2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    10,949名(単体) 20,515名(連結)
  • 平均年齢
    43.6歳(単体)
  • 平均勤続年数
    15.9年(単体)
  • 平均年収
    9,821,000円(単体)

従業員の状況

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

(2024年3月31日現在)

セグメントの名称

従業員数(人)

当社建設事業

9,394

(356)

当社投資開発事業

107

(2)

道路舗装事業

2,860

(548)

その他

8,154

(1,482)

合計

20,515

(2,388)

  (注) 従業員数は、( )内に内書きで記載した期末の契約社員数を含む合計人数を記載しております。

    なお、契約社員数には再雇用社員数、嘱託社員数を含めて記載しております。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

(2024年3月31日現在)

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

10,949

43.6

15.9

9,821

(459)

 

セグメントの名称

従業員数(人)

当社建設事業

9,394

(356)

当社投資開発事業

107

(2)

その他

1,448

(101)

合計

10,949

(459)

 (注)1 従業員数は、( )内に内書きで記載した期末の契約社員数を含む合計人数を記載しております。

     なお、契約社員数には再雇用社員数、嘱託社員数を含めて記載しております。

      2 平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与は、契約社員459人を除く従業員10,490人の状況を記載しており

          ます。

      3 平均年間給与は、期末手当及び諸手当を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

 特記事項はありません。

 

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 ①提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1、2)

男性労働者の育児休業取得率(%)(注3)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注1、4)

全労働者

うち

正規雇用労働者

うち

有期労働者

3.9

81.0

64.9

64.5

69.1

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 「管理職に占める女性労働者の割合」については、男女別の雇用人数などによるものであり、適用する登用要件に男女の差異はありません。

3 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

4 「労働者の男女の賃金の差異」については、職種や等級別の人員構成などによるものであり、適用する給与体系に男女の差異はありません。

 

 ②連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める

女性労働者の割合(%)(注1、2)

男性労働者の

育児休業取得率

(%)(注3)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注1、4)

全労働者

うち

正規雇用労働者

うち

有期労働者

日本道路㈱

0.7

41.0

53.5

52.6

58.3

㈱シミズ・ビルライフケア

2.5

52.2

75.2

75.9

62.0

日本ファブテック㈱

6.5

77.0

76.5

76.6

㈱ミルックス

66.6

70.0

57.2

清水総合開発㈱

3.8

75.1

74.0

93.8

㈱ピーディーシステム

15.6

72.9

72.4

61.6

丸彦渡辺建設㈱

5.6

20.0

79.5

79.8

52.6

第一設備工業㈱

77.9

74.7

74.0

㈱エスシー・マシーナリ

13.0

33.3

㈱トータルオフィスパートナー

42.5

日本建設㈱

1.4

㈱ダイヤビルサービス

11.5

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 「管理職に占める女性労働者の割合」については、男女別の雇用人数などによるものであり、適用する登用要件に男女の差異はありません。

3 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

4 「労働者の男女の賃金の差異」については、職種や等級別の人員構成などによるものであり、適用する給与体系に男女の差異はありません。

 

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社は「論語と算盤」を社是とし、その考え方を基に、経営理念「真摯な姿勢と絶えざる革新志向により、社会の期待を超える価値を創造し、持続可能な未来づくりに貢献する」を定め、サステナビリティを強く意識し、事業活動を行っております。

2024年5月に策定された「中期経営計画〈2024‐2026〉」では、企業の社会的責任と事業機会の探究を両立し、環境・社会・経済の全てにおいて持続可能性を実現するサステナビリティ経営の推進を掲げています。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

①「中期経営計画〈2019‐2023〉」

前中期経営計画〈2019‐2023〉では、基本方針で「ESG経営の推進」を掲げ、「持続可能な地球環境への貢献」、人権尊重の徹底やサプライチェーンを含む労働環境の整備、地域社会との共生など「すべてのステークホルダーとの共生」、「コンプライアンスの徹底とリスクマネジメントの強化」を図ってきました。

