人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数3,705名(単体) 34,787名(連結)
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平均年齢43.5歳(単体)
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平均勤続年数18.9年(単体)
-
平均年収10,613,479円(単体)
-
平均年収の
対前年増減率2.4%(単体)
従業員の状況
人材戦略に関する基本方針等
(1)【人材戦略に関する基本方針等】
人財戦略に関する方針は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組<味の素グループの人的資本に対する考え方>」に記載のとおりです。
(2)【従業員の状況】
①連結会社における状況
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2026年3月31日現在 |
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セグメントの名称 |
従業員数(人) |
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調味料・食品 |
22,316 |
(4,211) |
|
冷凍食品 |
5,348 |
(3,343) |
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ヘルスケア等 |
5,219 |
(345) |
|
その他 |
1,101 |
(546) |
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全社(共通) |
803 |
(-) |
|
合計 |
34,787 |
(8,445) |
(注)1.従業員数は就業従業員数です。
(注)2.従業員数欄の( )内は、臨時従業員の年間平均雇用人員数を外数で記載しております。
②提出会社の状況
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2026年3月31日現在 |
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従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
平均年間給与の 対前事業年度増減率 (%) |
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|
3,705 |
(218) |
43.5 |
18.9 |
10,613,479 |
2.4 |
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セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
|
調味料・食品 |
1,695 |
(55) |
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冷凍食品 |
51 |
(-) |
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ヘルスケア等 |
1,094 |
(121) |
|
その他 |
62 |
(42) |
|
全社(共通) |
803 |
(-) |
|
合計 |
3,705 |
(218) |
(注)1.従業員数は、就業従業員数です。
(注)2.平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。
(注)3.従業員数欄の( )内は、臨時従業員の年間平均雇用人員数を外数で記載しております。
<味の素㈱の従業員給与・賞与の額や内容の決定に関する方針>
味の素㈱の一般職の報酬は、等級ごとに期待に応じた給与レンジを定めており、「個人業績(行動評価)」の結果に基づいて次年度昇給を決定し、「個人業績(成果評価)×会社業績」の結果に基づいて次年度賞与の支給額を決定しています。管理職においては、担当する職務のグレードに応じた給与レンジを定めており、「個人業績(行動評価×成果評価)×会社業績」の結果に基づいて次年度の昇降給および賞与の支給額を決定しています。これらの行動評価は味の素グループの共通価値観であるAGWと連動、成果評価はASVと連動しています。加えて、会社業績、物価上昇などの社会環境、外部報酬市場の観点から労働組合と議論を重ね、必要に応じた賃金の見直しを実施しており、2025年度は一律16,000円の賃上げを実施しました。これらの結果、2025年度の味の素㈱の平均年間給与の対前事業年度増減率は+2.4%でした。
③労働組合の状況
特記すべき事項はありません。
④管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の額の差異
(ⅰ)提出会社
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当事業年度 |
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管理的地位にある 労働者に占める 女性労働者の割合 (%)(注)1 |
男性労働者の 育児休業取得率(%) (注)2 |
労働者の男女の賃金の額の差異(%) |
||
|
全労働者 |
正規雇用労働者 |
パート・有期労働者 |
||
|
16.0 |
89.6 |
72.1 |
75.0 |
65.2 |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
(注)2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。当取得率の算出においては、正規雇用労働者を対象としています。
<味の素㈱の男女の賃金の額の差異について>
味の素㈱の報酬制度は等級やグレードに応じて男女の賃金レンジを一本化していますが、男女賃金の差異については以下の要因により生じております。
正規労働者は一般職においては階層別の賃金差異は出産・育児などのライフイベントによる休職の影響が大きく、一般職(上級)で89.3%、一般職(初・中級)で91.1%でした。管理職においては階層別の賃金の差異が管理職(上級)で97.0%、管理職(初・中級)で96.5%と上位職になるにつれて賃金差は縮小傾向にあります。しかしながら、給与水準が高い管理職における女性従業員の比率が低いため、正規労働者での男女賃金格差は75.0%となります。味の素㈱における女性管理職比率は16%と前年に対して+2%改善したことから、2025年度の正規雇用労働者の男女の賃金差異は75.0%(前年+2.5%)と改善しました。引き続き、女性管理職のパイプライン形成に取り組むことで、今後も賃金の差異は段階的に縮小していくと考えます。
非正規労働者では、パートタイム従業員よりも賃金の高いシニア再雇用社員における男女比率の差が主要因です。今後の日本での労働人口減少を踏まえ、正規・非正規労働者を問わない女性活躍を推進してまいります。
(ⅱ)連結子会社
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当事業年度 |
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名称 |
管理的地位にある労働者に占める女性労働者の 割合(%) |
男性労働者の 育児休業取得率 (%) |
労働者の男女の賃金の額の差異(%) |
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|
全労働者 |
正規雇用労働者 |
パート・ 有期労働者 |
|||
|
味の素冷凍食品㈱ |
10.1 |
66.7 |
54.9 |
74.8 |
85.0 |
|
味の素食品㈱ |
8.9 |
100.0 |
78.2 |
78.9 |
76.6 |
|
味の素AGF㈱ |
14.8 |
90.0 |
80.5 |
78.5 |
89.9 |
|
味の素ファインテクノ㈱ |
15.5 |
83.3 |
91.1 |
93.4 |
43.4 |
|
AGF鈴鹿㈱ |
- |
71.4 |
76.1 |
76.1 |
- |
|
㈱味の素コミュニケーションズ |
14.0 |
100.0 |
69.1 |
86.2 |
55.6 |
|
味の素エンジニアリング㈱ |
4.2 |
50.0 |
77.1 |
74.3 |
71.2 |
|
味の素デジタルビジネスパートナー㈱ |
53.2 |
100.0 |
69.1 |
77.7 |
108.0 |
|
AGF関東㈱ |
11.1 |
100.0 |
78.2 |
79.3 |
58.1 |
|
