リスク
3【事業等のリスク】
当社グループでは、リスクマネジメントに関する基本方針や管理体制を定める「キッコーマングループリスクマネジメント規程」に基づき、グループ全体のリスクマネジメントを推進しております。CEOが議長を務めるグループ経営会議でグループのリスクについて分析・検討を定期的に行っており、リスクの評価と選定については、社内外の経営環境に及ぼす変化を幅広く捉え今後リスクと成り得る事案を洗い出し、影響度と発生可能性の2つの視点から重要度を評価することで、優先順位をつけ、リスクへの対応を図っております。
また、食品企業としての基本機能である、商品の安定供給と安全性の確保に関するリスクに対しては、それぞれ委員会を設けております。商品の安定供給については、危機管理委員会を設置し、事故・災害等のグループに影響を及ぼす危機発生時に適切かつ迅速に対処を行っております。商品の安全性については、キッコーマングループ品質方針を定め、グループ主要製造会社に品質保証担当部門を設置するとともに、グループ横断の委員で構成される品質保証委員会を開催し、安全性、法令の順守、社会的公正性の確保を図っております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。これらのうち、本年度において、影響度と発生可能性を勘案して重要度「大」と評価したリスクは、(1) 「社会経済環境」に関するリスクについては、「自然災害等」、「原材料市況の変動」、(2) 「事業環境」に関するリスクについては、「競争環境の変化」、「企業の社会的責任」、(3)「事業運営」に関するリスクについては、「情報システム及び情報セキュリティ」、「人材」であります。
なお、本項に記載の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月25日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)「社会経済環境」に関するリスク
①自然災害等
当社グループは、日本を始め、米州、欧州、アジアにおいて、現地生産を基本に生産拠点を各地に設置しております。不測の事態に備えた事業継続計画(BCP)を策定しており、適宜、訓練及び見直しを行っております。しかしながら、地震、ハリケーン、干ばつ、集中豪雨等の自然災害、大規模な事故等で、生産停止、またはサプライチェーンの分断等の予想を超えた事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②原材料市況の変動
当社グループは、主力製品のしょうゆや豆乳等に使用される大豆、小麦等の国際商品市況、及び原油価格の変動等の影響を予算立案の際におりこみ、月次単位で影響額の把握・対応を行っております。中期経営計画についても、原材料やユーティリティの高騰の影響を検討し、計画を策定しております。しかしながら、地政学リスク等の影響により、それらの前提を越えた価格の高騰や、異常気象、冷夏、暖冬等の気候変動による生産量不足等が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③社会的・経済的混乱
当社グループは、長期ビジョンである「グローバルビジョン2030」に基づき、日本を始め、米州、欧州、アジア等、グローバルな事業展開を行っており、地域経済の変動に対するリスクの分散を図っております。しかしながら、疫病の世界的な流行や展開地域に政変、テロ、軍事的衝突等が発生し、急激な市場環境の変化、あるいは社会や経済に大きな混乱が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)「事業環境」に関するリスク
①競争環境の変化
当社グループは、社会、消費者、競合等の動向を捉えた上で、中長期の経営計画を策定しております。また、研究開発体制の整備および全社的なDXの取り組みを進めるなど、技術革新に努めております。しかしながら、中期的な消費者の価値観や嗜好の変化、新たな競争相手の出現、競合品の飛躍的な品質の向上、情報技術の革新等による急激な環境変化が起こった場合、当社グループの提供する商品及びサービスに対する需要が低下し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②企業の社会的責任
当社グループは、事業活動を通じて社会課題の解決に貢献するとともに、社会課題を解決する中で事業機会を見つけていくことにより企業の社会的責任を果たしていきたいと考えております。そのために「地球環境」「食と健康」「人と社会」の3つを重要分野と定め、「サステナビリティ委員会」が全体を統括し、取り組みを進めております。
「地球環境」については、長期環境ビジョンに基づき、環境課題への対応を行っています。CO₂排出量及び水使用原単位の削減や、環境配慮型容器の展開を進めることによるプラスチックの削減を進めます。また、当社グループは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明しております。TCFD提言に基づき、気候変動が事業に与えるリスクおよび機会を評価し、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標について開示を進めてまいります。
気候変動 | https://www.kikkoman.com/jp/csr/environment/climate-change.html
「食と健康」については、「こころをこめたおいしさで、地球を食のよろこびで満たします。」という「キッコーマンの約束」に込めた想いを実践してまいります。
キッコーマンの約束 | https://www.kikkoman.com/jp/corporate/brand/promise.html
「人と社会」については、「キッコーマングループ人権方針」に基づき、人権デューデリジェンスを推進するとともに、社内教育の充実も図ってまいります。
