2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

調味料・食品 冷凍食品 ヘルスケア等 その他
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
調味料・食品 846,977 58.8 N/A N/A N/A
冷凍食品 281,870 19.6 N/A N/A N/A
ヘルスケア等 294,564 20.5 N/A N/A N/A
その他 15,819 1.1 N/A N/A N/A

事業内容

3【事業の内容】

 当社グループは、当社、連結子会社111社及び持分法適用会社15社より構成され、調味料、栄養・加工食品、ソリューション&イングリディエンツ、冷凍食品、医薬用・食品用アミノ酸、バイオファーマサービス(CDMO)、ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)、更にその他の事業活動を行っております。

 当社グループの当該事業における位置づけは次のとおりです(☆印は持分法適用会社)。

報告セグメント

製品区分

主要な会社

調味料・食品

調味料

 味の素食品㈱
 味の素AGF㈱
 タイ味の素社
 タイ味の素販売社
 ワンタイフーヅ社
 インドネシア味の素社
 インドネシア味の素販売社
 アジネックス・インターナショナル社
 ベトナム味の素社
 フィリピン味の素社
 マレーシア味の素社
 ナイジェリア味の素食品社
 ブラジル味の素社
 ペルー味の素社
☆プロマシドール・ホールディングス社

栄養・加工食品

ソリューション&イングリディエンツ

 欧州味の素食品社
 味の素ベーカリー㈱
 デリカエース㈱
☆ヤマキ㈱

冷凍食品

冷凍食品

 味の素冷凍食品㈱
 味の素フーズ・ノースアメリカ社

ヘルスケア等

医薬用・食品用アミノ酸

 味の素ヘルシーサプライ㈱
 味の素ヘルス・アンド・ニュートリション・ノースアメリカ社
 上海味の素アミノ酸社

バイオファーマサービス(CDMO)

 味の素オムニケム社
 味の素アルテア社

 フォージ・バイオロジクス社 (注)1

ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)

 味の素ファインテクノ㈱

その他

 味の素ダイレクト㈱

その他

製造受託

☆EAファーマ㈱

油脂

☆㈱J-オイルミルズ (注)2

物流

☆F-LINE㈱

サービス他

 味の素エンジニアリング㈱

 ㈱味の素コミュニケーションズ

☆NRIシステムテクノ㈱

(注)1.2023年12月21日(現地時間)付で米国の遺伝子治療薬CDMOのフォージ・バイオロジクス・ホールディングス社の全持分を取得し同社及びその子会社を連結子会社としておりますその後フォージ・バイオロジクス・ホールディングス社はその子会社のフォージ・バイオロジクス社に吸収合併されております

(注)2.当社グループの中で、国内の証券市場に上場している会社は次のとおりです。

     東証プライム市場(提出日現在):㈱J-オイルミルズ

 

 なお、事業系統図は次のとおりです(☆印は持分法適用会社)。

 

 

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

 当社グループは、IFRSの適用に当たり、投資家、取締役会及び経営会議が各事業の恒常的な業績や将来の見通しを把握すること、取締役会及び経営会議が継続的に事業ポートフォリオを評価することを目的として、「事業利益」という段階利益を導入しております。当該「事業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費」、「研究開発費」及び「一般管理費」を控除し、「持分法による損益」を加えたものであり、「その他の営業収益」及び「その他の営業費用」を含まない段階利益です。

 

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 2023年度は、「成長性」と「効率性」の両立を図るべく、現在の事業の効率化や差別化等のための設備投資を行うとともに、今後の医療モダリティ成長や社会的貢献が見込まれる遺伝子治療CDMO領域への投資を実施しました。これらの投資に加えて、「効率性」を志向した900億円の自己株式取得や約380億円の配当など、過去最高となった営業キャッシュ・フローのおおよそ1.5倍の投資および株主還元を行いました。

 2024年度以降も成長4領域への差別化等のための積極投資による「成長性」と資本等の「効率性」を一層追求するため、ネットD/Eレシオのレンジを0.4~0.6倍に引き上げます。同時に、さらなるキャッシュ・フロー創出のための運転資金改善プログラムの強化、EBITDAマージン改善のグループベースでの取り組みや政策保有株の売却も、引き続き行っていきます。