社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置し、当社グループのESGに関する方針と重点施策並びにESGに関する情報開示(TCFD提言に基づく情報開示など)の審議・決定を行いました。なお、気候変動や人権等に関わるリスク情報などの重要事項については、サステナビリティ委員会から取締役会に報告を行い、監督する体制を構築してきました。

サステナビリティ委員会の下部組織として、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)のテーマごとに部会を設置し、関連する機能別部門・部署に対して指示又は報告を受ける体制を整えておりました。併せて、気候変動や人権等に関わるリスク情報については、社長を委員長とする「リスク管理委員会」に共有するとともに、取締役会に適宜報告を行い、監督する体制を構築していました。

 

<サステナビリティ推進に関するガバナンス体制図(2023年度)>

 

2023年度はサステナビリティ委員会を6回開催し、18件の議題について審議・報告を行いました。また、重要事項となる6件について、サステナビリティ委員会から取締役会に報告を行いました。

 

 

②「中期経営計画〈2024‐2026〉」

中期経営計画〈2024‐2026〉では、基本方針に「持続的成長に向けた経営基盤の強化」を掲げ、機能連携の強化によるサステナビリティ経営の進化を図り、戦略実行力を向上させます。

中期経営計画〈2024‐2026〉の内容及び2023年度の実績をふまえ、サステナビリティ推進に関するガバナンス体制を変更いたします。

 

<サステナビリティ推進に関するガバナンス体制図(2024年度)>

当社はこれまで「ESG経営」を推進してきましたが、今後は企業の社会的責任と事業機会の探究を両立した「サステナビリティ経営」を推進していきます。

ガバナンスは、サステナビリティ委員会全体に関わるインフラの役割を担うことから、サステナビリティ推進における「ガバナンス部会」の位置付けを見直しました。また、社会部会のテーマに「労働環境改善」を追加するとともに、関連委員会である「健康経営推進委員会」及び「人権啓発推進委員会」を社会部会に加えました。

 

(2)マテリアリティの特定

当社は、SDGsをはじめとする様々な社会課題や当社の社是、経営理念、長期ビジョン等を勘案し、「社会への影響度」と「自社にとっての影響度」の2つの側面から重要度を検討のうえマテリアリティ(重要課題)を特定し、サステナビリティを強く意識した事業活動を推進しております。なお、最新の社会動向をふまえて、マテリアリティの見直しを行いました。

 

<当社のマテリアリティ(7つのカテゴリーに分類して整理)>

「マテリアリティ」の詳細については、下記URLよりご参照ください。

https://www.shimz.co.jp/company/csr/materiality/

 

(3)環境に関する取組み

2021年6月に策定したグループ環境ビジョン「SHIMZ Beyond Zero 2050」では、当社グループが目指す持続可能な社会を「脱炭素社会」「資源循環社会」「自然共生社会」と定めています。2050年までに自社活動が環境に与える負の影響をゼロにするだけでなく、お客様や社会にプラスの環境価値を提供し、SDGsが目指す持続可能な社会の実現に貢献していきます。

 

「SHIMZ Beyond Zero 2050」の詳細については、下記URLよりご参照ください。

https://www.shimz.co.jp/beyondzero/

 

①気候変動

当社グループは、気候変動による事業への影響を重要な経営課題と捉え、サステナビリティ経営の観点からも、気候関連情報の開示を重視しています。2019年10月には、TCFD提言への賛同を表明し、「TCFDコンソーシアム」に参画するとともに、2020年から同提言に沿った気候関連の情報を開示しております。

 

a.ガバナンス

サステナビリティ委員会において、気候関連のリスクと機会の特定と評価の結果を審議するとともに、CO₂排出量削減の中長期目標「エコロジー・ミッション 2030‐2050」等の達成度を管理し、重要事項は取締役会に報告され、監督する体制となっております。また、本委員会で決定されたシミズグループの環境問題に関する重要事項は、本委員会の下部組織である環境部会を通じて、事業部門(支店を含む)及びグループ会社に伝達され、主要サプライヤーも含めた環境に関するガバナンス体系を構築しております。