味の素構内サービス㈱ |
- |
100.0 |
61.2 |
81.5 |
81.7 |
|
味の素ヘルシーサプライ㈱ |
27.7 |
60.0 |
56.6 |
78.4 |
62.4 |
|
味の素ベーカリー㈱ |
- |
- |
74.3 |
74.3 |
89.6 |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
(注)2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。当取得率の算定においては、正規雇用労働者を対象としています。
(注)3.AGF鈴鹿㈱、味の素構内サービス㈱および、味の素ベーカリー㈱の3社は女性管理職が0名となっています。
(注)4.味の素ベーカリー㈱は育児休業取得対象となる男性労働者が0名でした。
<グループ全体における女性管理職比率>
グループ全体での女性管理職比率は28%、日本地域は15%となっています。海外における管理職に占める女性労働者の割合は、労働者に占める女性労働者の割合よりも高い水準にあります。一方、日本においては、管理職に占める女性労働者の割合は、労働者に占める女性労働者の割合よりも低く、女性管理職比率は日本特有の課題であると考えています。
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(人) |
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合計 |
男性 |
% |
女性 |
% |
|
味の素グループ総数 |
従業員合計 |
34,787 |
23,928 |
69% |
10,859 |
31% |
|
|
|
|
管理職 |
5,101 |
3,693 |
72% |
1,408 |
28% |
|
|
|
一般職 |
29,520 |
20,125 |
68% |
9,395 |
32% |
|
|
|
嘱託 |
166 |
110 |
66% |
56 |
34% |
|
|
日本 |
従業員合計 |
8,494 |
5,926 |
70% |
2,568 |
30% |
|
|
|
管理職 |
2,135 |
1,807 |
85% |
328 |
15% |
|
|
|
一般職 |
6,193 |
4,009 |
65% |
2,184 |
35% |
|
|
|
嘱託 |
166 |
110 |
66% |
56 |
34% |
|
|
アジア |
従業員合計 |
13,972 |
9,924 |
71% |
4,048 |
29% |
|
|
|
管理職 |
1,498 |
952 |
64% |
546 |
36% |
|
|
|
一般職 |
12,474 |
8,972 |
72% |
3,502 |
28% |
|
|
欧州*1 |
従業員合計 |
3,214 |
2,081 |
65% |
1,133 |
35% |
|
|
|
管理職 |
463 |
293 |
63% |
170 |
37% |
|
|
|
一般職 |
2,751 |
1,788 |
65% |
963 |
35% |
|
|
米州 |
従業員合計 |
9,107 |
5,997 |
66% |
3,110 |
34% |
|
|
|
管理職 |
1,005 |
641 |
64% |
364 |
36% |
|
|
|
一般職 |
8,102 |
5,356 |
66% |
2,746 |
34% |
*1:ヨーロッパおよびアフリカ諸国
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
<味の素グループのサステナビリティに対する考え方>
味の素グループは、「アミノサイエンス®で、人・社会・地球のWell-beingに貢献する」ことを志(パーパス)とし
て、サステナビリティをASV経営の根幹に位置付けています。サステナビリティの取組みを事業戦略と一体で推進し、社会価値と経済価値を共に創出することで、持続的な事業成長と企業価値の向上を目指しています。中期ASV経営 2030ロードマップでは、味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)である6つの重要テーマに沿ってリスクと機会の両面を踏まえた具体的な取組みを進めています。
味の素グループの事業は、健全なアグリフードシステム、すなわち食資源を生み出し消費する社会システムと、それを支える豊かな地球環境の上に成り立っています。そして、このシステムは地球環境の変化に直面する一方で、自然資本の損失にも大きな影響を及ぼしています。地球環境が限界を迎えつつある現在、環境変化への適応と自然の再生に向けた対策は、社会全体および私たちの事業の持続的成長にとって喫緊のテーマです。気候変動、生物多様性、サーキュラーエコノミー(循環経済)、人権の尊重などの領域で取組みを推進し、事業活動に伴うネガティブインパクト(負の影響)の低減と、事業基盤のレジリエンス向上を図っています。また、栄養バランスのとれた食生活や食を通じたこころの豊かさの実現、予防・治療の進化等への貢献に向けて、各種施策を展開しています。これらの取組みは、人々のWell-beingの向上に寄与するとともに、アミノサイエンス®を活かした価値提供を通じ、成長機会の創出につながるものと考えています。
味の素グループは、事業活動を通じて、ネガティブインパクト(負の影響)を着実に低減するだけでなく、強みであるアミノサイエンス®を活かし、多様なステークホルダーと共に、バリューチェーンおよびそれらを超えて、社会へよりポジティブなインパクト(良い影響)を創出していくことを目指しています。そして、これらの取組みを通じて、「事業基盤のレジリエンス向上」と「成長機会の創出」を両立させ、社会の繁栄、健康でより豊かな暮らしの実現と企業価値の持続的な向上を図っていきます。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社のコーポレート・ガバナンス体制の概要は、2026年4月1日現在で以下のとおりです。
コーポレート・ガバナンス体制の詳細につきましては、コーポレート・ガバナンスの状況等の(1)コーポレート・ガバナンスの概要をご参照下さい。
また、味の素グループでは、グループ各社およびその役員・従業員が順守すべき考え方と行動の在り方を示した味の素グループポリシー(AGP)を誠実に守り、内部統制システムの整備とその適正な運用に継続して取り組むとともに、サステナビリティを積極的なリスクテイクと捉える体制を強化し、持続的に企業価値を高めています。サステナビリティ関連指標の報酬方針への反映に関しては、コーポレート・ガバナンスの状況等の(4)役員の報酬等をご参照下さい。
持続可能性の観点から企業価値を継続的に向上させるため、サステナビリティ推進体制を強化しており、その概要は2026年4月1日現在で以下のとおりです。
取締役会は、重要な経営事項の一つとして中長期サステナビリティ戦略を審議、またサステナビリティ諮問会議の答申を受けて外部有識者との意見交換を実施する等、ASV経営の指針となる味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)を決定するとともに、サステナビリティに関する戦略策定や取組みの執行を監督しています。
サステナビリティ諮問会議は、取締役会の下部機構としてサステナビリティの観点で味の素グループの企業価値向上を追求するための提言を行うことを目的に設置されました。2023年4月から開始した第二期サステナビリティ諮問会議では、取締役会の諮問事項である「マテリアリティの実装(Implementation)、実装化の情報開示と対話(Communication)、ステークホルダーとの関係構築(Partnership)」について執行の取組みを評価し、2025年3月に取締役会への最終答申を行いました。最終答申では、一企業を超えた大きな価値提供のために「ステークホルダーとの関係構築(Partnership)」の強化が期待されました。それを受け2025年度は国際機関および金融機関との連携も視野に入れ「サステナビリティに関するルールメイキング」と「サステナブルファイナンス」の2つのテーマを設定し、取締役と外部有識者との意見交換会を2回実施しました。議論の内容は執行にも共有しています。
経営会議は、下部機構としてサステナビリティ委員会と経営リスク委員会を設置し、味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)に基づくリスクと機会を特定し、対策の立案、進捗管理を行う体制を構築しています。なお、2025年度はサステナビリティ委員会から4回、経営リスク委員会から2回の活動報告を受けています。
