リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
また、当社グループは、これらのリスクに対する管理体制を「第4 提出会社の状況」の「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおり整備し、当社グループではこれらの事業等のリスクを最小化するとともに、これらを機会として活かすための様々な対応や取組を行っております。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 個人消費動向に影響を受ける可能性
当社グループは基本的に日本国内に事業基盤を持つ会社によって構成されており、主たる事業であるドラッグストアは個人消費に大きく依存する事業であり、グループ全体の業績が大きく影響を受ける可能性があります。コロナ禍にあった2020年以降は、新型コロナウイルス感染症対策商品等がグループ全体の業績に対して影響を受けました。
当社グループは、「調剤併設」「カウンセリング営業」「深夜営業」「介護」の4つの軸からなるウエルシアモデルという差別化を図ったドラッグストアを展開してまいりました。今後、このウエルシアモデルをさらに発展させるべく、中期経営計画(2023年3月~2026年2月)において2030年のありたい姿として「地域No.1の健康ステーション」の実現を掲げました。健康ステーションとは、地域のお客様の美しく楽しく健康な生活をサポートするコミュニティとして、そこで働くスタッフが「未病・予防・治療・介護」のプロとしてお客様に今まで以上に信頼される存在となることを目指すものであります。こうした取り組みを通じて、当社グループはいかなる環境下においても耐えうるよう、企業としてのレジリエンスを高めてまいります。
② 自然災害等の事業継続に支障が生じる事象について
当社グループは、ドラッグストア事業を中心に、日本国内においては営業拠点を45都道府県に2,812店舗(2024年2月末現在)を展開しており、パート社員、アルバイトを含め、約6万人の従業員が業務に従事しております。このように、当社グループは広域にわたり様々なリソースに基づいて事業展開を行っており、万一、事業展開上において必要人員の不足事態が生じた場合、事業継続が困難になることが想定されます。例えば、ⅰ)多数の当社グループ従業員(特にテレワークができない店舗従業員)が感染症のパンデミックにより出社不能となる場合、ⅱ)当社グループの本社、店舗設備が利用不能となるような自然災害等(地震、台風による水害等)が発生した場合、ⅲ)サイバー攻撃を受け、システム障害が発生し、通常業務の遂行が困難になる場合等が想定されます。
当社グループでは、上記のように業務運営に必要となる従業員、設備・施設、さらに基幹システム等のIT基盤の各種リソースが利用困難になった場合を基本パターンとして類型化し、事業継続計画(BCP)を想定しております。さらにこれらの基本パターンに地震等の自然災害やその他のシナリオを準備し、基本パターンと複数のシナリオを組み合わせて、毎期、異なるシナリオに基づき、防災訓練をグループ内で実施しております。
③ 業務上関係する法令諸規則等の改正について
当社グループは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、医薬品医療機器等法)上の医薬品を販売するにあたり、各都道府県等の許可・登録・指定・免許及び届出を必要としております。また、酒類、たばこ、食品等の販売についても、食品衛生法等それぞれの関係法令に基づき、所轄官公庁の許可・免許・登録等を必要としております。関係法令諸規則等の改正等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、法令諸規則等の改正に対して計画的かつ効率的に準備対応できるよう、グループで横断的なコンプライアンス体制の強化に努めております。
④ 薬剤師及び登録販売者の確保について
薬局及び医薬品販売業では、医薬品医療機器等法により店舗ごとに薬剤師または登録販売者の配置が義務づけられており、調剤業務に関しては薬剤師が行わなければなりません。薬剤師及び登録販売者の確保は業界全体の課題であり、計画どおり確保できない場合は、当社の業務運営及び今後の出店計画にも影響を及ぼす可能性があります。
また、労働人口減少の影響により採用手法が大きく変化していることから、これまで行ってきた職種別の採用体制を改め新卒採用チームとキャリア採用チームに分け、それぞれの特徴に合わせた採用活動を行うことといたしました。さらに採用後の定着率向上のため、各種のリテンションプランの充実を図っております。政府が進める働き方改革に則り、必要に応じて人事制度について継続的な見直しを図っております。
⑤ 薬価基準及び調剤報酬の改定について
当社グループは、調剤併設のウエルシアモデルを推進することにより、地域社会に貢献する生活のプラットフォームとなる専門総合店舗の実現に努めております。調剤売上は、薬剤収入と調剤技術に係る収入から構成されており、これらは健康保険法に定められた、公定価格である薬価基準及び調剤報酬の点数をもとに算出されております。薬価基準等の改定は定期的に実施されていくため、薬価基準等の改定は与件として事業展開を進めておりますが、改定の内容によって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、適正な人員配置や機械化等による対物業務の効率化、薬剤師による対人業務の充実のための教育等、対応を進めております。
⑥ M&Aに伴うのれん等の処理について
当社グループはM&Aを行う際に対象会社の財務内容や収益力等について、詳細なデューデリジェンスを行い、買収価格の決定、のれんの計上を行っております。対象会社の業績が悪化し、のれん計上時に作成した事業計画と著しい乖離が発生した場合、減損処理を行う必要が生じ、これによって当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、そのような状況下においては、当社において関係会社株式として計上している対象会社の株式についても、のれんと同様に減損処理の必要が生じる可能性があります。なお、2024年2月期末におけるのれんの残高は32,547百万円であります。