 

ユニークで強靭な高収益構造へシフトするための資本戦略の3つの実行

1.各事業部のパフォーマンスをコーポレートとして支える型化や仕組みの実行

2.競争優位性視点で事業ポートフォリオの変化を実現

3.投資家の支持を得るためのエンゲージメント強化

 

 

 

 

①事業のパフォーマンスを支える型化や仕組みの組織開発と実行

 国内外グループ会社の知見を結集して、企業価値のさらなる向上のため、会社の発展段階(新規設立or取得or成長or成熟)や事業形態に応じて、将来の事業成長を見据えた多面的な構造解析で改善方法等の「型」の「学びあい」の場を設けています。たとえば、以下が「型」の例です。

 (ⅰ)月次ローリング・フォーキャストの実施による経営品質の向上活動

 (ⅱ)クロス・ファンクショナルな購買活動の新たな視点でのキャッシュ・フロー改善

 (ⅲ)与信管理枠定期見直しにおける自動化プログラム

 (ⅳ)SKUごとの物流費まで含めた多面的で徹底的な採算管理

 これは、管理会計の基本の「型」を重視する取り組みで、FP&A人財が、財務・経理・税務部門の出身者だけではなく、事業部、地域本部、他のコーポレート部門、製造部門や研究開発部門等、相互に交流するなかで、基本の徹底を学ぶ重要な取り組みと考えています。

 

<グローバル標準の型化と展開>

 

 

②競争優位性視点で事業ポートフォリオの変化を実現

 事業ポートフォリオについては、持続的成長をもたらし、志(パーパス)を追求し続けるための当社グループらしい「型」を創ります。既存事業と4つの成長領域(新規領域)の融合による事業モデル変革(BMX)によって、提供価値起点の事業ポートフォリオへと進化していきます。

 事業ポートフォリオの進化に向けては、既存事業の成長性と収益性を把握しつつ、各組織の中期的ロードマップにおけるキー戦略を4つのアクション(①集める、②変える、③始める、④止める)で整理し、成長への資源配分の優先順位を定めます。長期軸ではイノベーション戦略と連動し、未来構想の仮説抽出を行う仕組みを構築します。

 そして、事業のステージ、事業領域ごとの成長メカニズムや事業特性に応じ、成長加速のための資源配分を行っていきます。

 

<キャッシュ・アロケーションの考え方>

<ポートフォリオ再設計の検討>

 

③投資家の支持を得るためのエンゲージメント強化

 中期ASV経営の推進による2030ロードマップ実現に向けて、株主・投資家の皆様からご期待をいただくとともに、エンゲージメントを通じて多くの示唆をいただいています。さらなる進化を実現するためのアミノサイエンス®を通じた価値創造、強みの源泉である人財をはじめとした無形資産の強みなど、株主・投資家の皆様のご理解を深めていただくために株主総会や各種説明会、年間700社を超える個別対話を積極的に展開しています。

 短期業績の着実な成長とともに、株主・投資家の皆様から中長期目線での成長に対するご期待をいただけるよう取り組んでいます。サステナビリティへの取り組みを通じネガティブインパクトの低減だけでなく、イノベーションによるポジティブインパクトの創出にチャレンジしていくことを積極的に情報開示し、企業価値評価モデルの持続的な成長性や資本コスト低減も推進しています。

 持続的な企業価値向上の実現を目指すとともに、資本効率性の追求にも積極的に取り組み、2030年までに2022年比でEPS3倍の実現を目指します。

 まだまだ味の素グループをご存じではない機関投資家や個人投資家がたくさんいらっしゃいます。中期ASV経営を支えていただく株主資本構成の実現に向け、2024年度には新たにIR室を設置し、株主・投資家の皆様との接点を拡充するとともに、さらなる企業価値向上につなげていきます。

 

<様々なステークホルダーとの継続的な対話>

 