サステナビリティ委員会は、経営リスク委員会と連携して味の素グループへの影響評価とともに重要な事項(マテリアリティ)に基づくリスクと機会の選定・抽出を行い、経営会議に提案します。そして、サステナビリティに関するリスクと機会に対して対策を検討・立案し、進捗管理を行います。また、味の素グループ全体のサステナビリティ戦略策定、戦略に基づく取組みの推進、事業計画へのサステナビリティ視点での提言と支援、ESGに関する社内情報の取りまとめを行います。
経営リスク委員会は、サステナビリティ委員会と連携して味の素グループへの影響評価とともに重要な事項(マテリアリティ)に基づくリスクと機会の選定・抽出を行い、経営会議に提案します。そして、特に経営がイニシアチブをもって対処すべきリスク(地政学リスク、情報セキュリティリスク等)について、リスクマネジメントのための諸方策を立案、進捗管理を行うことで、リスクおよび危機に迅速かつ的確に対応できる強固な企業体質を目指します。
(2)戦略
地球環境は限界に近づきつつあり、環境変化への対応はもはや先送りできない状況にあります。豊かな地球環境と健全な社会を次世代に受け継ぐことは私たちの責務であり、味の素グループの事業の持続的成長にとっても不可欠です。とりわけ気候の安定化は喫緊のテーマでありネイチャーポジティブ、すなわち自然の損失を止め、回復軌道に乗せることが強く求められています。この他にもサーキュラーエコノミー(循環経済)、栄養バランスのとれた食生活、人権等、様々な課題は相互につながっており、統合的に取り組んでいくことが必要です。
味の素グループ全体の調達の7割は農畜水産物であり、自然の恵み、つまり生態系サービスに支えられたアグリフードシステムに大きく依存しています。このシステムは、温室効果ガス(GHG)総排出量の2割超を占め、エネルギー産業に次ぐ大きな排出源であり、地球環境に大きな影響を与えている一方で、気候変動や自然資本の損失といった環境変化の影響を直接受けるという脆弱性も併せ持っています。また、世界では食料の3分の1が廃棄されており、人口の3分の1にあたる28億人が健康的な食へのアクセスを持ちません。これらの構造的課題は味の素グループにとって重要なリスクであると同時に、変革を通じた価値創出の機会でもあります。
このように変革の余地が大きいアグリフードシステムにおいて、味の素グループは発酵副産物を肥料・飼料とするバイオサイクルの構築に取り組み、栄養素を循環させることで農畜産物の生産を支援し、地域環境や農家の生活向上に尽力してきました。近年はこれらの活動をもとに、農畜産業の環境負荷削減や自然の再生と、食料の生産性向上の両立を目指した事業を展開しています。また、110年を超える歴史の中で、製品・ソリューションの提供を通じ、世界各地の食文化やおいしさに妥協することなく、栄養バランスの良い食事をサポートしてきました。調理や食事を共にすることが、栄養だけでなく心の豊かさ、すなわち主観的なWell-beingと関係することも世界レベルで明らかになってきました。
味の素グループは、調味料、加工食品、冷凍食品等の食品事業やヘルスケア、電子材料等、強みであるアミノサイエンス®をベースとして幅広く事業を展開しています。これからも有形・無形の資産を活かし、科学者、政策決定者、ビジネスリーダー等のグローバル、ローカルのステークホルダーと共に、ネガティブインパクト(負の影響)を着実に低減するとともに、バリューチェーン全体およびそれらを超えて社会へよりポジティブなインパクト(良い影響)を創出し、事業基盤のレジリエンス向上と成長機会の創出の両立を目指してまいります。
これらの活動のベースとして、人財資産を全ての無形資産の源泉と考え、従業員のエンゲージメントが企業価値を高める重要な要素と位置付けています。志を持った多様な人財が、生活者・顧客に深く寄り添い、イノベーションの共創に挑戦できるよう、人財への投資を通じてASV経営の実行力を高め、人・社会・地球のWell-beingに貢献していきます。
(3)リスク管理
「中期ASV経営 2030ロードマップ」を実現する上で、的確にリスクを把握し、これに迅速かつ適切に対応することが極めて重要です。サステナビリティ委員会と経営リスク委員会は両委員会の間に取り残されるリスクがないよう緊密に連携して、味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)に基づくリスクと機会の選定・抽出を行い、経営会議へ提案します。そして、その対策立案と定期的な進捗管理について、サステナビリティに関する事項はサステナビリティ委員会で行い、経営がイニシアチブをもって対処すべきリスク(地政学リスク、情報セキュリティリスク等)は経営リスク委員会で行います。
なお、国内外の各現場では、個別の事業戦略や現地の政治・経済・社会情勢を考慮してリスクを特定し、対応策を策定するリスクプロセスを回しています。経営リスク委員会は、リスクプロセスを継続的に改善するとともに、各現場が特定したリスクを取りまとめ、経営がイニシアチブをもって対処すべきものに対応します。また、各事業・法人においては、有事に備え、事業継続計画(BCP)を策定し、経営リスク委員会は、その有効性を常に検証するための体制を整備し、リスクへの対応状況を定期的に監視・管理しています。サステナビリティ委員会、経営リスク委員会に常勤監査委員が出席し、リスク管理の取組みをモニタリングしています。
(4)指標及び目標
味の素グループは、現在取り組む6つの重要テーマ(P.15参照)に沿って、環境負荷等ネガティブインパクト(負の影響)の低減に加え、強みであるアミノサイエンス®を活かした社会全体へのポジティブなインパクト(良い影響)の創出も含め、事業を通じて生じ得るリスクと機会の両面を踏まえた目標・KPIを定めています。
そして味の素グループ全体を対象とする主要な取組みについては、その取組みおよび実績の進捗を経営会議で確認しています。6つの重要テーマ全体の取組みと目標・KPIは、「味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)に関わる対象領域、取組みと目標・KPI」(P.38)をご参照下さい。
※気候変動、生物多様性保全、人的資本に関する実績の進捗を含む詳細は、P.20以降をご参照下さい。
(5)外部機関等からの主な評価
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CDP 気候変動Aリスト |
なでしこ銘柄 |
PRIDE指標 (ゴールド) |
健康経営優良法人 (ホワイト500) |
SX銘柄 |
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<味の素グループの気候変動に対する考え方>
(1)ガバナンス
気候変動課題に対する当社のガバナンスは、<味の素グループのサステナビリティに対する考え方>に記載のとおりです。
(2)戦略
味の素グループは、食品事業について調味料・食品から冷凍食品まで幅広い商品領域を持ち、またヘルスケア等の分野にも事業を展開しています。気候変動は、大規模な自然災害による事業活動の停止、農作物や燃料などの原材料調達への影響、製品の消費の変化など、さまざまな形でグループの事業に影響を与えます。
①シナリオ分析の前提
2025年度も、2100年に地球の平均気温が産業革命後より1.5℃又は4℃上昇するというシナリオで(*1)、グローバルのうま味調味料、および国内・海外の主要な製品を対象とし2030年時点と2050年時点の気候変動による影響に関するシナリオ分析を実施しました。
中長期における生産に関する事項として、気候変動の影響のうち、渇水、洪水、海面上昇、原料の収量変化等を物理的リスクとして、カーボンプライシングやその他の法規制の強化およびエネルギー単価の上昇、消費者嗜好の変化等を移行リスクとして捉え分析しました。
1.5℃と4℃シナリオにおける2030年時点の平均気温差は0.2℃程度であり物理的リスクに大きな差が見られないと考え、平均気温差が1℃程度予想され物理的リスクに差があると考えられる2050年時点のシナリオ分析のリスクと機会を②・③の表において示しています。
なお、これまでに当社が実施したシナリオ分析に係る前提の推移を要約すると以下のとおりです。
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2020年度(*2) |
2021年度(*2) |
2022年度(*2) |
2023年度以降(*2) |
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事業 |
うま味調味料(グローバル)、国内の主要な製品 |
うま味調味料(グローバル)、国内の主要な製品 |
うま味調味料(グローバル)、国内・海外の主要な製品 |
うま味調味料(グローバル)、国内・海外の主要な製品 |
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発現の時期 |
2030年 |
2030年/2050年 |
2030年/2050年 |
2030年/2050年 |
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シナリオ |
2℃/4℃ |