 

b.戦略

当社グループの事業に影響を与える気候関連のリスクと機会は、脱炭素社会の構築に必要な政策や規制の強化及び市場の変化等の「移行」に関するものと、地球温暖化による急性的・慢性的な「物理的変化」が考えられます。また、「2050年までにカーボンニュートラル達成」との日本政府の方針が示され、ビジネスモデルの変革や産業構造の転換が求められており、既に市場や社会環境の変化も生じております。

なお、「移行」と「物理的変化」に関するリスクと機会を検討するにあたり、以下のシナリオを採用しております。

 

・移行シナリオ :国際エネルギー機関(IEA)が策定したシナリオのうち、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇を1.5℃未満に抑えるシナリオ(SDS)

 

・物理的シナリオ:国際気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が策定したシナリオのうち、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇が4℃を越えるシナリオ(RCP8.5)

 

また、2024年6月に公表したTNFD提言に基づく自然関連財務情報開示をふまえて、気候関連の機会とリスクの要因と自然関連の影響との関連性についても検討を行いました。その結果、気候関連の機会と捉えていた要因でも、自然関連の側面では、リスクとなり得ることがわかりました。今後は、気候関連と自然関連の両面から、それぞれのリスクの軽減、また機会の最大化に取り組んでいきます。

 

 

<気候関連の主な機会とリスクのうち、当社グループの事業に与える影響度が「大」となる

主な要因と対応>

 

主な要因

影響時期

当社の主な対応

自然関連の

リスク

省エネルギービルの

ニーズ拡大

中期

・ZEBの設計施工を推進

再生可能エネルギー

のニーズ拡大

短期~中期

・再生可能エネルギー事業を推進

・水素エネルギー利用システムを

 開発・実用化

再生可能エネルギー

事業と生態系保護の

トレードオフ

気候変動による市場

の変化

短期~長期

・BCP対応の提案実施

・非建設分野における新たな事業

 の創出

国土強靭化政策

短期~中期

・インフラ整備事業の受注活動を

 強化

夏季の平均気温上昇

中期

・ロボット、ICT、AI等を活

 用し、現場の省人化と生産性の

 向上を推進

・働き方改革や熱中症対策など、

 労働環境を改善

植栽の生育不良、

植栽適期の縮小

※ 短期:3年以内、中期:3年超~10年以内、長期:10年超と設定

 

c.リスク管理

当社グループは、グループ環境ビジョン「SHIMZ Beyond Zero 2050」のもと、気候変動をはじめとする環境に関連する事業リスクの最小化と、機会の最大化を目指しております。

サステナビリティ委員会において、気候変動への対応に関する日本と世界の動向等が報告され、気候関連のリスク管理についても審議しております。また、本委員会では、地球温暖化に対するリスク管理として、事業による温室効果ガス(CO₂)の排出量の削減目標を設定し、目標を達成するための具体的な施策(建設作業所における使用エネルギーの軽油から電力へのシフト、再生可能エネルギー由来電力の使用拡大等)を決定するとともに、温室効果ガス(CO₂)の排出量の定期的監視を実施しております。

これらのリスク管理を通じて、今後、多様化・広域化・激甚化する気候変動に関するリスクや機会に対処していきます。

 

d.指標と目標

当社グループでは、気候関連のリスクが経営に及ぼす影響を評価・管理するため、温室効果ガス(CO₂)総排出量を指標とし、SBT※1に基づいた中長期の温室効果ガス(CO₂)の削減目標(SBTイニシアティブから認証を取得)を設定しております。さらに、「SHIMZ Beyond Zero 2050」に基づき、2050年度のCO排出量をゼロとする目標を2021年度に設定しました。今後、この目標に基づきSBTの再認証を取得する予定です。

※1 Science Based Targets(科学的根拠に基づく目標)

 世界の平均気温の上昇を「2℃(もしくは1.5℃)未満」に抑えるための、企業の科学的な知見と整合した温室効果ガス(CO)の排出量削減目標

 

 