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

 当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また製品のグループ内使用(製品を他のセグメントの原材料として使用)や、受注生産形態をとる製品が少ないため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 このため生産、受注及び販売の実績は、「(4) 当連結会計年度の経営成績の分析」における各セグメント業績に関連付けて示しております。

 

(3) 重要性がある会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」に記載しております。この連結財務諸表の作成に当たって必要な見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び同「5.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。

 

(4) 当連結会計年度の経営成績の分析

 当連結会計年度の売上高は、ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)の販売減の影響等によりヘルスケア等セグメントが減収となったものの、販売単価の上昇や換算為替の影響等により調味料・食品セグメント及び冷凍食品セグメントが増収となった結果、前期を801億円上回る1兆4,392億円(前期比105.9%)となりました。

 事業利益は、ヘルスケア等セグメントの減収等の影響を受けたものの、調味料・食品セグメント及び冷凍食品セグメントの増収効果等により、前期を123億円上回る1,476億円(前期比109.1%)となりました。

 営業利益は、その他の営業収益で前期に当期を大幅に上回る固定資産の売却益の計上等があったため、前期を22億円下回る1,466億円(前期比98.5%)となりました。

 親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期を69億円下回る871億円(前期比92.6%)となりました。

 

当連結会計年度のセグメント別の概況

 セグメントごとの業績は、次のとおりです。

 

対前期実績

売上高(億円)

事業利益(億円)

第146期

前期増減

前期比

第146期

前期増減

前期比

調味料・食品

8,469

719

109.3

1,115

267

131.5

冷凍食品

2,818

146

105.5

95

75

475.7

ヘルスケア等

2,945

△51

98.3

243

△242

50.1

その他

158

△13

92.1

21

22

 

合計

14,392

801

105.9

1,476

123

109.1

(注)各セグメントの主要製品につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 7.セグメント情報 (1) 報告セグメントの概要」をご参照ください。

 

① 調味料・食品セグメント

 調味料・食品セグメントの売上高は、販売増や換算為替の影響等により、前期を719億円上回る8,469億円(前期比109.3%)となりました。事業利益は、増収効果等により、前期を267億円上回る1,115億円(前期比131.5%)となりました。

 

<主要な変動要因>

・調味料は、全体で増収。
日本は、主に単価上昇により増収。
海外は、販売増や為替影響等により増収。

・栄養・加工食品は、全体で増収。
日本は、主に単価上昇により増収。
海外は、為替影響や販売増等により増収。

・ソリューション&イングリディエンツは、日本における外食向け製品の販売増や、海外における為替影響等により増収。

<主要な変動要因>

・調味料は、全体で大幅増益。
日本は原材料等のコストや戦略的費用の増加を単価上昇により吸収し、前年並み。
海外は、増収効果等により大幅増益。

・栄養・加工食品は、全体で増益。
日本は増収も、原材料等のコスト増影響により減益。
海外は、増収効果等により大幅増益。

・ソリューション&イングリディエンツは、主に日本における外食向け製品や、加工用うま味調味料が増益となり、全体で大幅増益。

 

② 冷凍食品セグメント

 冷凍食品セグメントの売上高は、販売単価の上昇や換算為替の影響等により、前期を146億円上回る2,818億円(前期比105.5%)となりました。事業利益は、増収効果や構造改革効果等により、前期を75億円上回る95億円(前期比475.7%)となりました。

 

<主要な変動要因>

・冷凍食品は、全体で増収。
日本は、単価上昇効果あるも、数量減により減収。
海外は、単価上昇、為替影響等により増収。

<主要な変動要因>

・冷凍食品は、全体で大幅増益。
日本は減収も、単価上昇やコスト改善効果等により増益。
海外は、増収効果や構造改革効果等により大幅増益。

 

③ ヘルスケア等セグメント

 ヘルスケア等セグメントの売上高は、ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)の販売減の影響等により、前期を51億円下回る2,945億円(前期比98.3%)となりました。事業利益は、ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)、バイオファーマサービス&イングリディエンツいずれも減益となり、前期を242億円下回る243億円(前期比50.1%)となりました。

 