2℃/4℃ |
1.5℃/4℃ |
1.5℃/4℃ |
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売上高基準 カバレッジ |
24% |
24% |
55% |
65% |
*1 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によるSSP1-1.9(1.5℃シナリオ)、SSP5-8.5(4℃シナリオ)および国際エネルギー機関(IEA)によるシナリオ等を参照しています。
*2 過年度に実施したシナリオ分析の結果については、過年度に発行したサステナビリティレポートをご参照ください。https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/ir/library/databook.html
②シナリオ分析:リスク
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1.5℃シナリオ(2050年):温室効果ガス排出量削減に向けた一定の政策的対応が行われ、化石燃料の消費が減少する場合 |
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リスク |
平均気温上昇 |
洪水・渇水の重大性と頻度の上昇 |
製品に対する命令および規制 |
消費者嗜好の移り変わり |
右の対象は味の素グループ全体 |
カーボンプライシングメカニズム |
|
リスクの分類 |
移行リスク |
物理的リスク |
移行リスク |
移行リスク |
移行リスク |
|
|
事業インパクト |
カーボンプライシングによる原料調達のコストアップ(コーヒー豆ほか) |
創業時より実施している供給継続対策 |
使用する原料に関する法規制の強化によるコストアップ (想定:原料のトレーサビリティやリサイクル使用の法規制) |
気温上昇による需要減 (想定:みそ汁、スープ類、ホットコーヒー、加熱調理からレンジ調理へのシフト) |
カーボンプライシングにより、使用する燃料のコストアップ |
|
|
潜在的財務影響 (*3) |
2億円/年 |
僅少 |
- |
- |
2030年:270億円/年(*4) 2050年:630億円/年(*4) |
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|
対応策 |
・原料産地の支援 ・別製法で作られた原料の検討 |
・調達地域の多様化 ・代替原料の研究開発 |
・サプライチェーン上下流の包括的な協力体制構築 ・特定の原料に依存しない製法の検討 |
・栄養価値訴求を通じた喫食の習慣化を図るコミュニケーション ・アイス飲用に適したマーケティング活動 ・レンジ調理メニューの探索・提案 |
・内部カーボンプライシングによる財務影響の見える化 ・燃料転換 ・再生可能エネルギー利用 ・環境配慮型の製法開発 |
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4℃シナリオ(2050年):温室効果ガス排出量削減に向けた政策的対応を行わない、成り行きの場合 |
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リスク |
平均気温上昇 |
洪水・渇水の重大性と頻度の上昇 |
消費者嗜好の移り変わり |
燃料のコスト増加 |
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リスクの分類 |
物理的リスク |
物理的リスク |
移行リスク |
移行リスク |
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事業インパクト |
農畜水産物の生産性低下によるコストアップ (想定1:養殖の生育環境悪化、 想定2:家畜の増体率や生産性の低下、 想定3:乳牛の乳量低下、 想定4:家畜の感染症流行、 想定5:農産物の生育不良や病害虫流行) |
原料調達のコストアップ、操業停止、納期遅延による売上高の減少 (想定1:タイの洪水、 想定2:タイの渇水、 想定3:日本の局地豪雨による冠水)
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気温上昇による需要減 (想定:みそ汁、スープ類、ホットコーヒー、加熱調理からレンジ調理へのシフト) |
化石系の燃料や電力の価格上昇 |
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潜在的財務影響 (*3) |
90億円/年 |
1億円/年 |
- |
40億円/年 |
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対応策 |
・調達地域の多様化 ・サプライヤー・農家との連携強化 ・エキス削減レシピの開発 ・代替原料の研究開発 ・高温耐性品種の導入 ・販売価格への反映 |
・調達地域の多様化 ・代替原料の研究開発 ・節水生産の継続・改善 ・供給体制・物流体制の整備 |
・栄養価値訴求を通じた喫食の習慣化を図るコミュニケーション ・手軽な加熱調理コミュニケーションへの改善 ・アイス飲用に適したマーケティング活動 ・レンジ調理メニューの探索・提案 |
・燃料転換 ・再生可能エネルギー利用 ・環境配慮型の製法開発 |
*3 為替は1ドル=150円で計算。
*4 SBT(Science Based Targets)イニシアチブに認定された味の素グループの2018年度の基準温室効果ガス排出量に、IEA:International Energy Agency(国際エネルギー機関)の1.5℃シナリオに相当する2030年CO2価格の予測:新興国=25$/t-CO2、ブラジル・中国・インド・インドネシア=90$/t-CO2、先進国=140$/t-CO2、2050年CO2価格の予測:新興国=180$/t-CO2、ブラジル・中国・インド・インドネシア=200$/t-CO2、先進国=250$/t-CO2を乗じて算出。4℃シナリオは現状の成り行きでありCO2価格の上昇は想定しておりません。
③シナリオ分析:機会
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1.5℃シナリオ(2050年):温室効果ガス排出量削減に向けた一定の政策的対応が行われ、化石燃料の消費が減少する場合 |
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機会 |
低排出量商品およびサービス |
消費者嗜好の移り変わり |
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機会の分類 |
製品およびサービス |
製品およびサービス |
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事業インパクト |
生活者や顧客のエシカル志向の拡大により環境負荷が低い製品として売上増加 |
・健康志向によるニーズ拡大=売上増加 ・気温上昇による飲料などのニーズ拡大=売上増加 |
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対応策 |
・環境配慮型の製法や製品の開発 ・ESGの高評価を取得する取組み推進 ・低環境負荷を証明する信頼性のあるデータ強化 ・中大容量品へ顧客嗜好をシフトする推進策 |
・栄養価値が向上する製品開発 ・栄養価値訴求を通じた喫食の習慣化を図るコミュニケーション ・環境配慮型の製法や製品の開発 |
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4℃シナリオ(2050年):温室効果ガス排出量削減に向けた政策的対応を行わない、成り行きの場合 |
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機会 |
低排出量商品およびサービス |
消費者嗜好の移り変わり |
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機会の分類 |
製品およびサービス |
製品およびサービス |
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事業インパクト |
生活者や顧客のエシカル志向の拡大により環境負荷が低い製品として売上増加 |
・健康志向によるニーズ拡大=売上増加 ・気温上昇による飲料などのニーズ拡大=売上増加 |
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対応策 |
・環境配慮型の製法や製品の開発 ・低環境負荷を証明する信頼性のあるデータ強化 ・中大容量品へ顧客嗜好をシフトする推進策 |
・栄養価値が向上する製品開発 ・栄養価値訴求を通じた喫食の習慣化を図るコミュニケーション ・環境配慮型の製法や製品の開発 |