<温室効果ガス(CO₂)削減目標と実績(2022年度)※2>        (単位:t-CO₂)

対象Scope

基準排出量

排出量実績

目標年排出量

2017年度

2022年度実績

2023年度

2030年度

2050年度

Scope1※3

Scope2※4

275,575

214,709

(△22%)

248,040

(△10%)

184,650

(△33%)

0

(△100%)

(Scope1)

216,710

153,596

(Scope2)

58,865

61,113

Scope3※5

(Category11※6)

3,451,656

4,122,779

(+19%)

2,761,320

(△20%)

0

(△100%)

※2 2023年度の排出量実績は算定中であります。また、目標及び実績に、日本道路㈱の温室効果ガス(CO₂)排出量は含まれておりません。

※3 重機等の燃料使用に伴う排出(直接排出)

※4 購入した電力・熱の使用に伴う排出(電力会社等による間接排出)

※5 サプライチェーンにおけるその他の間接排出

※6 (販売した製品の使用)設計施工ビル運用時のCO₂排出量

「TCFD提言に基づく気候関連の情報開示」の詳細については、下記URLよりご参照ください。

https://www.shimz.co.jp/company/csr/environment/tcfd/

 

②自然関連課題

当社グループでは、気候変動が事業に与える影響と同様に自然関連の影響を重要な経営課題と捉えています。2023年2月にTNFD提言への賛同を表明し、2024年6月にTNFD提言に基づく自然関連財務情報を開示しました。国内における建設事業、不動産開発事業及びグリーンエネルギー開発事業のうち太陽光発電事業の3事業を情報開示の対象としています。

 

a.ガバナンス

サステナビリティ委員会において、自然関連課題の特定と評価の結果を審議し戦略を立て、自然関連の指標と目標の達成度を管理しています。審議内容は、取締役会に報告・監督する体制となっています。また、本委員会で決定された重要事項は、本委員会の下部組織である環境部会を通じて、事業部門(支店を含む)及びグループ会社に伝達され、主要サプライヤーも含めた環境に関するガバナンス体系を構築しています。

 

b.戦略

情報開示の対象3事業それぞれのバリューチェーンにおける自然への依存及び影響として、「バリューチェーン上流における3事業での木材への依存」及び「建設工事による土地利用の変化に起因する陸域生態系への影響」を特定しました。その結果を基にシナリオ分析し、自然関連のリスクと機会の特定を行い、当社の対応を検討しました。

 

 

<自然関連のシナリオ分析結果>

 

事象

R:リスク

O:機会

影響

時期※1

当社の対応

トレーサビリティや環境認証への要求

囲い込み、価格上昇、数量制約によ

る競争

短期

~中期

・サプライヤーとの関係構築

 (CSR調達アンケート)

・型枠合板への取組み

新技術による優位

性の確保

短期

~中期

・リサイクル、新建材の技術開発

建設資材の入手困難

・不安定化

(災害、資源枯渇)

資材価格が不透明・

不安定、工期遅延

中期

~長期

・顧客とのパートナーシップ早期構

 築、強化

・限られた資機材で要求水準を満たす

 技術力の強化

サプライチェーン

の再構築・強化、

新技術による優位

性の確保

中期

~長期

・サプライヤーとの関係構築

 (CSR調達アンケート)

・リサイクル、新建材の技術開発

土地改変への強い

規制や土地利用の

抜本的な見直し

新規建設需要の

減少

長期

・新たな建設領域への投資

 (「BLUE WIND※2」など)

・土地利用高度化に対応する技術力

 向上

改修更新工事の

増加、自然配慮・

再生事業の実施

長期

・次世代の需要に対応する技術

 (DX-Core※3、Hydro Q-BiC※4など)

