2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)公共事業への依存

 当社は受注高の約8割を公共事業に依存しているため、予想を超える公共事業の削減が行われた場合には、売上高・利益の減少等、業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、現在のところ、業績に影響を及ぼすような大きな市場・環境の変化は認識していません。また、公共工事への依存を軽減するため、民間工事及び海外工事の受注にも取り組んでおります。

(2)他社との競合

 当社の事業は受注産業であるため、他社との競合が激化することで採算が悪化し、売上高・利益の減少等、業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、現在のところ、業績に影響を及ぼすような大きな市場・環境の変化は認識しておりません。

(3)取引先の与信

 工事の受注から代金回収まで、相当な期間を要する場合がありますので、取引先の業況悪化等により工事代金の回収遅延、貸倒れ損失等が発生し、業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、与信管理の徹底により貸倒れ防止に努めております。また、リスクに備えるため、下請債権保全支援事業による債権保証ファクタリングを利用し、貸倒れが発生した場合でも損失を回避、または低減しております。

(4)品質管理

 品質管理には万全を期しておりますが契約不適合及び製造物責任による損害賠償が発生した場合は、賠償金の発

生、売上高・利益の減少等、業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループは、工事部門による現場の品質パトロールを行い、品質不良の発生を防ぐと共に、過去の品質トラブル事例を水平展開して再発防止に努めております。また、2020年度より安全環境品質本部内に品質管理を専門に行う品質部を新設し、品質管理の強化徹底に努めております。

(5)建設資材価格および労務単価の高騰、技能労働者の不足

 建設資材や労務単価の急激な上昇および技能労働者の不足が生じた場合は、工事の採算悪化や工事進捗に遅延を招く恐れがあり、売上高・利益の減少、採算性の悪化等、業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、工期が一年を超える大型工事の割合は少なく、仮に建設資材費、労務費単価が上昇した場合でも交渉を行い、業績への影響は最小限とするように努めております。また協力業者の技能労働者配置計画については、本店にて支店間の調整の他、多能工の養成にも積極的に取り組んでおります。

(6)労働災害および事故の発生

 工事施工にあたっては、労働災害および事故の発生を防ぐべく対策を講じておりますが、万が一、人身や施工物にかかわる重大な事故が発生した場合は、売上高・利益の減少、採算性の悪化等、業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、労働安全衛生法遵守はもちろん、社内で定めたより厳しい基準で安全管理を行っております。

また、過去の労働災害事例を水平展開して再発防止に努めております。さらに、安全指導の基本方針、安全強化項目

を定め、各現場の管理とともに安全パトロールで重点的に点検し、災害発生防止に努めております。

(7)海外事業におけるリスク

 海外で事業を展開しており、海外での政治・経済情勢、法的規制、為替相場等に著しい変化が生じた場合や、資材価格や労務単価の急激な上昇などがあった場合には、工事利益の確保や工事進捗に支障をきたし、業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループは、さまざまなリスク回避のため、日系企業からの受注及び情報収集を行っております。また海外事業は、現在のところ売上高、利益ともグループ全体におけるシェアが小さく、当社グループ全体の業績への影響は、軽微であります。

(8)法的規制

 当社グループは建設業を主たる事業としており、建設業法をはじめとする法的規制を受けているため、法改正等により業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループについて、市場や業績に影響を及ぼすような法改正等は認識しておりません。

(9)不正によるリスク

 役職員の不正が発生し、著しい損害が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、行動倫理規範により、高い倫理観を持ち業務を行うように指導するとともに、コンプライアンス研修、および内部管理体制、監査等で不正の防止に努めています。

(10)気候変動に関するリスク

 脱炭素社会への移行に向けて、事業活動で発生する温室効果ガス排出量の規制や炭素税が導入された場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また温暖化により気温の上昇を招き、それにより災害が甚大化する場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 環境負荷軽減のため、CO2排出量削減に資する研究開発の推進や、CO2排出量削減に資する工法の設計・施工の推進に取り組むほか、オフィス、現場事務所の省エネの推進にも取り組んでまいります。

(11)感染症拡大によるリスク

 感染症拡大により、市場の変化や工事の採算悪化や工事進捗に遅延を招く恐れがあり、業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、従業員に対する感染予防対策を徹底し、WEB会議等を活用することにより、事業継続が可能な体制強化を進めていきます。

(12)情報漏洩によるリスク

 個人情報や機密情報などが漏洩した場合、社会的な信用の失墜、損害賠償の請求などにより、当社の業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、このリスクに対応するために、情報管理についての規則を定め、社員に順守させるとともに、情報セキュリティについての教育を定期的に行い、情報管理の徹底と社員の意識向上に努めています。

 

 その他、当社グループ会社につきましては、当社の内部統制システムに組み入れて、その業務が適正に遂行されるように監視・監督しておりますが、業況の変化により当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、企業体質の強化や内部留保の充実による経営基盤の強化を図りながら株主の皆様への安定的な利益還元に

努めることを基本方針とし、プライム市場に上場する企業として、積極的な設備投資、研究開発に取り組むととも

に、株主の皆様のご支援にお応えするために、株主還元の強化を図ってまいります。

 剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
 

 内部留保資金については、経営基盤の強化並びに設備投資等に活用し、企業価値の向上に努めていく所存であります。
 当社は、取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、会社法第454条第5項に定める中間配当をすることができる旨を定款に定めております。

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

株式の種類

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当額(円)

2023年11月9日

普通株式

918

22.00

取締役会

2024年6月21日

普通株式

1,043

25.00

定時株主総会決議