④シナリオ分析結果の戦略への反映
(ⅰ)事業戦略への反映
シナリオ分析における事業への影響を踏まえ、今後一層の温室効果ガス排出量削減に向け、燃料転換・再生可能エネルギー利用・環境配慮型の製法に関する投資を計画していきます。また、サステナビリティに対する取組みが製品の付加価値向上につながる「ASV」の実現に向けて、新たな事業戦略の策定に取り組んでまいります。
また、2026年度以降のシナリオ分析においては、各種情報源のデータ更新と合わせてリスク・機会の見直しをしていきます。
(ⅱ)資金調達戦略への反映
当社は、各種取組みに対して必要な資金については、サステナブルファイナンスを基本としています。2021年10月のサステナビリティボンド発行を第一弾に、2022年1月のポジティブ・インパクト・ファイナンスによるコミットメントライン契約(2024年1月に増額更新)を締結し、同年12月にはサステナビリティ・リンク・ローンによるコミットメントライン契約(2025年12月に更新)を締結しました。さらに、2023年6月にサステナビリティ・リンク・ボンド発行と継続的にサステナブルファイナンスによる調達を行っています(*5)。また、直近では2024年3月および4月に新たなサステナビリティ・リンク・ローンを2件契約しました。
これら資金調達により、味の素グループが掲げる2030年までの2つのアウトカムのうちの1つ「環境負荷を50%削減」の実現、および持続可能な社会の実現に向けた取組みをより一層加速させていきます。
*5 これらの詳細に関しては、以下の「サステナブルファイナンス」サイトをご参照ください。
https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/sustainability/finance/
(3)リスク管理
気候変動課題に対する当社のリスク管理は、<味の素グループのサステナビリティに対する考え方>に記載のとおりです。
(4)指標及び目標
味の素グループはSBT(Science Based Targets)イニシアチブより、ネットゼロを含む温室効果ガス排出削減目標について2024年12月に新たな認定を取得しました。これにより、味の素グループはネットゼロを含む温室効果ガス排出削減目標の取組みへさらに加速させるため、戦略の見直しを進めています。
①目標
[Near-term目標]
スコープ1+2: 2030年度までに温室効果ガス排出量を2018年度基準で50.4%削減
スコープ3: 2030年度までに温室効果ガス排出量を2018年度基準で30%削減
スコープ3 FLAG(*6):2030年度までにFLAG関連排出量を2018年度基準で36.4%削減
森林減少根絶: 森林減少に関連する主要な製品について、2025年12月31日までに森林減少を行わないことを約束
*6 林業や農業等の土地集約型セクター(Forest, Land and Agriculture)での森林から農地への土地利用転換や土地利用に伴って発生する温室効果ガス排出量
[Long-term目標]
スコープ1+2+3: 2050年度までに温室効果ガス排出量を2018年度基準で90%削減
スコープ3 FLAG: 2050年度までにFLAG関連排出量を2018年度基準で72%削減
②2025年度実績
スコープ1+2の合計温室効果ガス排出量については、前年度比およそ123,000t-CO2eの削減となりました。インドネシア味の素社において再生可能エネルギー証書を調達したことが削減につながりました。
スコープ3の温室効果ガス排出量(全カテゴリー対象)については、前年度比は原材料の1次データ取得のほか算定精度の向上によりおよそ5%減少しました。基準年である2018年度比では(基準年以降に味の素グループ外となった会社の排出量の遡及なし)味の素グループの総生産量が減少したことが主な原因で21%減少となりました。
なお、SBTイニシアチブの基準に準じて2019年度以降に味の素グループ外となった会社の排出量を遡及したスコープ1+2排出量およびスコープ3排出量(カテゴリー11除く)に関する、SBTイニシアチブの認定を受けた2030年度のスコープ1+2排出量目標(2018年比△50.4%)とスコープ3排出量目標(カテゴリー11除く、2018年比△30%)に対するそれぞれの削減実績は49%と15%となりました。スコープ1+2に関しては、現時点での計画によりおよそ9割の達成目途が見えていますが、一層の排出量削減に向け、更なる削減活動を検討してまいります。スコープ3に関しては、原料サプライヤーとのエンゲージメントのさらなる推進による1次データ取得や削減取組みの推進、低温室効果ガス原料の共同購買などにより温室効果ガス排出量の削減に向けて取組みを進めてまいります。
<SBTイニシアチブの基準に準じて2019年度以降に味の素グループ外となった会社を遡及したスコープ1+2排出量およびスコープ3(カテゴリー11除く)排出量とそれぞれの削減率>
[温室効果ガス排出の測定方法等に関する開示]
味の素グループでは、温室効果ガス排出については、「温室効果ガスプロトコルの企業算定及び報告基準(2004年)」(以下「GHGプロトコル(2004年)」という。)を参考にした社内規定に従って測定しています。スコープ1,2,3の活動量は、主に生産拠点における値を対象としています。なお、温室効果ガス排出量の定量化は、活動量データの測定、および排出係数の決定に関する不確実性並びに地球温暖化係数の決定に関する科学的不確実性にさらされています。
(ⅰ)スコープ1温室効果ガス排出
当連結会計年度における活動量に、当連結会計年度末において入手可能な最新の環境省「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」に定める排出係数を乗じることにより算定しています。
(ⅱ)スコープ2温室効果ガス排出(マーケット基準)
味の素グループ国内拠点は、当連結会計年度における電力契約ごとの電力使用量に、当連結会計年度末において入手可能な最新の環境省の「電気事業者別排出係数」における電力契約ごとの排出係数を乗じることにより、見積りの方法に基づきマーケット基準によるスコープ2温室効果ガス排出を測定しています。
また、味の素グループ海外拠点は、当連結会計年度における電力契約ごとの電力使用量に、当連結会計年度末において入手可能な最新の国際エネルギー機関(IEA)の国別排出係数を乗じることにより、見積りの方法に基づきマーケット基準によるスコープ2温室効果ガス排出を測定しています。
なお、再生可能エネルギー由来電力、非化石証書およびI-REC等のうち、「GHGプロトコル スコープ2ガイダンス」等を参考にした品質要件に適合すると判断したものを算定に反映しています。
(ⅲ)スコープ3温室効果ガス排出
味の素グループは、社内規定に基づき、スコープ3温室効果ガス排出の測定にあたってスコープ3カテゴリー分類のうち主なものについて、次の活動量および排出係数を用いて見積りの方法により測定しています。
カテゴリー1(購入した製品・サービス):各製造拠点の生産量に、原料および包材については該当する製品もしくはあてはめ製品のカーボンフットプリント(CFP)の原料(含む包材)段階のCFP原単位を排出係数として乗じることにより、見積りの方法に基づき測定しています。
カテゴリー4(輸送、配送(上流)):各製造拠点の生産量に、該当する製品もしくはあてはめ製品のCFPの輸送段階(上流(原料)、自社が費用負担する下流(製品))のCFP原単位を排出係数として乗じることにより、見積りの方法に基づき測定しています。
カテゴリー11(販売した製品の使用):国内外の製品のうち、冷凍食品・カップスープ・即席麺・インスタントコーヒーの生産量に、それぞれのCFPの使用段階のCFP原単位を排出係数として乗じることにより、見積りの方法に基づき測定しています。
※:スコープ3カテゴリー1については、主要原材料の一部について1次データを使用しています。
③目標達成に向けた取組み
スコープ1+2の目標を達成するための施策として、省エネルギー活動や温室効果ガス発生の少ない燃料への転換、バイオマスや太陽光等の再生可能エネルギー利用、エネルギー使用量を削減するプロセスの導入を進めています(国内グループ会社における再エネ証書の調達など)。
スコープ3については、製品ライフサイクル全体の温室効果ガス総排出量の約60%を原材料が占めていることから、原料サプライヤーへの温室効果ガス削減の働きかけや、再生農業を中心とした農業施策による温室効果ガス削減、新技術導入に向けた検討を進めています。
<味の素グループの生物多様性に対する考え方>
(1)ガバナンス
生物多様性に対する当社のガバナンスは、<味の素グループのサステナビリティに対する考え方>に記載のとおりです。
(2)戦略
