2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    3,480名(単体) 34,862名(連結)
  • 平均年齢
    44.5歳(単体)
  • 平均勤続年数
    19.9年(単体)
  • 平均年収
    10,727,465円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社における状況

 

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

調味料・食品

22,075

(4,169)

冷凍食品

5,611

(3,316)

ヘルスケア等

5,351

(303)

その他

1,111

(555)

全社(共通)

714

(-)

合計

34,862

(8,343)

 (注)1.従業員数欄の( )内は、臨時従業員の年間平均雇用人員数を外数で記載しております。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

3,480

(224)

44.5

19.9

10,727,465

 

セグメントの名称

従業員数(人)

調味料・食品

1,626

(54)

冷凍食品

34

(-)

ヘルスケア等

1,000

(123)

その他

106

(47)

全社(共通)

714

(-)

合計

3,480

(224)

 (注)1.従業員数は、就業従業員数です。

 (注)2.従業員数欄の( )内は、臨時従業員の年間平均雇用人員数を外数で記載しております。

 (注)3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3)労働組合の状況

 特記すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 当社及び当社グループの多様性に関する取組みについては、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組 <味の素グループの人的資本に対する考え方>」をご参照ください。

 

①提出会社

当事業年度

管理職に占める

女性労働者の割合

(%)(注)1

男性労働者の

育児休業取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

13.7

90.0

71.8

74.5

66.7

 (注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

 (注)2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。当取得率の算出においては、正規雇用労働者を対象としています。

 

②連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める女性労働者の

割合(%)

(注)1

男性労働者の

育児休業取得率

(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

正規雇用労働者

パート・

有期労働者

味の素冷凍食品㈱

7.9

76.9

49.8

75.2

77.1

味の素食品㈱

7.8

90.0

60.0

79.5

76.8

味の素AGF㈱

12.8

84.6

77.0

73.7

89.0

味の素ヘルシーサプライ㈱

15.0

100.0

54.6

82.3

65.7

味の素エンジニアリング㈱

2.3

25.0

72.7

69.0

59.5

味の素ファインテクノ㈱

12.2

85.7

90.9

93.5

76.3

味の素ベーカリー㈱

50.0

62.5

73.9

88.9

㈱味の素コミュニケーションズ

11.7

50.0

65.6

84.7

53.8

味の素構内サービス㈱

100.0

57.7

81.1

89.9

AGF鈴鹿㈱

25.0

69.2

77.0

69.2

AGF関東㈱

7.7

50.0

71.6

89.8

69.2

味の素デジタルビジネスパートナー㈱

37.5

100.0

64.3

75.7

94.2

 (注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

 (注)2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。当取得率の算定においては、正規雇用労働者を対象としています。

 (注)3.味の素ベーカリー㈱、味の素構内サービス㈱及びAGF鈴鹿㈱の3社は女性管理職が0名となっております。

 

<グループ全体における女性管理職比率>

 グループ全体での女性管理職比率は29%、味の素㈱は14%となっています。グループ全体で女性活躍に向けた基盤整備や取組みを進め、2030年度までにグループ全体で40%、味の素㈱は30%の女性管理職比率を目指します。

 

 

 

 

 

 

 

(人)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

合計

男性

女性

味の素グループ総数

従業員合計

34,862

24,094

(69%)

10,768

(31%)

 

 

 管理職

5,492

3,919

(71%)

1,573

(29%)

 

 

 一般職

29,238

20,077

(69%)

9,161

(31%)

 

 

 嘱託

132

98

(74%)

34

(26%)

 

 日本

従業員合計

7,939

5,647

(71%)

2,292

(29%)

 

 

 管理職

2,070

1,809

(87%)

261

(13%)

 

 

 一般職

5,737

3,740

(65%)

1,997

(35%)

 

 

 嘱託

132

98

(74%)

34

(26%)

 

 アジア

従業員合計

14,009

10,001

(71%)

4,008

(29%)

 

 

 管理職

1,915

1,164

(61%)

751

(39%)

 

 

 一般職

12,094

8,837

(73%)

3,257

(27%)

 

 欧州※1

従業員合計

3,238

2,094

(65%)

1,144

(35%)

 

 

 管理職

467

298

(64%)

169

(36%)

 

 

 一般職

2,771

1,796

(65%)

975

(35%)

 

 米州

従業員合計

9,676

6,352

(66%)

3,324

(34%)

 

 

 管理職

1,040

648

(62%)

392

(38%)

 

 

 一般職

8,636

5,704

(66%)

2,932

(34%)

 ※1:ヨーロッパ及びアフリカ諸国

 

 

<味の素㈱の男女賃金格差について>

 味の素㈱の人事制度は一本化されており、年齢を問わず異動の範囲等が同じ同等職務レベルであれば男女の賃金は同一となっておりますが、男女賃金の差異については下記に起因して生じております。

 