<主要な変動要因>

・バイオファーマサービス&イングリディエンツは、主に為替影響により、全体で増収。

・ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)は、電子材料の販売減により減収。

・その他は、全体で増収。

<主要な変動要因>

・バイオファーマサービス&イングリディエンツは、医薬用・食品用アミノ酸、バイオファーマサービス(CDMO)ともに大幅減益。

・ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)は、減収に伴い大幅減益。

・その他は、増収に伴い増益。

 

④ その他

 その他の事業の売上高は、前期を13億円下回る158億円(前期比92.1%)となり、事業利益は、前期を22億円上回る21億円となりました。

 

当連結会計年度の連結損益計算書の段階ごとの概況

① 売上高

 売上高は前期を801億円上回る1兆4,392億円(前期比105.9%)となりました。地域別に見ますと、日本では、前期を1億円上回る5,101億円(前期比100.0%)となりました。海外では、前期を800億円上回る9,291億円(前期比109.4%)となりました。海外の地域別では、アジア、米州及び欧州でそれぞれ3,992億円(前期比113.4%)、3,789億円(前期比107.1%)及び1,508億円(前期比105.4%)となりました。売上高海外比率は64.6%(前期は62.5%)となりました。なお売上高は販売元の所在地を基礎とし国又は地域に分類しております

 

② 売上原価、販売費、研究開発費及び一般管理費、持分法による損益

 売上原価は、売上高の増加に伴い、前期から390億円増加し、9,277億円(前期比104.4%)となりました。売上原価の売上高に対する比率は、0.9ポイント改善し、64.5%となりました。販売費は、主として広告費の増加や為替影響等により、前期から151億円増加し、2,016億円(前期比108.1%)となりました。研究開発費は、前期から28億円増加し、287億円(前期比111.2%)となりました。一般管理費は、主として従業員給付費用の増加や為替影響等により、前期から110億円増加し、1,380億円(前期比108.7%)となりました。持分法による損益は、47億円の利益(前期は43億円の利益)となりました。

 

③ 事業利益

 事業利益は、前期を123億円上回る1,476億円(前期比109.1%)となりました。地域別に見ますと、日本では609億円(前期比108.8%)、海外では867億円(前期比109.4%)となりました。海外の地域別では、アジア、米州及び欧州でそれぞれ683億円(前期比132.8%)、107億円(前期比58.8%)及び76億円(前期比80.2%)となりました。事業利益海外比率は58.7%(前期は58.6%)となりました。なお事業利益は販売元の所在地を基礎とし国又は地域に分類しております

 セグメント別の事業利益の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記7.セグメント情報」をご参照ください。

 

④ その他の営業収益(費用)

 その他の営業収益は、前期に当期を大幅に上回る固定資産の売却益の計上等があったことにより、前期から204億円減少し、204億円(前期比50.0%)となりました。その他の営業費用は、前期に味の素フーズ・ノースアメリカ社に係るのれんについて減損損失の計上等があったことにより、前期から59億円減少し、214億円(前期比78.4%)となりました。

 

⑤ 営業利益

 営業利益は、前期を22億円下回る1,466億円(前期比98.5%)となりました。

 

⑥ 金融収益(費用)

 金融収益は、前期から16億円増加し、77億円(前期比127.5%)となりました。金融費用は、前期から25億円減少し、124億円(前期比82.8%)となりました。

 

⑦ 親会社の所有者に帰属する当期利益

 親会社の所有者に帰属する当期利益は前期を69億円下回る871億円(前期比92.6%)となり、1株当たり当期利益は167円44銭(前期は175円97銭)となりました。

 

(5) 当連結会計年度の連結財政状態の分析

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の1兆5,117億円に対して2,627億円増加し、1兆7,744億円となりました。これは主として、Forge Biologics Holdings, LLC(以下、Forge社)の全持分取得に伴うのれん等の増加に加え、換算為替の影響による各資産残高の増加によるものです。

 負債合計は、前連結会計年度末の6,887億円に対して2,016億円増加し、8,904億円となりました。これは主として、有利子負債の増加によるものです。有利子負債残高は、短期借入金の増加及びコマーシャル・ペーパーやサステナビリティ・リンク・ボンドの発行等により、前連結会計年度末に対して1,551億円増加し、4,916億円となりました。