味の素グループは、食品事業について調味料・食品から冷凍食品まで幅広い商品領域を持ち、またヘルスケア等の分野にも事業を展開していることから、当社事業は、農、畜、水産資源や遺伝子資源、水や土壌、昆虫等による花粉媒介などのさまざまな自然の恵みに大きく依存しています。これら自然の恵みは、多様な生物とそれらのつながりによって形作られる健やかな生物多様性によって提供されていますが、生物多様性は現在、過去に類を見ない速度で失われており、生物多様性の保全および森林破壊の防止と水資源の保全が世界的に喫緊の課題となっています。味の素グループは、2025年4月に生物多様性ガイドラインを改定し、生物多様性の保全および森林破壊の防止と水資源の保全においては、気候変動、水や土壌、廃棄物、人権等の環境や社会課題とも密接に関わっているため、相互が効果的になるように課題解決に向けた取組みを進めていきます。
①LEAPアプローチ
LEAPアプローチは、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)が提唱するガイダンスで、企業および金融機関内の自然関連のリスクと機会を科学的根拠に基づいて体系的に評価をするためのプロセスを示しています。
2023年度は、味の素グループ事業の評価対象に関して、LEAPアプローチによる依存・影響の分析からリスク・機会の評価を実施しました。2024年度は、Assess(評価)において、物理リスクの財務影響が大きいサトウキビの詳細分析を行いました。2025年度は、インドネシア製糖研究所(P3GI)と協働し、農家の生計向上ならびに環境負荷の低いサトウキビの生産の両立に向けた農法の検証に取り組んでいます。
(ⅰ)対象原料の選定
売上高カバレッジ8割となる事業における原料を対象に、SBTs for Natureが提供するHigh Impact Commodity(HIC)に該当もしくはHigh Impact Commodity List(HICL)に収載されかつ、調達量が多い12の原料を選定しました。選定原料は、サトウキビ、キャッサバ、トウモロコシ、生乳、大豆、菜種、米、牛、コーヒー、パーム、銅、原油です。なお、HICLに該当しているが包装資材である紙については対象外としました。
(ⅱ)分析結果
原料、製造、販売、消費の4工程について、LEAの3ステップを分析。
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Locate(発見) |
Evaluate(診断) |
Assess(評価) |
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分析概要 |
対象事業について、味の素グループ事業のサプライチェーン全体における、生物多様性損失の危機が大きいエリアを把握しました。 |
味の素グループ事業のサプライチェーンにおける自然への依存と影響の要素を特定しました。それら要素に対する指標と閾値を設定して依存・影響の将来状態(2050年)を定量的に診断しました。 |
将来状態で劣化が進む依存と影響の要素に関して、シナリオにてリスクを予想しました。それらの結果に対して、味の素グループの対応状況を踏まえた財務影響を試算し、リスク・機会の大きさを評価しました。 |
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ツール |
以下のツールを各ステップで組み合わせて分析しました。 (ENCORE、SBT’s High Impact Commodity List、SBTN Materiality Screening Tool、Geographic Information System、World Database Protected Area、IUCN Red List、GLOBIO、Aqueduct、Aqueduct Water Atlas、Nature Map Explore、Aqueduct Global Maps、Past and future trends in grey water footprints of anthropogenic nitrogen and phosphorus inputs to major world rivers、International Institute for Applied Systems Analysis、What a Waste)
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結果 |
味の素グループ事業のサプライチェーン(上流、自社、下流)における自然(水、土壌、生態系など)との接点を特定するため、地球全体を評価単位エリア(25km-50km四方)に区分けし、自然劣化を踏まえて詳細分析すべき評価単位エリアを特定しました。全対象2.4万評価単位エリアのうちLocateでは、生物多様性の重要性エリア・急速劣化エリア・棄損可能性エリア・高い水ストレスのエリア・先住民居住エリアのいずれかに該当するエリアは2万評価単位エリアと特定しました。 |
Locateで特定した2万評価単位エリアにおいて、味の素グループ事業のサプライチェーンにおける各段階(上流、自社、下流)での自然への依存と影響の要素について、指標と閾値を設定して2050年時点での依存・影響度を想定分析しました。自然毎に劣化傾向は異なり、森・大気は全世界で劣化するが、水・土は特定地域に偏重することを確認しました。特に、菜種の調達国では、それらの生産地で土質が劣化する可能性があることを確認しました。 |
Evaluateにおいて2050年時点で一定程度劣化する可能性があると特定した自然に関して、自然保全と経済発展が両立されるシナリオ(SSP1(*7))と自然劣化・経済停滞となるシナリオ(SSP3(*7))の二つのシナリオにて、どのようなリスクが発生しうるか予想しました。共に自然の劣化により多種リスクが生じ得るが、特に財務面の影響が大きいと確認したものは、慢性的な物理リスクによる原料調達価格の高騰でした。調達額の高騰が大きい原料は、トウモロコシ・サトウキビでした。サトウキビはタイ、トウモロコシはアメリカでの土壌の劣化が原因でした。 |
*7 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)議長に呼応して新シナリオ作成を目的として立ち上げられたコミュニティである統合評価モデルコンソーシアムが開発した共通社会経済経路(SSP:Shared Socioeconomic Pathways)。SSP1:自然保全と経済発展が両立されるシナリオ。SSP3:自然劣化・経済停滞となるシナリオ。
(ⅲ)サトウキビの詳細分析結果
上記LEAの3ステップ分析にて最もリスクが高い原料の一つであるサトウキビにおいて、2050年に自然劣化が特に大きいと予想した国であるタイ・インドネシア・ブラジルの詳細分析をしました。詳細分析内容は、全調達製糖工場を対象として各製糖工場を中心としたサトウキビ調達圏内の任意の4農地における、水リスク・森林減少リスク・土壌劣化リスクをデータベース分析しました。分析の結果、相対的にリスクの高い(森林減少)製糖工場の所在地域は、インドネシア/バニャンギ・ジェンベル・ペカロンガン・ぺマラン、タイ/スコータイでした。
2025年度は、サトウキビ農地における水リスク・森林減少リスク・土壌劣化リスクの実地調査を踏まえて、インドネシア製糖研究所(P3GI)と協働し、農家の生計向上ならびに環境負荷の低いサトウキビの生産の両立に向けた農法の検証に取り組んでいます。
②分析結果の戦略への反映
(ⅰ)事業戦略への反映
2026年度は、Prepare(準備)ステップのターゲット設定を検討します。生物多様性に関する課題は、気候変動、水や土壌、廃棄物、人権等の環境や社会課題とも密接に関わっているため、相互が効果的になるように課題解決に向けた取組みを進めていきます。また、サステナビリティに対する取組みが製品の付加価値向上につながる「ASV」の実現に向けて、新たな事業戦略の策定に取り組んでまいります。
(ⅱ)資金調達戦略への反映
当社は、各種取組みに対して必要な資金については、<味の素グループの気候変動に対する考え方>に記載している内容と同様に進めてまいります。
(3)リスク管理
生物多様性に対する当社のリスク管理は、<味の素グループのサステナビリティに対する考え方>に記載のとおりです。
(4)指標及び目標
分析精度を向上させた生物多様性に関する課題および、それと密接に関わっている気候変動、水や土壌、廃棄物、人権等の環境や社会課題それぞれが、効果的になるように課題解決に向けた取組みが進められる指標と目標を設定していきます。
<味の素グループの人的資本に対する考え方>
(1)ガバナンス
人的資本に対する当社のガバナンスは〈コーポレート・ガバナンスの状況等〉に記載のとおりです。加えて、味の素グループの健全な成長を支えるための人財育成に関わる事項の推進を目的として、経営会議の下部機構として人財委員会を設置しています。人財委員会は最高経営責任者、または最高経営責任者が指名した執行役が委員長を務め、最高経営責任者が指名した執行役をもって構成されます。同委員会では執行役候補者の策定、経営人財および人財リーダーの育成、執行理事およびGroup Executive Managerポジション(2026年3月末時点で合計120ポジション)の認定・登用、多様な人財層の形成に関する事項を審議しています。2025年度は全7回の議論を実施しました。