・自然関連技術で規制緩和に寄与

 (グリーンインフラ+(PLUS)※5

建設現場での自然

関連規制や監視が

強化

評判リスク、

ブランド毀損

短期

~長期

・独自に自然関連アセスメントを

 実施(自然KY※6

「自然性能※7」の

評価やモニタリングの要求

長引く施工責任、

後施工の増加、

管理負担の増大

短期

~中期

・「自然性能」を査定できる人財、

 組織の構築

「自然性能」を顕現

化し差別化する技術

短期

~中期

・「自然性能」を高めることで不動

 産価値向上へ寄与

総量規制を含む

再資源化への強い

要請

設計段階からの強い

制約

長期

・「新Kanたす※8」による副産物管理

・設計・施工段階から建物解体撤去を

 見据えた4R活動の徹底

解体技術が施工能力

に直結

長期

・「新Kanたす」による副産物管理

・リサイクルルートの開拓、積極採用

※1 短期:3年以内、中期:3年超~10年以内、長期:10年超と設定

※2 洋上風力発電施設の建設工事において世界最大級の搭載能力及びクレーン能力を備えた当社保有の自航式SEP船

※3 建物とデジタルを融合させ各種設備機器同士の連携をローコード(プログラムレス)で可能にすることで新しいサービスを生み出す、建物の次世代デジタルプラットフォーム

※4 再生可能エネルギーの余剰電力を水素に変えて水素吸蔵合金に蓄えたのち、必要に応じて水素を取り出して発電できる建物付帯型水素エネルギー利用システム

※5 自然が持つ機能を賢く活かしながらインフラ整備をするとともに、当社が持つソフトや技術を「+」することで、自然の恵みを地域全体に還元する事業コンセプト

※6 当社が開発した、事業の営業・立地選定段階において、プロジェクト周辺の自然環境情報を基に、当該プロジェクトの自然関連のリスクと機会を事前に把握するツール

※7 自然の状態に目標を定めて実施する工法や対策が、自然に対して良い影響を与える度合い

※8 当社が開発した建設副産物総合管理システム

 

 

「バリューチェーン上流における3事業での木材への依存」については、コンクリート型枠に使用する合板が森林減少に影響を与えていることや、特定の地域に依存していることが分かりました。協力会社に対してアンケート調査を実施し、アンケート結果に基づく勉強会実施等の戦略を立て、取組みを開始しました。

また、「自然KY」を営業段階から実施し早期に課題を把握することで、ミティゲーション・ヒエラルキー(回避、低減、再生、オフセット)の考えに沿った対策を実施し、「リスク管理」による自然関連の重点管理項目を明確化する取組みを開始しました。加えて、効果的な自然再生の機会を発見し、その候補地において事業者に自然再生や創出の提案を行い、劣化した自然の再興に貢献していきます。

 

c.リスク管理

上流段階の原材料調達では、「シミズグループCSR調達ガイドライン」に基づいたアンケート調査を実施することで、状況の把握と働きかけを行っています。特にコンクリート型枠については、個別の取組みを実施していきます。

直接操業段階にあたる施工においては、「自然KY」の取組みにより自然関連リスク及び自然再生の機会を把握し、「優先地域」を特定して個別の対応策等を検討していきます。なお、自然KYによる環境分析実施率は、中期経営計画〈2024‐2026〉における非財務KPIに設定しています。

下流段階にあたる建設施設の運営及び解体については、建設副産物の管理システム「新Kanたす」を軸に、法令遵守と建設副産物のより一層の発生抑制と再資源化に取り組んでいきます。

 

d.指標と目標

自然への依存と影響に関する指標と目標は以下のとおりです。

 

<自然への依存と影響に関する指標と目標>

自然の変化の要因

指標

測定項目

実績

目標

陸・淡水・海洋の

利用の変化

総空間フットプリント

[km2]

工事範囲の面積

工事範囲の集計

陸・淡水・海洋の利用

変化の範囲 [km2]

工事による土地

利用変化範囲の

面積

工事による土地

利用変化範囲の

集計

資源の利用

陸・淡水・海洋から

調達する高リスク天然

一次産品の量 [t]

木材

型枠合板の種別

内訳

2030年、外国産合板

(非認証材)ゼロ

 

「TNFD提言に基づく自然関連財務情報開示」の詳細については、下記URLよりご参照ください。

https://www.shimz.co.jp/company/csr/environment/tnfd/

 