 資本合計は、自己株式の取得により減少した一方、主に円安の進行に伴う在外営業活動体の換算差額の増加により、前連結会計年度末に対して610億円増加しました。資本合計から非支配持分を引いた親会社の所有者に帰属する持分は、8,146億円となり、親会社所有者帰属持分比率は45.9%となりました。

 

セグメントごとの概況は、次のとおりです。

① 調味料・食品セグメント

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の6,003億円に対して466億円増加し、6,469億円となりました。

② 冷凍食品セグメント

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の2,003億円に対して95億円増加し、2,099億円となりました。

③ ヘルスケア等セグメント

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の3,373億円に対して1,320億円増加し、4,694億円となりました。これは主として、Forge社の全持分取得に伴うのれん等の増加によるものです。

 

(6) キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況

 

 

 

(億円)

 

2023年3月期

2024年3月期

差額

営業活動によるキャッシュ・フロー

1,176

1,680

504

投資活動によるキャッシュ・フロー

△300

△1,324

△1,023

財務活動によるキャッシュ・フロー

△1,110

△67

1,043

現金及び現金同等物に係る換算差額

48

98

50

現金及び現金同等物の増減額

△186

387

574

現金及び現金同等物の期末残高

1,327

1,715

387

 

 営業活動によるキャッシュ・フローは、1,680億円の収入(前期は1,176億円の収入)となりました。税引前当期利益が1,420億円であり、減価償却費及び償却費782億円、法人所得税の支払額545億円があったこと等によるものです。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、1,324億円の支出(前期は300億円の支出)となりました。連結の範囲の変

更を伴う子会社株式の取得による支出743億円、有形固定資産の取得による支出657億円があったこと等によるものです。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、67億円の支出(前期は1,110億円の支出)となりました。短期借入金の増加738億円やコマーシャル・ペーパーの増加530億円があったものの、自己株式の取得による支出913億円や配当金の支払額384億円があったこと等によるものです。

 以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、1,715億円となりました。

 

(7) 当連結会計年度の資金の流動性及び資金の調達、使途

① 資金の流動性について

 当連結会計年度は短期流動性に関し、コミットメントライン、当座貸越枠、コマーシャル・ペーパー発行枠等の調達手段によって十分な手元流動性を確保しております。

 また、十分な手元流動性比率の維持に加え、主要取引銀行と締結しているコミットメントラインにより資金の安全性を確保しており、当連結会計年度末のコミットメントラインの未使用額は円貨で1,700億円、外貨で100百万米ドルです。さらに、資金流動性リスク等が発生する可能性のある海外連結子会社に対して、当社が緊急貸付枠を設定し、一時的な資金繰りの支援体制を整備しております。

② 資金の調達

 当連結会計年度の資金調達は、調達コストとリスク分散の観点による直接金融と間接金融のバランス及び長期と短期の資金調達のバランスを勘案し、事業資金及びForge社の持分取得に関し、金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパー発行等による資金調達活動を行いました。また、サステナビリティ・リンク・ファイナンス・フレームワークを策定し、これに基づき2023年6月にサステナビリティ・リンク・ボンドを発行しております。

③ 資金の使途

 当連結会計年度の資金の使途は、主として事業資金及びForge社の全持分取得であります。

 

(8) 経営上の目標の達成状況について

 経営上の目標の達成状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

 

セグメント情報

7.セグメント情報

(1) 報告セグメントの概要

 当社グループの報告セグメントは、主として製品別のセグメントから構成されており、「調味料・食品」、「冷凍食品」、「ヘルスケア等」の3つを報告セグメントとしております。

 いずれの報告セグメントも、当社グループの構成単位のうち、分離された財務情報が入手可能であり、経営会議が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。

 