(2)人財戦略
味の素グループが、志(パーパス)「アミノサイエンス®で、人・社会・地球のWell-beingに貢献する」を実現するためには、ASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)による社会価値と経済価値の共創を推進し、それを支える行動指針として体系化されたAGW(味の素グループWay)を実行していくことが重要です。
味の素グループの成長戦略は、食品事業を着実な成長の基盤とし、バイオ&ファインケミカル事業で飛躍的な成長を実現し、さらに両事業の融合領域で新たな価値を創出することです。その実現に向けて、アミノサイエンス®を競争優位の源泉として捉え、食の領域で培ってきた「おいしさ設計技術®」、健康・医療に向けた科学的知見、電子材料やバイオファーマサービスに代表される先端技術をつなぎ合わせ、成長の力として束ねていく必要があります。
この成長戦略を確実に実行するためには、事業ポートフォリオの高度化とそれにアラインしたグローバル人財ポートフォリオを再構築し、それを世界の各拠点、各事業による自律分散型と、本社の中央集権型のバランスを取って推進する必要があります。これらの成長の源泉である4つの無形資産(人財・技術・顧客・組織)を相互に連動させ、実行力としてスケールしていくことが重要であり、技術資産と顧客資産をつなぎ、イノベーションを生み出す起点となる人財資産への取組みを、特に強化しています。
味の素グループの「志」に共感して集まった多様な従業員一人ひとりが、コンフォートゾーン(自身にとって慣れた環境)を超えた「挑戦」を通じて、戦略を実行する個の力を磨きます。さらに、その力を活かし「知・経験×属性」の観点から「多様性(DE&I(*8))」を推進することで、チームとしてのイノベーション創出につなげていきます。これらを支える重要な基盤が従業員と家族の「Well-being」です。味の素グループは「志」「挑戦」「多様性(DE&I)」「Well-being」の4つの“つなげる”というコンセプトのもと、人財資産への取組みをグローバルに展開しています。(人財投資額(機会投資含む):2025年度150億円、23-30累計1,000億円以上)これらの取組みは人財資産の強化にとどまらず、組織資産として蓄積され、無形資産全体の強化につながるものと考えています。
*8 Diversity, Equity and Inclusion
4つの“つなげる”戦略
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会社と人財を「志」でつなげる |
味の素グループは、多様な従業員が自身の志を言語化し、内発的に動機を高めることが 「アミノサイエンス®で、人・社会・地球のWell-beingに貢献する」の原動力になると考えています。味の素グループ全体で共有する「Our Philosophy(志・ASV・AGW)」の浸透と体現を通じて、会社と人財を志で“つなげる”ことを目指します。 |
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戦略と人財を「挑戦」でつなげる |
味の素グループは、2030ロードマップで掲げる挑戦的な高い目標を実現するためには、 AGW(新しい価値の創造、開拓者精神、社会への貢献、人を大切にする)のより一層の活性化が重要と考えています。失敗を恐れずに味の素グループらしい挑戦の機会とリーダーシップを提供し、従業員一人ひとりがコンフォートゾーンを超える文化を醸成し、戦略と人財を挑戦で“つなげる”ことを目指します。 |
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グローバルで「多様」な人財をつなげる |
味の素グループは、グローバルに食品とバイオ&ファインケミカル、地域、ジェンダー、キャリア、障がい等の観点で多様な人財を社内外から求め、融合することがイノベーション創出に重要であると考えます。お互いを尊重する文化の醸成とマネジメントの高度化を通じて、グローバルで多様な人財を“つなげる”ことを目指します。 |
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「Well-being」と従業員をつなげる |
味の素グループは、従業員やその家族の生活基盤である身体的・精神的な健康、経済的な豊かさの向上が人財資産の基盤であると考えています。味の素グループで働いていると自然に健康になる環境・マネジメントや資産形成支援を通じてWell-beingと従業員を“つなげる”ことを目指します。 |
4つの“つなげる”戦略のうち、「志」「Well-being」に関する取組みはグローバルで堅調に推移しています。一方で、「挑戦」、「多様性(DE&I)」は課題が相対的に大きく、重点的な強化が必要と認識しています。
挑戦に関する課題:
バイオ&ファインケミカルの電子材料事業の高成長を支えるのは「高速開発システム」です。新規事業や新製品の原動力として、「高速開発システム」を他領域へ展開するにはその基盤となる挑戦文化の強化が不可欠です。挑戦文化の醸成が十分でない場合、成長領域への展開が遅れ、2030ロードマップで掲げる挑戦的なASV指標の達成に影響を及ぼす可能性があります。
多様性に関する課題:
食品事業の新地域・新商品展開や、バイオ&ファインケミカル事業の飛躍的な成長を実現するには、「知・経験×属性」の観点で味の素グループの多様性を有機的に融合させることが不可欠です。多様性の融合が進まない場合、新たな知見・経験の獲得が遅れるリスクがあります。
会社と人財を「志」でつなげる
多様な事業をグローバルに展開する味の素グループは、事業や地域の拡大に伴い、グループの力を結集する求心力をいかに高めるかが重要なテーマとなっています。その求心力の源泉として、「Our Philosophy」への共感を高め、ASVの自分ごと化を進めています。この取組みの一環として、「理解/納得」、「共感/共鳴」、「実行/実現」、「モニタリング/改善」のステップからなるASVマネジメントサイクルを導入しています。2025年度は、味の素グループの「志」と従業員一人ひとりの「志」の重なりを言語化する「My Purpose ワークショップ」を継続的に実施するとともに、従業員が自身の志を起点に、アミノサイエンス®を通じた事業創造と社会課題解決を体感的に学ぶシミュレーション型のワークショップ「Our Philosophy チャレンジ」を展開しました。部門横断の共創や挑戦を通じて、Our Philosophyの実行力を高め、志を具体的な行動につなげる人財の育成を図っています。これらの取組みの結果、エンゲージメントサーベイ(以下、ES)における「志」(「会社の指針となる価値観を支持している」等の7設問で構成)のスコアは89(前年差+1)でした。
戦略と人財を「挑戦」でつなげる
売上高・事業利益成長を大きく牽引したバイオ&ファインケミカルの電子材料事業の好調を支えているのは、「高速開発システム」です。高速開発システムは、①「顧客ニーズを先読みする」、②「複数のソリューションを並行して迅速に開発する」、③「フィードバックに基づき継続的にソリューションを改善する」の3つのKey Success Factorにより、市場・顧客環境の急速な変化に対応する手法です。この考え方は電子材料事業にとどまらず、他の事業・機能にも応用可能であり、2030の挑戦的なASV指標の実現、さらにはその先の新事業・新製品創出の原動力になると考えています。
その実現を支えるのが、味の素グループの「志」と従業員一人ひとりの「志」の重なりを言語化することにより高まる「挑戦」への意欲です。味の素㈱では「挑戦」の機会提供として、「手挙げでの異動」および「TRY&A-CROSS(社内副業制度)」を拡大しています。これらは海外を含むグループ会社でも展開が進んでおり、ESにおける「挑戦」(「上司は失敗から学ぶことを奨励してくれる」等の6設問で構成)のスコアは87(前年差+1)でした。挑戦文化をより一層強化するにあたり、今日できることを明日に先送りせず、継続的成長を目指し、昨日よりも少しでも良い方向へ向かおうとする日々の活動を全て「挑戦」と考え、AGWに則った多様な「挑戦」を後押しするために、挑戦と成果が適切に結びつく制度運用を進めていきます。
グローバルで「多様」な人財をつなげる
味の素グループは、食品事業を中心に各地域の文化・嗜好性に対応することで、高いローカル市場対応力を発揮し、グループ個社が自律自走で事業を拡大してきました。このローカル市場対応力は、今日の食品事業の成長を牽引する強みです。一方、長期的な事業拡大に向けては、食品事業における新たな地域・国での事業拡大や新商品の導入、バイオ&ファインケミカル事業における新領域創出が不可欠であり、そのためには「知・経験×属性」の観点でDE&Iを推進し、チームの実行力を高め、イノベーション創出につなげることが重要であると考えています。