 

(4)人財育成・社内環境整備に関する取組み

当社グループでは、サステナビリティ経営の実現に向けて人財や社内環境の観点から課題を整理し、マテリアリティに定める「働きがいと魅力あふれる職場づくり」「挑戦し共創する多様な人財の育成」「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(以下、「DE&I」という。)及び「人権の尊重」並びに社是「論語と算盤」を基本とした「倫理意識の涵養」を主要テーマとして取り組んでいます。

 

①ガバナンス及びリスク管理

「働きがいと魅力あふれる職場づくり」「DE&I」及び「人権の尊重」についてはサステナビリティ委員会を、「挑戦し共創する多様な人財の育成」については人財開発委員会を、また「倫理意識の涵養」は企業倫理委員会を、それぞれ所管委員会とし、重要な戦略や方針の審議及び重要施策のモニタリングを実施する体制を構築しています。

また、各主要テーマに関するリスクについては、所管の各委員会において、対応策、再発防止策などの処置を講じています。さらに、当社グループの事業遂行上、重大な脅威となりうる事象については、上記に加えて、社長を委員長とするリスク管理委員会においてモニタリングするとともに、取締役会に報告するリスク管理体制を整えています。

 

②戦略並びに指標と目標

各主要テーマに基づき、以下の人財や社内環境に関する施策を推進しています。

 

a.働きがいと魅力あふれる職場づくり

当社は、個人の行動変容や職場内・組織間の連携強化による生産性の向上を通じて、企業価値(業績)の創出を行うべく、「働きがい」の継続的な向上に取り組んでいます。当社が目指す姿について従業員の理解を深め、ベクトルを合わせるために「働きがいと魅力あふれる職場づくり」に向けたグランドデザインを策定し、1on1ミーティングやパルスサーベイを活用した、対話(コミュニケーション)による意識・行動変革を進めています。

 

<「働きがいと魅力あふれる職場づくり」に向けたグランドデザイン>

 

 

2018年から全従業員を対象とした「働きがい意識調査」を毎年実施し、従業員の“働きがい”を定量的に把握しています。

2023年度までに働きがい指標を4.0以上にすることを目標に、さまざまな取組みを行った結果、2023年度の実績は3.71となりました。

※当社従業員に対する「働きがい意識調査」による指標(5段階評価の平均)

<働きがい指標の状況>

 

2023年度目標

2023年度実績

働きがい指標

4.0以上

3.71

 

なお、今後は個人の「働きがい」に加え、職場内・組織間の連携強化にも着目した「エンゲージメントスコア」を新たな管理指標として設定し、2026年度までに4.0の達成という高い目標を継続して掲げることで、全社一体となって組織風土改革に挑戦していきます。

<主な取組み>

・360度フィードバックを活用した、マネジメントに対する多角的なフィードバックの開始(2021年10月~)

・全職場を対象とした月に一度のパルスサーベイの実施とフォロー(2022年5月~)

・役職者約3,500名を対象とした1on1ミーティング研修の実施(2022年10月~)

・働きがい向上に関する取組みの主旨、理念の更なる浸透を目的とした「働き方・働きがい改革推進期間」の実施(2023年10~12月)

 

また、当社は、従業員の健康増進に向けて、全社的な推進体制を整備し、必要な施策を継続的に実行しております。

<主な取組み>

・勤務時間中の喫煙禁止と本社の喫煙所の廃止(2021年10月~)

・多様な相談窓口の設置、各拠点への常勤産業保健スタッフの配置などメンタルヘルスの向上をサポートする体制の強化(2022年4月~)

・職場環境改善に向けたフォローの強化(職場巡回、希望者との面談など)(2022年4月~)

・食事・睡眠の質向上に向けた施策の全社展開(2022年10月~)

 

以上の取組みの結果、当社は、特に優良な健康経営®※を実践している企業を顕彰する健康経営優良法人2024に認定されました。引き続き、一人ひとりの心身の健康、職場の活性化等による健康経営への取組みを推進していきます。

