリティ等の強化を図るため、「情報セキュリティ基本方針」等の情報管理ルールを制定し、定期的に社内研修を実施し周知徹底を図るほか、IT基盤の強化にも取り組んでいます。
しかし万一、ウイルス等によるサイバー攻撃を受けた場合や、ソフトウエアやハードウエアに大規模な障害等が発生した場合、情報漏洩や顧客サービスの中断等が発生し、社会的信用の悪化や多額の損害賠償が生じる可能性があり、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 為替相場の変動について
当社グループは、様々な通貨・条件での取引を行っており、主に外貨建取引及び外貨建債権・債務残高等については、外国為替変動の影響を受ける可能性があります。当社グループはこうした外国為替のリスクを一定程度まで低減するため、先物為替予約を利用する等の施策を講じています。しかし、外国為替変動の影響を完全に回避することは困難であり、予想を超える変動等が生じた場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 人材について
当社グループの中長期的なグローバル成長には、適切な時期に優秀な人材を国内外で採用し育成することが重要であると認識しています。このため、当社グループでは、バックグラウンド・スキル・性別・国籍等の多様性の確保と機会均等を重視した人材の採用・育成・登用を行っているほか、人的資本強化のための様々な研修制度の充実等に取り組んでいます。
しかしながら、優秀な人材の採用に関する競争は激化しており、人材の採用や育成が計画通り進まなかった場合、事業の遂行に制約が生じる可能性があり、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社グループは、社員の挑戦を起点として、顧客であるIA(インダストリアル・オートメーション)産業の持続的成長へ貢献し、IA産業の自動化、省力化による社会の持続的発展を支える成長連鎖経営を志向しております。この実現に向けて、地域・事業・新商品・新サービス開発等へ積極的な成長投資を行い、顧客時間価値向上に貢献する事業モデルの進化に取組んでいます。また、中長期的な企業価値向上の実現に向けて、資本コストを的確に把握し、資本コストを超える資本収益性となるよう、エクイティスプレッドの拡大を目指しております。そのため、中長期的な視点での成長投資と株主の皆さまへの還元は、バランスを取りながら実施してまいります。
配当性向につきましては、従来25%を目安としておりましたが、経営基盤拡充、財務体質の強化、資本効率の向上なども勘案し、30%を目安に実施するよう変更いたしました。自己株式取得につきましては、手元資金、成長投資機会、株式市場の動向など状況に応じて、機動的に実施してまいります。
なお、当社グループの剰余金の配当は、中間配当および期末配当の年2回を基本的な方針としています。配当の決定機関は、中間配当は定款の定めにより取締役会、期末配当は定時株主総会です。
上記の方針に基づき、1株当たり期末配当金は14円87銭とし、先に実施いたしました中間配当金12円60銭と合わせまして、年間1株当たり27円47銭の配当となりました。
この結果、当期は連結純利益に対する配当性向27.5%、純資産配当率2.4%となりました。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。