 正規労働者においては、一般職、管理職の各層における男女比率の差が要因となっています。一般職では時短勤務や異動範囲を限定している従業員等の影響もあり90%前後ですが、管理職では99%以上と上位職位になるにつれて賃金差は減少し、管理職はほぼ同等となっております。しかしながら、女性の上位職務の人数が大幅に少ないため、残念ながら正規労働者合計での男女賃金格差は75%と大きくなります。味の素㈱は2030年度の女性管理職比率30%を目指し、女性が働きやすい環境整備等を進めています(例:コアタイムなしのフレックス勤務、コロナ禍前からのテレワーク勤務、退社時間の16時30分への変更、諸条件を満たせば国内外フルリモート勤務ができる「どこでもキャリア」導入、等)。また、2017年からは女性人財への機会提供・育成支援施策として「AjiPanna Academy(アジパンナ・アカデミー)」をスタートしました。今後は女性管理職数の増加と共に賃金の差異は段階的に縮小していくと考えています。

 

 非正規労働者では、パートタイムよりも賃金の高いシニア再雇用者における男女比率の差が要因となっております。今後の日本での労働人口減少を踏まえた女性のシニア再雇用等も進めることで、正規・非正規労働者を問わない女性の更なる活躍を進めることで、非正規労働者においても賃金の差異は段階的に縮小していくと考えています。

 

正規労働者の各層における賃金の差異

 

非正規労働者の各層における賃金の差異

 

正規労働者の男女比率

 

非正規労働者の男女比率

 

 

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

<味の素グループのサステナビリティに対する考え方>

 味の素グループは、アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献することを目指しています。そのためには、2030年までに「環境負荷を50%削減」と「10億人の健康寿命を延伸」のアウトカムを両立して実現することが必要と考えています。

 味の素グループの事業は、健全なフードシステム(*1)、つまり安定した食資源と、それを支える豊かな地球環境の上に成り立っています。一方で、事業を通じて環境に大きな負荷もかけています。地球環境が限界を迎えつつある現在、その再生に向けた対策は当社グループの事業にとって喫緊の課題です。気候変動対応、食資源の持続可能性の確保、生物多様性の保全といった「環境負荷削減」によって初めて「健康寿命の延伸」に向けた健康でより豊かな暮らしへの取組みが持続的に実現できると考えています。

 味の素グループは事業を通じて、おいしくて栄養バランスの良い食生活に役立つ製品・サービスを提供するとともに、温室効果ガス、プラスチック廃棄物、フードロス等による環境負荷の削減をより一層推進し、また、資源循環型アミノ酸発酵生産の仕組み(バイオサイクル)を活用することで、レジリエントかつ持続可能なフードシステムと地球環境の再生に貢献していきます。

 そして、環境負荷などのネガティブインパクト(負の影響)を着実に低減しながら、味の素グループの強みであるアミノサイエンス®を最大限に活用して、社会へよりポジティブなインパクト(良い影響)を創出していくことを目指しています。

 *1 食料の生産、加工、輸送及び消費に関わる一連の活動

 

 

(1)ガバナンス

 味の素グループでは、グループ各社及びその役員・従業員が順守すべき考え方と行動の在り方を示した味の素グループポリシー(AGP)を誠実に守り、内部統制システムの整備とその適正な運用に継続して取り組むとともに、サステナビリティを積極的なリスクテイクと捉える体制を強化し、持続的に企業価値を高めています。

 持続可能性の観点から企業価値を継続的に向上させるため、サステナビリティ推進体制を強化しており、その概要は提出日現在で以下のとおりです。

 

 取締役会は、サステナビリティ諮問会議を設置する等、サステナビリティとESGに係る当社グループの在り方を提言する体制を構築し、ASV経営の指針となる味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)を決定するとともに、サステナビリティに関する取組み等の執行を監督しています。

 経営会議は、下部機構としてサステナビリティ委員会と経営リスク委員会を設置し、味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)に基づくリスクと機会をその影響度合いの評価とともに特定し、対策の立案、進捗管理を行う体制を構築しています。なお、2023年度はサステナビリティ委員会から2回の活動報告を受けています。

 サステナビリティ諮問会議は、2023年4月より第二期サステナビリティ諮問会議として、引き続きサステナビリティの観点で味の素グループの企業価値向上を追求するため、その活動を継続しています。第二期サステナビリティ諮問会議は、主として投資家・金融市場の専門家からなる社外有識者4名で構成され、議長は社外有識者が務めています。取締役会からの諮問に基づき、マテリアリティの実装、その進捗についての開示及び対話、それらを通じてステークホルダーとの関係構築を行っていくことについて、取締役会のモニタリングを強化する視点で検討を行い、取締役会に答申します。第二期サステナビリティ諮問会議は1年に2回以上開催され、審議の内容及び結果を取締役会に報告します。

 サステナビリティ委員会は、中期ASV経営を推進するため、経営リスク委員会と連携して味の素グループへの影響評価とともにマテリアリティに基づくリスクと機会の選定、抽出を行い、経営会議へ提案します。そして、対策を立案し、サステナビリティ施策の進捗管理を行います。また、味の素グループ全体のサステナビリティ戦略策定、戦略に基づく取組みテーマ(栄養、環境、社会)の推進、事業計画へのサステナビリティ視点での提言と支援、ESGに関する社内情報の取りまとめを行います。

 経営リスク委員会は、特に経営がイニシアチブをもって対処すべきリスク(パンデミック、地政学リスク、情報セキュリティリスク等)について、サステナビリティ委員会と連携して味の素グループへの影響評価とともにマテリアリティに基づくリスクと機会の選定、抽出を行い、経営会議へ提案します。そして、リスクマネジメントのための諸方策を立案、進捗管理を行うことで、リスクおよび危機に迅速かつ的確に対応できる強固な企業体質を実現します。