 各報告セグメントに属する製品の種類は、以下のとおりです。

報告セグメント

製品区分

主要製品

調味料・食品

調味料

うま味調味料「味の素®」、「ほんだし®」、「Cook Do®」、

「味の素KKコンソメ」、「ピュアセレクト® マヨネーズ」、

「Ros Dee®」(風味調味料)、「Masako®」(風味調味料)、

「Aji-ngon®」(風味調味料)、「Sazon®」(風味調味料)、

「SAJIKU®」(メニュー用調味料)、

「CRISPY FRY®」(メニュー用調味料)等

栄養・加工食品

「クノール® カップスープ」、

「YumYum®」(即席麺)、「Birdy®」(コーヒー飲料)、

「Birdy®3in1」(粉末飲料)、

「Blendy®」ブランド品(「CAFÉ LATORY®」、スティックコーヒー等)、

「MAXIM®」ブランド品、「ちょっと贅沢な珈琲店®」ブランド品、

ギフト各種、オフィス飲料(カップ自販機、給茶機)等

ソリューション&イングリディエンツ

国内外食用・食品加工業用うま味調味料「味の素®」、

外食用調味料・加工食品、

加工用調味料(天然系調味料、酵素製剤「アクティバ®」)、

外食嗜好飲料、加工原料、弁当・惣菜、ベーカリー製品、核酸系調味料、

甘味料(加工用アスパルテーム、家庭用「パルスイート®」等)等

冷凍食品

冷凍食品

餃子類(「ギョーザ」、「しょうがギョーザ」、POT STICKERS等)、

米飯類(「ザ★®チャーハン」、CHICKEN FRIED RICE、YAKITORI CHICKEN FRIED RICE等)、

麺類(YAKISOBA、RAMEN等)、

デザート類(業務用ケーキ、MACARON等)、

焼売類(「ザ★®シュウマイ」等)、

鶏肉加工品類(「やわらか若鶏から揚げ」、「ザ★®から揚げ」等)等

ヘルスケア等

医薬用・食品用アミノ酸

医薬用・食品用アミノ酸、培地

バイオファーマサービス(CDMO)

医薬中間体及び原薬、無菌製剤(Fill&Finish)等の受託開発製造サービス

ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)

電子材料(半導体パッケージ用層間絶縁材料「味の素ビルドアップフィルム®(ABF)」等)、

機能性材料(接着剤「プレーンセット®」、

磁性材料「AFTINNOVA® Magnetic Film」等)、活性炭、離型紙等

その他

飼料用アミノ酸、

ダイレクトマーケティング(健康基盤食品(「グリナ®」、「アミノエール®」)等)、

スポーツニュートリション(サプリメント(「アミノバイタル®」)等)、

パーソナルケア素材(アミノ酸系マイルド洗浄剤「アミソフト®」・

「アミライト®」、アミノ酸系マイクロプラスチックビーズ代替「アミホープ® SBシリーズ」等)、

メディカルフード、農業サービス等

 

 

(2) 報告セグメントごとの情報

 当社グループは、IFRSの適用に当たり、投資家、取締役会及び経営会議が各事業の恒常的な業績や将来の見通しを把握すること、取締役会及び経営会議が継続的に事業ポートフォリオを評価することを目的として、「事業利益」という段階利益を導入しております。当該「事業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費」、「研究開発費」及び「一般管理費」を控除し、「持分法による損益」を加えたものであり、「その他の営業収益」及び「その他の営業費用」を含まない段階利益です。

 報告されている各事業セグメントの会計処理の方法は、注記「3.重要性がある会計方針」における記載とおおむね同一です。

 セグメント間の内部売上高は、主に第三者間取引価格に基づいております。

 

① 売上高及びセグメント利益(△損失)

報告セグメントごとの純損益に関する情報は以下のとおりです。

前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

その他

(注)1

調整額

(注)2

連結

財務諸表

計上額

 

調味料・

食品

冷凍食品

ヘルス

ケア等

売上高

 

 

 

 

 

 

 

外部顧客に対する売上高

775,021

267,237

299,670

17,185

1,359,115

1,359,115

セグメント間の内部売上高

7,590

131

3,703

27,095

38,520

△38,520

782,612

267,369

303,373

44,280

1,397,635

△38,520

1,359,115

持分法による損益

2,382

△76

2,020

4,326

4,326

セグメント利益又は損失

(事業利益又は事業損失)