※「健康経営®」はNPO法人健康経営研究会の登録商標です。

 

b.挑戦し共創する多様な人財の育成

当社は、デジタル化・グローバル化といったダイナミックな環境変化に迅速に対応し、変化をビジネスチャンスとして企業の持続的成長に繋げるためには、自律性とチャレンジ精神が重要と考え、優秀な人財の確保・育成に向けて、人財管理の仕組みづくりや計画的かつ継続的な人財投資を行っています。加えて、グローバルに通用し、改革を率先するリーダー人財の育成の場を拡充するとともに、チャレンジする機会を創出し、事業家マインドを持った人財の育成と活用を進めています。

 

<主な取組み>

・成長意欲の伸長を促す評価制度の導入(2021年4月~)

・シニア世代の活躍推進にも着目した65歳までの定年延長(2021年4月~)

・全従業員が受講可能な情報系教育コンテンツの配信開始(2021年11月~)

・従業員の企業を支援するコーポレートベンチャリング制度の開始(2022年5月~)

・公募留学制度の開始(2022年5月~)

・公募職務に対して希望者が自ら手を挙げるジョブチャレンジ制度の開始(2022年11月~)

・新入社員向けDX研修の実施(2023年4月~)

・手上げ式研修(公募型ビジネススキル研修)の実施(2023年7月~)

 

2023年には、イノベーションと人財育成の拠点「温故創新の森 NOVARE」を開設しました。当該施設を活用して、多様なパートナーとの共創、建設事業の枠を超えた活動を実践し、レジリエント・インクルーシブ・サステナブルな社会の実現に向け、50年先・100年先を見据えて、当社と社会の発展に貢献できる人財の育成を目指します。

また、デジタルを活用した業務変革や新ビジネス創出を推進する「DXコア人財」の育成をはじめとして、役員・従業員のスキルとマインドを底上げし、デジタル技術とデータを俯瞰的に活かせる人財を増強していきます。

 

<人財関連投資の状況>

〈2019‐2023〉

計画

実績

人財関連投資

200億円

175億円

 

c.DE&I、人権の尊重

当社は、従業員一人ひとりが多様な個性を活かし、能力を最大限発揮できるように、DE&Iの推進や働きやすい職場環境の整備等について、計画的に取組みを進めております。

 

<主な取組み>

・障がいのある従業員の活躍推進と全従業員の意識啓発を目的とした「チャレンジフォーラム」の開催(2018年~)

・人権デュー・ディリジェンスの取組み(2019年~)

・LGBTQ理解促進施策の実施(2019年~)

・改正育児・介護休業法の施行に先駆けた男性版産休制度「パタニティ休業制度」の導入(2021年10月~)

・自身又は配偶者の妊娠がわかった段階で上職者と休業前後の働き方等のすり合わせを行い、対象者が安心して休めることを目的とした「育児とキャリアの面談」の導入(2021年10月~)

・多様な人財確保のための通年採用の実施(2022年4月~)

・社内のジェンダーギャップ解消を目的とした「シン・ダイバーシティ」活動の展開(2022年5月~)

・不妊治療支援金制度の導入(2023年11月~)

 

管理職への登用にあたっては、多様性を尊重し、性別、性的指向・性自認、国籍、障がいの有無、新卒・中途の採用区分等に関係なく、能力や人物を評価したうえで実施しています。

これらの取組みの結果、女性管理職数は、2019年度に設定した目標「2023年度までに2018年度(84名)比50%増」を2021年度に前倒しで達成するなど、着実に増加しております。

今後は障がい者雇用率を新たな管理指標として設定する等、更なるDE&Iの推進に取組み、企業文化を含む、企業変革を確実に進めていきます。

 

<女性従業員の管理職への登用の状況(2024年3月末時点)>

 

人数

(総数に占める比率)

管理職人数

(管理職総数に占める比率)

女性管理職比率

目標値

女性従業員

1,995名

(18.2%)

167名

(3.9%)

2026年度  6以上

2030年度 10%以上