 

(2)戦略

 味の素グループは、食品事業について調味料・食品から冷凍食品まで幅広い商品領域を持ち、またヘルスケア等の分野にも事業を展開していることから、当社事業は、農、畜、水産資源や遺伝子資源、水や土壌、昆虫等による花粉媒介などのさまざまな自然の恵み、つまり生態系サービスに大きく依存しています。これら自然の恵みは、多様な生物とそれらのつながりによって形作られる健やかな生物多様性によって提供されています。生物多様性に関する問題と気候変動、水資源の減少、資源廃棄物、水質・大気・土壌汚染などの環境問題は相互に密接にかかわり合っており、分けて考えることはできません。この相互の関係性を考慮しながら、生物多様性の保全や生物資源の持続可能な利用と、温室効果ガスの排出抑制や資源の有効活用、廃棄物の削減などの他の環境負荷低減の取組みを進めていきます。

 また、味の素グループでは人財資産を全ての無形資産の源泉と考え、従業員のエンゲージメントが企業価値を高める重要な要素と位置付けています。志を持った多様な人財が、生活者・顧客に深くより添い、イノベーションの共創に挑戦できるよう、人財への投資を強化していきます。

 

(3)リスク管理

 2つのアウトカムを含む「中期ASV経営 2030ロードマップ」を実現する上で、的確にリスクを把握し、これに迅速かつ適切に対応することが極めて重要です。サステナビリティ委員会と経営リスク委員会は両委員会の間に取り残されるリスクがないよう緊密に連携して、味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)に基づくリスクと機会の選定・抽出を行い、経営会議へ提案します。そして、その対策立案と定期的な進捗管理について、社会、環境、栄養などサステナビリティに関する事項はサステナビリティ委員会で行い、経営がイニシアチブをもって対処すべきリスク(パンデミック、地政学リスク、情報セキュリティリスク等)は経営リスク委員会で行います。

 なお、国内外の各現場では、個別の事業戦略や現地の政治・経済・社会情勢を考慮してリスクを特定し、対応策を策定するリスクプロセスを回しています。経営リスク委員会は、リスクプロセスを継続的に改善するとともに、各現場が特定したリスクを取りまとめ、経営がイニシアチブをもって対処すべきものに対応します。また、各事業・法人においては、有事に備え、事業継続計画(BCP)を策定し、経営リスク委員会は、その有効性を常に検証するための体制を整備し、リスクへの対応状況を定期的に監視・管理しています。サステナビリティ委員会、経営リスク委員会に常勤監査委員が出席し、リスク管理の取組みをモニタリングしています。

 

(4)指標及び目標

 2030年に環境負荷50%削減のアウトカム実現、さらには2050年ネットゼロの達成に向けて引き続き取り組みます。2030年に向けては、これまでの主要なテーマである温室効果ガス、プラスチック廃棄物、フードロスの削減、持続可能な調達の実現といった目標を継続し、これらの取組みを推進します。

 スコープ1・2における温室効果ガス(GHG)削減、フードロスの削減については計画を上回る進捗となっています。スコープ3におけるGHG削減については、タイで2022年度に開始したMSG原料サプライヤーとの協業に向けた対話は、2024年度に削減取組みを実行に移す段階に入ります。また、この活動を他のエリアにも横展開していきます。プラスチック廃棄物削減については、リデュース・リサイクル可能な包材への転換とリサイクルの社会実装への貢献を進めています。サステナブル調達については、重点原料での取組みを進めるとともに、2023年度は生物多様性への取組みも進めました。

 また、ASV指標の実現を支える無形資産強化として、従業員エンゲージメントスコアの向上を推進します。

 

ASV指標

 2030年の環境負荷50%削減、そして2050年のネットゼロ達成に向け取組みを進めます。

 また、従業員エンゲージメントスコアについては80%(FY25)、85%(FY30)への向上を目指します。

 *2 測定方法を、「ASV自分ごと化」の1設問から、より実態を把握できる「ASV実現プロセス」の9設問の平均値へと2023年度スコアから変更しました。

 

<味の素グループの気候変動に対する考え方>

(1)ガバナンス

 気候変動課題に対する当社のガバナンスは、<味の素グループのサステナビリティに対する考え方>に記載のとおりです。

 

(2)戦略

 当社グループは、食品事業について調味料・食品から冷凍食品まで幅広い商品領域を持ち、またヘルスケア等の分野にも事業を展開しています。気候変動は、大規模な自然災害による事業活動の停止、農作物や燃料などの原材料調達への影響、製品の消費の変化など、さまざまな形でグループの事業に影響を与えます。

 

①シナリオ分析の前提

 2023年度は、2100年に地球の平均気温が産業革命後より1.5℃又は4℃上昇するというシナリオで(*3)、グローバルのうま味調味料、及び国内・海外の主要な製品に加えてその他の加工食品に関する2030年時点と2050年時点の気候変動による影響に関するシナリオ分析を実施しました。