グループのリーダーシップ層(執行役・執行理事・Group Executive Manager:137ポジション)の多様性については、性別、国籍、所属籍等の観点での多様性が2025年度は27%と順調に推移しています。対象ポジションでは、Ready(1年~3年)、Next(5年以内)、Future(8年以内)の期間でサクセッションプランを作成し、次世代リーダー層の人財プール形成、戦略的な育成・登用を強化しています。
また、味の素㈱においては、新領域、成長領域における専門性獲得の観点からキャリア採用を推進しており、2025年度の「1年間で入社する従業員の内、キャリア採用で入社する従業員の比率」は40%、全従業員の内、キャリア採用で入社した従業員の構成比」は20%でした。また、味の素㈱の女性管理職比率は、16%と対前年+2%と増加しましたが、女性従業員比率33%と比較して依然として低い水準であり、引き続き女性管理職のパイプライン形成が課題と捉えています。これに対して、「AjiPanna Academy(アジパンナ・アカデミー)等の一般職女性育成支援を推進しており、2025年度の研修参加者43名のうち97%が管理職への挑戦意向を示しています。また、ESの結果、半数を超える女性従業員が上位の職位への意欲を示しており、20代~30代の女性従業員では70%(前年+4%)となります。また、30代の女性の従業員比率は36%、20代の女性従業員比率は40%と増加傾向にあり、段階的に女性管理職比率は向上するものと考えています。知・経験の融合をさらに加速するためには、グローバル視点で「適所・適財」「適時・適量」な人財配置が重要です。味の素グループでは、国際間異動ガイドラインを整備し、日本と海外拠点間のみならず海外拠点間の異動を進めていますが、さらに実効性を高めるため、事業ポートフォリオにアラインした人財ポートフォリオの明確化、グローバル共通の人事ポリシーおよびガイドラインの構築に取り組んでいます。
「Well-being」と従業員をつなげる
身体的・精神的な健康の観点では、「味の素グループで働いていると自然に健康になる」を目指す姿として、グローバルで健康経営を推進しています。経済的な豊かさの観点では、グループ会社が地域・事業の外部報酬市場と比較して競争力のある報酬体系を目指しています。これらの取組みの結果、ESにおける「Well-being」(「職場の栄養改善に取り組んでいる」や「適正報酬を受け取っている」等の7設問で構成)のスコアは85(前年差+1)でした。
主要KPI:ESにおけるASV実現プロセスのモニタリング
4つの“つなげる”戦略に基づく人的資本投資の成果を測る主要KPIとして、味の素グループではESにおけるASV実現プロセスをグローバルでモニタリングしています。2025年度の結果は78(前年差+2)であり、2025年度目標の80に対して未達となりました。
未達の主因は、全社課題として掲げていた生産性向上(承認プロセスの課題)に関連する設問「私は、この会社では日常業務で物事を決定するまでにかなり多くの承認を得なければならないと思う」が、前年差+9ポイントと大幅に改善したものの、依然として低位であったことです。2025年度は真因把握を目的として新たに「私は日々の業務において、意思決定を得るうえで、不必要な承認は最小限に抑えられていると思う」を導入し、新設問のスコアは78でした。この結果、承認は多いが、ガバナンスや業務・製品品質の観点から不必要な承認だとは捉えていない回答者が多数存在することが確認されました。
これを踏まえ、2026年度からはASV実現プロセスにおける生産性向上(承認プロセスの課題)の設問を新設問へ置き換えます。一方で、自由記述では事前説明の多さや承認基準の曖昧さに関する課題が提起されていることから、引き続き改善に取り組んでいきます。なお、本設問の変更に伴い、2030年度のASV実現プロセスの目標値を85から88に引き上げます。
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FY23 |
FY24 |
FY25 旧設問 |
前年差 |
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FY25 新設問 |
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ASV実現プロセス |
76 |
76 |
78 |
+2 |
|
84 |
|
志への共感 |
93 |
93 |
94 |
+1 |
|
94 |
|
顧客志向 |
91 |
90 |
91 |
+1 |
|
91 |
|
ASV自分ごと化 |
76 |
76 |
77 |
+1 |
|
77 |
|
チャレンジの奨励 |
81 |
83 |
85 |
+1 |
|
85 |
|
インクルージョンによる共創 |
78 |
79 |
80 |
+1 |
|
80 |
|
生産性向上 旧設問 (承認プロセスの課題) |
28 |
20 |
28 |
+9 |
|
- |
|
生産性向上 新設問 (承認プロセスの課題) |
- |
- |
- |
- |
|
78 |
|
イノベーション創出 |
85 |
88 |
87 |
0 |
|
87 |
|
社会・経済価値の創出 |
78 |
79 |
80 |
+1 |
|
80 |
(3)リスク管理
人的資本に関する当社のリスク管理は、<味の素グループのサステナビリティに対する考え方>に記載のとおりです。加えて、コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方に記載のガバナンス体制のもと、経営会議において重要な業務執行の意思決定を行い、ガバナンス・ルールに沿って取締役に提案・報告を実施しています。中村新体制で定めた、7つの全社戦略の実行力を高める為に、2026年4月より、全社戦略と人財・組織をつなぐ責任者としてChief Human Resources Officer (CHRO)を設置しました。
(4)指標及び目標
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人的資本に関する主たる指標 |
対象 |
2023年度 実績 |
2024年度 実績 |
2025年度 実績 |
2026年度 目標 |
2030年度 目標 |
|
|
志 |
従業員エンゲージメントスコア(*9) (ASV実現プロセスの9設問の平均値) |
グローバル |
- (76%) |
- (76%) |
84% (78%) |
84% (-) |
88% (85%) |
|
|
持続可能なエンゲージメントスコア |
グローバル |
85% |
88% |
89% |
90% |
90% |
|
挑戦 |
手挙げでの異動比率 |
味の素㈱ |
41% |
45% |
51% |
55% |
70% |
|
|
自身にとって挑戦と思えることを 1つでも達成できたと答えた人の割合 |
グローバル |
- |
89% |
90% |
90% |
90% |
|
多様性 |
リーダーシップ層の多様化 |
グローバル |
22% |
25% |
27% |
28% |
30% |
|
(DE&I) |
女性管理職比率 |
グローバル |
27% |
27% |
28% |
28% |
40% |
|
|
|
味の素㈱ |
14% |
14% |
16% |
18% |
30% |
|
|
1年間で入社する従業員の内、キャリア採用で入社する従業員の比率 |
味の素㈱ |
48% |
49% |
40% |
50% |
50%以上 |
|
|
全従業員の内、キャリア採用で入社した従業員の構成比 |
味の素㈱ |
17% |
19% |
20% |
22% |
30% |
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Well- being |
Well-beingに関する エンゲージメントスコア |
グローバル |
83% |
84% |
85% |
86% |
90% |
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|
プレゼンティーズム (仕事の生産性)の改善(*10) |
味の素㈱ |
74% |
74% |
75% |
75% |
75%以上 |
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アブセンティーズム (病欠)の低減 |
味の素㈱ |
2.4日 |
2.3日 |
2.2日 |
2.1日 |
1.8日 |
*9 従業員エンゲージメントスコア:2025年度より生産性向上(承認プロセスの課題)設問変更に伴い集計方法見直し。( )内は旧設問ベースのスコア
*10 WHO-HPQの設問を活用し、直近4週間の勤務日における自身の総合的なパフォーマンスを10段階で自己評価し、全回答者の平均値を10倍して算出