当社グループにおいては、各グループ会社がそれぞれの事業計画を達成すべく、当社は親会社として事業機会の拡大・経営効率の向上に資するような支援を各グループ会社に対し行っております。
⑦ 店舗出店政策について
当社グループは2024年2月期よりスタートした中期計画(最終年度:2026年2月期)においてグループ全体で年間約100店舗以上の新規出店を計画しております。一方で、予期せぬ商圏の変化等により、一部の店舗の収益性に変化があった場合、さらには閉店を余儀なくされた場合は、固定資産の減損処理が必要となる場合があります。その場合、特別損失が計上され、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは当初計画との乖離が生じた場合の原因分析、出店基準を見直す等、計画からの乖離の最小化を図っております。
⑧ 調剤過誤について
当社グループは調剤併設のウエルシアモデルを推進することにより、地域社会に貢献する生活のプラットフォームとなる専門総合店舗の実現に努めており、グループ全体の2024年2月期末の国内の調剤併設店舗数は2,155店舗、薬剤師数は8,184名となっております。調剤業務においては、死亡事故につながる調剤過誤は発生しておりませんが、万一、そのような事故が発生した場合、グループ全体のレピュテーションが毀損し、影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの調剤業務においては、深刻な事故は些細なミスの先にあるというヒヤリ・ハットの考え方のもと、どのような小さなミスも漏れなく報告を求める安全管理体制を構築しております。グループ全体で共有すべき事象があれば、発生事象に対する原因分析に基づく再発防止に向けた研修を実施する等、細心の注意を払いながら業務を行っております。
⑨ 個人情報管理について
当社グループにおいて、ⅰ)WAON POINTサービスやVポイントサービスの提供に伴うお客様の情報、ⅱ)調剤薬局における患者様の情報、ⅲ)化粧品カウンセリング等におけるお客様の情報、ⅳ)ECサイトシステムにおいて管理しているお客様の情報等の個人情報を扱っており、個人情報を適切に管理する事を社会的責務と考えております。万一これらの情報が何らかの形で外部に流出、漏洩した場合、情報流出の規模、状況次第ではグループの業務運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
情報漏洩防止のための対策として、関係諸規程を整備し関係する従業員へのマニュアル・社内教育を行うとともに、ネットワークシステムでの対策、従業員を狙った外部からの詐欺的なメールに対応するため、グループを挙げて大規模な抜き打ちの訓練を実施しております。
⑩ 従業員の法令違反等について
当社グループは調剤併設のドラッグストア事業を中心に事業展開していることから、販売する商品群は様々な法令に基づいており、故意ではなくとも業務の習熟度に起因する人為的ミスとして、法令違反等を起こしてしまう可能性があります。そうした事案の発生した状況によっては、企業としての管理責任を問われ、グループ全体のレピュテーションを毀損し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、従業員への教育・研修のための業務マニュアルの整備に加え、動画コンテンツの採用による理解の深耕や、コンプライアンス通報窓口の設置により、法令違反を未然に防止する仕組みを構築しております。
⑪ 医薬品の販売規制緩和について
改正薬事法で解禁された一般用医薬品のインターネット販売(2014年施行)の市場規模は、化粧品を含めて継続的に拡大しております。このような規制緩和による一般小売店での医薬品販売の自由化が進み、異業種からの参入により競合相手が増え、競争が激化した場合には、当社の業績に影響が出る可能性があります。
当社グループは、一般医薬品の販売に限らず、薬剤師、登録販売者、管理栄養士、調剤事務員及び化粧品担当者等の専門人材によるカウンセリング営業をウエルシアモデルの4つの柱のうちの一つとし展開しており、差別化を図っております。
⑫ グループ会社における内部統制の実効性確保の問題について
当社グループはドラッグストア事業を行うグループ会社を中心に、国内外の十数社により構成されております。当社グループ入りにあたり、会社法及び金融商品取引法で求められる内部統制の体制整備について、当社は親会社として各社を指導・支援するとともに、その後の各社の運用状況についても管理・監督しております。しかしながら、どれだけグループ内の内部統制の体制整備及びその運用に努めたとしても、思わぬ事故や不祥事案が発生する可能性があります。
当社は各グループ会社へ取締役、監査役を派遣し、各社に対する親会社としてのガバナンスに注力してまいりました。また当社グループリスク管理委員会等を通じたモニタリングや、当社監査役や内部監査室等による監査の実施によってグループ内の内部統制の実効性確保に努めてまいります。
配当政策
3 【配当政策】
当社の利益配分につきましては、再投資のための資金確保と安定的な配当継続を念頭に置きながら、財政状態、収益レベル、配当性向などを総合的に勘案することを基本方針としております。
当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、中間配当、期末配当ともに取締役会であります。なお、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨、及び会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議によって剰余金の配当を行うことができる旨を定款に定めております。
当事業年度の剰余金の配当につきましては、上記の基本方針のもと、中間配当として1株当たり17円、期末配当として17円とし、年間配当金は1株当たり34円となります。
内部留保資金の使途につきましては、より一層の収益性向上を図るために、新設店舗及び既存店舗の改装等の設備資金に充当する方針であります。
基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。