 中長期における生産に関する事項として、気候変動の影響のうち、渇水、洪水、海面上昇、原料の収量変化等を物理的リスクとして、カーボンプライシングやその他の法規制の強化及びエネルギー単価の上昇、消費者嗜好の変化等を移行リスクとして捉え分析しました。

 1.5℃と4℃シナリオにおける2030年時点の平均気温差は0.2℃程度であり物理的リスクに大きな差が見られないと考え、平均気温差が1℃程度予想され物理的リスクに差があると考えられる2050年時点のシナリオ分析のリスクと機会を②・③の表において示しています。

 なお、これまでに当社が実施したシナリオ分析に係る前提の推移を要約すると以下のとおりです。2023年度の分析において、売上高基準カバレッジおよびカーボンプライシングが上昇したため潜在的財務影響が増えています。

 

 

2020年度(*4)

2021年度

2022年度

2023年度

事業

うま味調味料(グローバル)、国内の主要な製品

うま味調味料(グローバル)、国内の主要な製品

うま味調味料(グローバル)、国内・海外の主要な製品

うま味調味料(グローバル)、国内・海外の主要な製品に加えて、その他の加工食品など

発現の時期

2030年

2030年/2050年

2030年/2050年

2030年/2050年

シナリオ

2℃/4℃

2℃/4℃

1.5℃/4℃

1.5℃/4℃

売上高基準

カバレッジ

24%

24%

55%

65%

 *3 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によるSSP1-1.9(1.5℃シナリオ)、SSP5-8.5(4℃シナリオ)及び国際エネルギー機関(IEA)によるシナリオ等を参照しています。

 *4 過年度に実施したシナリオ分析の結果については、過年度に発行したサステナビリティデータブックをご参照ください。https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/ir/library/databook.html

 

 

②シナリオ分析:リスク

1.5℃シナリオ(2050年):GHG排出量削減に向けた一定の政策的対応が行われ、化石燃料の消費が減少する場合

リスク

平均気温上昇

洪水・渇水の重大性と頻度の上昇

製品に対する命令及び規制

消費者嗜好の移り変わり

右の対象は当社グループ全体

カーボンプライシングメカニズム

リスクの分類

移行リスク

物理的リスク

移行リスク

移行リスク

移行リスク

事業インパクト

カーボンプライシングによる原料調達のコストアップ(コーヒー豆ほか)

創業時より実施している供給継続対策

使用する原料に関する法規制の強化によるコストアップ

(想定:原料のトレーサビリティやリサイクル使用の法規制)

気温上昇による需要減

(想定:みそ汁、スープ類、ホットコーヒー、加熱調理からレンジ調理へのシフト)

カーボンプライシングにより、使用する燃料のコストアップ

潜在的財務影響

2億円/年

僅少

2030年:180億円/年(*5)

2050年:430億円/年(*5)

対応策

・原料産地の支援

・別製法で作られた原料の検討

・調達地域の多様化

・代替原料の研究開発

・サプライチェーン上下流の包括的な協力体制構築

・ASV訴求活動(栄養価値)を通じた喫食の習慣化を図るコミュニケーション

・アイス飲用に適したマーケティング活動

・レンジ調理メニューの探索・提案

・内部カーボンプライシングによる財務影響の見える化

・燃料転換

・再生可能エネルギー利用

・環境配慮型の製法開発

 

 

 

4℃シナリオ(2050年):GHG排出量削減に向けた政策的対応を行わない、成り行きの場合

リスク

平均気温上昇

洪水・渇水の重大性と頻度の上昇

消費者嗜好の移り変わり

燃料のコスト増加

リスクの分類

物理的リスク

物理的リスク

移行リスク

移行リスク

事業インパクト

農畜水産物の生産性低下によるコストアップ

(想定1:養殖の生育環境悪化、

想定2:家畜の増体率や生産性の低下、

想定3:乳牛の乳量低下、

想定4:家畜の感染症流行、

想定5:農産物の生育不良や病害虫流行)

原料調達のコストアップ、操業停止、納期遅延による売上高の減少

(想定1:タイの洪水、

想定2:タイの渇水、

想定3:日本の局地豪雨による冠水)

 

気温上昇による需要減

(想定:みそ汁、スープ類、ホットコーヒー、加熱調理からレンジ調理へのシフト)

化石系の燃料や電力の価格上昇

潜在的財務影響

90億円/年

1億円/年

50億円/年

対応策

・調達地域の多様化

・サプライヤー・農家との連携強化

・エキス削減レシピの開発

・代替原料の研究開発

・高温耐性品種の導入

・販売価格への反映

・調達地域の多様化

・代替原料の研究開発

・節水生産の継続・改善

・供給体制・物流体制の整備

・ASV訴求活動(栄養価値)を通じた喫食の習慣化を図るコミュニケーション

・手軽な加熱調理コミュニケーションへの改善

・アイス飲用に適したマーケティング活動

・レンジ調理メニューの探索・提案

・燃料転換

・再生可能エネルギー利用

・環境配慮型の製法開発

 *5 SBT(Science Based Targets)イニシアチブに認定された当社グループの2018年度の基準GHG排出量に、IEA:International Energy Agency(国際エネルギー機関)の1.5℃シナリオに相当する2030年CO2価格の予測:新興国=25$/t-CO2、ブラジル・中国・インド・インドネシア=90$/t-CO2、先進国=140$/t-CO2、2050年CO2価格の予測:新興国=180$/t-CO2、ブラジル・中国・インド・インドネシア=200$/t-CO2、先進国=250$/t-CO2を乗じて算出。4℃シナリオは現状の成り行きでありCO2価格の上昇は想定しておりません。