人権の尊重 | https://www.kikkoman.com/jp/csr/management/humanrights.html
また、当社グループにおける「地球環境」「食と健康」「人と社会」の3つの重要分野に関する取り組みは、コーポレートレポートに開示しております。
https://www.kikkoman.com/jp/csr/report/
しかしながら、社会課題への国際的な関心が高まる中で、これらの課題への対応が十分でなかった場合には、企業活動への制約が生じる、または、社会的信頼を喪失することにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)「事業運営」に関するリスク
①コンプライアンス
a.コンプライアンス
当社グループは、国内において食品衛生法、製造物責任法、独占禁止法等の法的規制を受けております。また、事業を展開する各国において、当該国の法的規制を受けております。当社グループは、行動規範を定め、法令順守のための研修等による周知・徹底を図るとともに、各業務のプロセスにおける内部統制の整備・運用を行っております。しかしながら、法規制の変更、強化等により、従来の取引形態、製品規格などの継続が難しくなった場合、あるいは法令等の違反や社会的要請に反した行動が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
b.知的財産権・著作権侵害
当社グループは、グループ内で開発した技術については、必要に応じて、特許権、実用新案権、商標権等の産業財産権を取得しております。これらは経営上多くのメリットがある重要な経営資源と考えており、製品の製造法に関して他社の特許に抵触しないかの確認を含め、専門部門による管理を徹底しております。しかしながら、他社が類似するもの、若しくは当社グループより優れた技術を開発した場合や、他社との間で知的財産権侵害に関する紛争等が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②情報システム及び情報セキュリティ
当社グループは、開発・生産・物流・販売等の業務を担うシステムや、グループ経営及び法人・個人に関する重要情報を保持しており、保守・保全の対策を講じるとともに、情報管理体制の徹底に努めております。しかしながら、停電、災害、ソフトウェアや機器の欠陥、コンピュータウイルスの感染、不正アクセス等予想の範囲を超える出来事により、システム障害や情報漏洩、改ざん等の被害が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③食の安全性
当社グループでは、安全で高品質の商品を安定的に供給することを基本的な使命と考え、品質方針を定め、品質保証体制および品質管理体制を強化し取り組んでおります。しかしながら、偶発的な事由によるものを含めて製品事故が発生し、当社グループの取り組みの範囲を超えた事象が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④人材
当社グループでは、設備投資や業務効率化等により労働生産性向上を図るとともに、各国及び各職種において高度な専門性を有した人材の確保・育成に努めております。しかしながら、労働人口の減少や人件費の高騰により、必要とする人材の確保ができない場合には、業務の遂行及び事業展開に支障をきたし、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤財務
a.為替変動
当社グループは、為替変動等のリスクを織り込み中期計画、予算、及び業績予想を作成しております。しかしながら、予想の範囲を超える為替変動により外貨建てで調達している原材料及び商品の急激な高騰や、海外子会社の経営成績の円換算額の表面上の減少等が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
b.減損会計
当社グループは、意思決定ガイドラインを定め、新規事業、設備投資、M&A等のうち一定水準以上の投資を行う場合は、投資対効果等の検討を踏まえた上で取締役会決議としております。しかしながら、当該案件の意思決定時に期待していた収益や効果が実現できない場合には、減損会計の適用を受けることになり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主各位に対する配当政策を重要な経営課題の一つとして位置づけ、企業基盤の強化、今後の事業の拡充、連結業績等を勘案しながら、利益配分を行っていくことを基本方針としております。また、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定款に定めており、年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。なお、これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当につきましては株主総会、中間配当につきましては、取締役会であります。
当期の配当につきましては、1株当たり104円(中間配当は34円、期末配当は70円)といたしました。これにより当期の連結配当性向は35.1%となりました。
また、内部留保金につきましては、長期的な視点に立って、海外への投融資、成長分野及び合理化のための設備投資、事業化指向の研究開発投資、新規需要を喚起するための市場投資等、企業価値の増大のための諸施策に活用してまいります。
なお、当事業年度の剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たりの配当額 (円) |
2023年10月25日 |
6,479 |
34 |
取締役会決議 |
||
2024年6月25日 |
13,328 |
70 |
定時株主総会決議 |