84,800

2,013

48,657

△130

135,341

135,341

 

 

 

 

 

その他の営業収益

40,983

 

 

 

 

 

その他の営業費用

△27,396

 

 

 

 

 

営業利益

148,928

 

 

 

 

 

金融収益

6,099

 

 

 

 

 

金融費用

△14,994

 

 

 

 

 

税引前当期利益

140,033

(注)1. 「その他」には、提携事業及びその他サービス事業が含まれております。

(注)2. 各報告セグメントに帰属しない全社共通費は、合理的な基準に基づき各報告セグメントに配分しております。
全社共通費は、主に親会社の管理部門にかかる費用です。

(注)3. 当連結会計年度において、報告セグメントごとの業績をより適切に評価するため、研究開発費等の費用の配賦方法を変更しており、前連結会計年度に当該変更を遡及適用しております。

 

当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

その他

(注)1

調整額

(注)2

連結

財務諸表

計上額

 

調味料・

食品

冷凍食品

ヘルス

ケア等

売上高

 

 

 

 

 

 

 

外部顧客に対する売上高

846,977

281,870

294,564

15,819

1,439,231

1,439,231

セグメント間の内部売上高

7,399

152

3,689

29,264

40,505

△40,505

854,376

282,023

298,253

45,083

1,479,737

△40,505

1,439,231

持分法による損益

1,518

△71

3,284

4,730

4,730

セグメント利益又は損失

(事業利益又は事業損失)

111,550

9,576

24,386

2,167

147,681

147,681

 

 

 

 

 

その他の営業収益

20,487

 

 

 

 

 

その他の営業費用

△21,486

 

 

 

 

 

営業利益

146,682

 

 

 

 

 

金融収益

7,775

 

 

 

 

 

金融費用

△12,414

 

 

 

 

 

税引前当期利益

142,043

(注)1. 「その他」には、提携事業及びその他サービス事業が含まれております。

(注)2. 各報告セグメントに帰属しない全社共通費は、合理的な基準に基づき各報告セグメントに配分しております。
全社共通費は、主に親会社の管理部門にかかる費用です。

 

② その他の損益項目

報告セグメントごとのその他の損益項目に関する情報は以下のとおりです。

前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

その他

(注)1

調整額

(注)2

連結

財務諸表

計上額

 

調味料・

食品

冷凍食品

ヘルス

ケア等

減価償却費及び償却費

34,187

12,710

16,686

959

64,543

7,276

71,820

減損損失

1,394

13,748

15,143

15,143

(注)1.「その他」には、提携事業及びその他のサービス事業が含まれております。

(注)2.減価償却費及び償却費並びに減損損失の調整額は、全社資産に係る減価償却費及び償却費並びに減損損失です。

 

当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

その他

(注)1

調整額

(注)2

連結

財務諸表

計上額

 

調味料・

食品

冷凍食品

ヘルス

ケア等

減価償却費及び償却費

37,090

13,766

19,785

810

71,453

6,844

78,298

減損損失

917

109

2,409

300

3,736

3,736

(注)1.「その他」には、提携事業及びその他のサービス事業が含まれております。

(注)2.減価償却費及び償却費並びに減損損失の調整額は、全社資産に係る減価償却費及び償却費並びに減損損失です。

 

③ 資産

報告セグメントごとの資産に関する情報は以下のとおりです。

前連結会計年度(2023年3月31日)

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

その他

(注)1

調整額

(注)2

連結

財務諸表

計上額

 

調味料・

食品

冷凍食品

ヘルス

ケア等

セグメント資産

600,312

200,384

337,394

90,046

1,228,137

283,597

1,511,734

うち、持分法で会計処理される関連会社及び共同支配企業に対する投資

48,380

4,415

67,029

119,825

119,825

(注)1.「その他」には、提携事業及びその他のサービス事業が含まれております。

(注)2.セグメント資産の調整額には、主として、全社資産342,888百万円、セグメント間の債権と債務の相殺消去額△59,290百万円が含まれております。全社資産の主なものは、当社グループの現金及び現金同等物、長期投資資金、事業の用に供していない土地、管理部門に係る資産及び研究所設備の一部です。