 

 

③シナリオ分析:機会

1.5℃シナリオ(2050年):GHG排出量削減に向けた一定の政策的対応が行われ、化石燃料の消費が減少する場合

機会

低排出量商品及びサービス

消費者嗜好の移り変わり

機会の分類

製品及びサービス

製品及びサービス

事業インパクト

生活者や顧客のエシカル志向の拡大により環境負荷が低い製品として売上増加

・健康志向によるニーズ拡大=売上増加

・気温上昇による飲料などのニーズ拡大=売上増加

対応策

・環境配慮型の製法や製品の開発

・ESGの好評価を取得する取組み推進

・低環境負荷を証明するエビデンス強化

・中大容量品へ顧客嗜好をシフトする推進策

・栄養価値が向上する製品開発

・栄養価値訴求を通じた喫食の習慣化を図るコミュニケーション

・環境配慮型の製法や製品の開発

 

4℃シナリオ(2050年):GHG排出量削減に向けた政策的対応を行わない、成り行きの場合

機会

低排出量商品及びサービス

消費者嗜好の移り変わり

機会の分類

製品及びサービス

製品及びサービス

事業インパクト

生活者や顧客のエシカル志向の拡大により環境負荷が低い製品として売上増加

・健康志向によるニーズ拡大=売上増加

・気温上昇による飲料などのニーズ拡大=売上増加

対応策

・環境配慮型の製法や製品の開発

・低環境負荷を証明するエビデンス強化

・中大容量品へ顧客嗜好をシフトする推進策

・栄養価値が向上する製品開発

・栄養価値訴求を通じた喫食の習慣化を図るコミュニケーション

・環境配慮型の製法や製品の開発

 

④シナリオ分析結果の戦略への反映

(ⅰ)事業戦略への反映

 シナリオ分析における事業への影響を踏まえ、今後一層のGHG排出量削減に向け、燃料転換・再生可能エネルギー利用・環境配慮型の製法に関する投資を計画していきます。また、サステナビリティに対する取組みが製品の付加価値向上につながる「ASV」の実現に向けて、新たな事業戦略の策定に取り組んでまいります。

 また、2023年度以降のシナリオ分析においては、リスク・機会の深掘りをしていきます。

 

(ⅱ)資金調達戦略への反映

 当社は、各種取組みに対して必要な資金については、サステナブルファイナンスを基本としております。2021年10月のサステナビリティボンド発行を第一弾に、2022年1月のポジティブ・インパクト・ファイナンスによるコミットメントライン契約、2022年12月のサステナビリティ・リンク・ローンによるコミットメントライン契約、2023年6月にサステナビリティ・リンク・ボンド発行と継続的にサステナブルファイナンスによる調達を実行しています(*6)。また、直近では2024年3月および4月に新たなサステナビリティ・リンク・ローンを2件契約しました。

 これら資金調達により、当社グループが掲げる2030年までの2つのアウトカムのうちの1つ「環境負荷を50%削減」の実現、及び持続可能な社会の実現に向けた取組みをより一層加速させていきます。

 *6 これらの詳細に関しては、以下の「サステナブルファイナンス」サイトをご参照ください。

https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/activity/csr/finance/index.html

 

(3)リスク管理

 気候変動課題に対する当社のリスク管理は、<味の素グループのサステナビリティに対する考え方>に記載のとおりです。

 

(4)指標及び目標

 当社グループは、SBT(Science Based Targets)イニシアチブによるネットゼロを含む新たなGHG排出削減目標への適合を宣言するコミットメントレターを提出しました。これにより、当社グループはSBTイニシアチブより認定を受けている気温上昇を1.5℃に抑えるGHG排出削減目標の取組みをさらに加速させるため、ネットゼロ基準に沿って目標と戦略の見直しを行っています。

 

①目標

 スコープ1・2合計のGHG排出量については、SBTイニシアチブの認定を受け2030年度に2018年度比で50%削減を目標(総量目標)としています。

 同じくSBTイニシアチブの認定を受けたスコープ3(カテゴリー11除く)の生産量1トンあたりのGHG排出量(GHG排出原単位)については、2030年度に2018年度比で24%削減としている目標(原単位目標)の見直しを行っています(2024年6月1日時点)。

 

②2023年度実績

 スコープ1・2のGHG排出量では、前年度比およそ300,000t-CO2e減と大幅削減となりました。石炭を使用していたインドネシア味の素社およびタイ味の素社の事業所がバイオマスに燃料転換し、当社・九州事業所が再エネ証書を調達したことが大幅削減につながりました。また、SBTイニシアチブの認定を受けた2030年度のGHG排出量目標(2018年比△50%)に対しては、現時点での計画によりおよそ8割の達成目途が見えていますが、一層の排出量削減に向け、更なる削減活動を検討してまいります。

