リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項について、現時点で想定される主なものを記載いたしました。
なお、文中記載の事項のうち将来に関するものについては、有価証券報告書提出日(2024年6月21日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)当社グループを取り巻く事業環境について
当社グループが属する情報サービス産業では、営業・販売活動のデジタル化への取り組みや、それらを支援する新たなネットワークサービスの開発などに加え、AI・IoT技術を活用したシステムインテグレーションおよび管理運営受託が堅調に推移しております。しかしながら、デジタル人材の供給面に目を向けると、慢性的なシステム/ネットワークエンジニアの不足が拡大しております。
当社では継続した積極的技術投資を行い対応に努めておりますが、他業種からの新規参入や海外企業の台頭による想定以上の価格競争の発生、DX等による顧客のビジネスモデルの変革や広範な領域における急速な技術革新が発生した場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(2)特定の取引先への依存度について
当社グループの当連結会計年度末における野村総合研究所グループ及び富士通グループへの販売実績の総販売実績に対する割合は、それぞれ52.6%及び17.6%となっております。このため、上記顧客の受注動向等は当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
これに対して、当社グループは常にエンドユーザーに密着したサービスを提供することを志向し、上記顧客との関係を維持しながら、新規領域の獲得を目指し、サービスの最終的な利用者であるエンドユーザーとの緊密な関係の構築に注力することで、当社グループの経営成績に及ぼす悪影響の軽減を図っております。
(3)プロジェクトの品質・損益管理について
当社グループでは、システム開発技術の向上・蓄積及び将来の受注拡大を目的として、収益性の低いプロジェクト又は赤字になると見込まれるプロジェクトであっても積極的に受託する可能性があります。また、当社グループの提供するサービスは原則として請負契約となるため、受注時に採算が取れると見込まれるプロジェクトであっても、想定外の仕様変更や当初の見積りを超える追加作業の発生等により収益性が低下し、不採算となる可能性があります。
今後、DX事業の推進により顧客から要求されるシステムの高難度化が進み、品質の確保が困難な局面は増加傾向にあると考えられます。また、顧客との認識相違や当社の技術力・マネジメント不足による品質不良が発生した場合、2020年4月に施行された民法改正での契約不適合期間の延長による長期の修補責任や、売上の減額請求を行われる可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
その対策として、システム開発会議において工程ごとのレビューを徹底することでプロジェクトに内包するリスクの早期共有や見える化を図るとともに、各プロジェクトに対するモニタリング機能の強化による品質向上、さらにDX事業を筆頭とし契約形態を準委任契約へ変更することでリスクコントロールしてまいります。
(4)情報管理・情報漏洩に関するリスク
当社グループが顧客に提供するシステムソリューション・サービスにおいては、当社グループの従業員及び当社グループが委託するビジネスパートナーの従業員が、顧客企業の保有する機密情報へアクセス可能な環境にある場合があります。当社グループでは顧客及び従業員情報の保全や機密情報の適切な管理及び情報セキュリティ・マネジメントシステムの強化・改善を重要課題と位置づけ、昨今のビジネス環境の変化によるセキュリティリスクへの対応も含め、様々な取組みを行っております。また、当社の社内環境や開発環境がサイバー攻撃にさらされるというリスクについても適正な対策を行っております。しかしながら、これらの施策にもかかわらず個人情報や企業情報が万一漏洩した場合には、損害賠償責任を負う可能性があるほか、社会的信用の失墜等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)事業継続について
当社グループは、各地で相次ぐ災害への対策、地政学的リスク、また災害等の発生の影響により顧客へのサービス提供の中断が不可避となった場合等を加味した事業継続プログラム(BCP)の再構築を行い、その実効性の点検や課題の解決を図っております。しかしながら、災害規模が想定よりも甚大な場合には顧客と合意した水準でのサービス提供が困難となり、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(6)海外子会社を含めた海外での事業活動について
当社グループは、海外での事業拡大を進めております。しかし多くの海外市場において、日本とは異なる法制度、商慣習及び労使関係や経済の動向並びに為替相場の変動、その他政治的及び社会的要因といった様々な要因の発生が見込まれ、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
これらに対して、一極集中を避けるために、国内ニアショアの活用など国内外の拠点の再配置の検討をすすめてまいります。
(7)投資有価証券の価値の棄損について
当社グループは、取引先との関係強化や情報収集を目的に保有する上場株式の他に、業務提携等で取得した未上場株式や資金運用を目的とする債券を保有しております。また、新技術を保有するベンチャー企業の発掘を目的に投資事業組合への出資を行っております。これらの投資有価証券は、発行体の業績悪化や経営破綻等が発生した場合には、会計上減損処理を行うことや、投資額を回収できないことがあり、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
これらのリスクに対して、市場並びに運用先のモニタリングを充実させ、適切な対処を行ってまいります。
(8)人材確保に関するリスク
当社グループの事業拡大にとって、優秀な人材の確保や人材の育成は、重要な経営課題であると認識しております。当社グループが属する情報サービス産業では慢性的なシステム/ネットワークエンジニアの不足が続いており、今後、計画通りの人材を確保できない場合や人材の流出に加え、プロフェッショナルIT人材の育成に遅れが生じる場合には、生産性の高いプロジェクト遂行や案件獲得の機会損失を招く恐れがあり、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対して、計画的な採用活動を通じて新卒採用及び中途採用を実施し、人材の確保を図ると同時に、人材育成の仕組み作りやウェルビーイング向上等の施策を引き続き実施してまいります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主への利益還元を上場企業の責務であると考え、経営の最重要課題と認識しており、業績向上に邁進し、安定配当・時価総額の増大を図ることで株主資産価値の向上を目指しています。
配当については、経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、株主各位への還元として連結配当性向40%を目安に中間配当と期末配当の年2回、安定した剰余金の配当を継続して実施していくことを基本方針としております。
また、資本の充実に伴い、今後の事業展開および内部留保水準を勘案した上で、《VISION2026》第2次中期計画において株主の皆様への更なる還元を目的に連結配当性向50%に引き上げることを2024年4月24日の取締役会にて決議いたしました。当期末はこの方針を前倒しして適用し、直近の配当予想より5円増配の1株当たり20円といたします。
これらの剰余金の配当の決定機関は、中間配当・期末配当ともに取締役会であります。
当期末の配当につきましては、上記の方針および連結業績を鑑み、1株当たり20円とさせていただきます。
これにより昨年12月に実施済みの中間配当15円と合わせ1株当たり35円となります。この結果、当事業年度の連結配当性向は49.7%となりました。
内部留保資金につきましては、従業員の採用・育成や新技術の獲得、ソリューションを開発するための研究開発費用および開発拠点の拡充等に充当し、経営基盤の拡充や経営体質の一層の強化を図り、将来にわたる業績向上に努めてまいります。
なお、当社は、「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる」旨及び「剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項について、法令の別段の定めがある場合を除き、取締役会の決議によることができる」旨を定款に定めております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (千円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年11月1日 |
236,209 |
15 |
取締役会決議 |
||
2024年4月24日 |
314,945 |
20 |
取締役会決議 |