 

当連結会計年度(2024年3月31日)

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

その他

(注)1

調整額

(注)2

連結

財務諸表

計上額

 

調味料・

食品

冷凍食品

ヘルス

ケア等

セグメント資産

646,927

209,982

469,449

102,218

1,428,577

345,918

1,774,495

うち、持分法で会計処理される関連会社及び共同支配企業に対する投資

51,961

6,828

69,748

128,538

128,538

(注)1.「その他」には、提携事業及びその他のサービス事業が含まれております。

(注)2.セグメント資産の調整額には、主として、全社資産407,986百万円、セグメント間の債権と債務の相殺消去額△62,065百万円が含まれております。全社資産の主なものは、当社グループの現金及び現金同等物、長期投資資金、事業の用に供していない土地、管理部門に係る資産及び研究所設備の一部です。

 

前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

その他

(注)1

調整額

(注)2

連結

財務諸表計上額

 

調味料・

食品

冷凍食品

ヘルス

ケア等

非流動資産への追加額

(注)3

29,157

11,522

24,596

789

66,065

3,784

69,850

(注)1.「その他」には、提携事業及びその他のサービス事業が含まれております。

(注)2.非流動資産に対する支出の調整額は、全社資産に係る非流動資産の取得額です。

(注)3.金融商品、繰延税金資産、確定給付資産及び使用権資産を除いております。

 

当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

その他

(注)1

調整額

(注)2

連結

財務諸表計上額

 

調味料・

食品

冷凍食品

ヘルス

ケア等

非流動資産への追加額

(注)3

33,594

8,826

122,425

1,053

165,900

3,338

169,238

(注)1.「その他」には、提携事業及びその他のサービス事業が含まれております。

(注)2.非流動資産に対する支出の調整額は、全社資産に係る非流動資産の取得額です。

(注)3.金融商品、繰延税金資産、確定給付資産及び使用権資産を除いております。

 

(3) 地域ごとの情報

外部顧客に対する売上高及び非流動資産の地域別内訳は、以下のとおりです。

 

① 売上高

前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

日本

アジア

米州

欧州

合計

 

タイ

その他

米国

その他

売上高

457,827

137,245

261,605

263,789

81,100

157,546

1,359,115

売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。

本邦以外の区分に属する主な国又は地域は以下のとおりです。

 アジア:東アジア及び東南アジア諸国

 米州 :北米及び中南米諸国

 欧州 :ヨーロッパ及びアフリカ諸国

 

当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

日本

アジア

米州

欧州

合計

 

タイ

その他

米国

その他

売上高

466,187

155,713

284,393

272,845

94,431

165,658

1,439,231

売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。

本邦以外の区分に属する主な国又は地域は以下のとおりです。

 アジア:東アジア及び東南アジア諸国

 米州 :北米及び中南米諸国

 欧州 :ヨーロッパ及びアフリカ諸国

② 非流動資産

前連結会計年度(2023年3月31日)

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

日本

アジア

米州

欧州

合計

 

タイ

その他

米国

その他

非流動資産

295,959

78,006

81,839

167,176

31,328

42,093

696,403

非流動資産は資産の所在地によっており、金融商品、繰延税金資産、確定給付資産を含んでおりません。

本邦以外の区分に属する主な国又は地域は以下のとおりです。

 アジア:東アジア及び東南アジア諸国

 米州 :北米及び中南米諸国

 欧州 :ヨーロッパ及びアフリカ諸国

 

当連結会計年度(2024年3月31日)

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

日本

アジア

米州

欧州

合計

 

タイ

その他

米国

その他

非流動資産

297,242

79,823

88,886

283,828

35,813

47,734

833,329

非流動資産は資産の所在地によっており、金融商品、繰延税金資産、確定給付資産を含んでおりません。

本邦以外の区分に属する主な国又は地域は以下のとおりです。

 アジア:東アジア及び東南アジア諸国

 米州 :北米及び中南米諸国

 欧州 :ヨーロッパ及びアフリカ諸国