 スコープ3のGHG排出原単位(全カテゴリー対象)では、前年度比およそ1%増加し、基準年である2018年度に対し(当社グループ会社の遡及なし)およそ1%減少となりました。当社グループ全体の総生産量が減少したことが主な原因です。2024年度は、スコープ3の原料サプライヤーとの協働を行います。サプライヤーを含めた外部との連携を今後加速し、GHG排出量の削減に向けて取組みを進めてまいります。

 

③目標達成に向けた取組み

 スコープ1・2の目標を達成するための施策として、省エネルギー活動やGHG発生の少ない燃料への転換、バイオマスや太陽光等の再生可能エネルギー利用、エネルギー使用量を削減するプロセスの導入を進めています(化石燃料からバイオマス燃料への転換、中国及び当社・九州事業所における再エネ証書の調達など)。

 スコープ3については、製品ライフサイクル全体のGHG総排出量の約60%を原材料が占めていることから、原料サプライヤーへのGHG削減の働きかけや、アンモニアのオンサイト生産等の新技術導入に向けた検討を進めています。

 

<味の素グループの生物多様性に対する考え方>

(1)ガバナンス

 生物多様性に対する当社のガバナンスは、<味の素グループのサステナビリティに対する考え方>に記載のとおりです。

 

(2)戦略

 当社グループは、食品事業について調味料・食品から冷凍食品まで幅広い商品領域を持ち、またヘルスケア等の分野にも事業を展開していることから、当社事業は、農、畜、水産資源や遺伝子資源、水や土壌、昆虫等による花粉媒介などのさまざまな自然の恵み、つまり生態系サービスに大きく依存しています。これら自然の恵みは、多様な生物とそれらのつながりによって形作られる健やかな生物多様性によって提供されています。

 しかし、生物多様性は現在、過去に類を見ない速度で失われており、生物多様性の保全が世界的に喫緊の課題となっています。味の素グループは事業を継続させながら生物多様性への影響を低減し、そして地球環境を守っていくことの重要性を認識しており、2023年7月に生物多様性ガイドラインを制定しました。生物多様性に関する課題は、気候変動、水や土壌、廃棄物、人権等の環境や社会課題とも密接に関わっているため、相互が効果的になるように課題解決に向けた取組みを進めていきます。

 

①LEAPアプローチ

 2023年度は、TNFDガイダンスのLEAPアプローチに沿って味の素グループの調味料・食品、冷凍食品およびヘルスケア等一部において調達原料のうち評価対象として選定した原料に関して、依存・影響の分析に基づいてリスク・機会評価を実施しました。LEAPアプローチは、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)が提唱するガイダンスで、企業および金融機関内の自然関連のリスクと機会を科学的根拠に基づいて体系的に評価をするためのプロセスを示しています。

 

(ⅰ)対象原料の選定

 売上高カバレッジ8割となる原料を対象に、Science Based Target Network(SBTN)により作成されたガイダンスであるSBTs for Natureが提供するHigh Impact Commodity List(HICL)に該当かつ調達量が多い12の原料を選定しました。選定原料は、サトウキビ、キャッサバ、トウモロコシ、生乳、大豆、菜種、米、牛、コーヒー、パーム、銅、原油です。なお、HICLに該当しているが包装資材である紙については対象外としました。

 

(ⅱ)分析結果

原料、製造、販売、消費の4工程について、LEAの3ステップを分析。

 

Locate(発見)

Evaluate(診断)

Assess(評価)

分析概要

対象事業について、当社グループ事業のサプライチェーンにおける、生物多様性損失の危機が大きい地域を把握した。

当社グループ事業のサプライチェーンにおける自然への依存と影響の因子を特定した。それら因子に対する指標と閾値を設定して依存・影響の将来状態(2050年)を定量的に診断した。

将来状態で劣化が進む依存と影響の因子に関して、シナリオにてリスクを特定した。それらの結果に対して、当社グループの対応状況を踏まえた財務影響を試算し、リスク・機会の大きさを評価した。

ツール

以下のツールを各ステップで組み合わせて分析した。

(ENCORE、SBT’s High Impact Commodity List、SBTN Materiality Screening Tool、Geographic Information System、World Database Protected Area、IUCN Red List、GLOBIO、Aqueduct、Aqueduct Water Atlas、Nature Map Explore、Aqueduct Global Maps、Past and future trends in grey water footprints of anthropogenic nitrogen and phosphorus inputs to major world rivers、International Institute for Applied Systems Analysis、What a Waste)

 

結果

対象原料について、25km-50kmの格子単位での当社グループ事業のサプライチェーンにおける自然との接点を特定・評価し、自然劣化を踏まえて詳細分析すべき格子を特定した。全対象2.4万格子のうちLocateでは、生物多様性の重要性エリア・急速劣化エリア・棄損可能性エリア・高い水ストレスのエリア・先住民居住エリアのいずれかに該当する格子は2万格子と特定した。

Locateで特定した2万格子において、当社グループ事業のサプライチェーンにおける各段階(原材料、生産、消費など)での自然への依存と影響の因子について、2050年時点での自然劣化状態を想定して特定した。それら因子に対する指標と閾値を設定して依存・影響度を分析した。自然毎に劣化傾向は異なり、森・大気は全世界で劣化するが、水・土は特定地域に偏重することを確認した。特にサトウキビ・トウモロコシ・菜種の調達国では、それらの生産地で土質が劣化する可能性があることを確認した。

Evaluateでは、2050年時点で一定程度劣化する可能性があると特定した自然に関して、自然保全と経済発展が両立されるシナリオ(SSP1(*7))と自然劣化・経済停滞となるシナリオ(SSP3(*7))の二つのシナリオにおいて、どのようなリスクが発生しうるか予想した。共に自然の劣化により多種リスクが生じ得るが、特に財務面の影響が大きいと確認したものは、慢性的な物理リスクによる原料調達価格の高騰であった。調達額の高騰が大きい原料は、トウモロコシ・サトウキビであった。サトウキビはタイ、トウモロコシはアメリカでの土壌の劣化が原因であった。

*7 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)議長に呼応して新シナリオ作成を目的として立ち上げられたコミュニティである統合評価モデルコンソーシアムが開発した共通社会経済経路(SSP:Shared Socioeconomic Pathways)。SSP1:自然保全と経済発展が両立されるシナリオ。SSP3:自然劣化・経済停滞となるシナリオ。

 

②分析結果の戦略への反映

(ⅰ)事業戦略への反映

 2024年度は、原料に関してその原産国ではなく可能な限り地域に絞り込んで分析精度を向上させます。それを踏まえた生物多様性に関する課題は、気候変動、水や土壌、廃棄物、人権等の環境や社会課題とも密接に関わっているため、相互が効果的になるように課題解決に向けた取組みを進めていきます。また、サステナビリティに対する取組みが製品の付加価値向上につながる「ASV」の実現に向けて、新たな事業戦略の策定に取り組んでまいります。

 

(ⅱ)資金調達戦略への反映

 当社は、各種取組みに対して必要な資金については、<味の素グループの気候変動に対する考え方>

(ⅱ)資金調達戦略への反映に記載している内容と同様に進めてまいります。

 

(3)リスク管理

 生物多様性に対する当社のリスク管理は、<味の素グループのサステナビリティに対する考え方>に記載のとおりです。

 

(4)指標及び目標

 分析精度を向上させた生物多様性に関する課題および、それと密接に関わっている気候変動、水や土壌、廃棄物、人権等の環境や社会課題それぞれが、効果的になるように課題解決に向けた取組みが進められる指標と目標を設定していきます。

 

<味の素グループの人的資本に対する考え方>

(1)ガバナンス

 当社グループは各国・地域の多様な人財を横断的に育成・登用し、人財の適所適財を実現するための基盤として、グローバル人財マネジメントシステムを導入しています。本システムは基幹ポストと基幹人財を可視化する仕組み(ポジションマネジメント×タレントマネジメント)から構成されています。また、グローバル人財マネジメントシステムや人財資産の強化に係る各種施策等の円滑な運営を目的に、経営会議の下部機構として、最高経営責任者を委員長とし、経営会議メンバーで構成される人財委員会を設置し、2023年度実績で分科会等も含めて全12回の議論を行っています。特に人財パイプラインの構築という観点では、指名委員会との連動も踏まえたグローバルでの重要ポジションのサクセッションプラン作成、さらに先を見据えた次世代リーダー層の人財プール等を形成、戦略的な育成や登用を強化しています。

 

(2)人財戦略

 当社グループは4つの無形資産(技術・人財・顧客・組織)の更なる蓄積と成長が課題と考えています。特に技術資産と顧客資産をマッチングさせ、イノベーションを生み出す人財資産は重要であり、人財領域における取組みを加速しています。人財領域における主たる課題は下記のとおりであり、解決に向けて“つなげる”というコンセプトの下、グローバルで“志”、“多様性”、“挑戦”の観点で施策を展開することでイノベーションの共創を図り、人財資産を強化します(人財投資額(*8):2023年度約100億円/23-30年累計1,000億円以上)。また、従業員の“Well-being”は人財資産の強化を支える基盤と考え、健康増進や資産形成等、広い観点で従業員のWell-being向上にも取り組みます。これらの取組み結果は人財資産の強化のみならず、組織資産としても蓄積され、技術資産および顧客資産を支える大きな土台となり、4つの無形資産の全体の更なる強化にもつながると考えています。

*8 機会投資含む金額

 

[人財領域における主たる課題や更に強化すべき点]

・味の素グループ全体で共有する価値観や志の更なる浸透

・食品とバイオ&ファインケミカル、地域、ジェンダー、キャリア等を融合するダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの考え方の下、クロスセクショナルチームで取り組み、イノベーションを共創する力の強化

・創業以来、大切にしている価値観の一つである開拓者精神(新しい事業、新市場の開拓に常に挑戦し続ける精神)の再活性化

・全ての基盤としての従業員の健康的な身体と精神の更なる促進

 

[4つの“つなげる”戦略]

我々は会社の志に共感した社内外の仲間が集い、各人が知と経験を活かして挑戦に臨める環境があることがASV創出に必要と考えています。最重要基盤として、多様な人財が同じ方向を向けるよう、ASVマネジメントサイクルを更に加速し、会社と人財を志で“つなげる”ことを目指します。

多様性

我々はASV実現に向けたイノベーションを共創するには積極的に多様な人財を社内外から求め、その多様性(属性・知・経験等)を公平に受け入れ、活用することが必要と考えています。グローバルで点在する多様な人財を戦略的に“つなげる”ことを目指します。

挑戦

我々はASV実現には特定の従業員のみならず、従業員一人ひとりのちょっとした挑戦も積み上げることが重要と考えています。挑戦を支える各種制度構築と共に失敗から学ぶ文化の醸成を図り、事業戦略と従業員を挑戦で“つなげる”ことを目指します。

Well-being

我々は各個人や家族の健康、精神・財務的な面等での豊かさは全ての生活の基盤であり、ASV実現を支える上で必要不可欠と考えています。働き方、職場環境、健康経営、資産形成支援等の更なる施策の拡充や改善を通じ、Well-beingと従業員を“つなげる”ことを目指します。

 

4つの無形資産

人財戦略の基本コンセプト

 

 ASV実現に向けた最重要基盤となる会社と人財の“志”をつなげる施策においては「アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献する」という志(パーパス)の実現に向けたマネジメントサイクルを構築しています。そして、各取組みの結果として現れる従業員エンゲージメントは企業価値を高める重要な要素と位置付けて従業員エンゲージメントスコア(ASV実現プロセスのスコア(*9))の向上を推進しています(実績:2023年度76%、目標:2025年度80%/2030年度85%)。また、毎年「エンゲージメントサーベイ」の結果と業績との相関分析を実施しています。過去5回の結果より、「志への共感」「顧客志向」「生産性向上」が一人当たりの売上高・事業利益に相関することを確認しています。

 

 

 

*9 ASV実現プロセスとは:個人によるASVの「自分ごと化」から、組織として成果を創出するまでの一連のプロセスと連動するエンゲージメントサーベイの9設問で構成(「志への共感」「顧客志向」「ASVの自分ごと化」「チャレンジの推奨」「インクルージョンによる共創(2問)」「生産性向上」「イノベーション創出」「社会・経済価値の創出」)

 

 また、多様性(性別・国籍・キャリア採用・グループ企業所属籍)を高めるための取組みも進めます。日本での女性管理職比率向上に向けた施策のみならず、人財委員会でのサクセッションプランの作成を通じたグローバルでの人財プールの充実化と見える化の加速、グローバル人財育成プログラム「味の素グループアカデミー」での能力開発、地域間異動なども含めた適所適財の登用を推進、グループ全体で多様性向上を進めていきます。一例ですが、外国籍の法人社長を増やしており、現在12名(*10)が就任しています。日本とそれ以外の国の法人間の異動のみならずブラジルからタイ等、日本以外の国の法人間での人財交流も積極的に進めていきます。

*10 財務報告に係る内部統制報告制度(J-SOX)に基づき、内部統制の評価の範囲に含まれる法人を対象に算出

 

(3)リスク管理

 人財に関わるリスク管理においては特に日本等の先進国を中心とした少子高齢化に伴う生産労働人口の減少、デジタル化の加速による既存スキルの陳腐化等といった外部環境変化に加え、既存領域における事業拡大と成長4領域の促進による事業変革を見据え、中途採用の拡大やDX人財育成の更なる加速に取り組みます。また、従業員の心身の健康は働く上での基盤と捉え、従業員のWell-being向上を通じて潜在的なリスク管理にも取り組んでいます。

 

(4)指標及び目標

 当社は人財戦略の実効性を管理するために以下のとおり、人的資本に関する指標を設定しています。また、2024年度からは挑戦を測る指標の追加を予定しております。

 なお、一部の指標、実績、目標に関連する取組みは連結グループ全体で行われている活動ではないため、連結グループでの開示は困難です。そのため、一部の指標、実績、目標については連結グループの主たる法人である味の素㈱を対象としています。

人的資本に関する主たる指標

対象

2023年度

実績

目標値

達成

時期

従業員エンゲージメントスコア

(ASV実現プロセスの9設問の平均値)

グローバル

76%

80%

2025

 

 

 

85%

2030

 

持続可能なエンゲージメントスコア

グローバル

85%

90%

多様性

リーダーシップ層の多様化

グローバル

21%

30%

 

女性管理職比率

グローバル

29%

40%

 

 

味の素㈱

14%

30%

 

1年間で入社する従業員の内、キャリア採用で入社する従業員の比率

味の素㈱

48%

50%以上

(2024年~)

 

全従業員の内、キャリア採用で入社した従業員の構成比

味の素㈱

18%

30%

挑戦

手挙げでの異動比率

味の素㈱

5%

(検討中)

 

自身にとって挑戦と思えることを

1つでも達成できたと答えた人の割合

味の素㈱

(2024年:

集計開始)

(検討中)

従業員

Well-beingに関する

エンゲージメントスコア

グローバル

83%

90%

Well-

being

プレゼンティーズム

(仕事の生産性)の改善

味の素㈱

74%

75%以上

 

アブセンティーズム

(病欠)の低減

味の素㈱

2.4日

1.8日

 

 

(5)人的資本経営に関係する外部機関等からの評価

健康経営優良法人2024

令和5年度「なでしこ銘柄」

PRIDE指標2023(ゴールド)

認定歴:健康経営銘柄:通算6度目/健康経営優良法人:2017~2024年まで8年連続認定

選定歴:2016年、2017年、2021年、2022年、2023年(2019年、2020年「準なでしこ」に選定)

認定歴:2020~2023年 連続認定